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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G |
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管理番号 | 1055771 |
審判番号 | 不服2000-3014 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-06-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-03 |
確定日 | 2002-03-15 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第311946号「物品の合流動作開始位置設定方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 6月20日出願公開、特開平 7-157063]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年12月13日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年1月28日付けの手続補正書及び平成12年3月31日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「本流コンベヤ(L0)に合流する複数の入荷コンベヤ(L1〜L4)上にある物品(1)を、所定ロットごとに本流コンベヤ(L0)に合流させて搬送する合流制御における、本流コンベヤ(L0)での合流動作開始位置を設定する方法において、前記各入荷コンベヤ(L1〜L4)の物品待機位置(2)及び前記本流コンベヤ(L0)の合流地点(A1〜A4)にそれぞれセンサ(4)を設け、前記センサ(4)と制御手段(11)とを用いて、前記各入荷コンベヤ(L1〜L4)の前記物品待機位置(2)から湾曲した搬送路に沿って物品(1)を前記本流コンベヤ(L0)に合流させて前記各合流地点(A1〜A4)までの時間t1を測定し、前記本流コンベヤ(L0)での搬送速度と前記時間t1との積による距離分、前記各合流地点(A1〜A4)から前記本流コンベヤ(L0)の上流側に遡った地点を合流動作開始位置(B1〜B4)として設定する方法。」 2.刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭56-127512号公報(以下、「刊行物」という。)には、以下の事項が記載されている。 a.「本発明は主として自動仕け用の主コンベヤに搬送物を供給する複数のインダクシヨンに関し」(第1頁左下欄第15〜17行) b.「4列のインダクシヨン6,7,8,9を主コンベヤに直交して次の如く配設する。第1のトレーT1が基準点S0からインダクシヨン6の載荷点S1 まで移動する時間をt1とすれば、該t1と第1列のインダクシヨン6のバツフアコンベヤ10に待機された搬送物11がA1から発進し前記点S1に達するまでの時間t1’とを等しくする。即ちt1=t1’となるように第1列のローダコンベヤ12の長さ及び速度を適当に設定する。次に前記第1のトレーT1が点S0からS2まで達する時間をt2とすると、該t2と第2列のインダクシヨン7のバツフアコンベヤ10に待機された搬送物11が点A2からS2まで達する時間t2’とを等しくする。同様にS0-S3間,S0-S4間の夫々の移動時間t3,t4と第3列及び第4列の各インダクシヨン8,9のバツフアコンベヤ10におけるA3-S3,A4-S4間の搬送時間t3’,t4’とが等しくなるように設定する。」(第2頁左上欄第15行〜同左上欄第12行) c.「先ず第3図の如き順序で各列のインダクシヨンに搬送物が到着したとする。・・・発進信号に基づき第1列のバツフアコンベヤ10が起動し、該コンベヤ10上の搬送物が点S1でトレーT1に載荷される。このときトレーT2は点S0の位置にある。すると、シフトレジスタが一段分シフトすると共に、第2列のバツフアコンベヤ10が起動して搬送物を点S2でトレーT2に載荷する。同様に第3列の搬送物は点S3でトレーT3に載荷される。」(第2頁左下欄第15行〜同右下欄第5行) d.「いずれかのバツフアコンベヤに搬送物が待機されている限り連続して各トレーに載荷され、空トレーが生ずることがなくなり効率よく主コンベヤ1を稼動し得る。・・・搬送物を滞貨なくしかも全てのインダクシヨンを合理的に使用し得る効果を有する。」