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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  E01C
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  E01C
審判 全部申し立て 2項進歩性  E01C
管理番号 1053210
異議申立番号 異議1999-71353  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-10-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-14 
確定日 2001-11-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2810227号「樹脂舗装表面の仕上げ方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2810227号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2810227号の請求項1ないし4に係る発明(平成2年11月30日出願、平成10年7月31日設定登録)は、異議申立人大日本インキ化学工業株式会社より異議の申立てがなされ、平成12年1月27日に取消理由が通知され、平成12年4月17日付けの訂正請求書が提出され、平成13年2月6日に訂正拒絶理由が通知され、平成13年4月23日付け手続補正書(訂正請求書)が提出され、平成13年6月22日に再度取消理由が通知され、平成13年9月4日付けで、先の訂正請求書の取下書、及び、訂正請求書が提出されたものである。

2.訂正明細書の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
(a)特許請求の範囲の請求項1ないし3を次のとおり訂正し、請求項4を削除する。
「【請求項1】樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、平均粒子径30ミクロン以下で且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカである揺変性付与剤、ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を、均一に塗布し、ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走して、その表面を均質な凹凸模様に仕上げることを特徴とする樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項2】樹脂組成物(a)がポリウレタン樹脂組成物である請求項1記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項3】変性したポリウレタン樹脂組成物(b)塗布の所定の厚さが、0.5〜3.0mmである請求項1または2記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。」

(b)本件特許明細書5頁7〜19行(特許公報3欄42行〜4欄3行)を次のとおりに訂正する。
「即ち、本発明は次の通りである。
樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、揺変性付与剤、極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)をローラーにて凹凸のある舗装表面とする樹脂舗装表面仕上げ方法において、変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を均一に塗布し、次いでローラー(第1)を転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続きローラー(第2)を転走してその表面を均質な凹凸模様に仕上げる樹脂舗装表面の仕上げ方法。」

