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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1052425 |
審判番号 | 不服2000-1189 |
総通号数 | 27 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1990-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-02-03 |
確定日 | 2002-01-11 |
事件の表示 | 平成 1年特許願第 60671号「情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年 9月25日出願公開、特開平 2-240748]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成元年3月15日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「パケットを受信し自己向けのパケットを取り込むパケット受信手段と、 複数のもののうち予め定めたものが編集を行うことのできる共用ファイルと、 前記パケット受信手段によって受信したパケットが前記共用ファイルの編集データであり、その送信者が編集権限を有するものであるかどうかを判別する判別手段と、 この判別手段が前記共用ファイルの編集データであり、その送信者が編集権限を有するものであると判別したときのみ、受信されたパケットに収容されたデータを基にしてこの共用ファイルの編集を行う編集手段と、 この編集手段により共用ファイルの編集が行われたとき、この共用ファイルに関するデータを予め登録されたものに送信する送信手段 とを具備することを特徴とする情報処理装置。」 2.引用例 これに対して、当審において合議の結果平成13年7月18日付けで通知した拒絶理由に引用した、本願出願前である昭和62年8月24日に頒布された「特開昭62-192850号公報」(以下、「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「このような処理を可能にするための制御手順の例を、第2図および第3図に示す。この例は、ユーザが各計算機を使ってインタラクティブにデータ更新をするためのもので、第2図は管理プロセッサの制御手順を、第3図は各プロセッサの制御手順を示している。」(第4頁左上欄第15行目乃至第20行目) 「なお、前記パケットのフォーマットの例を示す第4図において、13は送り主プロセッサのID、14はコマンドタイプ、15はページ番号、16はオフセット、17はデータサイズ、18はデータを表している。 データ長は、データ18が可変長、コマンドタイプが1バイト、その他は総て2バイトである。また、コマンドタイプには、一般の更新コマンド、大域的な更新コマンド、ロード要求、キャンセル通知、ページデータ、ロック、およびロック解除等がある。 第5図は本発明の第2の実施例のデータセットとページングの例を示す図であって、1〜12は第1図の場合と同様であり、19はページテーブルを表している。 第6図はページテーブル19の内容の例を示す図であって、20がページ番号を、また21がプロセッサの番号(第5図におけるプロセッサ4〜6の別)を示している。 第5図においてはデータセット7が図に示すように、ページ単位に分割(P1〜P5)されていて、プロセッサ4〜6がそれぞれ図に示すようなページの複写を保有している場合を示している。そして、管理プロセッサ1はページテーブル19を用いて、常にどのプロセッサが、どのページの複写を保有しているかを管理している。すなわち、各プロセッサがそれぞれ第5図に示すようなページの複写を持っているときは、ページテーブルの内容は第6図に示すようになっている。 各プロセッサ4〜6が、それぞれ処理に必要なページを自己の主記憶にロードするとき、管理プロセッサ1はページテーブルの各ページ対応に該当するページを保有するプロセッサを登録する。 プロセッサ4〜6は、それぞれ自己の主記憶にロードしてあるページ内のデータの参照は自由にできるが、該ページ内のデータを更新する場合は、該当するデータをいきなり更新せず、管理プロセッサ1を経由する。 例えば、プロセッサ4がP3の中のデータを更新する場合を例に採って説明すると、以下のような処理になる。 (1)更新のために必要な情報(ページ番号、オフセット、更新内容など)を第4図に示すようなパケットにして管理プロセッサ1に送る。 (2)管理プロセッサはコマンドの正当性をチェックする。コマンドの内容(アクセス権など)が正しくなければ、送り主(この場合、プロセッサ4)にキャンセル通知を行なう。 (3)管理プロセッサ1はコマンドに基づいて、ファイルサーバー2内のデータセット7を更新する。 (4)管理プロセッサ1は更新の及ぶページを調べ、該当するページを保有するプロセッサをページテーブルを参照して選び出す。 (5)管理プロセッサはコマンドを該当するプロセッサに送信する。 (6)コマンドを受信したプロセッサは、これに基づいて保有しているページの複写の内容を更新する。 このような処理を可能にするための制御手順の例を、第7図および第8図に示す。この例は、ユーザーが各計算機を使ってインタラクティブにデータ更新をするもので第7図は管理プロセッサの制御手順を、第8図は各プロセッサの制御手順を示している。 第7図に示す流れ図において、大域的な更新コマンドの実行に際するロックについては、通常総てのプロセッサに対して行なうが、本実施例の場合においては、管理プロセッサがデータの更新により影響を受けるページを保有しているプロセッサを識別することができるので、該当するプロセッサのみをロックする(ロックコマンドを送る)ことにより系の効率を高めることができる。」