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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 A61K 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K |
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管理番号 | 1054923 |
異議申立番号 | 異議2001-70404 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-04-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-07 |
確定日 | 2001-11-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3073470号「特定のコポリマーを含有する組成物および該コポリマーの化粧品への使用」の請求項1〜14、17〜29に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3073470号の請求項1〜14、16〜28に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第3073470号の請求項1〜29に係る発明は、平成9年9月19日(平成8年9月20日出願のフランス国特許出願に基づく優先権主張)に特許出願され、平成12年6月2日に特許権の設定の登録がされた。その後、特許異議申立人福島一郎により請求項1〜14、17〜29に係る発明の特許について特許異議の申立てがされ、同請求項に係る特許について取消理由が通知された後、意見書提出の指定期間内である平成13年9月28日に、明細書の訂正請求がされた。 2.訂正請求について (1)訂正の内容 訂正事項a: 特許請求の範囲の請求項1に係る記載 「【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項b: 特許請求の範囲の請求項2に係る記載 「【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項c: 特許請求の範囲の請求項3に係る記載 「【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項d: 特許請求の範囲の請求項4に係る記載 「【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項e: 特許請求の範囲の請求項11に係る記載 「【請求項11】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、疎水表面を有する顔料とをまた含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 を、 「【請求項11】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 疎水表面を有する顔料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 と訂正する。 訂正事項f: 特許請求の範囲の請求項12に係る記載 「【請求項12】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、水溶性の染料とをまた含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 を、 「【請求項12】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 水溶性の染料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 と訂正する。 訂正事項g: 特許請求の範囲の請求項15に係る記載を削除する。 訂正事項h: 特許請求の範囲の請求項16に係る記載 「【請求項16】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項15に記載の組成物。」 を、 「【請求項15】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項i: 特許請求の範囲の請求項17に係る記載 「【請求項17】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項16】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項j: 特許請求の範囲の請求項18に係る記載 「【請求項18】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項17】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項k: 特許請求の範囲の請求項19に係る記載 「【請求項19】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項18】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項l: 特許請求の範囲の請求項20に係る記載 「【請求項20】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項19】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項m: 特許請求の範囲の請求項21に係る記載 「【請求項21】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項20】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項n: 特許請求の範囲の請求項22に係る記載 「【請求項22】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし21のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項21】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項o: 特許請求の範囲の請求項23に係る記載 「【請求項23】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし21のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項22】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項p: 特許請求の範囲の請求項24に係る記載 「【請求項24】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項23に記載の組成物。」 を、 「【請求項23】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項22に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項q: 特許請求の範囲の請求項25に係る記載 「【請求項25】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの24のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項24】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの23のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項r: 特許請求の範囲の請求項26に係る記載 「【請求項26】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項25】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし24のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項s: 特許請求の範囲の請求項27に係る記載 「【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを含有する、色移りのないファンデーション。」 を、 「【請求項26】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を含有する、色移りのないファンデーション。」 と訂正する。 訂正事項t: 特許請求の範囲の請求項28に係る記載 「【請求項28】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。」 を、 「【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。」 と訂正する。 訂正事項u: 特許請求の範囲の請求項29に係る記載 「【請求項29】 請求項11ないし26のいずれか1項に記載の組成物、または請求項27に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。」 を、 「【請求項28】 請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物、または請求項26に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。」 と訂正する。 (2)訂正の適否 i)訂正前の本件特許明細書の特許請求の範囲には、請求項1に係る使用発明において、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー(以下、「ポリマー1」と称する)と組み合わされるべき他の成分として、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー(以下、「ポリマー2」と称する)、 および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つ(以下、「ポリマー3」と称する) が規定されていたが、訂正事項aは、ポリマー3を当該他の成分の範疇から削除するものである。 ところで、上記「および/または」の記載から明らかなように、特許査定時には、請求項1に係る使用発明において、ポリマー1と組み合わされるべき成分として(i)ポリマー2単独、(ii)ポリマー3単独、並びに、(iii)ポリマー2とポリマー3の両者、が規定されていたが、訂正事項aは、ポリマー1と組み合わされるべき成分をポリマー2単独に限定している。したがって、訂正事項aは特許請求の範囲の減縮に相当するものであり、特許法第120条の4第2項但書き第1号の規定に適合する。 また、この訂正は明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 ii)上記訂正事項b〜dは、基本的に訂正事項aの訂正内容と等しいものである。 したがって、訂正事項aと同様に、訂正事項b〜dは特許法第120条の4第2項但書き第1号の規定に適合するものである。 また、この訂正は明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 iii)上記訂正事項e及びfは、訂正前の特許請求の範囲の請求項11及び12に係る化粧品用組成物を、訂正前の請求項15の規定内容に限定するものであり、明らかに、特許請求の範囲の減縮に相当する。 また、訂正前の特許請求の範囲の請求項12の、「・・・の形態の形態である」との記載を「・・・の形態である」とする訂正は、明らかに誤記の訂正に相当する。 したがって、これらの訂正事項は特許法第120条の4第2項但書き第1号及び第2号の規定に適合するものである。 また、この訂正は明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 iv)上記訂正事項gは、訂正前の特許請求の範囲の請求項15を削除するものであるから、明らかに特許請求の範囲の減縮に相当するものである。したがって、この訂正事項は特許法第120条の4第2項但書き第1号の規定に適合する。 また、この訂正は明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 v)上記訂正事項h〜r及びuは、訂正前の特許請求の範囲の請求項15の削除に合わせて、引用する請求項番号を変更するものであるから、明らかに、明りょうでない記載の釈明に相当するものである。