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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E06B
管理番号 1056420
審判番号 不服2001-22633  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-18 
確定日 2002-05-07 
事件の表示 平成 5年特許願第347992号「電磁波シールド材及びその接続構造及びその接続方法並びに電磁波シールドされた防音サッシ」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 7月28日出願公開、特開平 7-189565、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月24日の出願であって、その請求項1ないし8に係る発明(以下、「本願発明1ないし8」という。)は、平成13年10月2日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 条材の弾性体の芯材外周を全長にわたり金網で被覆した電磁波シールド材において、該条材の端部外周で芯材と金網とを接着剤により固定したことを特徴とする電磁波シールド材。
【請求項2】 一方の端部のみ芯材と金網を固定したことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材。
【請求項3】 両端部において芯材と金網を固定したことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材。
【請求項4】 条材の弾性体の芯材外周を全長にわたり金網で被覆した電磁波シールド材を突合せて端部を接続する電磁波シールド材の接続構造において、接続される両電磁波シールド材の端部外周を接着剤でもって芯材と金網を固定されており、両電磁波シールド材の端部を突合せたことを特徴とする電磁波シールド材の接続構造。
【請求項5】 条材の弾性体の芯材外周を全長にわたり金網で被覆した電磁波シールド材を突合せて端部の接続した電磁波シールド材の接続構造において、電磁波シールド材の一方の端部は芯材と金網の端部外周が接着されており、前記電磁波シールド材の他方の端部の芯材は、前記電磁波シールド材の一方の端部に突合せられると共に前記電磁波シールド材の他方の端部の金網は芯材端部から延出され、前記電磁波シールド材の一方の端部の金網にかぶせられ、少くとも前記電磁波シールド材の他方の端部の芯材と金網は接着剤で固定されていることを特徴とする電磁波シールド材の接続構造。
【請求項6】 条材の弾性体の芯材外周を全長にわたり、金網で被覆した電磁波シールド材を突合せて端部を接続する方法において、電磁波シールド材の一方の端部のみ芯材と金網を接着剤で固定し、電磁波シールド材の他方の端部を電磁波シールド材の前記一方の端部とオーバーラップするようにして他方の電磁波シールド材の芯材端部から金網端部を前記オーバーラップ量以上芯材が露出するように折返してこの他方の電磁波シールド材自身の金網上にかぶせて、該他方の端部の芯材を電磁波シールド材の前記一方の端部と過不足なく突合わせる寸法に切断し、電磁波シールド材の芯材の両端部を突合せ、前記電磁波シールド材の他方の端部の金網の折返した部分を元に戻すと共に電磁波シールド材の一方の端部の金網上にかぶせ、少くとも電磁波シールド材の他方の端部の金網と芯材を接着剤で固定したことを特徴とする電磁波シールド材の接続方法。
【請求項7】 電磁波シールド材の他方の端部の折返した金網端部を元に戻した後、該金網端部と電磁波シールド材の一方の端部の金網と接着剤で固定したことを特徴とする請求項6に記載の電磁波シールド材の接続方法。
【請求項8】 開口枠とこの開口枠内を開閉する障子との間で見込方向に二重にパッキンを設けたものにおいて、一方のパッキンを芯材上に金網をかぶせた条材の気密性電磁波シールド材であって、該条材の端部外周で芯材と金網とを接着剤により固定した気密性電磁波シールド材を取り付けたことを特徴とする電磁波シールドされた防音サッシ。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平5-175681号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、
「図1に示す例は、電磁波遮蔽材料1の導電面と、導電性押縁6の間に導電性バックアップ材5を配置し、電気的に接続したものである。このようにすると、電磁波遮蔽材料1の導電面から導電性バックアップ材5、導電性押縁6が電気的に一体化して窓周辺部に接続され、電磁波シールド性能を向上させることができる。図2、図3は、本発明で用いる導電性バックアップ材5の例を示す断面図、及び斜視図であり、17は発泡材、18は導電性金属線材を示す。図2、図3に示す例は、発泡材(例えば、シリコーン、ネオプレン、エチレン・プロピレン・スチレンのうち少なくとも1種)17の外周に、導電性金属線材18を編み込んだものをオーバーニットしたものである。導電性金属線材18は純金属(例えば、モネル、鉄、銅、アルミニウムのうち少なくとも1種、以下同じ)からなるため、電気特性は非常に優れており、従来からの導電性テープ、導電性ゴムでは達成できなかった高いシールド遮蔽性能を確保することが容易である。さらに、発泡材17は不良導体でよく、従来のバックアップ材の機能である緩衝材及びシーリング作業時に漏れを押さえるための充填材の役割のほか、任意の硬さに調整可能できる圧縮固定材として使用できる。」(段落【0022】ないし【0024】)
と記載されており、当該記載及び図1ないし3の記載からみて、引用刊行物には、
「発泡材17の外周に、導電性金属線材18を編み込んだものをオーバーニットした導電性バックアップ材5。」
の発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と引用刊行物に記載の発明とを比較すると、引用刊行物に記載の発明の「発泡材17」、「導電性金属線材18を編み込んだもの」、「オーバーニットした」及び「導電性バックアップ材5」は、それぞれ本願発明1の「弾性体の芯材」、「金網」、「被覆した」及び「電磁波シールド材」に相当し、引用刊行物に記載の発明の「導電性バックアップ材5」の使用態様からみて、「発泡材17」は「条材」であり、「導電性金属線材18を編み込んだもの」は発泡材17の外周を全長にわたりオーバーニットすると認められるので、両者は、
「条材の弾性体の芯材外周を全長にわたり金網で被覆した電磁波シールド材。」
の点で一致し、次の点で相違する。

相違点
本願発明1では、条材の端部外周で芯材と金網とを接着剤により固定したのに対し、引用刊行物に記載の発明では、そのような構成を有するか否かが不明な点

そこで、相違点について検討すると、相違点に係る本願発明1の構成は本願の出願前に公知ではなく、また、周知慣用技術でもない。しかも、本願発明1は、相違点に係る構成を備えることにより、明細書に記載の「気密材としての柔軟性が損なわれることなく、端部に芯材又は金網が突出したり、金網がほつれたりすることがないので施工が容易で気密性、電磁波シールド性が損なわれない。」(段落【0078】)という引用刊行物に記載の発明からは期待できない顕著な効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用刊行物に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1を引用してさらに構成を限定したものであるから、本願発明1についての検討と同様の理由により、引用刊行物に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(3)本願発明4ないし8について
本願発明4ないし8は、本願発明1を引用するものではないが、いずれも上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えているから、本願発明1についての検討と同様の理由により、引用刊行物に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願については、原査定の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-04-23 
出願番号 特願平5-347992
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E06B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 忠夫  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
中田 誠
発明の名称 電磁波シールド材及びその接続構造及びその接続方法並びに電磁波シールドされた防音サッシ  
代理人 新井 一郎  

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