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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B |
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管理番号 | 1055876 |
審判番号 | 不服2000-7039 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-05-11 |
確定日 | 2002-03-20 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 30044号「ゴルフクラブセット」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 7月29日出願公開、特開平 9-192274]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.[手続の経緯・本願発明の内容] 本願は、平成8年1月23日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年3月1日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「番手数が順番に異なると共に番手数が大きくなるほどロフト角度が増大する複数本のゴルフクラブから成るゴルフクラブセットに於て、打球面2に設けられた複数本のフェースライン溝3…の横断面形状に於ける打球面2と溝勾配面4とのなす角部5の断面角度θと、上記フェースライン溝3…のピッチP…とを、番手数が大きくなるに連れて順次乃至段階的に、減少させたことを特徴とするゴルフクラブセット。」(以下、「本願発明」という。) 2.[引用例] これに対して、当審の拒絶の理由に引用した特開平2-228981号公報(以下、「引用例1」という。)、特開平5-317463号公報(以下、「引用例2」という。)、実願昭53-118032号(実開昭55-34835号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)、実願昭50-167910号(実開昭52-81254号)のマイクロフィルム(以下、「引用例4」という。)には、それぞれ、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (引用例1): 「複数本のクラブよりなり、各クラブのフェース面に溝が形成され、クラブの番手が大きくなるにしたがい、(イ)この各溝の幅が順次大きくなり、(ロ)この各溝の深さが順次大きくなり、又は、(ハ)この各溝の側面の傾斜角が順次大きくなり、あるいは、これらの手段を2以上組み合わせて採用し、ボールとの摩擦が増大するようになったアイアンクラブセット。」(特許請求の範囲)、 「アイアンクラブ10において、フェース面11には溝12、…が形成されている。・・・具体的には、口端の幅W、深さD、側面の傾斜角Aによって決定される。」(2頁左上欄18行〜右上欄2行)、 「番手の小さいクラブでは、従来よりバックスピンの量は少なくなり、より大きな飛距離が得られ、番手の大きいクラブでは、バックスピンの量が多くなりランをより少なくすることができる。」(2頁右下欄末行〜3頁左上欄4行)。 (引用例2): 「複数本のゴルフクラブが飛距離を長く設定した順番でセットされたゴルフクラブセットにおいて、インパクトエリアにつけられた複数の溝の互いに隣り合う縁と縁との間隔を飛距離が短くなるに従って狭くなるように構成したことを特徴とするゴルフクラブセット。」(特許請求の範囲)、 「従来のこの種ゴルフクラブセット、例えばアイアンクラブセットでは3番アイアンから9番アイアン,ピッチングウェッジ,サンドウェッジの9本セットの各ゴルフクラブのインパクトエリア、すなわちボールを当てることを意図した部分内に溝がつけてあるが、これら複数の溝の縁と縁との間隔は、飛距離別にみたロング用,ミドル用,ショート用の各クラブ群において意識的に広狭をつけてはいなかった。」(第1欄14〜21行)、 「この発明によれば、インパクトエリアにつけられた複数の溝の互いに隣り合う縁と縁との間隔を飛距離が短くなるに従って狭くなるように構成したので、ロング用のゴルフクラブではスピン量が減って飛距離の増大が可能となり、ショート用のゴルフクラブではスピン量が増大してボールが良く止まる。ミドル用のゴルフクラブは従来一般のスピン量を確保し、全体のセットとして最適なセット構成が可能となる。」(第3欄13行〜第4欄2行)。 (引用例3): 「アイアンヘッド(1)のフェース面(2)のフェースライン(3)の間隔(L)を、ロングアイアンからショートアイアンになるに従い徐々に狭くしたことを特徴とするゴルフクラブのアイアンクラブセット。」(実用新案登録請求の範囲)。 「本考案はゴルフクラブのアイアンクラブセットの改良に関するもので、特にフェースラインの改良により、アイアンクラブセットのそれぞれのクラブに望まれるショットが行なえるようにするためのものである。