(c)本件特許明細書14頁7行〜16頁8行(特許公報7欄4行〜8欄14行)を削除する。

(d)本件特許明細書14頁9〜20行(特許公報8欄15〜25行)を次のとおりに訂正する。


(2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(a)において、「ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤、」は、訂正前の「極性溶剤及び/又はポリエチレングリコール」の択一的記載からなる要素の「ポリエチレングリコール」を削除し、かつ「極性溶剤」を「ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤」に特定するものであり、「ポリウレタン樹脂組成物(b)を均一に塗布し、ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走して、その表面を均質な凹凸模様に仕上げること」は、訂正前の「ポリウレタン樹脂組成物(b)を、多孔性に加工したローラーにて塗布することにより凹凸のある舗装表面とすること」を技術的に限定するものであるから、訂正事項(a)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項(b)〜(e)は、上記訂正事項(a)の訂正にともない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記訂正事項(a)の「ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤、」は本件特許明細書8頁末行〜9頁2行(特許公報5欄7〜9行)に、「ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー」は本件特許明細書9頁16行〜10頁11行(特許公報5欄22〜35行)に、「ローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走」することは本件特許明細書11頁13〜18行(特許公報6欄5〜10行)に、それぞれ、記載されており、上記訂正事項(b)〜(e)も同様であるから、訂正事項(a)〜(e)は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内である。
更に、上記訂正事項(a)〜(e)は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2-3)独立特許要件
(2-3-1)特許法第29条第2項について
(甲号証記載の発明)
甲第1号証:特開昭50-114029号公報
甲第2号証:日本アエロジル社カタログ「AEROSIL」
甲第3号証:特公昭53-6475号公報
甲第4号証:「実験成績証明書」(大日本インキ化学工業株式会社 関西ポリマ関連技術研究所 研究主任 高橋進)
甲第5号証:「塗装の技術」第4巻第2号、18〜22頁
甲第6号証:特許第2790505号特許公報
甲第1号証(特開昭50-114029号公報)には、テニスコートに関し、次のことが記載されている。
「本発明者らはボールが慣用アンツーカー・コートの場合と同様なバウンド挙動をなしうるウレタン・コートを開発すべく種々の検討を加えた結果、特定の寸法形状の凹凸模様をシボ付けされたウレタン表面層を備えることにより所期の目的を達成できること、およびそのような特定シボの形成を可能にするウレタンゴム組成物を見出した。
本発明はボールがアンツーカー・コートの場合と同様なバウンド挙動をなしうるウレタン・コートを提供するものである。」(2頁左上欄3〜13行)、
「本発明のウレタンゴム表面層は工場において既知のシボ付け装置を用いシート状物として形成することもできるが、最適には、コート施工現場で必要な下地構造上にウレタンゴム組成物を所要厚みまで塗装し、その表面をスポンジローラー等で転圧することにより所定の凹凸表面層を形成する。」(2頁左下欄14〜20行)、
「実施例1
水酸基当りの平均分子量が1000のポリプロピレンエーテルグリコール2400部および水酸基当りの平均分子量が1000のポリプロピレンエーテルトリオール300部の混合物と、2.4-/2.6-=8/2(重量比)のトリレンジイソシアネート315部とを、窒素気流下80℃で2時間反応させてアミン当量3500の無色透明のプレポリマーを得た。
このものは25℃で15000CPSの粘度を示した。
このプレポリマー100部に対し、ジオクチルフタレート20部、炭酸カルシウム33部、酸化チタン3部と共にエアロジル300#(ドイツ国 Degussa社製品)6部およびポリエチレングリコール(分子量6000)0.5部を真空ニーダーで混合すると白色のペースト状物が得られた。
このものは回転粘度計(B型粘度計 東京計器製)による2回転および20回転の粘度は夫々380000CPSと117000CPSであった。したがって揺変係数は3.2であった。
このポリウレタン組成物を一液型としてスポンジロールで200g/cm2の割合で展布したところ、本発明が特定するところの多数のシボを有するウレタン成形物ができた。」(3頁右上欄8行〜同左下欄14行)、
「実施例2
これは2液型ポリウレタン組成物で、ポリオール等が揺変性である場合の実施例である。
実施例1でえた揺変性にする以前のプレポリマーA1成分とし、第1表のポリオール等の組成物をB成分として各割合で混合したときの2回転と20回転の粘度および揺変係数を求め、それらをスポンジロールで展布したときのシボ形成状態を調べた。(第2表参照)」(3頁左下欄15行〜同右下欄4行)、
「小突起5または突条5′は、第3図bおよび第4図bに示されるごとく、高さhを200〜2000ミクロン、幅wを500〜3000ミクロンの各範囲内で選択されねばならない。
上記の寸法、形状を有する多数の突起5または突条5′がウレタンゴム表面層4の表面にシボ付けされるが、各突起または突条の頂点間の距離Pはまた5000ミクロン以下でなければならない。」(2頁右上欄17行〜同左下欄5行)。
そして、本件の出願前、ポリウレタン樹脂等の樹脂組成物からなる弾性舗装材によってグランド又はジョギング走路を舗装した後、かかる樹脂舗装した表面を塗装仕上げすることは、周知・慣用の技術にすぎない。
したがって、これらの明細書及び図面の記載によると、甲第1号証には、「樹脂組成物による弾性舗装の舗装面に、エアロジル300#(ドイツ国 Degussa社製品)である揺変性付与剤、炭酸カルシウムからなる無機質充填剤、酸化チタン等を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物を所要厚みまで均一に塗装し、その表面をスポンジロール等で転圧又は展布することにより凹凸のある舗装表面とする樹脂舗装表面の仕上げ方法。」という発明が記載されていると認められる。

甲第2号証(日本アエロジル社カタログ「AEROSIL」)の表紙には、「AEROSIL(アエロジル)は西独デグサ社で開発された高純度の超微粒子状無水シリカです」の記載があり、AEROSIL及びAluminium Oxide C、Titanium OxideP25のテクニカルデータを示す表には、AEROSIL(標準品)の130,200,300,380,OX50のデータが記載され、その300には、「1次粒子の平均径mμ約7、BET法による表面積m2/g300±30、 SiO2含有率%>99.8」の記載がある。

甲第3号証(特公昭53-6475号公報)には、ポリウレタン弾性舗装法に関し、次の記載がある。
「本発明者等はポリウレタン舗装材の表面の光沢を消し、適度の凹凸を与え、美麗ですぐれた球技性能を有し、かつ耐久性に富んだ舗装面を得るための方法について鋭意検討した結果、・・・光沢がなく、美麗で耐久性に富み、かつ適度のマサツ係数を有する高性能の舗装表面が得られることを発見して本発明を完成するに至った。」(2欄13〜23行)、
「ポリウレタン弾性舗装を行う方法において、舗装表面の仕上方法としてポリウレタンを主体とし、これに(A)平均粒子径30mμ以下で、且BET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカ(B)少くとも1種以上の無機質充填剤ならびに(C)極性溶剤を配合した材料をスプレー塗装することを特徴とする方法。」(1欄特許請求の範囲)、
「極性溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミドなどの1種または2種以上の混合物が用いられる。」(4欄11〜16行)、
「なお、スプレー塗装によらず、刷毛などで塗ることもできる・・・」(4欄37〜38行)。

甲第4号証(実験成績証明書)には、甲第3号証記載のウレタン材料と本件のウレタン材料との耐スリップ性、光沢保持性、揺変性の比較が記載されている。

甲第5号証(塗装の技術)には、建築塗装におけるローラーブラシの普及について次のことが記載されている。
「4.ローラーマークの各種
写真2および見出し写真で示したものは,ローラーマークの一部にすぎないが,ローラーカバーの織地の種類によって,各種の塗膜が構成できることが特色である。たとえば旧来日本で使用されていたスチップルローラーは,スポンジ型であり,下地をよく調整し,きわめてなめらかな中塗り塗膜の上に,正確で粒のそろったスチップル模様を施すことが,最上級のたたき仕上げ塗装である。」(20頁右欄下10〜2行)、
「ローラーの運行動作をみていると,はけ塗り作業の熟練者ほどその動作や操法がはけぬり的になり,極端な場合は,縦に横に規則正しい操作をしたくなる。モルタルやコンクリートの場合には,その表面が全く平面ではないから,ローラーをころがしてみると,塗装の付着するところと付着しないところがみえる。この状態で往復運動を何回もくり返して均一な塗膜を与えようとしたり,横にローラーを交じあわせることはきわめて非能率的である。」(22頁左欄下2行〜右欄7行)。

甲第6号証(特許第2790505号特許公報)は、本件と同一出願人の同日の出願であって、次のことが記載されている。
「弾性樹脂塗装(a)の舗装表面の仕上げ方法として、ポリウレタン樹脂組成物をベースとし、これに(A)・・・超微粒子状シリカ、(B)・・・ポリエチレングリコール、又はそのエーテル又はそのエステル、及び(C)溶剤とを配合した仕上げ材料をスプレーし、凹凸のある舗装表面とすることを特徴とする樹脂舗装表面の仕上げ方法。」(請求項1)

(対比・判断)
上記訂正事項(a)における請求項1に係る発明(以下、訂正発明1という。)と、甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「酸化チタン等」、「ロール」は、本件の訂正発明1の「その他の助剤」、「ローラー」に相当するから、両者は、「樹脂組成物による弾性舗装の舗装面に、揺変性付与剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物を、ローラーにて塗装の仕上げをすることにより、その表面を凹凸模様に仕上げる樹脂舗装表面の仕上げ方法。」である点で一致し、
1)揺変性付与剤が、本件の訂正発明1は、平均粒子径30ミクロン以下で且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、エアロジル300#(ドイツ国 Degussa社製品)である点、
2)ポリウレタン樹脂組成物(b)において、本件の訂正発明1が、ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤を含むものであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、極性溶剤を含むものではない点、
3)ローラーによる塗装の仕上げを、本件の訂正発明1は、ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走して、その表面を均質な凹凸模様に仕上げるのに対し、甲第1号証記載の発明は、スポンジローラーで転圧又は展布することによりなす点、
で相違している。

相違点1)について検討すると、甲第2号証記載の「エアロジル300」は、甲第1号証記載の発明の「エアロジル300#(ドイツ国 Degussa社製品)」と同一のものであると認められると共に、甲第2号証記載の「エアロジル300」は、平均粒子径は約7ミクロンで且つBET法による比表面積300±30m2/gの超微粒子状シリカを意味するものである。そして、同刊行物は1972年9月の印刷から1978年10月の印刷までに計7回の印刷がなされていることからみて、本件の出願前、「エアロジル300」が上記の超微粒子状シリカであることが、公知であると認められ、相違点1)における本件の訂正発明1の平均粒子径30ミクロン以下で且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカである揺変性付与剤には、甲第1号証記載の発明のエアロジル300#(ドイツ国 Degussa社製品)も実質上その数値範囲に入るものであり、そして、本件明細書には、エアロジル200#の揺変性付与剤を用いた実施例の記載があるのみであり、本件の訂正発明1の揺変性付与剤の数値限定値に格別の臨界的意義を認めることはできない。
そうしてみると、本件の訂正発明1の相違点1)の構成は、甲第1号証記載の発明に甲第2号証記載の発明を適用することにより当業者が容易に想到できたものである。