したがって、この訂正事項は特許法第120条の4第2項但書き第3号の規定に適合する。 そして、この訂正は明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 vi)訂正事項sは、訂正前の特許請求の範囲の請求項27に係る特許発明において、ポリマー1に加えて、ポリマー2を必須成分と規定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当するものである。したがって、この訂正事項は特許法第120条の4第2項但書き第1号の規定に適合する。 ところで、ポリマー1及びポリマー2を共に必須成分として含む化粧品用組成物は訂正前の特許請求の範囲の請求項15にそもそも規定されていたのであるから、訂正事項sは明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 vii)訂正事項tは、訂正前の特許請求の範囲の請求項28に係る方法発明において、化粧品用組成物に導入されるべき必須成分としてポリマー1に加えて、ポリマー2を必須成分と規定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当するものである。したがって、この訂正事項は特許法第120条の4第2項但書き第1号の規定に適合する。 ところで、ポリマー1及びポリマー2を共に必須成分として組み合わせて化粧品用組成物に配合することは訂正前の特許請求の範囲の請求項1〜4において、ポリマー同士の組み合わせの選択肢の一つとして規定されていたのであるから、訂正事項tは明らかに願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正事項は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 以上のとおりであるので、本件訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)申立ての理由の概要 特許異議申立人は、甲第1号証〜甲第6号証及び参考資料1を提出して、本件特許の請求項1〜14、17〜29に係る発明は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明、ないしは甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許の請求項1〜14、17〜29に係る発明の特許は、特許法第29条に違反してされたものであり、特許法第113条第1項第2号に該当するので、取り消されべきものである旨を主張している。 (2)本件発明 上記2.に示したように本件訂正は認められるから、本件発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜28に記載された事項により特定された、次のとおりのものである。 【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項5】 前記コポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜3重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。 【請求項6】 組成物が、ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の使用。 【請求項7】 組成物が、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用。 【請求項8】 組成物が、最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。 【請求項9】 組成物が、 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項7または8に記載の使用。 【請求項10】 組成物が、ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;衛生用または製薬用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の使用。 【請求項11】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 疎水表面を有する顔料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。 【請求項12】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 水溶性の染料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。 【請求項13】 コポリマーのカルボン酸モノマーまたはその無水物の量が、80〜98重量%であり;アクリル酸エステルモノマーの量が、2〜20重量%であることを特徴とする請求項11または12に記載の組成物。 【請求項14】 前記コポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜3重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項15】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項16】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項17】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項18】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項19】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項20】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項21】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項22】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項23】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項22に記載の組成物。 【請求項24】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの23のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項25】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし24のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項26】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を含有する、色移りのないファンデーション。 【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。 【請求項28】 請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物、または請求項26に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。 (3)甲第1号証〜甲第6号証、参考資料1及びその記載 甲第1号証(特表平8一501488号公報) (i)(A)C3-C6のモノエチレンカルボン酸/脂肪鎖を有するアクリルエステルの酸コポリマーもしくは酸無水物コボリマー型の脂肪族鎖を有する少なくとも一つのゲル化剤を含むゲル化された外部連続相と、(B)少なくとも一つのシリコーン油とシリコーン系乳化剤とを含み水性相とともに第1のW/Oエマルジョンをなすシリコーン系油脂相とを含む水/シリコーン油/水のゲル化された三元エマルジョンが記載され(特許請求の範囲1項)、上記ゲル化された外部水性相が、カルボキシビニルポリマー、グリセリルポリメタクリレートを含んでもよいことが記載されている(特許請求の範囲2項)。 (ii)この発明の(A)成分のコポリマーは、PEMULEN、CARBOPOL 1342の名で市販されていること、また上記のカルボキシビニルポリマ一はCARBOPOL 980、942、950の名で市販されていることが記載されている(7頁4〜8頁7行)。 (iii)実施例1には、100g中にCARBOPOL 1342(脂肪鎖のあるゲル化剤)0.3gとCARBOPOL 980 0.3gと染料の十分な量を配合したB相を、DC QC F2 1671(シリコーンガム)、VOLATIL SILICONE 7158(シリコーン油)を配合したW/OのA相に混合して癖身用三元エマルジョンを調製することが記載されている。 また、甲第1号証の実施例2には、100g中にCARBOPOL 1342(脂肪鎖のあるゲル化剤)0.3g CARBOPOL 980(ゲル化剤)03gを配合したC相と、VOLATIL SILICONE 7158(シリコーン油)のB相とDC FLUID200(シリコーン油)及びDC FLUID593(ノリコーノ油)を含むW/OのA相とを混合して手のための三元エマルジョンを調製することが記載されている。 (iv)更にCARBOPOL1342は、グッドリッチ社製で、「アクリル酸/C1o〜C30アルキルアクリレート(CTFAによる呼称:アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー)」であること(34頁9〜12行)、CARBOPOL 980はグッドリッチ社製で「エチルアセテート/シクロヘキサン混合物中で合成されるカルポキシビニルポリマー」てあること(33貢20〜22行)が記載されている。 また、上記シリコーンの商標名についてDC QC F2 1671(シリコーンガム:ジメチコノール/シクロメチコン)VOLATIL SILICONE 7158(シリコーン油:シクロペンタジメチルシロキサン)DC FLUID 200(シリコーン油:ポリメチルシロキサン)DC FLUID 593(シリコーン油:トリメチルシロキシシリケート/ポリジメチルシロキサン)と記載されている(33〜34頁)。 なお、甲第1号証には、ポリフェニルトリメチルシロキサン(PHENYLTRIMETHICONE)を使用してもよいことが記載されている(10頁15〜19行)。 甲第2号証(特開平7一187950号公報) 実施例7に、アルキル変性カルボキシビニルポリマー03重量%、カルボキシビニルポリマー0.3重量%、30%シリカ被覆酸化チタン5重量%、ベンガラ03重量%、黄酸化鉄0.6重量%、黒酸化鉄01重量%を含む肌色クリームが記載されている。 また、実施例8には、アルキル変性カルボキシビニルポリマー0.3重量%、5%テフロン処理酸化チタン(補正後、5%パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミノ処理酸化チタン)2重量%、40%シリカ被覆酸化チタン2重量%を含有する乳液が記載されている。 そしてアルキル変性カルボキシビニルポリマ-はカーボポール1342、ペニュレンTRI、ペニュレンTRII(いずれも、グッドリッチ社製)として市販されているものが使用できること(1欄36〜42行)、粉体は酸化チタン、酸化亜鉛、べンガラ等の無機着色顔料、タール色素、天然色素等の有機顔料等が用いられることが記載されている(2欄44行〜3欄9行)。 甲第3号証(特開平5-194147号公報) 実施例1に、市販名がPemulen TR2のアルキル化カルボキシビニルポリマー0.1重量%、市販名がCarbopol 940のカルボキシビニルポリマ-0.6重量%、トリエタノールアミノ0.8重量%、ポリジメチルシロキサノール5重量%、アルキルジメチコン4重量%、アルコキシジメチコン11重量%、シクロメチコン5重量%、二酸化チタン4重量%、黄色酸化鉄1.43重量%、赤色酸化鉄0.55重量%、黒色酸化鉄0.22重量%、水残量からなるメークアップファンデーションが記載されている。これは溶融したシリコンワックスをアクリルポリマーを含有する水性相中に添加し脂肪相を水性相中に分散させて調製することが記載されている(8欄30〜39行)。 甲第4号証(特開平6-256136号公報) ポリアクリル酸及びその誘導体の一種又は二種以上と、その中和剤、水酸基を有する水溶性化合物、液状物及び水を含有する透明又は半透明化粧料が記載されている(請求項1)。 その実施例1には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(アルキル基の炭素数10〜30)0.2重量%、カルボキシビニルポリマー0.2重量%を含有する透明ハンドクリームが記載されている。 