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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1054612
審判番号 不服2001-5301  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-05-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-05 
確定日 2002-03-13 
事件の表示 平成 3年特許願第299756号「電子部品のリード加工方法及び装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 5月 7日出願公開、特開平 5-111729、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年10月18日の出願であって、その請求項1乃至5に係る発明(以下、「本願発明1」乃至「本願発明5」という。)は、特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】 封止済リードフレームをリード加工金型における所定位置に位置決めすると共に、該リード加工金型の型締時に、該金型に配設した姿勢修正用部材により、傾斜変形した状態のアウターリードの全体を強制的に所定位置に修正し、次に、該封止済リードフレームにおけるダムバーを切断除去し、次に、該封止済リードフレームにおけるアウターリードを所定形状に折り曲げ、次に、該封止済リードフレームにおけるアウターリード先端部のタイバーを切断除去することを特徴とする電子部品のリード加工方法。
【請求項2】 電子部品を封止した封止済リードフレームをリード加工金型における所定位置に供給セットする供給セット工程と、封止済リードフレームにおけるダムバーを切断除去するダムバーカット工程と、封止済リードフレームにおけるアウターリードを所定形状に折り曲げるリード曲げ工程と、封止済リードフレームにおけるアウターリード先端部のタイバーを切断除去するリードカット工程とを有する電子部品のリード加工方法であって、上記封止済リードフレームの供給セット工程が、該封止済リードフレームをリード加工金型の所定位置に位置決めすると共に、上記リード加工金型の型締圧力と該リード加工金型に配設した姿勢修正用部材による位置修正作用とによって、傾斜変形した状態のアウターリードの全体を強制的に所定位置に修正することを特徴とする電子部品のリード加工方法。
【請求項3】 電子部品を封止した封止済リードフレームをリード加工金型における所定位置に供給セットする封止済リードフレームの供給セット機構と、封止済リードフレームにおけるダムバーを切断除去するダムバーカット機構とを備えた電子部品のリード加工装置であって、上記した封止済リードフレームの供給セット機構は、リード加工金型側に配設した封止済リードフレームの位置決用部材と、そのアウターリードの突設姿勢を所定方向へ修正する該アウターリードの姿勢修正用部材とから構成されていることを特徴とする電子部品のリード加工装置。
【請求項4】 アウターリードの姿勢修正用部材を、リード加工金型に供給セットした封止済リードフレームにおけるアウターリード先端部のタイバー側面部と摺接係合する位置に配設して構成したことを特徴とする請求項3に記載の電子部品のリード加工装置。
【請求項5】 アウターリードの姿勢修正用部材におけるアウターリードとの摺接係合面に、封止済リードフレームにおけるアウターリードの突設姿勢を所定方向へ案内する所要の姿勢修正用傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子部品のリード加工装置。」
2.先願明細書の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平2-118386号(特開平4-14856号公報参照)の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「第2図は従来のリードフレームによる半導体装置の形成工程図であり、・・・。 第2図で(1)はリードフレームの一例を示し、(2)は半導体チップを樹脂モールドでパッケージした状態を示す図,(3)はリード端子を個々に切断した状態を示す図,(4)はリード端子を所要形状に折り曲げた状態を示す図である。・・・。
なお該図(2)以降では、該樹脂パッケージ部分とその周囲に露出するリード端子2c部分を拡大して表わしている。
次いで(2)の状態にあるリードフレームを、例えば各リード端子2cの間をブリッジしているタイ・バー2b(図のハッチングA領域)の部分のみを一度に切断除去できる総型バイトを具えたカッタ装置に上記ガイド孔3を基準として装着し、該カッタ装置を動作させることで(3)に示す状態とすることができる。
更に、各リード端子2cを例えば(4)に示す如き所要形状に折り曲げる図示されないベンディング装置に(3)の状態にあるリードフレームを上記ガイド孔3を基準として装着し、該ベンディング装置を動作させて(4)に示す状態にした後、該各リード端子2cを例えば点線Bで示す線で切断することでリードフレーム1から分離した所要の半導体装置を得ることができる。」(明細書第2頁左下欄第7行〜第3頁右上欄第2行)
