• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 発明同一  C07D
管理番号 1051572
異議申立番号 異議1999-72191  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-04 
確定日 2001-12-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第2832979号「不飽和カルボン酸アミド誘導体」の請求項1ないし11、15ないし17に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2832979号の請求項1ないし10、13ないし15に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2832979号の請求項1〜17に係る発明についての出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成元年2月3日の出願(昭和63年2月15日、特願昭63-32339号、及び、昭和63年5月11日、特願昭63-114169号)であって、平成10年10月2日にその発明について特許権の設定がなされ、その後、その特許について、総山英一より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年2月13日に訂正請求がなされ(後日取下げ)た後、再度取消の理由が通知され、その指定期間内である平成13年7月9日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1) 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa.〜k.のとおりである。

ア)訂正事項a.
請求項1における「置換基を有していてもよい芳香環を示し、」を「置換基を有していてもよい芳香環を示し、該芳香環は(1)ベンゼン、(2)ナフタレン、(3)アントラセン及び(4)チオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ビリミジンまたはピリダジンから選ばれる環であり、これらの環は、1)C1-4アルキル、2)ハロゲン原子、3)ニトロ、4)シアノ、5)ヒドロキシ、6)C1-4アルコキシ、7)C1-4アルキルチオ、8)アミノ、9)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、10)C1-4アルキルカルボニルアミノ、11)C1-4アルキルスルホニルアミノ、12)C1-4アルコキシカルボニル、13)ヒドロキシカルボニル、14)C1-6アルキルカルボニル、15)カルバモイル、16)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、17)C1-6アルキルスルホニル及び18)(i)C1-4アルキル、(ii)ハロゲン、(iii)水酸基、(iv)ベンジルオキシ、(v)アミノ、(vi)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(vii)ニトロ及び(viii)C1-4アルコキシカルボキシから選ばれる置換基1〜4個をフェニル基部分に有していてもよいフェニル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、フェニル-C1-4アルキルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニル-C1-4アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、フェニル-C1-4アルキルスルホニルアミノまたはフェニルスルホニルアミノから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよく;」に訂正する。

イ)訂正事項b.
請求項1のR1で示される「水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素残基」を「(A)水素原子または
(B) 1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4) C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基」に訂正する。

ウ)訂正事項c.
請求項1の「置換されてもよい1,2-ジヒドロナフタレン、」を「置換基として、1)C1-4アルキル基、2)ハロゲン、3)水酸基、4)C1-4アルキルオキシ基、5)アミノ、6)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、7)ニトロ、8)シアノ及び9)C1-4アルコキシルキルボニルから選ばれる置換基1〜3個をそれぞれ有していてもよい1,2-ジヒドロナフタレン、」に訂正する。

エ)訂正事項d.
請求項1の「6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン、5,6,7,8-テトラヒドロシクロオクテン、4,5-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン、4,5-ジヒドロイソベンゾフラン、7,8-ジヒドロキノリンまたは7,8-ジヒドロイソキノリン環を形成し、」を「6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン、4,5-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン、4,5-ジヒドロイソベンゾフラン、7,8-ジヒドロキノリンまたは7,8-ジヒドロイソキノリン環を形成し;」に訂正する。

オ)訂正事項e.
請求項1に記載のR2で示される「水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素残基もしくはアシル基を示し、」を、「(A)水素原子、
(B) 1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4)C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから 選ばれる炭化水素残基、または
(C)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)C1-6アルキルカルボニル、(2)C3-8シクロアルキルカルボニル、(3)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキルカルボニル、(4)C2-6アルケニルまたはアルキニルカルボニル、(5)ベンゾイル、(6)ナフトイル、(7)カルバモイル、(8)モノまたはジC1-4アルキルカルバモイル、(9)モノまたはジC3-6アルケニルまたはアルキニルカルバモイル、(10)フェニルカルバモイル、(11)ナフチルカルバモイル、(12)ジフェニルカルバモイル、(13)ナトリウムスルホニル、(14)C1-6アルキルスルホニル、(15)C2-6アルケニルまたはアルキルスルホニル、(16)フェニルスルホニル、(17)ナフタレンスルホニル、(18)C1-6アルキルオキシカルボニル、(19)C3-8シクロアルキルオキシカルボニル、(20)シクロペンチル-メチルオキシカルボニル、(21)C2-7アルケニルまたはアルキニルオキシカルボニル、(22)フェニルオキシカルボニル及び(23)ベンジルオキシカルボニルから選ばれるアシル基を示し;」と訂正する。

