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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61F 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する A61F 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61F 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A61F 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A61F |
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管理番号 | 1055720 |
審判番号 | 訂正2001-39179 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-10-21 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2001-10-11 |
確定日 | 2001-12-27 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2899795号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2899795号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第2899795号発明(平成8年5月8日特許出願、平成11年3月19日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、下記訂正事項のとおり訂正することを求めるものである。 訂正事項イ 特許請求の範囲の請求項6中の「・・・仮固定たもの・・・」を「・・・仮固定したもの・・・」と訂正する。 訂正事項ロ 特許請求の範囲の請求項11を 「【請求項11】下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている請求項10記載の多層生理用品。」と訂正する。 訂正事項ハ 明細書段落0004の記載を次のとおり訂正する。 「【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、現在、吸水性高分子からなる液体吸収材質の進歩によって、液体吸収シートが非常に薄くなって、しかも大きい吸収能力を有する点、従来の1個のパッケージにつき一度の使用で使い切る生理用品を、液体吸収シート部分に同一のシートを2〜5枚重ねても、未吸収の液体吸収シートは非常に薄い厚さであるので、その厚さはあまり増加せず、装着感及び外観にも殆ど変化がない点、及び公知の液体吸収シートの上に、同一の吸収シートを2〜5枚を各シートを個別的に分離状態で重ねた液体吸収シートを使用すれば、単に上層の使用済み液体吸収シートのみを剥がすことによって、その下にあるまったく汚れていない生理用品が露出され、短時間で新しい生理用品に取り替えた状態になる。その結果、1個のパッケージで従来の2〜5個分の生理用品の装着が可能となり、予備の生理用品パッケージを携帯する必要がない点に着目し、この発想に基づき鋭意研究を重ね、使用済み上層液体吸収シートの取り外し操作が容易で、かつ製造に便利な積層液体吸収シートを有する多層生理用品及びその製造方法を提供するに至ったものである。 従来より、吸収量を増加させる目的又は横もれ防止の目的で液体吸収シートを多層にする技術思想は実用化されているが、上層液体吸収シートの吸収液が下層に積層された液体吸収シートに浸透しない構造、すなわち各液体吸収シート間で液体が透過しない遮断層による分離状態の積層構造であって各液体吸収シートの積層間が指ではがし易い積層構造は存在しない。 すなわち、本発明は、次の各項の発明よりなるものである。 (1)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (2)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (3)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁と上層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁との間に溶着防止剤を介在させたヒートシールによる半溶着固定である2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (4)ヒートシールによる半溶着が熱刃による溶断によって行ったものである第(3)項記載の多層生理用品。 (5)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁の一部又は全周を感熱接着剤層を介させた熱圧着により固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (6)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、上層複合吸収シートの上層裏張りシートが下層複合吸収シートの下層裏張りシートと一体的な連続シートよりなるものを境界線で折り曲げて重ねてなる多層構造において、その境界線付近に1以上のミシン目を設け、該折り曲げ境界線の反対側の周縁の下層複合吸収シートの表面と上層複合吸収シートの裏面との間を仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (7)仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである第(6)項記載の多層生理用品。 (8)仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (9)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が複数の複合吸収シートを重ねて、全部の裏張りシートの周縁の一部又は全周を熱融着によって一旦結合して、その熱融着の内側に切断ミシン目を設けたものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (10)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層裏張りシートと上層裏張りシートの少なくとも一縁を単に機械的圧着により仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (11)下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている第(10)項記載の多層生理用品。 (12)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔費カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートに予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (13)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着して仮固定してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (14)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤によって各積層間を仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (15)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周緑と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が2枚以上の複合吸収シートを重ねた多層構造であって、各裏張りシートの周縁がその下層の裏張りシートの周縁の外側にまで拡張された拡張周縁を有し、積層構造の最下層裏張りシートの裏面並びにそれに積層された2以上の複合吸収シートの裏張りシートの周縁を1層下の裏張りシートの周縁よりはみ出した拡張周縁とし、その拡張周縁の裏面に感圧接着剤層を設け、その各複合吸収シートの全感圧接着剤層を剥離紙で覆って該多層構造を固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (16)複合吸収シートが裏面に表側にひっくりかえして包装できるフイルムを積層してなるものである第(1)〜(15)項記載のいずれか記載の多層生理用品。 (17)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、当該接着仮固定積層シートの間に高分子吸収体シートを挟持させた後、側縁を熱シール又は溶断することにより、各接着仮固定積層シートの積層間には半溶着状態を形成し、各接着仮固定積層シートの上層又は下層の接着固定シートの裏張りシート又は多孔質フイルムシートとの間には溶着状態を形成させることを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (18)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、各接着仮固定積層シートを該接着仮固定積層シートより幅の狭い2層以上の長尺の高分子吸収体シートの各層間にそれぞれ介在させて積層して高分子吸収体シートと接着仮固定積層シートが交互に重なる交互積層シートを形成させ、該交互積層シートの最上面に1枚の長尺の表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートを積層し、該交互積層シートの最下面には、1枚の長尺の裏面熱可塑性樹脂製裏張りシートを積層して所定枚数の高分子吸収体シートを含む長尺の多層積層シートを形成し、該多層積層シートの中の長尺の接着仮固定積層シート側縁を熱シール若しくは溶断することにより、各接着仮固定積層シートの側縁は、その下方にある裏面裏張りシート若しくは下方にある接着仮固定積層シートの上面、並びに、その上方にある接着仮固定積層シートの下面若しくは表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートの各シートの側縁に融着固定され、また、各接着仮固定積層シートの長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートとその直上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの側縁は接着剤の介在による熱シール若しくは溶断による半溶着仮固定を形成せしめ、ここに形成された長尺の多層積層体を所定の間隔毎に切断することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (19)高分子吸収体シートが布状であることを特徴とする第(17)項記載の多層生理用品の製造方法。 (20)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、裏面に感圧接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着した1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (21)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数牧用意し、別に、1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収体シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、該熱シール工程の前又は後に該複合積層シートの裏面中央に感圧接着剤を塗布した長尺の熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。」 