甲第5号証(特開平8-157323号公報) カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー0.01〜10重量%と油性基材とを含有する油性化粧料が記載されている(請求項1、3)。そして、この化粧料は塗布後色移りしにくくしかも色持ちが良いことが記載されている(1欄38〜41行)。力ルポキシピニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール1342、ペミュレンTRI、ペミュレンTR2(いずれも、グッドリッチ社製)であることが記載されている(2欄8〜15行)。 実施例7にはカルボキシビニルポリマー1.0重量%、アルキル変性力ルボキシビニルポリマー(ペミュレンTRI)1.0重量%を含む色移りしにくい口紅が記載されている。 甲第6号証(特開平8-81349号公報) 水とポリビニルアルコールとアクリル酸・アクリルメタクリレート共重合体を含む化粧料が記載されている(請求項1)。アクリル酸・アクリルメタクリレート共重合体はカーボポール1342、PEMULEN TR‐1、PEMULEN TR‐2(グッドリッチ社製)であることが記載されている(2欄29〜35行)。また着色材を配合させてもよいことが記載され、着色材として水溶性染料が挙げられている(2欄42行〜3欄2行)。 実施例1に、精製水38.7重量部、エタノール37.0重量部、PVA-217(ポリビニルアルコール)4.0重量部グリセリン5.7重量部、エチレングリコール4.3重量部、HCO-40(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)0.6重量部、メッキンスB0.6重量部、低密度ポリエチレンと青色404号の複合顔料(5:1の割合でボールミルで1.5時間撹拌したもの)8.7重量部、PEMULEN TR‐1 0.4重量部からなる化粧料が記載されている。 参考資料1(「International Cosmetic Ingredient Dictionary」第5版(1993年)VOL.1Monographs・14貢及びMonographs・92〜93頁) Monographs 14頁 「アクリレート/C10-30アルキルアクリレート架橋ポリマー」定義:アクリレート/C10-30アルキルアクリレート架橋ポリマーは、C10-30アルキルアクリレートと、アクリル酸メタクリル酸或いはサッカロ-ズのアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたそれらのエーテルの一種又はそれ以上とのコポリマーである。 商品名:Carbopol(力ルボポール)1342(グッドリッチ社) Carbopol(力ルボポール)1382(グッドリッチ社) Pemulen(ぺムレン)TR‐1(グッドリッチ社) Pemulen(ぺムレン)TR‐2(グッドリッチ社) Monographs92〜93頁 「カルボマー」 CAS Numbers:9007‐16‐3;9003‐01‐4;9007‐17‐4;76050-42-5 定義:「カルボマー」はペンタエリスリトールのアリルエーテル、サッカローズのアリルエーテル又はプロピレンのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである。 商品名: (前略) Carbopol(カルボポール)910(グッドリッチ社) Carbopol(力ルポポール)934(グッドリッチ社) Carbopol(力ルボポール)940(グッドリッチ社) Carbopol(カルボポール)941(グッドリッチ社) Carbopol(力ルボポール)954(グッドリッチ社) Carbopol(カルボポール)980(グッドリッチ社) Carbopol(カルボポール)981(グッドリッチ社) Carbopol(力ルポポール)2984(グッドリッチ社) Carbopol(カルボポール)5984(グッドリッチ社) Carbopol(カルボポール)934P(グッドリッチ社) (後略) (6)対比・判断 訂正前の本件特許明細書の請求項1〜29に記載された発明は、 (α)モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマー又はその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋してもよいコポリマー(ポリマー1)、 が必須成分として配合された化粧品組成物及びその使用方法に関するものである。 上記ポリマー1〜3に注目して、各請求項を整理すると、 請求項1〜10は、ポリマー1に、さらに (β)架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミト-2-メチルプロパン-スルホン酸ポリマー(ポリマー2)、 および/または (γ)架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマ-又はコポリマー、又はそれらの塩(ポリマー3)、 を含む化粧品用組成物(α、α+β、α+γ、α+β+γ)の使用に関する発明であり、 請求項11〜14は、 上記ポリマー1を含有する化粧品組成物(α)に関する発明であり、 請求項15〜16は、 上記ポリマー1にさらにポリマー2を含有する化粧品組成物(α+β)に関する発明であり、 請求項17〜26、ポリマー1にさらにポリマー3を含有する化粧品組成物(α+γ)に関する発明であり、 請求項27は、ポリマー1を含有するファンデーション(α)であり、 請求項28〜29は、少なくともポリマー1を含む化粧品組成物(α)を使用する方法である。 特許異議申立人が主張するように、甲第1号証〜甲第6号証には、上記ポリマー1を含有する化粧品組成物(α)又はポリマー1とポリマー3を含有する化粧品組成物(α+γ)が記載されているため、訂正前の請求項1〜14、17〜29に係る発明は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明であるか、又は甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものといえるから、訂正前の請求項1〜14,17〜29に係る特許は、特許法第113条第3項に該当する。 しかしながら、上述したように、訂正請求に基づいて、ポリマー1単独の組成物(α)又はポリマー1にさらにポリマー3を含有する組成物(α+γ)を特許請求の範囲から削除する訂正又はポリマー2(β)を含有することを必須要件とする訂正が認められた結果、訂正明細書に記載された特許請求の範囲のすべての請求項に係る発明が、ポリマー1にさらにポリマー2を含有する化粧品組成物(α+β)又はその使用方法となった。 そして、甲第1号証〜甲第6号証のいずれにも、訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜14、16〜28に係る発明に記載された上記ポリマー1にさらにポリマー2を含有する組成物(α+β)又はその使用方法に関する発明は、記載されていない。また、訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜14、16〜28に係る発明は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるとも認めることができない。(なお、訂正後の請求項15は、訂正前の請求項16に相当するものであって、本件特許異議申立の対象となっていない。) 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の本件特許の請求項1〜14、16〜28に係る発明についての特許は取り消すことができない。 また、他に本件の請求項1〜14、16〜28に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 特定のコポリマーを含有する組成物および該コポリマーの化粧品への使用 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフイン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。 【請求項5】 前記コポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜3重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。 【請求項6】 組成物が、ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の使用。 【請求項7】 組成物が、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用。 【請求項8】 組成物が、最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。 【請求項9】 組成物が、 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項7または8に記載の使用。 【請求項10】 組成物が、ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;衛生用または製薬用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の使用。 【請求項11】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 疎水表面を有する顔料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。 【請求項12】 モノオレフイン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 水溶性の染料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。 【請求項13】 コポリマーのカルボン酸モノマーまたはその無水物の量が、80〜98重量%であり;アクリル酸エステルモノマーの量が、2〜20重量%であることを特徴とする請求項11または12に記載の組成物。 【請求項14】 前記コポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜3重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項15】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項16】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項17】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項18】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項19】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項20】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項21】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項22】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項23】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項22に記載の組成物。 【請求項24】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの23のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項25】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし24のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項26】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を含有する、色移りのないファンデーション。 【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。 