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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1056579
異議申立番号 異議2000-73759  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-03-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-04 
確定日 2001-12-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3029421号「振込処理システム」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3029421号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第一.手続の経緯
本件特許第3029421号に係る出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成10年10月6日(優先日:平成10年2月13日、出願番号:特願平10-31739号、優先日:平成10年6月29日、出願番号:特願平10-183040号)の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された発明は、同12年2月4日に設定登録され、その後、その特許請求の範囲の請求項1〜10に係る特許について株式会社第一勧業銀行、株式会社あさひ銀行、株式会社富士銀行から特許異議の申立てがなされ、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である同13年9月7日に訂正請求がなされたものである。

第二.取消理由通知の概要
平成13年6月28日付け取消理由通知の概要は以下のとおりである。

1.本件発明の詳細な説明に関して、下記(1)の点で特許法第36条第4項の規定に違反している。
(1)発明の詳細な説明の欄には、「振込専用口座」、「被振込口座」等、そして、「特定口座」「振り込まれた口座」等の各用語が種々用いられているが、異なる実施形態ごとに異なる用語で用いられていることから、その用語の内容が違なるために異なる用語を用いているものと思われるが、その内容が異なることについての説明が記載されていないので、各用語の意味が明確に理解できない。また、特許請求の範囲に記載された「支払人と関連づけられた複数の関連口座」と上記「振込専用口座」、「被振込口座」等、そして、特許請求の範囲に記載された「取りまとめるための特定口座」と上記「特定口座」、「振り込まれた口座」等との関係がどの様な関係にあるのか、発明の詳細な説明に記載されていないので、各用語の意味が理解できない。

2.請求項1に係る発明に関して、下記(1)〜(3)の点で特許法第36条第6項第1、2号の規定に違反している。
(1)「関連口座への振込情報を、支払人と関連付けられた関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、出力する出力手段」の記載から振込情報を出力することは理解できるが、その他の記載箇所「支払人と関連付けられた関連口座の口座関連情報および/または関連口座を特定する番号を付加」は、何に対して付加するのか不明であり、また、「振込情報」と「支払人と関連付けられた関連口座の口座関連情報および/または関連口座を特定する番号」との関係は、どの様な関係なのか不明であるため、特許発明が明確でない。
(2)「関連口座に振り込まれた資金」は、「振込」の一般的な意味が「依頼人の依頼で資金を受領し、その資金を、依頼人の指定する受取人の取引店に為替通知を送り、受取人の預金口座に入金させる送金方法」(「金融実務大辞典」社団法人金融財政事情研究会)であることから、「関連口座に入金された資金」の意味と解するのが相当である。発明の詳細な説明中の本発明の特徴的な構成を詳しく説明した箇所の「(2)この口座に振込入金された資金を、受取人の取りまとめを行う口座に入金する。」(段落番号23)との記載からも、複数の口座に資金を入金することと取りまとめ口座に入金することが同じ意味で用いられていることは明らかである。しかしながら、「(実施形態4)上述の実施形態1〜3の処理においては、被振込口座(振込専用口座)には入金処理は行われていない。しかし、被振込口座への入金処理を行った後に取りまとめを行う口座へ入金処理を行ってもよい。この場合は、被振込口座から取りまとめを行う口座への振替処理となるが、被振込口座への当初の振込人名と被振込口座番号を振り替えた口座の入金明細に付与する。」(段落番号65)との記載があり、上記解釈と一致しない記載が1カ所存在する。
また、実施形態1〜3は、「入金口座元帳」に格納する前に、取りまとめ口座に「元帳入金処理」を行っているが、実施形態4は、「入金口座元帳」に格納する前に、被振込口座および取りまとめ口座に「元帳入金処理」を行っていることは明らかである。したがって、これらの記載からみて、実施形態1〜3は、複数の関連口座に振込はしているが入金処理は行っておらず、実施形態4〜6は、複数の関連口座に振込入金処理を行っている。そうすると、上記「関連口座に振り込まれた資金」は、一般的な金融用語として用いていると解すると矛盾が生じることになるが、発明の詳細な説明には、「関連口座に振り込まれた資金」の定義ないしは説明が何ら記載されていないので、特許発明が明確でない。
(3)本件発明は、「ATMからキャッシュカードを用いて振込を行うとき、口座の名義人と支払い義務者とが同一でない場合は、改めて名前を入力する必要がある。この入力を怠ると、請求先と支払人とが食い違う場合も生じる。また現在、わが国においては、銀行間の振込における振込人名はカナで表示されることになっている。したがって、姓名をもって特定するときは、同姓同名が多数存在して特定することができないことがある。また、支払人コード等を付与して、そのコードを常に入力してもらうようにしていることもある。しかし、この支払人コード等の付与を支払人が忘れたり、そのコードを間違えたりすることがあり、正しいコード入力を顧客全員に対して徹底することは難しい。」(段落番号5〜7)との問題を解決することを目的とするものである。
その目的を達成するために、実施形態1〜3は、振り込まれた口座の口座番号が、振込専用口座の口座番号であるかをテーブルで調べる手段が存することによって、取りまとめを行う口座(正当口座)の口座番号に資金を入金処理することが可能となるのであり、また、実施形態4は、被振込口座(振込専用口座)に対して元帳に取りまとめを行う口座への転送を指定する手段が、実施形態5、6は、取りまとめを行う口座に対して、指定口座を指定する手段が存することによって、取りまとめを行う口座の口座番号に資金を入金処理することが可能となることが発明の詳細な説明に記載されている。しかしながら、請求項1に係る発明の「入金処理を行う手段」、「出力する出力手段」および「格納する手段」、この3つの手段だけで上記目的を達成するための実施形態は記載されていないので、本件の請求項1に係る発明が発明の詳細な説明に記載されていない。

3.請求項2に係る発明に関して、下記(1)の点で特許法第36条第6項第1、2号の規定に違反している。
(1)請求項2に係る発明の「前記資金の入金処理を行う手段」は、「複数の関連口座に振り込まれた資金」のこの資金を、複数の関連口座に入金処理を行う手段の意味であることは明らかである。そして、上記した段落番号65の「(実施形態4)上述の実施形態1〜3の処理においては、被振込口座(振込専用口座)には入金処理は行われていない。しかし、被振込口座への入金処理を行った後に取りまとめを行う口座へ入金処理を行ってもよい。この場合は、被振込口座から取りまとめを行う口座への振替処理となるが、被振込口座への当初の振込人名と被振込口座番号を振り替えた口座の入金明細に付与する。」との記載からみて、請求項2に係る発明は、実施形態4〜6に対応するものと理解できる。そうすると、上記「前記資金の入金処理を行う手段」の後に記載されている「検出する手段」及び「対応付けを行う手段」は、実施形態4〜6には存しないものであるから、請求項2に係る発明は明確でないし、その構成に対応する実施形態が発明の詳細な説明に記載されていない。