相違点2)について検討すると、ポリウレタン弾性舗装法において、ポリウレタン樹脂組成物が、ジメチルスルフオキシド又はジメチルホルムアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤を含むものは、甲第3号証に記載されているように公知であり、相違点2)の訂正発明1のように構成することは、甲第1号証記載の発明に甲第3号証記載の発明を適用することにより当業者が容易に想到できたものである。

相違点3)について検討すると、甲第2号証には超微粒子状無水シリカが記載され、甲第3号証には弾性塗装としてスプレー塗装、刷毛などで塗ることが記載され、甲第4号証には甲第3号証記載のウレタン材料と本件のウレタン材料との耐スリップ性などの比較が記載されているが、これら甲第2号証ないし甲第4号証には、訂正発明1のローラーによる塗装の仕上げについては記載されていない。
また、甲第5号証にはローラーによる仕上げ方法が記載され、「縦に横に規則正しい操作」をすると記載されているが、これは、「はけ塗り作業の熟練者ほどその動作や操法がはけぬり的になり,極端な場合は,縦に横に規則正しい操作をしたくなる。」という文脈の中で記載されているだけであって、「往復運動を何回もくり返して均一な塗膜を与えようとしたり,横にローラーを交じあわせることはきわめて非能率的である。」との記載から分かるように、ローラーを縦方向及び横方向に転送することは不利であることを示しているから、訂正発明1のローラーによる塗装の仕上げについて記載されているとはいえない。
さらに、甲第6号証は、本件と同一出願人の同日の出願であって本件出願前に頒布されたものでなく、しかも、スプレーによる舗装表面の仕上げ方法について記載されているだけであって、訂正発明1のローラーによる塗装の仕上げについては記載されていない。

したがって、訂正発明1は、甲第1号証ないし甲第6号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、訂正発明2及び訂正発明3は訂正発明1をさらに限定したものであるから、訂正発明1と同様に甲第1号証ないし甲第6号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、訂正発明1ないし訂正発明3は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(2-3-2)特許法第36条第3項ないし第5項について
下記(3-3)において述べるとおり、本件特許明細書が記載不備とはいえない。

(2-4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(3-1)申立ての理由の概要
(特許法第36条第3項ないし第4項)
・実施例の「エロジール#200」は、明細書中に、どこの製品であるのか、その平均粒径、比表面積がいくつであるかも明示されていない。したがって、平均粒径、比表面積が、特許請求の範囲のものかどうか確認できない。
・「表ー1」の「◎、○、△、×」との評価が、それぞれ具体的に何を意味しているのか不明瞭である。「○」と「△」とでは、具体的にどういった差があるのか不明である。
・「表ー1」の「走行性(安全性、記録向上性)、表面雨水排水性、耐久性強度維持の評価方法について、本件特許公報に何ら説明が記載されていない。
(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1ないし請求項4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3-2)本件発明
上記訂正が上記「2.訂正明細書の適否についての判断」で検討したとおり認められる以上、本件の請求項1ないし請求項3に係る発明(以下、本件発明1ないし本件発明3という。)は、上記訂正事項(a)に記載されたとおりのものである。

(3-3)特許法第36条第3項ないし第4項について
・本件特許公報4欄44行等の「エロジール#200」は、どこの製品かは不明であるが、同公報4欄40〜41行には、平均粒子形30ミクロン以下で、且つ比表面積100m2/g以上の超微粒子状のシリカの例であるとの記載があり、その構成自体明りょうであり、記載不備とまではいえない。
・本件特許公報の「表ー1」の「◎、○、△、×」の評価として、「表ー1」の(注)(3)には、判定結果として、それぞれ、「◎極めて良好」、「○良好」、「△稍良好」、「×不良」といった相対評価が記載されており、本件発明が、スプレー仕上げ、トッピング仕上げに比較して、実施例が相対的に良好であることを示したにすぎず、記載不備とまではいえない。
・本件特許公報の「表ー1」の「走行性(安全性、記録向上性)、表面雨水排水性、耐久性強度維持の評価方法について、確かに、具体的には記載されていないが、従来に比してこれらの評価項目が優位であるということを示したにすぎない。また、このことをもって、本件発明が実施できないということもできないから、記載不備とまではいえない。