カ)訂正事項f.
請求項1に記載のR3で示される「置換基を有していてもよい炭化水素残基を示し、」を「1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4)C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基を示し;」と訂正する。

キ)訂正事項g.
請求項1の末尾の「又はその塩。」を「又はその塩(ただし、(1)R1およびR2がそれぞれ水素原子、かつnが2の場合、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいピラゾール環、および置換基を有していてもよいフラン環ではなく、(2)R1が水素原子、R2が3,5-ジメトキシフェニル、R3がベンジル、かつnが2の場合、環Aは4-フルオロベンゼン環ではなく、(3)R1が水素原子、R2がメチル、R3がベンジル、かつnが2の場合、環Aは4-ニトロベンゼン環ではない。)。」と訂正する。

ク)訂正事項h.
請求項6の「窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれるへテロ原子を1〜4個含む5〜6員複素環」を「チオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジンまたはピリダジン」に訂正する。

ケ)訂正事項i.
特許請求の範囲の請求項15において、
R4で示される「水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素残基」を、「(A)水素原子または(B)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4) C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基」と、
R5で示される「置換基を有していてもよい炭化水素残基又はアシル基」を、「(A)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4) C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基、または、
(B)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)C1-6アルキルカルボニル、(2)C3-8シクロアルキルカルボニル、(3)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキルカルボニル、(4)C2-6アルケニルまたはアルキニルカルボニル、(5)ベンゾイル、(6)ナフトイル、(7)カルバモイル、(8)モノまたはジC1-4アルキルカルバモイル、(9)モノまたはジC3-6アルケニルまたはアルキニルカルバモイル、(10)フェニルカルバモイル、(11)ナフチルカルバモイル、(12)ジフェニルカルバモイル、(13)ナトリウムスルホニル、(14)C1-6アルキルスルホニル、(15)C2-6アルケニルまたはアルキルスルホニル、(16)フェニルスルホニル、(17)ナフタレンスルホニル、(18)C1-6アルキルオキシカルボニル、(19)C3-8シクロアルキルオキシカルボニル、(20)シクロペンチル-メチルオキシカルボニル、(21)C2-7アルケニルまたはアルキニルオキシカルボニル、(22)フェニルオキシカルボニル及び(23)ベンジルオキシカルボニルから選ばれるアシル基」と訂正する。

コ)訂正事項j.
請求項15の(D)の二番目の化学構造式において、化学構造式中「X」を、「X'」と訂正する。

サ)訂正事項k.
請求項2および13を削除し、以下項番の繰り上げを行う。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

ア)訂正事項a.は、請求項1における置換基を有してもよい芳香環の範囲を請求項2に記載されたものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

イ)訂正事項b.は、請求項1におけるR1で示される置換基の範囲を請求項2に記載されたものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

ウ)訂正事項c.は、請求項1において、R1、-CH=C-及び環Aから構成される炭素環に含まれる環における置換基の範囲を請求項2記載の範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

エ)訂正事項d.は、請求項1において、R1-CH=C-及び環Aから構成される炭素環に含まれる環のうち、芳香環に該当しないものを削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

オ)訂正事項e.は、請求項1におけるR2で示される置換基の範囲を請求項2に記載された範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

カ)訂正事項f.は、請求項1におけるR3で示される置換基の範囲を請求項2に記載された範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

キ)訂正事項g.は請求項1に含まれる化合物の一部を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

ク)訂正事項h.は請求項6における環Aで示される複素環の範囲を請求項5に記載された特定の範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

ケ)訂正事項i.は請求項15における置換基の範囲を、請求項2において特定されている範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

コ)訂正事項j.は、式中の記号と、式の説明における記号との不一致を一致させるものであり、誤記の訂正に該当する。

サ)訂正事項k.は、請求項1の下位概念である請求項2及び請求項13を削除して、請求項の番号を順次繰り上げるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明に該当する。

シ)上記訂正はいずれも特許明細書に記載された範囲内のものであり、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない。

(3)独立特許要件
後記のとおり訂正後の本件請求項記載の発明は独立して特許を受けられるものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、これらの訂正を認める。

3.特許異議申立について
(1)本件発明
本件特許の異議申立に係る特許請求の範囲の請求項1〜11、15〜17に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10、13〜15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】一般式