・・・所謂ロングアイアンではボールをより遠くへ飛ばすことにあり、一方、・・・所謂ショートアイアンでは特にボールにバックスピンをかけ目標地点(ホール)に正確にボールを飛ばし、落下してからすぐに止まるようにすることにある。」(第1頁10行〜第2頁2行)。 (引用例4): 「ヘッドのロフトが大きくなるにつれてフェース面に設ける溝と溝との間隔を狭くしたことを特徴としてセットを構成したゴルフクラブ。」(実用新案登録請求の範囲)、 「図面は、ウッドクラブにおける実施例を示すもので、・・・アイアンクラブにおいても同様である。」(第3頁16行〜第4頁1行)、 「溝と溝との間隔が広い1番は、・・・ボールにかゝる逆スピンが小さく飛距離と落下後の転びが多くなる。これに比し3番又は5番は溝と溝との間隔4,4・・・が狭いから、・・・打ったボールは高く上がると同時に逆スピンがかかりやすくなる。従って、ボールは落下後転びが少なくなり或は逆戻りして静止する率は高くなる。この考案はアイアンクラブに実施して同一の効果を奏する。かくて、グリーン上にボールを落下せしめたとき転びすぎてグリーン外に出ることが減少する性能の良いクラブが提供できる。」(第4頁6〜20行)。 3.[対比・判断] 上記の記載から引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。 「番手数が順番に異なると共に番手数が大きくなるほどロフト角度が増大する複数本のゴルフクラブから成るゴルフクラブセットに於て、各クラブのフェース面11に溝12が形成され、クラブの番手が大きくなるにしたがい、この各溝の側面の傾斜角Aが順次大きくなり、ボールとの摩擦が増大するようになったアイアンクラブセット。」(以下、「引用例1発明」という。) 本願発明と引用例1発明とを対比する。 まず、本願発明の目的は、各番手のクラブに対応した適正なバックスピン量の打球を得ることができるゴルフクラブセットを提供すること(段落0007参照)である。 引用例1発明における「フェース面11」、「溝12」、「アイアンクラブセット」は、それぞれ、本願発明における「打球面2」、「フェースライン溝3…」、「ゴルフクラブセット」に相当する。 そして、引用例1発明の傾斜角Aと、本願発明の断面角度θとは、互いに補角の関係にあると解されるから、引用例1発明の「クラブの番手が大きくなるにしたがい、この各溝の側面の傾斜角Aが順次大きくなり、」は、本願発明の「番手数が大きくなるに連れて、フェースライン溝3…の横断面形状に於ける打球面2と溝勾配面4とのなす角部5の断面角度θを順次乃至段階的に、減少させた」に相当する。 そうすると、本願発明と引用例1発明とは、 「番手数が順番に異なると共に番手数が大きくなるほどロフト角度が増大する複数本のゴルフクラブから成るゴルフクラブセットに於て、打球面2に設けられた複数本のフェースライン溝3…の横断面形状に於ける打球面2と溝勾配面4とのなす角部5の断面角度θを、番手数が大きくなるに連れて順次乃至段階的に、減少させたことを特徴とするゴルフクラブセット。」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点:本願発明においては、フェースライン溝3…のピッチP…を、番手数が大きくなるに連れて順次乃至段階的に、減少させたとしているのに対して、引用例1発明においては、このような限定がない点。 上記相違点について、検討する。 引用例2乃至引用例4には、番手数が順番に異なると共に番手数が大きくなるほどロフト角度が増大する複数本のゴルフクラブから成るゴルフクラブセットに於て、ヘッドのロフトが大きくなるにつれてフェース面に設ける溝と溝との間隔を狭くするゴルフクラブセットとすることにより、本願発明と同様の目的を達成することが記載されている。 そして、フェース溝に関して、断面角度θを、番手数が大きくなるに連れて順次乃至段階的に減少させること、及びフェースライン溝3…のピッチP…を、番手数が大きくなるに連れて順次乃至段階的に減少させること、の2通りの解決手段を結合することについて、これを阻害する積極的な要因を見出し難い。 したがって、本願発明の相違点の如く構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、フェース溝に関する上記2通りの解決手段を結合した場合の相乗的効果について、当業者であれば当然に予測可能なことである。 4.[むすび] 以上の通りであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用例1乃至引用例4の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 2001-12-21 |
結審通知日 | 2002-01-08 |
審決日 | 2002-01-21 |
出願番号 | 特願平8-30044 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神 悦彦 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 番場 得造 |
発明の名称 | ゴルフクラブセット |
代理人 | 中谷 武嗣 |