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審決分類 審判 全部申し立て 5項3号及び6項 請求の範囲の記載形式不備  C03C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C03C
審判 全部申し立て 2項進歩性  C03C
審判 全部申し立て 特39条先願  C03C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C03C
管理番号 1056640
異議申立番号 異議2000-73228  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-07-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-21 
確定日 2002-01-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3011703号「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3011703号の訂正後の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3011703号は、特願平10-62192号、特願平10-271085号及び特願平10-293566号の各出願を基礎出願とし、平成10年11月12日に特願平10-321759号として出願(最先の優先日:平成10年2月26日日本)され、平成11年12月10日にその特許権の設定登録がなされたものである。
これに対し、平成12年8月21日にホーヤ株式会社から特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内の平成13年1月25日に訂正請求書及び特許異議意見書が提出され、平成13年2月16日に特許異議申立人に審尋書が通知され、特許異議申立人から回答書は提出されなかったが、新たな取消理由が発見されたので、平成13年11月16日付けで取消理由が通知され、平成13年1月25日付け訂正請求書が取り下げられ、平成13年11月27日付け訂正請求書が提出されたものである。
2.訂正の適否の判断
(1)訂正の内容
訂正事項a:請求項1の「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、」と「ヤング率」の間に「その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、」を挿入する。
訂正事項b:請求項1の「Al2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲に」と「あること」との間に「あり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲で」を挿入する。
訂正事項c:請求項3を削除する。
訂正事項d:請求項4を請求項3に繰上げ、「請求項1〜3のいずれか」を「請求項1または2」と訂正する。
訂正事項e:請求項5を削除する。また請求項6を請求項4に繰上げ、「請求項1〜5」を「請求項1〜3」と訂正する。
訂正事項f:請求項7を請求項5に繰上げ、「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」と訂正する。「請求項1〜6」を「請求項1〜4」と訂正する。
訂正事項g:請求項8を請求項6に繰上げ、「溶融、」を「約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、」に訂正し、「熱処理することにより得られ」と「ことを特徴とする」の間に「る」を挿入する。「請求項7」を「請求項5」と訂正する。
訂正事項h:請求項9を請求項7に繰上げ、「請求項1〜8」を「請求項1〜5」と訂正する。
訂正事項i:明細書段落【0008】第9行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。また、明細書段落【0009】第1〜2行の「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、」と「ヤング率」の間に「その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、」を挿入する。
訂正事項j:明細書段落【0009】第2〜3行の「Al2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲で」と「あること」の間に「あり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲で」を挿入する。
訂正事項k:明細書段落【0009】第6行〜12行の「請求項3に記載の発明は・・・であり、」を削除し、第12行の「請求項4」を「請求項3」に訂正し、第13行〜第14行の「請求項1〜3のいずれか」を「請求項1または2」と訂正する。
訂正事項l:明細書段落【0009】第15行〜第18行の「請求項5に記載の発明は、・・・基板であり、」を削除する。
訂正事項m:明細書段落【0009】第18行の「請求項6」を「請求項4」に訂正し、第20行〜第21行の「請求項1〜5」を「請求項1〜3」と訂正する。
訂正事項n:明細書段落【0009】第22行の「請求項7」を「請求項5」に訂正し、第40行〜第42行の「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」に訂正し、第43行の「請求項1〜6」を「請求項1〜4」と訂正し、第44行の「請求項8」を「請求項6」と訂正する。
訂正事項o:明細書段落【0009】第46行の「溶融、」を「約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、」に訂正し、第47〜48行の「熱処理することにより得られ」と「ことを特徴とする」の間に「る」を挿入し、第48行の「請求項7」を「請求項5」に訂正し、第49行〜第50行の「請求項9」を「請求項7」に、「請求項1〜8」を「請求項1〜5」と訂正する。
訂正事項p:明細書段落【0013】第2行〜第4行の「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」に訂正し、第8行〜第10行の「エンスタタイト」を削除し、「またこれら4結晶相とこれら4結晶相」の「4」を「3」と訂正する。
訂正事項q:明細書段落【0017】第3行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。
訂正事項r:明細書段落【0018】第2行〜第3行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。
訂正事項s:明細書段落【0030】の[表1]の実施例2および3を削除する。
訂正事項t:明細書段落【0032】の[表3]の実施例8及び9を削除する。
訂正事項u:明細書段落【0033】の[表4]の実施例10を削除する。
訂正事項v:明細書段落【0034】の[表5]の実施例14を削除する。
