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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E06B |
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管理番号 | 1054933 |
異議申立番号 | 異議2000-74187 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-03-04 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-11-20 |
確定日 | 2001-11-21 |
異議申立件数 | 3 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3069276号「複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3069276号の請求項1ないし6に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3069276号の請求項1ないし7に係る発明は、平成7年8月28日に特許出願され、平成12年5月19日にその特許の設定登録がなされ、その後、請求項1ないし7に係る発明の特許について別所重尚より、また、請求項1及び請求項4ないし6に係る発明の特許についてトステム株式会社より、また、請求項1、2、4ないし7に係る発明の特許について三協アルミニウム工業株式会社より、それぞれ特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年7月23日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正の内容 平成13年7月23日付けの訂正請求により、特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲を次のように訂正する。 「【請求項1】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。 【請求項2】前記形状保持材部の両側片部が、前記連結片部から拡開するように斜めに延びていることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項3】前記複層ガラスの下辺に位置する前記形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項4】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項5】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項6】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面路U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる前記框シール部の下部が前記各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。」 訂正事項2 発明の詳細な説明の段落番号【0005】の記載を「請求項1の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項3 発明の詳細な説明の段落番号【0007】の記載を「請求項1の複層ガラス用ビードにおいて、形状保持材部の両側片部が、連結片部から拡開するように斜めに延びていることが、好ましい。」と訂正する。 訂正事項4 発明の詳細な説明の段落番号【0008】の記載を「この構成によれば、形状保持材部の断面形状が逆台形になり、上辺を同一とする方形のものに比して下辺が短い分、材料を節約することができる。また、斜辺となる両側片部の外面を、枠体などに取り付ける際のガイドとして活用することができる。」と訂正する。 訂正事項5 発明の詳細な説明の段落番号【0009】の記載を「請求項1または2の複層ガラス用ビードにおいて、複層ガラスの下辺に位置する形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることが、好ましい。」と訂正する。 訂正事項6 発明の詳細な説明の段落番号【0010】の記載を「この構成によれば、水抜き孔は、複層ガラスと複層ガラス用ビードとの間に浸入した雨水を排水する。」と訂正する。 訂正事項7 発明の詳細な説明の段落番号【0011】の記載を「本発明の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項8 発明の詳細な説明の段落番号【0012】の記載を「この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードを、相互に隙間なく、複層ガラスに簡単に組み込むことができる。」と訂正する。 訂正事項9 発明の詳細な説明の段落番号【0013】の記載を「本発明の他の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項10 発明の詳細な説明の段落番号【0014】の記載を「この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードが連結された状態となり、複層ガラスに組み込む際の取扱いが容易になる。」と訂正する。 訂正事項11 発明の詳細な説明の段落番号【0015】の記載を「請求項6の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項12 発明の詳細な説明の段落番号【0016】の記載を「この構成によれば、各シール部材が単一の部材で構成されているため、製造に際し、形状保持部材とシール部材の2種の部材を溶着すればよく、製造工程および製造装置を単純化することができる。また、各シール部材は各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されているため、シール部材に形状保持部材から引き剥がす力が働いたときに、これが溶着部分には圧縮力として作用し、シール部材が剥がれ難い。これは、シール部材の弾力性を生かすべく、形状保持部材との溶着面積を小さくした場合に、特に有効に作用する。また、框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されるため、シール部材の弾力を殺すことなく、シール部材を形状保持部材に、強固に溶着することができる。」と訂正する。 訂正事項13 発明の詳細な説明の段落番号【0017】の記載を削除する。 