2.当審の判断 そこで、これらの訂正事項について検討すると、上記訂正事項イは、「・・・仮固定たもの・・・」を「・・・仮固定したもの・・・」と訂正する、というものであるから、誤記の訂正を目的とするものであることは明らかである。 上記訂正事項ロは、引用する請求項を「請求項9」から「請求項10」に訂正する、というものである。 まず、請求項11が、請求項9を引用することができるか否か検討すると、請求項11においては、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの仮固定を圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合することによる仮固定に特定するものであるところ、請求項9においては、「・・・該仮固定が複数の複合吸収シートを重ねて、全部の裏張りシートの周縁の一部又は全周を熱融着によって一旦結合して、その熱融着の内側に切断ミシン目を設けたものである・・・」と記載され、請求項11における「圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合することによる仮固定とは全く別異の、熱融着とミシン目との組み合わせという固定手段であるので、請求項11は請求項9を引用できないものであることは明らかである。 次に、いずれの請求項が本来請求項11によって引用されるべきものかについて検討するが、請求項が引用できるのは当該請求項より先行する請求項であるから、請求項1〜8及び10について、いずれの請求項が本来請求項11によって引用されるべきものかについて検討する。 請求項1においては、「・・・下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行う・・」ものであるから、請求項11における機械的仮固定とは異なる、感圧接着剤を介在させるという仮固定手段であるので、請求項11が請求項1を引用できないものであることは明らかである。 請求項2においては、「・・・該仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなる・・・」ものであるから、請求項11における機械的仮固定とは異なる、感圧接着剤と剥離剤層とを組み合わせるという仮固定手段であるので、請求項11が請求項2を引用できないものであることは明らかである。 請求項3においては、「・・・該仮固定が、下層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁と上層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁との間に溶着防止剤を介在させたヒートシールによる半溶着固定である・・・」ものであるから、請求項11における機械的仮固定とは異なる、半溶着固定という仮固定手段であるので、請求項11が請求項3を引用できないものであることは明らかである。 請求項4は、請求項3を引用するものであるから、請求項3に対する理由と同様の理由で、請求項11が請求項4を引用できないものであることは明らかである。 請求項5においては、「・・・該仮固定が、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁の一部又は全周を感熱接着剤層を介させた熱圧着により固定したものである・・・」ものであるから、請求項11における機械的仮固定とは異なる、感熱接着剤を介させた仮固定手段であるので、請求項11が請求項5を引用できないものであることは明らかである。 請求項6においては、「・・・該仮固定が、上層複合吸収シートの上層裏張りシートが下層複合吸収シートの下層裏張りシートと一体的な連続シートよりなるものを境界線で折り曲げて重ねてなる多層構造において、その境界線付近に1以上のミシン目を設け、該折り曲げ境界線の反対側の周縁の下層複合吸収シートの表面と上層複合吸収シートの裏面との間を仮固定したものである・・・」のに対して、請求項11においては、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの仮固定を圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合することによる仮固定に特定するものであるので、ミシン目を設けるものではなく、請求項11が請求項6を引用できないものであることは明らかである。 請求項7は、請求項6を引用するものであるから、請求項6に対する理由と同様の理由で、請求項11が請求項7を引用できないものであることは明らかである。 請求項8は、「仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである・・・」から、請求項11における機械的仮固定とは異なる、感圧接着剤を用いた仮固定手段であるので、請求項11が請求項8を引用できないものであることは明らかである。 請求項10は、「・・・該仮固定が、下層裏張りシートと上層裏張りシートの少なくとも一縁を単に機械的圧着により仮固定したものである・・・」から、請求項11で採用している「・・・下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの仮固定を圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合することによる仮固定・・・」の上位にあたる機械的圧着を規定する請求項10を引用することができるものであることは明らかである。 したがって、請求項11は請求項9を引用することはできず、引用できるのは請求項10のみであるので、請求項11において引用されている「請求項9」は「請求項10」の誤記であることは明らかである。 訂正事項ハは、訂正事項イ及びロによって特許請求の範囲が訂正されたことに伴い、明細書の詳細な説明の欄の記載を整合させるものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記各訂正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。 3.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号およびただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 多層生理用品及びその製造方法並びに多層生理用品用複合吸収シート (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項2】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項3】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁と上層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁との間に溶着防止剤を介在させたヒートシールによる半溶着固定である2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項4】 ヒートシールによる半溶着が熱刃による溶断によって行ったものである請求項3記載の多層生理用品。 【請求項5】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁の一部又は全周を感熱接着剤層を介させた熱圧着により固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項6】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、上層複合吸収シートの上層裏張りシートが下層複合吸収シートの下層裏張りシートと一体的な連続シートよりなるものを境界線で折り曲げて重ねてなる多層構造において、その境界線付近に1以上のミシン目を設け、該折り曲げ境界線の反対側の周縁の下層複合吸収シートの表面と上層複合吸収シートの裏面との間を仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項7】 仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである請求項6記載の多層生理用品。 【請求項8】 仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項9】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が複数の複合吸収シートを重ねて、全部の裏張りシートの周縁の一部又は全周を熱融着によって一旦結合して、その熱融着の内側に切断ミシン目を設けたものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項10】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層裏張りシートと上層裏張りシートの少なくとも一縁を単に機械的圧着により仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項11】 下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている請求項10記載の多層生理用品。 【請求項12】 裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートに予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項13】 裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着して仮固定してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項14】 裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤によって各積層間を仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項15】 裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が2枚以上の複合吸収シートを重ねた多層構造であって、各裏張りシートの周縁がその下層の裏張りシートの周縁の外側にまで拡張された拡張周縁を有し、積層構造の最下層裏張りシートの裏面並びにそれに積層された2以上の複合吸収シートの裏張りシートの周縁を1層下の裏張りシートの周縁よりはみ出した拡張周縁とし、その拡張周縁の裏面に感圧接着剤層を設け、その各複合吸収シートの全感圧接着剤層を剥離紙で覆って該多層構造を固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 【請求項16】 複合吸収シートが裏面に表側にひっくりかえして包装できるフイルムを積層してなるものである請求項1〜15のいずれか記載の多層生理用品。 【請求項17】 2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、当該接着仮固定積層シートの間に高分子吸収体シートを挟持させた後、側縁を熱シール又は溶断することにより、各接着仮固定積層シートの積層間には半溶着状態を形成し、各接着仮固定積層シートの上層又は下層の接着固定シートの裏張りシート又は多孔質フイルムシートとの間には溶着状態を形成させることを特徴とする多層生理用品の製造方法。 