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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1054737
審判番号 審判1996-11398  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-02-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-07-12 
確定日 2002-03-07 
事件の表示 平成 5年特許願第 46088号「ペーパーレス荷物追跡システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 2月 4日出願公開、特開平 6- 28380]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は、平成5年2月12日(パリ条約による優先権主張1992年4月6日、米国)に出願したものであって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成13年4月2日付けの手続補正によって補正された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「請求項1
荷物追跡プログラムを遂行するプロセッサと、サイン情報及び荷物記述情報を記憶する記憶装置と、プロセッサの制御の下に少くとも1つの選ばれた荷物に関するバーコードからの荷物記述情報を記憶装置に読込むバーコード・リーダと、情報をペーパーレス荷物追跡システムに入力するスタイラスと、フィンガ・タッチによる入力を検出すると共に、選ばれた荷物記述情報に関するスタイラスで書込まれたサイン情報を検出して記憶装置に記憶するタッチ感知タブレット表示装置と、前記タブレット表示装置の所定の欄に制御情報を表示する手段と、前記タブレット表示装置に対するフィンガ・タッチによる入力を検出する手段と、前記スタイラスが前記タブレット表示装置から所定の距離内にあることを感知する手段と、前記感知手段が、前記スタイラスが前記タブレット表示装置から所定の距離内にあることを感知したときは、前記タブレット表示装置に対するスタイラス入力のみを能動に維持し、フィンガ・タッチによる入力を無能にする手段とを含み、スタイラス入力の間、該スタイラス入力による手書情報のみを取得し、手書情報を含む全データ情報を書類の記録なく収集することを特徴とするペーパーレス荷物追跡システム。」

2.引用例に記載の発明
これに対して、当審の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特願平3-123928号公報(以下、「引用例1」という。)の第4頁左上欄第3〜14行目には、本発明は、手によりタッチスクリーン領域を能動状態にしてシステムへデータを入力するためのタッチスクリーンとスタイラスを用いてタブレット領域を能動状態にしてシステムへデータを入力するためのディジタル化タブレットとを備えた入力デバイスを有し、この両領域は少なくとも部分的に重なり合い、また、この入力デバイスは、データを処理するためのデータ取扱手段に結合しているデータ処理システムに関するものであること、第4頁左下欄第3〜19行目には、従来技術の第2番目のタイプのタッチスクリーンは、ユーザの指のような物がスクリーンに接触する場合はもちろん、しない場合でもタッチスクリーンの能動化を可能にするものであること、第6頁左上欄第18行目〜同右上欄第6行目には、タッチスクリーンとディジタル化タブレットとを互いに隣接して一体化することにより、タッチスクリーンとディジタル化タブレットとの共同を可能にすること、第6頁右上欄第18行目〜同左下欄第12行目には、スタイラスの操作中に手が入力画面上に載ることにより生じる手による入力を防止するために、スタイラスを検出することにより、手によるタッチ位置感知を無効にするタッチ無効手段を用いることによりこの手による入力を回避すること、第6頁右下欄第16行目〜第7頁左上欄第3行目には、液晶ディスプレイ(LCD)がタッチスクリーン及びディジタル化タブレットと一体化されていること、第10頁左上欄第11行目〜同右上欄第8行目には、指の接近によりタッチスクリーンが能動化されること、スタイラスがディジタル化タブレットを能動化するのは、指及びタッチスクリーンと同じ容量的に検出される信号によって行なわれること、これらのことが引用例1には、図面とともにそれぞれ記載されている。
ところで、引用例1に記載のデータ処理システムも、手やスタイラスによる入力データを検出し、そのデータを記憶装置に記憶していることは明らかであり、そして、手で入力を行うタッチスクリーンであれば、そのスクリーの所定の位置にコマンド欄を表示することは技術常識であり、更に、指の接近によりタッチスクリーンが能動化されるとは、指がタッチスクリーンから所定の距離内にあるとタッチスクリーンが能動化されることを意味しているから、スタイラスも同様に、スタイラスがディジタル化タブレットから所定の距離内にあるとディジタル化タブレットが能動化されることを意味していることは明らかである。
したがって、引用例1には、
「データ処理システムにスタイラスによる入力と手による入力を検出すると共に、スタイラスで書込まれた入力データを検出して記憶装置に記憶する入力デバイスと、入力デバイスの所定の欄に制御情報を表示するための液晶ディスプレイと、前記入力デバイスに対する指による入力を検出する手段と、スタイラスを検出すると指のタッチ感知を無効にするタッチ無効手段と、スタイラスがディジタル化タブレットから所定の距離内にあるとディジタル化タブレットが能動化される手段を備えるデータ処理システム」が記載されているものと認められる。
同様に、当審の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特願平2-181214号公報(以下、「引用例2」という。)の第2頁右下欄第8〜20行目には、データ入力装置は、バーコード・リーダ(46)、全体を統括制御する主制御回路であるマイクロコンピュータ(50)及び主制御回路50の動作プログラムを格納したROM52を備えていること、第3頁左下欄第19行目〜同右下欄第8行目には、バーコード・リーダ46でバーコードから荷物の識別コードを読取り、そのデータをRAM54に格納されること、第4頁左上欄第8〜13行目には、荷物受取人に手書き図形入力パッド20に署名をしてもらい、この署名データがRAM54に格納されること、同第4頁右上欄第18行目〜同左下欄第6行目には、署名データ及び荷物の識別コードデータを伝票を用いずに収集すること、これらのことが引用例1には、第1、2図とともにそれぞれ記載されている。
したがって、引用例2には、
「入力データをデータ入力装置のプログラムを制御するマイクロコンピュータと、署名データ及び荷物の識別コードデータを格納するRAM54と、マイクロコンピュータの制御の下に荷物に関するバーコードからの荷物識別コードデータをRAM54に格納するバーコード・リーダ46と、署名データをデータ入力装置に入力する手書き図形入力パッド20とを備え、署名データ及び荷物の識別コードデータを伝票を用いずに収集するデータ入力装置」が記載されているものと認められる。

