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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C07B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C07B
管理番号 1053159
異議申立番号 異議2000-73183  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-08-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-18 
確定日 2001-10-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3011089号「ハロゲン化合物の分解方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3011089号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I 手続きの経緯
本件特許第3011089号発明は、平成8年2月9日に特許出願され、平成11年12月10日に設定登録がなされ、その後、小山雄一より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その意見書の提出期間内である平成13年7月9日に訂正請求がなされたものである。

II 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
(a)明細書の段落【0006】(本件特許公報2頁3欄)記載の「・・・活性化水素化合物としては水が用いられる。本発明は安全の為に」を「・・・活性化水素化合物としては水が用いられる。請求項2に記載のハロゲン化合物の分解方法は、トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)であることを特徴とする。本発明は安全の為に」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項について検討する。
(a)の訂正は、発明の詳細な説明に請求項2の記載事項に対応する事項の記載がないため、不明りょうとなっている明細書の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、上記(a)の訂正は、願書に添付した明細書の【特許請求の範囲】(同特許公報1欄)の「【請求項2】トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)である・・・」の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書に記載の事項の範囲内のものであることは明らかである。また上記訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。

3 訂正の適否についての結論
上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法126条第2項及び同条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III 特許異議申立及び取消理由通知の理由についての判断
1 異議申立理由の概要
異議申立人は、甲第1号証(特開昭62-152479号公報)、甲第2号証(特開昭49-82570号公報)、甲第3号証(特開昭62-261373号公報)、甲第4号証(特開昭59-20179号公報)を提出し、本件発明1〜3(請求項1〜3に係る発明)は、甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、又本件発明2、3(請求項2、3に係る発明)は特許法第36条第6項第1号に該当するものであり、本件特許は取り消されるべきである旨主張している。

2 訂正明細書の請求項1〜3に係る発明について
上記II2で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜3に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲、請求項1〜3に記載された次のとおりのものである 。
「【請求項1】トランスオイル中製造したアルカリ金属分散体を用い、トランスオイル中でハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを水の存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化合物の分解方法。
【請求項2】トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)であることを特徴とする、請求項1に記載のハロゲン化合物の分解方法。