【請求項28】 請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物、または請求項26に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、特に、エマルションの形態であり、ヒトの皮膚、半粘膜(唇)、粘膜(瞼の内側)、および/または皮膚骨格のメークアップおよび/または手入れに使用される組成物、特に化粧品用組成物に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】 化粧品用組成物、特にメークアップ用組成物、例えば、棒状口紅およびファンデーション組成物は、一般的に、脂肪物質、例えばロウ類および油類、並びに概してフィラーと顔料からなる粒子相を含有している。よって、それらは、例えば棒状口紅である場合、棒状またはチューブ状の形態、または柔らかなペースト状の形態とすることができる。また、メークアップ用組成物は、水または親水性相を有しており、特にファンデーション、ティントクリーム、手入れ用クリーム、または抗日光製品の場合には、特に、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性のゲルまたは溶液の形態にすることができる。 【0003】 皮膚、粘膜、または半粘膜に適用される場合、これらの組成物は、移る、という欠点を有する。これは、前記組成物と接触したある種の支持体、例えば、ガラス、衣類、または皮膚に少なくとも部分的に付着する傾向にあることを意味する。 【0004】 付着すると、前記組成物は、前記支持体に跡を残す。よって、その結果、皮膚または粘膜への、組成物の残存性が中程度となり、規則的に、繰り返し適用する必要が生じる。 【0005】 さらに、ある種の衣類、特に、ブラウスの襟に、許容できない跡が付くと、女性の中には、この種のメークアップを使用しなくなる者が出てくる恐れもある。 【0006】 ある組成物が、ファンデーションの場合には、皮膚上のコジワ(fine lines)および/またはシワ(wrinkles)に;棒状口紅の場合には、唇の周りのコジワに;アイシャドウの場合には、瞼のヒダ(fold)に移入(migration)する傾向があることが観察されていることから、これらの組成物の他の欠点は、移入の問題にある。瞼の動きにより生じる、メークアップ中におけるシワもまた、特に、アイシャドウの場合に観察されている。 【0007】 これらの現象全ては、一方では、組成物の保持力の低下(すなわち、移りまたは移入による、ある成分の離脱、および/または均質化の低下)、他方では、明らかに回避することが望まれている美的でない効果を生じせしめるものである。 【0008】 多くの美容産業関連者は、数年の間、「色移りのない(transfer-free)」化粧品用組成物、特に色移りのない棒状口紅およびファンデーションに興味を抱いている。例えば、1〜70重量%の、アルキルまたはフェニルの懸垂状鎖を含有するシリカートの繰り返し単位を有する液体シリコーン樹脂、10〜98重量%の、環状の揮発性シリコーン油、および紛状のフィラーを含有する、「色移りのない」口紅用組成物が見られるようになった。 【0009】 また、少なくとも12の炭素原子を有する、懸垂状のエステル化した鎖を含有するシリコーン樹脂、および揮発性のシリコーンを含む、色移りのない口紅も提案されている。 【0010】 一般的に、ある種のシリコーン化合物と揮発性油を組み合わせることにより、満足のいく色移りのない結果を得ることはできるが、適切な色移りのない品質を保持しながら、これらの組成物にシリコーン油以外の油を添加することができないため、揮発性物質が蒸発した後に、最適な快適さを有する皮膜にできないという欠点がある。これは、化粧品用組成物に、特に快適感を付与するものとして知られている炭化水素油が、かかる組成物の色移りの度合いを増加させるためである。 【0011】 よって、ほとんど、または全く色移りがなく(すなわち、色移りのない組成物)、同時に良好な化粧品特性、特に、適用時にフレッシュ感およびつるつるした感じがあり、またメークアップをした後でも、柔軟性と快適さを有する組成物、特に化粧品用組成物が必要とされている。 【0012】 【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】 本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、以下に定義する特定のポリマーが化粧品用組成物中に存在することで、前記組成物の移りおよび/または移入が制限されるか、または全く除去されることが可能であり、よって、保持力の改善が可能であることを見いだした。よって、本発明の目的は、良好な保持力を有し、色移りがなく、接触しても支持体にシミを付けない皮膜を得ることができる組成物を提供することにある。 【0013】 よって、本発明の主題は、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物における、全体的に、組成物の移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるための、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーの使用にある。 【0014】 また、本発明の主題は、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物における、該組成物の保持力を改善するための、前記コポリマーの使用にある。 【0015】 さらに本発明の主題は、このようなコポリマーを、組成物の移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるための薬剤、および/または組成物の保持力を改善させるための薬剤として、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物に使用することにある。 【0016】 本発明の他の主題は、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物における、移り、および/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるための、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーの使用にある。 【0017】 本発明の他の主題は、色移りのない組成物における、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーの使用にある。 色移りのない組成物とは、上述した意味を発展させて、ほとんど、または全く移りのない組成物であることを意味する。 【0018】 本発明の他の主題は、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーと、疎水表面を有する顔料とをまた含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態の、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物にある。 【0019】 本発明の他の主題は、少なくとも1つの前記コポリマーと水溶性の染料とをまた含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態の、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物にある。 【0020】 本発明の他の主題は、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを含有する、色移りのないメークアップ用、または手入れ用の組成物にある。 【0021】 本発明の他の主題は、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを含有する、色移りのないファンデーションにある。 【0022】 本発明の他の主題は、少なくとも1つの前記コポリマーを、化粧品用、皮膚病用、衛生用、および/または製薬用組成物、特に、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格を手入れ、またはメークアップするための組成物に導入することかなる、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法にある。 【0023】 本発明の最後の主題は、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格に、上述にて定義した組成物、またはファンデーションを適用することからなる、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップする方法にある。 【0024】 上述で定義したようなコポリマーを含有する剥離可能なマスクを形成するための組成物は、国際特許第95/03778号により知られている。しかしながら、国際特許第95/03778号において、このコポリマーは、皮膚へのマスクの付着力を改善するために使用されており、組成物の移りおよび/または移入を制限、減少、および/または防止するため、または保持力を改善するために使用されるものではない。 【0025】 前記ポリマーを含有する組成物により、皮膜が経時的に良好な保持力を有し、かつ均質性が良好に持続されていることに反映される、皮膚および粘膜に対する良好な親和力を有する皮膜を得ることができることが知見された。 【0026】 本発明の組成物は、皮膚への適用が容易で、とりわけ、比較的非粘着質なテクスチャーで、一日を通して快適な適用感が維持されるメークアップ用製品を得ることを可能にする。 【0027】 さらに、それらの化粧品特性は、適用時にフレッシュ感があり、またその後も非常に柔軟であり、均質で快適なメークアップをすることができるといった利点を有する。 【0028】 最後に、本発明の組成物は、特に、従来の洗浄剤で、容易に除去することができる。 【0029】 本発明の組成物は、皮膚、粘膜、半粘膜、および皮膚骨格のメークアップおよび/または手入れの分野において、特に有利に適用されることが見いだされている。粘膜という表現は、特に、下の瞼の内側部分を称すると解されるものであり;半粘膜とは、特に、顔の唇を指すものと解されるものであり;皮膚骨格とは、まつげ、眉毛、髪、および爪を称すると解されるものである。よって、本発明は、特に、顔の唇および皮膚のメークアップおよび/または手入れ用の製品、例えばファンデーション、棒状口紅、自己サンタン剤、または抗日光製品の分野で、特に利用される。 【0030】 よって、本発明の組成物は、多量フラクションとして、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量フラクションとして、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる少なくとも1つのコポリマーを含有するものである。このコポリマーは、架橋していてもよい。 【0031】 本発明のコポリマーは、多量のモノオレフィン不飽和のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、少量の脂肪鎖アクリル酸エステルモノマーとの重合により調製することができる。カルボン酸モノマーまたはその無水物の量は、好ましくは80〜98重量%、さらに好ましくは90〜98重量%であり;アクリル酸エステルは、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%の量で存在し;パーセンテージは、2つのモノマーの重量に対して算出している。 【0032】 好ましいカルボン酸モノマーは、式:CH2=CR-COOH[Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ラクトン基、ラクタム基、シアン(-CN)基、一価のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、または環状脂肪族基(cycloaliphatic group)を示す]に相当するものから選択される。 【0033】 特に好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸、およびそれらの混合物から選択される。脂肪鎖アクリル酸エステルモノマーは、好ましくは、式:CH2=CR1-COOR2[R1は、水素、メチル、およびエチルからなるグループから選択され、R2は、C8-C30のアルキル基、C8-C30のオキシアルキレン基、またはC8-C30のカルボニルオキシアルキレン基である]に相当するものから選択される。 【0034】 特に好ましいエステルモノマーは、R1が水素またはメチルであり、および/またはR2がC10-C22のアルキル基であるものである。特に、デシル、ラウリル、ステアリル、ベヘニル、またはメリシル(melissyl)のアクリラートおよびメタクリラートを挙げることができる。 