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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1052628 |
審判番号 | 不服2000-10623 |
総通号数 | 27 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-08-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-07-13 |
確定日 | 2002-01-18 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第311173号「防湿構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 8月24日出願公開、特開平 5-214774]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成4年10月27日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成12年8月11日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】 複数のパネルを箱状に組立てて形成する建物の内壁面に防湿材を張り付けて、室内の湿気の建材への侵入を防止する防湿構造において、矩形状の面材と、この面材の一の面の全体に一致するように接着された防湿材とからなる複数の防湿建材を備え、前記複数の防湿建材は、前記防湿材を前記壁パネルの内壁面及び床パネルの上面に対面させ、かつ隣接する他の防湿建材との間に隙間が生じないように張り付けられていることを特徴とする防湿構造。」 2.引用例の記載事項 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、実願昭54-43886号(実開昭55-143311号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、 「従来の天井・壁接合部構造は、第1図に示すように野縁1の下面に複数枚の天井捨張板2を並設固着し、さらにその下面に複数枚の天井仕上材3を並設固着するとともに、外壁4と天井仕上材3の接合部入隅には回り縁5を固着するものである。この場合、天井捨張板2の上面には、第2図および第3図に示すように気密性シート6が貼着されている。また、室内に発生した水蒸気が、回り縁5と外壁4あるいは回り縁5と天井仕上材3間の隙間、および並設する天井仕上材3相互間と天井捨張板2相互間の隙間を通って小屋裏へ抜けて小屋裏に結露を生ずるのを防止するため、回り縁5の裏面側および天井捨張板2の接合部下面側にそれぞれビニルテープ7,8を配設している。……ビニルテープ8の配設は、天井捨張板2の接合目地部を隠蔽するように貼着しなければならない」(明細書2頁3行〜3頁6行) の記載がある。 以上の記載及び第1図〜第3図によれば、引用例1には、 「建物の野縁の内面に気密性シートを張り付けて、室内の湿気の小屋裏への侵入を防止する防湿構造において、矩形状の天井捨張板と、この天井捨張板の一の面の全体に一致するように貼着された気密性シートとからなる複数の板材を備え、前記複数の板材は、前記気密性シートを前記野縁の内面に対面させて張り付けられ、隣接する他の板材との間の隙間をビニルテープで隠蔽した防湿構造」 が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「気密性シート」、「天井捨張板」、「貼着」及び「板材」は、それぞれその機能に照らし本願発明1の「防湿材」、「面材」、「接着」及び「防湿建材」に相当し、引用例1記載の発明の「室内の湿気の小屋裏への侵入を防止する」は、室内の湿気の小屋裏の建材への侵入を防止することに外ならない。また、引用例1記載の発明の「隣接する他の板材との間の隙間をビニルテープで隠蔽した」は、本願発明1の「隣接する他の防湿建材との間に隙間が生じないように張り付けられている」に相当するから、両者は、 「建物の構成材の内面に防湿材を張り付けて、室内の湿気の建材への侵入を防止する防湿構造において、矩形状の面材と、この面材の一の面の全体に一致するように接着された防湿材とからなる複数の防湿建材を備え、前記複数の防湿建材は、防湿材を構成材の内面に対面させ、かつ隣接する他の防湿建材との間に隙間が生じないように張り付けられている防湿構造」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 本願発明1では、建物が、複数のパネルを箱状に組立てて形成する建物であり、防湿建材が、構成材である壁パネル及び床パネルに張り付けられているのに対し、引用例1記載の発明では、建物が、複数のパネルを箱状に組立てて形成する建物であるのか不明であり、防湿建材は、構成材である野縁に張り付けられている。 そこで上記相違点について検討する。 本願発明は、「寒冷地仕様住宅においても壁部から床部にかけての部分での完全な防湿を図る」(段落【0012】)ために、上記相違点における構成を採用したものであるところ、複数のパネルを箱状に組立てて建物を形成することは、例示するまでもなく本願の出願前に周知の技術事項であり、また、室内において壁部及び床部に防湿フィルムなどの防湿材を用いて防湿を図ることも、本願の出願前に周知の技術事項(例えば、「図解 ツーバイフォーの詳細」、株式会社彰国社、昭和55年5月10日第2版第2刷発行、53〜55頁参照。)であることを考慮すると、引用例1記載の発明において、建物を、複数のパネルを箱状に組立てて形成する建物とし、防湿建材を張り付けて防湿を図る対象部位を、天井部に代えて壁部及び床部とし、本願発明1の上記相違点における構成とすることは、上記周知の技術事項に基いて、当業者が容易になし得たことといえる。 そして、本願発明1が奏する効果も、引用例1記載の発明及び周知の技術事項から当業者が予測し得たものであって、格別のものとは認められない。 したがって、本願発明1は、引用例1及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用例1及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-10-11 |
結審通知日 | 2001-10-30 |
審決日 | 2001-11-12 |
出願番号 | 特願平4-311173 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 南澤 弘明 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
青山 敏 鈴木 公子 |
発明の名称 | 防湿構造 |