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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  C09D
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09D
管理番号 1055111
異議申立番号 異議2001-71832  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-08-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-05 
確定日 2002-03-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第3121755号「エアバッグ用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物及びエアバッグ」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3121755号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I 本件発明
特許第3121755号の請求項1ないし3に係る発明(平成8年2月1日出願、平成12年10月20日設定登録。)は、その特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】(A)平均組成式
R0aHbSi(4-a-b)/2・・・(I)
(式中、R0は炭素数1〜8の置換または非置換の1価の有機基、aは1.01〜2.01、bは0.01〜1.01、a+b=1.80〜2.20の数を示す。)で表される分子末端が水酸基で封鎖されたポリオルガノハイドロジェンシロキサン100重量部、
(B)乳化剤1〜20重量部、
(C)水50〜1000重量部、および
(D)硬化触媒0.1〜5重量部とからなることを特徴とするエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物。
【請求項2】(A)平均組成式
R1aR2bHcSi(4-a-b-c)/2 ・・・(II)
(式中、R1はエチレン性不飽和基を含まない置換または非置換の炭素数1〜18の1価の炭化水素基、R2エチレン性不飽和基を含む炭素数1〜8の1価の炭化水素基、aは1.02〜2.01、bは0.005〜0.50、cは0.005〜0.50、b/c=1/5〜10/1、a+b+c=1.80〜2.20の数を示す。)
で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサン100重量部、
(B)乳化剤1〜20重量部、
(C)水50〜1000重量部、および
(D)硬化触媒(構成金属として)1×10-5〜1重量部とからなることを特徴とするエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物。
【請求項3】請求項1又は2記載のエマルジョン型シリコーン組成物の硬化被膜を形成したエアバック基布を縫製してなるエアバック。」
(以下「本件発明1ないし3」という。)
II 異議申立ての理由の概要
異議申立人は、甲第1号証(特開平5-202338号公報)及び甲第2号証(特願平6-221771号の願書に最初に添付した明細書又は図面、特開平8-85405号公報参照)を提出して、本件発明1ないし3は、甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、先願に係る甲第2号証に記載された発明と同一であるから、本件発明1ないし3に係る特許は、特許法第29条第1項、第2項又は第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものであると主張している。
III 甲号各証に記載された発明
甲第1号証には「(A)一分子中にけい素原子に結合するアルケニル基を少なくとも2個有し、25℃における粘度が300センチストークス以上のオルガノポリシロキサン、(B)一分子中にけい素原子に結合した水素原子を3個以上含むオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)硬化触媒
を含む配合物を乳化剤の存在下、水にエマルジョン化して調製されたシリコーン水性エマルジョンよりなるエアバック用コーティング組成物。」(特許請求の範囲請求項1)、「エアバック用基布に請求項1記載のエアバック用コーティング組成物の硬化皮膜を形成してなるエアバック。」(同請求項2)、「本発明の組成物は、上記(A)〜(C)成分を含む配合物を乳化剤の存在下、水にエマルジョン化したシリコーン水性エマルジョンからなるものである。」(4頁5欄48〜50行)、「上記水性エマルジョンを得る方法は、上記(A)、(B)、(C)成分を混合した後、乳化剤、水を混合して水性エマルジョンとしてもよく、また、(A)、(B)、(C)成分それぞれに乳化剤、水を混合して水性エマルジョンとした後にこれらを混合してもよい。」(4頁6欄37〜42行)と記載されている。
甲第2号証には「(A)一般式(式略)・・・で示され、1分子中に少なくとも2個のOR2基を含むオルガノポリシロキサン・・・100重量部
(B)1分子中に少なくとも3個のSi-H結合を含有するオルガノポリシロキサン・・・0.5〜50重量部
(C)シリカ及び/又はポリシルセスキオキサン・・・0.5〜100重量部
(D)アミド基及びカルボキシル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はその部分加水分解縮合物・・・0.1〜20重量部
(E)エポキシ基又はアミノ基含有オルガノポリシロキサン及び/又はその部分加水分解縮合物・・・0.1〜20重量部
(F)硬化用触媒・・・0.01〜10重量部
を主成分とし、かつ水性エマルジョンであることを特徴とするシリコーン系処理組成物で処理されたエアバック用基布。」(特許請求の範囲請求項1)が記載されている。
IV 対比・判断
1 特許法第29条第1項について
本件発明1と甲第1号証に記載された発明を対比すると、甲第1号証には、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、硬化触媒を含む配合物を乳化剤の存在下、水にエマルジョン化して調製されたシリコーン水性エマルジョンよりなるエアバック用コーティング組成物が記載されているから、両者は、乳化剤、水及び硬化触媒を含有するエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物である点で一致し、該エマルジョン型シリコーン組成物の主成分が、本件発明1では特定の平均組成式を有する分子末端が水酸基で封鎖されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンであるのに対し、甲第1号証記載の発明では(A)オルガノポリシロキサン及び(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの、2成分を併用している点で相違している。
したがって、両者は発明の特定事項において明らかに相違しているから、本件発明1は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