訂正事項14 発明の詳細な説明の段落番号【0018】の記載を削除する。 2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であり、訂正事項2ないし14は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。そして、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 2-3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて 3-1.申立ての理由の概要 (1)特許異議申立人別所重尚は、甲第1号証ないし甲第6号証を提出し、 (ア)請求項1ないし4に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、 (イ)請求項1に係る発明は甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2、3に係る発明は甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項4に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5に係る発明は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項6に係る発明は甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項7に係る発明は甲第6号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし7に係る発明は同第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、 (ウ)請求項1及び4に係る発明は甲第4号証に記載された発明と実質的に同一であり、同第29条の2の規定により特許を受けることができないものであって、 請求項1ないし7に係る特許は取り消されるべきものであると主張している。 (2)同じく、トステム株式会社は、甲第1号証ないし甲第7号証を提出し、請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であり、少なくとも甲第1号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項4ないし6に係る発明は甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4ないし6に係る発明は同第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、請求項1、4ないし6に係る特許は取り消されるべきものであると主張している。 (3)同じく、三協アルミニウム工業株式会社は、甲第1号証ないし甲第6号証を提出し、請求項1、2及び4に係る発明は甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5に係る発明は甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項6ないし7に係る発明は甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4ないし7に係る発明は同第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、請求項1、2、4ないし7に係る特許は取り消されるべきものであると主張している。 3-2.本件発明 上記2.で示したように本件訂正が認められるから、本件の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本件発明1ないし6」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。 【請求項2】前記形状保持材部の両側片部が、前記連結片部から拡開するように斜めに延びていることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項3】前記複層ガラスの下辺に位置する前記形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項4】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項5】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項6】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面路U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる前記框シール部の下部が前記各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。」 3-3.刊行物 (1)当審が通知した取消理由に引用された刊行物1(実公平4-3115号公報(特許異議申立人別所重尚の提出した甲第3号証、同トステム株式会社の提出した甲第1号証))は、「金属サツシ等の寒冷地用ガスケツト」に関するもので、 (ア)「第1図に於て、Gは塩化ビニール等の合成樹脂材料に、適宜の成分及び量の可塑材を配合し、加熱熔融して加圧下で、押出成型等の成型手段によつて、連続した長尺の押出型材として造出するか……押出成型に際し、硬質及び軟質の素材を、別個の型から供給し、成型直後に両者を接合して複合型材として造出したり、一方の型材に対してモールドする事により複合型材にする。」(2頁左欄28ないし37行)、 (イ)「1はガスケツトGの左右一対の高弾性軟質側壁で、……軟質材を使用して、高い弾性と柔軟性を持たせ、双方の高弾性軟質側壁1を併立させてある。」(2頁左欄37ないし42行)、 (ウ)「2は上記高弾性軟質側壁1の双方の内側1aの全体と、接合密着する、チヤンネル状の低弾性硬質連結体で、……硬質の合成樹脂材、合成ゴム材によつて、厚さが2〜3mm程度の薄肉に造り、その対向する低弾性硬質挟着片2aは……その双方の下縁を、厚さが2〜3mm程度の薄肉の低弾性硬質連結片2bで連結する事によつて……深いガラス挟着溝3aを、低弾性硬質連結体2によるチヤンネル状の空間によって、前記ガラス装着部Dの略全体に亙り形成する。4は上記の深いガラス挟着溝3a側へ、斜め下向きに複数個、高弾性軟質側壁1と一体に、成型の際造出した平行舌片」(2頁右欄1ないし17行)、 (エ)「6は上記露出部5の内側5aに突出させた舌片、7は……窓の障子の框10の……係止突条12を係止する、露出部6(当審注、「5」の誤りと認められる。)