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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C03B 審判 全部申し立て 2項進歩性 C03B |
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管理番号 | 1053150 |
異議申立番号 | 異議2000-74505 |
総通号数 | 27 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-03-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-12-19 |
確定日 | 2001-10-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3054412号「耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよびその製造方法、耐紫外線・耐放射線光学素子およびその製造方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3054412号の訂正後の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3054412号の請求項1〜4に係る発明についての出願は、平成11年4月28日(優先権主張 平成10年7月15日)に特許出願されたものであって、平成12年4月7日にその発明について特許の設定登録がなされたものである。 これに対して、信越石英株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成13年3月30日付けで訂正請求がなされ、その後再度取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成13年10月4日付けで上記平成13年3月30日付けの訂正請求が取り下げられ、同日付けで新たな訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否 2-1.訂正の内容 本件訂正の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。 (1)訂正事項a 請求項1中の「シリカガラスに紫外線」を、「シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線」と訂正する。 (2)訂正事項b 請求項1中の「含む」を、「施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする」と訂正する。 (3)訂正事項c 請求項3中「施された」を、「施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にある」と訂正する。 (4)訂正事項d 明細書段落【0008】中の「シリカガラスに紫外線」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第3行)を、「シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線」と訂正し、また同段落中の「含む」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第6行)を「施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする」と訂正する。 (5)訂正事項e 明細書段落【0009】中の「施された」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第14行)を、「施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にある」と訂正する。 (6)訂正事項f 明星書段落【0010】中の「紫外線照射により」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第19行)を、「少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけシリカガラスに紫外線を照射し、その紫外線照射により」と訂正する。 2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否 上記訂正事項aは、紫外線照射時間を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして、本件特許明細書中の「紫外線の照射時間は、紫外線透過率の減少が確認される時間だけ照射する必要があり」(本件特許掲載公報第3頁第6欄第9〜10行)という記載からみて、訂正事項aは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、上記訂正によって別個の新たな目的及び効果をもたらすものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、訂正事項b、cは赤外吸収ピーク位置を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして、本件特許明細書中の「つまり、シリカガラスの構造緩和が進むほど(すなわち、紫外線耐性および放射線耐性が向上するほど)赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置は、約2255cm-1〜2275cm-1の範囲で高波数側(低波長側)にシフトする」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第36〜40行)という記載からみて、訂正事項b、cは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、上記訂正によって別個の新たな目的及び効果をもたらすものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 