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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1052971
審判番号 不服2001-9602  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-02-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-07 
確定日 2002-02-07 
事件の表示 平成 3年特許願第138184号「情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 2月18日出願公開、特開平 6- 44319]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年5月14日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成13年7月9日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める

「複数の画像情報を検索又は閲覧若しくは印刷するために操作シートに可視的に示される操作手順の一覧に付随して付加された各操作手順の各操作単位に対応した説明文と、上記説明文に対応し可視的に示された図表と、当該装置による読み取りが可能で上記説明文に対応して当該装置に検索又は閲覧若しくは印刷の処理を実行させるための識別コードとが上記各操作手順の各操作単位毎に記載されている操作シートの内容を作成して印刷用バッファに書き込む機能を有する情報処理装置。」

2.引用例記載の発明

(引用例1の記載事項)
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-141440号公報(以下、引用例1という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

「発明が解決しようとする問題点 (略)送信元の名称等の文字情報を数字コードの形式で入力するのは、非常に面倒で時間がかかるだけでなく、入力のミスも生じやすい。」(公報第2頁左上欄第4〜7行)
「この発明は上述した従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、送信元の名称等の登録に際して、文字情報の入力を簡単で誤りなく短時間で行うことができ、また小型化も容易なファクシミリ装置を提供することにある。」(同第2頁左上欄第17行〜右上欄第1行)
「このファクシミリ装置は、(略)原稿の画情報を読み取る読取部4と画情報を用紙に記録する記録部5と、送信時に読取部4からの画情報に対して圧縮等の処理を施してモデム3に供給するとともに、受信時にモデム3からの画情報に伸長等の処理を施して記録部5に供給する画情報処理部6とを備える。送信原稿の画情報に後述のように登録された送信元名称や送信時刻等の文字情報を付加合成する処理は、画情報処理部6で行われる。
また、装置全体のシーケンス制御やマン・マシン・インターフェイスの制御等を行う制御系として、CPU7、メモリ8、キャラクタジェネレータ9、操作パネル10、バーコードリーダ11、バーコードデコーダ12、それにバーコード表13を備えている。」(同第2頁左下欄第2〜19行)
「バーコードリーダ11は、第3図に示すようなバーコード表13のバーコードを読み取るためのもので、これの出力はデコーダ12でデコードされてCPU7に入力される。バーコード表13にはワンリードダイヤル欄13aと設定モード欄13bとキャラクタコード欄13cとがある。
設定モード欄13bにはCPU7に対して各種の指令信号(発信元名称の設定指令、相手先名称の設定指令、ワンリードダイヤルの設定指令、順次ボーリングの設定指令、時計・タイマーの設定指令、設定終了指令など)を与えるためのバーコードとその内容が印刷してある。これらの指令信号は操作パネル10のキーボードによってももちろん入力できるが、キー操作の代わりにバーコードリーダ11で本欄13bの該当バーコードをなぞることでも同じ入力を発生することができる。(略)
例えば、発信元名称として「××××デンソウ」を登録する場合、まず設定モード欄13bの発信名称の設定指令バーコードをリーダー11でなぞり、次にキャラクタコード欄13cにおける「マ」「ツ」「シ」……の各バーコードを順番にリーダ11でなぞり、最後に欄13bの設定終了指令バーコードをなぞる。これらの入力がCPU7で処理され、メモリ8の所定エリアに「××××デンソウ」の文字コードが格納される。その後の送信時には送信元名称「××××デンソウ」の文字情報が画情報処理部6に供給され、送信原稿の画情報にこの文字情報が付加されて送信される。」(同第2頁右下欄第10行〜第3頁右上欄第2行)

上記の記載からみて、バーコードリーダ11でバーコード表13のバーコードを読み取り、デコードされた各種の指令信号がCPU7に入力され、CPU7は指令信号で与えられた設定指令に従ってメモリ8の所定エリアへの文字コード格納処理を行っていることは明らかであるから、引用例1には、
「設定モード欄にCPUに対して各種の設定指令を与えるためのバーコードとその内容とが各設定指令単位毎に記載されているバーコード表と、バーコード表のバーコードを読み取るためのバーコードリーダと、入力されたバーコードの設定指令に従って文字情報の設定処理を行うCPUと、送信画像の画情報に設定された文字情報を付加合成する画情報処理部と、画情報を用紙に記録する記録部とを有するファクシミリ装置。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用例2の記載事項)
また、同じく引用された特開昭58-157226号公報(以下、引用例2という。)には、各項目と該項目に対応するバーコード及び各項目間の入力順序を示す矢印が記載されたバーコードシートに基いて、受信機の動作を予約することが記載されており、各項目と該項目に対応したバーコードは入力手順の一覧に付随したものとして記載されていると見ることができるから、
引用例2には、「バーコードリーダで入力手順に従ってバーコード入力して受信機内のメモリに予約データを記憶するという処理を行わせるためバーコードシートであって、入力手順の一覧に付随した各項目と該項目に対応したバーコードが記載されているバーコードシート」が記載されていると認められる。