【0035】 本発明のコポリマーのいくつかは、特に、欧州特許公開第0268164号に記載されており、該公報に記載されている調製方法で得られる。 【0036】 特に、グッドリッチ(Goodrich)社から「ペムレン(Pemulen)」の名称で販売されているコポリマー、なかでも、ペムレン・TR2として販売されている製品である、アクリラート/C10-C30のアルキルアクリラートのコポリマーを挙げることができる。 【0037】 上述したコポリマーのいくつかの混合物を使用できることは明らかである。 【0038】 これらのコポリマーは、組成物の全重量に対して、0.01〜3重量%、好ましくは0.02〜0.6重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%の濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。 【0039】 また、本発明の組成物は、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有してもよく、これは、このようなポリマーにより、好ましい化粧品特性、例えば、液状ミルクの形態からクリームの形態までの範囲に及ぶ最終組成物の粘度の広域性、展伸の容易性、および柔軟性が得られることが見いだされているからである。 【0040】 この、架橋し、かつ実質的に、または全体的に中和されたポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーは、一般的に、水溶性であるか、水膨張性である。該ポリマーは: a)次の一般式(1): 【化1】 [上式(1)中、X+はカチオンまたはカチオン混合物を示し、カチオンX+の10mol%以下は、プロトンH+であり得る] で表されるユニットを90〜99.9重量%と、 b)少なくとも2つのオレフィン二重結合を有する少なくとも1つのモノマーから誘導された、架橋したユニットを0.01〜10重量%、 とがランダムに分布していることに特徴付けられる。なお、ここで重量割合は、ポリマーの全重量に対するものである。 【0041】 このポリマーは、好ましくは、98〜99.5重量%の式(1)のユニットと、0.2〜2重量%の架橋ユニットとを含有する。 【0042】 カチオンX+は、特に、プロトン、アルカリ金属のカチオン、アンモニウムイオン、またはアルカリ土類金属と当量のカチオンから選択されるカチオン、またはカチオン混合物を表す。好ましいカチオンX+は、NH4+カチオンである。さらに好ましくは、カチオンの90〜100mol%がNH4+カチオンであり、0〜10mol%がプロトン(H+)である。 【0043】 少なくとも2つのオレフィン二重結合を有する架橋モノマーは、例えば、ジプロピレングリコール-ジアリルエーテル、ポリグリコール-ジアリルエーテル、トリエチレングリコール-ジビニルエーテル、ヒドロキノン-ジアリルエーテル、テトラリル-オキエタノイル(tetrallyl oxethanoyl)、または他のアリル、またはビニル多官能アルコールエーテル、テトラエチレングリコール-ジアクリラート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミドまたはジビニルベンジンから選択される。 【0044】 少なくとも2つのオレフィン二重結合を有する架橋モノマーは、特に、次の一般式(2): 【化2】 [上式(2)中、R1は、水素原子またはC1-C4のアルキル基、特に、メチル 基を示す(トリメチロールプロパン-トリアクリラート)] に相当するものから選択される。 【0045】 特に好ましいポリマーは、2重量%の水溶液として、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計を用い、ローター4、回転速度100回転/分、25℃で測定した粘度が、1000cps(1000mPa.s)以上、より好ましくは5000cps〜40,000cps(5000〜40,000mPa.s)、さらに好ましくは6500cps〜35,000cpsの範囲内にあるものである。 【0046】 架橋し、実質的にまたは全体的に中和されたポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)は、組成物の全重量に対して、0〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.4〜2重量%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。 【0047】 また、本発明の組成物は、化粧品的、衛生的、製薬的、または皮膚科学的に許容可能な媒体、すなわち、任意のケラチン物資、例えば、皮膚、爪、髪、まつげ、および眉毛、粘膜、および半粘膜、および任意のボディまたは顔の皮膚の領域と融和性のある媒体を、さらに含有する。 【0048】 前記組成物は、化粧品的および/または皮膚科学的に許容可能な水性媒体を含有する。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、水中油型エマルションの形態である。しかしながら、さらに、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または多相溶液、特に水/パウダー、および水/油/パウダーの形態であってもよい。 【0049】 本発明の組成物の水相は、水、花の水(flower water)、例えばヤグルマソウ水(cornflower water)、および/または鉱水、例えばビッテル(Vittel)、リュカ(Lucas)またはラ・ロシェ・ポゼー(La Roche Posay)の水、または湧水を含むものであってよい。前記水相は、組成物が水中油型エマルションの形態である場合は、組成物の全重量に対して、15〜99.9重量%、好ましくは40〜90重量%、組成物がゲルまたは水溶液の場合は、好ましくは85〜95重量%の含有量で存在し得る。 【0050】 さらに、水相は、水相の全重量に対して、0重量%〜14重量%の、C2-C6の低級モノアルコール、および/またはポリオール、例えばグリセロール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含有してもよい。 【0051】 本発明の組成物は、特に25℃で液状の脂肪物質、例えば動物、植物、鉱物、または合成由来の油を含有する脂肪相を有するものであってもよい。 【0052】 本発明の組成物がエマルションの形態である場合、水相および任意の添加剤と混合することで、安定なエマルション、すなわち分離がなく、何らの油の放出、またはクリーム化現象が生じることなく、25℃で貯蔵後、少なくとも24時間は単相の形態を維持しているエマルションを得ることができるならば、前記脂肪相は、化粧品的に許容可能な油を含有していてもよい。 【0053】 使用可能な油は、室温(20-25℃)で揮発するものであってもよい。揮発性油という用語は、皮膚と接触して蒸発する傾向にある任意の化合物を称するものである。好ましくは、その引火点が、これらの油を処方に用いることを可能にするように十分高く、所望の消失効果が得られるのに十分低い油が使用される。引火点が、約40〜100℃の油が、好ましく使用される。これらの揮発性化合物は、特に、環状または直鎖状のシリコーン油、および/または炭化水素油の単独物または混合物から選択され得る。よって、揮発性シリコーン油としては、例えば次のものを挙げることができる: -3〜8、好ましくは4〜6のケイ素原子を有する環状の揮発性シリコーン。これらは、例えば、シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン、またはシクロヘキサジメチルシロキサンである。 -ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社から「シリコーン・FZ・3109」の名称で販売されている、ジメチルシロキサン/メチルオクチルシロキサンのシクロコポリマー。 -2〜9のケイ素原子を有する直鎖状の揮発性シリコーン。これらは、例えば、低粘度(1cSt)のPDMS、またはヘキサメチルジシロキサンである。また、アルキルトリシロキサン、例えばヘキシルヘプタメチルトリシロキサン、またはオクチルヘプタメチルトリシロキサンを挙げることもできる。 【0054】 さらに、揮発性炭化水素油、例えばイソパラフィン、特にイソドデカンを挙げることもできる。 【0055】 非揮発性油としては: -ポリ(C1-C20)アルキルシロキサン、特にトリメチルシリル末端基を含有するもの、好ましくは、粘度が0.06m2/s未満のもので、直鎖状のポリジメチルシロキサン、およびアルキルメチルポリシロキサン、例えばセチルジメチコーン(CTFA名)を挙げることができ、 -任意に、フッ化脂肪族および/または芳香族基で、または官能基、例えばヒドロキシル、チオール、および/またはアミン基で変性されたシリコーン、 -フェニル化シリコーン油、特に、次の式: 【化3】 [上式(I)中、Rは、C1-C30のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、合計が1〜100であるという条件下で、mは、0〜100の整数であり、nは、0〜100の整数である] で表されるもの、 -動物、植物、または鉱物由来の油、例えば、流動パラフィン、流動ワセリン、ペルヒドロスクワレン、アプリコット油、小麦胚芽油、スイートアルモンド油、ビューティ・リーフ油(beauty-leaf oil)、ゴマ油、マカダミア油(macadamia oil)、グレープシード油(grapeseed oil)、菜種油、ヤシ油、グランドナッツ油(groundnut oil)、パーム油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリブ油、または穀物胚芽油;ポリオールの脂肪酸エステル、特に流動トリグリセリド;アルコール類;アセチルグリセリド類;多価アルコール類、またはアルコール類のリシノレアート類、デカノアート類、またはオクタノアート類;脂肪酸トリグリセリド、フッ化油、および過フッ化油(perfluoro oil); -それらの混合物、 を挙げることができる。 【0056】 本発明の特定の実施態様の一つにおいて、シリコーン脂肪物質、例えば、 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -シリコーンガム類、揮発性であってもよいシリコーン油と混合されたシリコーンガム、特に、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム、のみを含有するエマルションを調製してもよい。 【0057】 好ましくは、組成物は、最大で、約10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有し;特に、組成物は、8重量%未満、好ましくは5重量%未満の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油は全く含有しない。 【0058】 組成物が水中油型エマルションの形態である場合、エマルションの脂肪相は、エマルションの全重量に対して、2重量%〜40重量%、好ましくは3重量%〜30重量%、特に3重量%〜20重量%の含有量で存在し得る。 【0059】 また、本発明の組成物は、最終組成物に、所望の特性、例えば、コンシステンシー、テクスチャー、および/または移りを所望の程度とするために、一般的知識に基づき当業者により選択される他の脂肪物質を含有してもよい。これらの付加的な脂肪物質は、動物、植物、鉱物、または合成由来のペースト状の脂肪物質、ガム、および/またはロウ、並びにそれらの混合物である。 【0060】 特に、 -シリコーンガム -動物、植物、鉱物、または合成由来のロウ、例えば、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ペトロラタム(petrolatum)、ワセリン(petroleum jelly)、オゾケライト、およびモンタンロウ;ミツロウ、ラノリンおよびその誘導体;キャンデリラロウ、オーリクリーワックス(ouricurry wax)、カルナウバロウ、モクロウ、ココアバター、コルク繊維のロウ、またはサトウキビロウ;25℃で固体状の硬化油(hydrogenated oil)、25℃で固体状のグリセリド、および脂肪エステル類、オゾケライト;ポリエチレンロウ、およびフィッシャー-トロプシュ合成法により得られるロウ;25℃で固体状の硬化油;ラノリン;25℃で固体状の脂肪エステル;シリコーンロウ;フッ化ロウ(fluoro waxes);それらの混合物、を挙げることができる。 【0061】 また、本発明の組成物は、-または複数の化粧品的に許容可能な(耐性、毒学的、および感覚的に許容可能であること)有機溶媒を含有してもよい。