(第4頁右上欄第11行目乃至第5頁右上欄第5行目) (2)第7図から、管理プロセッサについて、以下の事項が読み取れる。 パケット受信手段を備えていること。 受信したパケットのコマンドタイプが更新コマンドであることを判別する判別手段を備えていること。 更新コマンドの正当性チェックでOKとなると、ファイルサーバ内のデータを更新すること。 上記事項によると、引用刊行物には、 パケットを受信するパケット受信手段と、 複数のプロセッサ4〜6のうちプロセッサ4、6が更新を行うことのできるページP3と、 前記パケット受信手段によって受信したパケットのコマンドタイプが更新コマンドであり、その更新コマンドが正当であることを判別する判別手段と、 この判別手段が、受信したパケットのコマンドタイプが更新コマンドであり、その更新コマンドが正当であると判別したときのみ、パケットに収容されたデータを基にしてページP3の更新を行う更新手段と、 この更新手段によりページP3の更新が行われたとき、コマンドパケットをページテーブル19に登録されたプロセッサに送信する送信手段 とを具備するデータ管理方式の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「複数のプロセッサ4〜6」「更新を行うことのできる」「ページP3」「更新手段」「ページテーブルに登録されたプロセッサ」は、それぞれ、本願発明の「複数のもの」「編集を行うことのできる」「共用ファイル」「編集手段」「予め登録されたもの」に相当し、 引用発明の「受信したパケットのコマンドタイプが更新コマンドであり」は、パケットに収容されたデータを基にしてページP3の更新を行うことを意味するので、本願発明の「受信したパケットが前記共用ファイルの編集データであり」に相当し、 引用発明の「その更新コマンドが正当である」は、パケットの送り主プロセッサがファイルサーバ内のデータを更新するアクセス権を有することを意味するので、本願発明の「その送信者が編集権限を有するものである」に相当し、 引用刊行物の「コマンドを受信したプロセッサは、これに基づいて保有しているページの複写の内容を更新する。」という記載から、引用発明の「コマンドパケット」に、ページP3に関するデータが含まれているのは自明であるから、 本願発明と引用発明とは、どちらも、 パケットを受信するパケット受信手段と、 複数のものが編集を行うことのできる共用ファイルと、 前記パケット受信手段によって受信したパケットが前記共用ファイルの編集データであり、その送信者が編集権限を有するものであるかどうかを判別する判別手段と、 この判別手段が前記共用ファイルの編集データであり、その送信者が編集権限を有するものであると判別したときのみ、受信されたパケットに収容されたデータを基にしてこの共用ファイルの編集を行う編集手段と、 この編集手段により共用ファイルの編集が行われたとき、この共用ファイルに関するデータを予め登録されたものに送信する送信手段 とを具備する情報処理装置である点で一致し、次の点(A)、(B)で相違する。 相違点: (A)パケット受信手段が、本願発明は、自己向けのパケットを取り込むのに対して、引用発明は、どのようなパケットを取り込むのかについて記載がない点。 (B)共用ファイルの編集を行うことのできるのが、本願発明は、複数のもののうち予め定めたものであるのに対して、引用発明は、複数のプロセッサ4〜6のうちのプロセッサ4、6である点。 4.当審の判断 相違点(A)について: ネットワークに複数のプロセッサを接続した情報処理装置において、パケットで行き先プロセッサを指定し、行き先プロセッサで自己向けのパケットを取り込むようにするのは周知技術(必要ならば、特開昭60-191357号公報参照)であるから、該周知技術を引用発明に適用して、引用発明のパケット受信手段で自己向けのパケットを取り込むようにする点に格別の困難はない。 相違点(B)について: 引用刊行物には、「各プロセッサ4〜6は、それぞれ処理に必要なページを自己の主記憶にロードするとき、管理プロセッサ1はページテーブルの各ページ対応に該当するページを保有するプロセッサを登録する。プロセッサ4〜6は、それぞれ自己の主記憶にロードしてあるページ内のデータの参照は自由にできるが、該ページ内のデータを更新する場合は、該当するデータをいきなり更新せず、管理プロセッサ1を経由する。」と記載されている。 該記載から、ページの更新を行えるのは、複数のプロセッサ4〜6のうち、そのページを自己の主記憶にロードしたプロセッサのみで、各プロセッサ4〜6が、どのページを更新できるかは、それぞれ処理に必要なページを自己の主記憶にロードした時点で予め決定していると解されるから、引用発明の「プロセッサ4、6」も、「複数のもののうち予め定めたもの」と言うことができ、上記相違点(B)は実質的な差異ではない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用発明に基づいて本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-10-26 |
結審通知日 | 2001-11-06 |
審決日 | 2001-11-20 |
出願番号 | 特願平1-60671 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 本郷 彰、前田 仁、小田 浩 |
特許庁審判長 |
西川 正俊 |
特許庁審判官 |
堀田 和義 大橋 隆夫 |
発明の名称 | 情報処理装置 |
代理人 | 山内 梅雄 |