そして、上記訂正事項d〜fは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項a〜cの訂正に伴うものであり、減縮された特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるために明りょうでない記載の釈明を行うことを目的とする訂正に該当するものであり、しかも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2-3.まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、本件訂正を認める。 3.特許異議申立てについて 3-1.特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立人は、証拠方法として甲第1〜4号証を提出し、請求項1〜4に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明であるか、甲第1〜4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜4に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号、第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである旨主張している。 3-2.本件訂正発明 特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、認容することができるから、訂正後の本件請求項1〜4に係る発明は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、それぞれ本件訂正発明1〜4という。)。 「【請求項1】シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させる工程と、該紫外線照射の後に又は紫外線照射と同時に熱処理を施して前記構造欠陥を取り除く工程とを施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にすることを特徴とする耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法。 【請求項2】請求項1に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法によって形成された耐紫外線・耐放射線シリカガラスを用いることを特徴とする耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法。 【請求項3】請求項1記載の紫外線照射工程と熱処理工程が施されて、赤外吸収測定による2260cm1-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にあることを特徴とする耐紫外線・耐放射線シリカガラス。 【請求項4】請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスによって形成されたことを特徴とする耐紫外線・耐放射線光学素子。」 3-3.甲号各証の記載内容 (1)甲第1号証:特開平6-199539号公報 (a)「合成シリカスート体を透明ガラス化して製造した、照射パルス当りのエネルギー密度が20mJ/cm2以上の高エネルギーエキシマレーザー用光学石英ガラス部材において、石英ガラスは、水酸基濃度が300ppm以下、塩素濃度50ppm以下及び水素濃度が5×1016分子/cm3以下であり、波長245nmの紫外線に対する透過率が99.5%以上であり、大気又は窒素ガス雰囲気中で、500℃の温度で10時間にわたって熱処理されたときの水酸基濃度の変動量が20ppm以下であり、かつ、20mJ/cm2以上の高エネルギーエキシマレーザーの照射によりもたらされるダメージが、500℃以上の温度による熱処理によって解消可能であることを特徴とする高エネルギーエキシマレーザー光学用石英ガラス部材。」(請求項1) (b)「通常、石英ガラスにエキシマレーザー光が照射された場合、E*センターと呼ばれる常磁性欠陥が生成される。この欠陥は・・・最終的には石英ガラスが破損してしまう。・・・このような屈折率の変化は、一般的にはコンパクションと呼ばれる石英ガラスの収縮によって生じると考えられているが、レンズ等の一部の光学系では、屈折率が変化してしまうと焦点距離が変わってしまうので、致命的な問題となる。・・・従って、エキシマレーザーの強い光エネルギーで直接物質を除去するようなアブレーション用の光学系においては、使用されるエキシマレーザーのエネルギー密度も例えば半導体の光リソグラフィーに比べて数10倍も強いため、一定時間使用後は、従来の石英ガラスでは、レーザーダメージが大きすぎて、使用不能の状態となるため、破棄されている。」