第三.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者は、上記取消理由通知に対して、平成13年9月7日付け訂正請求書を提出し、その訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであるが、その訂正の内容は次のa〜qのとおりである。

a.本件特許請求の範囲の請求項1に「銀行システムにおける、支払人と関連づけられた複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記複数の関連口座に振り込まれた資金を、取りまとめるための特定口座に入金処理を行う手段と、前記関連口座への振込情報を、支払人と関連付けられた関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、出力する出力手段と、」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、」と訂正する。

b.本件特許請求の範囲の請求項2に「前記資金の入金処理を行う手段は、振り込まれた口座が支払人と関連づけられた関連口座であるかを検出する手段と前記関連口座であるときは、前記特定口座との対応付けを行う手段と、前記特定口座に入金処理を行う手段とを備えること」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うこと」と訂正する。

c.本件特許請求の範囲の請求項3に「特定口座との対応付けを行う前記手段は、前記関連口座の番号を特定口座の番号と置換すること」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換すること」と訂正する。

d.本件特許請求の範囲の請求項4に「特定口座と対応付けを行う前記手段は、前記関連口座の親口座番号を付加すること」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加すること」と訂正する。

e.本件特許請求の範囲の請求項5に「請求項1〜4いずれか記載の振込処理システムにおいて、関連口座への入金処理を行わずに、前記特定口座への入金処理を行うことを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。

f.本件特許請求の範囲の請求項6に「請求項1〜4いずれか記載の振込処理システムにおいて、関連口座への入金処理を行った後、前記特定口座への入金処理を行うこと」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えること」と訂正する。

g.本件特許請求の範囲の請求項7に「請求項1〜6いずれか記載の振込処理システムにおいて、少なくとも前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項5「請求項1〜4のいずれかに記載の振込処理システムにおいて、前記入金処理手段は、前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。」と訂正する。

h.本件特許請求の範囲の請求項8に「請求項1記載の振込処理システムにおいて、前記資金の入金処理を行う手段は、関連口座に対する振込入金処理を終了した後に、別の処理として実行することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。

i.本件特許請求の範囲の請求項9に「請求項8記載の振込処理システムにおいて、前記振込情報を特定口座の振込情報として格納する手段は、情報の管理のみを行うファイルに対して格納することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。

j.本件特許請求の範囲の請求項10に「請求項9記載の振込処理システムにおいて、前記各特定口座への振込情報の集約処理を行った後、集約された振込情報で前記ファイルを更新することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。

k.特許明細書段落番号【0009】の記載を、上記訂正事項aに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「上記目的を達成するために、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。

1.特許明細書段落番号【0011】の記載を、上記訂正事項bに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うこともできる。」と訂正する。

m.特許明細書段落番号【0013】の記載を、上記訂正事項c及びdに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換することや、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加すること等を用いることで実現することができる。」と訂正する。

n.特許明細書段落番号【0015】の記載を、上記訂正事項e及びfに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、全文を削除する。

o.特許明細書段落番号【0017】の記載を、上記訂正事項f及びhに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「また、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。

p.特許明細書段落番号【0019】の記載を、上記訂正事項i及び」に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、全文を削除する。

q.特許明細書段落番号【0027】の記載を、明瞭でない記載の釈明のため、「上述の本発明を具体的にどのように実施しているかを、以下の実施形態ごとに、図面を参照して詳細に説明する。なお.本発明の実施形態は、すべて図1に示されているような銀行システムで処理されている。本実施形態において、関連口座は、振込専用口座、被振込口座及び指定口座を指し、特定口座は、取りまとめを行う口座、正当口座及び取りまとめ口座を指す。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記aの訂正について、
「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が」の訂正は、支払人が何と関連づけられているか不明な点を明りようにしたものであり、「前記振込処理システムを介して」と付加した訂正は、複数の関連口座に振り込むシステムを明りようにしたものであり、「入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段」の訂正は、「関連口座に振り込まれた資金」は、関連口座に入金された資金の意味ではなく、特定口座に入金処理を行なうために振り込まれた資金であることを明りようにすると伴に、関連口座に振り込まれた資金を特定口座にどの様にして振り込まれるのか不明な点を明りようにしたものであり、「に対して」の訂正は、特定する番号を何に対して付加するのか不明な点を明りようにしたものであり、「前記振込情報を」と付加した訂正は、何を出力するのか不明な点を明りようにしたものである。
したがって、上記aの訂正は、明りようでない記載の釈明と認められる。
また、上記aの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記bの訂正について、
「前記入金処理手段」の訂正は、「前記資金の入金処理を行なう手段」の記載では、前記資金が入金された資金の意味と解されることを避けるために明りようにしたものであり、「前記振込処理システムを介して資金が」の訂正は、振込処理システムを特定することにより明りようにしたものであり、「否かを検出する検出手段」の訂正は、関連口座でないものも検出することを明りようにしたものであり、「前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、」の訂正は、資金が振り込まれた口座が関連口座であること、関連口座であると検出された場合であることを明りようにしたものであり、「前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段」の訂正は、特定口座に対応付けを行なう口座が特定口座であることを明りようにしたものであり、「前記関連口座に振り込まれた資金を」の訂正は、特定口座に入金される資金が関連口座に振り込まれた資金であることを明りようにしたものである。
したがって、上記bの訂正は、明りようでない記載の釈明と認められる。
また、上記bの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記cの訂正について、
「前記対応付け手段」の訂正は、関連口座を特定口座に対応付けることを明りようにしたものであり、「前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に」の訂正は、関連口座の番号が口座番号であり、特定口座は関連口座に関連付けられていることを明りようにしたものである。
したがって、上記cの訂正は、明りようでない記載の釈明と認められる。
また、上記cの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記dの訂正について、
「前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号」の訂正は、関連口座の口座番号を特定口座の口座番号に置換することを明りようにしたものである。
したがって、上記dの訂正は、明りようでない記載の釈明と認められる。
また、上記dの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記eの訂正について、
上記eの訂正は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮と認められる。

上記fの訂正について、
訂正前の請求項6は、請求項1〜4を引用して「関連口座への入金処理を行なった後、特定口座への入金処理を行なう」ことを限定したものであったが、上記訂正のaで述べたように、訂正前の請求項1の「複数の関連口座に振り込まれた資金」は、複数の関連口座に入金された資金の意味と解されるので明りようでなかったものを、関連口座に入金された資金の意味ではないことを明りようにしたことに伴い、 請求項1〜4をそのまま引用すると矛盾を生じることとなるために、上記の訂正は、独立形式で請求項6を記載すると共に、関連口座に資金を入金処理してから特定口座に入金処理を行なうことを明りようにするものである。
したがって、上記fの訂正は、明りようでない記載の釈明と認められる。
また、上記fの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記gの訂正について、
訂正前の請求項7は、請求項1〜6を引用していたが、請求項5が削除され請求項6が訂正されたことに伴い、請求項1〜4に引用する請求項を特定したものであるから、このgの訂正は、明りょうな記載の釈明と認める。
また、上記gの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記h〜jの訂正について、
上記h〜jの訂正は、請求項8〜10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮と認められる。

上記kの訂正について、
上記kの訂正事項は、特許明細書段落番号9の記載を、上記訂正事項aの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記kの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記lの訂正について、
上記lの訂正事項は、特許明細書段落番号11の記載を、上記訂正事項bの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記lの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記mの訂正について、
上記mの訂正事項は、特許明細書段落番号13の記載を、上記訂正事項c及びdの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記mの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記nの訂正について、
上記nの訂正事項は、特許明細書段落番号15の記載を、上記訂正事項e及びfの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記nの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記oの訂正について、
特許明細書段落番号17の記載を、上記訂正事項f及びhに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記oの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記pの訂正について、
特許明細書段落番号19の記載を、上記訂正事項i及びjに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために訂正したものであるから、上記pの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

上記qの訂正について、
特許明細書段落番号2,7の記載を、明瞭でない記載の釈明のためめに訂正したものであるから、上記qの訂正は、明りような記載の釈明と認める。

また、上記k〜qの訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

上記に示すとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項乃至第4項の規定に適合するものであり、当該訂正を認める。