【請求項3】ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニル類の難分解性ハロゲン化合物である請求項1乃至請求項2に記載のハロゲン化合物の分解方法。」

3 甲各号証の記載事項
甲第1号証には、「ハロゲン化脂肪族および芳香族化合物を不活性溶剤中において金属ナトリウムで処理して脱ハロゲン化する方法において、反応をプロトン供与体の存在下で実施することを特徴とする方法。」(特許請求の範囲)が記載され、「プロトン供与体で活性化されたナトリウムは、迅速かつ完全に(ポリ)ハロゲン化脂肪族または芳香族化合物と反応する。・・・本発明の方法によれば、・・・ほとんど完全に塩素、臭素またはヨウ素を脱離させることができる。」(3頁左上欄〜右上欄)、「本発明の脱ハロゲン化は、たとえば、下記のごとき溶剤中で実施される:・・・炭化水素または炭化水素混合物・・・も使用できる。」(3頁左下欄〜右下欄)、「プロトン供与体として好ましくは・・・たとえばアルコール、第一または第二アミンまたは水が使用され、特に好ましくは・・・直鎖または分岐のC1〜C5-アルコールが使用される。・・・ここに例示したアルコール、・・・または水を使用するとナトリウムの良好な活性化が達成される。」(4頁左上欄)と記載されている。「実施例1」はプロトン供与体としてメタノールを用いた例を、「実施例3」は水を用いた例を示している。
甲第2号証には、「環境汚染物質であるポリ塩化ビフェニル類またはポリ塩化ビフェニル類を含む有機溶媒溶液を分散状態にあるアルカリ金属と共に加熱処理することを特徴とする環境汚染物質の処理方法。」(特許請求の範囲)が記載され、「本発明の方法は有機溶媒中に分散させたアルカリ金属にPCB類またはPCB類の有機溶媒溶液を加え、・・・無害化することにより達成されるが、・・・また要すれば反応時に少量の活性水素化合物を添加することにより分解反応を効果的に進行させることができる。」(2頁左上欄)、「本発明の方法における有機溶媒としては、・・・灯油、デカリンのような脂肪族炭化水素・・・などが含まれる。」(2頁左下欄〜右下欄)、「必要があれば、添加する活性水素化合物としては水、・・・アルコールなどが含まれるが、」(2頁右下欄〜3頁左上欄)と記載され、「実施例2」には白灯油を分散媒として製造したナトリウム分散体をフラスコに仕込み、そこにカネクロール、白灯油、イソプロパノールを加え反応させることが記載されている。
甲第3号証には、ハロゲン化有機化合物の分解方法に関する発明が記載され、「さらに、本発明はPCB及び/又は他の汚染可能なポリハロゲン化有機化合物を含む鉱油を分解する方法に関する。」(2頁左上欄)、「本発明・・・はポリグリコールとアルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物を該化合物と接触させることから実質的に成る」(3頁右上欄)と記載されている。実施例にはPCBを含む鉱油を処理対象としたことが記載されている。
甲第4号証には、炭化水素ベースの油に溶解している有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化プロセスに関する発明(請求項1等)が記載され、「前記油が・・・前乾燥されていることを特徴とする・・・いずれかの項に記載のプロセス。」(1頁、請求項7)、「本目的の特別な興味は、有機ハロゲン化合物でで汚染された電気絶縁油類の処理である。」(4頁右下欄)と記載されている。そして実施例として電気絶縁油を処理した例が挙げられている。

4 異議申立の理由についての判断
(a)第29条第2項違反について、
(i)訂正明細書の請求項1に係る発明(以下「本件第1発明」という。)について
甲第1号証には、有機ハロゲン化合物を水等のプロトン供与体の存在下、不活性溶剤中において活性化ナトリウム(金属ナトリウム)で処理して脱ハロゲン化する方法が記載され、ナトリウムの使用形態が「溶剤中のナトリウム分散物」であることも記載されている。一方、本件第1発明は、「トランスオイル」中で、「トランスオイル」中製造の「アルカリ金属分散体」とハロゲン化合物を反応させるものである。
「トランスオイル」(「変圧器油」と同義。「理化学英和辞典」1998年7月、(株)研究社発行、833頁 参照。)に関しては、本件明細書中でどのような油が含まれるのか明らかにしていないが、「トランスオイル(変圧器油)」が変圧器の絶縁に用いられる油であることは常識である。そして、このような絶縁油(電気絶縁油)について記載された「JIS C2320」によれば、鉱油、シリコーン油、「鉱油、アルキルベンゼン」を主成分とする絶縁油が「油入変圧器」に用いられることが記載されているので、「トランスオイル」はこのような油を意味していると言える。
電気絶縁油用のシリコーン油、「鉱油、アルキルベンゼン」の使用については甲第1号証に何等記載がない。又電気絶縁油用の鉱油はその動粘度、引火点、比重等の特性が、オクタン、デカンのような普通の炭化水素系溶剤の特性と異なることは周知である。(なお、絶縁油用鉱油の特性を記載したものとしては、例えば「電気工学ハンドブック」昭和63年2月28日、(社)電気学会発行230〜231頁がある。)