これらの有機溶媒は、組成物の全重量に対して、0%〜98%とすることができる。それらは、親水性の有機溶媒、親油性の有機溶媒、両親媒性の有機溶媒、またはそれらの混合物からなるグループから選択される。 【0062】 親水性の有機溶媒としては、例えば、1〜8の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、またはイソブタノール;6〜80のエチレンオキシドを有するポリエチレングリコール;ポリオール、例えばプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、またはソルビトール;1〜5の炭素原子を有するアルキル基を含有する、モノ-またはジアルキルイソソルバイド;グリコールエーテル類、例えばジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールメチルエーテルを挙げることができる。両親媒性の有機溶媒としては、ポリオール、例えばポリプロピレングリコール(PPG)誘導体、例えばポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、およびPPGの脂肪アルコールエーテル類、例えばPPG-23-オレイルエーテル、およびPPG-36-オレアートを挙げることができる。親油性の有機溶媒としては、例えば、脂肪エステル類、例えばアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、および安息香酸アルキルを挙げることができる。 【0063】 本発明の組成物がエマルションの形態である場合、安定で微細なエマルションを得るために、必須ではないが、任意に、界面活性剤をさらに含有してもよい。しかしながら、界面活性剤は、得られたエマルションを精製し得る。O/W型の界面活性剤としては、特に、セテアリールグルコシド(cetearylglucoside)、PEG-40-ステアラート、トリステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ポリソルベイト・60、ステアリン酸ソルビタン/スクロース-ココアート(cocoate)の混合物、ステアリン酸グリセリル/PEG-100-ステアラートの混合物、PEG-400、ステアリン酸グリセリル、PEG-6/PEG-32/ステアリン酸グリコールの混合物を挙げることができる(CTFA)。W/O型の界面活性剤としては、特に、ポリグリセリル-4-イソステアラート/セチルジメチコーン-コポリオール/ラウリン酸ヘキシルの混合物、および鉱物性油/ワセリン/オゾケライト/オレイン酸グリセリル/ラノリンアルコールの混合物を挙げることができる。 【0064】 また、オキシエチレン化されたモノステアリン酸ソルビタン、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール、またはセチルアルコール、またはポリオールの脂肪酸エステル類、例えばステアリン酸グリセリル、またはポリグリセリル-10-デカオレアートから選択される、少なくとも1つの共乳化剤(co-emulsifier)を、エマルションの全重量に対して、0〜5重量%含有してもよい。 【0065】 さらに、本発明のエマルションは、好ましくは、エマルションの全重量に対して0〜6重量%の濃度で、一または複数の増粘剤を含有してもよい。増粘剤は: -多糖類のバイオポリマー、例えばキサンタンガム、キャロブガム(carob gum)、グアガム、アルギナート、および変性したセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、 -合成ポリマー、例えばポリアクリル酸、例えばヒスパノ・キィミカ(Hispano Quimica)社またはガーデイアン(Guardian)社のヒスパゲル(Hispagel)またはルブラゲル(Lubragel)のような、ポリグリセリル(メタ)アクリラートポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルアミドとアクリル酸アンモニウムとの架橋ポリマー、例えばヘキスト(Hoechst)社のボゼポール(Bozepol)・CまたはPAS・5161;アクリラート/オクチルアクリルアミドのコポリマー、例えばナショナル・スターチ(National Starch)社のダーマクリル(Dermacryl);ポリアクリルアミドをベースとしたポリマー、例えばセピック(Seppic)社のセピゲル(Sepigel)・305、アクリルアミドとメタアクリロイルオキシエチル-トリメチルアンモニウムクロリドとの架橋ポリマー、例えばアライド・コロイヅ(Allied Colloids)社のサルケア(Salcare)・SC・92、 -ケイ酸アルミニウムマグネシウム、 -無機増粘剤、例えばスメクタイト、および変性したまたは変性していないヘクトライト(hectorites)[例えば、ベントーン(Bentone)またはラポナイト(Laponite)]、 -それらの混合物、 から選択することができる。 【0066】 好ましい方法においては、上述した、架橋した少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、ゲル化剤として使用される。 【0067】 他の好ましい実施態様においては、架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つ、例えばグッドリッチ社から「カルボポール(Carbopol)」の名称で市販されているものが、増粘ポリマーとして使用される。このような増粘ポリマーにより、特に効果的に、物理的および化粧品的に好ましい製品、特に、液状ミルクからクリームまでの範囲の粘度を有する、滑らかで満足のいく適用感のある製品を得ることができる。 【0068】 また、本発明の組成物は、化粧品用組成物に通常使用される、顔料、および/または真珠光沢(パールエッセンス)剤、および/またはフィラーを含有する、粒状相を有していてもよい。顔料という用語は、媒体に不溶で、白色または有色、無機または有機の粒子を称すると解されるものであり、これらにより、組成物は、着色されるか、不透明になる。フィラーとは、組成物を「塊(body)」にする、すなわち堅さを付与し、メークアップを均質にし、マット効果を付与し、柔軟にさせることを意図した、無色または白色で、無機物または合成物であり、ラメラ状または非ラメラ状の粒子を称すると解されるものである。真珠光沢剤は、光を反射させる真珠光沢色の粒子を称すると解されるものである。 【0069】 顔料は、組成物の全重量に対して、0〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の割合で存在する。それらは、通常またはナノメートルサイズで、白色または有色の、無機物および/または有機物であってよい。無機顔料またはナノピグメント(nanopigments)としては、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア(nanotitania)、およびフェリックブルー(ferric blue)を挙げることができる。有機顔料としては、カーボンブラック、およびメークアップ効果を皮膚および唇に付与するために通常使用されるレーキで、酸性染料、例えばハロ酸性、アゾ、またはアントラキノン染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩を挙げることができる。 【0070】 本発明が、水中油型エマルションの形態である場合、顔料は、好ましくは、疎水性の表面領域を有するものか、またはそれらの表面を疎水性にさせるための処理が施されたものである;この処理は、当業者に公知の方法で行うことができる。顔料は、特に、シリコーン化合物、例えばPDMS、および/またはポリマー、特にポリエチレンで被覆されたものであってもよい。また、顔料が被覆されていない場合は、得られた製品が滑らかでなく、脆いことが観察されており、よって、例えば、マプレコス(Maprecos)社の「ピグメント・SA」、またはミヨシ(Miyoshi)社の「ピグメント・PI」を挙げることができる。 【0071】 組成物が水性ゲルまたは溶液の形態である場合、考慮される分野の通常の染料、例えば、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、フクシンの二ナトリウム塩から選択される水溶性の染料を含有してもよい。 【0072】 真珠光沢剤は、0〜20重量%の割合で、好ましくは約2〜15重量%の高レベルで、組成物中に存在し得る。考慮されうる真珠光沢剤としては、オキシ塩化ビスマス、天然顔料、酸化鉄、酸化チタンで被覆されたマイカ、天然の真珠母、並びに有色の雲母チタンを挙げることができる。 【0073】 フィラーは、組成物の全重量に対して、0〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の割合で存在し、無機物、または合成物、ラメラ状または非ラメラ状のものであってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、テフロン、デンプン、窒化ホウ素、ミクロスフェア、例えばエクスパンセル(Expancel)(ノーベルインダストリー社:Nobel Industrie)、ポリトラップ(polytrap)(ダウコーニング社:Dow Corning)、およびシリコーン樹脂のマイクロピース(microbeads)[例えば、トーシバ(Toshiba)のトスパール(Tospearls)]を挙げることができる。 【0074】 また、組成物は、化粧品の分野で通常使用される任意の添加剤、例えば、酸化防止剤、香料、精油、防腐剤、化粧品用または製薬用で、親水性または親油性の活性剤、湿潤剤、ビタミン類、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己サンタン化合物、例えばDHA、サンスクリーン剤を含有してもよい。当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性が、考慮される添加によって、実質的に、または全く悪影響を受けないように留意して、これらの任意の添加化合物(類)、および/またはそれらの量を選択することは明らかである。 【0075】 これらの添加剤は、0〜10重量%の割合で、組成物中に存在し得る。それらの性質により、組成物の脂肪相、または水相に存在する。 【0076】 本発明の組成物は、局所適用に適した任意の形態、特に、漿液、ローション、クリーム、ミルク、水性ゲル、水相に脂肪相を分散させる(O/W)またはその逆(W/O)によって得られた、液体、半液体のコンシステンシー、またはペースト状、または固体状のエマルションとすることができる。 【0077】 よって、本発明のエマルションは、化粧品用、製薬用、または衛生用の組成物の全体、または一部を構成する。 【0078】 本発明の組成物は、特に、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップの分野に応用されることが見いだされており、この場合、例えば、ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカーの形態とされる。 【0079】 また、それらは、唇の手入れ用ベースとして、または皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品、例えばゲル、クリーム、バルム、またはローションとして、または衛生用、または製薬用製品として、または抗日光または自己サンタン製品として使用することもできる。 【0080】 さらにそれらは、ヘアケアの分野において、特に、髪、まつげ、および眉毛等の皮膚骨格の手入れ用のクリームまたはゲルとして、またはスタイリング用の水性ゲルとして応用されることが見いだされている。 【0081】 【実施例】 本発明を、次の実施例により、さらに詳細に例証する。 【0082】 実施例1〜15:種々のエマルションの持続性の研究 本発明の種々のエマルション(ファンデーション)を調製した。各々のエマルションは異なる組成を有する。 【0083】 エマルションは、次の化合物: ・脂肪相 ・本発明のコポリマー(グッドリッチ社のペムレン・TR2) と、任意に: ・2%水溶液において、25℃で16,000cpsの粘度を有し、アンモニア水で中和された、架橋したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)、 ・任意に架橋したアクリル酸コポリマー(グッドリッチ社のカルボポール・980) ・ポリビニルアルコール ・界面活性剤(モノオレイン酸ソルビタン・20EO;デカオレイン酸ポリグリセリル) ・フィラー ・PDMSまたはポリエチレンで被覆された顔料 ・水溶性の染料 ・水(全体を100gにする量) を含有する。 