第四.特許法第36条第4項、第6項第1、2号の規定
当審で平成13年6月28日付けで通知した、特許法第36条第4項、第6項第1、2号の規定違反の取消理由通知は、上記a〜qの訂正により解消したものと認める。

第五.特許異議の申立ての判断
1.本件発明
本件請求項1〜6に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された次のとおりのものと認める。なお、請求項1及び6を下記のとおり構成要件に分節した。
「【請求項1】
A.選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、
B.前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、
C.前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、
D.出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする振込処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の振込処理システムにおいて、前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、 .
前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うことを特徴とする振込処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の振込処理システムにおいて、前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換することを特徴とする振込処理システム。
【請求項4】
請求項2記載の振込処理システムにおいて、前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加することを特徴とする振込処理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の振込処理システムにおいて、前記入金処理手段は、前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。
【請求項6】
E.選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、
F.前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、
G.前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、
H.出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする振込処理システム。」

2.特許異議申立人の提出に係る刊行物と該刊行物に記載された事項
2一1.特許異議申立人の提出に係る刊行物

株式会社第一勧業銀行は、下記の甲各号証を提出している。
(1)甲第1号証:日経コミュニケーション、「特集金融ネットワークを活かす「PART2銀行の思惑を超えるサービス利用実態」1988年5月30日発行、第63頁ないし第75頁(以下、「刊行物1」という。)
(2)甲第2号証:「新金融シリーズ”21世紀の挑戦”CMS戦略」社団法人金融財政事情研究会、昭和58年10月1日発行、第151頁ないし第152頁(以下、「刊行物2」という。)
(3)甲第3号証:「エレクトロニック・バンキングー米国の最新動向と日米比較-」(財)金融情報システムセンター編著、昭和61年1 0月31日発行、第72頁ないし第73頁(以下、「刊行物3」という。)
(4)甲第4号証:-バランスマネジメント-「ハートの残高管理サービス登録票」、株式会社第一勧業銀行 平成3年8月21 日、および「預金元帳」1996年10月31日(以下、「刊行物4」という。)
(5)甲第5号証:特開平10一11633号公報(以下、「刊行物5」という。)
(6)甲第6号証:「お取引店変更についてのご案内」、株式会社第一勧業銀行 平成8年3月11日(以下、「刊行物6」という。)
(7)甲第7号証:「金融情報システム白書」(財)金融情報システムセンター編、財経詳報社 平成5年12月15日発行 第41〜51頁(以下、「刊行物7」という。)

株式会社あさひ銀行は、下記の甲各号証を提出している。
(1)甲第1号証:あさひ銀行が頒布した,「資金集中・配分サービス」のパンフレット(1993年6月30日現在の印刷物)(以下、「刊行物8」という。)
(2)甲第2号証:あさひ銀行が頒布した「資金集中サービス利用依頼書」(平成4年9月の印刷物)(以下、「刊行物9」という。)
(3)甲第3号証:あさひ銀行が頒布した「資金集中サービス依頼書」(平成4年9月の印刷物)(以下、「刊行物10」という。)
(4)甲第4号証:顧客が実際に記入した甲第2号証のお客様控書類(以下、「刊行物11」という。)
(5)甲第5号証:顧客が実際に記入した甲第3号証のお客様控書類(以下、「刊行物12」という。)
(6)甲第6号証:あさひ銀行が使用した「資金集中・配分サービス登録・内容変更依頼書」(平成7年7月の印刷物)(以下、「刊行物13」という。)
(7)甲第7号証:顧客が所有する「当座勘定照合表」(以下、「刊行物14」という。)
(8)甲第8号証:特開平9一259203号公報(以下、「刊行物15」という。)
(9)甲第9号証:「Q&A新しい内国為替実務」第275〜276頁 平成7年10月19日 金融財政事情研究会発行(以下、「刊行物16」という。)
(10)甲第10号証:「金融情報システム白書」第51ページ〜第59ページ平成7年12月7日財経詳報社発行(以下、「刊行物17」という。)
(11)甲第11号証:特開平10-105630号公報(以下、「刊行物18」という。)

株式会社富士銀行は、下記の甲各号証を提出している。
(1)甲第1号証:日経コミュニケーション、1988年5月30日号、第66頁〜第75頁(刊行物1)
(2)甲第2号証:「Q&A新しい内国為替実務」第275〜276頁 平成7年10月19日 金融財政事情研究会発行(刊行物16)
(3)甲第3号証:特開平11-154194号公報(以下、「刊行物19」という。)
(4)甲第4号証:株式会社住友銀行、入金照合サービス<パーフェクト>のパンフレット

2-2.刊行物に記載された事項
特許異議申立人 株式会社第一勧業銀行が提出した刊行物1〜7には次のことが記載されている。
・刊行物1:第68頁第1欄第11行〜同頁第3欄第4行には、消費者がクレジット契約を結ぶと、クレジット会社は、契約者氏名、契約番号、金額を入力してマスターを作成し、振込用紙をプリントアウトして契約者に郵送し、契約者は金融機関に代金を振り込むと共に契約番号も入力し、同姓同名の入金があったり、氏名の入力誤りが生じても、システムではその契約番号照合し、チェックできること。第70頁第1欄第24行〜同頁第2欄第第26行には、花王販社の銀行口座に、取引先である小売店、卸売業者から代金が入金されると、花王販社の各口座から花王本社の口座へと、一定期間を置いて自動振替すること。
・刊行物2:第151頁第12〜18行には、ゼロバランス・サービスとは、企業の支店や営業所の口座にある資金を自動的に本社口座へ振替集中するシステムのこと。
・刊行物3:第72頁第9行〜第73頁第7行には、ゼロバランス・アカウントとは、支店や事業部門の預金口座残高を本社の預金口座へ振り替えるといった資金集中機能と、本社の口座から一定額を支店や事業部門の口座へ振り替えるといった資金配分機能の二つの機能を備えたサービスであること。
・刊行物4:預金元帳には、口座番号「1040092」の振込情報として口座番号「1920104947 イケ」が記帳されていること。
・刊行物5:第2頁段落番号2及び第3頁段落番号16には、金融機関の合併等により、金融機関名称(コード)、支店名称(コード)等が変更になった場合、自動取引装置1は金融機関変更一覧ファイルを検索し、顧客の振込先データがその金融機関変更一覧ファイルに登録されているかどうか調べ、登録されている場合は、振込先の情報を変更すること。
・刊行物6:取引店が変更された場合、変更された取引店に振り込まれたお金を新口座に自動的に入金すること。
・刊行物7:銀行システムの自動取引装置において、振込情報の処理を行なった後、振込先管理ファイルを更新すること。

特許異議申立人 株式会社あさひ銀行が提出した刊行物8〜18には次のことが記載されている。
・刊行物8:支店ネットワークを使って、支社口座から本社口座へ、資金振替を自動的に処理すること。
・刊行物9:資金集中サービス利用依頼書の内容。
・刊行物10:資金集中サービス依頼書の内容。
・刊行物11:資金集中サービス利用依頼書の記載事例。
・刊行物12:資金集中サービス依頼書の記載事例。
・刊行物13:資金集中・配分サービス登録・内容変更依頼書の内容。
・刊行物14:当座勘定照合票の事例。
・刊行物15:一つの口座内において複数の支出項目に対する入出金等の取引が行なわれ、通帳には様々な取引内容の印字が行なわれるという課題を、ある一つの口座について複数の仮想口座を予め仮想的に開設しておき、口座に対する一連の取引結果を、仮想口座毎に分類し、仮想口座に対する取引結果として管理すること。
・刊行物16:2つの銀行が合併した場合に、旧銀行宛の振込は、新銀行宛の振込に読み替えること。
・刊行物17:勘定系システムと情報系システムとが、別個に設けられてしる例が開示されていること。
・刊行物18:複数の子会社に対してそれぞれ講座を設け、親会社の口座に振り替える際に、その子会社の口座の店番と口座番号とにより、振り替え元の子会社の口座を特定できること。