そうすると、甲第1号証には、炭化水素または炭化水素混合物(例、オクタン等)が使用溶剤であるという記載があるが、「トランスオイル(変圧器油)」をナトリウム分散物製造用として、又反応系に存在させる溶剤として用いることが開示されているとすることはできず、又「トランスオイル」は特定の性質を有す用途が限定された油であるから該甲号証のものにおける使用が示唆されているとすることもできない。
甲第2号証には、有機溶媒に分散させたアルカリ金属(例、ナトリウム)にポリ塩化ビフェニル類を含む有機溶媒溶液中を加えて反応させることが記載され、反応時に水(活性水素化合物)が添加されても良い旨の記載もあるが、「トランスオイル(変圧器油)」をアルカリ金属の分散用とし、かつ反応系においても「トランスオイル」を存在させることは記載されてない。
甲第2号証には、使用可能な有機溶媒として脂肪族炭化水素(例、ヘプタン、灯油等)、芳香族炭化水素、これらの混合物等が挙げられているが、
「トランスオイル」のような特定の性質を有する油の使用を示唆する記載はない。
甲第3号証は、ハロゲン化有機化合物をポリグリコール及びアルカリ(土類)金属水素化物と接触させ、ハロゲン化有機化合物を分解するものであるが、ポリグリコールの添加を必須とするものであり、「トランスオイル」中に分散させたアルカリ金属(以下「特定分散体」という。)は添加されないので、ポリグリコールを存在させず、「特定分散体」を用いる本件第1発明とは異なる。又、甲第3号証のものではその目的達成のためポリグリコール添加が必要であるので、これの不存在下で反応させることが容易になし得たとすることはできない。
甲第4号証には、ナトリウムの微細分散体を用いる有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化が記載され、処理される油が電気絶縁油であることも記載されているが、「トランスオイル(変圧器油)」をナトリウム分散物製造用として用いることが開示されているとすることはできない。「トランスオイル」の使用が示唆されているとも認められない。
又、本件第1発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明に加え、甲第3,4号証の脱ハロゲン化される対象物に関す記載を合わせ勘案して、容易に発明することができたものであるとも認められない。そして、本件第1発明においては、その構成により効率的にかつ安全に、ハロゲン化合物を脱ハロゲン分解できるという優れた効果が奏されるものである。
したがって、本件第1発明は、甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
(ii)訂正明細書の請求項2に係る発明(以下「本件第2発明」という。)について
本件第2発明は本件第1発明において「トランスオイル」を限定したものである。本件第2発明は本件第1発明の特定事項を全て含むので、上記(i)で述べたのと同様な理由により、本件第2発明も甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
(iii)訂正明細書の請求項3に係る発明(以下「本件第3発明」という。)について
本件第3発明は本件第1、2発明においてハロゲン化合物を限定したものである。本件第3発明も本件第1発明又は第2発明の特定事項を全て含むので、上記と同様な理由により甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(b)第36条違反について
異議申立人は、「本件発明2は、その請求項2での特定事項が本件明細書の発明の詳細な説明の欄に記載されていないので、特許法第36条第6項第1号に該当する。本件発明3は、本件発明2を引用するため特許法第36条第6項第1号に該当する。」という趣旨の主張をしている。
しかし、平成13年7月9日付けの訂正請求により、請求項2での特定事項は本件明細書の発明の詳細な説明、段落【0006】に加えられた。
したがって、該特定事項が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないから、本願が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

5 取消理由通知の理由について
(1)取消理由
当審で通知した取消理由の概要は、本件の請求項2記載の技術事項と対応する事項が発明の詳細な説明に記載されていないので、本件明細書の記載は不備であり、本件の請求項2に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである、というものである。
(2)判断
理由は、上記4(b)に記載したとおりである。

IV むすび
以上のとおり、本件の請求項1〜3の発明に係る発明の特許は異議申立ての理由及び証拠、取消理由通知の理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ハロゲン化合物の分解方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】トランスオイル中製造したアルカリ金属分散体を用い、トランスオイル中でハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを水の存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化合物の分解方法。