(第2頁第2欄第11〜36行) (c)「本発明者らは、・・・石英ガラスの場合、含有されるOH濃度が300ppm以下、塩素濃度が50ppm以下であって、245nmの内部透過率が光路長さ1cm辺り99.5%以上、かつ水素濃度が5×1016分子/cm3以下の石英ガラスについては、・・・しかも、500℃における熱処理によってOH量の変化が20ppm以下であれば、500℃以上の温度における熱処理によって、透過率だけでなく屈折率の上昇、複屈折の増大、及び再使用した場合のレーザーに対する安定性もレーザー照射前と同等のレベルに回復することが判明した。」(第3頁第3欄第25〜43行) (d)「本発明において、石英ガラス中の水素濃度による水酸基濃度の変動は、水素濃度が5×1016分子/cm3以下であれば事実上問題とならない。本発明の石英ガラス光学部材ににおいては、500℃以上の単なる加熱処理によって、石英ガラスの光学特性の屈折率、蛍光及び光透過性のダメージについて回復することができる。これらの光学特性のダメージが回復できれば、エキシマレーザーによるアブレーション用光学部材として再度使用できる。」(第4頁第6欄第1〜9行) (e)「該石英ガラス成形体より20mm×30mm×50mmの試料を3片切り出し、・・・残る2片をKrFエキシマレーザーにてパルス辺りのエネルギー密度400mJ/cm2で5×106ショット照射し、光学特性を測定した。紫外線の透過率では、波長215nm及び260nmに吸収が観察され、照射された部分の屈折率が上昇しているために屈折率分布が8×10-6と非常に大きくなっており、光学部材として使用できる範囲の屈折率の均質性が失われていることが判った。・・・ここで、レーザー照射によりダメージが入った石英ガラスについて、その一試料片を、大気中、500℃×10時間の熱処理を行い、紫外線の透過率、屈折率分布及び蛍光を測定した。紫外線透過率の測定では215nm及び260nmの吸収が消え、屈折率分布も回復した。図4に、その熱処理後の紫外線透過率スペクトルチャートを示し、図5にその屈折率分布を示す。さらに、図6の蛍光スペクトルチャートに示すように熱処理によって蛍光が消失していることが判る。以上、図1から図6に示されるように、本実施例における石英ガラス試料については、熱処理により各石英ガラスの光学特性がレーザー照射前と同等に回復していることが判る。」(第5頁第8欄第4〜36行) (2)甲第2号証:「1990年(平成2年)春季第37回応用物理学関係連合講演会講演予稿集第2分冊」第686頁、28a-ZL-11(平成2年3月) (f)「a-SiO2のArFエキシマレーザ誘起欠陥の熱アニール特性」の題の予稿には、「ArFエキシマレーザ(6.4eV)を表1に示すサンプルに照射し(28mJ/cm2pulse、15Hz、1時間、室温)、生成した常磁性欠陥の熱アニール特性を調べた。」と記載されている。 (3)甲第3号証:「Microelectronic Engineering 11(1990)」第167〜172頁 (g)「エキシマレーザーの照射は、紫外線用シリカガラスの光学特性に恒久的な変化をもたらすことが知られている。これらの変化には、紫外線吸収、応力複屈折率、及び屈折率増加が含まれる。これらの変化の照射条件に対する量的依存性を示し、エキシマ光リソグラフィー機器のデザイン、動作条件への影響を示した。」(第167頁第1パラグラフ、訳文、以下同じ) (h)「ここで報告する紫外線吸収及び複屈折率のどちらも安定な効果である。サンプルを室温に保持した場合、それらの強度変化は1年を超える期間にわたって観測されない。さらに2つの光学的効果は密接に関係している。もし熱アニール又はフォトブリーチングを行わないなら(下記参照)、複屈折率・・・は広範囲にわたり215nm吸収係数に正比例する。しかし紫外線吸収係数は、熱アニール及びフォトブリーチングに対して複屈折率とは異なる挙動で、これらが異なる起源であることを示す。図3は、600℃では顕著な(元の値の20%)複屈折率が依然として見られるが、350℃より上では215nm吸収バンドがほとんど完全にアニールされることを示す。」(第168頁第2パラグラフ) (i)第172頁図3には、「シリカガラスの193nm照射により誘起された、215nm吸収係数及び633nm複屈折率の熱アニール」の結果が記載されている。 (4)甲第4号証:「Phys.Status.Solibi.」Vol.147、No.1 k1〜k4(1988) (j)「シリカガラス中のE’センター生成の温度依存性」(表題、訳文、以下、同じ) (k)「本実験に用いられたシリカガラスサンプルは市販のものである。6〜8eVの真空紫外線吸収装置を用いて、OH含有量が300〜500ppmであると測定された。1枚のシリカガラスシートから切り出した4〜5個の3×10×0.3mm3切片を同時に照射若しくはアニールした。欠陥密度を検出限界以下にするために照射前に600℃で20分間アニールした。照射はロータリーポンプで排気されたチャンバー内で、110W低圧水銀ランプを使用して185及び245nmの主波長で行なった。一定期間照射しESR測定を行ない、次の段階の照射及びESR測定を繰り返した。後述セクションで示す照射時間は、照射の累積時間を意味する。照射されたサンプルのアニール挙動を1Paの真空下で20分間の等間隔アニールで調べた。」(K1) 3-4.対比・判断 (1)本件訂正発明1について 甲第1号証には、「石英ガラスにエキシマレーザー光が照射された場合、E*センターと呼ばれる常磁性欠陥が生成され、これにより、最終的には石英ガラスが破損してしまったり、屈折率が変化してしまう問題が起こる。