〔式中、環Aは置換基を有していてもよい芳香環を示し、該芳香環は(1)ベンゼン、(2)ナフタレン、(3)アントラセン及び(4)チオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ビリミジンまたはピリダジンから選ばれる環であり、これらの環は、1)C1-4アルキル、2)ハロゲン原子、3)ニトロ、4)シアノ、5)ヒドロキシ、6)C1-4アルコキシ、7)C1-4アルキルチオ、8)アミノ、9)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、10)C1-4アルキルカルボニルアミノ、11)C1-4アルキルスルホニルアミノ、12)C1-4アルコキシカルボニル、13)ヒドロキシカルボニル、14)C1-6アルキルカルボニル、15)カルバモイル、16)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、17)C1-6アルキルスルホニル及び18)(i)C1-4アルキル、(ii)ハロゲン、(iii)水酸基、(iv)ベンジルオキシ、(v)アミノ、(vi)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(vii)ニトロ及び(viii)C1-4アルコキシカルボキシから選ばれる置換基1〜4個をフェニル基部分に有していてもよいフェニル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、フェニル-C1-4アルキルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニル-C1-4アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、フェニル-C1-4アルキルスルホニルアミノまたはフェニルスルホニルアミノから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよく;
R1は(A)水素原子または
(B) 1) ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシルカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4)C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基、を示すか;あるいは
隣接する基-CH=C-及び環Aを構成する2個の炭素原子とともに、置換基として 1)C1-4アルキル、2)ハロゲン、3)水酸基、4)C1-4アルキルオキシ基、5)アミノ、6)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、7)ニトロ、8)シアノ及び9)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜3個をそれぞれ有していてもよい1,2-ジヒドロナフタレン、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン、4,5-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン、4,5-ジヒドロイソベンゾフラン、7,8-ジヒドロキノリンまたは7,8-ジヒドロイソキノリン環を形成し;
R2は(A)水素原子、
(B) 1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ヘンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4)C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基、
または
(C)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ヘンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)C1-6アルキルカルボニル、(2)C3-8シクロアルキルカルボニル、(3)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキルカルボニル、(4)C2-6アルケニルまたはアルキニルカルボニル、(5)ベンゾイル、(6)ナフトイル、(7)カルバモイル、(8)モノまたはジC1-4アルキルカルバモイル、(9)モノまたはジC3-6アルケニルまたはアルキニルカルバモイル、(10)フェニルカルバモイル、(11)ナフチルカルバモイル、(12)ジフェニルカルバモイル、(13)ナトリウムスルホニル、(14)C1-6アルキルスルホニル、(15)C2-6アルケニルまたはアルキルスルホニル、(16)フェニルスルホニル、(17)ナフタレンスルホニル、(18)C1-6アルキルオキシカルボニル、(19)C3-8シクロアルキルオキシカルボニル、(20)シクロペンチル-メチルオキシカルボニル、(21)C2-7アルケニルまたはアルキニルオキシカルボニル、(22)フェニルオキシカルボニル及び(23)ベンジルオキシカルボニルから選ばれるアシル基を示し;
R3は1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ヘンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4)C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基を示し;
nは2から6の整数を示す〕で表わされる不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩(ただし(1)R1およびR2がそれぞれ水素原子、かつnが2の場合、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいピラゾール環、および置換基を有していてもよいフラン環ではなく、(2)R1が水素原子、R2が3,5-ジメトキシフェニル、R3がベンジル、かつnが2の場合、環Aは4-フルオロベンゼン環ではなく、(3)R1が水素原子、R2がメチル、R3がベンジル、かつnが2の場合、環Aは4-ニトロベンゼン環ではない。)。
【請求項2】環Aがベンゼンである請求項1記載の化合物。
【請求項3】環Aがナフタレンまたはアントラセンである請求項1記載の化合物。
【請求項4】環Aがチオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジンまたはピリダジンである請求項1記載の化合物。
【請求項5】環Aが1)C1-4アルキル基、2)ハロゲン原子、3)ニトロ、4)シアノ、5)アセチルアミノ、6)C1-4アルコキシ、7)フェニル、8)ベンジル、9)ベンゾイル、10)ベンゾイルアミノ、11)ベンジルスルホニル、12)フェニルスルホニルアミノ、13)C1-6アルキルスルホニル、14)C1-6アルキルスルフィニル、15)ベンジルスルホニルアミノ、16)フェニルカルバモイル、17)メトキシカルボニル及び18)ジエチルカルバモイルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)ベンゼン、(2)ナフタレン、(3)アトラセンまたは(4)チオフェン、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジンまたはピリダジンである請求項1記載の化合物。
【請求項6】R1が水素原子、C1-6アルキル基またはフェニル基である請求項1記載の化合物。
【請求項7】R1が、隣接する基-CH=C-及び環Aの2個の炭素原子と共に1,2-ジヒドロナフタレンを形成する請求項1記載の化合物。
【請求項8】R2が水素原子、C1-6アルキル基、フェニル基、C1-6アルキルカルボニルまたはベンゾイルである請求項1記載の化合物。
【請求項9】nが2、3または4である請求項1記載の化合物。
【請求項10】環Aがベンゼン、ピリジン、フランまたはチオフェンを示し;