【0084】 以下の、通常の方法により、組成物を調製した。脂肪相の成分と予め分散させておいた顔料とを混合し、80℃で水とコポリマーとを混合して水相を調製した。2相を、室温で、ターボミキサーを使用し、攪拌して混合し、混合物を放置して冷却した。 【0085】 実施例1 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・PDMSで被覆された顔料 10g ・水 全体を100gにする量 【0086】 実施例2 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.5g ・PDMSで被覆された顔料 10g ・水 全体を100gにする量 【0087】 実施例3 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.5g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 12g ・水 全体を100gにする量 【0088】 実施例4 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 11g ・シクロペンタジメチルシロキサン(揮発 性のシクロD5・シリコーン) 5g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.5g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 12g ・水 全体を100gにする量 【0089】 実施例5 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 8g ・アプリコット油 8g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・グッドリッチ社のカルボポール・980 0.6g ・界面活性剤 0.1g ・PDMSで被覆された顔料 12g ・水 全体を100gにする量 【0090】 実施例6 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 13g ・シクロペンタジメチルシロキサン 3g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.5g ・ポリビニルアルコール 0.5g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・中空のミクロスフェア(エクスパンセル ・551・DE20) 0.5g ・水 全体を100gにする量 【0091】 実施例7 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 13g ・シクロペンタジメチルシロキサン 3g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.5g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・フィラー(ナイロン) 0.5g ・水 全体を100gにする量 【0092】 実施例8 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 12g ・水 全体を100gにする量 【0093】 実施例9 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・グッドリッチ社のカルボポール・980 0.6g ・界面活性剤 0.1g ・PDMSで被覆された顔料 10g ・水 全体を100gにする量 【0094】 実施例10 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・グッドリッチ社のカルボポール・980 0.6g ・ポリエチレンで被覆された顔料 4g ・水 全体を100gにする量 【0095】 実施例11 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・グッドリッチ社のカルボポール・980 0.6g ・水溶性の染料 0.274g ・水 全体を100gにする量 【0096】 実施例12 ・PDMS(10cSt) 10g ・アプリコット油 10g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0097】 実施例13 ・PDMS(10cSt) 15g ・アプリコット油 10g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0098】 実施例14 ・PDMS(10cSt) 15g ・グッドリッチ杜のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0099】 実施例15 ・PDMS(10cSt) 6g ・アプリコット油 10g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0100】 このようにして、皮膚への展伸が容易で、脂ぎった感触がなく、織物と接触しても移りのないファンデーションが得られた。 【0101】 これらのファンデーションには、皮膚に適用した時に、ある種のフレッシュ感があった。 【0102】 ついで、これらのエマルションの持続性を決定した。 【0103】 各々のエマルション0.05gを、前腕部の50cm2の領域に適用し、適用した組成物を、5分間放置して乾燥させた。ついで、処理された前腕部の部分に、ポリエステルの織物の細片をあてがった。機械を使用して、細片が、処理された前腕部と接触して、垂直な移行運動をするように配した。織物は釣り合いおもりにより張った状態に維持され、よって、移行運動中、織物には摩擦が生じた。前後に10回、摩擦運動が行われた。 【0104】 ついで、織物上に残された着色した跡に、次の等級を付けた: 織物にかなりのシミ:グレード=0 織物にシミなし:グレード=10 【0105】 グレードが8.5以上である場合、そのファンデーションは、ほとんど移りがないとみなされる。 【0106】 得られた結果を次の表に示す。 【表1】 【0107】 これらの結果から、本発明のエマルションは、良好な持続性があり、織物に移らないことが明らかになった。 【0108】 また、これは、組成物中に植物性油(アプリコット油)が、10重量%までの濃度で存在する場合もしかりである。 【0109】 さらに、容易に比較できる実施例1と2から、本発明の組成物の移りを制限するために、ペムレン・TR2とポリビニルアルコールの組合せが特に優れていることが分かる。 【0110】 次の組成の組成物を調製した: 実施例16 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 16g ・グッドリッチ社のカルボポール・980 0.7g ・PDMSで被覆された顔料 12g ・水 全体を100gにする量 【0111】 カルボポールが十分でないために、脂肪物質の分散が不可能であることが観察された。 【0112】 実施例17および18: これらの実施例は、多量の炭化水素油が存在する(植物性油が存在する場合)と、色移りに関し好ましくないということを示すことを目的とし、先行する実施例3および4と比較する。 【0113】 実施例17 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 13g ・アプリコット油 12g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0114】 実施例18 ・PDMSにおいてヒドロキシル化されたシリ コーンガム (ダウコーニング社のQ2-1403) 13g ・ネオペンタン酸イソステアリル 12g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0115】 これら実施例17および18において、エマルションの持続性を上述したテストにより決定した。結果を次に示す。 【表2】 【0116】 実施例19:比較例 この実施例は、組成物の移りの制限に関して、ペムレン・TR2の使用による改善の程度を示すことを目的としたものであり、よって、一つはペムレン・TR2を含有する本発明のファンデーションAで、他方は、Aと同じ組成であるが、ペムレン・TR2の代わりに、伝統的な界面活性剤系である、ステアリン酸/ステアラート、トリエタノールアミンを含有するファンデーションBである。組成を以下に示す: 【0117】 ファンデーションA: ・PDMS(10cSt) 10g ・アプリコット油 10g ・グッドリッチ社のペムレン・TR2 0.1g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・界面活性剤 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0118】 ファンデーションB: ・PDMS(10cSt) 10g ・アプリコット油 10g ・ステアリン酸/ステアラート 4.4g ・ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル プロパンスルホン酸) 0.6g ・ポリビニルアルコール 0.6g ・トリエタノールアミン 1.1g ・PDMSで被覆された顔料 14g ・水 全体を100gにする量 【0119】 以下の、通常の方法により、これらのファンデーションを調製した。脂肪相の成分と予め分散させておいた顔料とを混合し、ついで水相を調製し、2相を、65℃で、ターボミキサーを使用し、攪拌して混合し、混合物を放置して冷却した。 【0120】 ついで、これらのエマルションの持続性を、実施例1〜15と同様の方法で決定した。結果を次の表に示す。 【表3】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項a: 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1に係る記載 「【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項1】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入を制限、減少、および/または改善させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項b: 特許請求の範囲の減縮を目的として 特許請求の範囲の請求項2に係る記載 「【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項2】 化粧品用組成物における、保持力を改善するために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項c: 特許請求の範囲の減縮を目的として 特許請求の範囲の請求項3に係る記載 「【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項3】 化粧品用組成物における、移りおよび/または移入がなく、改善された保持力を有する、該組成物の皮膜を形成させるために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項d: 特許請求の範囲の減縮を目的として 特許請求の範囲の請求項4に係る記載 「【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、 ・架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー、および/または、 ・架橋していてもよい、アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩の一つを、さらに含有することを特徴とする使用。」 を、 「【請求項4】 色移りのない化粧品用組成物の製造のために、モノオレフィン不飽和でC3-C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよいコポリマーを、該組成物に配合することを含む使用であり、該組成物が、架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーをさらに含有することを特徴とする使用。」 と訂正する。 