アブレーション用の光学系においては一定時間使用後は、従来の石英ガラスでは、レーザーダメージが大きすぎて、使用不能の状態となるため、破棄されている。」(上記(b))という問題を解決するため、「500℃以上の加熱処理」(上記(c)、(d))することによって、「再使用した場合のレーザーに対する安定性もレーザー照射前と同等のレベルに回復」(上記(c))したり、「石英ガラスの光学特性の屈折率、蛍光及び光透過性のダメージについて回復」(上記(d))したりするという効果が奏され、上記加熱処理した石英ガラスを「再使用」(上記(c))したり、「アブレーション用光学部材として再度使用」(上記(d))できるという知見が記載されている。 このレーザーダメージが入った石英ガラスを「再使用」や「再度使用」する方法として甲第1号証には、上記(a)、(e)記載の構成を取り入れると、「合成シリカスート体を透明ガラス化して、水酸基濃度が300ppm以下、塩素濃度50ppm以下及び水素濃度が5×1016分子/cm3以下であり、波長245nmの紫外線に対する透過率が99.5%以上である石英ガラスを製造し、この製造された石英ガラスを、光学系において一定時間エキシマレーザーにて照射し使用後、ダメージが入った石英ガラスについて、大気又は窒素ガス雰囲気中で、石英ガラスの水酸基濃度の変動量が20ppm以下となるまで500℃の温度で10時間にわたって熱処理する高エネルギーエキシマレーザー光学用石英ガラス部材の再使用方法。」という発明(以下、甲1発明という)が記載されていると云える。 そこで、本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも、 本件訂正発明1では、シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させる工程を有し、紫外線照射の後に又は同時に熱処理を施す耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法であるのに対して、甲1発明では、石英ガラスを光学系において一定時間エキシマレーザーにて照射し使用後に熱処理する高エネルギーエキシマレーザー光学用石英ガラス部材の再使用方法である点で相違している。 そこで検討すると、本件訂正発明1は、あくまで光学系で使用する前のシリカガラスの製造方法であって、光学系で使用する前に少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を「積極的に」発生させ、熱処理を施すという点を特徴とするものであって、甲1発明の光学系でのレーザー照射によってダメージが入った石英ガラスを使用後の熱処理によって再使用するという技術的思想とは別異なものである。 加えて、甲1発明では、奏される効果は「再使用した場合のレーザーに対する安定性もレーザー照射前と同等のレベルに回復」(上記(c))したり、「光学特性のダメージが回復」(上記(d))したり、「光学特性がレーザー照射前と同等に回復」(上記(e))したりするという使用前と「同等」に回復するまでに止まるが、本件訂正発明1では、奏される効果は「サンプルAの初期透過率・・・は各サンプルB,Cの初期透過率に比べて向上することも確認された。」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第31〜34行)や、「紫外線透過率の減少が飽和するまで照射すればより確実な紫外線耐久性・放射線耐性向上効果をえることができる。」(本件特許掲載公報第3頁第6欄第10〜12行)」と元々のシリカガラスの特性を上まわる特性を示すという点でも相違している。 次に甲第2号証には、a-SiO2のArFエキシマレーザ誘起欠陥の熱アニール特性が記載されており、また甲第3号証には、エキシマレーザー照射後の熱アニールに対して複屈折率と紫外線吸収係数が異なる挙動を示すことが記載されており、また甲第4号証には、シリカガラスを同時に照射若しくはアニールすることによるシリカガラス中のE’センター生成について記載されている。しかしながら、甲第2〜4号証のそれぞれには、上述のように紫外線照射によって生じる欠陥が熱アニールによって変化するという記載はあるものの、上記相違点で述べたような「光学系で使用する前のシリカガラスの製造方法であって、光学系で使用する前に少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を『積極的に』発生させ、熱処理を施す」という点は記載もされていないし、示唆もされていない。 なお、特許異議申立人は、平成13年7月23日付け回答書において、「赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする」点は意味不明であると述べているが、特許異議申立人が回答書に添付した甲第5号証(Journal of Non-Crystallin Solids」185 第191〜195頁(1995))にも熱処理に伴う赤外線吸収ピークの移動が記載されているのであるから、上記記載を意味不明と云うことはできない。 以上のとおり、本件訂正発明1は、甲第1〜4号証に記載された発明とすることはできず、また甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。 (2)本件訂正発明2〜4について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用した耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法に関する発明であり、また本件訂正発明3は、本件訂正発明1を引用した耐紫外線・耐放射線シリカガラスに関する発明であり、また本件訂正発明4は本件訂正発明3を引用した耐紫外線・耐放射線光学素子に関する発明である。したがって、上記(1)で述べたと同じ理由で、本件訂正発明2〜4は、甲第1〜4号証に記載された発明とすることはできず、また甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。 4.むすび 以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に訂正後の本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよびその製造方法、耐紫外線・耐放射線光学素子およびその製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させる工程と、 該紫外線照射の後に又は紫外線照射と同時に熱処理を施して前記構造欠陥を取り除く工程とを施して、 前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする ことを特徴とする耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法。 【請求項2】 請求項1に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法によって形成された耐紫外線・耐放射線シリカガラスを用いることを特徴とする耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法。 【請求項3】 請求項1記載の紫外線照射工程と熱処理工程が施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にあることを特徴とする耐紫外線・耐放射線シリカガラス。 【請求項4】 請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスによって形成されたことを特徴とする耐紫外線・耐放射線光学素子。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよびその製造方法、耐紫外線・耐放射線光学素子およびその製造方法に係り、詳しくは、紫外線や放射線による透過率の悪化を抑制することが可能な耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよび当該耐紫外線・耐放射線シリカガラスによって形成された耐紫外線・耐放射線光学素子、当該耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよび当該耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】 近年、シリカガラスによって形成された光学素子(例えば、光ファイバや光誘起ブラッグ格子などの光導波路素子、レンズ、光変調器、光偏向器、光ファイバを用いたライトガイド、フォトマスクなど)を紫外光にて使用することが求められている。 【0003】 特に、エキシマレーザリソグラフィー用フォトマスク、紫外線硬化樹脂の照射用の紫外光伝送用ライトガイドや、微細加工分野や医療分野などに使用される紫外光(特に、エキシマレーザ光)の伝送用光ファイバおよびライトガイドにおいては、より短波長で且つ光パワーの大きな紫外光を伝送させることが要求されている。例えば、紫外線硬化樹脂の照射用に使用した場合、紫外光の短波長化および光パワーの増大により、樹脂の硬化時間短縮につながるなど、短波長高出力の紫外光の特性を最大限に活かすことができる。 【0004】 しかし、シリカガラスに紫外光を伝送させると、シリカガラス中に構造欠陥が生じて透過率が悪化するという問題がある。このシリカガラスの透過率の悪化は、紫外光が短波長であるほど、また、光パワーが大きいほど顕著にあらわれる。そのため、光源としてエキシマレーザを使用する際には、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)→ArFエキシマレーザ(波長:193nm)→F2エキシマレーザ(波長:157nm)の順番で透過率は悪化する。また、光源として光パワーの小さなランプ類(ハロゲンランプ、重水素ランプなど)を使用する場合よりも、光パワーの大きなレーザ(KrF,ArF、F2などの各種エキシマレーザ)を使用する場合の方が透過率は悪化する。 【0005】 そこで、紫外光の照射によるシリカガラスの透過率の悪化を抑制する(すなわち、紫外線耐性を向上させる)ために、シリカガラス中の水酸基濃度を高める技術が提案されている(特開平4-342427号、特開平4-342436号など)。 【0006】 しかし、シリカガラス中の水酸基濃度が高くなると紫外吸収端の波長が長くなるため、短波長(特に真空紫外域)の紫外光を伝送させることができなくなるという問題がある。 ところで、シリカガラスの紫外線耐性を向上させれば、放射線の照射によるシリカガラスの透過率の悪化を抑制する(すなわち、放射線耐性を向上させる)こともできる。 【0007】 本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、紫外吸収端の波長を長くすることなく、優れた紫外線耐性および放射線耐性を得ることが可能な耐紫外線・耐放射線シリカガラスを提供することにある。