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審決分類 審判 一部申し立て 特174条1項  B01F
管理番号 1053277
異議申立番号 異議2001-71396  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-09-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-05-09 
確定日 2002-02-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第3108577号「異種材料の複合方法」の請求項2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3108577号の請求項2に係る特許を維持する。 
理由 【1】本件発明
本件特許第3108577号についての出願は、平成6年3月7日に出願され、平成12年9月8日にその請求項1、2に係る発明に対して特許権が設定登録されたものであり、その後、請求項2に係る特許に対し異議申立人松本久紀より特許異議の申立がなされたものである。
そして、本件の請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)は、その特許請求の範囲の請求項2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項2】柔軟性を有し仕切りのない容器に、各々が独立した層を形成するように種類の異なる複数の材料を充填し、この容器に外力を加えて変形させることにより、上記容器に設けられた排出口から複数の材料を複合してマーブル状に供出する異種材料の複合方法であって、
各材料により形成される層が、容器内の領域を排出口面に対し略垂直な方向に分割するように、種類の異なる複数の材料を充填するとともに、上記容器として、上画から下面にかけて面積が次第に広くなるように側面部が形成され、かつ容器下面にこの下面よりも面積の狭い排出口が形成された容器を用い、この容器に上面側から外力を加えて変形させることにより、複数の材料を複合して供出することを特徴とする異種材料の複合方法。」

【2】特許異議申立の概要
特許異議申立人は、証拠として、甲第1号証(特開平7-241449号公報)、甲第2号証(本件出願に係る平成12年6月22日付け手続補正書の写し)を提示し、
「本件は、原審審査の過程において、平成12年6月22日付けの手続補正(甲第2号証)により、請求項2を含む明細書全文が補正されたものである。しかしながら、柔軟性を有する容器に、略垂直な方向に分割するように種類の異なる複数の材料を充填する請求項2に係る発明において、特に、柔軟性を有する容器として、上面から下面にかけて面積が次第に広くなるように側面部を形成する点は、出願当初の明細書又は図面に全く記載がなく、しかも直接かつ一義的に導き出せるものではない。したがって、上記手続補正は、新規事項の追加にあたることは明白であるから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたこととなり、特許法第113条第1項第1号の規定により取り消されるべきものである。」旨主張している。

【3】出願当初の明細書の記載抜粋
「本実施例に係る異種材料の複合方法は、例えば複数の色を配合したアイスクリーム等の多色食品を提供するための方法である。」(段落【0019】)、
「この方法では、図1に示すような押出用容器1が用いられる。この押出用容器1は、截頭錐体の側面部に複数の平行段部2a…を備えた中空状の容器本体2を備えている。すなわち、この容器本体2は、開口された下面2bの面積が、上面2cの面積よりも広くなるように、上記平行段部2a…によって形成された階段状の側面を有している。尚、容器本体2は、上面2cから下面2bにかけて次第に面積が広くなるように形成されていれば、上記のような平行段部2a…を側面に形成したものでなくてもよく、例えば平滑な傾斜面により側面が形成されたものでもよい。」(段落【0020】)

【4】当審の判断
上記出願当初の明細書の段落【0019】の記載によれば、複数の材料により形成される層は、容器内の領域をどのように分割して充填されるのか、ということについて限定されていない。
換言すれば、図面の【図4】に示されるような、食材4aが食材4bに含まれる多色食品(以下、「包含状多色食品」という。)や、【図8】に示されるような、左右に色の分かれたマーブル状の多色食品(以下、「マーブル状多色食品」という。)を提供するための方法が、共に、この段落【0019】に記載される「異種材料の複合方法」に含まれていると云える。
そして、この段落【0019】につづく次の段落【0020】の冒頭においてただちに記載される「この方法では、図1に示すような押出用容器1が用いられる。」という記載は、「包含状多色食品」や「マーブル状多色食品」を提供する際に、図1に示されるような、複数の平行段部によって形成された階段状の側面を有する容器本体2を備えた押出用容器1が用いられることを意味するものと解される。
つまり、図1に示される押出用容器1に、各材料により形成される層が、容器内の領域を排出口面に対し略平行な方向に分割するように、種類の異なる複数の材料が充填されていても、段落【0020】の記載は、図1を参照した、押出用容器1の構造についてしか説明していない、とするのが相当である。
そして、段落【0020】には、「この方法」に用いられる容器本体2は、平行段部を備えた容器本体の外に、平滑な傾斜面により側面が形成される容器本体でもよいことが記載されている。
してみれば、「マーブル状多色食品」を供出する際に、平滑な傾斜面により側面が形成される容器本体、即ち、上面から下面にかけて面積が次第に広くなるように側面部が形成された容器本体を用いることは、出願当初の明細書の段落【0019】、【0020】、及び、図面の【図1】に記載されていたと云うべきである。
それゆえ、柔軟性を有する容器に、略垂直な方向に分割するように種類の異なる複数の材料を充填する請求項2に係る発明において、柔軟性を有する容器として、上面から下面にかけて面積が次第に広くなるように側面部を形成する点は、出願当初の明細書又は図面から直接かつ一義的に導き出せるものといえるから、この点は出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものと認められる。
したがって、請求項2に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである、とすることはできない。

【5】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び証拠方法によって、請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-01-15 
出願番号 特願平6-35878
審決分類 P 1 652・ 55- Y (B01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 亀井 孝志
清田 栄章
登録日 2000-09-08 
登録番号 特許第3108577号(P3108577)
権利者 日世株式会社
発明の名称 異種材料の複合方法  
代理人 原 謙三  

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