訂正事項w:表2〜表6の実施例4、5、6、、7、11、12、13、15、16、17の番号を繰り上げそれぞれ実施例2、3、4、5、6、7、8、9、10、11とする。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a及びbは、請求項1を主結晶相及び熱膨張係数により限定するものであり、訂正事項cは、請求項3を削除するものであり、訂正事項dは、この削除により請求項の番号を繰り上げるものである。
訂正事項eは、請求項5を削除するものであり、訂正事項fは、請求項の番号を繰り上げるとともに、主結晶相から「エンスタタイトおよびエンスタタイト固溶体」を削除するものである。
訂正事項gは、請求項の番号を繰り上げるとともに、請求項8を「ガラス原料を1350℃〜1490℃の温度で溶融」する等で限定するものであり、訂正事項h乃至rは、特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明や誤記の訂正である。
訂正事項s〜wは、実施例の削除やそれに伴って実施例番号を整理するものである。
以上のとおり、訂正事項a乃至wは、特許請求の範囲の減縮、減縮に伴う明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正に該当するものであり、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについての判断
(1)特許異議申立ての概要
特許異議申立人ホーヤ株式会社は、証拠方法として、甲第1号証(米国特許第5491116号明細書)、甲第2号証(実験成績証明書その1)、甲第3号証の1(特開平10-1327号公報)、甲第3号証の2(株式会社オハラ作成「ハードディスク用ガラスセラミックス サブストレートTS-10 ST」カタログ(1997年3月印刷))、甲第3号証の3(「DISKCON '96 JAPAN INTERNATIONAL DISK FORUM April 18〜19、1996」国際ディスクドライブ協会発行)、甲第4号証(「THE TECHNOLOGY OF GLASS AND CERAMICS An Introduction (1983)」、第228〜237頁)、甲第5号証(「Journal of Non-Crystalline Solids 219(1997)」第219〜227頁 、甲第6号証(特許第3022524号公報)及び甲第7号証(実験成績証明書その2)を提出して、次のとおり主張している。
(i)本件請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(ii)本件請求項1に係る発明は、甲第1号証及び本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証の1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(iii)本件請求項2〜9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(iv)本件請求項2〜9に係る発明は、甲第1号証及び本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第4〜5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(v)本件請求項1に係る発明は、本件特許出願と同日に出願された特願平10-321760号(出願日平成10年11月12日、特許第3022524号公報:甲第6号証参照)の請求項1に係る発明と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(vi)本件発明は、実施不能部分を含み、発明の成立性を欠くものであるから、特許法第29条柱書きの規定により特許を受けることができないものである。
(vii)本件明細書は、その記載に不備があるから、特許法第36条の規定により特許を受けることができないものである。
(2)本件訂正発明
本件訂正後の請求項1乃至7に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1乃至7」という)は、上記2.で示したとおり、上記訂正を認めることができるから、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲にあり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項2】Na2O,K2O,Li2O,PbOを実質上含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項3】前記ガラスセラミック基板において、各主結晶相の結晶粒子径が0.05μm〜0.30μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項4】前記ガラスセラミック基板において、研磨後の表面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)が3〜9Å、表面最大粗さRmaxが100Å以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項5】前記ガラスセラミック基板は酸化物基準の重量百分率で、
SiO2 40 〜60%
MgO 10 〜20%
Al2O3 10 〜20%未満
P2O5 0 〜 4%
B2O3 0 〜 4%
CaO 0.5 〜 4%
BaO 0 〜 5%
ZrO2 0 〜5%
TiO2 2.5 〜8%
Sb2O3 0 〜1%
As2O3 0 〜1%
F 0 〜 3%
SnO2 0 〜 5%
MoO3 0 〜3%
CeO 0 〜 5%
Fe2O3 0 〜5%
の範囲の各成分を含有する原ガラスを熱処理することにより得られ、該ガラスセラミックの主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項6】前記ガラスセラミックスは、ガラス原料を約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、成型および徐冷後、結晶化熱処理条件として核形成温度が650℃〜750℃、結晶化温度が750℃〜1050℃で熱処理することにより得られることを特徴とする、請求項5に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板の製造方法。
【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板上に磁気媒体被膜を形成して成る情報磁気記憶媒体ディスク。」
(3)甲各号証の記載内容
特許異議申立人が提出し当審が取消理由で引用した甲第1号証乃至甲第7号証の記載内容は、それぞれ以下のとおりである。
甲第1号証:米国特許第5491116号明細書
(a)「情報ディスクサブストレートのようなガラスセラミックス部品とその製造方法。ガラスセラミックスはMgリッチの輝石及びスピネルタイプの主結晶相と、35〜60%のSiO2,10〜30%のAl2O3、12〜30%のMgO,0〜10%のZnO,5〜20%のTiO2,及び0〜8%のNiOからなり少なくとも92%含有する組成とを有する。」(要約参照)
