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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1056141
審判番号 不服2001-3394  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-07 
確定日 2002-03-27 
事件の表示 平成10年特許願第 98733号「配向均一化処理方法およびその処理方法を用いた液晶表示素子」拒絶査定に対する審判事件[平成11年10月29日出願公開、特開平11-295738]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成10年4月10日の出願であって、その請求項1〜13に係る発明は、平成12年12月22日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜13に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。

「電極を有する2枚のガラス基板上に設けた配向膜の表面に所定のラビングによる配向処理を行い、互いに配向処理面を内側にして対向させるセル構成に用いる配向均一化処理であって、
ラビング処理後に、所定の時間に応じた所定の温度による加熱処理によって配向膜表面の極性を非活性化することを特徴とする配向均一化処理方法。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-294927号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】 一対の基板の対向面それぞれに透明電極およびこの透明電極を覆って配向処理が施された配向膜が形成され、前記一対の基板間に液晶が前記配向膜で挾まれて封入された液晶素子の製造方法において、前記配向膜が配向処理された後で前記液晶を封入する前に、前記配向膜を所定温度で熱処理することを特徴とする液晶素子の製造方法。」(【特許請求の範囲】)

「【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、このような液晶セルの製造方法では、ラビング処理時におけるガラス基板自体の歪、これを載置するステージの傾き、ラビング布の毛足の圧接度のバラツキ、ラビング装置の振動などの様々な要因によって、所定のラビング強度を安定して得ることが難しい。その為、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が不均一になり、液晶分子のプレチルト角にバラツキが生じ、液晶分子に配向むらが発生するという問題がある。なお、このような液晶素子を液晶表示装置に用いると、所望のプレチルト角が安定して得られず液晶分子の配向むらが発生し、表示品位が低下するという問題が生じる。」(【0003】)

「【作用】 この発明によれば、配向膜が配向処理された後で液晶を封入する前に、配向膜を所定温度で熱処理することにより、ラブング強度に基づく物理的特性のバラツキが緩和され、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が均一になり、このため液晶分子のプレチルト角のバラツキを防ぐことができ、液晶分子の配向を安定させることができる。」(【0006】)

「【実施例】 以下、図1および図2を参照して、この発明の液晶素子の製造方法の一実施例について説明する。 図1は液晶素子である液晶セルの断面図であり、図2はその製造工程を示す図である。これらの図を参照して、液晶セルの製造方法を製造工程順に説明する。まず、無機ガラス、有機ガラス、または高分子フィルムなどからなる一対の基板1、2を用意する。・・・」(【0007】)

「このような液晶セルの製造方法では、配向膜7、8がラビング処理された後で液晶10を封入する前に、配向膜7、8を100℃〜200℃の範囲の所定温度で熱処理しているので、液晶分子11に対する配向膜7、8の配向規制力が均一になり、これにより液晶分子11のプレチルト角のバラツキを防ぐことができ、液晶分子11の配向を安定させることができる。したがって、このような液晶セルを液晶表示装置に用いた場合には、液晶分子11の配向が安定しているので、電圧印加時における液晶分子11の動作が安定し、表示品位の高いものを得ることができる。」(【0011】)

「なお、上記実施例では、一対の基板1、2を貼り合わせた後、真空注入法により液晶10を注入するため、基板1、2を貼り合わせる前に配向膜7、8を熱処理したが、これに限らず、液晶10を滴下法により封入する場合には、液晶10を滴下する前に熱処理を行なえば良い。・・・」(【0012】)

「【発明の効果】 以上説明したように、この発明によれば、配向膜が配向処理された後で液晶を封入する前に、配向膜を所定温度で熱処理することにより、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が均一になり、このため液晶分子のプレチルト角のバラツキを防ぐことができ、液晶分子の配向を安定させることができる。」(【0013】)

上記によれば、引用刊行物の液晶素子は、その請求項1及び実施例の各記載からみて、本願発明と同じセル構成を採ることは明らかである。
したがって、引用刊行物には、「電極を有する2枚のガラス基板上に設けた配向膜の表面に所定の配向処理を行い、互いに配向処理面を内側にして対向させるセル構成に用いる配向規制力を均一にする処理であって、配向処理された後で、所定の温度による熱処理によってラビング強度に基づく物理的特性のバラツキが緩和され、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が均一になることを特徴とする処理方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が、記載されていると認められる。

3.対比・判断
(1)対比 本願発明と引用発明を対比すると、引用発明における「配向規制力を均一にする処理」及び「配向処理された後で、所定の温度による熱処理」は、本願発明の「配向均一化処理」及び「ラビング処理後に、所定の温度による加熱処理」に各々相当することは明らかであるから、
両者は、「電極を有する2枚のガラス基板上に設けた配向膜の表面に所定のラビングによる配向処理を行い、互いに配向処理面を内側にして対向させるセル構成に用いる配向均一化処理であって、ラビング処理後に、所定の温度による加熱処理を行うことを特徴とする配向均一化処理方法。」の点で一致し、
当該加熱処理が、前者では、「所定の時間に応じたもの」であるのに対して、後者では、「加熱時間について格別、規定ないし特定されていないもの」である点で相違する。

なお、当該加熱処理の目的が、本願発明では、「配向膜表面の極性を非活性化すること」と規定するのに対して、引用発明では、「ラビング強度に基づく物理的特性のバラツキが緩和され、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が均一になること」(引用刊行物の段落【0006】)である点で、一応相違すると認められるけれども、前者の目的も、最終的には、ラビング処理された配向膜の配向を均一にすることにあるから(本願明細書段落【0009】)、両者は軌を一にするものであって、この点は相違点とはならない。

(2)判断 引用発明の加熱処理の目的は、ラビング強度に基づく物理的特性のバラツキが緩和され、液晶分子に対する配向膜の配向規制力が均一になることのためであり、その加熱に要する時間は、当該目的達成に必要な程度のものであると認められるから、「加熱温度」を考慮しつつ、上記目的に沿うように、加熱時間を所定の範囲に設定することは、当業者が容易になし得るものと認められる。
また、本願発明の効果は、引用発明から当業者が予測し得る範囲のものであり、格別の効果を奏するものとは認められない。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-01-30 
結審通知日 2002-01-31 
審決日 2002-02-13 
出願番号 特願平10-98733
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井口 猶二  
特許庁審判長 青山 待子
特許庁審判官 東森 秀朋
吉田 禎治
発明の名称 配向均一化処理方法およびその処理方法を用いた液晶表示素子  
代理人 池内 寛幸  
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