• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04D
管理番号 1054898
異議申立番号 異議2001-71634  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-08 
確定日 2001-11-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3116140号「ブレースを内蔵した屋根パネル」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3116140号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3116140号の請求項1ないし3に係る発明は、平成3年9月19日に特許出願され、平成12年10月6日にその特許の設定登録がなされ、その後、請求項1ないし3に係る発明の特許について岡田芳子より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年10月9日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、「屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるとともに、そのフレームの表面に母屋及び野地板を取り付け、同じくフレームの先端に、そのフレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けたことを特徴とするブレースを内蔵した屋根パネル。」と訂正する。

訂正事項2
明細書の段落番号【0006】の【課題を解決するための手段】の3行目(公報2頁3欄第18行)の「先端に」の後に、「、そのフレーム上面より突出するようにして」を加入する。

訂正事項3
明細書の段落番号【0012】の末行(公報2頁4欄48行)の「効果が得られる。」の後に、「加えて、腕木はフレームとは別体であるので、腕木のない場合や腕木の長さが異なる場合であっても、フレームは共通のものを使用でき、製造コストを低く抑えることができる。また、腕木をフレームの上面に取り付けていることから、この腕木の高さを、同じフレームの表面に取り付けられる母屋と揃えることが出来、このことにより、野地板をフレームから軒先まで同じ高さで一連一体に張ることが出来、野地板の張り付け作業が容易となる。更に、そのように母屋がフレームの表面にあることから、フレーム内にブレースを余裕を持って配置することが出来、同じフレーム内であっても例えばブレースとその上方の野地板との間に余裕が出来、屋根パネル施工時のブレースの長さの調整作業が容易となる。また、ブレースはそのようにフレーム内に配置することによって、屋根パネル同士を上方に積み上げたときでも邪魔になることがない。」を加入する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1は、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1において、軒先の腕木のフレームに対する取付位置を先端のみならず、「フレーム上面から突出するように」を取り付けたと限定したものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、この訂正に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明には、「また、縦枠5の軒先側の先端には、軒先側に突出する腕木9、9の先端が、その上面に重ねて溶接されている。」(同明細書段落番号【0009】6ないし7行[公報2頁3欄40ないし42行])の記載があり、図1及び図5の記載も参照すると、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
さらに、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項2は、訂正事項1による請求項1の訂正に伴う訂正であって、明りょうでない記載の釈明にあたり、そして、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項3は、特許法第36条第4項違反の取消理由の通知に対応するためになされた訂正であって、明りょうでない記載の釈明にあたり、そして、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
3-1.申立ての理由の概要
特許異議申立人岡田芳子は、甲第1ないし10号証を提出し、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし7号証に記載された周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし9号証に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、さらに、請求項3に係る発明は、甲第1及び10号証に記載された発明並びに甲第2ないし9号証に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、請求項1ないし3に係る特許は取り消されるべきものであると主張している。

3-2.本件発明
上記2.で示したように本件訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1ないし3」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるとともに、そのフレームの表面に母屋及び野地板を取り付け、同じくフレームの先端に、そのフレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けたことを特徴とするブレースを内蔵した屋根パネル。
【請求項2】 腕木の先端に予め軒先母屋を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のブレースを内蔵した屋根パネル。
【請求項3】 野地板の上面に予めルーフィング材を張り付けた請求項1又は2記載のブレースを内蔵した屋根パネル。」

3-3.刊行物
(1)当審が通知した取消理由に引用された刊行物1(特開昭62-153447号公報(特許異議申立人岡田芳子の提出した甲第1号証))は、「ルーフィング付大型屋根パネル」に関するもので、「第1図乃至第3図は本発明の屋根パネルを示し、該屋根パネル(1)は溝形鋼等の鋼材を長方形の枠状に組んだ鋼製フレーム(2)を有する。該鋼製フレーム(2)の長辺間には所定間隔で複数の桟木(3)が渡され固定されている。該桟木(3)の上面には耐水合板等の野地板(5)が貼り付けられる。更に野地板(5)の上面には隣接するもの相互の接合部が重ね合された状態で長手方向に複数枚のルーフィング(6)が貼り付けられている。」(1頁右欄11ないし20行)の記載及び第1ないし3図の記載からみて、「鋼材を長方形の枠状に組んだ鋼製フレーム(2)の長辺間に桟木を取り付けるとともに、鋼製フレーム(2)の表面に野地板(5)を取り付け、野地板の上面に予めルーフィング(6)を張り付けた屋根パネル。」の発明が記載されていると認められる。