(第2頁右下欄第8〜19行) 上記摘記事項a〜d、及び第2、3図の記載からみて、上記刊行物には、「主コンベヤ1に合流する複数のインダクシヨン6〜9上にある搬送物11を、インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4に待機する搬送物11ごとに主コンベヤ1に合流させて搬送する合流制御における、主コンベヤ1での基準点S0を設定する方法において、前記各インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4から直線状の搬送路に沿って搬送物11を前記主コンベヤ1に合流させて各載荷点S1〜S4に移送させ、当該搬送物11が各載荷点S1〜S4に至るまでの時間t1’〜t4’と、前記主コンベヤ1の基準点S0から各載荷点S1〜S4間における主コンベヤ1の移動に要する時間t1〜t4とを等しくして基準点S0として設定する方法。」という発明が記載されているものと認められる。 3.対比 本願発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、後者の「主コンベヤ1」は、その機能・構造からみて、前者の「本流コンベヤ(L0)」に相当し、以下同様に、「複数のインダクシヨン6〜9」は「複数の入荷コンベヤ(L1〜L4)」に、「搬送物11」は「物品(1)」に、「基準点S0」は「合流動作開始位置」に、「各インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4」は「各入荷コンベヤ(L1〜L4)の物品待機位置(2)」に、「載荷点S1〜S4」は「合流地点(A1〜A4)」に、それぞれ相当する。 ところで、前者の「複数の入荷コンベヤ(L1〜L4)上にある物品(1)を、所定ロットごとに本流コンベヤ(L0)に合流させて搬送する」構成、及び後者の「複数のインダクシヨン6〜9上にある搬送物11を、インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4に待機する搬送物11ごとに主コンベヤ1に合流させて搬送する」構成に関して、前者の「所定ロットごとに」合流させる点と、後者の「インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4に待機する搬送物11ごとに」合流させる点とは、共に「所定の合流可能状態下にある物品ごとに」合流させるものといえるから、上記両構成は共に、「複数の入荷コンベヤ上にある物品を、所定の合流可能状態下にある物品ごとに本流コンベヤに合流させて搬送する」構成といえるものである。 また、前者の「物品待機位置(2)から湾曲した搬送路」と後者の「待機位置A1〜A4から直線状の搬送路」とは、共に「物品待機位置から延びる搬送路」といえるものである。 さらに、前者の「各入荷コンベヤ(L1〜L4)の物品待機位置(2)から湾曲した搬送路に沿って物品(1)を本流コンベヤ(L0)に合流させて各合流地点(A1〜A4)までの時間t1を測定し、前記本流コンベヤ(L0)での搬送速度と前記時間t1との積による距離分、前記各合流地点(A1〜A4)から前記本流コンベヤ(L0)の上流側に遡った地点を合流動作開始位置(B1〜B4)として設定する」構成と、後者の「各インダクシヨン6〜9の待機位置A1〜A4から直線状の搬送路に沿って搬送物11を主コンベヤ1に合流させて各載荷点S1〜S4に移送させ、当該搬送物が各載荷点S1〜S4に至るまでの時間t1’〜t4’と、主コンベヤ1の基準点S0から各載荷点S1〜S4間における主コンベヤ1の移動に要する時間t1〜t4とを等しくして基準点S0として設定する」構成とは、共に「各入荷コンベヤの物品待機位置から延びる搬送路に沿って物品を本流コンベヤに合流させて各合流地点に移送させ、物品の合流制御が確実に実行できるように、各入荷コンベヤの物品待機位置から本流コンベヤの各合流地点に至る物品の移送時間と対応する合流動作開始位置を設定する」構成といえるものである。 してみると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。 【一致点】 本流コンベヤに合流する複数の入荷コンベヤ上にある物品を、所定の合流可能状態下にある物品ごとに本流コンベヤに合流させて搬送する合流制御における、本流コンベヤでの合流動作開始位置を設定する方法において、前記各入荷コンベヤの物品待機位置から延びる搬送路に沿って物品を前記本流コンベヤに合流させて各合流地点に移送させ、物品の合流制御が確実に実行できるように、各入荷コンベヤの物品待機位置から本流コンベヤの各合流地点に至る物品の移送時間と対応する合流動作開始位置を設定する方法。 【相違点】 イ.本願発明は、物品を「所定ロットごと」本流コンベヤに合流させて搬送するものであるのに対し、刊行物に記載された発明は、合流させる物品が「所定ロット」をなすのか否かについて明らかでない点。 ロ.本願発明は、「湾曲した搬送路に沿って物品を本流コンベヤに合流」させるのに対し、刊行物に記載された発明は、「直線状の搬送路に沿って物品を本流コンベヤに合流」させる点。 ハ.「各入荷コンベヤの物品待機位置から本流コンベヤの各合流地点に至る物品の移送時間」について、本願発明は、「各入荷コンベヤの物品待機位置及び本流コンベヤの合流地点にそれぞれセンサを設け、前記センサと制御手段とを用いて」前記移送時間を測定し取得するのに対し、刊行物に記載された発明は、前記移送時間を如何に取得するのかその具体的構成が明らかでない点。 