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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1056263 |
審判番号 | 不服2000-6232 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-10-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-04-27 |
確定日 | 2002-04-04 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 77927号「無線付き携帯情報端末装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年10月 9日出願公開、特開平10-268988]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
一.手続の経緯、本願発明 本願は、平成9年3月28日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年2月10日付け及び平成12年5月16日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。 「端末装置本体と蓋側筐体とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた携帯情報端末装置において、 前記蓋側筐体内の片端に配設された、装置外部とのデータ送受信を行なう無線回路基板と、 前記端末装置本体内に配設された、メイン回路基板と、 この無線回路基板とメイン回路基板を、前記ヒンジ部を経由して接続するフレキシブル基板とを具備し、 かつメイン回路基板における電磁波ノイズを発生する回路部分を、前記蓋側筐体の無線回路基板に対して対角線上に位置するように前記端末装置本体内の片端に配設した ことを特徴する無線付き携帯情報端末装置。」 二.引用例 これに対して、当審で通知した拒絶の理由に引用された特開平8-129433号公報(以下、「引用例1」という。)には、 データ入力手段を備えた底部(本願発明の「端末装置本体」に相当)とデータ出力手段を備えた見開きの傾斜部(本願発明の「蓋側筐体」に相当)とが回転開閉可能に取り付けられたノート型パソコン(本願発明の「携帯情報端末装置」に相当)において、見開きの傾斜部の片端に配設された、ノート型パソコン外部との送受信を行う無線通信モデムカード(本願発明の「無線回路基板」に相当)とからなるノート型パソコン、が記載されており、そしてノート型パソコンであるので、底部にはCPU等を含む回路部分が配設されたメイン回路が装着されているものと認められる。 同じく当審で通知した拒絶の理由に引用された特開平6-311216号公報(以下、「引用例2」という。)には、データ出力手段を備えた第1の筐体(本願発明の「蓋側筐体」に相当)とデータ入力手段を備えた第2の筐体(本願発明の「端末装置本体」に相当)とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた携帯電話機(本願発明の「携帯情報端末装置)に相当)と、第1の筐体に配設された、携帯電話機外部とのとのデータ送受信を行う無線回路(本願発明の「無線回路基板」に相当)と、第2の筐体に配設された制御回路(本願発明の「メイン回路基板」に相当)と、無線回路と制御回路をヒンジ部を経由して接続するフレキシブル基板とを具備した、携帯電話機が記載されている。 同じく当審で通知した拒絶の理由に引用された特開平7-154840号公報(以下、「引用例3」という。)には、本体と蓋体とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた蓋付ページャー(本願発明の「携帯情報端末装置」に相当)において、本体に配設された、ページャー外部との送受信を行うアンテナを含んだRF基板(本願発明の「無線回路基板」に相当)と、蓋体に配設された、CPU等が実装された液晶モジュール(本願発明の「メイン回路基板」に相当)とを具備し、液晶モジュールのノイズを発生するCPU部分(本願発明の「回路部分」に相当)を、アンテナから距離が離れるように配設した、蓋付ページャー、が実施例として記載されて、またCPUを本体側に、アンテナを蓋体側に配置した構成でもよいことも記載されている。 そして、一般に端末装置本体と蓋側とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた携帯情報端末装置において、蓋側筐体に設けられた回路と端末装置本体に設けられた回路とを、ヒンジ部を経由してフレキシブル基板で接続することは、引用例2にも「フレキシブル基板」が記載されているように本願出願前周知な技術事項である。 そうすると、上引用例1、2に記載されているように、 データ入力手段を備えた端末装置本体とデータ出力手段を備えた蓋側筐体とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた携帯情報端末装置において、 前記蓋側筐体内に配設された、装置外部とのデータ送受信を行なう無線回路基板と、 前記端末装置本体内に配設された、メイン回路基板と、 この無線回路基板とメイン回路基板を、前記ヒンジ部を経由して接続するフレ キシブル基板と、 メイン回路に配置されたCPU等の回路部分とからなる、 無線付き携帯情報端末装置 は、本願出願前公知技術である(以下、「公知の発明」という)。 三、対比 本願発明と公知の発明と対比する。 公知の発明と本願発明とは、 端末装置本体と蓋側筐体とがヒンジ部を介して回転開閉可能に取り付けられた携帯情報端末装置において、 前記蓋側筐体内に配設された、装置外部とのデータ送受信を行なう無線回路基板と、 前記端末装置本体内に配設された、メイン回路基板と、 この無線回路基板とメイン回路基板を、前記ヒンジ部を経由して接続するフレキシブル基板と、 無線付き携帯情報端末装置で一致し、以下の点で相違する。 本願請求項1に係る発明は、無線回路基板を蓋体側筐体の片端に配設し、「メイン回路基板における電磁波ノイズを発生する回路部分を、前記蓋側筐体の無線回路基板に対して対角線上に位置するように前記端末装置本体内の片端に配設した」構成を有するのに対し、公知の発明にはそのような構成が示唆されていない点。 四、判断 相違点について検討する。 一般に、コンピュータ本体では、クロック信号等によるノイズが常時発生しているので、無線回路基板をノイズを発生するコンピュータ本体すなわち回路部分から離れて設置するようにするという技術的課題は周知事項(例えば、引用例3、特開平8-30528号公報、等参照)である。 公知の発明のように無線回路基板を蓋体側筐体に、メイン回路基板を端末装置本体に配設した場合、ノイズの影響を少なくするために、メイン回路基板のノイズ発生する回路部分と無線回路基板とをできるだけ離れて設置するに際して、前記蓋側筐体の片端に無線回路基板を配置し、メイン回路基板における電磁波ノイズを発生する回路部分を、無線回路基板に対して最も離れた位置、すなわち対角線上に位置するように前記端末装置本体内の片端に配設するようにすることは、当業者が容易に推考し得ることと認められる。 五、結論 したがって、本願発明は、引用例の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-01-10 |
結審通知日 | 2002-01-15 |
審決日 | 2002-02-22 |
出願番号 | 特願平9-77927 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 竹井 文雄 |
特許庁審判長 |
川嵜 健 |
特許庁審判官 |
今井 義男 稲葉 和生 |
発明の名称 | 無線付き携帯情報端末装置 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 福田 修一 |
代理人 | 河合 信明 |