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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G10L
管理番号 1052886
審判番号 審判1999-16831  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-10-14 
確定日 2002-02-18 
事件の表示 平成10年特許願第 43444号「録音音声データベース検証方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年 9月 7日出願公開、特開平11-242492、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明

本願は、平成10年2月25日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成11年11月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下「本願発明」という。)
「大規模な自然音声データと、その音声データの発話内容を意味するデータ(以下ラベルと記す)とからなるファイルで構成される録音音声データベースの検証方法において、
前記音声データと前記ラベルとの一致/不一致の検証を音声認識手段を用いて行い、
前記検証処理の結果、不一致となった前記ファイル名を出力し、
前記不一致ファイル名についてのみ、音声データを音声再生して、検聴することを特徴とする録音音声データベース検証方法。」

第2 刊行物に記載された発明

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前に頒布された特開昭63-54856号公報、特開昭59-128598号公報(それぞれ、以下「刊行物1」、「刊行物2」という。)には、それぞれ、次の事項が記載されている。

1.刊行物1

刊行物1には、「単語番号に対応する音声パラメータをもとに音声を合成する音声応答装置、および該音声応答装置からの音声と記憶している標準パタンとを比較する音声認識装置を備えた音声応答装置試験方式において、上位装置から音声応答装置に単語番号を送出することにより、音声応答装置が該単語番号に相当する音声を合成・出力すると、音声認識装置が該音声とあらかじめ蓄えられている標準パタンとの類似度を計算し、もっとも類似した標準パタンに対応する単語番号と認識拒理を該上位装置に送出して、該上位装置で受信した単語番号と最初に指示した単語番号とを比較するとともに、受信した認識拒理と上記音声応答装置の正常時の認識拒理とを比較し、両方の単語番号が一致し、かつ両方の認識拒理の差が所定値以内であるときのみ正常と判定することを特徴とする音声応答装置試験方式。」(第1頁左下欄第4行目ないし右下欄第1行目)が記載されている。

2.刊行物2

刊行物2には、「入力音声に対して、あらかじめ登録されている標準パターンの中から最も確からしいパターンを認識結果として出力する音声認識装置と、制御装置から指示された内容を音声として出力する音声応答装置と、制御装置からの指示により上記音声応答装置の出力を音声認識装置の入力に接続するスイッチと、これら各装置を制御する制御装置より構成し、上記音声認識装置の標準パターンとして音声応答装置から出力される音声を認識できるパターンを登録するか、又は、音声認識装置の標準パターンで認識できる音声を音声応答装置内に登録しておき、音声応答装置からの音声を音声認識装置で認識させ、制御装置に期待される認識結果得られるか否かで各装置が正常に動作しているか否かをチェックする機能を有することを特徴とする音声応答・認識システムの障害検出方式。」(第1頁左下欄第5行目ないし第20行目)、「もし”A”以外の結果が得られたならば異常有りとし、コンソール7上にエラーメッセージを出力する。」(第3頁右上欄第7ないし9行目)、「即ち、このような障害を発見するためには従来ではある程度まではハードウエアの自己診断機能によりチェックを行っていたが、マンマシンインターフェイス2の角から角まで自己診断することは困難であり、その認識チェックや音質チェックなどは困難であった。そのため従来の音声応答・認識システムなハードウエアチェックは、たとえばデジタル信号系の部分はテストプログラムなどで行われたが、アナログ系を含めた最終的なチェックの場合には各々モニタで出力音声を実際に聞いたり、・・・」(第2頁左上欄第2行目ないし第12行行目)、「上記、”A”以外の認識結果が誤認識又はリジェクトであれば、音声応答部4からの音声の音質が劣化したか、又は音声認識部5に障害が有ると制御部3は判断することができる。」(第3頁右上欄第10行目ないし第14行目)が記載されている。