(3-4)特許法第29条第2項について
本件発明1ないし本件発明3は、上記(2-3-1)の項における(対比・判断)において検討したとおり、甲第1号証ないし甲第6号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明1ないし本件発明3についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし本件発明3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1ないし本件発明3についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
樹脂舗装表面の仕上げ方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、平均粒子径30ミクロン以下で且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカである揺変性付与剤、ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を均一に塗布し、ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走して、その表面を均質な凹凸模様に仕上げることを特徴とする樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項2】樹脂組成物(a)がポリウレタン樹脂組成物である請求項1記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項3】変性したポリウレタン樹脂組成物(b)塗布の所定の厚さが、0.5〜3.0mmである請求項1または2記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は運動競技用のグランド或いはジョギング走路の表面の仕上げ方法に関し、特にポリウレタン樹脂によって舗装されたグランド或いはジョギング走路の表面の仕上げ方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、各種の高分子弾性舗装材が知られており、この舗装材はグランド、ジョギングコース、体育館などに使用されている。
特にこの舗装材が野外施設に用いられる場合、全天候型の特徴が生かされるので、近年その需要は高まっている。中でもポリウレタン弾性舗装材は物性が卓越している上に施工が容易なため特に優れている。然るに、これらのポリウレタン舗装材は施工後の光沢が著しいため、特に屋外の場合、太陽光線を反射しやすく、且つ表面が滑らかで、競技中にスリップしやすい欠点を有する。
これらの欠点を防止するために、従来主として施工後、硬化前の時点で、ポリウレタン、その他のゴムのチップをまく方法(トッピング仕上げ法)がとられている。又、特公昭53-006475号公報、同56-040205号公報では、揺変性を有するポリウレタン樹脂液をスプレーする方法が提案されているが、疾走記録、疾走感等の陸上競技場としての要求が高度化するなかでは、凹凸の度合いが不充分である。特に特公昭56-040205号公報記載の方法のように、粉末の揺変性付与剤のみで揺変性を付与したポリウレタン樹脂は、粘度が高くなり、スプレー作業自体が不可能であり、スプレー可能な粘度領域では、揺変性が不充分で効果的な凹凸が得られない。これらの方法で得られる舗装表面では、使用中にチップがとれたり、汚れが目立ったりするなどの問題点が指摘されていた。又走行の安全性(横ブレ、すべり、転倒防止)からみると、スプレー法は凹凸の度合いが不充分であるので、特に雨中ではすべり易く、転倒し易い欠点があった。
〔発明が解決しようとする課題と課題を解決するための手段〕
本発明者らは、好ましくはポリウレタン舗装材の表面に凹凸模様を与え、且つ耐久性に富んだ舗装面を得るための方法について鋭意検討した結果、好ましくはポリウレタンによる樹脂舗装面に未だその樹脂組成物が完全硬化しないうちに揺変性ポリウレタンをローラーにて塗装する方法により適度の凹凸模様で耐久性に富んだ高性能(記録向上性、表面雨水排水性、表面均一性維持)の舗装面が得られることを見出して、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は次の通りである。
樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、揺変性付与剤、極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)をローラーにて凹凸のある舗装表面とする樹脂舗装表面仕上げ方法において、変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を均一に塗布し、次いでローラー(第1)を転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続きローラー(第2)を転走してその表面を均質な凹凸模様に仕上げる樹脂舗装表面の仕上げ方法。