(b)表1には、実施例3、8,9,10,11のガラスセラミックスのAl2O3成分含有量が「17.0、16.7、17.2、17.0、18.4重量%」であること、表2には、実施例3、8,9,10,11のE-modulus(×106 psi)が「22、21.2、22.7、21.2、21.5」であることが記載されている。
甲第2号証:異議申立人社員白川温子作成にかかる実験成績証明書(その1)
甲第1号証の実施例2、4,5,11,14を追試して得た結晶化ガラスの結晶相を同定した結果によると、主結晶相はいずれもエンスタタイト(MgSiO3)、エンスタタイト固溶体((Mg,Al)SiO3)と同定されたことが報告されている。
甲第3号証の1:特開平10-1327号公報
(a)「基板材料として、オキシナイトライドガラスを用いたことを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板」(請求項1参照)
(b)「表1からも明らかなように、実施例1〜3のガラス基板はガラス転移点が高いため、所望の熱処理に対しても十分に対応できる程度に耐熱性があることがわかる。また、ヤング率、比弾性率、曲げ強度、ヌープ硬さ等の値が大きく、強度が高いことがわかる。特に、比弾性率が大きいことから、磁気記録媒体用ガラス基板として使用した場合、このガラス基板が高速回転しても、基板に反りやブレが生じにくく、より基板の薄板化にも対応できることがわかる。」(段落【0074】)
甲第3号証の2:オハラ社作成カタログ「ハードディスク用ガラスセラミックスサブストレート」
(a)「弾性・強度・硬度等の機械的性質が優れているため、ハードディスクドライブの高速回転に対して、変形等の問題がなく使用でき、1000G以上の耐ショック性を有し、かつ耐傷性に優れています」(「特長」の項参照)
(b)「比弾性率(Specific Modulus)即ちヤング率/比重(E/D)が39及び41である「TS-10STの物性」が示されている。
甲第3号証の3:「DISKCON'96 JAPAN INTERNATIONAL DISK FORUM April 18-19, 1996」
「全ての材料の比弾性率は、剛性、基本共鳴振動数および共振振動にとって重要であり、これらの共振振動はディスク回転数が10000 rpm以上に増加したときに特に重要である。」(1枚目下から7〜2行参照)
甲第4号証:「THE TECHNOLOGY OF GLASS AND CERAMICS An Introduction, p.228〜237(1983)」
「コージェライトを主結晶とするガラスセラミックスの熱膨張係数=20×10-7〜40×10-7/℃」(第233頁表参照)
甲第5号証:「Journal of Non-Crystalline Solids 219(1977)219-227」
「特に研磨面は約5Åの平均粗さであることが不可欠であった。これらのガラスセラミックスは機械的・化学的耐久性とともに平滑面や良好な剛性・硬度を有することが必須とされている携帯ディスクドライブのための磁気記憶ディスク基板としての可能性を秘めている。」(第219頁右欄9〜16行参照)
甲第6号証:特願平10-321760号、出願日平成10年11月12日、特許第3022524号公報
「情報磁気記録媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲にあり、その主結晶相は、βー石英、βー石英固溶体、エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、フォルステライト、フォルステライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。」(請求項1参照)
甲第7号証:異議申立人社員白川温子作成にかかる実験成績証明書(その2)
本件発明の実施例2、3,8,9,10,14の6種のガラスセラミックス基板を追試作製してその物性を調べた結果、これら実施例は、比重、ヤング率、熱膨張係数、結晶相、結晶粒径の各特性についてその記載された値を再現することができないから記載と事実に相違があるものであると報告されている。
4.当審の判断
(1)特許法第36条について
申立人は、この種のガラスセラミックス基板の発明については、本来ガラスセラミックスを構成する必須成分の全てを明記すべきであるところ、請求項1には成分組成の記載がないから、請求項1に記載の発明は発明の詳細な説明の記載に比べて不当に広く、本件特許明細書には当業者が実施することができる程度に発明が明確にかつ十分に記載されていないと主張している。
しかし、本件発明の特徴は、基板を構成するガラスセラミックスの成分組成それ自体にあるのではない。また、申立人の上記主張は、ガラスセラミックス基板の発明については、本来ガラスセラミックスを構成する必須成分の全てを明記すべきであるとの前提に立ってなされているところ、その前提自体に理由がないから、申立人の上記主張は採用することができない。
(2)特許法第29条柱書き
申立人は、上記甲第7号証を提出して、本件発明は、その実施例に実施不能のものを含むから、発明の成立性を欠くものであると主張しているが、該当する実施例については訂正請求により全て削除されたから、申立人の上記主張は、上記訂正により解消されたと云える。
(3)特許法第29条第1項第3号
(i)本件訂正発明1について
甲第1号証には、「基板を構成するガラスセラミックスがMgリッチの輝石及びスピネルタイプを主結晶相とし、10〜30%のAl2O3を配合した情報記憶ディスク」が記載され、また、甲第1号証の実施例2、4,5,11及び14を追試したとする甲第2号証によると、得られたガラスセラミックスの主結晶相は、エンスタタイト、エンスタタイト固溶体であったと記載されている。しかし、甲第1号証には、コージェライトを主結晶相とするガラスセラミックスを情報記憶基板として使用することについては何も記載されていない。
そこで、本件訂正発明1と甲第1号証とを対比すると、本件訂正発明1は、「その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり」というものであり、これに対し、甲第1号証に記載の「情報記憶ディスク」は、主結晶相がコージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とするものではなく、また甲第1号証には、コージェライトまたはコージェライト固溶体については何ら示唆されていない。
してみると、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
したがって、本件訂正発明1は特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとする申立人の上記主張は採用することができない。
(ii)本件訂正発明2〜7について
本件訂正発明2〜7は、いずれも請求項1を引用する発明であるから、上記(i)と同様の理由で、甲第1号証に記載された発明とすることはできない。
したがって、本件訂正発明2〜7は特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとする申立人の上記主張は採用することができない。
(2)特許法第29条第2項について
(i)本件訂正発明1について