また、本件発明2は、特定の平均組成式を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含有するエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物に係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
さらに、本件発明3は、本件発明1又は2のエマルジョン型シリコーン組成物を使用するエアバッグに係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
したがって、本件発明1ないし3は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
2 特許法第29条第2項について
本件発明1と甲第1号証記載の発明との、上記した相違点について検討する。
本件明細書には「本発明は、エアバック基布に対し優れた接着性、気密性等を有し、尚かつ同一分子内に架橋部位(ケイ素原子結合ヒドロキシル基とケイ素原子結合水素原子含有ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、またはケイ素原子結合アルケニル基とケイ素原子結合水素原子含有ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであり、複数種のシロキサンのブレンドではない)を持つポリシロキサンを主要構成成分とし」(段落【0006】)、「本発明に係るシリコーン水性エマルジョン組成物は、単一な分子(複数種のシロキサンのブレンドではない)から構成されているため、均質な組成および特性を有している。したがって、エアバック基布に対して均一に塗布することができるため、所要の特性付与を十分に、かつ効果的に発揮することが可能となり、最終的に得られた機械的強度に優れたエラストマー硬化物が得られる。」(段落【0008】)、「このポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、たとえば環状のポリオルガノシロキサン類を開環重合させるか、あるいは加水分解性基含有シランの加水分解・縮重合などによって製造し得る。」(段落【0019】)と記載され、これらの記載によれば、本件発明1は、環状ポリオルガノシロキサン類の開環重合、あるいは加水分解性基含有シランの加水分解・縮重合等によって製造された単一の分子から構成されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンを組成物の主要成分としているため、均質な組成及び特性を有し、エアバック基布に対して均一に塗布することができるため、最終的に機械的強度に優れたエラストマー硬化物が得られるものであると認められる。
そうすると、甲第1号証には、上記したように、(A)オルガノポリシロキサン及び(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの、2成分を併用することが記載されているのみで、これら(A)成分と(B)成分を予め縮重合等することについて記載も示唆もされていないから、本件発明1は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして、本件発明1は上記特定事項を採用することにより明細書記載の効果を奏するものである。
また、本件発明2は、特定の平均組成式を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含有するエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物に係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
さらに、本件発明3は、本件発明1又は2のエマルジョン型シリコーン組成物を使用するエアバッグに係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、本件発明1ないし3は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 特許法第29条の2について
本件発明1と先願に係る甲第2号証に記載された発明とを対比すると、甲第2号証には、(A)オルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも3個のSi-H結合を含有するオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン系処理組成物で処理されたエアバック用基布が記載されているが、本件発明1の、特定の平均組成式を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを組成物の成分として用いることについて記載されていないから、両者は発明の特定事項において明らかに相違しているから、同一であるとはいえない。
また、本件発明2は、特定の平均組成式を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含有するエアバック用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物に係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第2号証に記載された発明と同一であるとはいえない。
さらに、本件発明3は、本件発明1又は2のエマルジョン型シリコーン組成物を使用するエアバッグに係る発明であるから、上記と同様な理由により、甲第2号証に記載された発明と同一であるとはいえない。
なお、異議申立人は、異議申立ての理由全体にわたって、本件発明の組成物において、予めシラン化合物等を縮重合して得られたものを成分とするものと、その原料成分を2種類ブレンドしたものとは、実質的な差異がない等主張しているが、一般に組成物に係る発明においては、組成物の各成分は発明の特定事項であるとみなされ、その成分が異なれば、原則異なる発明であるとして運用されているものであり、証拠の特段の裏付けもなしに、上記した点を縷々主張しても採用されるものではない。
V むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-02-04 
出願番号 特願平8-16536
審決分類 P 1 651・ 161- Y (C09D)
P 1 651・ 113- Y (C09D)
P 1 651・ 121- Y (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 近藤 政克  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 佐藤 修
山田 泰之
登録日 2000-10-20 
登録番号 特許第3121755号(P3121755)
権利者 ジーイー東芝シリコーン株式会社
発明の名称 エアバッグ用皮膜形成エマルジョン型シリコーン組成物及びエアバッグ  
代理人 西川 裕子  
代理人 小島 隆司  
代理人 義経 和昌  
代理人 溝部 孝彦  
代理人 古谷 聡  
代理人 古谷 馨  
代理人 持田 信二  
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