【請求項18】 2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、各接着仮固定積層シートを該接着仮固定積層シートより幅の狭い2層以上の長尺の高分子吸収体シートの各層間にそれぞれ介在させて積層して高分子吸収体シートと接着仮固定積層シートが交互に重なる交互積層シートを形成させ、該交互積層シートの最上面に1枚の長尺の表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートを積層し、該交互積層シートの最下面には、1枚の長尺の裏面熱可塑性樹脂製裏張りシートを積層して所定枚数の高分子吸収体シートを含む長尺の多層積層シートを形成し、該多層積層シートの中の長尺の接着仮固定積層シート側縁を熱シール若しくは溶断することにより、各接着仮固定積層シートの側縁は、その下方にある裏面裏張りシート若しくは下方にある接着仮固定積層シートの上面、並びに、その上方にある接着仮固定積層シートの下面若しくは表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートの各シートの側縁に融着固定され、また、各接着仮固定積層シートの長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートとその直上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの側縁は接着剤の介在による熱シール若しくは溶断による半溶着仮固定を形成せしめ、ここに形成された長尺の多層積層体を所定の間隔毎に切断することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 【請求項19】 高分子吸収体シートが布状であることを特徴とする請求項17記載の多層生理用品の製造方法。 【請求項20】 長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、裏面に感圧接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着した1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 【請求項21】 長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収体シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、該熱シール工程の前又は後に該複合積層シートの裏面中央に感圧接着剤を塗布した長尺の熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、使用に便利な生理用品に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 現在、女性の生理用品の使用の態様は、たとえ液体吸収体シートの吸収能力が残存していても、トイレ使用の度毎に新鮮な生理用品に取り替えて、使用済みのものは捨ててしまう傾向である。 従来は、生理用品の液体吸収体シートの吸収能力を大きくすることに開発の力点がおかれているが、この女性の使用態様から見ると、吸収能力をこれ以上幾ら大きくしても意味がないことになる。 さて、最近の生理用品は、非常にコンパクトになってきたとはいえ、上記のようにトイレの度毎に取り替えるため外出時には予備の生理用品を数個持ち歩くことになり、かさ張るので不便であった。 そのためフォーマルな装い等ファッションを気にする服装時の生理用品の収納には、別に手提げ袋を用意するなど平常時よりも種々の制限を受ける不便が生じていた。 また、羞恥心の大きい女子学生などにとってはトイレの時間が長いのを嫌う傾向にあり、校内や旅行等での使用にも生理用品の携帯、保管場所や休み時間の限られた時間内の狭い場所での取り替えには、長い時間がかかり不便であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、多数の取り替え用の生理用品の携帯が不要で、かつ、下着の所定の位置へのやっかいな取り付け接着操作は複数個の複合吸収シート当たり1回でよく、さらに、新鮮な複合吸収シートに取り替える時間を大きく短縮できる多層生理用品及びその製造方法を提供することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、現在、吸水性高分子からなる液体吸収材質の進歩によって、液体吸収シートが非常に薄くなって、しかも大きい吸収能力を有する点、従来の1個のパッケージにつき一度の使用で使い切る生理用品を、液体吸収シート部分に同一のシートを2〜5枚重ねても、未吸収の液体吸収シートは非常に薄い厚さであるので、その厚さはあまり増加せず、装着感及び外観にも殆ど変化がない点、及び公知の液体吸収シートの上に、同一の吸収シートを2〜5枚を各シートを個別的に分離状態で重ねた液体吸収シートを使用すれば、単に上層の使用済み液体吸収シートのみを剥がすことによって、その下にあるまったく汚れていない生理用品が露出され、短時間で新しい生理用品に取り替えた状態になる。その結果、1個のパッケージで従来の2〜5個分の生理用品の装着が可能となり、予備の生理用品パッケージを携帯する必要がない点に着目し、この発想に基づき鋭意研究を重ね、使用済み上層液体吸収シートの取り外し操作が容易で、かつ製造に便利な積層液体吸収シートを有する多層生理用品及びその製造方法を提供するに至ったものである。 従来より、吸収量を増加させる目的又は横もれ防止の目的で液体吸収シートを多層にする技術思想は実用化されているが、上層液体吸収シートの吸収液が下層に積層された液体吸収シートに浸透しない構造、すなわち、各液体吸収シート間で液体が透過しない遮断層による分離状態の積層構造であって各液体吸収シートの積層間が指ではがし易い積層構造は存在しない。 すなわち、本発明は、次の各項の発明よりなるものである。 (1)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (2)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (3)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁と上層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁との間に溶着防止剤を介在させたヒートシールによる半溶着固定である2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (4)ヒートシールによる半溶着が熱刃による溶断によって行ったものである第(3)項記載の多層生理用品。 (5)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁の一部又は全周を感熱接着剤層を介させた熱圧着により固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (6)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、上層複合吸収シートの上層裏張りシートが下層複合吸収シートの下層裏張りシートと一体的な連続シートよりなるものを境界線で折り曲げて重ねてなる多層構造において、その境界線付近に1以上のミシン目を設け、該折り曲げ境界線の反対側の周縁の下層複合吸収シートの表面と上層複合吸収シートの裏面との間を仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (7)仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである第(6)項記載の多層生理用品。 (8)仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (9)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が複数の複合吸収シートを重ねて、全部の裏張りシートの周縁の一部又は全周を熱融着によって一旦結合して、その熱融着の内側に切断ミシン目を設けたものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (10)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層裏張りシートと上層裏張りシートの少なくとも一縁を単に機械的圧着により仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (11)下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている第(10)項記載の多層生理用品。 (12)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートに予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (13)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着して仮固定してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (14)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤によって各積層間を仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (15)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が2枚以上の複合吸収シートを重ねた多層構造であって、各裏張りシートの周縁がその下層の裏張りシートの周縁の外側にまで拡張された拡張周縁を有し、積層構造の最下層裏張りシートの裏面並びにそれに積層された2以上の複合吸収シートの裏張りシートの周縁を1層下の裏張りシートの周縁よりはみ出した拡張周縁とし、その拡張周縁の裏面に感圧接着剤層を設け、その各複合吸収シートの全感圧接着剤層を剥離紙で覆って該多層構造を固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (16)複合吸収シートが裏面に表側にひっくりかえして包装できるフイルムを積層してなるものである第(1)〜(15)項記載のいずれか記載の多層生理用品。 (17)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、当該接着仮固定積層シートの間に高分子吸収体シートを挟持させた後、側縁を熱シール又は溶断することにより、各接着仮固定積層シートの積層間には半溶着状態を形成し、各接着仮固定積層シートの上層又は下層の接着固定シートの裏張りシート又は多孔質フイルムシートとの間には溶着状態を形成させることを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (18)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、各接着仮固定積層シートを該接着仮固定積層シートより幅の狭い2層以上の長尺の高分子吸収体シートの各層間にそれぞれ介在させて積層して高分子吸収体シートと接着仮固定積層シートが交互に重なる交互積層シートを形成させ、該交互積層シートの最上面に1枚の長尺の表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートを積層し、該交互積層シートの最下面には、1枚の長尺の裏面熱可塑性樹脂製裏張りシートを積層して所定枚数の高分子吸収体シートを含む長尺の多層積層シートを形成し、該多層積層シートの中の長尺の接着仮固定積層シート側縁を熱シール若しくは溶断することにより、各接着仮固定積層シートの側縁は、その下方にある裏面裏張りシート若しくは下方にある接着仮固定積層シートの上面、並びに、その上方にある接着仮固定積層シートの下面若しくは表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートの各シートの側縁に融着固定され、また、各接着仮固定積層シートの長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートとその直上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの側縁は接着剤の介在による熱シール若しくは溶断による半溶着仮固定を形成せしめ、ここに形成された長尺の多層積層体を所定の間隔毎に切断することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (19)高分子吸収体シートが布状であることを特徴とする第(17)項記載の多層生理用品の製造方法。 (20)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、裏面に感圧接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着した1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (21)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収体シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、該熱シール工程の前又は後に該複合積層シートの裏面中央に感圧接着剤を塗布した長尺の熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 【0005】 【発明の実施の形態】 本発明生理用品に用いる液体吸収体シートは、公知の生理用品の液体吸収体シートの材質、形状及び構造を、特に制限なく採用することができる。 液体吸収シートの材質は薄くても吸収能力の大きい、例えば公知公用の吸水性高分子製の布若しくは不織布又は綿を特に好適に使用できる。 生理用品は、通常、裏張りシートの上に液体吸収体シートが乗せられ、その上に吸収液の逆戻り防止シートが積層され、さらに、その上に多孔質フイルムが積層され、その多孔質フイルムの周縁が裏張りシート周縁に接着、融着又はその他の手段で固定され、裏張りシートと多孔質フイルムとで液体吸収シート本体を上下から包み込んでいる。 本発明においては、液体吸収体シート及びこれを乗せる裏張りシートは必須の構成であるが、上面の多孔質フイルム等の積層構造は好適であるが、必ずしも必須の構成ではなく、他の態様の構造も本発明に使用することができる。従って、本発明においては、裏張りシートの上に液体吸収体シートを乗せた積層体の全体を複合吸収シートと定義する。また、裏張りシートが液体吸収シートの寸法よりも大きい場合は裏張りシートの周縁が液体吸収シートよりはみ出す形状となる。この場合には、裏張りシートの周縁の表面側には、多孔質の表面フイルムなどが積層されぬ場合があるが、このような積層シート全体を裏張りシートの周縁とみなして、裏張りシートの周縁の表面側に一体的に接着している表面フイルムなどは、裏張りシートの表面とみなすものとする。 また、本発明においては、上層複合吸収シートのみを剥離して捨てる場合の包み紙がない点を補うために、複合吸収シート特にその裏張りシートに廃棄包装用シートを取り付けるとさらに好適である。例えば、裏張りシートの裏面に積層されたフイルムの中央部などにミシン目等を付けてミシン目部分を収納口として、若しくは裏面の該フイルムの遊離した一縁を収納口として、複合吸収シートの表側にひっくり返すことによって複合シート本体を該フイルムの中に収納包装することができる。 従って、本発明における複合吸収シートとは、裏張りシートに単に液体吸収体シートを積層しただけの最小構成単位の積層もあり、また、裏張りシートに、液体吸収体シート、逆戻り防止シート、多孔質フイルムその他の機能性シートを積層した複合シートの場合もある。 ここに多孔質フイルムとは、液体を透過させるシートを意味し、現実に、無数の微細な穴があいているフイルムのみならず、微細な穴がなくとも液体を抵抗なく透過させるフイルム、例えば液体透過性の良い紙シートなども本発明の多孔質フイルムの概念に該当する。本発明に使用する多孔質フイルムは、液体透過性及び加工性の点から熱可塑性樹脂製フイルムが望ましい。 本発明生理用品の好ましい態様は、下層の複合吸収シートの液体吸収体シートの周縁からはみ出した下層裏張りシート周縁の上に、仮固定によって第二、及び第三の複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁が順次仮固定された複合吸収シートの2以上の積層体からなる。また、裏張りシートが液体吸収体シートの寸法と略同一の場合は、下層複合吸収シートの表面の周縁と上層複合吸収シートの裏面の周縁との間の仮固定によって2以上の複合吸収シートの積層体にすることができる。 本発明において、下層複合吸収シートと上層複合吸収シートとの間の仮固定とは、携帯状態及び生理用品装着状態では安定してしっかりと固定されているが、取り替え時には、指で容易に下層複合吸収シートから上層複合吸収シートを取り外し可能な取り付け状態である。このようにして、上層の複合吸収シートを取り外すときに、本発明生理用品の最下層の複合吸収シートの最下層裏張りシートと下着との固定はそのままにして、一番上にある使用済みの複合吸収シートを指で引き剥がして取り外すことができる状態である。 また、別の態様として、下層複合吸収シート周縁との仮固定に代えて、若しくは該仮固定とともに、上層複合吸収シートの裏面の全部又は中央部を直接下層複合シートの表面に接着剤又は高圧の圧着で仮固定させる態様もある。この場合の接着剤は、感熱接着剤の方が、はがした後の下層複合吸収シートの表面がべとつかないので好適である。 このような取り外し可能の仮固定状態は、例えば下層の複合吸収シート液体吸収体シートの面積からはみ出している裏張りシートの周縁若しくは液体吸収体シートの表面の周縁と下層複合吸収シートの裏張りシートの周縁との間に、弱い結合力で固定することによって達成できる。そして、使用中にしっかりと固定されている必要から、仮固定が複合吸収シートの一縁でのみ仮固定されているのでは、積層位置が不安定であるので、複合吸収シート周縁の少なくとも対向する2縁における仮固定、若しくは全周の半分以上、特に75%以上が仮固定されているのが望ましい。 その仮固定方法としては、接着と剥離が反復できる感圧接着剤(粘着剤)による複合吸収シートの周縁だけの部分的接着方法、弱接着性の感圧接着剤による上層複合吸収シートの裏面と下層複合吸収シートの表面との全面的接着方法、接着と剥離が反復できない感熱接着剤による熱圧着接着方法、融着防止剤を間に介在させた周縁の半溶着方法、フイルムの切断分離を容易にするミシン目方法及び接着剤を使用しないで高圧で圧縮する反復不能の超圧着方法など、仮固定を分離した場合に、継続して使用する最下層裏張りシート側に接着力が残存しない仮固定方法であれば、特に制限なく使用できる。また、本発明の仮固定方法として、これらの仮固定手段の二つ以上を併用することができる。例えば、一方の縁をミシン目又は圧着方法にして、これに対向する他方の縁に感圧若しくは感熱接着剤による仮固定を使用する方法などは好適である。 これら仮固定方法は、通常液体吸収シートの周縁からはみ出した裏張りシートの周縁において実行することができる。しかし、これらの仮固定方法の中で、感熱接着剤層及び弱接着性感圧接着剤層による場合は、剥離後の下層複合吸収シートの表面が粘着することがないので、上層複合吸収シートの裏面全体に感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤を塗布して、下層複合吸収シートの表面の接着による仮固定を実施することができる。この感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤による仮固定方法は、複合吸収シートの裏張りシートが液体吸収シートと同一寸法であって、はみ出し周縁がない場合にも実施することができる。 また、下層複合吸収シートとの仮固定方法に代えて、又はこれら仮固定と共に、下層複合吸収シート周縁より拡張された上層複合吸収シートの周縁の裏面を感圧接着剤層で直接下着の布地に接着仮固定することができる。この場合は、最下層裏張りシートの裏面とともに、上層複合吸収シートの上層裏張りシートの拡張周縁の裏面の感圧接着剤層は、一枚の剥離紙で使用直前まで保護することができ、この剥離紙が使用直前まで多層構造を固定している。この場合は剥離紙をはがしたときに、多層の複合吸収シートがバラバラに分離しないように他の固定方法を講じるのが望ましい。 本発明生理用品は、複合吸収シートを下着等に固定する機構、逆戻り防止及び横漏れ防止機構などについては特徴はなく、本発明の目的を損なわない限り公知の生理用品の構造を特に制限なく採用することができる。 本発明多層生理用品を構成する単層の複合吸収シートの好ましい一態様は、公知の生理用品とほぼ同一の構造を有するものであり、裏張りシートの寸法は液体吸収シートの寸法より大きくして、周縁の少なくとも一部、望ましくは大部分が内蔵されている液体吸収シートの周縁よりはみ出しているものである。 本発明に用いる最下層複合吸収シートの裏張りシートの裏面には、下着の生地の特定の場所に固定するために、例えば感圧接着剤層などの公知の固定機構が設けられている。 特に、感圧接着剤層を設けてその上に剥離紙を張り付けたものを好適に使用することができる。使用の際は剥離紙を剥がして下着の生地の所定の位置に接着することができる。 本発明に用いる複合吸収シートの裏張りシートも公知の形状材質のものを使用することができる。 本発明に用いる複合吸収シートの裏張りシートは、液体吸収体シートを固定する台紙シートとしての役割を果たすものであるが液体吸収体をシートを固定又は包装する役目を果たすもので液体吸収体と分離しているもの及び一体的に形成されているもののいずれの態様も使用することができる。 本発明の裏張りシートは、液体吸収体シートに吸収された液体がさらに裏面に染み出さない材質であるべきであり、例えば、薄い樹脂フイルム、超薄の樹脂フイルムをラミネートした紙シート若しくは不織布又は撥水加工した紙シート若しくは不織布などを使用することができる。紙シート若しくは不織布の場合は、廃棄の際に、水洗便所の水でスラリー状になって流れる利点がある。 本発明の多層生理用品の一番底になる最下層裏張りシートは、下着の所定の位置に最下層裏張りシートを固定する機構を有する必要がある。 この機構については公知の生理用品の機構を特に制限なく使用することができる。例えば、最下層裏張りシートの全面又は中央部若しくは周縁に感圧接着剤層を設け、この感圧接着剤層で下着の所定の位置に接着固定する機構を採用することができる。この感圧接着剤層は使用直前まで剥離紙を接着層面の上に張り付けて他の部分に接着しないようにされていて、使用の際に剥離紙を剥がして下着に正確に取り付ける。 本発明の複合吸収シートは全く同一材質及び同一寸法のものを使用することができる。しかし、所望によって、液体吸収体シートの材質、寸法、厚さを変化させたりすることができる。これによって、液体吸収シートの吸収量を時間に応じて適宜調節することができる。さらに、数枚の液体吸収シートを積層した場合などには液体吸収シート又は裏張りシートの色の変化によって、残りは何層あるかを知らせるようにすると便利である。 本発明の上層複合吸収シートの裏張りシートの役割及び材質は最下層裏張りシートとほぼ同一である。ただ、最下層裏張りシートの裏面に設けた下着等に固定する機構の代わりに、上層裏張りシートの裏面には、下層複合吸収シートの所定の位置又は直接下着生地に仮固定する機構が必要となる。 【0006】 本発明を実施例の図面によって、さらに詳細に説明する。 実施例の積層構造は、2〜5層で説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2層以上の多層構造は本発明の態様である。 図1は、熱可塑性樹脂フイルム製裏張りシート11が吸水高分子製液体吸収体シート10より大きい面積寸法の場合の最下層複合吸収シート1に、上層複合吸収シート2を取り外し可能状態で積層した構造を有する本発明の一実施態様の多層生理用品である。 