ニ.合流動作開始位置の設定について、本願発明は、「各入荷コンベヤの物品待機位置から物品を本流コンベヤに合流させて各合流地点までの時間t1を測定し、前記本流コンベヤでの搬送速度と前記時間t1との積による距離分、前記各合流地点から前記本流コンベヤの上流側に遡った地点を合流動作開始位置として設定する」ものであるのに対して、刊行物に記載された発明は、「各入荷コンベヤの物品待機位置から物品を本流コンベヤに合流させて各合流地点に移送させ、当該物品が各合流地点に至るまでの時間と、前記本流コンベヤの合流動作開始位置から各合流地点間における本流コンベヤの移動に要する時間とを等しくして合流動作開始位置として設定する」ものである点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 〈相違点イについて〉 入荷コンベヤ上の物品を、1個単位で本流コンベヤに合流させることも、また複数個単位で本流コンベヤに合流させることも、共に物品搬送に関する技術分野において慣用されているところの技術的事項であり、如何なる量の物品をひとまとめにして本流コンベヤに合流させるのかは、当業者が必要に応じ適宜設定する設計的事項というべきものである。 してみると、相違点イに係る本願発明の構成は、刊行物に記載された発明の実施に際し、当業者が容易に想到できたものと認められる。 〈相違点ロについて〉 上流側コンベヤから下流側コンベヤに物品を合流移送するに際し、湾曲した搬送路に沿って物品を下流側コンベヤに合流させる点は、物品搬送に関する技術分野において、従来周知の技術的事項であり{例えば、拒絶査定時に示された特開平3-115005公報(第2図)等参照)、当該周知の技術的事項を刊行物に記載された発明に適用できない特段の事情は見当たらない。 してみると、相違点ロに係る本願発明の構成は、刊行物に記載された発明に上記周知の技術的事項を適用して当業者が容易に想到できたものと認められる。 〈相違点ハについて〉 コンベヤの搬送方向前後位置にそれぞれセンサを設け、当該センサと制御手段とを用いて物品の搬送に要する時間を測定することは、物品搬送に関する技術分野において、従来周知の技術的事項であり{例えば、特開平3-98905公報(第4頁右上欄第19行〜同左下欄第5行、第2、3図)等参照}、当該周知の技術的事項を刊行物に記載された発明に適用できない特段の事情は見当たらない。 してみると、相違点ハに係る本願発明の構成は、刊行物に記載された発明に上記周知の技術的事項を適用して当業者が容易に想到できたものと認められる。 〈相違点ニについて〉 本願発明の「合流動作開始位置」も、また、刊行物に記載された発明の「合流動作開始位置」も、共に当該「合流動作開始位置」を起点として合流制御を行わせることにより、各入荷コンベヤの物品待機位置にある物品を、各合流地点において、求められる本流コンベヤの積載位置に確実に位置させるべく設定されるものであることから、その技術的意義において相違するものではなく、さらに、刊行物に記載された発明の「合流動作開始位置(基準点S0)」が、本流コンベヤ(主コンベヤ1)での搬送速度と各入荷コンベヤ(各インダクシヨン6〜9)の物品待機位置(待機位置A1〜A4)から本流コンベヤ(主コンベヤ1)の各合流地点(各載荷点S1〜S4)に至る物品の移送時間との積による距離分、前記各合流地点(各載荷点S1〜S4)から前記本流コンベヤ(主コンベヤ1)の上流側に遡った地点に存在することは技術常識に照らして明らかである。 そして、その合流作動開始位置の設定に係り、先に設定した本流コンベヤの「合流動作開始位置」に整合させるべく各入荷コンベヤの移送条件(コンベヤの長さ、速度)を対応付けるのか、または、先に設定した各入荷コンベヤの移送条件に整合させるべく本流コンベヤの「合流作動開始位置」を対応付けるのかは、当業者が必要に応じ適宜設定する設計的事項にすぎないものである。 してみると、相違点ニに係る本願発明の構成は、刊行物に記載された発明の実施に際し、当業者が容易に想到できたものと認められる。 そして、本願発明の奏する作用効果は、刊行物に記載された発明及び上記周知の技術的事項から当業者であれば予測することができる程度のものであって格別なものとはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、刊行物に記載された発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-01-11 |
結審通知日 | 2002-01-16 |
審決日 | 2002-01-31 |
出願番号 | 特願平5-311946 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 一色 貞好 |
特許庁審判長 |
西川 恵雄 |
特許庁審判官 |
氏原 康宏 清水 信行 |
発明の名称 | 物品の合流動作開始位置設定方法 |
代理人 | 添田 全一 |
代理人 | 萩野 平 |