の下縁の框係止段部」(2頁右欄21ないし26行)、 (オ)「ガスケツトGを、アルミサツシ等の窓の戸障子のパネルのガラス9の全周縁の和の長さに切断し……順次、縁部9aの全周にガスケツトGを巻付け、最後にガスケツトGの、双方の端部の端面を突合せ……巻付ける。」(3頁左欄7ないし17行)、 (カ)「ガラス9の縁部9aの両側面を、高弾性軟質側壁1の平行舌片4及び舌片6によつて、具合良く支承し、挟着できる。」(3頁左欄22ないし24行)、 (キ)「ガスケツトGを巻付けたガラス9を、第3図に示す様に、框10のガスケツト装着凹溝11へ嵌込み、同時にガスケツトGの露出部5の下縁の框係止段部7及び係止条片8を、框10の係止突条12へ係止する事によつて、框10へのガラス9の装着を終了する」(3頁右欄11ないし16行) と記載されている そして、上記(ア)に記載の製造方法では、硬質及び軟質の素材は溶着されるので、上記(ア)ないし(キ)の記載及び第1図ないし第3図の記載からみて、刊行物1には、 「ガラス9の四辺にこれを囲繞するように設けられるガラス用ガスケツトGであって、一対の低弾性硬質挟着片2aとこれらを連結する低弾性硬質連結片2bとでチヤンネル状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された低弾性硬質連結体2と、当該低弾性硬質連結体2の各低弾性硬質挟着片2aに溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対の高弾性軟質側壁1とから成り、前記各高弾性軟質側壁1は、框係止段部7、舌片6、平行舌片4を有して一体に形成され、高弾性軟質側壁1は各低弾性硬質挟着片2aの上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる框係止段部7の下部が各低弾性硬質挟着片2aの上部外側に溶着されると共に、内側の舌片6および平行舌片4でガラス9に密着し且つ外側の框係止段部7で框10に密着するガラス用ガスケツト。」(「刊行物1に記載の発明1」という。)、 及び 刊行物1に記載の発明1の「ガラス用ガスケツト」を、「ガラス9の四周に対応する長さに切断すると共に、当該ガラス9に組み込んだガラス体。」(以下、「刊行物1に記載の発明2」という。) の発明が記載されていると認められる。 (2)同じく、刊行物2(特開平7-71170号公報(異議申立人三協アルミニウム工業株式会社の提出した甲第1号証))には、 (ア)「複層ガラスの周縁部を包囲できるチャンネル状の補強材と、該補強材の複層ガラスに相対する内側面に設けた内部軟質材と、サッシと係合する外側面に設けた外部軟質材とからなるアタッチメントを周縁部に被着したアタッチメント付き複層ガラス。」(請求項1)、 (イ)「内部軟質材及び外部軟質材としては、塩化ビニール樹脂やアクリル樹脂のショアA硬度60〜70°程度のものが最も好ましい。」(段落番号【0009】2ないし4行)、 (ウ)「補強材5には、図6に示すように排水用孔20が補強材5の長手方向に点在するように設けられることが好ましい。……また、内部軟質材4について、図6に示すように複層ガラス2のスペーサと接触しないように補強材5に設けられることは、上記の雨水等による複層ガラスの劣化や複層ガラスの曇り防止に効果的である。」(段落番号【0017】) と記載されている。 (3)同じく、刊行物3(実願昭49-140341号(実開昭51-70039号)のマイクロフィルム(特許異議申立人トステム株式会社の提出した甲第2号証))には、「硬質又は半硬質の合成樹脂例えば硬質の塩化ビニル樹脂等により予め窓枠1の内部に介装できる如くした断面…形状の帯状体2を設け、該帯状体2の側部3、3の内側に……板ガラス5の両側面を挾持する挾持本体6を形成し」(明細書2頁18行ないし3頁7行)と記載されている。 3-4.対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1と刊行物1に記載の発明1とを対比すると、刊行物1には、「4は上記の深いガラス挟着溝3a側へ、斜め下向きに複数個、高弾性軟質側壁1と一体に、成型の際造出した平行舌片」(2頁右欄15ないし17行)と記載されており、「平行舌片4」は「高弾性軟質側壁1」と一体に形成されているので、刊行物1に記載の発明1の高弾性軟質側壁1は、平行舌片4と高弾性軟質側壁1本体とを連結するとともに、各低弾性硬質挟着片2aの上端面から上端部内面に亘る部位に溶着される、本件発明1の「溶着部」に相当する部位を有するものと認められる。そして、刊行物1に記載の発明1の「ガラス9」、「ガスケツトG」が、それぞれ本件発明1の「複層ガラス」、「複層ガラス用ビード」に対応し、刊行物1に記載の発明1の「低弾性硬質挟着片2a」、「低弾性硬質連結片2b」、「チヤンネル状」、「低弾性硬質連結体2」、「高弾性軟質側壁1」、「框係止段部7」、「舌片6」及び「平行舌片4」が、それぞれ本件発明1の「側片部」、「連結片部」、「断面略U字状」、「硬質の樹脂で構成された形状保持部材」、「軟質の樹脂で構成されたシール部材」、「框シール部」、「上ガラスシール部」及び「下ガラスシール部」に相当するから、両者は、「ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられるガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部でガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着するガラス用ビード。」の点で一致し、次の点で相違している。 相違点 本件発明1では、ガラスが複層ガラスであるのに対し、刊行物1に記載の発明1では、ガラスが複層ガラスではない点 そこで、上記相違点について検討すると、刊行物2には、複層ガラスの周縁部にアタッチメント(本件発明1の「複層ガラス用ビード」に相当)を被着する点が記載されており、刊行物1に記載の発明1と刊行物2に記載のものとはガラス用ビードという共通の技術分野に属するものであるから、刊行物1に記載の発明1のガラスを、刊行物2に記載の複層ガラスとすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、全体として本件発明1によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2に記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明1は、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用して、さらに、「前記形状保持材部の両側片部が、前記連結片部から拡開するように斜めに延びている」という構成を限定したものであり、本件発明2と刊行物1に記載の発明1とを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」に記載した相違点に加え、次の点で相違している。 