甲第3号証の1には、「基板材料として、オキシナイトライトガラスを用いた磁気記録媒体用ガラス基板」は記載されているが、基板として結晶化ガラス即ちガラスセラミックスを使用することについては何ら記載されておらず、またコージェライト等の主結晶相を有することについても何ら示唆されていない。
また、甲第3号証の2には、オハラ社製の「ガラスセラミックス サブストレート ハードセラムTS-10ST」が超高密度情報記録に適したもので、高剛性で比重の小さいものであることは記載されているが、主結晶相が何であるかについては何も記載されていない。
さらに、甲第3号証の3には、回転数が10000 rpm以上の情報記録媒体用基板は剛性、基本共鳴振動数、共振振動等に関連して比弾性率即ち(ヤング率/比重)が重要であることは記載されているが、基板の具体的な材質については何も記載されておらず、特にコージェライト等の主結晶相を有するガラスセラミックスを使用することについては示唆する記載もない。
そこで、改めて、本件訂正発明1と甲第3号証の1乃至甲第3号証の3に記載の内容とを対比すると、上記甲各号証のいずれにも、本件訂正発明1の特徴であるコージェライトまたはコージェライト固溶体を主結晶相とするガラスセラミックスを使用した情報磁気記憶媒体については記載されていないから、本件訂正発明1は、これら甲各号証の記載からも、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、本件訂正発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとする申立人の上記主張は採用することができない。
(ii)本件訂正発明2乃至7について
甲第4号証には、単なる「コージェライトを主結晶相とするガラスセラミックス」の熱膨張係数について記載されているだけであり、コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これにスピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体等を含有するガラスセラミックスやこのガラスセラミックスの熱膨張係数、さらにはその用途としての情報磁気記憶媒体用基板への適用については何ら記載されていない。
また、甲第5号証には、磁気記憶基板に用いるガラスセラミックスが必要とする研磨面の平滑性関する記載はあるが、それ以外の本件訂正発明2〜7の構成については何ら記載されていない。
そこで、改めて、本件訂正発明2〜7と甲第4〜5号証とを対比すると、本件訂正発明2〜7は、請求項1を少なくとも引用してなるものであり、そして、上記甲各号証のいずれにも、本件訂正発明1の特徴であるコージェライトを主結晶相とするガラスセラミックスを使用した情報磁気記憶媒体については記載されていないから、本件訂正発明1は、甲第1号証と甲第4〜5号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、本件訂正発明2〜7は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとする申立人の上記主張は採用することができない。
(3)特許法第39条第2項について
甲第6号証(特願平10-321760号)の出願は、本件出願と同じ3件の出願を基礎出願としその優先日を同じくする出願であり、そしてこの出願の請求項1に係る特許発明は、「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲にあり、その主結晶相は、βー石英、βー石英固溶体、エンスタタイト,エンスタタイト固溶体、フォルステライト、フォルステライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。」というものである。
そこで、本件訂正発明1と甲第6号証の上記請求項1に係る特許発明とを対比すると、両者は、基板を構成するガラスセラミックスの主結晶相がコージェライト又はその固溶体を必須とするか否かの点で明らかに相違していると云える。
また、甲第6号証の請求項1以外の請求項2〜8に係る特許発明と本件訂正発明1とを対比しても同様のことが云えるから、本件訂正発明1は、甲第6号証の請求項2〜8に係る発明とも同一であるとすることはできない。
したがって、本件訂正発明1は特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないとする申立人の上記主張も採用することができない。
4.むすび
以上のとおり、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件訂正発明1〜7についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲にあり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項2】Na2O,K2O,Li2O,PbOを実質上含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項3】前記ガラスセラミック基板において、各主結晶相の結晶粒子径が0.05μm〜0.30μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項4】前記ガラスセラミック基板において、研磨後の表面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)が3〜9Å、表面最大粗さRmaxが100Å以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項5】前記ガラスセラミック基板は酸化物基準の重量百分率で、
SiO2 40 〜60%
MgO 10 〜20%
Al2O3 10 〜20%未満
P2O5 0 〜 4%
B2O3 0 〜 4%
CaO 0.5〜 4%
BaO 0 〜 5%
ZrO2 0 〜 5%
TiO2 2.5〜 8%
Sb2O3 0 〜 1%
As2O3 0 〜 1%
F 0 〜 3%
SnO2 0 〜 5%
MoO3 0 〜 3%
CeO 0 〜 5%
Fe2O3 0 〜 5%
の範囲の各成分を含有する原ガラスを熱処理することにより得られ、該ガラスセラミックの主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板。
【請求項6】前記ガラスセラミックスは、ガラス原料を約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、成型および徐冷後、結晶化熱処理条件として核形成温度が650℃〜750℃、結晶化温度が750℃〜1050℃で熱処理することにより得られることを特徴とする、請求項5に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板の製造方法。
