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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 A01G
管理番号 1056158
審判番号 審判1999-10901  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-06-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-05 
確定日 2002-04-17 
事件の表示 平成7年特許願第528963号「芝生の摩耗を減らす方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成7年11月16日国際公開、WO95/30327、平成9年6月3日国内公表、特表平9-505485、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年4月20日(パリ条約による優先権主張1994年5月9日、米国)の出願であって、その請求項1乃至6に係る発明は、平成11年2月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された次のとおりのものである。
「1.芝生が成長する地面のレベルでの障害から運動場の芝生の根頭部分を保護する方法であって、地面レベルおよび芝生の根頭部分の周りに、すりつぶしたゴムタイヤ由来でその平均サイズが約0.01-0.6cmの粒子を、約0.25-1.9cmの厚さの層で、トップドレッシングとして適用し、該粒子は、芝生との接触の結果としての根の根頭部分との摩擦に抵抗し、芝生の根頭部分を磨耗させる任意の他の粒子を基本的に含まず、かつ芝生の根頭部分を覆っている、上記方法。
2.該層は、層なしで成長させた芝生に比較して、芝生の色と成長を改良するような厚さを有し、かつ芝生の根頭部分と同様の厚さを有する、請求項1の方法。
3.該層は、粒子の層のない地面に比較して、芝生の周りの地面の温度を上昇させるような層である、請求項1または2の方法。
4.(a)地面のレベルで根頭部分を有する芝生を支持する水透過性の地面、および(b)トップドレッシングとして地面レベルを覆い、運動場が使用されている時、芝生との接触の結果としての芝生の根頭部分との摩擦に抵抗する、すりつぶしたゴムタイヤ由来でその平均サイズが約0.01-0.6cmの粒子からなる、約0.25-1.9cmの厚さの層であって、該粒子は、芝生の根頭部分を磨耗させる任意の他の粒子を基本的に含まず、かつ芝生の根頭部分を覆っている、層からなる運動場。
5.該層は、層なしで成長させた芝生に比較して、芝生の色と成長を改良するような厚さを有し、かつ芝生の根頭部分と同様の厚さを有する、請求項4の運動場。
6.該層は、粒子の層のない地面に比較して、芝生の周りの地面の温度を上昇させるような層である、請求項4または5の運動場。」(以下、請求項1乃至6に係る発明をまとめて「本願発明」という)

2.引用例
これに対し、原査定の特許法第29条の2に係る拒絶の理由に引用された特願平5-269389号及び特願平5-337631号(共に特開平7-236371号公報参照)のそれぞれの願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、それぞれ「先願明細書1」、「先願明細書2」という)には次の事項が記載されている(なお、特許法第36条に係る拒絶の理由は上記補正により解消されている)。
(1)先願明細書1
芝生の根本部分を保護するために、ゴム材等からなる、太さ3〜10mm、長さ15〜80mm、硬度50〜80度の先の尖った弾性チップを、芝面に対し1m2当り2000〜6000個散布することが記載され、図1には種々の形状の細長い弾性チップが、図2には散布された弾性チップが重ならず互いに余り密着していない様子が記載されている。
(2)先願明細書2
芝生の根本部分を保護するために、ゴム材等からなる、太さ3〜10mm、長さ15〜80mm、硬度50〜80度、比重0.1〜3.0、体積0.1〜50cm3の先の尖った弾性体を、芝面に対し1m2当り2000〜6000個散布することが記載され、細長く先の尖った弾性体は芝生に入り易くて出にくいと共に地表になじみ易く、加えて平らな形状にすれば芝生の葉に似ると共に転がりにくくなることが記載されている。
また、弾性体の散布に当っては、均一且つ互いに重ならないように被地率20〜60%の範囲で散布することが望ましいことが記載されている。
さらに、図1には細長く先の尖った弾性体が、図2には散布された弾性体が重ならず互いに余り密着していない様子が、図3には種々の形状の細長い弾性体が記載されている。

3.対比・判断
本願発明と先願明細書1,2に記載された発明とは、本願発明のトップドレッシングが、平均サイズ約0.01-0.6cmの粒子を約0.25-1.9cmの厚さの層としたものであり、芝生の根頭部分を覆っているのに対して、先願明細書1,2に記載された発明はいずれもこれらを備えていない点で相違する。
すなわち、先願明細書1,2には本願発明の上記数値範囲が記載されていないだけではなく、先願明細書1,2に記載された弾性チップあるいは弾性体は、先の尖った細長いものであって、平均サイズを有する粒子といえるものではなく、かつ、重ならないように散布されているものであって、層になっているものでもなければ、根頭部分を覆っているものでもない。
そして、本願発明における粒子は、尖った部分がなく、層になって芝生の根頭部分を覆って接触しても、根頭部分を傷つけることなく保護できるものであるのに対し、先願明細書1,2に記載された弾性チップあるいは弾性体は、尖った部分の接触で根頭部分を傷つけ易く、層になって芝生の根頭部分を覆うものとして適しているとはいえず、先の尖った細長い形状であることも、上記したように、芝生に入り易くて出にくいと共に地表になじみ易いという意味があるものであるから、本願発明における粒子と実質的に同じものであるとはいえない。
してみれば、上記相違点を単なる微差ということはできず、本願発明は、先願明細書1に記載された発明と同一であるとも、先願明細書2に記載された発明と同一であるとも認められない。

4.むすび
したがって、原査定の拒絶の理由によっては本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-04-04 
出願番号 特願平7-528963
審決分類 P 1 8・ 161- WY (A01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 渡部 葉子
白樫 泰子
発明の名称 芝生の摩耗を減らす方法  
代理人 長沼 暉夫  
代理人 浅村 皓  
代理人 浅村 肇  
代理人 小堀 貞文  
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