相違点 本件発明2では、形状保持材部の両側片部が、連結片部から拡開するように斜めに延びているのに対し、刊行物1に記載の発明1では、形状保持材部の両側片部が、連結片部からほぼ平行に延びている点 上記相違点について検討すると、刊行物3には、帯状体2(本件発明2の「形状保持材部」に相当)の両側部3、3(本件発明2の「両側片部」に相当)が、帯状体2の本件発明2の連結片部に相当する部位から拡開するように斜めに延びている点が記載されており、刊行物1に記載の発明1と刊行物3に記載のものとはガラス用ビードという共通の技術分野に属するものであるから、刊行物1に記載の発明1において、形状保持材部の両側片部を、刊行物3に記載のごとく、連結片部から拡開するように斜めに延びるようになすことは当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、全体として本件発明2によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2、3に記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明2は、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2、3に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1または2を引用して、さらに、「前記複層ガラスの下辺に位置する前記形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されている」という構成を限定したものであり、本件発明3と刊行物1に記載の発明1とを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」ないし「(2)本件発明2について」に記載した相違点に加え、次の点で相違している。 相違点 本件発明3では、複層ガラスの下辺に位置する形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されているのに対し、刊行物1に記載の発明1では、このような構成を有しない点 上記相違点について検討すると、刊行物2には、複層ガラスの下辺に位置する補強部材5(本件発明3の「形状保持材部」に相当)の本件発明3の連結片部に相当する部位に、相互に間隔を存して複数個の排水用孔20(本件発明3の「水抜き孔」に相当)を形成する点が記載されており、刊行物1に記載の発明1と刊行物2に記載のものとはガラス用ビードという共通の技術分野に属するものであるから、刊行物1に記載の発明1において、形状保持材部の連結片部に、刊行物2に記載のごとく、複数個の水抜き孔を形成することは当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、全体として本件発明3によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2、3に記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明3は、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2、3に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1、2または3に記載の「複層ガラス用ビード」を「複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体」であり、本件発明4と刊行物1に記載の発明2とを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」ないし「(3)本件発明3について」に記載した相違点に加え、次の点で相違している。 相違点 本件発明4では、ガラス用ビードを、ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断するのに対し、刊行物1に記載の発明2では、ガラス用ビードを、ガラスの四周に対応する長さに切断し、その両端部の角度は不明な点 上記相違点について検討すると、ガラス用ビードを、ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該ガラスに組み込むことは、例えば、実願昭53-42827号(実開昭54-144956号)のマイクロフィルム(異議申立人別所重尚の提出した甲第5号証)に記載のように周知技術であるから、刊行物1に記載の発明2において、ガラス用ビードを、ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該ガラスに組み込むことは当業者が容易になし得る事項にすぎない。 そして、全体として本件発明4によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明2、刊行物2、3に記載のもの及び周知技術から、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明4は、刊行物1に記載の発明2、刊行物2、3に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1、2または3に記載の「複層ガラス用ビード」を「複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体」であり、本件発明5と刊行物1に記載の発明2とを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」ないし「(3)本件発明3について」に記載した相違点に加え、次の点で相違している。 相違点 本件発明5では、ガラス用ビードを、ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該ガラスに組み込んだのに対し、刊行物1に記載の発明2では、ガラス用ビードを、ガラスの四周に対応する長さに切断するが、ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げるという構成を有しない点 上記相違点について検討すると、ガラス用ビードのガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該ガラスに組み込むことは、例えば、実願昭51-160729号(実開昭53-78052号)のマイクロフィルム(異議申立人別所重尚の提出した甲第6号証)に記載のように周知技術であるから、刊行物1に記載の発明2において、ガラス用ビードを、ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該ガラスに組み込むことは当業者が容易になし得る事項にすぎない。 