(2)同じく、刊行物2(実願昭47-135543号(実開昭49-92018号)のマイクロフィルム(同出願の公開実用新案公報が特許異議申立人岡田芳子の提出した甲第6号証))には、
(ア)「この考案はプレハブ住宅などの小屋組みの合掌先端を一体に延長させて形成されていた従来の軒材を、合掌先端部より分離し、これを現場で取付けられるようにしたものに係り」(明細書1頁8ないし11行)、
(イ)「第1図において、(1)は小屋組みを構成する合掌、(2)は同陸ばり、(3)は真づか、(4)は釣りづか、(5)はこの考案の要部である軒材で、前記合掌(1)の先端にガセット(6)を以て、現場で取付けられるものである。」(明細書1頁最終行ないし2頁4行)
と記載されている。
そして、当該記載及び第1ないし7図の記載からみて、刊行物2には、「小屋組を構成する合掌の先端に、合掌の上面より突出するようにして軒材を取り付ける」という技術事項が記載されているものと認められる。

(3)当審が通知した取消理由に周知例として引用された特開平2-213546号公報、実開昭52-105315号公報、実開昭63-3719号公報(特許異議申立人岡田芳子の提出した甲第3ないし5号証、以下、「刊行物3ないし5」という。)には、「縦枠と横枠とからなるフレーム内にブレースを取り付けた屋根パネル」が記載されている。

(4)同じく、周知例として引用された特開平2-304152号公報及び特開昭54-149222号公報(特許異議申立人岡田芳子の提出した甲第8及び9号証、以下、「刊行物6及び7」という。)には、「予め軒先母屋を取り付けた屋根パネル」が記載されている。

(5)特許異議申立人岡田芳子の提出した甲第2号証(実開昭63-3715号公報、以下、「刊行物8」という。)には、「下面にブレースを取り付けた屋根パネル」が記載されている。

(6)同じく、甲第7号証(実開昭57-63816号公報、以下、「刊行物9」という。)には、「平行に配される一対の側部骨組素体間に複数本の片持梁兼用骨組素体を列設して形成されるはしご状の屋根パネル」が記載されている。

(7)同じく、甲第10号証(特開平3-76957号公報、以下、「刊行物10」という。)には、「左右一対の登り梁本体と、登り梁本体の上端に結合される小屋パネルの上面に屋根パネルを載置固定した登り梁型屋根ユニット」が記載されている。

3-4.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載の発明とを比較すると、刊行物1に記載の発明の「鋼材」は長方形の枠状に組まれるものであって、第4図に記載のように屋根パネルが設置されることからみて、その長辺及び短辺が、それぞれ本件発明1の「屋根傾斜方向の縦枠」及び「水平方向の横枠」に相当し、刊行物1に記載の発明の「鋼製フレーム」、「桟木」が、それぞれ本件発明1の「鉄骨フレーム」、「母屋」に相当するので、両者は、「屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレームに母屋を取り付けるとともに、そのフレームの表面に野地板を取り付けた屋根パネル。」において一致し、次の点で相違する。

相違点1
本件発明1では、鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるのに対し、刊行物1に記載の発明では、そのような構成を有していない点

相違点2
本件発明1では、鉄骨フレームの表面に母屋を取り付け、フレームの先端に、フレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けるのに対し、刊行物1に記載の発明では、鉄骨フレーム間に母屋を取り付け、軒先の腕木を有していない点