液体吸収体シート10の裏面には、液体吸収体シート10より少し大きい面積寸法の裏張りシート11が取り付けられている。そして、液体吸収体シート10の上には、熱可塑性樹脂製液体透過性の表面フイルム12(多孔質フイルム)が積層され、裏張りシート11と表面フイルム12の周縁で接合させて、裏張りシート11と表面フイルム12の間に液体吸収体シート10が包まれて、最下層複合吸収シートを形成している。上層の複合吸収シート2も最下層複合吸収シート1と同様の積層体であり、液体吸収体シート20と裏張りシート21及び表面フイルム22から構成されている。 図1の態様では、裏張りシート11の裏面全面には、感圧接着剤層Aが塗布され、その上に剥離紙Bが貼着されている。この裏張りシート11の裏面の感圧接着剤層Aは公知の生理用品に使用されているものであり、裏張りシート11を下着の所定の位置に接着固定するときに、剥離紙Bを剥がして使用する。 図面では、簡明のため、裏張りシート11、21、表面フイルム12、22、感圧接着剤層A及び剥離紙Bは1本の線で表している。また、液体吸収シート10、20は1本の太線で表している。そして以下の各図においては、複合吸収シートの内部の液体吸収シートを表す太線も繁雑を避けるために省略することもある。 この剥離紙による最下層裏張りシート11の固定機構は従来の生理用品においても同様であるが、このような感圧接着剤層で下着の所定の位置に生理用品の裏張りシートを張り付ける場合には、剥離紙を剥がしたときに露出する接着剤層面がアチコチにひっつくので、外出先の狭いトイレの中で下着を体に付けたまま正確な位置に固定するのは非常に困難な慎重を要する操作になり時間がかかる。また、下着から使用済みの生理用品の裏張りシートを剥がすときに比較的大きい音がするのも外出先の使用時の欠点となる。 本発明の場合は、下着を体に装着する前に自宅で正確な位置に最下層裏張りシートを固定することができ、また、取り替えるときは、最上層の複合吸収シートを剥がすだけであり、最下層の裏張りシートの固定位置に変化はないので、短時間に新規の液体吸収シートに取り替えることができる。すなわち、最初の多層生理用品の固定に関しては従来の生理用品と同様の時間がかかるが、多くの場合それは時間的余裕のある自宅で操作することであり、本発明生理用品の場合は、問題となる外出先での取り替え時間が大幅に短縮できる利点がある。 本態様の図2は、図1の裏張りシート11の上に固定された複合吸収シート1の平面図(a)及び断面図(b)であり、裏張りシート11の周縁14が液体吸収シート10の周縁(点線によって図示した)の外にはみ出す状態になるよう形成されている。 一方、図3の上層複合吸収シート2の裏張りシート21の裏面の周縁24の裏面には周縁感圧接着剤層25が塗布されている。 【0007】 そして、図2の最下層複合吸収シート1の上に図3の上層複合吸収シート2の裏張りシート21の裏面を重ねて周縁感圧接着剤層25によって、下層裏張りシート11の周縁の表面と上層裏張りシート21の周縁の裏面を接着固定すると図1の断面構造の本発明生理用品の一態様が形成される。 本発明のこの態様の場合は、液体吸収体シート10は、裏張りシート11と裏張りシート21の間に密封されていて、装着時に外部の湿気を吸収することはない。しかし、この密封構造は必須の構成ではなく、周縁24の一部には感圧接着剤層25を塗布しない部分を設けることもできる。そして、この接着剤層の存在しない周縁部から指を入れて上層複合吸収シート2を容易にはぎ取ることができるようにすることができる。 また、最上層の積層裏張りシートを剥ぎ取るために便利な突起舌片部26を上層複合吸収シートの裏張りシート及び/又は最下層裏張りシートの周縁に例えば図3のように設けることができる。上層裏張りシートと最下層裏張りシートの両方にこの突起舌片部を近接させて設けると引き剥がし操作がさらに容易になる。 この態様の上層複合吸収シートを有する生理用品を剥離紙Bを剥がして下着に装着して使用すると表面に現れる複合吸収シート2が液体を吸収する。そしてトイレで最上層の複合吸収シート2を取り替えるときは、裏張りシート21の端部にある突起舌片部26を持って、これを裏張りシート11の周縁から剥がすことができる。この剥がし操作は、裏張りシート11を下着に固定させたままで実施できる。 本発明生理用品が3層以上の多層の場合には、前記のように上層複合吸収シートの裏張りシートの突起舌片部26のそばに中間下層の複合吸収シートの裏張りシートの周縁に同様の舌片部(図示しない)を設けておくと、使用済み複合吸収シートとともに、その中間下層の未使用の複合吸収シートを引き剥がす失敗を防止することができる。 裏張りシート21を剥がしたときは、周縁感圧接着剤層25は、裏張りシート21の周縁の裏面側に接着した状態で剥がれるので、裏張りシート11の表面側に感圧接着剤の糊移りはなく、膚又は体毛等に感圧接着剤層が接着する煩わしさはない。 感圧接着剤層は、最初塗布した側に残るという一般原則があるからであり、この観点から周縁感圧接着剤層25は、裏張りシート21の裏面周縁側に塗布することが望ましい。さらに、最下層裏張りシート11の表面周縁に剥離剤を塗布しておくことによって、このような糊移り防止を完全に達成することができる。このように下層裏張りシートに剥離剤を塗布する場合は、下層裏張りシート側に感圧接着剤を塗布しても、剥がした場合には感圧接着剤層は上層裏張りシート側に転写されて除去される。また、最近、例えば、ふせん紙などに使用されている糊移りのないミクロバルーン式の弱接着力の感圧接着剤なども本発明の好適な仮固定方法である。 また、本発明において複合吸収シートの周縁で仮固定する方法でなく、複合吸収シートの積層境界面の全面で仮固定するときは、糊移りしない弱接着力の感圧接着剤を使用することができる。そして、生理用品の液体吸収体シートの上に多孔質のカバーフイルムのある場合には、複合吸収シートの周縁のみならず、上層複合吸収シートの裏面の全面と下層複合吸収シートの多孔質カバーフイルムとの間の仮固定で積層することができる。このように複合吸収シートの表面と裏面で周縁のみならず全面で仮固定する場合に通常の接着力の感圧接着剤を使用すると接着力が強すぎる上に、表面フイルムの穴に糊移りする恐れがある。 【0008】 ここに用いる弱接着性の感圧接着剤は、通常の感圧接着剤を塗布するときに、溶剤中の粘着性高分子物質の濃度を低下させて得ることができるが、本質的に粘着性の低い物質、例えばミクロバルーン型の弱接着剤層を使用することもできる。本発明の弱接着性とは、剥離力が通常の感圧接着剤の60%以下、好ましくは40%以下のものが使用でき、具体的には、柔軟な樹脂フイルムに塗布した場合のT字剥離試験で測定して、20℃の温度において、剥離力10〜500gf/20mm、好ましくは20〜300gf/20mm、さらに好ましくは20〜200gf/20mmの剥離力になるようにして使用することができる。 本発明の別の仮固定の態様は、図4平面図のように、熱可塑性樹脂フイルム製上層裏張りシート21と熱可塑性樹脂フイルム製下層裏張りシート11の周縁をヒートシールCによって半溶着して積層を仮固定するものである。 この場合単にヒートシールCによって上下のフイルムを溶着すると、フイルムを破らない限り2枚の裏張りシートを分離して剥がすことはできない。 本発明の図4の実施態様では、裏張りシート21の裏面又は裏張りシート11の表面に融着防止剤として、油性インキ層が塗布されている。 既にヒートシール又は溶断ヒートシールにおいて、半融着状態にして仮固定することは公知の技術であり、熱可塑性樹脂フイルムによる製袋工程にはときどき使用されているものである。この半溶着に用いる公知の融着防止剤は、本発明にも特に制限なく使用でき、例えば、印刷インキ組成物、該インキから着色顔料を除去した油性組成物、パラフィン類、油脂、低分子量無定形ポリプロピレン、感圧接着剤、感熱接着剤など、ヒートシールにおいて、溶着を防止するものであれば特に制限なく好適に使用することができる。 このような融着防止剤を塗布して、該融着防止剤層を間に介在させた状態で、2枚の熱可塑性フイルムのヒートシールCを行うと、2枚のフイルムはヒートシール部では半融着状態となる。この半融着状態は指でほぐすと剥がれ、一端を少し剥がすと、この部分から容易に裏張りシート21を剥がすことができる。従って、図4の場合は、ヒートシールCの外側の遊離している最下層裏張りシート11と上層裏張りシート21の端を持って引きはがすと容易に積層裏張りシート21は除去できる。この場合も周縁に舌片部を設けると引き剥がしに便利である。また、上層裏張りシート21の周縁を大きくすると柔軟裏張りシート21だけを剥がし易くなり、さらに、3枚以上の液体吸収シートの積層構造にする場合には、積層の上層からの順に舌片部を、上から順に長さの段差を付けて設けると、端の舌片部の長いものから順に引きはがすことができて最上層の裏張りシートを順次間違いなく剥がせる。 この態様の本発明生理用品も、下着に装着したままで、上層複合吸収シートを容易に剥がすことができる。感圧接着剤は使用していないので、糊移りはまったくなく剥離面は乾燥しており快適に使用することができる。 また、図4の融着防止剤を介在させて、ヒートシールCの代わりに周縁を熱刃によって溶断することもできる。この場合は、最下層裏張りシート11と上層裏張りシート21の端が半融着していて、半融着線の外側は溶断により除去されているので、ヒートシールの場合のような遊離片が半融着部の外側にないので、剥がす操作が困難になるが、その代わりに積層裏張りシート21が使用中に剥がれないという安定性は増加する。需要に応じて適宜選択して使用することができる。溶断により固定する場合は、溶断部の一隅を機械的に切断しておくのが好ましく、この部分に指を入れて積層裏張りシート21を剥がすことができる。 【0009】 また、本発明の他の態様として、図5のように裏張りシート11と裏張りシート21の間のいずれか一方の面、望ましくは上層裏張りシート21の裏面全面に感熱接着剤層を塗布して、このシート周縁を熱圧着して接着する態様も好適である。この場合は、塗布された感熱接着剤層は常温では乾燥していて粘着性はまったくなく、加熱圧着した場合に融解して接着力を発揮するものである。そして剥がした場合も乾燥していて粘着性はない点で便利である。裏張りシートの周縁で熱圧着するので、熱は良く伝達され簡単に熱圧着することができる。 上層裏張りシートの裏面全面に感熱接着剤を塗布できるので、感圧接着剤の場合のように周縁にだけ選択的に塗布する困難性は低下し、製造に便利である。 裏面全体に塗布された感熱接着剤層は、常温では乾燥しており、粘着しないので、必要部分だけを熱圧着すれば、裏張りシートの周縁全面(図5(c))、三辺(図5(a))又は二辺(図5(b))のように任意の形状のヒートシールCを形成することができる。この仮固定方法は、3層以上の複合吸収シートを積層する場合に仮固定工程が簡単であり特に好適である。 この態様の場合、特に図5(a)の場合に、上層裏張りシートの開放端縁の長さを上から順に長くしておくと好適である。また、図5(b)の場合は側縁の幅を拡張しておくと同様に便利である。また、図5(c)の場合のいずれかの縁又は全縁に上層裏張りシートの端の寸法を拡張しておくことができる。 この場合は、感熱接着剤層が最下層裏張りシート11の側に残っても、膚等に対して接着する欠点は発生しない。 このような感熱接着剤の特性によって、感熱接着剤を上層複合吸収シートの裏面全面に塗布して、下層複合吸収シートの表面の表面フイルムと周縁のみならず全面で接着させることができる。 本発明の多層生理用品の製造工程では、熱圧着工程は、上層裏張りシートの裏面と下層複合吸収シートの多孔性表面フイルムとの接着で前以て積層シートを熱圧着して準備しておき、この積層シートを多層形成して各積層の間に液体吸収シートを順次連続的に包装して、本発明多層生理用品を効率的に製造することができる。 前以て、熱圧着して前記積層シートを製造しない場合は、液体吸収シートが熱圧着の熱を断熱するので複合吸収シートの全面的熱圧着をすることはできない。 