そして、全体として本件発明5によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明2、刊行物2、3に記載のもの及び周知技術から、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明5は、刊行物1に記載の発明2、刊行物2、3に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明6について 本件発明6と刊行物1に記載の発明1とを対比すると、刊行物1には、「4は上記の深いガラス挟着溝3a側へ、斜め下向きに複数個、高弾性軟質側壁1と一体に、成型の際造出した平行舌片」(2頁右欄15ないし17行)と記載されており、「平行舌片4」は「高弾性軟質側壁1」と一体に形成されているので、刊行物1に記載の発明1の高弾性軟質側壁1は、平行舌片4と高弾性軟質側壁1本体とを連結するとともに、各低弾性硬質挟着片2aの上端面から上端部内面に亘る部位に溶着される、本件発明6の「溶着部」に相当する部位を有するものと認められる。そして、刊行物1に記載の発明1の「ガラス9」、「ガスケツトG」が、それぞれ本件発明6の「複層ガラス」、「複層ガラス用ビード」に対応し、刊行物1に記載の発明1の「低弾性硬質挟着片2a」、「低弾性硬質連結片2b」、「チヤンネル状」、「低弾性硬質連結体2」、「高弾性軟質側壁1」、「框係止段部7」、「舌片6」及び「平行舌片4」が、それぞれ本件発明6の「側片部」、「連結片部」、「断面略U字状」、「硬質の樹脂で構成された形状保持部材」、「軟質の樹脂で構成されたシール部材」、「框シール部」、「上ガラスシール部」及び「下ガラスシール部」に相当するから、両者は、「ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられるガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部でガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着するガラス用ビード。」の点で一致し、次の点で相違している。 相違点 本件発明6では、ガラスが複層ガラスであるのに対し、刊行物1に記載の発明1では、ガラスが複層ガラスではない点 そこで、上記相違点について検討すると、刊行物2には、複層ガラスの周縁部にアタッチメント(本件発明6の「複層ガラス用ビード」に相当)を被着する点が記載されており、刊行物1に記載の発明1と刊行物2に記載のものとはガラス用ビードという共通の技術分野に属するものであるから、刊行物1に記載の発明1のガラスを、刊行物2に記載の複層ガラスとすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、全体として本件発明6によってもたらされる効果も、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2に記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。 したがって、本件発明6は、刊行物1に記載の発明1及び刊行物2に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3-5.むすび 以上のとおりであるから、本件発明1ないし6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件発明1ないし6についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、 一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、 前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。 【請求項2】 前記形状保持材部の両側片部が、前記連結片部から拡開するように斜めに延びていることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項3】 前記複層ガラスの下辺に位置する前記形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項5】 請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項6】 複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、 一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、 前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる前記框シール部の下部が前記各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の複層ガラス用ビードとして、例えば実公平4-3115号公報や特開平7-71170号公報に記載のものが知られている。これらに記載の複層ガラス用ビードは、断面U字状に形成した形状保持部材と、形状保持部材の両外面に被着した一対の外シール部材と、形状保持部材の両内面に被着した各2条の内シール部材とで構成されている。形状保持部材は硬質の樹脂で構成され、外シール部材および内シール部材の基本形状を保持すると共に、複層ガラスの端を挟み込んで複層ガラス用ビードが複層ガラスから簡単に脱落しないように構成されている。また、外シール部材および内シール部材は硬質の樹脂で構成され、框および複層ガラスの間をシールする。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 このような従来の複層ガラス用ビードでは、予め複層ガラスに装着して工場出荷するようになっているため、これを障子の框に取り付ける際には、簡単かつ正確に装着することができる。しかし、各シール部材が、外シール部材と2条の内シール部材との3本の独立の部材で構成されているため、形状保持部材への被着(製造)が複雑になると共に、運搬や框への装着の際に形状保持部材から外シール部材が剥がれ易いなどの問題があった。 【0004】 本発明は、製造が容易で、形状保持部材に対しシール部材が剥がれ難い構造の複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体を提供することをその目的としている。 