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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する E03F
審判 訂正 2項進歩性 訂正する E03F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E03F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E03F
管理番号 1057439
審判番号 訂正2001-39200  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-07 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-10-31 
確定日 2002-02-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2540449号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2540449号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 〔1〕請求の趣旨
本件審判請求の趣旨は、特許第2540449号(平成6年4月27日出願、平成8年7月8日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。

〔2〕訂正の内容
本件審判請求に係る訂正の内容は、以下の訂正事項a〜dからなるものである。
1.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1及び請求項2の「溝ブロツク」(特許第2540449号公報(以下「本件特許公報」という。)1頁1欄2行、5行、7行及び9行)を、「逆U字型溝ブロック」と訂正をする。
2.訂正事項a-1
発明の名称「溝ブロック用受枠」を、「逆U字型溝ブロック用受枠」と訂正する。
3.訂正事項a-2
明細書の以下の箇所の「溝ブロック」を、「逆U字型溝ブロック」と訂正する。
段落【0002】(本件特許公報2欄2行、3〜4行)、段落【0005】(同3欄15行、17行、19行)、段落【0006】(同3欄23行、27行)、28〜29行)、段落【0007】(3欄32行)、段落【0008】(同3欄34行、37行、40行、49行、50行、4欄2行)、段落【0009】(同4欄6行)、段落【0011】(同4欄30〜31行)、段落【0012】(同4欄34行、42行)、段落【0013】(同4欄43行、49行)、段落【0014】(同5欄3行、6行)、【図面の簡単な説明】の【図4】(同5欄14行)、【図5】(同5欄15行)
4.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1の「配置されるコーナーアングル」の「る」と「コ」の間に、「と共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」を挿入する。
5.訂正事項b-1
明細書の段落【0006】(同3欄25行)及び段落【0008】(同3欄36行)の「配置されるコーナーアングル」の「る」と「コ」の間に、「と共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」を挿入する。
6.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項1の「溝ブロックを形成する」(同1欄5行)の「溝ブロックを形成する」の「ク」と「を」の間に、「の通路部上方」を挿入する。
7.訂正事項c-1
明細書の段落【0006】(同3欄27行)、段落【0008】(同3欄37行、49行)の「溝ブロックを形成する」の「ク」と「を」の間に、「の通路部上方」を挿入する。
8.訂正事項d
明細書の段落【0008】(同3欄50行〜4欄1行)及び段落【0009】(同4欄6行)の「溝ブロックの躯体強度」の「ク」と「の」の間に、「の通路部上方」を挿入する。

〔3〕当審の判断
1.訂正の目的等について(特許法126条1項ただし書及び2項の規定に適合するか否かについて)
(1)訂正事項aは、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された「溝ブロック」の構成に「逆U字型」との構成を付加するものであるが、「溝ブロック」が「逆U字型」であることは、訂正前明細書の段落【0001】に「本発明は、いわゆるVS溝と呼ばれる逆U字型溝ブロックを形成するのに適用される受枠に関する。」