【請求項2】トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)であることを特徴とする、請求項1に記載のハロゲン化合物の分解方法。
【請求項3】ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニル類の難分解性ハロゲン化合物である請求項1乃至請求項2に記載のハロゲン化合物の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化合物をアルカリ金属分散体により、安全に、効率良く且つ経済的に脱ハロゲン分解させる方法に関するものである。この方法により例えばポリ塩化ビフェニル(以下PCBと略記する)類等の難分解性ハロゲン化合物を無害な分解生成物として処理出来る。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体との反応において活性水素化合物を加えることは反応時間を短縮する上で有効であることが特開昭49-82570に記載されている。ただし従来は不均一な系では活性水素化合物の効果は少ないと考えていた為に、系を均一にする為にC3以上の高級アルコール等を用いており経済的に問題があった。又、活性水素化合物とアルカリ金属分散体との反応は非常に速い為、均一な系での反応では活性水素化合物とアルカリ金属分散体の反応を優先させないよう活性水素化合物の添加量を多くは出来ず、又仕込み方法も一時には添加せず注意して滴下する等の方法が必要であり、その場合でも添加速度が速いと活性水素化合物の可成りの部分がハロゲン化合物の脱ハロゲン分解に対してではなくアルカリ金属分散体と直接反応するため、効率の悪いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、効率的に、安価にかつ安全に、ハロゲン化合物をアルカリ金属分散体により脱ハロゲン分解する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は有機溶媒中でそれとは混じらない活性水素化合物を加えた系、すなわち有機溶媒と活性水素化合物の任意の組み合わせのうち室温で混合した際均一とならず不均一系を形成する組み合わせに、ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体を加えて反応させることにより、活性水素化合物とアルカリ金属分散体の反応をうまくコントロールでき、安全に、安価にかつ効率よくハロゲン化合物を脱ハロゲン分解出来ることを見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機溶媒と活性水素化合物の任意の組み合わせのうち室温で混合した際均一とならず不均一系を形成する組み合わせに、ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体を加えて反応させることにより達成される。添加順序は任意に選択することが可能であり、例えばこのうちの幾つかを仕込んでおき撹拌下他のものを加えることが出来、活性水素化合物、ハロゲン化合物、アルカリ金属分散体のうちの1ないし幾つかを最後に滴下して加えることも可能である。アルカリ金属分散体の添加量はハロゲン化合物に対して理論量の1〜50倍、好ましくは1.05〜20倍量が用いられる。
【0006】
活性水素化合物の添加量はアルカリ金属分散体に対し2.0倍モル以下、好ましくは0.1〜1.5倍モル用いられる。反応は0〜200℃の温度で実施できるが室温から溶媒又は活性水素化合物の沸点までの温度が好ましい。反応時間は反応が完結する任意の時間を選択できるが、0.5〜3時間が好ましい。有機溶媒と活性水素化合物の組み合わせとしては室温で混合した際均一とならず不均一系を形成する組み合わせであれば良いが、例えば有機溶媒としてはトランスオイルが、活性水素化合物としては水が用いられる。請求項2に記載のハロゲン化合物の分解方法は、トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)であることを特徴とする。本発明は安全の為にアルゴン、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で操作するのことが好ましい。
【0007】
アルカリ金属分散体としてはナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム又はこれらの合金をトランスオイル中に分散させたものが用いられる。又事前のステアリン酸アルミ等の分散剤や凝集防止剤を加えて良く、溶媒として高粘度溶媒の様なアルカリ金属分散体を安定化させるものを用いる場合には、分散剤、凝集防止剤を加えなくても良い。又アルカリ金属分散体中のアルカリ金属濃度は任意の濃度のものが使用可能であるが、5〜50%程度のものが好ましい。
