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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1054566 |
審判番号 | 審判1999-17498 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-08-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-11-02 |
確定日 | 2002-02-04 |
事件の表示 | 平成7年特許願第27429号「チップ部品の整列供給装置」拒絶査定に対する審判事件[平成8年8月9日出願公開、特開平8-204386]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本件発明 本件出願は、平成7年1月23日に出願されたものであって、平成11年12月2日付け手続補正書による補正は、却下されるものとなったので、本件請求項1〜4に係る発明は、特許請求の範囲に記載の以下の事項によりそれぞれ特定されるものである。 【請求項1】後端部に収納室を有し、前端部に上記収納室に収納されたチップ部品を1個ずつ整列させて排出する排出口を有するバルクカセットと、 このバルクカセットの後端部に着脱可能に取り付けられ、内部に複数のチップ部品を収納する収納空間を有し、前端部に上記収納空間内のチップ部品を上記バルクカセットの収納室へ供給する供給口を有するチップケースとを備えた整列供給装置において、 上記チップケースの後端部にはチップ部品を収納空間へ補給するための補給口が設けられていることを特徴とする整列供給装置。 【請求項2】複数のチップ部品を収納する収納室と、収納室に収納されたチップ部品を1個ずつ整列させて排出する排出口とを備えた整列供給装置において、 上記収納室の後端部には部品補給用の補給口が設けられていることを特徴とする整列供給装置。 【請求項3】請求項1または2に記載の整列供給装置において、 上記補給口には、開閉自在な蓋体とこの蓋体を閉鎖方向に付勢するリターンスプリングとが取り付けられていることを特徴とする整列供給装置。 【請求項4】請求項1または2に記載の整列供給装置において、 上記補給口は、中央部に切れ目を有する弾性シートで閉じられていることを特徴とする整列供給装置。 2. 引用文献に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された「特開平7-15169号公報」(以下、「引用文献」という。)には、 段落番号【0008】に、「(7)は供給台であり、チップ部品(5)を供給する部品供給装置(8)が多数台配設されている。・・」、 段落番号【0013】に、「部品供給装置(8)について図5及び図6に基づき詳述する。図5に於いて、・・(39)はバラの状態でチップ部品(4)を収納するバルクケースである。該バルクケース(24)中の部品(4)はチャンバ(40)を介して落下し、シュート(41)内に一列に整列する。」、 段落番号【0015】に、「シュート(41)の出口には、図6のように90度間隔に部品(5)が入り込むための溝(45)が切欠かれたロータ(46)が設けられている。シュート(41)内を案内された部品(5)は、シュート(41)の出口に位置する溝(45)内に、後続の部品(5)に押され収納される。該部品(5)は溝(45)内でチップ部品載置面(47)上に載置され、ロータ(46)が回動する場合は該載置面(47)上を摺動して移動する。」、及び、 段落番号【0016】に、「部品(5)が溝(45)内に供給されると、図6の時計回りの方向に90度回動し停止することにより、先頭の部品(5)はシュート(41)内の部品(5)より分離され次の溝(45)がシュート(41)の出口に位置し、・・シュート(41)より部品(5)が分離される位置からロータ(46)の180度回転した位置で吸着ノズル(14)によりチップ部品(5)は取り出される。」 と記載されており、段落番号【0013】に記載の「該バルクケース(24)中の部品(4)はチャンバ(40)を介して落下し、」は、該バルクケース(39)中の部品(5)はチャンバ(40)を介して落下し、の誤記と認められるので、バルクケース(39)には、チャンバ(40)の方向即ち下方に開口する部分があることが実質的に記載されるものと認められる。したがって、これら記載と、第5,6図の記載とを併せみれば、引用文献には、 A 後方にチップ部品(5)を収納するチャンバ(40)を有し、前方にチップ部品(5)を1つずつ整列させて排出するシュート(41)の出口を有する部品供給装置(8)と、 この部品供給装置(8)の後端部にバルクケース(39)を有し、バルクケース(39)の内部の空間にバラの状態でチップ部品(5)を収納し、バルクケース(39)の下端に収納したチップ部品(5)を上記チャンバ(40)へ供給する開口する部分を有すること、及び、複数の部品供給装置(8)を設けること が記載されるものと認められる。 そして、部品供給装置(8)とバルクケース(39)との取り付け関係について、引用文献には、 段落番号【0002】に、「【従来の技術】・・部品供給装置にはチップ部品を収納するバルクケースが備えられ、チップ部品が無くなり材料切れになった場合には、作業者は自動運転を停止して、バルクケースをチップ部品が満杯な新しいバルクケースに交換している。」