【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板上に磁気媒体被膜を形成して成る情報磁気記憶媒体ディスク。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記憶装置に用いられる情報磁気記憶媒体用基板、特にランプロード方式で主に用いられる、ニアコンタクトレコーディングあるいはコンタクトレコーディングに対応した、超平滑な基板表面を有し、しかも高速回転に対応し得る高ヤング率・低比重特性を有する、磁気ディスク基板等の情報記憶媒体用ガラスセラミックス基板、およびこの情報磁気記憶媒体用ガラスセラミックス基板の製造方法、ならびに情報磁気記憶媒体用ガラスセラミックス基板に成膜プロセスを施し形成される情報磁気記憶媒体に関する。尚、本明細書において「情報磁気記憶媒体」とは、パーソナルコンピュータのいわゆるハードディスクとして使用されるような、固定型ハードディスク,リムーバル型ハードディスク,カード型ハードディスクや、データストレージやデジタルビデオカメラ・デジタルカメラにおいて使用可能なディスク状情報磁気記憶媒体を意味する。
【0002】
【従来の技術】
近年、従来の固定型情報磁気記憶装置に対して、リムーバル方式やカード方式等の情報磁気記憶装置が検討、実用段階にありデジタルビデオカメラ・デジタルカメラ等の用途展開も始まりつつある。この様な動向により、パーソナルコンピュータのマルチメディア化やデジタルビデオカメラ,デジタルカメラ等の普及が近年急速に進みつつあり、動画や音声等の大きなサイズのデータを扱うべく、大容量の情報磁気記憶装置が求められている。これに対応するため、情報磁気記憶媒体はビットおよびトラック密度を増加させ、ビットセルのサイズを縮小化して面記録密度を大きくしなければならず、一方磁気ヘッドはビットセルの縮少化に合わせディスク表面により近接して作動する、ニアコンタクトレコーディング、更にコンタクトレコーディング方式を採用する方向へ進みつつある。
【0003】
ところで、従来磁気ディスク用基板材として、アルミニウム合金が広く用いられているが、アルミニウム合金基板では、種々の材料欠陥の影響により、研磨工程における基板表面の突起またはスポット状の凹凸を生じ平坦性、平滑性の点で、前記の高密度磁気記憶媒体用基板として十分でなく、またアルミニウム合金は軟かい材料であるため、ヤング率、表面硬度が低いためドライブの高速回転において振動が激しく変形が生じやすく薄形化に対応することがむずかしいという問題も有している。更にヘッドの接触による変形傷を生じメディアを損傷させてしまう等、今日の高密度記録化に十分対応できない。
【0004】
一方、アルミニウム合金基板の問題点を解消する材料として、化学強化ガラスのアルミノシリケートガラス特開平8-48537、特開平5-32431(SiO2-Al2O3-Na2O)が知られているが、この場合、(1)研磨は化学強化後に行なわれ、ディスクの薄板化における強化層の不安定要素が高い。また強化相は、長期の使用において経時変化を発生し、磁気特性を悪化させてしまう。(2)ガラス中にNa2O,K2O成分を必須成分として含有するため、成膜特性が悪化し、Na2O,K2O溶出防止のための全面バリアコート処理が必要となり、製品の低コスト安定生産性が難しい欠点がある。(3)ガラスの機械的強度を向上させるために化学強化を行っているが、基本的に表面相と内部相の強化応力を利用するものであり、ヤング率は通常のアモルファスガラスと同等である83GPa以下と高速回転ドライブヘの使用に限界がある等、やはり高密度磁気記憶媒体用基板としての特性は不十分である。
【0005】
更にアルミニウム合金基板や化学強化ガラス基板に対して、いくつかの結晶化ガラスが知られている。例えば、特開平9-35234号公報,EP0781731A1号公報に開示される磁気ディスク用ガラスセラミックス基板は、Li2O-SiO2系組成から成り、結晶相は二珪酸リチウムとβ-スポジューメン、あるいは二珪酸リチウムとβ-クリストバライトを析出させたものであるが、高速回転に対するヤング率と比重の関係を全く検討しておらず、何の示唆も与えていない。尚、この系のガラスセラミックスのヤング率は100GPaが限界である。
【0006】
これらの低ヤング率を改善すべく、特開平9-77531号公報にはSiO2-Al2O3-MgO-ZnO-TiO2系結晶化ガラスが開示されている。この結晶化ガラスは、主結晶相が多量のスピネル結晶で、副結晶としてMgTi2O5と他複数の結晶を含み、ヤング率が93.4〜160.11GPaの結晶化ガラスおよびこの結晶化ガラスからなる磁気記憶用剛性ディスクを構成する基体であるが、この材料は主結晶相が(Mg/Zn)Al2O3および/または(Mn/Zn)2TiO4で表されるスピネル結晶(副結晶相においては他複数の結晶が選択可能)においてAl2O3を多量に含むものであり、後述する本発明のようにAl2O3の比較的少ない高ヤング率特性と低比重を兼ね備えた、ガラスセラミックスとは異なるものである。しかも、この様にAl2O3を多量に含むと、原ガラスの溶融性が低下したり、耐失透性が悪化する等の問題を生じ、生産上も好ましくなく、また、高速回転ドライブに必要なヤング率(GPa)/比重の関係や比重の値そのものについても全く検討されておらず、これらに対する示唆も何ら与えていない。特に比重については全て2.87以上と高いものとなっている。したがって、単に硬質な材料を提案しているにすぎない。しかもこの系の結晶化ガラスは硬度が高くなり過ぎるため、加工性が悪く量産性に劣るという大きな問題があり、高密度情報磁気記憶媒体用基板としての改善効果は不十分なものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術に見られる諸欠点を解消すべく、前記のような高記録密度化動向に対応し得る情報磁気記憶媒体用基板として、溶融性,耐失透性および加工性に優れ、高記憶密度のコンタクトレコーディング化に対応した基板表面の平滑性に優れると同時に、高速回転ドライブに対応した高ヤング率・低比重特性を兼ね備えた情報磁気記憶媒体用ガラスセラミックス基板、およびその製造方法ならびにこのガラスセラミック基板上に磁気媒体の被膜を形成してなる情報磁気記憶媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解消するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意試験研究を重ねた結果、高速回転ドライブに対応するためには、情報磁気記憶媒体基板は高速回転時のたわみによるディスク振動を防止すべく、高剛性、低比重でなけらばならず、このため最適な基板のヤング率と比重の比はヤング率(GPa)/比重=37〜63であることを発見し、本発明に到達した。
また本発明者は、上記目的を達成するために主結晶相が(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体および(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体、β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上であることに限定され、且つ各析出結晶粒子は、いずれも微細な球状粒子形状であり、原ガラスの溶融性,耐失透性および研磨加工性に優れ、研磨後の表面もより平滑性に優れ、高速回転に対応した高ヤング率と低比重を兼ね備えている、情報磁気記憶媒体用ガラスセラミック基板が得られることを見い出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、ヤング率(GPa)/比重=37〜63の範囲およびAl2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲にあり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲であることを特徴とする、情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項2に記載の発明は、Na2O,K2O,Li2O,PbOを実質上含有しないことを特徴とする、請求項1に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項3に記載の発明は、前記ガラスセラミック基板において、各主結晶相の結晶粒子径が0.05μm〜0.30μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項4に記載の発明は、前記ガラスセラミック基板において、研磨後の表面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)が3〜9Å、表面最大粗さRmaxが100Å以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項5に記載の発明は、前記ガラスセラミック基板は酸化物基準の重量百分率で、
SiO2 40 〜60%
MgO 10 〜20%
Al2O3 10 〜20%未満
P2O5 0 〜 4%
B2O3 0 〜 4%
CaO 0.5〜 4%
BaO 0 〜 5%
ZrO2 0 〜 5%
TiO2 2.5〜 8%
Sb2O3 0 〜 1%
As2O3 0 〜 1%
F 0 〜 3%
SnO2 0 〜 5%
MoO3 0 〜 3%
CeO 0 〜 5%
Fe2O3 0 〜 5%
の範囲の各成分を含有する原ガラスを熱処理することにより得られ、該ガラスセラミックの主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板であり、請求項6に記載の発明は、前記ガラスセラミックスは、ガラス原料を約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、成型および徐冷後、結晶化熱処理条件として核形成温度が650℃〜750℃、結晶化温度が750℃〜1050℃で熱処理することにより得られることを特徴とする、請求項5に記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板の製造方法であり、請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板上に磁気媒体被膜を形成して成る情報磁気記憶媒体ディスクである。尚、本明細書において、スピネル結晶とは、(Mgおよび/またはZn)Al2O4,(Mgおよび/またはZn)2TiO4,前記2結晶間の固溶体としての混合物の中から選ばれる少なくとも一種以上を指しており、また、固溶体とは、前記各結晶にその他の成分が一部、置換および/または侵入したものを指す。
【0010】
本発明のガラスセラミックの物理的特性,主結晶相と結晶粒径,表面性状,組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。尚、組成については、原ガラスと同様酸化物基準で表示する。
【0011】
まずは、ヤング率および比重について述べる。前記のように、記録密度およびデータ転送速度を向上するために、情報磁気記憶媒体基板の高速回転化傾向が進行しているが、この傾向に対応するには、基板材は10000rev/分以上の高速回転時のたわみによるディスク振動を防止すべく、高剛性、低比重でなければならない。単に高剛性であっても、比重が大きければ、高速回転時にその重量が大きいことによってたわみが生じ、振動を発生する。逆に低比重でも剛性が小さければ、同様に振動が発生する。したがって、高剛性でありながら、低比重という一見相反する特性のバランスを取らなければならず、その範囲はヤング率(GPa)/比重=37〜63であることが判った。好ましい範囲は、ヤング率(GPa)/比重=40〜63であり、更に好ましい範囲はヤング率(GPa)/比重=47〜63であり、最も好ましい範囲はヤング率(GPa)/比重=50〜63である。尚、剛性についてもより好ましい範囲があり、例え低比重であっても前記振動発生問題の点からすると、少なくとも120GPa以上が好ましいが、基板の加工性や比重の増加から勘案して上限は150GPa以下が好ましい。比重についても同様で、前記振動発生問題の点からすると、例え高剛性であっても3.50以下でないと、その自重により高速回転時に基板の振動が発生しやすくなり、逆に比重が2.3未満では所望の剛性を有する基板を実質上得難い。この点を考慮した時の好ましい比重の範囲は2.5〜3.3である。
【0012】
次にNa2O,K2O,Li2O,PbO成分についてであるが、磁性膜の高精度化,微細化において、材料中にNa2O,K2O,Li2O成分を含有すると、基板が高温となる成膜工程においてこれらのイオンが磁性膜中に拡散(特に成膜温度の高いバリウムフェライト垂直磁化膜では顕著である)し、磁性膜粒子の粗大化や配向性が悪化するため、これらの成分を実質的に含有しないことが重要である。また環境上好ましくないPbO成分も含有すべきではない。
【0013】
次に主結晶相についてであるが、まず本発明の一側面において主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなることを特徴としている。これは上記結晶相が、良好な加工性を有し、剛性増加にも寄与し、析出結晶粒径が比較的小さくすることができ、更に、他の結晶相よりも格段の低比重化が実現できるという有利な面があるためである。尚、前記各結晶相において、コージェライト,スピネル結晶,β-石英の各結晶相の析出とその割合は、MgO,SiO2,Al2O3の含有割合により、またこれら3結晶相とこれら3結晶相の固溶体相の析出とその割合は、MgO,SiO2,Al2O3とその他の成分の含有割合により決定される。
【0014】
次に析出結晶粒径と表面粗度についてであるが、先に述べたように、記録密度向上のためのニアコンタクトレコーディングやコンタクトレコーディング方式に対応するには、情報磁気記憶媒体の表面の平滑性が従来品よりも良好でなければならない。従来レベルの平滑性で磁気媒体への高密度入出力を行おうとしても、ヘッドと媒体間の距離が大きいため、磁気信号の入出力を行うことができない。またこの距離を小さくしようとすると、媒体の突起とヘッドが衝突し、ヘッド破損や媒体破損を引き起こしてしまう。この様な理由から、ニアコンタクトレコーディングやコンタクトレコーディング方式に対応するためには、ディスク用基板表面の平滑性は、表面粗度(Ra)=3〜9Å,最大粗さ(Rmax)=100Å以下であることが必要である。好ましくは、表面粗度(Ra)=3〜7Å,最大粗さ(Rmax)=95Å以下であり、更に好ましくは、表面粗度(Ra)=3〜6Å,最大粗さ(Rmax)=90Å以下である。
【0015】
次にこれら析出結晶の粒子形態と粒径についてであるが,本願のようなガラスセラミックス基板のように高剛性で且つ超平滑性(データ領域で3〜9Å)を有するガラスセラミックス基板を得るためには、その結晶粒子と形状が重要な因子となる。上記各結晶の結晶粒径より大きくても小さくても,所望の強度および表面粗度は得られない。
