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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04D
管理番号 1054518
審判番号 審判1999-10876  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-06 
確定日 2002-02-14 
事件の表示 平成 7年特許願第180917号「可変速ポンプ吐出流量検出方法およびその装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 1月14日出願公開、特開平 9- 14180]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成7年6月23日の出願であって、その請求項1〜4に係る発明は、平成10年10月28日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりである。
「可変速ポンプの回転数を検出する回転数検出手段と、吸込水槽水位を検出する吸込水槽水位検出手段と、吐出水槽水位を検出する吐出水槽水位検出手段と、演算手段と、を備え、前記吐出水槽水位と吸込水槽水位から演算する実揚程と前記回転数から前記演算手段で前記可変速ポンプの吐出流量を演算する可変速ポンプ吐出流量検出方法であって、予め前記可変速ポンプの回転数と実揚程および吐出流量の関係を示す揚程曲線を全吐出流量域にわたり2〜5次式のいずれかで近似するのに適した1つの近似曲線式と前記可変速ポンプの実揚程と吐出流量および総括損失係数の関係を示す損失抵抗曲線式を求めて両式を前記演算手段に記憶し、前記両式の揚程が等しいと置いて両式の交点の吐出流量を示す式を導出し、前記可変速ポンプの運転中に、前記導出した式に前記回転数と実揚程を代入するとともにニュートン・ラプソン法または逐次二分法またはバイレイ法のいずれか1つの方法により前記交点の吐出流量を演算して、前記可変速ポンプの吐出流量を検出することを特徴とした可変速ポンプ吐出流量検出方法。」
(なお、平成11年7月9日付けの手続補正は、補正の却下の決定により却下された。)

【2】引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した特開平2-86993号公報(以下、「刊行物1」という。)には、
「第1図は本発明の一実施例の概略構成図を示すもので、1 は可変速ポンプ、2は吸込井20の水位計、3は吐出井30の水位計、4はポンプ1の回転数計、5は電子計算機を用いた流量演算制御装置、7 は吐出弁、6は吐出弁7の吐出弁開度計である。そして第8図の従来例とは、吐出弁開度計6による吐出弁7の開度が演算制御装置5に入力され、この開度入力を演算要素とする点が相異するのみである。
次に、第2図および第3図に示すポンプの特性図を参照して本発明における演算内容について説明する。
ポンプの運転点は第2図に示す様にポンプのQ-H特性曲線、実揚程及び配管損失抵抗により決定できる。
従って第2図のポンプのQ-H特性曲線は次の(3)式の二次関数で近似できる。
H=aQ2 +bQ(N/100)+c(N/100)2 …(3)
ここで、H;揚程
Q;流量
N;回転数
a,b,c;係数
吐出弁開度による吐出弁損失抵抗は、第3図の吐出弁開度・損失抵抗曲線より演算で求め、また第2図の配管損失抵抗曲線は、次の(4)式の二次関数で近似できる。
H=h0 +(r0 +rv )(Q2/2S2g)…(4)
ここで、H ;揚程 S2 ;配管断面積
Q ;流量 g ;重力加速度
h0 ;実揚程
r0 ;配管損失抵抗
rv ;吐出弁損失抵抗
前記(3)式と(4)式より第2図に示すポンプ運転点は、下記(5)式で算出できる。
aQ2 +bQ(N/100)+c(N/100)2 =h0 +(r0 +rv )(Q2/2S2g)…(5)
この(5)式より実揚程h0 と吐出弁開度Z、回転数Nに対応する流量が次の(6)式で算出できる。
[(6)式省略。](但し、原文では、(6)式はQの二次方程式である(5)式の解である。)
従って回転数N=100%のときQ-H特性曲線が分かれば(3)式を用いてQ-H特性を近似し、係数a,b,cを求めることができる。
実揚程h0 は、第4図に示す吐出井30の水位と吸入井20の水位差であるが、吐出井30側のポンプ吐出管中心位置に対して水位が上下どの位置にあるかによって判断する。
H4≧H5の時
h0 =H4-H3…(7)
H4<H5の時
h0 =H5-H3…(8)
ここで、H5;ポンプ吐出管中心位置
H4;吐出井水位
H3;吸入井水位
(3)式において、係数a,b,cを求める時、第5図に示すように、Q-H特性曲線を2本の二次曲線で近似すれば、近似の精度を向上することが可能であり、2本の二次曲線に対応する係数a1 ,b1 ,c1 ,a2 ,b2 ,c2 を求め、2本の二次曲線が交わる揚程点Kで2組の係数を切換えれば良い。
従って、(6)式の演算プログラム及び係数(a1 ,b1 ,c1 )、(a2 ,b2 ,c2 )を電子計算機の中に格納しておくと、複雑なプログラムを用いることなく、減算、乗算、除算、開平等の基本的な演算機能だけでポンプの吐出流量を正確に算出することができる。
なお上記演算の過程で2組の係数(a1 ,b1 ,c1 )と(a2 ,b2 ,c2 )は、下記演算によって切換えられる。すなわち第6図に示すように2つの二次曲線の切換え点は、可変速ポンプの回転数Nによって異なるので下記(9)式によって切換揚程点Hrを求める。
Hr=αN2 …(9)
ここでαは係数であり2組の二次曲線から求めた流量Q1 ,Q2 に対応する全揚程、H1 ,H2 は次の(10)式および(11)式より
H1 =h0 +(r0 +rv )(Q12/2S2g)…(10)
H2 =h0 +(r0 +rv )(Q22/2S2g)…(11)
となる。
H1 ,H2 と(9)式で求めたHrを比較してH1 ≧Hrの時Q=Q2 とし、H2 ≦Hrの時Q=Q2 とする。」(但し、「/」を含む括弧内の式は、原文では分数表記である。)(第2頁左下欄第4行〜第3頁左下欄第8行)、
との記載があり、
これらの記載及び図面の記載からみて、刊行物1には、
「可変速ポンプ1の回転数を検出する回転数計4と、吸込井20の水位を検出する吸込井水位計2と、吐出井30の水位を検出する吐出井水位計3と、演算制御装置5と、を備え、前記吐出井水位と吸込井水位から演算する実揚程と前記回転数から前記演算制御装置5で前記可変速ポンプ1の吐出流量を演算する可変速ポンプ吐出流量検出方法であって、予め前記可変速ポンプの回転数と実揚程および吐出流量の関係を示す揚程曲線を全吐出流量域にわたり2組の二次曲線で近似した近似曲線式と前記可変速ポンプの実揚程と吐出流量および総括損失係数の関係を示す損失抵抗曲線式を求めて両式を前記演算制御装置5に記憶し、前記両式の揚程が等しいと置いて両式の交点の吐出流量を示す式を導出し、前記可変速ポンプの運転中に、前記導出した式に前記回転数と実揚程を代入するとともに二次方程式の解を求める代数的方法により前記交点の吐出流量を演算して、前記可変速ポンプの吐出流量を検出した可変速ポンプ吐出流量検出方法」、
という発明が記載されているものと認められる。