本発明の目的はすでに述べた通り、凹凸模様を与え、且つ耐久性に富んだ舗装表面を提供することにある。
本発明の方法は、公知の好ましくはポリウレタンによる舗装方法に従って下地樹脂を施工したのち、ポリウレタンを主体とし、これに特定の揺変性付与剤、極性溶剤、充填剤並にその他の助剤とを配合した材料をローラーにて塗布し凹凸のある舗装表面に仕上げることにより行われる。
公知のポリウレタン舗装方法としては、例えば特公昭44-022914号公報、特開昭48-019643号公報等に記載されている方法があるが、一般にいわゆる2液型システム、即ち有機ポリイソシアナート又は該有機ポリイソシアナートのイソシアナート基の一部をポリオールと予め反応させて得られるプレポリマーとウレタン化学において用いられる公知のポリオール、ポリアミン、充填剤、可塑剤、触媒、顔料、安定剤などからなる成分とを常温で混合し、必要に応じて予めプライマーを塗布したコンクリート、アスファルトコンクリートなどの上に5〜30mmの厚さに被覆する方法により施工される。この場合、ポリウレタン、その他のゴムの骨材を加えてもよい。
イソシアナート基過剰のプレポリマー中に充填剤、可塑剤、触媒、顔料、安定剤等を混合し、空気中の水分で硬化させる1液型システム或いは溶液型熱可塑性ポリウレタン配合物、ポリウレタンエマルジョン配合物も、もちろん使用可能である。施工は回分式の手作業によるか、面積の広い場合は前記特公昭44-022914号公報に記載されているような機械を用いる連続法により行われる。又、予め工場で製造したシートを現場ではり合わせる、いわゆるプレハブ法によることもできる。
本発明で用いる表面仕上げ材料としては上記の公知のポリウレタン材料システムを主体とし、これに平均粒子径30μ(ミクロン)以下で、且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカ並びに、極性溶剤及び/又はポリエチレングリコール又はその誘導体、無機質充填剤、その他の助剤を配合し変性したものが用いられる。
平均粒子径30ミクロン以下で且つ比表面積100m2/g以上の超微粒子状のシリカの例としては市販のエロジール、カーボシル、ハイシール、ウルトラシール、カープレックス、サイロイド、ニップシール等の各種グレード品があるが、特にエロジール#200、#380は揺変性付与効果が優れている。
尚、超微粒子状シリカは基本的にはSiO2を主成分とするものであるが、特にAl2O3、TiO2等の成分を含む変性品も市販されており、これらも使用可能である。超微粒子状シリカの配合量は通常、主体とするポリウレタン材料システム中の固形分に対し重量比で0.5乃至10%程度が適当である。
凹凸の効果を増すためには配合量を増やせば良いが必要以上に増量すると物性低下をきたし、好ましくない。尚、固形分とはポリウレタン材料システムが溶剤の如き揮発性成分を含む場合は、その揮発性成分を差し引いた残りの成分を意味する。
極性溶剤としては、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
これらはトルエン、キシレン、ヘキサン等の非極性溶剤と混合して用いることもできる。
極性溶剤の量は通常、主体とするポリウレタン材料システムの固形分に対して重量比で0.5乃至10%が適当である。通常、非極性溶剤もあわせて使用するが、その量は1乃至50重量%が適当である。ポリエチレングリコールとしては、平均分子量100〜20,000で任意のエーテル化もしくはエステル化誘導体を含む。配合量はポリウレタン材料システム中の固形分に対して、重量比で0.01乃至50%が適当である。
塗布用材料は調合後できるだけ速やかに使用することが好ましい。
一般には、ローラーとは建築塗装で使用されるローラーブラシ又はローラー刷毛を指し、ローラーの全面に塗料を含ませ、回転させながら塗装する。
本発明でいうローラーはローラーの中でも多孔性に加工したもので、例えばマスチックハンドローラー、パターンローラー、砂骨材ローラー(いずれも大塚刷毛製造株式会社)等がある。又独自で多孔性に加工したものも使用できる。又圧送ローラー等の機械も使用できる。
ローラーの材質はポリウレタン樹脂、醋酸ビニル樹脂や他のプラスチックを発泡させたもの又、金属(ステンレス鋼、真鋳、アルミニウム等)製の金網やパンチングメタルを巻いたもの等があるが好ましいものはポリウレタン樹脂を発泡させた後、加工したスケルトンフォームである。
これらのローラー面の穴の大きさは2〜20メッシュ、更に好ましくは4〜10メッシュである。