前述の弱接着性感圧接着剤及び感熱接着剤の上層複合吸収シートの裏面に全面的に塗布する仮固定は、製造工程の面から周縁にのみ塗布する工程より工程が容易になる利点がある。また、弱接着性感圧接着剤及び感熱接着剤による複合吸収シートの積層面の全面的仮固定手段は、本発明の他の仮固定と併用するのに適している。特に、前記第(2)項周縁との間の感圧接着剤層、第(5)項溶着防止剤、第(7)項熱圧着、第(8)項ミシン目、第(10)項熱融着の内側に切断ミシン目、第(11)項機械的圧着、及び第(12)項凹凸プレスの周縁の仮固定方法と併用するのが好適である。 本発明の別の態様として、図6(c)のような、2枚の複合吸収シートを折り曲げた積層構造がある。この折り曲げ状態を展開した平面図(a)及びその断面図(b)に示すように、最下層複合吸収シート1は、裏張りシート11と液体吸収体シート10(図では省略)及び表面フイルム12からなり、上層複合吸収シート2は、裏張りシート21、液体吸収体シート20(図では省略)及び表面フイルム22からなる。そして境界線Dの両側には2本のミシン目Eが設けてある。 【0010】 この図6の複合吸収シート1を複合吸収シート2の下面に境界線Dを折り目として折り曲げると、図6(c)の断面図の積層構造になる。この積層の境界線Dの折り目をつまんで引き裂くと2本のミシン目Eによって、複合吸収シート2は複合吸収シート1から分離することができる。 この図6の態様では、折り目境界線の対向する端縁の複合吸収シート2の裏面には感圧接着剤層25による仮固定もされている。この仮固定によって、携帯中及び装着中の積層構造がずれるのを防止することができる。 このときミシン目Eが2本あるので、2本のミシン目Eの間のフイルム端を持って引き剥がすと、2本のミシン目の間のフイルム片が積層構造をそのままにして容易に分離することができる。その結果積層の上層と下層の複合シートの一端は容易に分離することができる。この分離された一端を持って使用済みの複合シートを上方に剥がすと対向する位置の感圧接着剤25による仮固定も容易に剥がすことができる。 図6は2層の場合のみを示したが、この折り曲げの態様の場合は、図6(d)の本発明多層生理用品の3層以上の場合に特に適している。 図7の本発明の態様は、仮固定を機械的圧着で行う態様である。 ここに用いる機械的圧着は、積層はがきなどに使用されている公知の高圧の圧着及び圧着面に僅かな粘着性を付与させる処理をした通常の高圧圧着並びに凹凸面を有するプレス面で圧着して圧着面に溝又は凹面を形成して、その凹凸の嵌合作用によって仮固定する方法を使用することができる。 この機械的圧着による仮固定は複合吸収シートの裏張りシートの材質が紙又は合成紙のように腰のある場合に有効である。 図7は、複合吸収シートの両側側縁を機械的圧着Fによって仮固定した場合であり、図7(a)は縦断面図であり、図7(b)は横断面図である。図7(c)は裏面図であり、裏面中央は剥離紙で保護されていて、剥離紙の接する面には、感圧接着剤層が設けられている。上層裏張りシート21、31及び41の端部は下層の裏張りシートの端部より拡張されていて、該拡張部には感圧接着剤層が塗布されている。これらの感圧接着剤層はすべて一枚の剥離紙Bで固定されている。 この感圧接着剤層の裏張りシートへの塗布は、剥離紙側にまず感圧接着剤を塗布して、これを図7(c)の積層に貼着して、裏張りシート側に感圧接着剤層を転写する慣用手段で実施することができる。 図7(d)は、複合吸収シート1、2、3、4及び5を積層した状態で、裏張りシートの一方又は3方の縁を機械的に圧着して、積層複合吸収シートの圧着仮固定していない端部の裏張りシート51、41、31、21及び11の端を上から順次長くした態様を示す断面図である。 図8は複合吸収シートの両側側縁を溝列状凹部Gにおいてかしめて、凹凸形状で仮固定したものである。凸状突起のあるプレスで押圧して積層を仮固定することができる。これは裏張りシートが紙のように腰のある材質の場合に特に有効である。この凹部の代わりに溝状凹凸形状も好適である。 図9の態様は、最下層複合吸収シートに対して仮固定するのではなく、上層複合吸収シートの裏張りシートの裏面を直接下着に仮固定する態様である。 図9の場合は、2層のミシン目による仮固定と併用する態様である。上層複合吸収シート2の両側縁の裏張りシートは側縁で大きく幅が拡大されていて、この拡張舌片部27、28の裏面(図9(a)では表面側)には感圧接着剤層Aが設けられている。そして、複合吸収シート1の裏面全面にも感圧接着剤層が設けられている。最下層複合吸収シート1の裏面に貼着されている剥離紙Bも上層複合吸収シートの拡張舌片部27、28に対応して、最下層複合吸収シート1の側縁からはみ出す舌片部m、nが設けられている。 これを積層するときは、図9(b)のように、上層複合吸収シートの拡張舌片部27、28が直接下着の生地に接着することができる。 この態様の生理用品は、使用前には、これを折り曲げて積層した状態で、一枚の剥離紙が拡張舌片部27、28及び裏張りシート11の裏面の感圧接着剤層の全面を覆って貼着されているので、保存中に複合吸収シート1と複合吸収シート2がずれることはない。次に使用の際は、剥離紙を剥がして、下着の所定の位置に裏張りシート11の感圧接着剤層及び裏張りシート21の拡張舌片部27、28の裏面の感圧接着剤層により、それぞれ複合吸収シート1及び複合吸収シート2を固定する。この場合の複合吸収シート2は、一端は折り曲げ境界線Dによって最下層複合吸収シート1に仮固定され、側縁部は拡張舌片部27、28の裏面の感圧接着剤層によって、下着の生地に固定される。 【0011】 取り替えるときは、ミシン目で切断して、その端を持って引きはがすと、下着に接着している拡張舌片部27、28の感圧接着剤層による固定部も容易に剥がすことができる。 図10の場合は、図9の生理用品をさらに進展させた態様であり、2枚以上の複合吸収シートを重ねたものであって、各上層裏張りシート21、31の幅の狭い側縁がその下層の裏張りシートの側縁の長さの外側にまで拡張された拡張周縁を有するものである。 そして、積層構造の最下層裏張りシート11の裏面並びにそれに積層された上層複合吸収シートの上層裏張りシートの下層よりはみ出した拡張周縁の裏面に感圧接着剤層を設け、その全感圧接着剤層を一枚の共通の剥離紙Bで覆って多層構造を固定している。図10(a)は裏面図であるが、剥離紙Bを剥がした状態である。この態様の多層生理用品は剥離紙を外した瞬間にバラバラに分離する恐れがある。従って、本発明の複合吸収シートの積層構造の前記した仮固定を併用するのが望ましい。特に、上層の複合吸収シートの裏張りシートの裏面全面に、図10(c)拡大図に示すように裏張りシート31、21の裏面に弱接着性の感圧接着剤39、29を塗布しておく方法により裏張りシートと表面フイルム22、12と仮固定することができる。弱接着性感圧接着剤に代えて感熱接着剤を使用することができる。 本発明の複合吸収シートの積層面を全面的に弱接着性感圧接着剤又は感熱接着剤で接着する態様の本発明多層生理用品を製造する場合はすべて次方法で製造するのが効率的である。 裏張りシート及び表面フイルムを熱可塑性樹脂フイルムとして、図10(c)の拡大積層構造において、連続帯状シートの表面フイルム12と裏張りシート21を接着剤で接着して、1枚の2層構造(図は接着剤層を入れて3層構造になっている)の積層帯状シート121を用意する。同様に表面フイルム22と裏張りシート31も接着剤で接着した積層帯状シート221を用意する。そして、帯状最下層裏張りシート1及び帯状表面フイルム32も別に用意する。 帯状最下層裏張りシート11の上に液体吸収シート10、積層帯状121の上に液体吸収シート20及び積層帯状シート221の上にあるいは上下を逆にして積層帯状シート121、221及び表面フイルム32の下面に液体吸収シート30をそれぞれ一定間隔で配置固定する。 最下層裏張りシート11、積層帯状シート121及び積層帯状シート221の各液体吸収シートが重なるように連続的に積層して、これに表面フイルム32をさらに積層して、4層積層帯状構造とする。 次いで、この4層積層帯状構造を熱圧着台にワンピッチ移送によって送り出し、各液体吸収シートが固定されている間の余白部分を熱プレス又は熱刃で間欠的に液体吸収シートの周縁が溶着固定又は溶断打ち抜きされる。 【0012】 次いで、溶着の場合はその周縁を打ち抜くと本発明の生理用品の3層の複合吸収シートの態様の一つが連続的に製造することができる。この溶着又は溶断工程においては、表面フイルムと裏張りシートとの間には接着剤層が介在しているので、半溶着状態となり、液体吸収シートの周縁では、複合吸収シート間の仮固定状態が強化されるが、指でほぐすことによってこの周縁の半溶着は剥離することができる。その上、表面フイルムと裏張りシートの間には溶着防止剤層がないので、強固に溶着されて液体吸収シートがその間に安定に収納される。そして、このとき、複合吸収シートの周縁の狭い一縁を熱融着しない方法若しくは全周の熱融着後複合吸収シートの一縁を機械的に切断する方法によって、さらに剥がし易くすることができる。 この態様多層生理用品を同様の方法で4層以上も製造することができる。 表面フイルムと裏張りシートは、感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤で仮固定されているので、上層の複合吸収シートから順次剥がすことができる。 このように、本発明の連続的製造方法は、帯状シートの表面フイルムと上層の複合吸収シート裏張りシートを前以て仮固定する点と液体吸収シートの周囲の余白部分を熱圧着してから、打ち抜く又は熱溶断する点に特徴がある。 この実施態様の生理用品は、前記の製造方法によって製造するに際して、図11のように、裏張りシート11、21、31の幅が相違する複合吸収シートが連続的につながった帯シートの間に各区分毎に3個の液体吸収シート(最下層の液体吸収シートのみを点線で示す)をサンドイッチ状に包装して多層連続シートを形成して、弱接着性感圧接着剤で各シートを接着して連続的にシートを積層接着して、この積層連続帯に剥離紙の上に剥離剤及び感圧接着剤を塗布した連続帯状剥離紙シートBを積層接着して、これを図10の状態に打ち抜くと、図10の弱接着性感圧接着剤層を使用した本発明生理用品を連続的に効率的に製造することができる。 この生理用品は、最下層の裏張りシートは強い接着力の感圧接着剤で、全面が下着にしっかりと固定され、その上の上層複合吸収シートは、裏張りシートの拡張された端部分だけは強力な接着力で接着している上に、中央部は弱接着力の感圧接着剤層で最下層の複合吸収シートに接着しているので、使用の最中に位置がずれることはない。しかし、これを剥がすときは、下着に接着している端部分のみを剥がせば、中央部は簡単に剥がれて、下層の複合吸収シートの表面に糊移りすることはない。 さらにこの態様に対して前記した他の仮固定も適宜併用することができる。 図12の多層生理用品の態様は、裏張りシートが液体吸収体シートの同一の寸法の生理用品を多層生理用品にするものである。このような形状の生理用品に本発明の多層構造を適用するには、図12のように、下層の複合吸収シートの表面周縁と上層複合吸収シートの裏面周縁の一部又は全部を仮固定Kによって固定することができる。 この場合の仮固定Kは、前記の裏張りシートが液体吸収シートより大きい場合と同様の仮固定方法を採用することができる。例えば、接着と剥離が反復できる感圧接着剤(粘着剤)による接着方法、融着防止剤を間に介在させた半溶着方法、フイルムの切断を容易にするミシン目方法、接着剤を使用しないで高圧で圧縮する圧着方法、及び仮固定を分離した場合に、続いて使用する最下層裏張りシート側の液体吸収シートに接着力が残存しない限り、公知の仮固定方法は特に制限なく使用できる。 【0013】 さらに、この型の本発明多層生理用品に対して、感熱接着剤層又は弱接着性感圧接着剤を使用すれば裏張りシートと複合吸収シートの上面を全面的に接着して仮固定することができる。 そして、この型の多層生理用品を積層する場合は、複合吸収シートを少しずらして、周縁に段差をつけると剥離操作を容易にすることができる。 