【0008】
アルカリ金属分散体の平均粒径は20μm以下好ましくは5μm以下のものが良い。反応後は大量の水又はハロゲン化アルカリ金属水溶液を添加するか、又はその中に反応液を添加することにより、アルカリ金属分散体を分解し、その後に中和、分液等必要な後処理をして処理を完了するが、活性水素化合物に水を使った場合には余分な後処理が不必要となることも利点となる。又、後処理で水を使用しない場合には活性水素化合物に水以外の有機物を使い、後処理でも例えばメタノール等の有機物でアルカリ金属分散体を分解することも可能である。本発明によれば活性水素化合物として従来は、安価で後処理にも影響のない場合が多いもののアルカリ金属分散体との反応が激しい為敬遠されていた水のようなものも使用可能となり、例えば溶媒としてトランスオイルを用いた場合には、水は溶媒中には数十ppmの濃度しか溶けない為、まえもって水を仕込んで反応させた様な時にも、直ちにアルカリ金属分散体と反応してしまうこともなくうまく反応をコントロール出来る。
【0009】
活性水素化合物を添加して反応した場合には、大幅に反応が速くなる為反応温度を下げることも可能である。又反応終了後水を加えて生成したハロゲン化アルカリを抽出、分液し、水層中のハロゲンを分析した値は回収率ほぼ100%であり、活性水素化合物を添加しない場合に比べ副生物の生成が抑えられ、ハロゲン化合物の脱ハロゲン分解が完全に進行していることを示していた。
【0010】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の方法について詳細に説明する。
実施例1
温度計、撹拌器を付けた1L3つ口フラスコに、核置換塩素数が平均4個であるPCB(鐘淵化学工業株式会社製、商品名カネクロール400)(以下KC-400と略記する)0.2g、トランスオイル500ml、水0.5gを仕込み、撹拌下50℃に加温しアルゴンガスをながし、反応容器内が十分アルゴンガスで置換された後、分散剤を入れずにトランスオイル溶媒でつくった平均粒子径5μmの10wt%ナトリウム分散体(以下SDと略記する)25.5gを5分で添加し、1時間50℃で反応させた。反応後50℃以下に冷却して水10mlを約30分で滴下し、残存しているSDを分解した。その後水50mlを添加し分液し、有機層のうち1mlをとりヘキサン溶媒でシリカゲルカラムクロマト処理後ECD検出器付ガスクロで分析した。0.2ppmのPCBが検出出来る条件で分析したがPCBは検出されなかった。又、SD添加反応開始15分後に反応液の一部をサンプリングし、水を添加、分液した有機層を用いて上記と同様に分析したが、PCBは検出されなかった。又1時間反応後反応液5mlをサンプリングし、水5mlを加えてSDを分解した後、分液ロートに移してヘキサン50ml、水10mlを加え抽出、分液、さらに有機層は10mlの水で5回抽出した。水層を集め、そのうちの一部を希硝酸で中和し、電位差滴定法で硝酸銀滴定で塩素イオンを分析したが回収率100%であった。
【0011】
参考例1
水の代わりにメタノールを用いて、実施例1と同様に反応したが、同様に反応後にはPCBは検出されなかった。
【0012】
実施例2
SD量を12.8g、水を0.25gにして、実施例1と同様に反応したが、同様に反応開始後15分後にはPCBは検出されなかった。
【0013】
実施例3
実施例1と同様にKC-4001.0g、トランスオイル500mlを仕込み、500℃で10%SD64.0gを添加した後、50℃で水1.2gを15分で滴下しながら反応した。反応後実施例1と同様にPCBを分析したがPCBは検出されなかった。
【0014】
【発明の効果】
効率的に、安価にかつ安全に、ハロゲン化合物をアルカリ金属分散体により脱ハロゲン分解出来る。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(a)明細書の段落【0006】(本件特許公報2頁欄)記載の「・・・活性化水素化合物としては水が用いられる。本発明は安全の為に」を「・・・活性化水素化合物としては水が用いられる。請求項2に記載のハロゲン化合物の分解方法は、トランスオイルがJIS C2320に規定する1種(鉱油)であることを特徴とする。本発明は安全の為に」と訂正する。
異議決定日 2001-09-17 
出願番号 特願平8-48282
審決分類 P 1 651・ 537- YA (C07B)
P 1 651・ 121- YA (C07B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西川 和子  
特許庁審判長 嶋矢 督
特許庁審判官 井上 彌一
佐藤 修
登録日 1999-12-10 
登録番号 特許第3011089号(P3011089)
権利者 日本曹達株式会社
発明の名称 ハロゲン化合物の分解方法  
代理人 東海 裕作  
代理人 東海 裕作  
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