【0005】 請求項1の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。 【0006】 この構成によれば、各シール部材が単一の部材で構成されているため、製造に際し、形状保持部材とシール部材の2種の部材を溶着すればよく、製造工程および製造装置を単純化することができる。また、各シール部材は各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されているため、シール部材に形状保持部材から引き剥がす力が働いたときに、これが溶着部分には圧縮力として作用し、シール部材が剥がれ難い。これは、シール部材の弾力性を生かすべく、形状保持部材との溶着面積を小さくした場合に、特に有効に作用する。 【0007】 請求項1の複層ガラス用ビードにおいて、形状保持材部の両側片部が、連結片部から拡開するように斜めに延びていることが、好ましい。 【0008】 この構成によれば、形状保持材部の断面形状が逆台形になり、上辺を同一とする方形のものに比して下辺が短い分、材料を節約することができる。また、斜辺となる両側片部の外面を、枠体などに取り付ける際のガイドとして活用することができる。 【0009】 請求項1または2の複層ガラス用ビードにおいて、複層ガラスの下辺に位置する形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることが、好ましい。 【0010】 この構成によれば、水抜き孔は、複層ガラスと複層ガラス用ビードとの間に浸入した雨水を排水する。 【0011】 本発明の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。 【0012】 この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードを、相互に隙間なく、複層ガラスに簡単に組み込むことができる。 【0013】 本発明の他の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。 【0014】 この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードが連結された状態となり、複層ガラスに組み込む際の取扱いが容易になる。 【0015】 請求項6の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。 【0016】 この構成によれば、各シール部材が単一の部材で構成されているため、製造に際し、形状保持部材とシール部材の2種の部材を溶着すればよく、製造工程および製造装置を単純化することができる。また、各シール部材は各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されているため、シール部材に形状保持部材から引き剥がす力が働いたときに、これが溶着部分には圧縮力として作用し、シール部材が剥がれ難い。これは、シール部材の弾力性を生かすべく、形状保持部材との溶着面積を小さくした場合に、特に有効に作用する。また、框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されるため、シール部材の弾力を殺すことなく、シール部材を形状保持部材に、強固に溶着することができる。 【0019】 【発明の実施の形態】 以下、添付の図面に基いて、本発明の一実施形態に係る複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体について説明する。この複層ガラス用ビードは、複層ガラスとこれを組み込む障子の框との間に介在させるものであり、押出し成形などにより長手方向に長尺に形成される。図1の断面図に示すように、複層ガラス用ビード1は、略「U」字状に形成された形状保持部材2と、形状保持部材2の上端部に溶着した一対のシール部材3,3とで構成されている。形状保持部材2は硬質の樹脂で、各シール部材3は軟質の樹脂で構成され、これらは例えばポリ塩化ビニル(PVC)で構成されている。 【0020】 形状保持部材2は、左右一対の側片部11,11,と、これらを連結する連結片部12とで一体に形成されており、一対の側片部11,11は、連結片部12から拡開するように延びている。これにより、連結片部12の幅を短くして、材料の無駄を省くと共に框Bへの挿入を容易にしている。連結片部12の両端部内面には、左右一対の補強部材4,4が溶着されており、補強部材4は、シール部材3と同様に軟質の樹脂で構成されている。また、複層ガラスAの下辺に組み込まれる複層ガラス用ビード1の形状保持部材2には、相互に間隔を存して水抜き孔13が形成されている(図3参照)。水抜き孔13は、複層ガラスAと複層ガラス用ビード1との間に侵入した雨水を排水し、上記の補強部材4は、複層ガラスAと形状保持部材2との間に間隙を生じさせて、雨水を水抜き孔13に導く。この場合、図3に示すように、最外端に位置する水抜き孔13aは、形状保持部材2の外端部を切り欠いて形成されている。これにより、雨水が侵入し易い複層ガラスAのコーナー部の排水を積極的に行えるようになっている。なお、特に図示しないが、補強部材4と形状保持部材2とを一体に成形するようにしてもよい。 【0021】 各シール部材3は、框Bに密着する外側の框シール部21と、複層ガラスAに密着する外側の上ガラスシール部22および下ガラスシール部23と、形状保持部材2に溶着される下側の溶着部24とを有している。框シール部21は、逆「L」字状に窪んでおり、框Bの内角部に掛止め状態で密着する。上ガラスシール部22および下ガラスシール部23は楔状に形成され、それぞれ上下に押し開かれるようにして複層ガラスAに密着する。溶着部24は鰭片状に形成され、形状保持部材2の上端部の内側に溶着されている。なお、この溶着は、硬質の形状保持部材2と軟質のシール部材3とを押出し成形する際の両者が半硬化状態のときに、接触させることにより行われる。 【0022】 以上のように、本発明の第1実施形態によれば、各シール部材3が、框シール部21、上ガラスシール部22、下ガラスシール部23および溶着部24とを有して一体に形成されているため、製造が容易となりかつ製造装置を単純化することができる。また、各シール部材3が形状保持部材2の上端部の内側に溶着されているため、シール部材3自体の弾力性が損なわれることがなく、かつ複層ガラスAに取り付けた状態で、シール部材3に形状保持部材2から引き剥す力が作用しても、溶着部24には剥離方向の力が作用しないため、シール部材3が形状保持部材2から剥がれることがない。したがって、製品の信頼性を向上させることができる。 【0023】 次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、形状保持部材2が「U」字状に形成されると共に、各シール部材3の溶着部24が下側に伸び補強部材4と一体に形成されている。