そこで、相違点1について検討すると、屋根パネルにおいて鉄骨フレーム内にブレースを取り付けることは、例えば、刊行物3ないし5に記載のように周知技術であり、本件発明1の屋根パネルにおいて鉄骨フレーム内にブレースを取り付けることは、当業者が容易になし得ることである。
次に、相違点2について検討すると、刊行物2には、小屋組を構成する合掌の先端に、合掌の上面より突出するようにして軒材(本件発明1の「腕木」に相当する。)を取り付けることが記載されているが、屋根パネルを構成する鉄骨フレームの表面に母屋を取り付け、フレームの先端に、フレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付ける点は、刊行物2ないし10のいずれにも記載されていない。
そして、本件発明1は相違点2に係る構成により、訂正明細書に記載された、「腕木をフレームの上面に取り付けていることから、この腕木の高さを、同じフレームの表面に取り付けられる母屋と揃えることが出来、このことにより、野地板をフレームから軒先まで同じ高さで一連一体に張ることが出来、野地板の張り付け作業が容易となる。更に、そのように母屋がフレームの表面にあることから、フレーム内にブレースを余裕を持って配置することが出来、同じフレーム内であっても例えばブレースとその上方の野地板との間に余裕が出来、屋根パネル施工時のブレースの長さの調整作業が容易となる。」(段落番号【0012】)という刊行物1ないし10記載の発明からは期待できない顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1ないし10に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、刊行物1ないし10に記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明1ないし3についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1ないし3についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ブレースを内蔵した屋根パネル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるとともに、そのフレームの表面に母屋及び野地板を取り付け、同じくフレームの先端に、そのフレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けたことを特徴とするブレースを内蔵した屋根パネル。
【請求項2】
腕木の先端に予め軒先母屋を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のブレースを内蔵した屋根パネル。
【請求項3】
野地板の上面に予めルーフィング材を張り付けた請求項1又は2記載のブレースを内蔵した屋根パネル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、主として、屋根トラスの上に取り付けられる屋根パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、躯体上の屋根トラスに取り付ける屋根パネルは、一般には単なる野地板であって、まず、水平方向の通りを出すため小屋裏に水平ブレースを取り付け、かつ、梁同士を繋ぐための梁繋ぎ材を取り付けた後、前記トラスの上に木母屋を取り付けてその上に野地板を施工し、更に、ルーフィングを敷いて屋根材を取り付けるようにしている。
【0003】
他方、鉄骨フレームを備えた屋根パネルを用いるものもあり、壁躯体及び梁上に立てた束の上端にその鉄骨フレームを取り付けるようにしている(例えば、特開平2-104847号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
トラスの上に野地板を施工する従来の屋根構造においては、予め水平方向の通りを出すための水平ブレースを取り付けて、通りの調整を行うことが必要であり、施工工数が多くなり、作業期間が長くなるという欠点がある。他方、フレームを備えた屋根パネルを用いる従来の屋根においても、その屋根パネルにはブレースは取り付けられてなく、同様の欠点がある。
【0005】
この発明は、このような従来の欠点を解消して、予めブレースを施工する必要がなく、かつ、施工期間が短くなるようにした屋根パネルの構造を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明では、屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるとともに、そのフレームの表面に母屋及び野地板を取り付け、同じくフレームの先端に、そのフレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けたことを特徴とする。また、望ましくは、腕木の先端に予め軒先母屋を取り付け、他方、野地板の上面には、予めルーフィング材を張り付けるものである。
【0007】
【作用】
上記構成によれば、予め、ブレースをフレーム内に内蔵しているので、現場でのブレースの取り付け及び調整が不要となり、パネルを取り付けるだけで通りを出すことができる。
【0008】
【実施例】
図6及び図7は、この発明の屋根パネルを用いた屋根の施工方法を示し、まず、図6のように、壁躯体1上に鉄骨製のトラスを取り付け、しかる後、図7のようにこのトラス2の上に屋根パネル3を載せて固定するものである。
【0009】
図1及び図2は、上記この発明の屋根パネル3の構造を示している。図において、5は、溝型鋼からなる左右一対の縦枠、6は、同じく上下一対の溝型鋼からなる横枠で、これらが、その溝部が内向きとなるようにして互いに方形に接合されて、フレーム7を構成している。このフレーム7内の空間に、各コーナー部間を対角状に連結するようにして、2本のターンバックル型のブレース8が取り付けられている。また、縦枠5の軒先側の先端には、軒先側に突出する腕木9、9の先端が、その上面に重ねて溶接されている。同じく縦枠5の上面には、長手方向に適宜間隔をおいて、垂直な固定片10、10…が予め溶接してあり、この固定片10の側面に、木製の母屋11端部を当接して、ビス、ボルト或いは釘打ちなどによって固定するようにしている。そして、この母屋11の上に野地板12を載せ、上方から釘17打ちして固定するものである。更に、野地板12の上面には、予めゴムルーフィング13を取り付けるようにしてある。野地板12は、上記フレーム7から腕木9の先端までを覆うようにして取り付けられ、腕木9の先端面には、予めその先端に溶接したプレート14を介して、軒先母屋15を取り付けている。16は、野地板12の先端より斜め下方に向けて突出した水切り板である。このようにして、フレーム7、腕木9、ブレース8、野地板12及びゴムルーフィング13、軒先母屋15を予め工場で一対化し、この状態で前記のように現場に搬入して、トラス2へ取り付けるものである。