(引用例3の記載事項)
また、同じく引用された特開昭63-108125号公報(以下、引用例3という。)には、特に公報第6頁左下欄第11行〜第7頁左上欄11行及び第11図の記載からみて、クックブックには調理メニュー毎の調理情報を入力するためのバーコードシンボルとクッキングモードシンボルが記載されており、クッキングモードシンボルは調理情報中の加熱方法を示す記号であるので、バーコードシンボルを視覚的に示す記号と見ることができるから、
引用例3には、「バーコードリーダでバーコード入力して電子レンジ内のRAMに調理メニューの調理情報を記憶するという処理を行わせるためのクックブックであって、調理メニュー毎に調理法の説明と該説明に対応したバーコードシンボルと、バーコードシンボルに対応し可視的に示すクッキングモードシンボルとを記載したクックブック」が記載されていると認められる。

3.本願発明と引用例1に記載された発明との対比

本願発明と引用例1に記載された発明を対比する。
引用例1に記載された発明の「バーコード表」、「バーコード」、「内容」はファクシミリ装置に設定処理を実行させる設定指令を与えるためのものであるから、引用例1に記載された発明の「バーコード表」、「設定指令」、「内容」、「バーコード」はそれぞれ本願発明の「操作シート」、「操作」、「説明文」、「識別コード」に相当する。
そして、本願発明の情報処理装置においても、操作シートに記載された識別コードを入力することにより、検索又は閲覧若しくは印刷の処理を実行する機能を有することは明らかであり、また、本願発明の「情報処理装置」及び引用例1に記載された発明の「ファクシミリ装置」は共に装置という上位の概念で表現することができるものであるから、
両者は「操作シートに可視的に示される各操作単位に対応した説明文と、当該装置による読み取りが可能で説明文に対応して当該装置に処理を実行させるための識別コードとが各操作単位毎に記載されている操作シートに記載された識別コードを入力することにより処理を実行する機能を有する装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
(1)本願発明の操作シートには、各操作単位に対応した説明文と識別コードが操作手順の一覧に付随して付加されているのに対して、引用例1に記載された発明の操作シートはそのような構成を備えていない点。
(2)本願発明の操作シートには、説明文と該説明文に対応して可視的に示された図表が記載されているのに対して、引用例1に記載された発明の操作シートはそのような構成を備えていない点。
(3)本願発明は、複数の画像情報を検索又は閲覧若しくは印刷の処理を実行する情報処理装置であると共に、検索又は閲覧若しくは印刷の処理を実行するための操作シートの内容を作成して印刷用バッファに書き込む機能を有しているのに対して、引用例1に記載された発明の装置はそのような構成を備えていない点。

4.当審の判断

上記相違点について検討する。

(1)引用例2には、装置に処理を行わせるためのバーコードシート(本願発明の「操作シート」に相当する。)に、入力手順(同「操作手順」に相当する。)の一覧に付随して付加された各項目(同「説明文」に相当する。)と該項目に対応したバーコード(同「識別コード」に相当する。)を記載することが記載されており、これを引用例1に記載された発明の操作シートに適用して、本願発明の操作シートの構成とすることは当業者が容易に推考できたものであるから、上記相違点(1)を格別のものとは認めることはできない。

(2)引用例3には、装置に調理情報を記憶させるという処理を行わせるためのクックブック(本願発明の「操作シート」に相当する。)に、調理法の説明(同「説明文」に相当する。)と該説明に対応したバーコードシンボル(同「識別コード」に相当する。)と、バーコードシンボルに対応し可視的に示されたクッキングモードシンボル(同「図表」に相当する。)とを記載することが記載されており、これを引用例1に記載された発明の操作シートに適用して、本願発明の操作シートの構成とすることは当業者が容易に推考できたものであるから、上記相違点(2)を格別のものとは認めることはできない。

(3)複数の画像情報を記録する情報処理装置において、当該装置に検索又は閲覧若しくは印刷の処理を実行させるためのシートを作成して印刷する機能を有する情報処理装置は、例えば、特開平3-110680号公報(電子画像ファイリング装置は、複数の記憶画像と該画像の検索のためのバーコードとを1枚のハードコピーに印刷する機能を有する)、特開平2-44468号公報(印刷出力装置は、記憶媒体中の記憶情報の検索用キーワードを光学的識別マークと対照させた一覧表を印刷出力する機能を有する)にあるように、本願出願前に周知の技術手段であり、情報処理装置において印刷する内容を印刷用バッファに書き込む構成も当業者にはよく知られている構成であることから、上記相違点(3)を格別のものとは認めることはできない。

よって、本願発明と引用例1に記載された発明との上記相違点は、引用例2,3に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に推考できた程度のものと認められる。

5.むすび

したがって、本願発明は、引用例1-3に記載された発明及び周知の技術思想に基いて、当業者が容易に推考できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-11-28 
結審通知日 2001-12-11 
審決日 2001-12-25 
出願番号 特願平3-138184
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 誠  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 鳥居 稔
石川 正二
発明の名称 情報処理装置  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 田村 榮一  

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