また、この各溶着部24の上側には、上ガラスシール部22が形成され、中間位置には、鰭片状の上下一対の下ガラスシール部23,23が斜め下向きに突出形成されている。また、框シール部21の下側に楔状のガイド部25が延設されており、このガイド部25および框シール部21に渡る内側の部位も、形状保持部材2の上端部の外側に溶着されている。すなわち、各シール部材3は、形状保持部材2の側片部11の内側の全面と、側片部11の外側の上半面とに溶着されている。 【0024】 以上のように、本発明の第2実施形態によれば、外側のガイド部25を楔状に形成して、形状保持部材2からシール部材3を剥がれ難くすると共に、このガイド部25を、框Bに装着する際のガイドとして活用することができる。また、各シール部材3を形状保持部材2に、より強固に取り付けることができる。 【0025】 ここで、図3および図4を参照して、複層ガラスAに上記の複層ガラス用ビード1を組み込んだ複層ガラス体30,40を、複層ガラス用ビード1の取付方法を参照しながら説明する。 【0026】 図3に示すように、この実施形態の複層ガラス体30では、複層ガラス用ビード1を、複層ガラスAの四辺に対応する長さに、且つその両端部を角度45度に切断し、これを複層ガラスAに組み込んでいる。この場合、45度に接合したコーナー部は、コーキング材などでシールすることが好ましく、また形状保持部材2のばね力で複層ガラスAに挟み込んだ各複層ガラス用ビード1は、接着剤で数カ所複層ガラスAに接着することが好ましい。 【0027】 このように、複層ガラス用ビード1を切断して複層ガラスAに組み込むことにより、複層ガラス用ビード1を複層ガラスAになじませることができ、框Bに組み込む前に複層ガラス用ビード1が脱落するのを少なくすることができる。また、コーナー部を45度に接合することにより、接合部分を長く執ることができ、この部分のシール性を強化することができる。 【0028】 図4に示すように、この実施形態の複層ガラス体40では、複層ガラス用ビード1を、複層ガラスAの四周に対応する長さに切断すると共に、複層ガラスAの角部(コーナー部)に対応する部位に角度90度のV形の切込み1aを入れ、これを切込み部分で折曲げて複層ガラスAに組み込んでいる。この場合も上記と同様に、切断端部は角度45度に切断する。一方、V形の切込み1aは、シール部材3から形状保持部材2の側片部11までとし、形状保持部材2の連結片部12は残しておく。これにより、コーナー部のアールを小さくすることができ、複層ガラス用ビード1と複層ガラスAのコーナー部とを良好になじませることができる。なお、折曲げたときにの連結片部12が破断しても、上記の補強部材4により、複層ガラス用ビード1は連結状態を維持できるようになっている。 【0029】 また、図示しないが、シール部材3の切込み端は、切込み部分にわずかに突出するように切断されており、90度に折曲げたときに、シール部材3の切込み端同士が優先的に圧接されてこの部分の気密性を保持できるようになっている。 【0030】 このように、一の複層ガラスAに対応する複層ガラス用ビード1を、連結した状態で複層ガラスAに組み込むようにしているため、複層ガラス用ビード1を複層ガラスAに巻回するように取り付けることができ、取付けが容易になると共に、取扱いが容易になる。 【0031】 なお、上記の実施形態では、複層ガラスを複層ガラス用の框に取り付ける場合について説明したが、複層ガラスを通常(1枚ガラス用)の框にアタッチメントを介して取り付ける場合にも、本発明が適用できることは、いうまでもない。 【0032】 【発明の効果】 以上のように本発明の複層ガラス用ビードによれば、シール部材が形状保持部材の側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されているので、運搬や取付の際に形状保持部材に対しシール部材が剥がれ難く、取扱性を良好にすることができる。また、各シール部材が単一の部材で構成されているので、製造を容易に行うことができ、コストを削減することができる。一方、本発明の複層ガラス体によれば、気密性、水密性などを考慮した上で、容易に組み立てることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1実施形態に係る複層ガラス用ビードの拡大断面図である。 【図2】 本発明の第2実施形態に係る複層ガラス用ビードの拡大断面図である。 【図3】 本発明の一実施形態に係る複層ガラス体の組立状態を示す正面図である。 【図4】 本発明の他の実施形態に係る複層ガラス体の組立状態を示す正面図である。 【符号の説明】 1 複層ガラス用ビード、2 形状保持部材、3 シール部材、4 補強部材、11 側片部、12 連結片部、13 水抜き孔、24 溶着部、30 複層ガラス体、40 複層ガラス体、A 複層ガラス |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第3069276号発明の明細書を、本件特許異議申立に関連してなされた訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。 すなわち、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項1のとおり、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正事項2ないし14のとおり訂正する。 訂正事項1 特許請求の範囲を次のように訂正する。 「【請求項1】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記権シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。 【請求項2】前記形状保持材部の両側片部が、前記連結片部から拡開するように斜めに延びていることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項3】前記複層ガラスの下辺に位置する前記形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複層ガラス用ビード。 【請求項4】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項5】請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、前記複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、当該複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて当該複層ガラスに組み込んだことを特徴とする複層ガラス体。 