塗布方法としては、マスチックローラー、ウーローラー、砂骨ローラーのいずれでもよいがマスチックローラーを使用すると表面の凹凸が顕著である。
ローラーを用いて、塗布するにあたっては、例えば、ローラーに揺変性ポリウレタン樹脂組成物塗材を含浸させて塗布し、凹凸模様仕上げをする方法、更に、大面積に均一な凹凸模様仕上げをするには揺変性ポリウレタン樹脂組成物塗材をコテ及びゴムレーキにより塗装面に均一に塗布し、次いでマスチックローラー(第1)により表面を転走し、更に続けて、別のマスチックローラー(第2)をその上から追いかけながら軽く撫でる如く転がして仕上げる方法がある。尚、ここにおけるコテとは金ゴテ、木ゴテのことをいう。
具体的に厚みを均一に塗布する方法は、スクイジー又は櫛ゴテでタテ或いはヨコ方向に均一に引いた後、その上をコテ又はゴムレーキにて均一の厚みにならすのがよい。
マスチックローラーの転走方法は、最初のローラー(第1)をタテ方向に転走したなら、次のローラー(第2)はヨコ方向に転走させる方が凹凸模様の凸部が独立するので好ましい。タテ方向だけ或いはヨコ方向だけに転走させると凹凸模様の凸部が連続的に繋がりやすくなる。
屋外のスポーツサーフェイスの表面仕上げの凹凸模様の形状は特に陸上競技場走路としては衝撃吸収性、緩衝性、反発性、適度のすべり抵抗等の点から、記録性や安全性等の走行性能、更に維持管理、美観等から総合的に決められるべきであり、ポリウレタン弾性全天候舗装の出現以来トッピング仕上げが主流であったが最近では、これらの点からエンボスという凹凸模様の方向に変化してきている。
その形状構造の最適なものとしては前記変性されたポリウレタン樹脂組成物の塗布厚は0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜1.5mmが好適である。
材料の塗布量は通常固形分として1m2あたり500g乃至3kgで十分である。但し、ここにいう固形分とは塗布材料中の固形分のことで、前記ポリウレタン材料システム中の固形分に超微粒子状シリカ及び無機質充填剤分を加算したものを意味する。
塗布の時期は、下地樹脂との接着性の点から下地樹脂の施工後、6時間乃至100時間程度の比較的速い時点が好ましいが、ベタつきが既になくなった後の場合は、各種の溶剤やプライマー等を下地樹脂に塗布するか、下地樹脂の表面を磨いて凹凸をつけた後に塗布すれば完全に密着する。尚、下地樹脂は必ずしもポリウレタンに限定されず、エポキシ、アクリル、ポリエステル、SBR、塩化ビニル等の樹脂又はこれら樹脂のチップをバインダーで固めたものであってもよいが、実用上はポリウレタン系乃至はこれのチップをバインダーで固めたものが最も好ましい。施工の方法として通常、下地樹脂の施工後に現場で塗布する方法が用いられるが工場で塗布した樹脂シートを現場ではり合わせる、いわゆるプレハブ工法も可能である。
本発明によれば、従来公知のポリウレタン材料システムに、特殊な揺変付与効果を有する充填剤及び溶剤を配合した材料を下地樹脂の表面に先に述べたローラーにて塗布するだけの簡単で経済的な方法により、適度の凹凸を持ち、且つ耐久性に富む高性能の舗装表面が得られるので、その効果は極めて顕著である。
尚、ローラー塗装では、作業巾が広いため、任意の揺変性と粘度のポリウレタン樹脂を利用できるため、目的に応じた所望の大きさの凹凸模様を与えることが可能であり、しかも、チップによるトッピングの仕上げのような脱落の心配がない。
〔実施例〕
以下、本発明の方法を実施例により説明する。
実施例1
ポリウレタン弾性舗装用原液システムのA成分として平均分子量2,000のポリオキシプロピレングリコールと過剰のトリレンジイソシアナート(2,4-体/2,6-体=80/20、重量)とを常法により反応させて末端イソシアナート基含有率5.2%のプレポリマーを製造した。
又、B成分としてメチレンビス(o-クロロアニリン)を含む液状ポリアミン32kg、トーナー20kg、重質炭酸カルシウム20kg、液状添加剤28kg、錫触媒4kg、及び耐候安定剤1kgからなるものを調合した。
上記のA、B両成分を重量比1対1で攪拌混合し、予めプライマーを塗布したコンクリート下地の上に流して12mmの厚さに舗装施工した。ポットライフは約50分であった。約20時間経過後、上記下地樹脂の表面にややベタつきが残っている時点で上記A成分100kg、B成分100kg、エロジール#200を7kg、ジメチルアセトアミド5kg、トルエン35kgを攪拌混合した材料を金ゴテにて1m2当り約1.4kg(約1.2mm)を平滑に塗布した後、大塚刷毛製造(株)製マスチックローラーにて一本目のローラーはタテ方向に、二本目のローラーはヨコ方向に軽く押さえるように転がして仕上げた。硬化時間は約1時間で、適度な凹凸模様が得られた。この表面は特に陸上競技場用に卓越した性能を有し、経時的に性能が変化しない特徴を有していた。即ち、走行性と維持管理において、表-1に示した如く、優れた効果が得られた。