図13の場合は、複合吸収シートの多層構造の端を熱可塑性樹脂フイルムとして、これをヒートシールした全層一体的融着Hで一端を融着固定したものであり、その融着部の内側にミシン目を設けて、上層複合吸収シートから順に剥がせるようにしたものである。このように本発明生理用品は前述の仮固定の方法の一つ又は二つ以上を併用することができる。 本発明の仮固定のいずれの方法においても、裏張りシートの周縁の先端を最上層の裏張りシートから順に短くしておくと一番上の裏張りシートの最も長い先端を簡単に引きはがすことができて好適である。 図14は、複合吸収シートの裏張りシート11の裏にさらに、余分に包装用のフイルムR(図14(a))を貼着している。このフイルムRの中央にはスリットS(図14(b))が付けてある。この複合吸収シートを剥がした後、スリットを開いてひっくり返して、全複合吸収シートを内部に収納することができる。包装用フイルムRのスリットの位置及び方向は、中央に限らず任意の位置に設けることができる。 包装用フイルムの側縁を裏張りシートから遊離させてここに形成された開口部をひっくり返して包装することができる。 本発明多層生理用品の製造方法は、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程であるが、この場合、複合吸収シートを別個に形成してから、これを仮固定手段を用いて積層する方法が通常考えられるが、本発明者らは、下層の複合吸収シートの上面の多孔質フイルムと、その上層の複合吸収シートの下面の裏張りシートを接着剤を介した接着により積層した長尺の積層シートを1枚以上容易して、この長尺の積層シートの間に高分子吸収体シートを挟んで、この長尺多層シートの両側縁を熱シール又は溶断により溶着し、ついで、各多層生理用品ごとに切断することを特徴とする好適な多層生理用品の製造方法を発明するに至った。 すなわち、当該製造方法を実行すると、下層の複合吸収体シートの上面多孔質フイルムと、その上にある上層の複合吸収シートの裏張りシートの間は、熱シール又は溶断工程において接着剤が介在しているので半溶着状態になり、前記した半溶着による仮固定となる。ところが、一方、各複合吸収シートの高分子吸収体シートを挟んだ裏張りシートと多孔質シートの間には接着剤が存在しないので、熱溶着が形成されてしっかりと高分子吸収体を包みこむことができる。 その結果、各複合吸収シートの間が指で剥がせる仮固定状態を連続的に効率的に形成することができる。 このように複合吸収シートの多孔質フイルムに相当すると長尺の多孔質フイルムと、複合吸収シートの裏張りシートに相当する長尺の裏張りシートを接着剤を介して接着した長尺の積層シートを前もって用意し、これを用いて本発明多層生理用品を製造する点に特徴がある。 本発明の製造方法として好適な具体的方法は、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の長尺の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シート(図15(a)の符号12と21及び22と31の積層)を複数枚数を前もって製造しておく。 【0014】 各接着仮固定積層シートを該接着仮固定積層シートより幅の狭い2層以上の長尺の高分子吸収体シートの各層間にそれぞれ介在させて、図15(a)のように積層して高分子吸収体シートと接着仮固定積層シートが交互に重なる交互積層シートMを形成させる。 そして、該交互積層シートMの最上面に1枚の長尺の表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートを積層し、該交互積層シートの最下面には、1枚の長尺の裏面熱可塑性樹脂製裏張りシートを積層して所定枚数の高分子吸収体シートを含む長尺の多層積層シートを形成し、該多層積層シートの中の長尺の接着仮固定積層シート側縁を図15(b)のように熱シール若しくは溶断する。 このとき、各接着仮固定積層シートの側縁は、その下方にある裏面裏張りシート若しくは下方にある接着仮固定積層シートの上面、並びに、その上方にある接着仮固定積層シートの下面若しくは表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートの各シートの側縁に融着固定される。 また、この熱シール又は溶断工程において、各接着仮固定積層シートの長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートとその直上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの側縁は接着剤の介在による熱シール若しくは溶断による半溶着仮固定を形成される。ここに形成された長尺の多層積層体を所定の多層生理用品の縦の長さの間隔毎に切断すると、図15(c)の各多層生理用品を効率良く製造することができる。 この製造方法においては、高分子吸収体シートが長尺の布状であると製造が便利である。 長尺の吸収体シートを使用する方法は、機械的に切断すると図15(c)のように各多層生理用品は、高分子吸収体は切断端部Nに露出した状態になるが、縦型にして長手方向を切断するので、また、この切断端部に弱粘着性の物質を切断端部の材質に含浸させておくと機械的切断の圧力で切断端部を半封鎖状態にすることができる。また、切断を溶断により切断するのも好適である。 本発明の製造方法として、高分子吸収体シートを各複合吸収シート毎に切断したものを積層シートの間に一定間隔毎に設置して設置して、製造する方法を採用することができる。 すなわち、前記の製造方法と同じく、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意する。 別に、裏面に感圧接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着した1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に載置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの載置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離する。高分子吸収体シートの載置の際に、高分子吸収体シートの裏面の一部又は載置される積層シートの位置の一部に感圧接着剤を塗布しておくと載置した位置に固定されるので便利である。また、高分子吸収体シートの載置は、各積層シート毎に前以て載置しておき、高分子吸収体シートを載置された積層シートを重ね合わせることも本発明の製造方法の均等方法である。 この方法による製造する場合は、各高分子吸収体シートを設置した積層シートを高分子吸収体シートの位置を常用の光電管等の方法で検知して、上下の高分子吸収体シートをちょうど同じ位置に重なるように制御する必要がある。 この製造方法において、最下層の裏張りシートの裏面に貼着する熱可塑性樹脂製剥離紙の貼着を最後の切断の直前に施工する方法も同ように採用することができる。 【0015】 【発明の効果】 本発明多層生理用品は、複数個の複合吸収シートの周縁を仮固定することにより、上層から順に複合吸収シートを除去することができるので、外出時に多数の生理用品を携帯する必要がなくなる。例えば、二層の生理用品を使用すると携帯する数は半分以下になり、三層にすると三分の一以下になる。 また、そのトイレにおいて、使用済み液体吸収シートを除去する際に、最下層複合吸収シートの裏張りシートの下着に於ける位置はまったく変化しないので、最初の装着さえ正しく行えば、単に最上層の複合吸収シートを剥がすだけで正確な位置に次の層の複合吸収シートが配置されていることになる。 従来の生理用品は、外出時の狭い場所での取り替えにおいて、下着からの取り外し及び下着への正確な取り付け操作を要するのに対して、本発明多層生理用品は単に1枚剥がすだけでよく、飛躍的に時間を短縮できる利点がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は本発明の一実施態様の多層生理用品の横断面図である。 【図2】 図2は図1の最下層複合吸収シートの平面図(a)及び横断面図(b)である。 【図3】 図3は図1の上層複合吸収シートの平面図(a)、縦断面図(b)及び横断面図(c)である。 【図4】 図4は本発明の他の実施態様の多層生理用品の平面図(a)及び横断面図(b)である。 【図5】 図5は本発明の他の実施態様の3種の多層生理用品の平面図である。 【図6】 図6(c)は本発明の他の実施態様の多層生理用品の縦断面図であり、図6(a)及び(b)はそれを展開した状態の平明図及び縦断面図であり、図6(d)は三層の場合の縦断面図である。 【図7】 図7は本発明の他の実施態様の多層生理用品の横断面図(a)、縦断面図(b)及び、裏面図(c)であり、図7(d)は他の実施態様の多層生理用品の縦断面図である。 【図8】 図8は本発明の他の実施態様の多層生理用品の平面図(a)及び横断面図(b)である。 【図9】 図9(b)は本発明の他の実施態様の多層生理用品の平面図であり、図9(a)はこれを展開した状態の平面図である。 【図10】 図10は本発明の他の実施態様の多層生理用品の裏面図(a)、縦断面図(b)及び断面構造を示す拡大部分断面図(c)である。 【図11】 図11は図10の実施態様の多層生理用品の製造工程の説明図である。 【図12】 図12は本発明の他の実施態様の多層生理用品の横断面図である。 【図13】 図13は本発明の他の実施態様の多層生理用品の縦断面図である。 【図14】 図14は包装用フイルムを設けた複合吸収シートの断面図(a)の裏面図(b)である。 【図15】 図15(a)は、本発明製造方法に用いる積層シートの一態様の積層構造を示す断面図、図15(b)はその本発明製造方法の積層シートの側縁の熱シールの位置を示す平面図であり、図15(c)は、その本発明製造方法で製造された多層生理用品の平面図である。 【符号の説明】 1、2、3、4、5 複合吸収シート 10、20、30、40 液体吸収体シート 11、21、31、41、51 裏張りシート 12、22、32、42、52 表面フイルム 24 周縁 25、35、45 周縁感圧接着剤層 26 突起舌片部 27 拡張舌片部 28 拡張舌片部 A 感圧接着剤層 B 剥離紙 C ヒートシール D 境界線 E ミシン目 F 機械的圧着 G 溝列状凹部 H 全層一体的融着 K 仮固定 m 舌片部 n 舌片部 M 積層シート N 切断端部 S 包装フイルムのスリット R 包装フイルム |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項イ 特許請求の範囲の請求項6中の「・・・仮固定たもの・・・」を「・・・仮固定したもの・・・」と訂正する。 訂正事項ロ 特許請求の範囲の請求項11を 「【請求項11】下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている請求項10記載の多層生理用品。」と訂正する。 訂正事項ハ 明細書段落0004の記載を次のとおり訂正する。 「【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、現在、吸水性高分子からなる液体吸収材質の進歩によって、液体吸収シートが非常に薄くなって、しかも大きい吸収能力を有する点、従来の1個のパッケージにつき一度の使用で使い切る生理用品を、液体吸収シート部分に同一のシートを2〜5枚重ねても、未吸収の液体吸収シートは非常に薄い厚さであるので、その厚さはあまり増加せず、装着感及び外観にも殆ど変化がない点、及び公知の液体吸収シートの上に、同一の吸収シートを2〜5枚を各シートを個別的に分離状態で重ねた液体吸収シートを使用すれば、単に上層の使用済み液体吸収シートのみを剥がすことによって、その下にあるまったく汚れていない生理用品が露出され、短時間で新しい生理用品に取り替えた状態になる。その結果、1個のパッケージで従来の2〜5個分の生理用品の装着が可能となり、予備の生理用品パッケージを携帯する必要がない点に着目し、この発想に基づき鋭意研究を重ね、使用済み上層液体吸収シートの取り外し操作が容易で、かつ製造に便利な積層液体吸収シートを有する多層生理用品及びその製造方法を提供するに至ったものである。 