特許異議申立人 株式会社富士銀行銀行が提出した刊行物1、16、19には次のことが記載されている。(刊行物1、16は、既述したので省略)
なお、特許異議申立人は、甲第4号証(パンフレット)を提出し、公然実施を主張しているが、その主張が不明瞭であるから、該甲第4号証は採用しない。
・刊行物19:コンピュータを用いてグループに属する複数企業の資金財務情報を統合管理すると共に、売掛金消し込み精度の向上を図ることを目的とし、グループに属する各企業の入出金処理を行なう単一の預金口座(集中預金口座)と、その内訳としてグループに属する各企業の資金財務情報を管理するデータベースファイル中の仮想的な口座(仮想預金口座)を備えたこと。

3.特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人 株式会社第一勧業銀行は、甲第1〜7号証を提出し、本件請求項1〜10に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである旨主張している。例えば、請求項1に係る発明は、甲第1号証(刊行物1)に記載の発明から当業者が容易に発明できたものである旨主張している。

特許異議申立人 株式会社あさひ銀行は、甲第1〜11号証を提出し、本件請求項1〜10に係る発明は、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである旨主張している。例えば、請求項1に係る発明は、甲第1〜7号証(刊行物8〜14)に記載の発明から当業者が容易に発明できたものである旨主張している。

特許異議申立人 株式会社富士銀行は、甲第1〜11号証を提出し、本件請求項1〜10に係る発明は、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第36条第4項、第6項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定旨主張している。例えば、請求項1に係明は、甲第1号証(刊行物1)に記載の発明から当業者が容易に発明できたものであり、また、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていない旨主張している。

4.本件請求項1に係る発明と各刊行物記載の発明との対比
本件請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)は、「振込による支払人の特定を確実に、しかも振り込み人の過度の負担なく行なうためのシステムを提供すること」(段落番号8)を目的とし、前者の構成によりその目的を達成するものであり、その効果は、「口座番号等により支払人を特定することができるので、支払人に負担を課することなく、確実に支払人を特定することができる。また、振込情報も受取人に対応して一元的に管理することができる。しかも、振り込まれた資金をまとめて管理することができるので資金運営上の利益も大きい。」(段落番号92)というものである。
言い換えれば、前者は、選定された複数の関連□座を支払人ごとに関連付けられている(構成要件A)ので、支払人は、過度の負担なく従来通りに関連口座を用いるだけで振込処理が行え、支払人が資金を振り込んだ口座が関連口座であることを検出して、関連口座を特定口座に対応付ける入金処理手段(構成要件B)を備えていることにより、支払人に負担を課することがないという効果を奏するものであり、また、関連口座への振込情報に対して、関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、振込情報を出力する出力手段(構成要件C)を備えていることにより、上記の口座番号等により支払人を特定することができるので、確実に支払人を特定することができるという効果を奏するものであることは明らかである。
そこで、前者と各刊行物記載の発明とを対比すると、前者の構成要件A、Bに関して、刊行物1には、花王販社の銀行口座に、取引先である小売店、卸売業者から代金が入金されると、花王販社の各口座から、花王本社の口座へと、一定期間を置いて自動振替することが、刊行物8〜14には、顧客が資金集中サービス利用依頼書に顧客の引き落とし口座及び入金口座の口座番号等を記入して、あさひ銀行にに依頼すると、自動振替することが記載されているだけである。しかし、前者は、支払人ごとに複数の関連口座を関連付け、支払人がその関連口座を用いて振込処理ができるシステム(構成要件A)を介して、支払人が資金を振り込んだ口座が関連口座であることを検出して、関連口座を特定口座に対応付ける入金処理手段(構成要件B)を備えるもの、換言すれば、前者は、一般の口座ではなく振込専用口座を用いて資金を振り込んだ場合に、該入金処理手段によりその振り込まれた口座が振込専用口座か否かをチェックし、振込専用口座であると検出されると特定口座に対応付けられることにより入金処理が行なわれるものであるが、刊行物1には前者の構成要件A、Bに関する記載はないし、示唆もされていない。
また、刊行物1、8以外の刊行物2〜20にも構成要件A、Bの記載はないし、示唆もされていない。
そして、前者は、上記した格別の効果を奏するものである。
したがって、本件請求項1に係る発明は、異議申立人が提出した刊行物記載の発明と同一であるとも、該刊行物記載の発明から当業者が容易に発明できたものとも認められない。

5.本件請求項2〜5に係る発明と各刊行物記載の発明との対比
本件請求項2〜5に係る発明は、請求項1を引用する発明であって、上記構成要件A、Bを構成としているものであるから、上記した判断と同様に、本件請求項2〜5に係る発明は、異議申立人が提出した刊行物記載の発明と同一であるとも、該刊行物記載の発明から当業者が容易に発明できたものとも認められない。

6.本件請求項6に係る発明と各刊行物記載の発明との対比
本件請求項6に係る発明の構成要件E、Fに関して、上記したように、構成要件E、Fは、「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理,を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段」である。
ところで、刊行物1、刊行物8〜14のいづれにも上記構成要件E、Fに関する記載はないし、示唆もされていない。
また、刊行物1、8以外の刊行物2〜20にも構成要件E、Fの記載はないし、示唆もされていない。
そして、前者は、上記した格別の効果を奏するものである。
したがって、本件請求項6に係る発明は、異議申立人が提出した刊行物記載の発明と同一であるとも、該刊行物記載の発明から当業者が容易に発明できたものとも認められない。

また、特許異議申立人 株式会社富士銀行は、「本件請求項1〜10の記載では、関連口座が振込専用口座である旨の限定がなされていないから、一般の講座を用いて振込処理を行なうシステムも含まれている。しかしながら、特許明細書には振込専用以外の一般口座を用いて振込処理を行なうシステムは開示されていない。また一般の口座であれば、関連口座には振込による入金の他、通常の預金者による入金が存在することから、関連口座に振り込まれた資金のみを判別する手段が必要になるところ、請求項1〜10に記載の発明にはこのような手段が設けられておらず、また明細書にも何ら記載されていない等の理由から特許法第36条第4項、第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたことから特許は取り消されるべきである」旨主張している。.
しかしながら、上述したように平成13年9月7日付け訂正請求書の訂正により、上記の記載不備の点は解消されているので上記主張は採用しない。