との記載があり、このような構成の付加は、「溝ブロック用受枠」が対象とする「溝ブロック」を、「逆U字型溝ブロツク」に限定するものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(2)訂正事項bは、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「コーナーアングル」の構成に、「前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」との構成を付加するものであるが、「前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し」との構成については、図1にコーナーアングルが逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有した状態が記載されており、また、「溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」との構成については、願書に添付した明細書の段落【0010】に「溝蓋載置部12を有するコーナーアングル11」との記載があり、このような構成の付加は、「コーナーアングル」の構成を「前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」ものに限定するものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(3)訂正事項cは、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「溝ブロックを形成するコンクリート」との構成に、「の通路部上方」との構成を付加し、連結部材が埋設されるコンクリートを「溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリート」とするものであるが、連結部材が埋設されるコンクリートが「溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリート」であることについては、願書に添付した明細書の段落【0013】に「受枠10の連結部材13はコンクリートに埋め込まれており、これによって溝ブロック100の躯体強度、とくに通路部上方のコンクリート壁の強度が補強されている。」との記載があり、この構成の付加は、連結部材が埋設されるコンクリートに係る構成を「溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリート」に限定するものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(4)訂正事項dは、願書に添付した明細書の段落【0008】及び【0009】の「溝ブロックの躯体強度」との記載を、「溝ブロックの通路部上方の躯体強度」とするものであるが、この訂正は、上記訂正事項cにより、連結部材が埋設されるコンクリートを「溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリート」と限定したことに伴い、作用の記載を訂正するものであり、「溝ブロックの通路部上方の躯体強度」については、願書に添付した明細書の段落【0013】に記載がある。
したがって、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(5)訂正事項a-1、a-2、b-1及びc-1は、特許請求の範囲の請求項1及び2の訂正に伴って生じる発明の詳細な説明等の記載の不整合を回避するためにする訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

2 独立特許要件について(特許法126条3項の規定に適合するか否かについて)
(1)訂正後の請求項1及び2に係る発明(以下、「訂正発明1」及び「訂正発明2」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】逆U字型溝ブロックを形成するコンクリートに一体化される受枠であって、溝蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有するコーナーアングルどうしを、前記載置幅に対応する長さを有し、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設される連結部材により連結して成ることを特徴とする逆U字型溝ブロック用受枠。
【請求項2】前記連結部材は、異形丸棒鋼からなることを特徴とする請求項1記載の逆U字型溝ブロック用受枠。」

(2)まず、訂正発明1及び2が、別件の無効審判事件(平成11年審判第35023号)で証拠として提示された刊行物によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないのか否かについて以下検討する。
(2-1)各刊行物に記載された事項
(ア)独国特許出願公開第4021332号明細書(1991年1月17日公開、以下「刊行物1」という。)
刊行物1には、鉄筋コンクリート製の溝渠施設に関する発明が記載されており、
「この発明は、鉄筋コンクリート製の長く延びる溝渠施設、而して注造された底および対向する2個の側方部分を有し、これら側方部分の上縁は、同様に長く延びる蓋板、例えば格子板、を支持し得るように作られたところの、溝渠施設に関する。而して、この溝渠施設は、一方においては、蓋板の両方の縁を支持するために、側方部分の上縁に設けられた2個の、細長い、金属製の、露出した補強材を有し、他方においては、溝渠施設の鉄筋機構を作るところの金属構造を有し、この金属構造は、コンクリートの中に埋めこまれ、また溝渠施設の長さの上に分配された多数の湾曲材を有し、これらの湾曲材の形は溝渠施設の横断面に相応し、またこれらの湾曲材の両方の外端は、上記の両方の金属製補強材に強固に固定される。」(明細書1欄3〜19行)、「この発明による鉄筋コンクリート製溝渠施設1は、直線的に延び、予め決定された長さを有する。溝渠施設1は、1個の物体よりなり、唯一回の型注入方法により制作される。溝渠施設1は、底1a及び2個の側方部分1b,1cを有する。これらの側方部分は、底1aより立上がり、互いに対向する。側方部分1b及び1cの上縁1d及び1eは、肩を有する。」(同2欄37〜46行)、