【請求項13】(A)式【化2】

〔式中、Zは水酸基またはカルボン酸の反応性基を示し、他の各記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表わされる化合物またはその塩と、式【化3】

〔式中、R4は(A)水素原子または(B)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4) C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基を示し、R3及びnは請求項1記載と同意義を示す。〕で表わされる化合物またはその塩とを反応させて、式【化4】

〔式中の各記号は前記と同意義である。〕で表わされる不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩を製造するか、
(B)式【化5】

〔式中の各記号は前記と同意義である。〕で表わされる化合物またはその塩を炭化水素残基導入反応またはアシル化反応に付して式【化6】

〔式中、R5は(A)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルポニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)直鎖状または分枝状のC1-11アルキル、(2)直鎖状または分枝状のC2-4のアルケニル、(3)直鎖状または分枝状のC2-4アルキニル、(4) C3-7単環シクロアルキル、(5)ビシクロ[3,2,1]オクト-2-イル、(6)ビシクロ[3,3,1]ノナン-2-イル、(7)アダマンタン-1-イル、(8)フェニル及び(9)ナフチルから選ばれる炭化水素残基、または
(B)1)ハロゲン原子、2)ニトロ、3)シアノ、4)ヒドロキシ、5)C1-4アルコキシ、6)C1-4アルキルチオ、7)アミノ、8)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、9)C1-4アルコキシカルボニル、10)ヒドロキシカルボニル、11)C1-6アルキルカルボニル、12)カルバモイル、13)モノまたはジC1-4アルキル置換カルバモイル、14)(i)C1-4アルキル基、(ii)C1-4アルキル、ハロゲン、水酸基、ベンジルオキシ、アミノ、モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、ニトロ及びC1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個を有していてもよいフェニル基、(iii)ハロゲン、(iv)水酸基、(v)ベンジルオキシ、(vi)アミノ、(vii)モノまたはジC1-4アルキル置換アミノ、(viii)ニトロ及び(ix)C1-4アルコキシカルボニルから選ばれる置換基1〜4個をフェニルまたはナフチル基部分に有していてもよいフェニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニル-C1-4アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル及び15)アダマンタン-1-イルから選ばれる置換基1〜3個を有していてもよい(1)C1-6アルキルカルボニル、(2)C3-8シクロアルキルカルボニル、(3)C3-8シクロアルキル-C1-6アルキルカルボニル、(4)C2-6アルケニルまたはアルキニルカルボニル、(5)ベンゾイル、(6)ナフトイル、(7)カルバモイル、(8)モノまたはジC1-4アルキルカルバモイル、(9)モノまたはジC3-6アルケニルまたはアルキニルカルバモイル、(10)フェニルカルバモイル、(11)ナフチルカルバモイル、(12)ジフェニルカルバモイル、(13)ナトリウムスルホニル、(14)C1-6アルキルスルホニル、(15)C2-6アルケニルまたはアルキルスルホニル、(16)フェニルスルホニル、(17)ナフタレンスルホニル、(18)C1-6アルキルオキシカルボニル、(19)C3-8シクロアルキルオキシカルボニル、(20)シクロペンチル-メチルオキシカルボニル、(21)C2-7アルケニルまたはアルキニルオキシカルボニル、(22)フェニルオキシカルボニル及び(23)ベンジルオキシカルボニルから選ばれるアシル基を示し、他の各記号は前記と同意義である。〕で表わされる不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩を製造するか、
(C)式【化7】

〔式中、R2は請求項1記載と同意義を示し、他の各記号は前記と同意義である。〕で表わされる化合物またはその塩を還元し、式【化8】

〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表わされる不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩を製造するか、
(D)式【化9】

〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表わされる化合物またはその塩をアシル化し、
【化10】

〔式中、X′はアシルアミノ基を示し、他の各記号は前記と同意義である。〕で表わされる不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩を製造することを特徴とする請求項1記載の不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩の製造法。
【請求項14】請求項1記載の不飽和カルボン酸アミド誘導体またはその塩を含有することを特徴とするコリンエステラ-ゼ阻害剤。
【請求項15】脳機能改善剤である請求項14記載の阻害剤。

