• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1054427
審判番号 不服2000-2429  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-05-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-24 
確定日 2002-03-12 
事件の表示 平成 9年特許願第299051号「自動ハンダ付け機構及びその機構を用いる装置並びにそのハンダ付け方法」〔平成11年 5月21日出願公開、特開平11-135932、請求項の数(32)〕拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願発明
本願は、平成9年10月30日の出願であって、その出願に係る発明は、平成10年12月14日、平成11年4月19日、平成11年10月18日、平成12年3月16日及び平成14年1月31日付の各手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜32に記載された事項により特定されるとおりものであるところ、そのうちの請求項1、14、28項に係る発明は、以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】 切断すべき長さを含むリードが少なくともハンダ付けを行う面側に突出したプリント基板の前記ハンダ付けを行う面側にハンダを噴出させてハンダ付けを行う自動ハンダ付け機構であって、
溶融ハンダを蓄積するハンダ槽と、
不活性ガスの雰囲気中で、前記溶融ハンダを液面より高く噴出させるハンダ噴出ノズルとを備え
前記ハンダ噴出ノズルは、ノズルの幅方向が前記プリント基板の搬送方向に直交し、互いに対向する方向にのみ前記溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ、該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成し、
前記ハンダ噴流により前記リードのプリント基板へのハンダ付けを行うとともに、前記溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆うことを特徴とする自動ハンダ付け機構。」
「【請求項14】 切断すべき長さを含むリードが少なくともハンダ付けを行う面側に突出したプリント基板の前記ハンダ付けを行う面側にハンダを噴出させてハンダ付けを行う自動ハンダ付け機構であって、
前記プリント基板をキャリアへ搭載するための基板搭載機構と、
前記基板搭載機構から搬送されてくる前記キャリア上のプリント基板の裏面にフラックスを塗布するフラックス塗布機構と、 前記フラックス塗布機構で前記フラックスが裏面に塗布されたプリント基板を
予備加熱する予備加熱機構と、
前記自動ハンダ付け機構でハンダ付けされた前記プリント基板を冷却する冷却機構と、
溶融ハンダを蓄積するハンダ槽と、
不活性ガスの雰囲気中で、前記溶融ハンダを液面より高く噴出させるハンダ噴出ノズルとを備え前記ハンダ噴出ノズルは、ノズルの幅方向が前記プリント基板の搬送方向に直交し、互いに対向する方向にのみ前記溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ、該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成し、
前記ハンダ噴流により前記リードのプリント基板へのハンダ付けを行うとともに、前記溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆うことを特徴とする自動ハンダ付け機構。を有することを特徴とする自動ハンダ付け装置。」
「【請求項28】 切断すべき長さを含むリードがハンダ付けを行う面側に突出したプリント基板の前記ハンダ付けを行う面側にハンダ噴流を接触させてハンダ付けを行う自動ハンダ付け方法であって、
前記プリント基板を搬送するプリント基板搬送ステップと、
ノズルの幅方向が前記プリント基板の搬送方向に直交するハンダ噴出ノズルにより、不活性ガスの雰囲気中で互いに対向する方向にのみハンダ槽の溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ、該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成し、前記ハンダ噴流幕により前記リードのプリント基板へのハンダ付けを行うとともに、前記溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆うハンダ噴流幕形成ステップと
を含むことを特徴とする自動ハンダ付け機構。」

2.原査定の拒絶の理由
原審は、平成10年10月20日付で最初の拒絶の理由を通知し、平成11年3月2日付で最後の拒絶の理由を通知した後、平成11年8月26日付で再度最初の拒絶理由を通知し、当該平成11年8月26日付の拒絶の理由により、拒絶査定したものであって、その拒絶の理由は、
刊行物1:特開平3-127896号公報
刊行物2:特開昭51-44545号公報
刊行物3:実願昭56-26785号(実開昭57-140765号)のマイクロフィルム
刊行物4:特開昭63-199064号公報
刊行物5:特開昭63-248566号公報
刊行物6:実願平3-54779号(実開平5-267号)のCD-ROM
刊行物7:特表平7-501657号公報
刊行物8:実願平2-3640号(実開平3-95162号)のマイクロフィルム
を引用し、本願各請求項に係る発明は、いずれも上記各刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
また、特許法第164条第3項で規定する報告(前置報告)において、上記各刊行物に加えて、周知例として
周知例1:特開昭63-281768号公報
周知例2:特開昭63-220972号公報
が例示された。