、及び、 段落番号【0036】に、「 第1及び第2の実施例のようにすれば、バルクケース(39)が交換可能でメーカにより満杯にされたバルクケースを購入して部品切れの場合に交換して装着動作を続行しようとする場合は、該バルクケースの管理が大変であり、また部品の単価も安く成りにくいのに対してバラの状態で大きな数量のロットで安価で購入することができ、バルクケースを管理する必要がなくなる。また、作業者がバルクケースを交換するよりも、本実施例のように補充するほうが時間が短時間で済み、装着装置の稼働率が上がる。」 と記載されていることから、引用文献には、 B 従来より、部品供給装置(8)とバルクケース(39)とは着脱可能であったこと が記載されるとともに、引用文献に記載の発明においては、 C 部品供給装置(8)とバルクケース(39)とは着脱可能であることの必要性はないこと が示唆されている。 さらに、引用文献には、 段落番号【0002】に、「【従来の技術】・・部品供給装置にはチップ部品を収納するバルクケースが備えられ、チップ部品が無くなり材料切れになった場合には、作業者は自動運転を停止して、バルクケースをチップ部品が満杯な新しいバルクケースに交換している。」、 段落番号【0004】に、「・・本発明は部品供給装置に電子部品の材料切れの際に部品補充に掛かる手間を軽減することを目的とする。」、及び、 段落番号【0019】に、「前記バルクケース(39)の上部には部品補充用の開口(52)が設けられており、前記補充ノズル(27)が伸長したときに該開口(52)を介してバルクケース(39)の中に挿入可能になされている。・・チップ部品(5)がバルクケース(39)内に残り少なくなってきた場合に投光器の光が遮光されずに受光器に受光されことにより部品(5)を補充すべきことを検出する。該検出はシュート(41)内やチャンバ(40)内の部品(5)の有無を検出してもよく、吸着ノズル(14)が最後の1個の部品(5)を取出してその次に取り出そうとして例えば連続2回吸着ができない場合に部品切れと判断してもよい。」 と記載されており、 これら記載と、第5図の記載を併せみれば、引用文献には、 D バルクケースの上端部には、チップ部品(5)がバルクケース(39)内に残り少なくなってきた場合に、部品を補充するための開口(52)が設けられていること が記載されるものと認められるので、引用文献には、以下の発明が記載されるものと認められる。 後部にチップ部品(5)を収納するチャンバ(40)を有し、前方に上記チャンバ(40)に収納されたチップ部品(5)を1個ずつ整列させて排出するシュート(41)の出口を有する部品供給装置(8)と、 この部品供給装置(8)の後端部に取り付けられ、内部にチップ部品(5)を収納する空間を有し、下端部に上記収納空間内のチップ部品(5)を上記部品供給装置(8)のチャンバ(40)へ供給する開口する部分を有するバルクケース(39)とを備えたそれぞれ複数の部品供給装置(8)とバルクケース(39)「整列供給装置」とからなる、チップ部品を整列して供給する装置(以下、「引用文献第1発明」という。) 複数のチップ部品(5)を収納するチャンバ(40)及びバルクケース(39)と、チャンバ(40)に収納されたチップ部品(5)を1個ずつ整列させて排出するシュート(41)の出口とを備えた部品供給装置(8)を複数有する整列して供給する装置において、 上記バルクケース(39)の上端部にはチップ部品(5)を補給するための開口(52)が設けられているチップ部品を整列して供給する装置(以下、「引用文献第2発明」という。) が記載されるものと認められる。 3. 対比判断 3-1 請求項1に係る発明について ここで、本件請求項1に係る発明と、引用文献に記載された発明とを比較すると、引用文献には、引用文献第1発明が記載されており、引用文献1に記載の「部品供給装置(8)」及び「バルクケース(39)」は、本件請求項1に係る発明の「バルクカセット」及び「チップケース」に相当し、引用文献1に記載の「部品供給装置(8)」と「バルクケース(39)」の2者で、本件請求項1に係る発明の「整列供給装置」に対応するものと認められる。 また、引用文献に記載の「チャンバ(40)」、「チップ部品(5)」、「シュート(41)の出口」、及び、「開口(52)」は、それぞれ本件請求項1に係る発明の「収納室」、「チップ部品」、「排出口」、及び、「補給口」にそれぞれ相当するものと認められるとともに、引用文献に記載のバルクケース(39)に設けた開口(52)の位置を示す「下端部」と本件請求項1に係る発明にいう「前端部」とは、その意図する位置に置いて格別の差異を認められないので、両発明は、 後部に収納室を有し、前部に上記収納室に収納されたチップ部品を1個ずつ整列させて排出する排出口を有するバルクカセットと、 このバルクカセットの後端部に取り付けられ、内部に複数のチップ部品を収納する収納空間を有し、前端部に上記収納空間内のチップ部品を上記バルクカセットの収納室へ供給する供給口を有するチップケースとを備えた整列供給装置において、 上記チップケースの上端部にはチップ部品を収納空間へ補給するための補給口が設けられた整列供給装置。 の発明である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。 相違点1 本件請求項1に係る発明の収納室の位置は、バルクカセットの後端であり、排出口の位置は、バルクカセットの前端であるのに対して、引用文献のもののチャンバ(40)の位置は部品供給装置(8)の後部であり、シュート(41)の出口の位置は、部品供給装置(8)の前部である点。 