【0016】
次に熱膨張率についてであるが、ビットおよびトラック密度を増加させ、ビットセルのサイズを縮小化するにおいては、媒体と基板の熱膨張係数の差が大きく影響する。このため、-50〜+70℃の温度範囲における熱膨張係数は、30×10-7〜50×10-7/℃であることが必要である。
【0017】
次に組成限定理由について述べる。
まずSiO2成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出するコージェライト,コージェライト固溶体,β-石英,β-石英固溶体結晶を生成する極めて重要な成分であるが、その量が40%未満では、得られたガラスセラミックスの析出結晶相が不安定で組織が粗大化し、また、60%を超えると原ガラスの溶融・成形性が困難になる。尚、これら結晶相を析出するには熱処理条件も重要な因子となるが、より広い熱処理条件とすることができる、より好ましい範囲は48.5〜58.5%である。
【0018】
MgO成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出するコージェライト,コージェライト固溶体,スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英,β-石英固溶体結晶を生成する極めて重要な成分であるが、その量が10%未満では、所望とする結晶が得られず、得られたガラスセラミックスの析出結晶が不安定で組織が粗大化しやすく、さらに溶融性が悪化する。また20%をを超えると失透性が悪化する。尚、SiO2と同様の理由による、より好ましい範囲は13〜20%である。
【0019】
Al2O3成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出するコージェライト,コージェライト固溶体,スピネル結晶,スピネル結晶の固溶体,β-石英固溶体結晶を生成する極めて重要な成分であるが、その量が10%未満では、所望とする結晶相が得られず、得られたガラスセラミックスの析出結晶相が不安定で組織が粗大化しやすく、さらに溶融性が悪化する。また20%以上では原ガラスの溶融性および失透性が悪化すると共に、スピネル結晶の析出量が異常に多くなって、硬度を必要以上に高くし、研磨等における加工性が著しく低下する。尚、上記と同様の理由による好ましい範囲は10〜18%未満、特に好ましい範囲は10〜17%である。
【0020】
P2O5成分は、ガラスの結晶核形成剤として機能する上に、原ガラスの溶融・成型性の改善と耐失透性を改善するために効果的であるが、4%以内で十分である。尚、好ましい範囲は1〜3%である。
【0021】
B2O3成分は、原ガラスの溶解成形時の粘度をコントロールするのに効果的であるが、その量は、4%以内で十分である。
【0022】
CaO成分は、ガラスの溶融性を向上させるのと同時に析出結晶相の粗大化を防止する成分であるが、その量が0.5%未満では上記効果が得られず、また、4%を超えると析出結晶の粗大化、結晶相の変化および化学的耐久性が悪化する。尚、好ましい範囲は1〜3%である。
【0023】
BaO成分はガラスの溶融性を向上させるために添加しうるが、その量は5%で十分である。尚、好ましい範囲は1〜3%である。
【0024】
ZrO2成分およびTiO2成分は、ガラスの結晶核形成剤として機能する上に、析出結晶相の微細化と材料の機械的強度向上、および化学的耐久性の向上に効果を有する事が見出された極めて重要な成分であるが、ZrO2成分は5%以内で十分であり、TiO2成分は、2.5%未満では上記効果が得られず、8%を超えると原ガラスの溶融が困難となり、耐失透性が悪化する。尚、上記SiO2と同様の理由による、より好ましい範囲は2〜8%である。
【0025】
Sb2O3、As2O3成分は、ガラス溶融の際の清澄剤として使用するが、それぞれ1%以内で十分である。
【0026】
F成分は、ガラスの溶融性を向上させるのに添加し得るが、3%以内で十分である。
【0027】
SnO2,MoO3,CeO,Fe2O3成分は、ガラスの着色剤または着色することによる表面欠陥の検出感度の向上、およびLD励起固体レーザーの吸収特性を向上させるのに各成分の合計で5%まで添加し得る。また、MoO3成分は3%以内が好ましい。尚、SnO2、MoO3成分は、熱処理前のガラス状態では透光性があるが、熱処理結晶化後に着色化するという重要な成分である。
【0028】
そして本発明の情報磁気記憶媒体用ガラスセラミック基板を製造するには、上記の組成を有するガラスを溶解し、熱間成形および/または冷間加工を行った後650℃〜750℃の範囲の温度で1〜12時間熱処理して結晶核を形成し、続いて750℃〜1050℃の範囲の温度で約1〜12時間熱処理して結晶化を行う。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好適な実施例について説明する。表1〜表7は本発明の磁気ディスク用ガラスセラミック基板の実施組成例(No.1〜17)および比較組成例として従来の化学強化ガラスのアルミノシリケートガラス(特開平8-48537号公報)を比較例1,Li2O-SiO2系ガラスセラミックス(特開平9-35234号公報)を比較例2,SiO2-Al2O3-MgO-ZnO-TiO2系結晶化ガラス(特開平9-77531号公報)を比較例3として、その組成,核形成温度,結晶化温度,結晶相,結晶粒子径,ヤング率,比重,ヤング率(GPa)/比重,研磨後の表面粗度(Ra),最大表面粗さ(Rmax),-50〜+70℃における熱膨張係数を示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
【表6】

【0036】
【表7】

【0037】
本発明の上記実施例のガラスは、いずれも酸化物,炭酸塩,硝酸塩等の原料を混合し、これを通常の溶解装置を用いて約1350〜1490℃の温度で溶解し攪拌均質化した後ディスク状に成形して、冷却しガラス成形体を得た。その後これを650〜750℃で約1〜12時間熱処理して結晶核形成後、750〜1050℃で約1〜12時間熱処理結晶化して、所望のガラスセラミックを得た。ついで上記ガラスセラミックを平均粒径5〜30μmの砥粒にて約10分〜60分ラッピングし、その後平均粒径0.5〜2μmの酸化セリュームにて約30分〜60分間研磨し仕上げた。
【0038】
表1〜7に示されるとおり、本発明と従来のアルミノシリケート化学強化ガラス,Li2O-SiO2系ガラスセラミックス,SiO2-Al2O3-MgO-ZnO-TiO2系ガラスセラミックスの比較例とでは、ガラスセラミックスの結晶相が異なり、ヤング率と比重の関係においても、アルミノシリケート化学強化ガラス,Li2O-SiO2系ガラスセラミックスに比較し高剛性もしくは低比重である。本比較例における、比較的高剛性・低比重のSiO2-Al2O3-MgO-ZnO-TiO2系ガラスセラミックスは、非常に硬質な材料であるために、表面粗度において所望の値が得られなかった。これに対し本発明のガラスセラミックスは加工性に優れ、目的とする平滑性が充分得られ、加えて、結晶異方性,異物,不純物等の欠陥がなく組織が緻密で均質・微細であり、種々の薬品や水による洗浄、あるいはエッチングにも耐え得る化学的耐久性を有するものであった。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上記従来技術に見られる諸欠点を解消しつつ、溶融性,耐失透性および加工性に優れ、高記憶密度のコンタクトレコーディング化に対応した基板表面の平滑性に優れると同時に、高速回転ドライブに対応した高ヤング率・低比重特性に兼ね備えた情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板およびその製造方法ならびにこのガラスセラミック基板上に磁気媒体の被膜を形成してなる情報磁気記憶媒体を提供することができる。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