また、当該耐紫外線・耐放射線シリカガラスによって形成された耐紫外線・耐放射線光学素子、当該耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよび当該耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】 かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法は、シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線を照射して該シリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させる工程と、該紫外線照射の後に又は紫外線照射と同時に熱処理を施して前記構造欠陥を取り除く工程とを施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にすることを特徴とする。 【0009】 次に、請求項2に記載の耐紫外線・耐放射線光学素子の製造方法は、請求項1に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスの製造方法によって形成された耐紫外線・耐放射線シリカガラスを用いることを特徴とする。 次に、請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスは、請求項1記載の紫外線照射工程と熱処理工程が施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にあることを特徴とする。 【0010】 次に、請求項4に記載の耐紫外線・耐放射線光学素子は、請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスによって形成されたことを特徴とする。 (作用) 請求項1に記載の発明によれば、少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけシリカガラスに紫外線を照射し、その紫外線照射によりシリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させ、次に又は紫外線照射と同時に、その構造欠陥を熱処理によって取り除くことで、シリカガラス中のSi-O-Siネットワークの結合角の平均が処理前の値に比べて広がり、構造緩和が進んで構造的に安定なガラスとなり、紫外線照射および放射線照射による欠陥の生成が抑制される。従って、シリカガラス中の水酸基濃度を増大させることにより紫外線耐性および放射線耐性を向上させるわけではないため、紫外吸収端の波長は長くならない。 【0011】 尚、前記結合角の変化は、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を分析すれば明らかにできる。具体的には、シリカガラスの構造緩和が進むほど(すなわち、紫外線耐性および放射線耐性が向上するほど)赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置は、約2255cm-1〜約2275cm-1の範囲で高波数側(低波長側)にシフトする。 【0012】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。 本実施形態においては、純粋シリカガラスに対して紫外線照射処理後に熱処理を行うことにより、紫外吸収端の波長を長くすることなく、紫外線耐性および放射線耐性を向上させることが可能なシリカガラスを得ることができる。 【0013】 図1は、本実施形態の作用を説明するための実験結果を示す特性図である。 まず、純粋シリカガラスのバルクによって形成された以下のサンプルA〜Cを用意した。 サンプルA:純粋シリカガラスに対して紫外線照射処理(ArFエキシマレーザ照射(10万ショット))後に熱処理(1200℃の電気炉中で15時間)を行ったもの。 【0014】 サンプルB:純粋シリカガラスに対して熱処理(1200℃の電気炉中で15時間)のみを行ったもの。 サンプルC:紫外線照射処理も熱処理も行わない純粋シリカガラス。 次に、各サンプルA〜Cに対してArFエキシマレーザ(照射強度:15mJ/cm2)を照射し、その照射ショット数に対する紫外光(波長:200nm)の透過率の減少度合を測定した。 【0015】 その結果、各サンプルB,Cでは、ArFエキシマレーザの照射ショット数が増大するほど透過率が大きく減少することが認められた。それに対して、サンプルAでは、照射ショット数が増大しても透過率はほとんど減少しないことが認められた。 【0016】 このように、サンプルAが優れた紫外線耐性を得られるのは、まず、紫外線照射処理を行ってシリカガラス中に多くの構造欠陥を積極的に発生させ、次に、その構造欠陥を熱処理を行って取り除くことで、シリカガラス中のSi-O-Siネットワークの結合角の平均が処理前の値に比べて広がり、構造緩和が進んで構造的に安定なガラスとなり、紫外線照射による欠陥の生成が抑制されるためである。 【0017】 従って、サンプルAのシリカガラス中の水酸基濃度を増大させることにより紫外線耐性を向上させるわけではないため、紫外吸収端の波長は長くならず、真空紫外域までの短波長の紫外光を伝送させることができる。 ところで、シリカガラスの紫外線耐性を向上させれば、放射線耐性を向上させることもできる。