7.むすび
したがって、特許異議申立人の理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
振込処理システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、
前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、
前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、
出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段と
を備えることを特徴とする振込処理システム。
【請求項2】 請求項1記載の振込処理システムにおいて、
前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、
前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、
前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うことを特徴とする振込処理システム。
【請求項3】 請求項2記載の振込処理システムにおいて、前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換することを特徴とする振込処理システム。
【請求項4】 請求項2記載の振込処理システムにおいて、前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加することを特徴とする振込処理システム。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の振込処理システムにおいて、前記入金処理手段は、前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。
【請求項6】 選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、
前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、
前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、
出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段と
を備えることを特徴とする振込処理システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀行におけるATM(自動窓口機)等からの振込に対する処理であり、特に、支払人を特定することができる振込処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に、現在のコンピュータを用いた銀行システムが示されている。コンピュータ・センタ110のコンピュータ・システム112は、各支店等に設置されている営業店システム120,顧客側のシステム130,外部の金融機関等のセンタ140,および、SWIFTリージョナル・センタ等と通信制御装置114を介して接続されている。そして、銀行の一元的な元帳等の処理を行っている。
【0003】
このように相互に接続された金融システムが一般的である現在においては、図1に示されているような銀行システムを用いて、商取引等の支払いを取引相手の銀行口座に振り込むことで行うことは、広く行われている。
【0004】
特に、ATM等の端末の普及により、これらの機械を用いた振込による支払いが行われている。この場合、ある会社に対して大勢の振込を行う支払人が存在する場合は、振込を行った支払人を特定することは容易ではない。
【0005】
例えば、ATMからキャッシュカードを用いて振込を行うとき、口座の名義人と支払い義務者とが同一でない場合は、改めて名前を入力する必要がある。この入力を怠ると、請求先と支払人とが食い違う場合も生じる。
【0006】
また現在、わが国においては、銀行間の振込における振込人名はカナで表示されることになっている。したがって、姓名をもって特定するときは、同姓同名が多数存在して特定することができないことがある。
【0007】
また、支払人コード等を付与して、そのコードを常に入力してもらうようにしていることもある。しかし、この支払人コード等の付与を支払人が忘れたり、そのコードを間違えたりすることがあり、正しいコード入力を顧客全員に対して徹底することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、振込による支払人の特定を確実に、しかも振込人の過度の負担なく行うためのシステムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明においては、振り込まれた口座の関連情報や口座を特定する番号により、振込による支払人を特定することができるので、振込人に負担なく、確実に支払人を特定することができる。
【0011】
前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うこともできる。
【0012】
この構成では、振込が行われるごとに振り込まれた資金を特定口座へ入金することができる。
【0013】
前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換することや、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加すること等を用いることで実現することができる。
【0014】
また、関連口座への入金処理を行わずに、前記特定口座への入金処理を行うことができる。関連口座に対して入金処理を行う必要がないので、その分のコンピュータ処理の負荷が少なく、また、関連口座に対応する情報を蓄積する必要がないので、用意すべきディスク容量が少なくてすむ。
【0015】
【0016】
これらの振込処理システムにおいて、バッチ処理により、少なくとも前記特定の口座番号の口座への入金処理をまとめて行うことで、コンピュータの負荷の軽減を図ることもできる。
【0017】
また、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、関連口座への振込を通常の口座への振込として処理することができる。
【0019】
【0020】
振込処理システムを上述の構成とすることで、複数の関連口座を有している企業への振込情報を集約するとともに、関連口座を特定する番号やそれに関連する情報により、振込による支払人を特定することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、いろいろな実施形態で実現できるが、まず、本発明の特徴的な構成を詳しく説明する。
【0022】
この発明は、振込による支払人の特定を、支払人と関連付けた口座を特定する番号により行うようにしている。このため、この発明においては、
(1)支払人と関連付けた複数の口座を用意する。
【0023】
(2)この口座に振込入金された資金を、受取人の取りまとめを行う口座に入金する。
【0024】
(3)口座ごとの振込情報を取りまとめ口座の振込情報として集中する。
【0025】
(4)取りまとめ口座の振込情報として集中する際に、支払人と関連付けた口座を特定する番号等も振込情報の一部に含める。
【0026】
このように、振込を処理することにより、振り込まれた口座を特定する番号等により支払人を特定することができるばかりでなく、受取人の特定口座に資金を集中できるので、資金運営を一括で行うことができる。また、振込情報も集中されているので、誰が何時振り込んだ等の支払情報も一元的に管理することができる。
【0027】
上述の本発明を具体的にどのように実施しているかを、以下の実施形態ごとに、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の実施形態は、すべて図1に示されているような銀行システムで処理されている。本実施形態において、関連口座は、振込専用口座、被振込口座及び指定口座を指し、特定口座は、取りまとめを行う口座、正当口座及び取りまとめ口座を指す。
【0028】
(実施形態1)図2〜図4を用いて、本発明の実施形態の例を説明する。
【0029】
銀行の支店Aに口座(口座番号1234567)を有する企業Xに対して、振込する予定の人数に合わせて、口座番号(例えば、2000001〜2099999)をこの企業Xの振込専用口座として設定する。企業Xに対して、この口座番号を通知する。この企業Xに対して設定した振込専用の口座番号は、一般の口座開設には使用しない。
【0030】
通知を受けた企業Xは、通知を受けた振込専用の口座番号を、振込予定者(例えば、振込人A〜振込人Z)に対して、それぞれ適当に割り当てる。そして、これを振込予定者に対して通知する。この通知は、請求書等に振込口座として記載することで通知すればよい。
【0031】
振込人は、銀行の支店Aの自分に割り当てられた口座に、例えば、図1のおなじ銀行の他の支店にあるATM端末122や、他の提携している金融機関のATM端末等から振り込む。この口座は、請求書等で通知を受けた口座番号である。
【0032】
この振込には、上述のATM端末からばかりでなく、磁気テープ、図1のパソコン等によるエレクトロニック・バンキング(EB)やテレフォン・バンキング等いろいろな振込方がある。
【0033】
さて、このようにして振り込まれたときの企業Xの口座がある銀行のコンピュータ・センタ110のコンピュータ・システム112における入金処理を、図3のフローチャートおよび図4を用いて説明する。
【0034】