訂正事項e: 特許請求の範囲の減縮を目的として 特許請求の範囲の請求項11に係る記載 「【請求項11】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、疎水表面を有する顔料とをまた含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 を、 「【請求項11】 モノオレフイン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 疎水表面を有する顔料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、または複相溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 と訂正する。 訂正事項f: 特許請求の範囲の減縮を及び誤記の訂正を目的として 特許請求の範囲の請求項12に係る記載 「【請求項12】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、水溶性の染料とをまた含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 を、 「【請求項12】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい少なくとも1つのコポリマーと、 水溶性の染料と、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーを含有し、水性ゲル、水性、水性アルコールまたは複相の溶液の形態であることを特徴とする、化粧品用組成物。」 と訂正する。 訂正事項g: 特許請求の範囲の減縮を目的として 特許請求の範囲の請求項15に係る記載を削除する。 訂正事項h: 明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項16に係る記載 「【請求項16】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項15に記載の組成物。」 を、 「【請求項15】 ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマーが、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の濃度で存在していることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項i: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項17に係る記載 「【請求項17】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項16】 架橋していてもよいアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらの塩類の一つをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項j: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項18に係る記載 「【請求項18】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項17】 ポリビニルアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項k: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項19に係る記載 「【請求項19】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項18】 水中油型エマルション、油中水型エマルション、複エマルション、水性ゲル、または水性、水性アルコール、または水/パウダーおよび水/油/パウダー等の多相溶液の形態であることを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項l: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項20に係る記載 「【請求項20】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項19】 最大で10重量%の非揮発性の炭化水素油を含有するか、または非揮発性の炭化水素油を全く含有しないことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項m: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項21に係る記載 「【請求項21】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、 等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項20】 -フェニルシリコーン油、および/またはPDMSと混合されていてもよい、揮発性で環状の油、または、 -揮発性であってもよいシリコーン油と混合され、フェニル化および/またはヒドロキシル化されたシリコーンガム等のシリコーンガム類、等のシリコーン脂肪物質のみを含有する脂肪相を有することを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項n: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項22に係る記載 「【請求項22】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし21のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項21】 顔料が、組成物の全重量に対して、0〜20重量%の割合で存在することを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項o: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項23に係る記載 「【請求項23】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし21のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項22】 顔料が、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、または二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化クロム、ナノチタニア、フェリックブルー、カーボンブラック、およびアントラキノン染料、アゾ染料、またはハロ酸性染料等の酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウム、またはジルコニウム塩の顔料またはナノピグメントから選択されることを特徴とする請求項11および14ないし20のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項p: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項24に係る記載 「【請求項24】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項23に記載の組成物。」 を、 「【請求項23】 顔料が、ポリエチレン等のポリマー、および/またはPDMS等のシリコーン化合物で被覆されていることを特徴とする請求項22に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項q: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項25に係る記載 「【請求項25】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの24のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項24】 水溶性の染料が、軽石の二ナトリウム塩、キノリン-イエロー、アリザリン-グリーンの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、キサントフィル、およびフクシンの二ナトリウム塩から選択されるものであることを特徴とする請求項12ないしの23のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項r: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項26に係る記載 「【請求項26】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物。」 を、 「【請求項25】 ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、棒状口紅、マスカラ、アイライナー、またはネイルラッカー等の、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップするための組成物;唇の手入れ用ベース;皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格の手入れ用製品;抗日光または自己サンタン製品;ヘアケア用製品の形態であることを特徴とする請求項11ないし24のいずれか1項に記載の組成物。」 と訂正する。 訂正事項s: 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項27に係る記載 「【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを含有する、色移りのないファンデーション。」 を、 「【請求項26】 モノオレフイン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を含有する、色移りのないファンデーション。」 と訂正する。 訂正事項t: 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項28に係る記載 「【請求項28】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマーを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。」 を、 「【請求項27】 モノオレフィン不飽和でC3- C6のカルボン酸モノマーまたはその無水物と、アクリル酸の脂肪鎖エステルモノマーとからなる、架橋していてもよい、少なくとも1つのコポリマー、及び、 架橋し、少なくとも90%の中和したポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)ポリマー を、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格をメークアップまたは手入れするための化粧品用組成物に導入することを特徴とする、該組成物の移りを、制限、減少、および/または防止させる方法。」 と訂正する。 訂正事項u: 明りょうでない記載の釈明を目的として、 特許請求の範囲の請求項29に係る記載 「【請求項29】 請求項11ないし26のいずれか1項に記載の組成物、または請求項27に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。」 を、 「【請求項28】 請求項11ないし25のいずれか1項に記載の組成物、または請求項26に記載のファンデーションを、皮膚、粘膜、半粘膜、および/または皮膚骨格に適用することからなる、皮膚、半粘膜、粘膜、および/または皮膚骨格のメークアップ方法。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-10-24 |
出願番号 | 特願平9-255765 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(A61K)
P 1 652・ 113- YA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 塚中 直子、福井 悟 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
深津 弘 宮本 和子 |
登録日 | 2000-06-02 |
登録番号 | 特許第3073470号(P3073470) |
権利者 | ロレアル |
発明の名称 | 特定のコポリマーを含有する組成物および該コポリマーの化粧品への使用 |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 志賀 正武 |