そのため、優れた紫外線耐性が得られたサンプルAは、優れた放射線耐性をも得られることになる。。 【0018】 また、サンプルAの初期透過率(ArFエキシマレーザを照射する前の紫外光の透過率)は、各サンプルB,Cの初期透過率に比べて向上することも確認された。 尚、前記結合角の変化は、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を分析すれば明らかにできる。つまり、シリカガラスの構造緩和が進むほど(すなわち、紫外線耐性および放射線耐性が向上するほど)赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置は、約2255cm-1〜約2275cm-1の範囲で高波数側(低波長側)にシフトする。そのため、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を分析すれば、各サンプルA〜Cが混在する中からサンプルAを容易に識別することができる。 【0019】 ところで、シリカガラスのバルクに対する紫外線照射処理および熱処理については、以下の条件および特徴があげられる。 照射する紫外線の波長は、50nm〜300nmが適当であり、望ましくは130nm〜250nm、特に望ましくは150nm〜200nmである。この波長範囲より長くなると紫外線耐性・放射線耐性向上効果は小さくなる傾向があり、短くなると紫外線耐性・放射線耐性向上効果は飽和する傾向がある。 【0020】 照射する紫外線の強度は、0.01mJ/cm2〜1000mJ/cm2が適当であり、望ましくは1mJ/cm2〜500mJ/cm2、特に望ましくは10mJ/cm2〜300mJ/cm2である。この強度範囲より強くなるとシリカガラスの劣化が大きくなる傾向があり、弱くなると紫外線耐性・放射線耐性向上効果は小さくなる傾向がある。 【0021】 紫外線の照射時間は、紫外線透過率の減少が確認される時間だけ照射する必要があり、紫外線透過率の減少が飽和するまで照射すればより確実な紫外線耐性・放射線耐性向上効果を得ることができる。 電気炉による熱処理温度は、100℃〜1600℃が適当であり、望ましくは200℃〜1400℃、特に望ましくは300℃〜1300℃である。この温度範囲を外れると紫外線耐性・放射線耐性向上効果は小さくなる傾向がある。尚、熱処理を行うには、電気炉を用いる方法だけでなく、赤外線ランプ光を照射する方法(ランプアニール法)や赤外線レーザ光を照射する方法(レーザアニール法)など、どのような熱処理方法を用いてもよい。但し、熱処理方法に関係なく、上記の温度条件を満たすようにする必要がある。 【0022】 尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において以下のような変更を加えてもよいことは言うまでもない。 (1)上記実施形態ではシリカガラスに対して紫外線照射処理後に熱処理を行ったが、紫外線照射処理と熱処理とを同時に行ってもよい。 【0023】 (2)本発明は、シリカガラスによって形成された光ファイバに適用することができる。この場合、シリカガラスから光ファイバを溶融紡糸した後に紫外線照射処理および熱処理を行ってもよいし、シリカガラスから光ファイバを溶融紡糸する工程で紫外線照射処理および熱処理を行ってもよい。 【0024】 尚、これらの場合、上記(1)と同様に、紫外線照射処理後に熱処理を行ってもよく、紫外照射処理と熱処理とを同時に行ってもよい。 また、光ファイバに対する紫外線照射処理および熱処理の条件および特徴は、前記したシリカガラスのバルクにおける条件および特徴と同じである。 【0025】 但し、光ファイバに対する紫外線照射処理においては、光ファイバの端面側から紫外線照射を行っても前記と同様の効果が得られるが、光ファイバの全長が長い場合には、光ファイバに被覆を設けず、光ファイバの側面側から紫外線照射を行うことにより、紫外線照射処理の高効率化を図ることが可能になる。 【0026】 また、光ファイバに対する熱処理において、熱処理温度は、100℃〜1600℃が適当であり、望ましくは200℃〜1400℃、特に望ましくは300℃〜800℃である。この温度範囲を外れると紫外線耐性・放射線耐性向上効果は小さくなる傾向がある。そして、光ファイバにおける熱処理方法は、シリカガラスのバルクの場合と同様に、どのような方法を用いてもよい。 【0027】 尚、光ファイバでは、特に望ましい熱処理温度の上限を800℃と、シリカガラスのバルクにおいて特に望ましい熱処理温度の上限である1300℃に比べて、500℃だけ低くすることが望ましい。その理由は、光ファイバでは、あまり高い温度で熱処理を行うと、コアとクラッドの間で屈折率の差をつけるために添加している添加物の拡散が起きてしまい、これが原因となって透過特性の劣化が生じるからである。 【0028】 (3)本発明は、シリカガラスによって形成された紫外光用の各種光学素子(例えば、光誘起ブラッグ格子などの光導波路素子、レンズ、光変調器、光偏向器、光ファイバを用いたライトガイド、フォトマスクなど)に適用することもできる。 【0029】 尚、この場合も上記(1)と同様に、紫外線照射処理および熱処理を行ったシリカガラスにて光学素子を形成してもよく、光学素子を形成後に紫外線照射処理および熱処理を行ってもよい。 特に、エキシマレーザリソグラフィー用フォトマスク、紫外線硬化樹脂の照射用の紫外光伝送用ライトガイドや、微細加工分野や医療分野などに使用される紫外光(特に、エキシマレーザ光)の伝送用光ファイバおよびライトガイドにおいては、より短波長で且つ光パワーの大きな紫外光を伝送させることが切望されているため、本発明の効果を十分に活かして需要に応えることができる。