第3 対比・判断

1.本願発明は、刊行物1に記載された発明と対比すると、下記(1)ないし(4)の点で相違し、「検証方法において、音声認識手段を用いて行う」点で一致している。

相違点(1)
検証方法が、本願発明は、大規模な自然音声データと、その音声データの発話内容を意味するデータ(以下ラベルと記す)とからなるファイルで構成される録音音声データベースについて検証するのに対し、刊行物1に記載された発明は、音声応答装置について検証する点
相違点(2)
音声認識手段を用いて行う検証が、本願発明では、前記音声データと前記ラベルとの一致/不一致について行うに対し、刊行物1に記載された発明では、音声応答装置からの音声と記憶している標準パタンについて行う点
相違点(3)
検証処理の結果の不一致の場合の出力が、本願発明では、不一致となった前記ファイル名であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、もっとも類似した標準パタンに対応する単語番号が不一致であるか、認識拒理が一定値以上の場合に異状と判定して、これらの判定の結果を出力する点
相違点(4)
検聴が、本願発明では、前記不一致ファイル名についてのみ、音声データを音声再生して行うのに対し、刊行物1に記載された発明では、その様なことを行うとは記載されていない点

2.そこで、上記相違点(1)ないし(4)について検討する。
相違点(1)を検討すると、本願発明の録音音声データベースが、仮にその用途として音声応答装置のデータベースがあるとして、刊行物1記載の発明と同様に、音声応答装置の検証が結果としてそのデータベースを含めた異常を判定できるとしても、刊行物1に記載されたものは、本願発明の音声録音データベースの個々の大規模な自然音声のデータを検証する方法を示唆するもので無いことは明らかである。また、刊行物2に記載されている音声応答・認識システムの障害検知方式はテスト用に登録されている音声分をくり返して行う構成であり、これと前置報告書で挙げた録音音声データベース自体が周知であることを示す文献例(日本音響学会誌 Vol.48, No.12,「ATR音声・言語データベース」 p.878-882 (平成4年12月1日発行)、日本音響学会誌 Vol.48, No.12,「電総研の研究用音声データベース」 p.883-887(平成4年12月1日発行)、日本音響学会誌 Vol.48, No.12,「日本音響学会研究用連続音声データベース」 p.888-893(平成4年12月1日発行))を、刊行物1に記載された発明と組み合わせてたとしても、当業者が容易に本相違点(1)の検証方法をなし得るとすることはできない。
相違点(2)を検討すると、刊行物2に記載されているものは、音声”A”とその認識結果とまでは、記載されているが、音声認識手段を用いて行う検証が、音声データとラベルとの一致/不一致について行うとまで、記載も示唆もされていない。
相違点(3)を検討すると、刊行物2には、「もし”A”以外の結果が得られたならば異常有りとし、コンソール7上にエラーメッセージを出力する。」と記載されていて、テスト用音声のファイル名”A”がエラーメッセージに出力されることが示唆されているとも考えられるが、そのエラーメッセイジの目的は、音声応答部4からの音声の音質の劣化又は、音声認識部5の障害の判断のためであるから、テスト用のファイルのファイル名データベースの全てのファイルの内検証の結果不一致となったファイル名のリストまでを出力することまでもを示唆するものとすることはできない。
相違点(4)を検討すると、刊行物2の従来の技術として、「即ち、このような障害を発見するためには従来ではある程度まではハードウエアの自己診断機能によりチェックを行っていたが、マンマシンインターフェイス2の角から角まで自己診断することは困難であり、その認識チェックや音質チェックなどは困難であった。そのため従来の音声応答・認識システムなハードウエアチェックは、たとえばデジタル信号系の部分はテストプログラムなどで行われたが、アナログ系を含めた最終的なチェックの場合には各々モニタで出力音声を実際に聞いたり、・・・」とあるが、これは、本願発明の録音音声データベースの検証方法での不一致ファイル名についてのみ音声データを音声再生することを示唆するものでないし、また、一般に、不一致ファイルのみ検聴することは、熟練した検査者は最終的には当然行う程度のことに過ぎないということはできない。
そして、本願発明は、相違点(1)ないし(4)の構成により、明細書記載の「従来においては総てのファイルを検聴する必要があったが、この発明によれば、音声認識による認識結果とラベルとが不一致のファイルについてのみ検聴を行えばよく、検聴ファイル数を著しく削減でき、人間の負荷を大きく軽くすることができる。」という効果を奏するものである。

第4 むすび

したがって、本願発明は、刊行物1ないし2に記載された発明の基いて、当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。
また、他に、本願発明を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-01-28 
出願番号 特願平10-43444
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G10L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松尾 淳一樫本 剛  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 山本 章裕
石川 伸一
発明の名称 録音音声データベース検証方法  
代理人 澤井 敬史  
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