「両方の上縁1d及び1eは、溝渠施設に沿って延びるところの、そして溝渠施設の上に露出して横たわるところの、金属製の補強材4及び5を備える。両方の補強材4,5は溝渠施設1の蓋板10の両方の縁10d及び10eの支持体として役立つ。」(同2欄58〜63行)、
「鉄筋機構もしくは金属製補強機構は、コンクリート注入に際し、溝渠施設のコンクリートの中に埋め込まれる。一般に符号6をもって表現される鉄筋機構は、多数の湾曲材7を有する。これらの湾曲材7は、溝渠施設の長さの上に分配され、溝渠施設1の横断面に相応する輪郭、例えばUの形、を有する。各湾曲材7は、溝渠の平面に直角に延びるところの、横に延びる平面の中に設けられる。湾曲材7の両方の外端7a及び7bは、次に述べる方法により、両方の金属製の補強材4及び5に固定される。」(同3欄17〜29行)と記載されている。そして、図1〜3には、「蓋板10を載置する受枠は、蓋板10を載置する載置幅を設けて両側に配置され、U字型溝渠施設の長手方向の長さと同じ長さを有し、蓋板10を載置する部分を有する補強材4,5が、U字型溝渠施設を形成するコンクリートに埋設される湾曲材7…に連結された構造からなっており、U字型溝渠施設を形成するコンクリートに一体化されていること。」が記載されていると認められる。
以上の明細書及び図面の記載からみて、刊行物1には、
「U字型溝渠施設1を形成するコンクリートに一体化される受枠であって、蓋板10を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共にU字型溝渠施設1の長手方向の長さと同じ長さを有し、更に蓋板10を載置する部分を有する補強材4,5どうしを、溝渠施設1の横断面に相応する輪郭を有し、U字型溝渠施設1のコンクリートの中に埋め込まれる湾曲材7により連結して成るU字型溝渠施設用受枠」
が記載されていると認められる。
(イ)実願昭60-202794号(実開昭62-114982号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)
刊行物2には、水路形成用の側溝カルバート用ブロックに関する発明が記載されており、第4図に「コンクリート製の逆U字型の暗渠ブロックであって、その上面に蓋2を着脱する開口4を形成し、該開□4に蓋を受ける棚部8を有する蓋受用金属アングル5,5を、蓋2を載置する載置幅を設けて両側に配置すること」が記載されている。
(ウ)実願平4-23418号(実開平5-77386号)のCD-ROM(以下、「刊行物3」という。)
刊行物3には、側溝ブロックに関する発明が記載されており、図1、図2、図3、図5に「コンクリート製の逆U字型の側溝ブロックにおいて、その上面に蓋3を着脱する開口7を形成し、該開口7に蓋3を載置する座部18を有する蓋受用の金属製枠12を埋設し、その金属製枠12は、左右の部材の長手方向両端を連結部材で連結したものであること」が記載されている。
(エ)実願昭57-142873号(実開平59-47789号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物4」という。)
刊行物4には、
「本考案はグレーチングふた、臭気防止用ふた等が載置される段付きの貫通穴が設けられたコンクリート製品に関する。」(明細書1頁11〜13行)、
「下水道管20の製作は、外枠の底板に第3図に示す段付き貫通穴用鋼材30を上下を逆にした状態で載置し、また外枠内に内枠を配置し、外枠と内枠の間にコンクリートを流し込む。そして、コンクリート21が固化した後、外枠及び内枠を脱型すると、コンクリート21に段付き貫通穴用鋼材30が一体に形成された下水道管20が得られる。」(同3頁8〜15行)、
「段付き貫通穴用鋼材30は段付き貫通穴14の全面に沿つた形状をなす」(同3頁19〜20行)と記載されている。
(オ)JISハンドブック 鉄鋼 1992年 490〜495頁(以下、「刊行物5」という。)
刊行物5には、「コンクリート補強に使用する鉄筋コンクリート用棒鋼としての異形棒鋼の規格」が記載されている。

(2-2)対比、判断
(2-2-1)訂正発明1について
訂正発明1と刊行物1記載のものとを対比すると、刊行物1記載のものの「溝渠施設1」、「蓋板10」、「蓋板10を載置する部分」、「補強材4,5」及び「埋め込まれる」は、それぞれ訂正発明1の「溝ブロック」、「溝蓋」、「溝蓋載置部」、「コーナーアングル」及び「埋設される」に相当しているから、両者は、
「溝ブロックを形成するコンクリートに一体化される受枠であって、溝蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共に前記溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有するコーナーアングルどうしを、溝ブロックを形成するコンクリートによって埋設される部材により連結して成ることを特徴とする溝ブロック用受枠」
である点で一致するが、以下の点で相違する。
相違点
訂正発明1では、溝ブロックが逆U字型溝ブロックであり、コーナーアングルどうしを連結する連結部材が、載置幅に対応する長さを有し、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設されるのに対し、刊行物1記載のものでは、溝ブロックがU字型溝ブロックであり、コーナーアングルどうしを連結しコンクリートによって埋設される湾曲材が、U字型溝ブロックの横断面に相応する輪郭に対応する形状、長さを有している。