【請求項6】複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面路U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、当該形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、前記各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の前記溶着部で前記各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる前記框シール部の下部が前記各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の前記上ガラスシール部および前記下ガラスシール部で前記複層ガラスに密着し且つ外側の前記框シール部で框に密着することを特徴とする複層ガラス用ビード。」 訂正事項2 発明の詳細な説明の段落番号【0005】の記載を「請求項1の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項3 発明の詳細な説明の段落番号【0007】の記載を「請求項1の複層ガラス用ビードにおいて、形状保持材部の両側片部が、連結片部から拡開するように斜めに延びていることが、好ましい。」と訂正する。 訂正事項4 発明の詳細な説明の段落番号【0008】の記載を「この構成によれば、形状保持材部の断面形状が逆台形になり、上辺を同一とする方形のものに比して下辺が短い分、材料を節約することができる。また、斜辺となる両側片部の外面を、枠体などに取り付ける際のガイドとして活用することができる。」と訂正する。 訂正事項5 発明の詳細な説明の段落番号【0009】の記載を「請求項1または2の複層ガラス用ビードにおいて、複層ガラスの下辺に位置する形状保持材部の連結片部には、相互に間隔を存して複数個の水抜き孔が形成されていることが、好ましい。」と訂正する。 訂正事項6 発明の詳細な説明の段落番号【0010】の記載を「この構成によれば、水抜き孔は、複層ガラスと複層ガラス用ビードとの間に浸入した雨水を排水する。」と訂正する。 訂正事項7 発明の詳細な説明の段落番号【0011】の記載を「本発明の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四辺に対応する長さで且つその両端部を角度45度に切断し、これを複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項8 発明の詳細な説明の段落番号【0012】の記載を「この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードを、相互に隙間なく、複層ガラスに簡単に組み込むことができる。」と訂正する。 訂正事項9 発明の詳細な説明の段落番号【0013】の記載を「本発明の他の複層ガラス体は、請求項1、2または3に記載の複層ガラス用ビードを、複層ガラスの四周に対応する長さに切断すると共に、複層ガラスの角部に対応する部位に角度90度のV形の切込みを入れ、これを切込み部分で折曲げて複層ガラスに組み込んだことを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項10 発明の詳細な説明の段落番号【0014】の記載を「この構成によれば、複層ガラスの四辺に対応する4本の複層ガラス用ビードが連結された状態となり、複層ガラスに組み込む際の取扱いが容易になる。」と訂正する。 訂正事項11 発明の詳細な説明の段落番号【0015】の記載を「請求項6の複層ガラス用ビードは、複層ガラスの四辺にこれを囲繞するように設けられる複層ガラス用ビードであって、一対の側片部とこれらを連結する連結片部とで断面略U字状に形成されると共に硬質の樹脂で構成された形状保持部材と、形状保持部材の各側片部に溶着されると共に軟質の樹脂で構成された一対のシール部材とから成り、各シール部材は、框シール部、上ガラスシール部、下ガラスシール部および溶着部を有して一体に形成され、下部の溶着部で各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着され且つ下側に延びる框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されると共に、内側の上ガラスシール部および下ガラスシール部で複層ガラスに密着し且つ外側の框シール部で框に密着することを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項12 発明の詳細な説明の段落番号【0016】の記載を「この構成によれば、各シール部材が単一の部材で構成されているため、製造に際し、形状保持部材とシール部材の2種の部材を溶着すればよく、製造工程および製造装置を単純化することができる。また、各シール部材は各側片部の上端面から上端部内面に亘る部位に溶着されているため、シール部材に形状保持部材から引き剥がす力が働いたときに、これが溶着部分には圧縮力として作用し、シール部材が剥がれ難い。これは、シール部材の弾力性を生かすべく、形状保持部材との溶着面積を小さくした場合に、特に有効に作用する。また、框シール部の下部が各側片部の上部外側に溶着されるため、シール部材の弾力を殺すことなく、シール部材を形状保持部材に、強固に溶着することができる。」と訂正する。 訂正事項13 発明の詳細な説明の段落番号【0017】の記載を削除する。 訂正事項14 発明の詳細な説明の段落番号【0018】の記載を削除する。 |
異議決定日 | 2001-10-02 |
出願番号 | 特願平7-242440 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(E06B)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 新井 夕起子 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
中田 誠 鈴木 公子 |
登録日 | 2000-05-19 |
登録番号 | 特許第3069276号(P3069276) |
権利者 | ワイケイケイアーキテクチュラルプロダクツ株式会社 |
発明の名称 | 複層ガラス用ビードおよびこれを組み込んだ複層ガラス体 |
代理人 | 杉山 秀雄 |
代理人 | 手島 直彦 |
代理人 | 湯田 浩一 |
代理人 | 落合 稔 |
代理人 | 塩野入 章夫 |
代理人 | 竹本 松司 |
代理人 | 後藤田 章 |
代理人 | 落合 稔 |
代理人 | 魚住 高博 |