(2)異議申立の理由の概要
これに対し、特許異議申立人は、
ア)甲第1号証の1(特願昭62-155058号の願書に最初に添付した明細書、以下先願明細書という。)、及び甲第1号証の2(特開平1-79151号公報)を提出し、請求項1〜3、5〜7、9〜11、15〜16に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであること、
イ)甲第2号証(欧州特許出願公開第296560号明細書)を提出し、請求項1〜3、6、7、9〜11、15〜17に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、あるいは特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであること、
ウ)請求項1〜10、15〜17に係る発明の特許は、特許法第36条第3項、第4項(昭和62年改正法)に規定する要件を満たさない出願に対してなされたものであること。
から、特許法第113条第2項及び第4項の規定に該当し、これらの請求項に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨主張している。

(3)判断
ア)先願明細書には記載された発明は、
次の一般式

[式中、R1は置換もしくは無置換の次に示す基;(1)フェニル基、(2)ピリジル基、(3)ピラジル基、(4)キノリル基、(5)インダニル基、(6)シクロヘキシル基、(7)キノキサリル基、又は(8)フリル基;....で示される基を意味する。
Xは式-(CH2)n-で示される基、.....式

で示される基、....を意味する。
R2は置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアリールアルキル基、.....を意味する。
式中

は単結合若しくは二重結合を意味する。]で表されるピペリジン誘導体及びその薬理学的に許容できる塩。(請求項1)に係るものであり、
その実施例18には、式

の化合物が、
実施例130には、式

の化合物が、
実施例153には、式

の化合物がそれぞれ記載されている。
しかし、これらの化合物は、上記訂正により、本件請求項1の範囲から除外されることになったものであるから、本件請求項1の発明が、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。
また、本件請求項2、4〜6、8〜10の発明は請求項1について限定を加えた化合物の発明であり、請求項13は請求項1の化合物の製法の発明であり、請求項14、15の発明は請求項1の化合物を含有するコリンエステラーゼ阻害剤の発明であるから、これらの請求項に係る発明も先願明細書に記載された発明と同一であるとすることもできない。
したがって、上記各請求項記載の発明が特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものとすることはできない。

イ)異議申立人は、本件発明の実施例4(8)〜4(12)の化合物及び実験例4(8)〜4(12)の薬理データは、本件出願時に追加されたものであり、優先権主張の基礎となる特願昭63-114169号(昭和63年5月11日出願)の願書に添付した明細書において記載されていないので、上記化合物及び薬理データに基づく発明については優先権主張は認められず、これらを包含する発明である本件請求項1〜3、6〜7、9〜11、15〜17に係る発明は、発明は本件優先日と本件出願日の間に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された記載の発明と同一であるか、該刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
しかし、上記各請求項の発明は訂正後の請求項1、2、5、6、8〜10、13〜15として、本件出願時の追加事項については除く訂正がなされているから、訂正後の各請求項に係る発明についての優先権主張は認められる。
したがって、甲第2号証は本件優先権主張の日の後に頒布された刊行物であるから、証拠として採用できない。
よって、本件上記請求項に係る発明の特許が、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、また特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとすることもできない。

ウ)異議申立人は、本件発明の請求項における「置換基を有していてもよい芳香環」「置換基を有していてもよい炭化水素」等の記載はその範囲が不明確であり、また実施例等による裏付けがないから、特許法第36条第3項、第4項(昭和62年改正法)の規定を満たしていない旨主張している。
しかし、上記訂正によりかかる記載事項は特定の置換基に限定されており、実施例が記載されていない化合物が製造できないことを証明するものでもないから、単に実施例の記載が少ないことをもって直ちに当業者が容易に実施しうる程度に発明の詳細が記載されていないとすることはできない。
よって、本件特許は特許法第36条第3項、第4項(昭和62年改正法)の規定を満たさない出願に対してなされたものとすることはできない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜10、13〜15に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に本件各請求項に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-12-07 
出願番号 特願平1-26260
審決分類 P 1 652・ 161- YA (C07D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 塚中 直子  
特許庁審判長 宮本 和子
特許庁審判官 横尾 俊一
大久保 元浩
登録日 1998-10-02 
登録番号 特許第2832979号(P2832979)
権利者 武田薬品工業株式会社
発明の名称 不飽和カルボン酸アミド誘導体  
代理人 高橋 秀一  
代理人 内山 務  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