そこで上記相違点について検討する。
刊行物2には、逆U字型の暗渠ブロック(訂正発明1の「逆U字型溝ブロック」に相当する。)の上面に形成された開口に、蓋受用金属アングル(訂正発明1の「コーナーアングル」に相当する。)を蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置することが記載されているが、蓋受用金属アングルは暗渠ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有するものではなく、開口の両側に形成された通路部上方を形成すると考えられるコンクリートに、訂正発明1の「連結部材」に相当するものが埋設されることが示唆されていない。
また、刊行物3には、コンクリート製の逆U字型の側溝ブロック(訂正発明1の「逆U字型溝ブロック」に相当する。)の上面に形成された開ロに、蓋を載置する座部を有する蓋受用の金属製枠(訂正発明1の「コーナーアングル」に相当する。)を埋設することが記載されているが、蓋受用の金属製枠は左右の部材の長手方向両端を連結部材で連結した構造となっており、側溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有するものではなく、開口の両側に形成された通路部上方を形成すると考えられるコンクリートに、訂正発明1の「連結部材」に相当するものが埋設されることが示唆されていないから、刊行物2又は3に記載のものを刊行物1に記載のものに適用しても、相違点における訂正発明1の構成に到達することができたということはできない。
刊行物4に記載された、下水道管は、訂正発明1のような逆U字型ではなく、ふた等が載置される段付き貫通穴用鋼材(訂正発明1の「コーナーアングル」に相当する。)は、段付き貫通穴の全面に沿つた形状をなしており、下水道管の長手方向の長さと同じ長さを有するものではなく、段付きの貫通穴の両側に形成された通路部上方を形成すると考えられるコンクリートに、訂正発明1の「連結部材」に相当するものが埋設されることが示唆されておらず、また、刊行物5には、コンクリート補強に使用する鉄筋コンクリート用棒鋼としての異形棒鋼の規格が記載されているにすぎないから、刊行物4及び5には、相違点における訂正発明1の構成が示唆されているとはいえない。
そして、訂正発明1は、相違点における構成を具備することにより、訂正明細書に記載の、各刊行物記載のものからは期待できない作用、効果を奏するものと認められる。
したがって、訂正発明1は、刊行物1〜5に記載されたものとすることも、また、刊行物1〜5に記載されたものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものともすることもできない。
(2-2-2)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1においてさらに構成を付加したものであるから、上記「(2-2-1)訂正発明1について」で述べたのと同様の理由により、刊行物1〜5に記載されたものとすることも、また、刊行物1〜5に記載されたものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものともすることもできない。

(3)また、他に訂正発明1及び2について特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正発明1及び2は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

〔4〕むすび
以上のとおり、本件審判請求は、特許法126条1項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条1項ただし書、2項及び3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
逆U字型溝ブロック用受枠
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 逆U字型溝ブロックを形成するコンクリートに一体化される受枠であって、溝蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有するコーナーアングルどうしを、前記載置幅に対応する長さを有し、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設される連結部材により連結して成ることを特徴とする逆U字型溝ブロック用受枠。
【請求項2】 前記連結部材は、異形丸棒鋼からなることを特徴とする請求項1記載の逆U字型溝ブロック用受枠。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、いわゆるVS溝と呼ばれる逆U字型を形成するのに適用される受枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、受枠は、鋼材により作製された溝蓋(グレーチング)をコンクリート製逆U字型溝ブロックの開口上に載置する際の受け材として用いられており、逆U字型溝ブロックを形成するコンクリートと一体に埋め込まれるようになっている。