〔発明の効果〕
本発明の仕上げ方法により、適度な弾性、適度な凹凸表面を持ち、光反射の少ない、艶消し表面でスリップの恐れのない、しかも、卓越した強度と耐久性を有する舗装面が得られる。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(a)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1ないし3を次のとおり訂正し、請求項4を削除する。
「【請求項1】樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、平均粒子径30ミクロン以下で且つBET法による比表面積100m2/g以上の超微粒子状シリカである揺変性付与剤、ジメチルスルフオキシド、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの1種、又は2種以上の混合物である極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を、均一に塗布し、ポリウレタン樹脂を発泡させて加工したスケルトンフォームを用いて得られた多孔性に加工したローラー(第1)を、タテ方向に転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続き該多孔性に加工したローラー(第2)をヨコ方向に転走して、その表面を均質な凹凸模様に仕上げることを特徴とする樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項2】樹脂組成物(a)がポリウレタン樹脂組成物である請求項1記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。
【請求項3】変性したポリウレタン樹脂組成物(b)塗布の所定の厚さが、0.5〜3.0mmである請求項1または2記載の樹脂舗装表面の仕上げ方法。」
(b)本件特許明細書5頁7〜19行(特許公報3欄42行〜4欄3行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。
「即ち、本発明は次の通りである。
樹脂組成物(a)による弾性舗装の舗装面に、揺変性付与剤、極性溶剤、無機質充填剤、その他の助剤を添加して変性したポリウレタン樹脂組成物(b)をローラーにて凹凸のある舗装表面とする樹脂舗装表面仕上げ方法において、変性したポリウレタン樹脂組成物(b)を均一に塗布し、次いでローラー(第1)を転走してその表面を粗い凹凸模様とした後、引続きローラー(第2)を転走してその表面を均質な凹凸模様に仕上げる樹脂舗装表面の仕上げ方法。」
(c)本件特許明細書14頁7行〜16頁8行(特許公報7欄4行〜8欄14行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
(d)本件特許明細書14頁9〜20行(特許公報8欄15〜25行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。
「実施例1
ポリウレタン弾性舗装用原液システムのA成分として平均分子量2,000のポリオキシプロピレングリコールと過剰のトリレンジイソシアナート(2,4-体/2,6-体=80/20、重量)とを常法により反応させて末端イソシアナート基含有率5.2%のプレポリマーを製造した。
又、B成分としてメチレンビス(o-ク口口アニリン)を含む液状ポリアミン32kg、トーナー20kg、重質炭酸カルシウム20kg、液状添加剤28kg、錫触媒4kg、及び耐候安定剤1kgからなるものを調合した。
上記のA、B両成分を重量比1対1で攪拌混合し、予めプライマーを塗布したコンクリート下地の上に流して12mmの厚さに舗装施工した。ポットライフは約50分であった。約20時間経過後、上記下地樹脂の表面にややベタつきが残っている時点で上記A成分100kg、B成分100kg、エロジール#200を7kg、ジメチルアセトアミド5kg、トルエン35kgを攪拌混合した材料を金ゴテにてlm2当り約1.4kg(約1.2mm)を平滑に塗布した後、大塚刷毛製造(株)製マスチックローラーにて一本目のローラーはタテ方向に、二本目のローラーはヨコ方向に軽く押さえるように転がして仕上げた。硬化時間は約1時間で、適度な凹凸模様が得られた。この表面は特に陸上競技場用に卓越した性能を有し、経時的に性能が変化しない特徴を有していた。即ち、走行性と維持管理において、表-1に示した如く、優れた効果が得られた。」
(e)本件特許明細書「表-1」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。

異議決定日 2001-10-22 
出願番号 特願平2-330664
審決分類 P 1 651・ 531- YA (E01C)
P 1 651・ 534- YA (E01C)
P 1 651・ 121- YA (E01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川島 陵司  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 伊波 猛
鈴木 公子
登録日 1998-07-31 
登録番号 特許第2810227号(P2810227)
権利者 三井化学株式会社
発明の名称 樹脂舗装表面の仕上げ方法  
代理人 高橋 勝利  
代理人 苗村 新一  
代理人 最上 正太郎  
代理人 最上 正太郎  
代理人 苗村 新一  

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