相違点2 本件請求項1に係る発明では、バルクカセットとチップケースとの取り付けが着脱可能であるのに対して、引用文献の部品供給装置(8)とバルクケース(39)との取り付けに関し着脱可能である旨の記載はない点 以下、相違点について検討する。 引用文献のものもチャンバ(40)の位置は部品供給装置(8)の後部であり、シュート(41)の出口の位置は、前部である。相違点1は、これら後部、及び、前部をさらに後端部、前端部とその位置を特定するものであるが、これらの位置の特定は、設計者が設計に当たり適宜決定すべき設計上の事項に属するものと認められるので、相違点1は格別の事項とは認められない。 次に相違点2について検討すると、引用文献には、従来技術として、上記2.Bのとおり、従来より、部品供給装置(8)とバルクケース(39)とは着脱可能であったことが記載されており、引用文献に記載の同従来技術を引用文献第1発明に適用することに格別の困難性は認められないから、相違点2は、引用文献に記載された事項に基づいて当業者が容易になしえた事項であって、格別の事項とは認められない。 また、本件請求項1に係る発明の奏する効果は、引用文献のものから予測される以上の格別のものとは認められない。 したがって、本件請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認める。 3-2 本件請求項2に係る発明について、 本件請求項2に係る発明と、引用文献に記載された発明とを比較すると、引用文献には、引用文献第2発明が記載されており、引用文献第2発明の「部品供給装置(8)のチャンバ(40)及びバルクケース(39)」は、本件請求項2に係る発明の「収納部」に対応するものと認められるから、 相違点3 本件請求項2に係る発明は、収納室を有するものであるのに対して、引用文献のものはチャンバ(40)及びバルクケース(39)により収納している点 で相違し、残余の点で両発明は一致するものと認める。 しかしながら、引用文献には、3.Cのとおり、チャンバ(40)を有する部品供給装置(8)とバルクケース(39)とは着脱可能であることの必要性はないことが示唆されているので、相違点5は、引用文献の示唆に基づいて、当業者が容易になしえた事項であって、格別の事項とは認められない。 また、本件請求項2に係る発明の奏する効果は、引用文献のもの及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められない。 したがって、本件請求項2に係る発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認める。 3-3 本件請求項3に係る発明について 本件請求項3に係る発明と、引用文献に記載された発明とを比較すると、上記格別の事項とは認められない相違点1,2又は同じく格別の事項とは認められない相違点3に加えて、 相違点4 本件請求項3に係る発明は、補給口に、開閉自在な蓋体とこの蓋体を閉鎖方向に付勢するリターンスプリングとが取り付けられているのに対して、引用文献の開口52には蓋体を設けることの開示はない点。 しかしながら、部品を整列供給する装置の部品を収納する部位の開口に蓋を設けることは、原査定の理由に引用された「特開平6-112298号公報の従来部品のホッパ、メインホッパ、サブホッパ」にもあるように格別の事項とは認められず、蓋体を設ける形式として、閉鎖方向に付勢するバネを用いて設けることも、原査定の理由に引用された「実願昭59-136051号(実開昭61-50969号)のマイクロフィルム」にもあるように周知の技術であるから、相違点4は、引用文献のもの及び周知の技術に基づいて当業者が容易になしえたものと認める。 したがって、本件請求項3に係る発明は、引用文献に記載された発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認める。 3-4 本件請求項4に係る発明について 本件請求項4に係る発明と、引用文献に記載された発明とを比較すると、上記格別の事項とは認められない相違点1,2又は同じく格別の事項とは認められない相違点3に加えて、 相違点5 本件請求項4に係る発明は、補給口は、中央部に切れ目を有する弾性シートで閉じられているのに対して、引用文献の開口52には閉じる旨の開示がない点 しかしながら、部品を整列供給する装置の部品を収納する部位の開口部分を閉じることは、原査定の理由に引用された「特開平6-112298号公報の従来部品のホッパ、メインホッパ、サブホッパ」にもあるように格別の事項とは認められず、開口を閉じる形式として、中央部に切れ目を有する弾性シートを用いることは、原査定の理由に引用された「実公昭46-4858号公報」にもあるように周知の技術であるから、相違点5は、引用文献のもの及び周知の技術に基づいて当業者が容易になしえたものと認める。 したがって、本件請求項4に係る発明は、引用文献に記載された発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認める。 4. むすび 以上説示のとおり、本件請求項1〜4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-11-13 |
結審通知日 | 2001-11-26 |
審決日 | 2001-12-13 |
出願番号 | 特願平7-27429 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 黒石 孝志 |
特許庁審判長 |
粟津 憲一 |
特許庁審判官 |
鈴木 久雄 藤井 昇 |
発明の名称 | チップ部品の整列供給装置 |
代理人 | 筒井 秀隆 |