【3】対比・判断
そこで、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された「回転数計4」、「吸込井20」、「吸込井水位計2」、「吐出井30」、「吐出井水位計3」、「演算制御装置5」は、それぞれ、本願発明1の「回転数検出手段」、「吸込水槽」、「吸込水槽水位検出手段」、「吐出水槽」、「吐出水槽水位検出手段」、「演算手段」に相当するから、
両者は、
可変速ポンプの回転数を検出する回転数検出手段と、吸込水槽水位を検出する吸込水槽水位検出手段と、吐出水槽水位を検出する吐出水槽水位検出手段と、演算手段と、を備え、前記吐出水槽水位と吸込水槽水位から演算する実揚程と前記回転数から前記演算手段で前記可変速ポンプの吐出流量を演算する可変遠ポンプ吐出流量検出方法であって、予め前記可変速ポンプの回転数と実揚程および吐出流量の関係を示す揚程曲線を全吐出流量域にわたり曲線で近似した近似曲線式と前記可変速ポンプの実揚程と吐出流量および総括損失係数の関係を示す損失抵抗曲線式を求めて両式を前記演算手段に記憶し、前記両式の揚程が等しいと置いて両式の交点の吐出流量を示す式を導出し、前記可変速ポンプの運転中に、前記導出した式に前記回転数と実場程を代入するとともに前記交点の吐出流量を演算して、前記可変速ポンプの吐出流量を検出した可変速ポンプ吐出流量検出方法、
で一致し、以下の各点(イ)、(ロ)で相違している。
(相違点)
(イ)本願発明1では、近似曲線式が2〜5次式のいずれかで近似するのに適した1つの式であるのに対し、刊行物1記載の発明では、2組の二次曲線で近似した式である点。
(ロ)近似曲線式と損失抵抗曲線式の交点の吐出流量を演算する方法が、本願発明1では、ニュ-トン・ラプソン法または逐次二分法またはバイレイ法のいずれか1つの方法であるのに対し、刊行物1記載の発明では、二次方程式の解を求める代数的方法である点。
以下、前記各相違点(イ)、(ロ)について検討する。
・相違点(イ)について;
本願発明1も、刊行物1に記載された発明も、共に、全吐出流量域にわたり揚程曲線を近似曲線式で近似するものである。
そして、数値解析の手法において、観測される実曲線を近似する場合、適当な区間毎に近似した曲線式をあてはめて全体を近似するか、あるいは、近似するのに適した一つの曲線にて近似するかは、解析の精度や速度等を考慮して選択されるべきものであり、また、近似曲線をn次の代数式で近似させようとする場合に、該近似曲線の次数は、近似対象たる実曲線の特性や実曲線と近似曲線との間に生ずる誤差等を考慮して選択されるべき一般的な設計事項にすぎないものである。
また、揚程曲線を2次式以上の関数にて近似できないという技術常識が、当核技術分野において存在する訳でもない。
それゆえ、刊行物1に記載された発明の揚程曲線の近似曲線式を、2〜5次式のいずれかで近似するのに適した1つの近似曲線式とすることは、当業者が容易になし得たものというべきである。
・相違点(ロ)について;
n次の代数方程式の解を電子計算機で求める数値計算法に、ニュートン・ラプソン法または逐次二分法またはバイレイ法があることは、本願出願前、当業者にとって周知の事項にすぎない。
それゆえ、刊行物1記載の発明の近似曲線式と損失抵抗曲線式との交点の吐出流量を演算する方法として、上記周知の数値計算法を採用することは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る程度の設計事項にすぎないものと認められる。
そして、本願発明1の構成によってもたらされる効果も、刊行物1に記載された発明、及び上記周知の事項から当業者であれば当然予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

【4】むすび
以上のとおりであって、本願発明1は、刊行物1に記載された発明、及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-11-28 
結審通知日 2001-12-07 
審決日 2001-12-19 
出願番号 特願平7-180917
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長崎 洋一佐藤 正浩中野 宏和  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 栗田 雅弘
清田 栄章
発明の名称 可変速ポンプ吐出流量検出方法およびその装置  
代理人 森山 哲夫  
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