• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1054669
審判番号 不服2000-14615  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-12-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-09-14 
確定日 2002-02-28 
事件の表示 平成 8年特許願第137915号「ICP分析装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年12月12日出願公開、特開平 9-318539]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年5月31日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年10月13日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。

「【請求項1】エアロゾルが導入され所定の径を有するプラズマトーチと、このプラズマトーチで発生したプラズマが有するイオンを分析する分析部とを有し、前記プラズマトーチの径より大きい径を有して当該プラズマトーチの外周に同心円状に配置されて高周波磁界を発生する誘導コイルが設けられ、前記分析部は真空室内に配置され、この真空室の前記プラズマトーチの対向位置にはイオンを真空室内に導入するオリフィスが形成されたICP分析装置において、前記誘導コイルの内径R2を30mmとし、前記プラズマトーチのオリフィス側端部の内径R1をR1<R2/2としたことを特徴とするICP分析装置」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-203150号(以下、「引用刊行物」という。)には、
(a)「エアロゾルが導入されるプラズマトーチと、このプラズマトーチで生成されたイオンを質量分離する質量分析計とを有し、前記プラズマトーチの外周には高周波磁界を発生する誘導コイルが設けられ、前記質量分析計は真空室内に配置され、この真空室の前記プラズマトーチの対向位置にはイオンを真空室内に導入するオリフィスが形成されている誘導結合プラズマ質量分析装置」(第1頁左下欄第5行-第12行)、

(b)「プラズマjと誘導コイルbとの間で発生する容量結合を少なくするには、同心円状に配置された誘導コイルの半径を一律に大きくしてプラズマトーチから距離を離すことが考えられるが、このようにすると、誘導コイルbの効率が低下してプラズマが点火しない等の問題を生じる。」(第2頁左上欄第12-17行目)
が記載されている。

よって、引用刊行物には、
「エアロゾルが導入されるプラズマトーチと、このプラズマトーチで生成されたイオンを質量分離する質量分析計とを有し、前記プラズマトーチの外周には、高周波磁界を発生する誘導コイルが設けられ、前記質量分析計は真空室内に配置され、この真空室の前記プラズマトーチの対向位置にはイオンを真空室内に導入するオリフィスが形成されている誘導結合プラズマ質量分析装置において、
同心円状に配置された誘導コイルとプラズマトーチの距離を離した誘導結合プラズマ質量分析装置」の発明(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用刊行物記載の発明とを対比すると、
両者は、「エアロゾルが導入され所定の径を有するプラズマトーチと、このプラズマトーチで発生したプラズマが有するイオンを分析する分析部とを有し、前記プラズマトーチの径より大きい径を有して当該プラズマトーチの外周に同心円状に配置されて高周波磁界を発生する誘導コイルが設けられ、前記分析部は真空室内に配置され、この真空室の前記プラズマトーチの対向位置にはイオンを真空室内に導入するオリフィスが形成されたICP分析装置」であって、誘導コイルとプラズマトーチとの距離を離して誘導結合を小さくする点で一致しているが、
同心円状に配置された誘導コイルとプラズマトーチの距離を離すための構成を、本願発明においては、誘導コイルの内径(R2)を30mmとし、プラズマトーチのオリフィス側端部の内径R1がR1<R2/2であると特定しているのに対して、
引用刊行物記載の発明においては、誘導コイルの内径、及び、誘導コイルとプラズマトーチとの大きさの関係について特定されていない点で相違する。

しかしながら、上記(b)の、誘導コイルとプラズマトーチの距離を離すことにより容量結合を抑制するという知見、及び、誘導コイルの径を大きくすることは問題を生じるという知見から、誘導コイルの径を大きくせずに、プラズマトーチの径を小さくすることにより、両者の距離を離し容量結合を抑制することは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願発明において、
「誘導コイルの内径(R2)を30mm」としている点については、誘導コイルの径を大きくせずに、プラズマトーチとの距離を確保する必要から、自ずと採用しうる大きさであり、
「プラズマトーチのオリフィス側端部の内径R1をR1<R2/2とした」とし、誘導コイルとプラズマトーチの大きさの関係を示している点については、当業者が、両者の距離を離すことにより予測される容量結合の抑制効果が生じるように、簡単な実験をすることで設定しうる設計的事項に過ぎない。
また、本願発明の効果も予測される範囲を超えるものではない。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-12-11 
結審通知日 2001-12-18 
審決日 2002-01-15 
出願番号 特願平8-137915
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 俊光  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 森 竜介
関根 洋之
発明の名称 ICP分析装置  
代理人 西岡 義明  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