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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1056378
審判番号 不服2000-13287  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-23 
確定日 2002-04-11 
事件の表示 平成 5年特許願第199628号「電磁波シールド材」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月 3日出願公開、特開平 7- 58490]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年8月11日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年3月14日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 樹脂基材中に電磁波シールド効果を有する超微粒子を分散させてなり、該超微粒子の粒径が0.1μmより大且つ1μm以下であることを特徴とする電磁波シールド材。」(以下、「本願発明」という。)
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-199100号公報(以下、「引用例」という。)には、
(ア)「金属超微粒子を分散したプラスチックからなる電磁波遮蔽材」(特許請求の範囲)
(イ)「本発明に用いられる金属超微粒子とはFe,Ni,Co,Al,Cu,Ag等の金属あるいはステンレススチ-ル,真ちゅう・・《中略》・・等の合金の約1000Å以下の粒径を有する粒子」(2頁左上段第11〜15行)
(ウ)「本発明においてはプラスチックの成形性や機械的強度を低下させないような小量の混合量の金属超微粒子によって高い電磁波遮蔽性を得ることが出来る。」(2頁右上段第17〜20行)
と記載されている。
したがって、引用例には、
「プラスチック中に金属超微粒子を分散させてなり、該超微粒子の粒径が約1000Å以下である電磁波遮蔽材。」が記載されていると認められる。
3.対比
後者の「電磁波遮蔽材」も電磁シ-ルド材であり、また、本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「プラスチック」及び「金属超微粒子」は、前者の「樹脂基材」及び「電磁シ-ルド効果を有する超微粒子」に相当する。
そうすると両者は、
「樹脂基材中に電磁波シールド効果を有する超微粒子を分散させてなる電磁波シールド材。」で一致し、次の点で相違する。
相違点
該超微粒子の粒径が、本願発明は「0.1μmより大且つ1μm以下である」とするのに対し、引用例に記載された発明は、約1000Å以下、すなわち約0.1μm以下であるとする点。
4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
本願発明の課題は、樹脂基材の本来の物性を劣化させることなく電磁波シ-ルド性の向上を図ることであって、このことは引用例に記載された発明の課題と共通している。
そして、0.1μmより大きい約0.1μmの粒径をもつ超微粒子を分散させたものと、0.1μm以下の約0.1μmの粒径をもつ超微粒子を分散させたものとが、作用効果上格別な差異が生じないことは当業者にとって予測し得ることであるから、0.1μmより大きい約0.1μmの粒径をもつ超微粒子を分散させたものについても実験を行うことは、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に着想し得ることである。
してみると、引用例に記載された発明において、上記課題を達成するために、超微粒子の粒径が約1000Å以下、すなわち約0.1μm以下であるとするのに代えて、0.1μmより大且つ1μm以下であるとすることは、実験により数値範囲を最適化又は好適化したものであって、当業者の通常の創作能力の範囲内のものとするのが相当である。
よって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-06 
結審通知日 2002-02-12 
審決日 2002-02-25 
出願番号 特願平5-199628
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 溝渕 良一
鈴木 久雄
発明の名称 電磁波シールド材  
代理人 足立 勉  
代理人 田中 敏博  

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