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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 B63B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B63B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B63B |
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管理番号 | 1054576 |
審判番号 | 不服2000-4856 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-06-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-04-06 |
確定日 | 2002-03-19 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第333878号「高速艇船体」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 6月23日出願公開、特開平10-167163、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯と本願請求項の発明 本願は、平成8年12月13日の出願であって、その請求項1乃至3に係る発明は、本件審判請求後の平成14年2月18日付で手続補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。 「【請求項1】 チャインを有する主船体の船首部分下部に前方に突出するように浮舟構造物が形成された高速艇船体において、 前記浮舟構造物の主船体の船首部分下部から前方に突出した突出部分に主船体の船首部分下部の側面より側方へ張り出すチャインを有し、前記浮舟構造物の突出部分のチャインからキールに至る面が高速航走時の滑走面として作用すると共に浮舟構造物の突出部分の上面が上方へ向かって凸形状に形成されていることを特徴とする高速艇船体。 【請求項2】 双胴を有すると共に双胴のそれぞれの船首部分に前記浮舟構造物を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高速艇船体。 【請求項3】 多胴を有すると共に多胴のうちの一部の船首部分に前記浮舟構造物を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高速艇船体。」 2.原査定の拒絶理由についての検討 これに対する原査定の拒絶理由の概要は、浮舟構造物については、周知(必要ならば、特開平7-132875号公報参照。)として、本願請求項1乃至3に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である、実願昭62-40319号(実開昭63-147391号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)、特開平4-283193号公報(以下、「引用文献2」という。)に記載された発明及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた、というものである。 そこで、上記原査定の拒絶理由について検討すると、同拒絶理由に引用された引用文献1には「船首材と静止状態における喫水面との交点よりも下方において、喫水線下より船底に至るまでの船首部分に、喫水面における船首材よりも前方に突出した船首突出部を備えた高速艇」に関する記載が、また、引用文献2には「所定間隔をあけて平行に配置された少なくとも3つの単胴を1つの甲板によって一体に連結してなる三胴以上の多胴船」に関する記載はあるものの、上記各引用文献には本願請求項1に係る発明の「チャインを有する主船体の船首部分下部に前方に突出するように浮舟構造物が形成された高速艇船体において、前記浮舟構造物の主船体の船首部分下部から前方に突出した突出部分に主船体の船首部分下部の側面より側方へ張り出すチャインを有し」という構成(以下、「相違点の構成」という。)についての言及を欠く。 さらに、拒絶査定時に周知として例示した特開平7-132875号公報を見ても、該公報記載の「船体の船首部1」及び「突起状ノ-ズ5」はチャインを有しておらず、上記同様、該公報には本願請求項1に係る発明の上記相違点の構成についての言及を欠く。 そして、本願請求項1に係る発明では、上記相違点の構成を備えたものとすることによって、明細書の【発明の効果】の欄に記載されているとおり「低速から高速に至る広い速力範囲で船体抵抗を減少させることができ、高速時であっても、また荒天航行時であっても安定した航走を実現することが可能となる。」という効果を奏するとされるが、上記各文献をみても上記効果に係る技術的課題についての言及や示唆をしたものはない。 したがって、本願請求項1に係る発明を、上記各引用文献に記載された発明及び前記周技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.請求項2、3に係る発明に関して 請求項2、3に係る発明は、本願請求項1に係る発明を引用し、これに更なる限定を加える発明であるので、本願請求項に係る発明と同様に、上記各引用文献に記載された発明及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.当審で通知した拒絶理由についての検討 当審で通知した平成14年2月8日付けの拒絶理由は、請求項1の記載不備、及び詳細な説明の段落番号【0003】の記載不備を指摘した、最後の拒絶理由である。 そこで、前記拒絶理由に応答する平成14年2月18日付けの手続補正の適否について検討する。 (1)請求項1の記載不備に関して 前記手続補正の特許請求の範囲の請求項1のアンダ-ラインの部分は、出願当初の明細書の段落番号【0006】及び図1の記載、及び線図として記載されている図4及び図5の記載から、直接的かつ一義的に導き出される事項であるので、出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであり、しかも、補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものと認める。 (2)詳細な説明の段落番号【0003】の記載不備に関して 前記手続補正により段落番号【0003】、明細書の図10〜図12及び図面の図10〜図12が削除された。 したがって、平成14年2月8日付けの最後の拒絶理由通知に応答する前記平成14年2月18日付けの手続補正は、特許法第17条の2の規定により、適法に成されたものであって、これにより前記拒絶理由は解消された。 5.むすび 以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることができない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-03-06 |
出願番号 | 特願平8-333878 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B63B)
P 1 8・ 536- WY (B63B) P 1 8・ 537- WY (B63B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山内 康明 |
特許庁審判長 |
粟津 憲一 |
特許庁審判官 |
溝渕 良一 大熊 雄治 |
発明の名称 | 高速艇船体 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 長谷 正久 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 池谷 豊 |
代理人 | 小林 慶男 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |