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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08F 審判 全部申し立て 発明同一 C08F 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08F |
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管理番号 | 1055131 |
異議申立番号 | 異議1998-72767 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-07-04 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-06-03 |
確定日 | 2002-02-25 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 特許第2685261号「プロピレン系ランダム共重合体およびその製造方法」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2685261号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
[1]手続きの経緯 本件特許第2685261号は、昭和63年12月26日に出願された特願昭63-328731号の出願に係り、平成9年8月15日に設定登録がなされた後、出光石油化学株式会社及び三菱化学株式会社より特許異議の申立てがあり、それに基づく特許取消理由の通知に対し、特許異議意見書が提出されたものである。 [2]本件発明 本件発明は、設定登録時の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により構成される次のとおりのもの(以下「本件第1発明」及び「本件第2発明」という。)と認める。 「【請求項1】プロピレンから導かれる構成単位(a)および炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)からなるプロピレン系ランダム共重合体であって、 (A)前記構成単位(a)が90〜99モル%の量で、かつ前記構成単位(b)が1〜10モル%の量で存在し、 (B)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、 90<Tm<155-3.5(100-P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル%である)の範囲にあり、 (D)ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定した重量平均分子(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であり、 (E)沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下であることを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体。 【請求項2】(A)インデニル基、置換インデニル基およびその部分水素化物からなる群より選ばれた2個の基が低級アルキレン基を介して結合した多座配位化合物を配位子とするハフニウム化合物、 および (B)アルミノオキサン から形成される触媒の存在下に、プロピレンと炭素数4〜20のα-オレフィンとを、40〜100℃の温度で、得られる共重合体中にプロピレンから導かれる構成単位(a)が90〜99モル%の量でまた炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)が1〜10モル%の量で存在し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、 90<Tm<155-3.5(100-P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル%)である)の範囲にあり、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定した重量平均分子(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であり 、沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下となるように共重合させることを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体の製造方法。」 (なお、上記において、Mn,MwのMには、上に横線が引かれている。) [3]特許異議申立人の主張の概要 [3-1]特許異議申立人出光石油化学株式会社は、下記甲第1号証及び甲第2号証を提示し、甲第2号証によれば、本件第1発明は甲第1号証に記載された発明と同一であるから、本件第1発明に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり、その特許は取り消されるべきである旨、主張している。 記 甲第1号証:特開平1-266116号公報 (以下「先願公報」という。) 甲第2号証:出光石油化学株式会社研究開発部樹脂研究所 南裕作成の実 験報告書 [3-2]特許異議申立人三菱化学株式会社は、下記甲第1号証〜甲第3号証及び参考資料1を提出し、(1)本件第1発明は甲第1号証記載のものと同一であり(参考資料1の実験結果も参照すれば)、本件第1発明は甲第2号証に記載された発明であり、さらに、本件第1、2発明は甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものであるから、本件第1、2発明は、特許法第29条の2、同法第29条第1項第3号若しくは同法同条第2項の規定に違反して特許されたものであって、その特許は取り消されるべきである旨、主張している。 記 甲第1号証:特開平1-266116号公報 (「先願公報」として既出) 甲第2号証:特開昭61-130314号公報 (以下「刊行物1」という。) 甲第3号証:J.Am.Chem.Soc.1987,109,6544-6545 (以下「刊行物2」という。) 参考資料:三菱化学株式会社四日市事業所樹脂技術開発センター樹脂第 1研究室 田谷野孝夫作成の実験報告書 [4]特許異議申立てについての判断 [4-1]特許法第29条の2の規定の適用について [4-1-1]先願公報に掲載された、本件よりも先に出願され本件の出願後に出願公開された、特願昭63-200430号(出願人:ハイモント、インコーポレーテッド)の出願当初の明細書(以下「先願明細書」という。)の記載事項 (i)特許請求の範囲第1項 「プロピレンとエチレンおよび/または式 CH2=CHR (式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基である) のα-オレフィンとの結晶性共重合体であって、エチレンおよび/またはα-オレフィン2〜10モル%を含有し、融点110〜140℃および25℃のキシレン中の溶解度10重量%未満を有することを特徴とするプロピレンの新規結晶性共重合体」 (ii)第3頁左上欄7〜8行(なお、頁、行は先願公報における記載箇所を示す。以下同じ。) 「コモノマーの分布が完全に均質である共重合体が得られる。」 (iii)第3頁右上欄9〜11行 「共重合体は、135℃のテトラリン中での固有粘度0.2dl/gよりも大を有する。」 (iv)第2頁右下欄6〜11行 「高い結晶化度および非常に良好な機械的性質(プロピレン単独重合体と非常に類似)が付与され、融点110〜140℃を有し且つ冷キシレン中の限定溶解度(25℃のキシレン中での可溶性重合体画分10%未満)を示す」(v)第3頁右上欄17行から右下欄20行(実施例) 「エチレン-ビス-インデニル-ZrCl2(EBIZ)およびエチレン-ビス-テトラヒドロインデニル-ZrCl2(EBTHIZ)の合成をジャーナル・オブ・オルガノメタリック・ケミストリー(1985)288.63に従って実施した。」(「ジルコニウム化合物合成」という表題のもと) (vi)第4頁の表1 Zr化合物としてEBTHIZを使用しC2を3.5モル%、C3を96.5モル%重合した場合、共重合体組成中のC2は3.5であり、η(dl/dg)は1.6であり、T(℃)は129.6であり、20℃のキシレンに溶ける画分は2.5重量%であったこと(実施例3)、Zr化合物としてEBTHIZを使用しC4を5モル%、C3を95モル%重合した場合、共重合体組成中のC4は5.4であり、η(dl/dg)は1.40であり、T(℃)は125であり、20℃のキシレンに溶ける画分は5.5重量%であったこと(実施例7)。 [4-1-2]対比・検討 本件第1発明と該先願明細書記載のそれを対比すると、両者は「プロピレンから導かれる構成単位(a)および炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)からなるプロピレン系ランダム共重合体であって、 (A)前記構成単位(a)が90〜99モル%の量で、かつ前記構成単位 (b)が1〜10モル%の量で存在し、 (C)示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、90<Tm<155-3.5(100-P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル%である)の範囲にあること、を特徴とするピロピレン系ランダム共重合体。」である点で一致しており、本件第1発明の「(B)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、(D)ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定した重量平均分子(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であり、(E)沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下であること」の要件について、先願明細書では、(B)に相当する記載が「135℃のテトラリン中での固有粘度η(dl/dg)は1.6(実施例3)、1.40(実施例7)」と記載されているほか、(D)のMw/Mn比や(E)の沸騰トリクロロエチレン不溶分量については何も記載がない点で、両者は相違している。 この(B)の点につき、特許異議申立人三菱化学株式会社は、甲第1号証に記載の溶媒「テトラリン」(1,2,3,4-テトラヒドロナフタリン)は、本件第1発明の前記構成要件(B)で使用する溶媒「デカリン」(デカヒドロナフタリン;テトラリンの水素化物)とは異なるものの、両者は類似の化合物であり、粘度測定溶剤としては等価であると主張するが、類似化合物であるからといって測定値が一致するとは直ちにはいい難いことであるし、また、現実に実施例3を追試実験した参考資料1の測定結果をみると、テトラリン中での測定値は1.9dl/gで、デカリン中のそれは2.2dl/gであり、その値は一致してはいないのであるから、同異議申立人の主張は採用することができない。 特許異議申立人三菱化学株式会社の提出した参考資料1の追試実験によれば、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が2.2dl/gであり、Mw/Mnが2.28であるとのことであるが、この追試実験は先願明細書の実施例3を追試したものであり、実施例3は共重合成分としてC2を3.5モル%使用するものであって、本件第1発明のC4〜20を使用するものとは別異のものであるから、このようなモノマー構成の異なるもののデーターをもって両者が同一であると認めることはできない。 特許異議申立人出光石油化学株式会社の提出した甲第2号証の追試実験(先願明細書の実施例7を追試)によれば、デカリン中で測定した[η]が1.7dl/gであり、Mw/Mnが2.6であり、沸騰トリクロロエチレン不溶分量が0重量%であるとのことであるが、この追試実験は、(イ)トリエチルアルミニウムを160mlも使用しており、先願明細書の実施例7で使用されたとしている60mlとは大きく異なること、および、(ロ)得られた生成物の量についての記載がなく、該実施例7の収量である0.48g程度では到底各種物性を測定するには量が少なすぎること等、実験内容につき疑義があるので、これについて説明を求めたところ、同特許異議申立人は、(イ)の点は単純なタイプミスであり、また、(ロ)の点は同1条件下で9回実験を繰り返した、旨回答してきたが、タイプミスであることの証明(例えば、実験の手順を示すメモ)や9回実験を行ったことの証明(例えば、実験報告書の生データなど)は何も示されておらず、これでは、甲第2号証の追試実験が先願明細書の実施例7を適切かつ忠実に追試したとの確証を得ることができないのであって、そうである以上、甲第2号証の追試実験の結果を採用して両発明を同一と認定することはできない。 以上のとおりであるから、本件第1発明は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。 [4-2]特許法第29条第1項第3号の規定の適用について 刊行物1には、 「1).式CH2=CHR(式中Rは炭素原子数1〜10のアルキル基である。)で表されるオレフィンを単独でまたは相互の混合状態で、場合によりエチレンとの混合状態で、溶剤、液状単量体または気相中で-50〜200℃の温度のもとで可溶性遷移金属化合物およびアルミノキサン類によって重合することによってポリオレフィンを製造するにあたって、 a)一般式……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………… で表される立体的に固定したジルコン-キレート化合物および b)一般式 …………………………………………………………………………………………で表される線状アルミノキサンおよび …………………………………………………………………………………………で表される環状アルミノキサン(………………………………………………)なるアルミノキサン類のアルミニユウム含有化合物 より成る触媒系の存在下で重合を実施することを特徴とする、上記ポリオレフィンの製造方法。 2).……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………3).重合を、エチレン-ビス-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)-ジルコニウムジクロライドとメチルアルミノキサンとより成る触媒の存在下に実施する特許請求の範囲第1項記載の方法」(特許請求の範囲)の発明についての記載がされ、発明に詳細な説明には、「本発明は、新規のチーグラー触媒系の利用下にプロピレンおよびより高級な1-オレフィンを重合する為の並びにプロピレンとエチレンまたはより高級な1-オレフィンとを共重合する為の方法に関する。」(2頁左上欄9〜13行)、「………………より成る触媒系の存在下で重合する場合に、アイソタクッチク度が高く且つ分子量分布の狭い重合体が得られることを見出した。」(2頁右下欄1〜3行)、「共重合体を製造する場合、単量体相互の比は広い範囲で変えることができる。」(3頁右上欄8〜9行)、「重合は-50〜200℃、殊に-20〜120℃の温度のもとで実施する。特に、-20〜+60℃の範囲が有利である。」(3頁左下欄1〜3行)、「従来の方法で得られるポリプロピレン……………………は少なくとも2〜7重量%の可溶性成分(炭化水素中で再結晶処理した後に測定)を含有しているのに、本発明の方法によれば、同じ方法で測定して実質的に1%より少ない可溶性成分しか含有していないポリプロピレンが製造される。従って本発明の方法で得られるポリプロピレンの99%以上は結晶質である。 本発明に従って製造されるポリオレフィンは更に、非常に狭い分子量分布に特徴がある。従来の方法で製造されるポリプロピレンは一般に7〜11の分子量分布Mw/Mnを有しているのに対して、本発明の方法で製造されるポリプロピレンは約2以下の分子量分布Mw/Mnしか有していない。」(3頁左下欄10行〜右下欄10行)、との記載が存在し、明細書の実施例においては、Mw/MnはGPC-測定したことが記載されている。 本件第1発明と刊行物1記載のそれを対比すると、両者は「プロピレンから導かれる構成単位(a)および炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)からなるプロピレン系ランダム共重合体であって、(D)ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定した重量平均分子(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5未満であることを特徴とするピロピレン系ランダム共重合体。」である点で一致しているが、本件第1発明の要件とする「(A)前記構成単位(a)が90〜99モル%の量で、かつ前記構成単位(b)が1〜10モル%の量で存在し、 (B)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査熱量計によって測定した融点[Tm]が、90<Tm<155-3.5(100-P) (式中Pは共重合体中のプロピレン成分含有量(モル%である)の範囲にあり、 (E)沸騰トリクロロエチレン不溶分量が5重量%以下であること」が刊行物1に記載されていない点で両者は相違する。 これについて特許異議申立人三菱化学株式会社は、本件第1発明の前記構成要件(A)は、炭素数4〜20のα-オレフィンから誘導される構成単位を1モル%含有するが、かかるプロピレン系ランダム共重合体は、実質的にプロピレン単独重合体に等しいと判断することが出来、本件第1発明におけるプロピレン系ランダム重合体は、刊行物1に記載の重合触媒と類似した重合触媒で得られ(両者の本質的差異はハフニウムとジルコニウムの違いのみ)、しかも、本件明細書には上記の重合触媒の相違に基づく重合体の物性値の違いは具体的に立証されていない(何らの比較例もない)のであるから、本件第1発明と刊行物1記載発明における重合体とは、実質的に同一物質と判断することができ、本件第1発明は、刊行物1記載の発明の重合体についてその物性を単に確認しただけに過ぎないといえる、と主張する。 しかし、炭素数4以上のオレフィンを1モル%以上共重合しても、これら(B)、(C)および(E)の物性値がプロピレン単独重合体と全く変わらないとは直ちに断言できないし、また、触媒の中核となる金属がジルコニウムからハフニウムに変わった場合でも、得られるポリマーの(B)、(C)および(E)などの物性値が全く変わらないとは考え難いので、かかる主張は到底採用することはできない。 よって、本件第1発明は刊行物1に記載された発明とすることはできない。 [4-3]特許法第29条第2項の規定の適用について 刊行物2は、「キラルハフニウムメタロセン触媒による結晶構造性及び立体特異性プロピレンの重合」と題する報文であるが、該挙証の第6544頁左欄の中段ないし右欄の下から3行までには、次の記載がある。 「均質触媒による立体規則性に関する配位子の効果は、メタロセン触媒によるチグラーナッタプロピレンの重合についての興味を著しく促す。この分野の進歩に対する主な制限は、チタニウム触媒は通常の重合温度で不安定であり、ジルコニウム類は、相当量の低分子量オリゴマーを生成するということである。この投稿において、我々は、ラセミ-エチレンビス(インデニル)ハフニウム(IV)ジクロライド(rac-Et[Ind]2HfC12)とラセミ-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロライド(rac-Et[IndH4]2HfC12)の両者の構造および重合挙動について述べる。その結果は、これらとTi類およびZr類とで比較される。新規なHf触媒は、高分子量のアイソタクチックポリプロピレンを高収率で提供するための主要な触媒である。」 特許異議申立人三菱化学株式会社は、本件第1発明と刊行物1記載のそれとの本質的な差異は、触媒の遷移金属成分がハフニウムかジルコニウムの違いに過ぎず、刊行物2には本件第1発明で使用するハフニウム化合物触媒が記載されているから、これを刊行物1のジルコニウム化合物触媒に代えることは当業者が容易になし得ることであり、そのようにして得られた重合体について物性を確認することは当業者が容易になし得ることである、と主張する。 しかし、刊行物1及び刊行物2には、共重合体中にプロピレン単位が90〜99モル%の量で炭素数4〜20のα-オレフィン単位が1〜10モル%の量で存在すること(即ち、本件発明の(A)の点)については明確には何も記載されておらず、まして、本件第1発明で規定する諸物性値を有する該共重合体を両刊行物の記載から予想することは、当業者といえども困難といわざるを得ない。 してみれば、刊行物1及び刊行物2の記載に基づいて本件第1発明が当業者にとって容易に発明することができたものということはできない。 本件第2発明は、同第1発明で規定する共重合体の製造方法に係る発明であり、製造手段の特徴点として触媒系と重合温度をさらに規定するものであるが、本件第1発明が刊行物1及び2の記載から当業者が容易に発明し得たものとすることができない以上、同様に本件第2発明も両刊行物の記載に基づいて当業者が容易に発明し得たものとすることはできない。 [5]むすび 以上のとおりであるから、両特許異議申立の提示した証拠によっては本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-02-05 |
出願番号 | 特願昭63-328731 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
Y
(C08F)
P 1 651・ 121- Y (C08F) P 1 651・ 161- Y (C08F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤本 保 |
特許庁審判長 |
柿崎 良男 |
特許庁審判官 |
小島 隆 三浦 均 |
登録日 | 1997-08-15 |
登録番号 | 特許第2685261号(P2685261) |
権利者 | 三井化学株式会社 |
発明の名称 | プロピレン系ランダム共重合体およびその製造方法 |
代理人 | 牧村 浩次 |
代理人 | 東平 正道 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 岡田 数彦 |