例えば、紫外線硬化樹脂の照射用の紫外光伝送用ライトガイドに本発明を適用した場合、紫外光の短波長化および光パワーの増大により、樹脂の硬化時間短縮につながるなど、短波長高出力の紫外光の特性を最大限に活かすことができる。 【0030】 【0031】 (5)不純物を含まない純粋シリカガラスのみでなく、水酸基やその他の添加物を含有したシリカガラスに適用してもよい。尚、純粋シリカガラスに不純物を添加すると、一般に、紫外線耐性および放射線耐性が向上する反面、紫外吸収端の波長が長くなるため、光学素子として使用する紫外線の波長に合わせて不純物の種類および含有量を最適に調整する必要がある。 【0032】 【発明の効果】 請求項1に記載の発明によれば、紫外吸収端の波長を長くすることなく、優れた紫外線耐性および放射線耐性を有する耐紫外線・耐放射線シリカガラスを製造できる。 【0033】 請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の優れた効果を備えた光学素子を製造できる。 請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスは、紫外吸収端の波長を長くすることなく優れた紫外線耐性および放射線耐性を有する。 【0034】 請求項4に記載の光学素子は、請求項3に記載の耐紫外線・耐放射線シリカガラスの優れた紫外線耐性および放射線耐性を有する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明を具体化した一実施形態の作用を説明するための特性図。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第3054412号発明の明細書を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、 (1)訂正事項a 請求項1中の「シリカガラスに紫外線」を、「シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線」と訂正する。 (2)訂正事項b 請求項1中の「含む」を、「施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする」と訂正する。 (3)訂正事項c 請求項3中「施された」を、「施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にある」と訂正する。 (4)訂正事項d 明細書段落【0008】中の「シリカガラスに紫外線」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第3行)を、「シリカガラスに少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけ紫外線」と訂正し、また同段落中の「含む」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第6行)を「施して、前記シリカガラスの赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置を2255cm-1〜2275cm-1の範囲にする」と訂正する。 (5)訂正事項e 明細書段落【0009】中の、「施された」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第14行)を、「施されて、赤外吸収測定による2260cm-1付近の赤外吸収ピーク位置が2255cm-1〜2275cm-1の範囲にある」と訂正する。 (6)訂正事項f 明星書段落【0010】中の「紫外線照射により」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第19行)を、「少なくとも紫外線透過率の減少が確認される時間だけシリカガラスに紫外線を照射し、その紫外線照射により」と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-10-11 |
出願番号 | 特願平11-121889 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C03B)
P 1 651・ 113- YA (C03B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 深草 祐一 |
特許庁審判長 |
吉田 敏明 |
特許庁審判官 |
西村 和美 野田 直人 |
登録日 | 2000-04-07 |
登録番号 | 特許第3054412号(P3054412) |
権利者 | 北川工業株式会社 学校法人トヨタ学園 |
発明の名称 | 耐紫外線・耐放射線シリカガラスおよびその製造方法、耐紫外線・耐放射線光学素子およびその製造方法 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 池谷 豊 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 田中 敏博 |
代理人 | 白石 泰三 |
代理人 | 田中 敏博 |
代理人 | 田中 敏博 |
代理人 | 望月 孜郎 |
代理人 | 福井 宏司 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 足立 勉 |