【0010】
図4は、屋根パネル3の棟側の取り付け構造を示し、21は、溝型鋼からなるトラス上弦材で、その上にフレーム7の縦枠5を載せ、トラス2頂部のガセットプレート22に、側面から差し込んだボルト23で固定している。24は、棟部において、互いに傾斜方向の異なる屋根パネル3、3の上端部間にまたがって取り付ける棟包で、下地材25を介して、ルーフィング13上に敷いた屋根葺材26を覆うようにして固定している。27は、屋根頂部を支えるトラスの束材である。
【0011】
図5は、軒先側の屋根パネルの取り付け構造を示している。29は、その端部を壁軸組1の上面に載置して取り付けたトラス2の下弦材で、この下弦材29と前記上弦材21の端部を接合するガセットプレート30が、上弦材21上方に突出しており、この突出部の側面に、フレーム7の縦枠5を重ねてボルト31で接合している。また、腕木9の上端部も、そのガセットプレート30の側面にボルト32で接合してある。33は、その上端を腕木9の中間にボルト34で取り付けて、その下端を下方に垂下させた軒裏支持金具で、この支持金具33の下端と軒先母屋15とにまたがって、軒裏下地材35を固定し、その下地材35の下面に軒裏板36を打ち付けている。37は、外壁パネルである。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、この発明の屋根パネルでは、予めブレースをフレーム内に内蔵しているので、現場でのブレースの取り付け、及び調整が不要となり、パネルを取り付けるだけで通りを出すことができ、施工作業を大幅に簡略化でき、工期の短縮化を図ることができる。しかも、屋根パネルは、フレームからゴムルーフィングまでを予め一対化させているので、それらを現場で個別に取り付ける必要がなく、作業がより簡略化されるとともに、先貼りされたゴムルーフィングによって、建物内部に取り込んだ部材類が雨天時でも濡れることがなく、また、作業も容易となる効果がある。更に、野地板は、木製の母屋の上面に張り付けるので、施工性のよい釘打ちで取り付けることができる。更に、予め軒先の腕木をも一体に取り付けているので、腕木の現場施工が不要となり、かつ、その先端に母屋を取り付けているから、パネルを取り付けるだけで軒先の通りを出すことができるという効果が得られる。加えて、腕木はフレームとは別体であるので、腕木のない場合や腕木の長さが異なる場合であっても、フレームは共通のものを使用でき、製造コストを低く抑えることができる。また、腕木をフレームの上面に取り付けていることから、この腕木の高さを、同じフレームの表面に取り付けられる母屋と揃えることが出来、このことにより、野地板をフレームから軒先まで同じ高さで一連一体に張ることが出来、野地板の張り付け作業が容易となる。更に、そのように母屋がフレームの表面にあることから、フレーム内にブレースを余裕を持って配置することが出来、同じフレーム内であっても例えばブレースとその上方の野地板との間に余裕が出来、屋根パネル施工時のブレースの長さの調整作業が容易となる。また、ブレースはそのようにフレーム内に配置することによって、屋根パネル同士を上方に積み上げたときでも邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の屋根パネルの分解斜視図である。
【図2】
同じく屋根パネルの全体斜視図である。
【図3】
屋根パネルの要部の拡大側面図である。
【図4】
屋根パネルを取り付けた屋根頂部の縦断面図である。
【図5】
同じく軒先部の縦断面図である。
【図6】
トラスの取り付け方法を示す施工状態の斜視図である。
【図7】
屋根パネルの取り付け方法を示す施工状態の斜視図である。
【符号の説明】
3 屋根パネル
5 縦枠
6 横枠
7 鉄骨フレーム
8 ブレース
9 腕木
11 木母屋
12 野地板
13 ゴムルーフィング
15 軒先母屋
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第3116140号発明の明細書を、本件特許異議申立に関連してなされた訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。
すなわち、特許請求の範囲の減縮を目的として、訂正事項1のとおり、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項2及び3のとおり訂正する。
訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、「屋根傾斜方向の縦枠と水平方向の横枠とからなる鉄骨フレーム内にブレースを取り付けるとともに、そのフレームの表面に母屋及び野地板を取り付け、同じくフレームの先端に、そのフレーム上面より突出するようにして軒先の腕木を予め取り付けたことを特徴とするブレースを内蔵した屋根パネル。」と訂正する。
訂正事項2
明細書の段落番号【0006】の【課題を解決するための手段】の3行目の「先端に」の後に、「、そのフレーム上面より突出するようにして」を加入する。
訂正事項3
明細書の段落番号【0012】の末行の「効果が得られる。」の後に、「加えて、腕木はフレームとは別体であるので、腕木のない場合や腕木の長さが異なる場合であっても、フレームは共通のものを使用でき、製造コストを低く抑えることができる。また、腕木をフレームの上面に取り付けていることから、この腕木の高さを、同じフレームの表面に取り付けられる母屋と揃えることが出来、このことにより、野地板をフレームから軒先まで同じ高さで一連一体に張ることが出来、野地板の張り付け作業が容易となる。更に、そのように母屋がフレームの表面にあることから、フレーム内にブレースを余裕を持って配置することが出来、同じフレーム内であっても例えばブレースとその上方の野地板との間に余裕が出来、屋根パネル施工時のブレースの長さの調整作業が容易となる。また、ブレースはそのようにフレーム内に配置することによって、屋根パネル同士を上方に積み上げたときでも邪魔になることがない。」を加入する。
異議決定日 2001-10-23 
出願番号 特願平3-268926
審決分類 P 1 651・ 121- YA (E04D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 後藤 麻由子  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 中田 誠
鈴木 公子
登録日 2000-10-06 
登録番号 特許第3116140号(P3116140)
権利者 積水ハウス株式会社
発明の名称 ブレースを内蔵した屋根パネル  
代理人 樽本 久幸  
代理人 樽本 久幸  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