【0003】
図1に示すように、逆U字型溝ブロック100おいては、上部中央に溝蓋20を載置するための開口を形成した状態で、ブロック本体の左右両側縁に沿わせて受枠10を設けなければならない。従来、このような逆U字型溝ブロック100を作製するには、左右別々に作製された受枠10を構成するコーナーアングル11を用意し、各コーナーアングル11を逆さ状態にして底側の型枠にボルト、ナットで締め付けてそれぞれ動かないように固定し、コンクリートを型枠内に流し込むことによりなされていた。
【0004】
このような従来の逆U字型溝ブロックを作製する場合においては、次のような問題があった。すなわち、各コーナーアングルを逆さ状態にして型枠にボルト、ナットで締め付ける際に、型枠を浮かせて作業しなければならず、危険性を伴うとともに、ボルト締めに時間がかかり作業に手間を要するという問題があった。又、コーナーアングルが細幅形状であるために安定せず、コンクリート流し込み時の打設圧によってズレやすく、このため、溝蓋載置面が水平にならない、溝蓋を載置する載置幅が確保されない等の不具合を生じるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、逆U字型溝ブロックの作製時において容易、迅速にセットして作製時間の短縮を図ることができるとともに、安定した状態にセットしてズレを防止できる逆U字型溝ブロック用受枠を提供しようとするものであって、さらに躯体強度も同時に備えることができる逆U字型溝ブロック用受枠を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、「逆U字型溝ブロックを形成するコンクリートに一体化される受枠であって、溝蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有するコーナーアングルどうしを、前記載置幅に対応する長さを有し、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設される連結部材により連結して成ることを特徴とする逆U字型溝ブロック用受枠」を、その内容としている。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、「連結部材は、異形丸棒鋼からなることを特徴とする請求項1記載の逆U字型溝ブロック用受枠」を、その内容としている。
【0008】
【作用】
上記請求項1記載の発明に係る逆U字型溝ブロック用受枠にあっては、溝蓋を載置する載置幅を設けて両側に配置されると共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有するコーナーアングルどうしが、載置幅に対応する長さを有し、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設される連結部材によって相互に連結された構成により、そのまま型枠にセットして固定し、コンクリート流し込んで逆U字型溝ブロックを作製することができる。すなわち、コーナーアングルどうしが連結部材によって連結されていることにより、コーナーアングルの側縁を数カ所上から爪で押えこむだけで型枠に固定することができ、型枠を浮かせて固定する必要はなく、さらに、連結部材による連結によってコーナーアングルどうしが安定し、コンクリート流し込み時の打設圧によってズレることなく、溝蓋載置面を水平にし、溝蓋を載置する載置幅を確保することができるようになっている。又、連結部材は、逆U字型溝ブロックの通路部上方を形成するコンクリートによって埋設される構成を採っており、この連結部材が逆U字型溝ブロックの通路部上方の躯体強度を保つ補強筋としての役割を果たし、受枠をセットするだけで躯体強度も同時に備えた逆U字型溝ブロックの作製を可能にしている。
【0009】
連結部材は、請求項2記載のように、異形丸棒鋼をしようすれば、コンクリートとの接合性が良く、逆U字型溝ブロックの通路部上方の躯体強度を高めることができる。
【0010】
【実施例】
以下、図面にしたがって本発明に係る受枠の実施例について説明する。図1〜図3に示すように、この受枠10は、溝蓋載置部12を有するコーナーアングル11が溝蓋を載置する載置幅を設けて配置され、異形丸棒鋼からなる4本の連結部材13によって連結されている。コーナーアングル11と連結部材13との連結は溶接により、端部が曲げ形成された連結部材13の端面13aとコーナーアングル11の裏面とで接合されている。コーナーアングル11は鋼材により作製され、表面は溶融亜鉛メッキ等の防錆処理が施されている。又、コーナーアングル11の裏面の適宜箇所にはアンカー部材14が取り付けられている。溝蓋載置部12に取り付けられているボルト15は溝蓋を取り付けるためのものである。この例に示す受枠10は、長さ方向が約200cm、幅方向が52cmに作製されている。
【0011】
コーナーアングル11どうしを連結する連結部材13は、異形丸棒鋼の他に、通常の角棒鋼や丸棒鋼を使用することができ、又、断面L形、T形又は平板等の板状の鋼材を適宜切断、曲げ加工して使用してもよい。また、コーナーアングル11と連結部材13との連結は、溶接による場合の他、ボルト、ナットによる締め付けによってもよい。連結部材13は、受枠10全体が変形しない構造や連結部材13自体の強度、さらに逆U字型溝ブロック100の躯体強度を補強すること等を考慮して適宜箇所に設けられ、実施例においては4箇所としている。