3.本願発明と引用例に記載された発明との対比
引用例1に記載された発明(以下、「後者」という。)の「入力データ」、「指のタッチ」、「入力デバイス」、「液晶ディスプレイ」は、それぞれの機能に照らしてみて、本願発明(以下、「前者」という。)の「情報」、「フィンガ・タッチ」、「タッチ感知タブレット表示装置」、「表示する手段」に相当し、そして、後者の「データ入力装置」は、入力デバイスに指又はスタイラスでデータを入力する機能だけをみれば、前者の「ペーパーレス荷物追跡システム」に相当する。
したがって、両者は、
「情報をペーパーレス荷物追跡システムに入力するスタイラスと、フィンガ・タッチによる入力を検出すると共に、スタイラスで書込まれた情報を検出して記憶装置に記憶するタッチ感知タブレット表示装置と、前記タブレット表示装置の所定の欄に制御情報を表示する手段と、前記タブレット表示装置に対するフィンガ・タッチによる入力を検出する手段と、前記スタイラスを感知する手段と、前記スタイラスを感知したときは、フィンガ・タッチによる入力を無能にする手段とを有するペーパーレス荷物追跡システム」である点で一致し、
(1)前者が荷物配達における荷物受領のサイン及び全配送データの電子化に関するものであるから、荷物追跡プログラムを遂行するプロセッサと、サイン情報を検出し、サイン情報及び荷物記述情報を記憶する記憶装置と、プロセッサの制御の下に少くとも1つの選ばれた荷物に関するバーコードからの荷物記述情報を記憶装置に読込むバーコード・リーダとを備えているので、スタイラス入力の間、該スタイラス入力による手書情報のみを取得し、手書情報を含む全データ情報を書類の記録なく収集できるのに対して、後者は、用途を特定されない汎用的なデータ処理システムなので、そのような構成を備えていない点、
(2)前者は、スタイラスがタッチ感知タブレット表示装置から所定の距離内にあることを感知したときは、該タブレット表示装置に対するスタイラス入力のみを能動に維持し、フィンガ・タッチによる入力を無能にする手段を有するのに対して、後者は、スタイラスを検出すると指の感知を無効にするタッチ無効手段を備えているが、その検出信号により入力デバイスから所定の距離内にあることを検出し、入力デバイスを能動化しているか否かは不明な点、で相違する。

4.当審の容易性の判断
相違点(1)に対して、
引用例2のデータ入力装置は、荷物配達における荷物受領のサイン及び全配送データの電子化に関するものであるから、前者と同じ用途に用いられるものであり、上記したように引用例2には、入力データをデータ入力装置のプログラム(前者の「荷物追跡プログラム」に相当)を制御するマイクロコンピュータと、署名データ(同「サイン情報」に相当)及び荷物の識別コードデータ(同「荷物既述情報」に相当)を格納するRAM54(同「記憶装置」に相当)と、マイクロコンピュータの制御の下に荷物に関するバーコードからの荷物識別コードデータをRAM54に格納するバーコード・リーダ46と、署名データをデータ入力装置に入力する手書き図形入力パッド20とを備えたデータ入力装置が記載されており、そして、後者及び引用例2に記載の発明は、前者と同じ技術分野である入力データを電子化するシステムに関するものであるから、前者に引用例2に記載の発明を用いて前者のようにすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。
相違点(2)に対して、
一般的に、物を検出してその検出信号により複数の操作処理を行なう場合に、その物を検出した1個の信号により操作処理を行なうことは技術常識であるから、指の感知を無効にする処理と入力デバイスを能動化する処理のための信号として、入力デバイスから所定の距離内にあることを検出した信号で行なうことに困難性はなく、換言すれば、後者から本願発明の相違点の構成のようにすることは当業者が容易に推考できたものと認める。
そして、本願発明の効果は、後者及び引用例2に記載の発明の効果から予測できる範囲内のものと認める。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-09-21 
結審通知日 2001-10-05 
審決日 2001-10-19 
出願番号 特願平5-46088
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 茂和  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 石川 正二
村上 友幸
発明の名称 ペーパーレス荷物追跡システム  
代理人 坂口 博  
代理人 市位 嘉宏  

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