(2)「従来の如く外枠側に諸工程に共通して使用するガイド孔が設けられているリードフレームでは、搭載する半導体チップが大型化するにつれて樹脂パッケージ後のガイド孔の相対的位置関係に変動が生ずるため、パッケージ後の諸工程における精度が確保できず生産性の向上が期待できないと言う問題があった。」(明細書第3頁右下欄第16行〜第4頁左上欄第3行)
(3)「特に、この場合の各リード端子群 23c-1 , 23c-2 , 23c-3 , 23c-4は該リードフレーム21とは、各各リード端子群それぞれの両端に形成されている接続バー23d でステージ23a と接続し、また該リード端子23c の他端側端部では共通する連結バー23e に繋がる変形自在な接続バー23f を介して該リードフレーム21 の外枠と接続しているが、更に上記連結バー23e にはガイド孔24が設けられている。
従って、上記の各リード端子群 23c-1, 23c-2 , 23c-3 , 23c-4 とリードフレーム21の外枠との間の多少の相対的な位置ずれは上記接続バー23d と23f の変形によって吸収できることになり、結果的に上記各リード端子群のガイド孔24とリードフレーム21の外枠に位置するガイド孔22との間が相対的に揺動し得ることになる。
このことは、半導体チップを樹脂モールドでパッケージ化する際にリードフレーム21に発生する内部応力が少なくとも各リード端子群に形成されているガイド孔24には直接影響しないことを意味する。
そこで、第2図で説明したパッケージ工程後のタイ・バーの切断・除去工程やリード端子折り曲げ工程を該ガイド孔24を基準として行うことで、第3図で説明したような加工精度の低下を起こすことなく所要の半導体装置を得ることができて生産性を向上させることができる。」(明細書第4頁左下欄第19行〜第5頁第5行)
3.対比・判断
本願発明1乃至3と先願明細書に記載された発明とを対比すると、先願明細書に記載された発明は、本願発明1乃至3と一部共通する構成を備えているものの、本願発明1については、本願発明1の必須の構成である「封止済リードフレームをリード加工金型における所定位置に位置決めすると共に、該リード加工金型の型締時に、該金型に配設した姿勢修正用部材により、傾斜変形した状態のアウターリードの全体を強制的に所定位置に修正すること」を、また、本願発明2については、本願発明2の必須の構成である「封止済リードフレームの供給セット工程が、該封止済リードフレームをリード加工金型の所定位置に位置決めすると共に、上記リード加工金型の型締圧力と該リード加工金型に配設した姿勢修正用部材による位置修正作用とによって、傾斜変形した状態のアウターリードの全体を強制的に所定位置に修正すること」を、また、本願発明3については、本願発明3の必須の構成である「封止済リードフレームの供給セット機構は、リード加工金型側に配設した封止済リードフレームの位置決用部材と、そのアウターリードの突設姿勢を所定方向へ修正する該アウターリードの姿勢修正用部材とから構成されていること」を備えていない。
そして、本願発明1乃至3は、それぞれ上記必須の構成を備えることによって、「本発明は、位置決用部材をによって封止済リードフレームをリード加工金型における所定位置に位置決めし、次に、リード加工金型の型締時に該金型に配設した姿勢修正用部材によって傾斜変形した状態のアウターリードの全体を強制的に所定位置に修正し、該修正状態でそのダムバーを切断除去するものであるから、このような本発明によれば、封止済リードフレームにおけるアウターリード部分にアンダーカットを形成すると云った前述した従来の弊害を効率良く且つ確実に防止することができる優れた実用的な効果を奏するものである。
また、本発明によれば、各アウターリードの折曲姿勢の不揃い、即ち、その先端部が個々に浮き上がったり、横方向に捩じれ又は傾斜してそのピッチ間隔が変わったり、或は、アウターリードの先端部相互間が接触する等の弊害をも効率良く且つ確実に防止することができると云った優れた効果を奏する。このため、例えば、製品の成形後において、専用のリード姿勢修正装置を用いて各アウターリードの姿勢を個々に適正な状態に修正すると云ったリード姿勢修正工程をも省略することができる等の優れた実用的な効果を奏するものである。」という明細書の段落【0029】及び【0030】に記載された顕著な効果を奏するものである。
したがって、本願発明1乃至3は先願明細書に記載された発明であるとすることはできない。
また、本願発明4乃至5は、本願発明3を更に限定したものであるから、上記本願発明3についての判断と同様の理由により、上記先願明細書に記載された発明であるとすることはできない。
4.むすび
したがって、本願発明1乃至5は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-02-19 
出願番号 特願平3-299756
審決分類 P 1 8・ 161- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 丸山 英行藤井 新也  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 加藤 友也
鈴木 孝幸
発明の名称 電子部品のリード加工方法及び装置  

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