本件訂正の要旨は、本件特許第3011703号発明の特許明細書を平成13年11月27日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的として、次の訂正事項a乃至wのとおりに訂正するものである。
訂正事項a:請求項1の「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、」と「ヤング率」の間に「その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、」を挿入する。
訂正事項b:請求項1の「Al2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲に」と「あること」との間に「あり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲で」を挿入する。
訂正事項c:請求項3を削除する。
訂正事項d:請求項4を請求項3に繰上げ、「請求項1〜3のいずれか」を「請求項1または2」と訂正する。
訂正事項e:請求項5を削除する。また請求項6を請求項4に繰上げ、「請求項1〜5」を「請求項1〜3」と訂正する。
訂正事項f:請求項7を請求項5に繰上げ、「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」と訂正する。「請求項1〜6」を「請求項1〜4」と訂正する。
訂正事項g:請求項8を請求項6に繰上げ、「溶融、」を「約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、」に訂正し、「熱処理することにより得られ」と「ことを特徴とする」の間に「る」を挿入する。「請求項7」を「請求項5」と訂正する。
訂正事項h:請求項9を請求項7に繰上げ、「請求項1〜8」を「請求項1〜5」と訂正する。
訂正事項i:明細書段落【0008】第9行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。また、明細書段落【0009】第1〜2行の「情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミック基板において、」と「ヤング率」の間に「その主結晶相は、(1)コージェライトまたはコージェライト固溶体を必須とし、これと(2)スピネル結晶、スピネル結晶の固溶体、βー石英、βー石英固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上とからなり、」を挿入する。
訂正事項j:明細書段落【0009】第2〜3行の「Al2O3=10重量%〜20重量%未満の範囲で」と「あること」の間に「あり、-50〜+70℃の範囲における熱膨張係数が、30×10-7〜50×10-7/℃の範囲で」を挿入する。
訂正事項k:明細書段落【0009】第6行〜12行の「請求項3に記載の発明は・・・であり、」を削除し、第12行の「請求項4」を「請求項3」に訂正し、第13行〜第14行の「請求項1〜3のいずれか」を「請求項1または2」と訂正する。
訂正事項l:明細書段落【0009】第15行〜第18行の「請求項5に記載の発明は、・・・基板であり、」を削除する。
訂正事項m:明細書段落【0009】第18行の「請求項6」を「請求項4」に訂正し、第20行〜第21行の「請求項1〜5」を「請求項1〜3」と訂正する。
訂正事項n:明細書段落【0009】第22行の「請求項7」を「請求項5」に訂正し、第40行〜第42行の「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」に訂正し、第43行の「請求項1〜6」を「請求項1〜4」と訂正し、第44行の「請求項8」を「請求項6」と訂正する。
訂正事項o:明細書段落【0009】第46行の「溶融、」を「約1350℃〜1490℃の温度で溶融し、」に訂正し、第47〜48行の「熱処理することにより得られ」と「ことを特徴とする」の間に「る」を挿入し、第48行の「請求項7」を「請求項5」に訂正し、第49行〜第50行の「請求項9」を「請求項7」に、「請求項1〜8」を「請求項1〜5」と訂正する。
訂正事項p:明細書段落【0013】第2行〜第4行の「コージェライト固溶体」の後の「および」を「を必須とし、これと」に訂正し、「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除し、「1種以上」の後の「である」を「とからなる」に訂正し、第8行〜第10行の「エンスタタイト」を削除し、「またこれら4結晶相とこれら4結晶相」の「4」を「3」と訂正する。
訂正事項q:明細書段落【0017】第3行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。
訂正事項r:明細書段落【0018】第2行〜第3行の「エンスタタイト、エンスタタイト固溶体、」を削除する。
訂正事項s:明細書段落【0030】の[表1]の実施例2および3を削除する。
訂正事項t:明細書段落【0032】の[表3]の実施例8及び9を削除する。
訂正事項u:明細書段落【0033】の[表4]の実施例10を削除する。
訂正事項v:明細書段落【0034】の[表5]の実施例14を削除する。
訂正事項w:表2〜表6の実施例4、5、6、、7、11、12、13、15、16、17の番号を繰り上げそれぞれ実施例2、3、4、5、6、7、8、9、10、11とする。
異議決定日 2001-12-18 
出願番号 特願平10-321759
審決分類 P 1 651・ 4- YA (C03C)
P 1 651・ 113- YA (C03C)
P 1 651・ 121- YA (C03C)
P 1 651・ 536- YA (C03C)
P 1 651・ 535- YA (C03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 紀子▲高崎▼ 久子  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 野田 直人
唐戸 光雄
登録日 1999-12-10 
登録番号 特許第3011703号(P3011703)
権利者 株式会社オハラ
発明の名称 情報磁気記憶媒体用高剛性ガラスセラミックス基板  
代理人 中村 静男  
代理人 坂本 徹  
代理人 原田 卓治  
代理人 原田 卓治  
代理人 坂本 徹  

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