図3は、入金処理の本実施形態の関係ある部分の処理を示している。図3の振込入金処理において、まず、振り込まれた口座の口座番号が振込専用口座の口座番号であるかを、テーブル検索で調べる(S302)。ここで用いているテーブルの例を図4に示している。
【0035】
図4(a)に示されているように、上述のテーブル検索で用いているテーブルは、振込専用口座の口座番号と、取りまとめを行う口座(正当口座)の口座番号との対照表である。
【0036】
さて、テーブル検索の結果、振込専用の口座ではない場合(S302でNO)は、通常の元帳入金処理を行う(S308)。振込専用口座の口座番号であるときは、図4のテーブルに示されているオプションにしたがって、被振込口座番号または被振込口座に関連する情報を、入金明細の所定の箇所に付加する(S304)。
【0037】
このときのオプションとしては、例えば、オプション番号001は被振込口座番号を入力されている振込人の名称の頭につける、オプション番号002は被振込口座番号を入力されている振込人の名称のあとにつける、オプション番号003は被振込口座番号を振込依頼人コードにセットする等がある。
【0038】
また、オプションを指定することにより、さらに、例えば、図4(b)に示した被振込口座番号とそれに関連する情報のテーブルを用いることにより、この振り込まれた口座に関連する情報(例えば、顧客番号等)を得て、これを付加したり、これを被振込口座番号の代わりに所定箇所に付加することもできる。
【0039】
被振込口座番号は、図4の対照表による正当口座番号に変えられる(S306)。そして、通常の元帳入金処理が行われ(S308)、変えられた正当口座番号の口座に対して処理が行われる。
【0040】
この後に、入金された企業に対して、還元帳表(S314)や、EBサービスにおいては磁気テープ等の電子情報(S312)で、振込通知を行う。このとき、上記の処理において、支払人ごとの振込専用の口座番号またはその関連する情報が振込入金明細の所定箇所に付与されて通知される。したがって、振込専用口座を設定した企業Xでは、支払人をこの振込に使用した口座番号等により特定することができる。
【0041】
これら一連の処理の関連を、図5を用いて詳しく説明する。まず、X社では、取引先であるAおよびBに対して振込先の口座として、別々の振込専用口座番号(2000001および2000002)を請求書に記載することで通知する。
【0042】
通知を受けたAおよびBは、請求された金額をATMを用いて、Xが通知したそれぞれの口座番号の口座に対して振り込む。図5では、支払人Aは請求額30000円に対して振込手数料を差し引いた29700円のみを自行の支店から振り込んでいる。また、支払人Bは、Bの妻である振込人B’が他行のATMを用いて振り込んでいる。
【0043】
さて、このように振り込まれたA,Bそれぞれの入金は、図3に示した処理をセンタ内で行い、口座番号を読み換えてX社の取りまとめを行う正当口座に対して入金処理を行う。X社の取りまとめを行う正当口座に対する入金明細には、振り込まれた口座番号が備考欄に付加されている。X社では、EBで電子情報として送られた入金明細を用いて、この入金明細に付加された口座番号を用いて支払人を特定して、請求明細との突き合せを行うことができる。
【0044】
このように、振込専用の口座番号を各支払人に割り当てることにより、支払人の負担を増加することなく、支払人を確実に特定することができる。
【0045】
なお、上述の処理において、振込専用の口座番号として割り当てる口座番号として連番の例を示したが、必ずしも連番である必要はない。例えば、検証数値を用いることにより、使用する口座番号を限定することもできる。また、振込専用の口座番号を検出する処理をテーブル検索で行っているが、他の検出処理を用いてもよい。
【0046】
上記の処理では、振込専用口座番号を取りまとめを行う正当口座番号に読み換え処理を行っているが、別の実施形態もある。
【0047】
(実施形態2)この実施形態2では、親の口座番号と枝の口座番号との階層構造の口座番号を処理することができるシステムを前提としている。このシステムでは、通常は口座を親の口座番号で代表して処理することができるシステムである。枝の口座番号は、各支払人に割り当てて、振込専用口座として入金処理に用いる。これを図6〜図8を用いて詳しく説明する。
【0048】
図6において、銀行のA支店に親の口座番号1234567を有する企業Xに対して、枝番号である2000001〜2099999を振込専用口座として割り当てる。この枝番号である口座番号を企業Xに通知する。
【0049】
企業Xは、通知された企業Xにおける枝番号たる口座番号を、それぞれの振込人A〜Zに通知する。この通知は、請求書等に振込先として記載することで通知することができる。
【0050】
さて、図1に示されているように、現在の銀行システムは、他のシステムとのネットワーク構成となっている。この様な銀行間のネットワーク・システム(例えば、図1の全銀システム)においては、口座番号として送ることができる桁数が、通常7桁と規定されている。このため、送ることができる口座番号としては、枝番号のみしか送ることができない。このため、振込人には、振込のための口座番号としては、枝番号のみを通知している。
【0051】
振込人は、この請求書等において振込先として指定された枝番号を用いて、企業Xに対してATM等を用いて振込を行う。
【0052】
企業Xの口座がある銀行のセンタで行われる振込入金処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。図7において、まず、振込に使用した口座番号が親番号を有する枝番号であるかを調べる。これは、例えば、図8に示したような枝番号と親番号との対照表であるテーブルを用いて、テーブル検索で行うことができる(S702)。これで、枝番号ではないことが判明する(S702でNO)と、振込に使用した口座番号を親番号として元帳入金処理(S708)を行う。枝番号である場合(S702でYES)には、対応する親番号を付加する。そして、図8に示されているテーブルのオプションにしたがって、枝番号の表示に関する処理を行う。
【0053】
このときのオプションとしては、例えば、オプション番号001は入力された振込人の名称の頭につける、オプション番号002は入力された振込人の名称のあとにつける、オプション番号003は振込依頼人コードにセットする等がある。
【0054】
また、オプションを指定することにより、さらに、例えば、図8(b)に示した被振込口座番号とそれに関連する情報のテーブルを用いることにより、この振り込まれた口座に関連する情報(例えば、顧客番号等)を得て、これを入金明細の所定箇所に付加することもできる。
【0055】
さて次に、付加された親口座番号と枝番号を用いて元帳入金処理(S708)を行う。入金口座は、親の口座番号と枝番号の階層構造になっており、枝番号を用いた振込により入金されたものは、親の口座番号のそれぞれの枝番号の口座に振り込まれる。この枝番号は支払人対応となっているので、支払人は枝番号の口座等をみれば特定することができる。このため、エレクトロニック・バンキングのサービスにより、電子情報として企業Xに振込情報を渡す場合(S712)でも、還元帳表として渡す場合(S714)でも、枝番号ごとに表示されているので、支払人を特定することができる。
【0056】
なお、上述の処理において、枝番号として割り当てる番号を連番として説明したが、必ずしも連番である必要はない。例えば、検証数値を用いることにより、使用する口座番号を限定することもできる。また、枝番号を検出する処理をテーブル検索で行っているが、他の検出処理を用いてもよい。
【0057】
上述は、銀行間の通信において、口座番号として7桁のみ送ることができる場合で説明した。銀行間等の通信において、口座番号として親番号+枝番号以上の桁数を送ることができるときは、口座番号として、親番号+枝番号を送ることが可能である。この場合は、上述のようにテーブル等により枝番号を検出して親番号を付加する必要はない。階層構造の番号であるかを検出した後、階層構造の処理を行う必要がある。このような場合は、枝番がつくと桁数が増える場合は桁数により、または、親番-枝番の構成を示すもの(たとえば、ハイフン等)等により、親番号+枝番号の階層構造を有する口座番号が送られてきたことが検出できる。その後の処理は、階層的な番号構造にしたがって、親番号の口座等に対して入出金処理が行われる。
【0058】
このように、階層的な口座構成を用いて取りまとめを行う口座に、資金や情報を集中することができる。
【0059】
(実施形態3)上述の実施形態1および2において、正当口座や親口座への入金をリアルタイムで行っているが、振込情報を一時ファイルに格納しておき、バッチ処理で正当口座や親口座への入金処理を行うことができる。この様に処理することにより、コンピュータ処理の負荷を軽減することができる。
【0060】
このバッチ処理について、上述の実施形態1に適用した場合を図9を用いて説明する。振込入金処理において、図3の処理(S302)と同様に、まず振り込まれた口座の口座番号が振込専用口座の口座番号であるかをテーブル検索で調べる(S902)。振込専用の口座ではない場合(S902でNO)は通常の振込入金処理を行う。振込専用の口座である場合(S902でYES)は、振込情報を一時ファイルへ書き込む(S904)。これ以後の処理は、一時ファイルに書き込まれた振込情報を用いて、バッチ処理を行う。
【0061】
バッチ処理における一時ファイルから振込情報を読み出した(S906)後の処理(S908〜S918)は、図3のS304〜S314の処理と同様であるので説明を省略する。
【0062】
このようにバッチ処理を行うことにより、正当口座への入金処理を例えば1日の業務が終了した時点、または、1日に何回かに分けて行うことができる。
【0063】
このバッチ処理は、上述の実施形態2においても同様に適用することができる。
【0064】