【0012】
このような受枠10を用いて、逆U字型溝ブロックを作製する場合においては、図4に示すように、受枠10を逆さ状態にして型枠40内にセットして固定する。この場合、コーナーアングル11どうしが連結部材13によって連結されているので
、コーナーアングル11の側縁を上から押えこむ爪41によって型枠40に固定することができる。そして、型枠40内にはコンクリートを流し込み、固化した後に型枠40を取り外すことにより、逆U字型溝ブロック100を作製することができる。
【0013】
こうして出来上がった逆U字型溝ブロック100は、図5〜図7に示すように受枠10がコンクリートに一体化されており、コーナーアングル11の載置部12には、ボルト15(図1)に螺着するナット30によって溝蓋20が取り付けられるようになっている。受枠10の連結部材13はコンクリートに埋め込まれており、これによって逆U字型溝ブロック100の躯体強度、とくに通路部上方のコンクリート壁の強度が補強されている。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記構成により、逆U字型溝ブロックを安全に作製することができるとともに、作製時間の短縮化を図ることができる受枠を提供することができ、さらに躯体強度も同時に備えた逆U字型溝ブロックの作製を可能にした優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る受枠の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す実施例についての平面図である。
【図3】 同じく図1に示す実施例についての側面図である。
【図4】 逆U字型溝ブロックの作製状態を示す断面図である。
【図5】 受枠が一体化された逆U字型溝ブロックを示す平面図である。
【図6】 図5のA-A線断面図である。
【図7】 図5のB-B線断面図である。
【符号の説明】
10 受枠
11 コーナーアングル
12 載置部
13 連結部材
14 アンカー部材
15 ボルト
20 溝蓋
30 ナット
40 型枠
41 爪
 
訂正の要旨 〔訂正の要旨〕
特許第2540449号の明細書を、特許請求の範囲の減縮を目的として下記a、b、cのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的として下記a-1、a-2、b-1、c-1、dのとおり訂正する。
a 特許請求の範囲の請求項1及び請求項2の「溝ブロツク」(特許第2540449号公報(以下「本件特許公報」という。)1頁1欄2行、5行、7行及び9行)を、「逆U字型溝ブロック」と訂正をする。
2.訂正事項a-1
発明の名称「溝ブロック用受枠」を、「逆U字型溝ブロック用受枠」と訂正する。
a-2 明細書の以下の箇所の「溝ブロック」を、「逆U字型溝ブロック」と訂正する。
段落【0002】(本件特許公報2欄2行、3〜4行)、段落【0005】(同3欄15行、17行、19行)、段落【0006】(同3欄23行、27行)、28〜29行)、段落【0007】(3欄32行)、段落【0008】(同3欄34行、37行、40行、49行、50行、4欄2行)、段落【0009】(同4欄6行)、段落【0011】(同4欄30〜31行)、段落【0012】(同4欄34行、42行)、段落【0013】(同4欄43行、49行)、段落【0014】(同5欄3行、6行)、【図面の簡単な説明】の【図4】(同5欄14行)、【図5】(同5欄15行)
b 特許請求の範囲の請求項1の「配置されるコーナーアングル」の「る」と「コ」の間に、「と共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」を挿入する。
b-1 明細書の段落【0006】(同3欄25行)及び段落【0008】(同3欄36行)の「配置されるコーナーアングル」の「る」と「コ」の間に、「と共に前記逆U字型溝ブロックの長手方向の長さと同じ長さを有し、更に溝蓋を載置する溝蓋載置部を有する」を挿入する。
c 特許請求の範囲の請求項1の「溝ブロックを形成する」(同1欄5行)の「溝ブロックを形成する」の「ク」と「を」の間に、「の通路部上方」を挿入する。
c-1 明細書の段落【0006】(同3欄27行)、段落【0008】(同3欄37行、49行)の「溝ブロックを形成する」の「ク」と「を」の間に、「の通路部上方」を挿入する。
d 明細書の段落【0008】(同3欄50行〜4欄1行)及び段落【0009】(同4欄6行)の「溝ブロックの駆体強度」の「ク」と「の」の間に、「の通路部上方」を挿入する。
審決日 2002-01-24 
出願番号 特願平6-89516
審決分類 P 1 41・ 851- Y (E03F)
P 1 41・ 121- Y (E03F)
P 1 41・ 856- Y (E03F)
P 1 41・ 853- Y (E03F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 浅香 理  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
蔵野 いづみ
登録日 1996-07-08 
登録番号 特許第2540449号(P2540449)
発明の名称 逆U字型溝ブロック用受枠  
代理人 廣江 武典  
代理人 廣江 武典  

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