3.当審の拒絶の理由
当審では、平成14年1月10日付で、改めて最初の拒絶の理由を通知したが、その理由は、上記刊行物2、刊行物3、刊行物6、周知例1及び「プリント回路技術便覧」(初版 日刊工業新聞社 昭和62年2月28日発行 p.966 図9.5.2(f))記載の発明に基づいて、本願各請求項に係る発明は、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、また、明細書の記載が、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないというものである。

4.当審の判断
上記のとおり、本願は、平成14年1月31日付補正書により補正された結果、その請求項1,14には、
「互いに対向する方向にのみ前記溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ、該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成し、
前記ハンダ噴流により前記リードのプリント基板へのハンダ付けを行うとともに、前記溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆うこと」という技術的事項が記載され、
また、請求項28には、
「互いに対向する方向にのみハンダ槽の溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ、該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成し、前記ハンダ噴流幕により前記リードのプリント基板へのハンダ付けを行うとともに、前記溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆うハンダ噴流幕形成ステップとを含むこと」という技術的事項が記載されている。
上記の各技術的事項は、いずれも、
「互いに対向する方向にのみ前記溶融ハンダを、その高さが前記リードの長さ以上になるように噴出させ」る点(以下、「構成要素A」という。)と、
「該噴出した溶融ハンダを合流させ互いに対向する前記ハンダ噴流ノズルの間において前記合流部のほぼ直下に落下させてハンダ噴流幕を形成」する点(以下、「構成要素B」という。)とが、一体として構成されることにより、「ハンダ噴流が溶融ハンダの液面に落下した際にその液面からの跳ね返りのハンダボールが発生しても、合流したハンダの噴流幕がハンダボールの上方を覆う形になるため、ハンダボールがハンダの噴流幕の上方に上がらなくなり、ハンダボールの付着によるプリント基板のハンダ付け不良を防止することが可能となる。」(明細書【0018】段落)という効果を期待できることを示しているのであって、本願各発明においては、上記構成要素Aと構成要素Bとは、いずれも不可分なものとして認識すべきである。
これに対して、原査定又は当審で示した上記刊行物3及び「プリント回路技術便覧」には、上記の構成要素A又は構成要素Bを単独で開示するものではあっても、それらの構成要素を寄せ集めて、上記の効果を奏する構成とすることは、当業者の予測の範囲を超えるものであるし、上記各構成要素を寄せ集めるべき技術的な課題や、動機付けの開示があるわけでもない。
また、上記周知例1の噴流ハンダは、単に「傾斜板部33」及び「案内板部44」上を流れるだけであるから、「ハンダ噴流幕」を構成しているとはいえず、「溶融ハンダ液面から跳ね返って生じるハンダボールを前記ハンダ噴流幕によって覆」う構成でもない。
さらに、上記周知例2のものは、「噴出口の中心に吸込口を取付け、両側から融解したハンダを噴出し、中心より吸込」むものであって、噴出口を上記構成要素Aのように構成しているとはいえないし、吸込口に流入するハンダ流に関しても、上記構成要素Bのようなハンダ噴流幕とはいえないから、上記構成要素A及び構成要素Bのいずれをも開示してはいない。
したがって、請求項1,14,28に係る発明は、原査定及び当審、並びに上記報告で示した各文献に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、請求項2〜13、15〜27、29〜32に係る発明は、いずれも、上記請求項1,14,28に係る発明を直接、又は間接に引用するものであるから、原査定及び当審、並びに上記報告で示した各文献に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、上記平成11年3月2日付及び平成14年1月10日付の拒絶理由で指摘した明細書の記載不備は、いずれも上記手続補正によって、解消している。

5.むすび
以上のとおりであるから、原査定及び当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-02-25 
出願番号 特願平9-299051
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
P 1 8・ 537- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 市川 裕司中川 隆司大畑 通隆  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 鈴木 法明
刈間 宏信
発明の名称 自動ハンダ付け機構及びその機構を用いる装置並びにそのハンダ付け方法  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