このように、振込が行われる毎に入金処理を行うのではなく、例えば1日に1回または何回かにまとめて入金処理ができるので、コンピュータの負荷を軽減することができる。
【0065】
(実施形態4)上述の実施形態1〜3の処理においては、被振込口座(振込専用口座)には入金処理は行われていない。しかし、被振込口座への入金処理を行った後に取りまとめを行う口座へ入金処理を行ってもよい。この場合は、被振込口座から取りまとめを行う口座への振替処理となるが、被振込口座への当初の振込人名と被振込口座番号を振り替えた口座の入金明細に付与する。
【0066】
この処理を図10を用いて詳しく説明する。振り込み処理が行われるときに、通常の振込の口座番号の口座への入金処理を行う(S1012)。この口座に対して元帳に取りまとめを行う口座への転送が指定されていた場合には、元帳入金処理の後に、出金処理を行い(S1018)、当初の振込人名と被振込口座番号を入金明細に付加して(S1020)、取りまとめを行う口座への入金処理を行う(S1022)。
【0067】
なお、この上述の取りまとめを行う口座への転送処理以降の処理(S1014以降)は、バッチ処理で行うことができる。例えば1日に1回または何回かにまとめて正当口座に振替処理を行うようにすることで、コンピュータに対する処理負荷を軽減することができる。
【0068】
また、これらの処理は、上述の実施形態2の枝番口座の処理にも適用することができる。
【0069】
また、被振込口座番号を例えばテーブルを用いて被振込口座の関連情報に変換してこれを付加することもできる。
【0070】
上述の実施形態における取りまとめを行う処理は、振込が発生するごとに何らかの処理が行われている。しかしながら、必ずしも振込が発生するごとに、取りまとめを行う何らかの処理を行う必要はない。このような処理について以下に説明する。
【0071】
以下に説明する実施形態の処理は、複数の口座が支払人対応に設けられており、この口座には入金処理を行うことができることが前提である。したがって、支払人対応に設けられている口座に対する振込の処理は通常の振り込み処理である。その後に、受取人の取りまとめのための口座に、各口座の資金が集められるとともに、振込情報の一元化も行われる。
【0072】
(実施形態5)図11のフローチャートを用いて実施形態5の処理を説明する。前提として、取りまとめを行う口座を指定している口座(指定口座)を、支払人対応に用意している。この口座には、通常どおりに振り込み入金処理が行われる。この振込情報もこの指定口座に蓄積されている。
【0073】
このような前提において、振り込みにより入金された資金と振込情報を如何にして、受取人の取りまとめのための口座にまとめているかを図11のフローチャートで説明する。図11の処理は受取人の取りまとめ口座を特定して行われる。
【0074】
図11において、受取人の取りまとめ口座に対応する指定口座から、1つの振込入金明細を読み出して出金処理を行う(S1102)。この取りまとめ口座に対応する指定口座は、例えば、取りまとめ口座ごとに予めリストとして提供されており、このリストの順に順次処理される。指定口座に対応する取りまとめ口座に読み出した振込の入金処理を行い、指定口座から取りまとめ口座への振替処理と同様の処理を行う(S1104)。このときに、指定口座の口座番号(被振込番号)とともに、指定口座に対する振込情報もあわせて取りまとめ口座に対して転送する。この処理をこの指定口座への振込ごとにすべて行う(S1106)。処理対象である指定口座すべて(例えば、リスト中の口座)に対してこの処理を行う(S1108,S1110)と、取りまとめ口座には、振り込れた資金と振込情報とが集約される。このような処理を各取りまとめ口座ごとに指定された起動条件(例えば、毎定時ごと、一日一回振込受付時刻終了後等)に行う。
【0075】
このように、処理することにより、通常の口座を支払人対応に用意することにより、振り込まれた資金と振込情報とを受取人の取りまとめ口座で一元管理することができる。
【0076】
(実施形態6)図12、図13および図14を用いて説明する実施形態6においては、資金の集約と振込情報の集約とを別々に行う処理について説明している。この場合も実施形態5と同様に、支払人対応の口座は通常の振込入金ができる口座である。
【0077】
この実施形態6の処理の前提として、この処理に使用している元帳ファイル(口座情報のファイル)のファイル構成について、図12を用いてまず説明する。
【0078】
図12において、元帳ファイルは、2つのファイルで構成されている。1つは、狭義の元帳ファイルであり、通常の勘定元帳で資金の移動はこのファイルに対して処理を行う必要がある。もう1つのファイルは連絡用DBファイルで、振込入金明細等の情報のみが蓄積されているファイルである。例えば、入金明細の問い合わせがあった場合、この連絡用DBファイルに対して問い合わせを行う。またエレクトロバンキング(EB)の処理もこのファイルから情報を得て行うことができる。
【0079】
このような図12のファイル構成を前提に、まず、図13に示されている実施形態6の取りまとめの処理を説明する。
【0080】
図13における処理では、指定口座から取りまとめ口座への資金の移動は、図示していない別の、例えばキャッシュ・トランスファ・サービスとして知られている口座間の処理で行うことができる。この処理は、例えば指定口座ごとに指定された条件(資金の移動を一定額、残高一定額、全額等とする条件や、一日一回資金移動する等の動作条件等)で行っている。図13に示した処理は、振込情報の集約のための処理である。
【0081】
図13において、この指定口座の振込情報をすべて読み出して(S1302)、指定口座番号を摘要情報としてセットしてから(S1304)、連絡用DBの受取人の取りまとめ口座に対して格納する(S1306)。このような処理をすべての取りまとめ口座に対応する指定口座に対して行う(S1308,S1310)。
【0082】
図13の処理は、各取りまとめ口座ごとに指定された起動条件(例えば、毎定時ごと、一日一回振込受付時刻終了後等)で行う。
【0083】
図13の処理終了後に、取りまとめ口座に、振込情報に関する問い合わせを行うと、連絡用DBからの情報により、回答を作成して問い合わせに答えるので、この連絡用DBによる振込に対する回答は、支払人別の被振込口座番号(指定口座番号)を付加した形式で得られる。
【0084】
このように、資金の移動の処理と振込情報に対する処理とを別々に処理することもできる。
【0085】
この図13で示した処理において、各取りまとめ口座ごとに集約された振込情報を用いて行う連絡用DBの更新処理を、一時ファイルを用いたバッチ処理でまとめて行うこともできる。これが図14に示した処理である。
【0086】
図14において、まず、図13と同様の処理で、取りまとめのための口座ごとに対応した指定口座の振込情報を一時ファイルに集める(S1402〜S1410)。この処理は、図13の処理と同様であるので説明を省略する。
【0087】
読み出された取りまとめの口座ごとの振込情報は、各指定口座の口座番号とともに、一時ファイルに格納されている。その後に、連絡用DBの更新処理を一時ファイルに蓄積された情報を用いて行う(S1412,S1414)。
【0088】
さて、上述の実施形態5および6の処理において、付加する情報として、口座番号としているが、上述の実施形態1〜4と同様に口座関連情報でもよい。
【0089】
なお、上述の実施形態1〜6では、関連口座と取りまとめの口座とを同一の支店に設けており、口座番号のみで口座を特定できるとして説明している。しかし、必ずしも関連口座と取りまとめの口座とを同一支店に設ける必要はなく、別々の支店に設けてもよい。この場合は、口座を特定する番号としては、口座番号だけでなく支店番号も必要となる。
【0090】
また、関連口座と支払人とを1対1に対応させる必要はなく、複数の口座を同一支払人に対応づけてもよい。このように対応付けを行うと、支払人の支払い目的ごとに振込情報を集約することができる。
【0091】
支払人が極めて多数存在する場合、支払人を複数のグループに分け、関連口座とそのグループとを1対1に対応させてもよい。このように対応付けを行うと、支払人を特定する機能は低下するが、用意すべき口座数は少なくてすむ。
【0092】
【発明の効果】
上記の説明のように、本発明においては、口座番号等により支払人を特定することができるので、支払人に負担を課することなく、確実に支払人を特定することができる。また、振込情報も受取人に対応して一元的に管理することができる。しかも、振り込まれた資金をまとめて管理することができるので資金運営上の利益も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
現行の銀行システムの構成を示すブロック図である。
【図2】
振込専用の口座番号を通知することを示す図である。
【図3】
センタにおける振込処理を示すフローチャートである。
【図4】
振込処理で用いるテーブルの構成を示す図である。
【図5】
一連の処理の関係を説明する図である。
【図6】
実施形態2を説明する図である。
【図7】
実施形態2の振込処理を示すフローチャートである。
【図8】
実施形態2の振込処理で用いるテーブルの構成を示す図である。
【図9】
実施形態3の振込処理を示すフローチャートである。
【図10】
実施形態4の振込処理を示すフローチャートである。
【図11】
実施形態5の振込処理を示すフローチャートである。
【図12】
実施形態6の振込処理に用いている口座元帳のファイル構造を示す図である。
【図13】
実施形態6の振込処理を示すフローチャートである。
【図14】
実施形態6の別の振込処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
110 コンピュータ・センタ
112 コンピュータ・システム