従来より、吸収量を増加させる目的又は横もれ防止の目的で液体吸収シートを多層にする技術思想は実用化されているが、上層液体吸収シートの吸収液が下層に積層された液体吸収シートに浸透しない構造、すなわち各液体吸収シート間で液体が透過しない遮断層による分離状態の積層構造であって各液体吸収シートの積層間が指ではがし易い積層構造は存在しない。 すなわち、本発明は、次の各項の発明よりなるものである。 (1)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (2)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (3)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁と上層複合吸収シートの熱可塑性樹脂製裏張りシートの周縁との間に溶着防止剤を介在させたヒートシールによる半溶着固定である2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (4)ヒートシールによる半溶着が熱刃による溶断によって行ったものである第(3)項記載の多層生理用品。 (5)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁の一部又は全周を感熱接着剤層を介させた熱圧着により固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (6)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、上層複合吸収シートの上層裏張りシートが下層複合吸収シートの下層裏張りシートと一体的な連続シートよりなるものを境界線で折り曲げて重ねてなる多層構造において、その境界線付近に1以上のミシン目を設け、該折り曲げ境界線の反対側の周縁の下層複合吸収シートの表面と上層複合吸収シートの裏面との間を仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (7)仮固定が上層複合吸収シートの裏面に予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって行うものである第(6)項記載の多層生理用品。 (8)仮固定が下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (9)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が複数の複合吸収シートを重ねて、全部の裏張りシートの周縁の一部又は全周を熱融着によって一旦結合して、その熱融着の内側に切断ミシン目を設けたものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (10)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が、下層裏張りシートと上層裏張りシートの少なくとも一縁を単に機械的圧着により仮固定したものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (11)下層複合吸収シートの下層裏張りシートと上層複合吸収シートの上層裏張りシートが圧着プレスの凹凸面によって形成された凹凸面で嵌合して仮固定されている第(10)項記載の多層生理用品。 (12)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔費カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートに予め塗布された感圧接着剤層を介在させた圧着によって仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (13)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、下層複合吸収シートの下層裏張りシートの周縁に剥離剤層を介在させて塗布された感圧接着剤に上層複合吸収シートの上層裏張りシートを圧着して仮固定してなるものである2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (14)裏面に液体吸収体シートと略同一寸法の裏張りシートを有し、表面に略同一寸法の多孔質カバーフイルムを有する複合吸収シートの多層構造において、上層複合吸収シートを、下層の複合吸収シートの表面多孔質カバーフイルムと上層複合吸収シートの裏面の裏張りシートの一部又は全部を、感熱接着剤又は弱接着性感圧接着剤によって各積層間を仮固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (15)裏面に液体吸収体シートより寸法の大きい下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層複合吸収シートの液体吸収体シートの面積寸法より外側にはみ出した下層裏張りシート周緑と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を仮固定するに際して、該仮固定が2枚以上の複合吸収シートを重ねた多層構造であって、各裏張りシートの周縁がその下層の裏張りシートの周縁の外側にまで拡張された拡張周縁を有し、積層構造の最下層裏張りシートの裏面並びにそれに積層された2以上の複合吸収シートの裏張りシートの周縁を1層下の裏張りシートの周縁よりはみ出した拡張周縁とし、その拡張周縁の裏面に感圧接着剤層を設け、その各複合吸収シートの全感圧接着剤層を剥離紙で覆って該多層構造を固定した2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有することを特徴とする多層生理用品。 (16)複合吸収シートが裏面に表側にひっくりかえして包装できるフイルムを積層してなるものである第(1)〜(15)項記載のいずれか記載の多層生理用品。 (17)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、当該接着仮固定積層シートの間に高分子吸収体シートを挟持させた後、側縁を熱シール又は溶断することにより、各接着仮固定積層シートの積層間には半溶着状態を形成し、各接着仮固定積層シートの上層又は下層の接着固定シートの裏張りシート又は多孔質フイルムシートとの間には溶着状態を形成させることを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (18)2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシート、2枚以上の長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート及び2層以上の高分子吸収体シートを用いて、多層生理用品を連続的に製造する工程において、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシート上面に、長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートを連続的に送り出して、両シート間の側縁に接着剤を介在させて圧着して形成した接着仮固定積層シートを1枚以上用意し、各接着仮固定積層シートを該接着仮固定積層シートより幅の狭い2層以上の長尺の高分子吸収体シートの各層間にそれぞれ介在させて積層して高分子吸収体シートと接着仮固定積層シートが交互に重なる交互積層シートを形成させ、該交互積層シートの最上面に1枚の長尺の表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートを積層し、該交互積層シートの最下面には、1枚の長尺の裏面熱可塑性樹脂製裏張りシートを積層して所定枚数の高分子吸収体シートを含む長尺の多層積層シートを形成し、該多層積層シートの中の長尺の接着仮固定積層シート側縁を熱シール若しくは溶断することにより、各接着仮固定積層シートの側縁は、その下方にある裏面裏張りシート若しくは下方にある接着仮固定積層シートの上面、並びに、その上方にある接着仮固定積層シートの下面若しくは表面熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートの各シートの側縁に融着固定され、また、各接着仮固定積層シートの長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムシートとその直上の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの側縁は接着剤の介在による熱シール若しくは溶断による半溶着仮固定を形成せしめ、ここに形成された長尺の多層積層体を所定の間隔毎に切断することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (19)高分子吸収体シートが布状であることを特徴とする第(17)項記載の多層生理用品の製造方法。 (20)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数枚用意し、別に、裏面に感圧接着剤を塗布した熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着した1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。 (21)長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上面に、長尺の熱可塑性樹脂製多孔質フイルムとを連続的に送り出して、両シート間に接着剤を介在させて圧着して両シートを接合して形成した積層シートを所望により複数牧用意し、別に、1枚の長尺の熱可塑性樹脂製裏張りシートの上に、前記積層シートの幅より狭い所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて該高分子吸収体の長さ方向を前記積層シートの長手方向に対して平行又は垂直方向に設置して、その上に、別の長尺の前記積層シートを重合して、さらに、その上に、所定の長さの高分子吸収体シートを一定間隔を空けて下層の高分子吸収体シートと重なる位置に設置し、所望により、前記積層シートの積層と所定の長さの高分子吸収体シートの設置を1回以上繰り返した後、最上層に多孔質フイルムを積層して、所望の枚数の高分子吸収体シートを有する長尺の複合積層シートを形成して、該複合積層シートを連続的に熱シール工程台に送り出して、高分子吸収体シートの外側側縁で、前記積層シート同士をヒートシール若しくは溶断により接合し、該熱シール工程の前又は後に該複合積層シートの裏面中央に感圧接着剤を塗布した長尺の熱可塑性樹脂製剥離紙を貼着し、最後に、内部に設置された所定の長さの高分子吸収体シートの間を溶断又は熱圧着後の機械的切断により分離することを特徴とする多層生理用品の製造方法。」 |
審決日 | 2001-12-14 |
出願番号 | 特願平8-137511 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A61F)
P 1 41・ 854- Y (A61F) P 1 41・ 856- Y (A61F) P 1 41・ 855- Y (A61F) P 1 41・ 852- Y (A61F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内田 淳子 |
特許庁審判長 |
宮本 和子 |
特許庁審判官 |
横尾 俊一 深津 弘 |
登録日 | 1999-03-19 |
登録番号 | 特許第2899795号(P2899795) |
発明の名称 | 多層生理用品及びその製造方法並びに多層生理用品用複合吸収シート |
代理人 | 内山 充 |
代理人 | 内山 充 |