114 通信制御装置
116 フロントエンド・プロセッサ
120 営業店システム
122 CDやATM
124 窓口の端末(預金、貸出)
126 窓口の端末(為替等)
130 顧客側システム
131 顧客のコンピュータ・センタ
132 電話133 テレックス
134 ファクシミリ
135 パソコン
140 外部センタ
141 クレジット会社のセンタ
142,143 他の金融機関とのCD・ATM利用センタ
144 全銀センタ
146 情報サービス・センタ
150 公衆回線網
160 SWIFTリージョナル・センタ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
a.本件特許請求の範囲の請求項1に「銀行システムにおける、支払人と関連づけられた複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記複数の関連口座に振り込まれた資金を、取りまとめるための特定口座に入金処理を行う手段と、前記関連口座への振込情報を、支払人と関連付けられた関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、出力する出力手段と、」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、
前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、」と訂正する。
b.本件特許請求の範囲の請求項2に「前記資金の入金処理を行う手段は、振り込まれた口座が支払人と関連づけられた関連口座であるかを検出する手段と前記関連口座であるときは、前記特定口座との対応付けを行う手段と、前記特定口座に入金処理を行う手段とを備えること」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うこと」と訂正する。
c.特許明細書中特許請求の範囲において、請求項3に「特定口座との対応付けを行う前記手段は、前記関連口座の番号を特定口座の番号と置換すること」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換すること」と訂正する。
d.本件特許請求の範囲の請求項4に「特定口座と対応付けを行う前記手段は、前記関連口座の親口座番号を付加すること」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加すること」と訂正する。
e.本件特許請求の範囲の請求項5に「請求項1〜4いずれか記載の振込処理システムにおいて、関連口座への入金処理を行わずに、前記特定口座への入金処理を行うことを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。
f.本件特許請求の範囲の請求項6に「請求項1〜4いずれか記載の振込処理システムにおいて、関連口座への入金処理を行った後、前記特定口座への入金処理を行うこと」とあるのを、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、「選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段と を備えること」と訂正する。
g.本件特許請求の範囲の請求項7に「請求項1〜6いずれか記載の振込処理システムにおいて、少なくとも前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項5「請求項1〜4のいずれかに記載の振込処理システムにおいて、前記入金処理手段は、前記特定口座への入金処理をまとめて行うことを特徴とする振込処理システム。」と訂正する。
h.本件特許請求の範囲の請求項8に「請求項1記載の振込処理システムにおいて、前記資金の入金処理を行う手段は、関連口座に対する振込入金処理を終了した後に、別の処理として実行することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。
i.本件特許請求の範囲の請求項9に「請求項8記載の振込処理システムにおいて、前記振込情報を特定口座の振込情報として格納する手段は、情報の管理のみを行うファイルに対して格納することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。
j.本件特許請求の範囲の請求項10に「請求項9記載の振込処理システムにおいて、前記各特定口座への振込情報の集約処理を行った後、集約された振込情報で前記ファイルを更新することを特徴とする振込処理システム。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として全文を削除する。
k.特許明細書段落番号【0009】の記載を、上記訂正事項aに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「上記目的を達成するために、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人が資金を振り込んだ口座が前記関連口座であることを検出し、前記関連口座を前記特定口座に対応付けることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。
l.特許明細書段落番号【0011】の記載を、上記訂正事項bに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、
「前記入金処理手段は、前記振込処理システムを介して資金が振り込まれた口座が、支払人と関連付けられた関連口座であるか否かを検出する検出手段と、前記資金が振り込まれた口座が前記関連口座であると検出された場合に、前記関連口座を前記特定口座に対応付けを行う対応付け手段とを備えることにより、前記関連口座に振り込まれた資金を前記特定口座に入金処理を行うこともできる。」と訂正する。
m.特許明細書段落番号【0013】の記載を、上記訂正事項c及びdに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「前記対応付け手段は、前記関連口座の口座番号を該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号に置換することや、前記関連口座の口座番号に該関連口座に関連付けられた特定口座の口座番号を付加すること等を用いることで実現することができる。」と訂正する。
n.特許明細書段落番号【0015】の記載を、上記訂正事項e及びfに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、全文を削除する。
o.特許明細書段落番号【0017】の記載を、上記訂正事項f及びhに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、「また、本発明は、選定された複数の関連口座を支払人ごとに関連付けることにより該支払人が前記複数の関連口座を用いて振込を行う振込処理システムであって、前記振込処理システムを介して前記複数の関連口座に振り込まれた資金を取りまとめるための特定口座に入金処理を行うために、支払人から振り込まれた資金を入金処理した口座の元帳に特定口座への転送指定があることにより、前記特定口座に入金処理を行う入金処理手段と、前記関連口座への振込情報に対して、前記関連口座の口座関連情報および/または前記関連口座を特定する番号を付加して、前記振込情報を出力する出力手段と、出力された前記振込情報を前記特定口座の振込情報として格納する格納手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。
p.特許明細書段落番号【0019】の記載を、上記訂正事項i及びiに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、全文を削除する。
q.特許明細書段落番号【0027】の記載を、明瞭でない記載の釈明のため、「上述の本発明を具体的にどのように実施しているかを、以下の実施形態ごとに、図面を参照して詳細に説明する。なお.本発明の実施形態は、すべて図1に示されているような銀行システムで処理されている。本実施形態において、関連口座は、振込専用口座、被振込口座及び指定口座を指し、特定口座は、取りまとめを行う口座、正当口座及び取りまとめ口座を指す。」と訂正する。
異議決定日 2001-11-20 
出願番号 特願平10-284481
審決分類 P 1 651・ 537- YA (G06F)
P 1 651・ 536- YA (G06F)
P 1 651・ 121- YA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平井 誠伊藤 健太郎  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 斎藤 操
岡 千代子
登録日 2000-02-04 
登録番号 特許第3029421号(P3029421)
権利者 株式会社三井住友銀行
発明の名称 振込処理システム  
代理人 野河 信久  
代理人 阿部 和夫  
代理人 谷 義一  
代理人 阿部 和夫  
代理人 大塚 住江  
代理人 小林 泰  
代理人 社本 一夫  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 橘谷 英俊  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 谷 義一  
代理人 関根 毅  
代理人 加古 進  
代理人 加古 進  
代理人 橋本 傳一  
代理人 橋本 傳一  

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