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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する E02D |
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管理番号 | 1057440 |
審判番号 | 訂正2001-39202 |
総通号数 | 30 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-01-20 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2001-11-05 |
確定日 | 2002-02-06 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3010244号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3010244号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1 請求の要旨 本件審判請求の要旨は、特許第3010244号(平成5年6月30日特許出願、平成11年12月10日設定登録)の明細書を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、以下の訂正事項のとおり訂正することを求めるものである。 訂正事項(1) 特許請求の範囲の請求項1に記載の「上下貫通孔」を「上下方向の貫通空間」と訂正する。 2 当審の判断 願書に添付した明細書の【問題点を解決する手段】の項には、「この発明は、略鉛直方向の表面板と、その下端に略直交し、少なくとも法面表面側に突出する前方底板を付設し、上記前方底板には植生するのに必要な、上下方向の貫通空間を設けた表面形成用板体を用いることを特徴とするものである。」(本件特許明細書、段落【0003】)と記載され、【作用】の項には「板体を段々状に積み重ねると、小段が形成出来るし、・・・前方底板の空間を大きく形成しておくことにより、木本類を植生できるので、」(同【0004】)、【発明の効果】の項には「小段部分の底板には上下方向の大きな貫通空間が設けてあるので、草や木の植生が可能である。」(同【0021】)と記載されている。これらの記載は、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明においては、底板における「表面側の突出部」に草木の植生を可能とする「上下方向の貫通空間」が設けられることを示している。 又、請求項1に係る発明を図面とともに詳細に説明する「実施例」には、底板での開口に関して「本発明の実施例を・・・説明する。・・・板材13(「14」の誤記と認める。)同志の間には広い上下方向の貫通空間15が形成される。」(同【0005】、【0006】)という記載があるが、該記載も底板には「上下方向の貫通空間」が設けられることを示しており、更に底板13を図示する「図2」においても板材14間の開口は「貫通空間」であると記載している(【図面の簡単な説明】の項中の【符号の説明】及び図2)。そして、底板における草木の植生を可能とする板材14間の開口については、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明では「上下方向の貫通空間」又は「貫通空間」という語を用いた説明がなされているだけである。 一方、願書に添付した明細書の請求項1は、底板に関して「底板の少なくとも表面側の突出部に、木本類の植栽が可能な程度の大きな上下貫通孔を設けた」と記載しているので、底板における草木の植生を可能とする開口部の表現は不一致である。 請求項1に記載の「上下貫通孔」の語の前にはこれを修飾する「底板の少なくとも表面側の突出部に、木本類の植栽が可能な程度の大きな」という記載があることから、訂正しようとする「上下貫通孔」が、発明の詳細な説明に記載の「上下方向の貫通空間」に対応する部分であることは明らかであり、又、草木の植生を可能とする「底板」の開口は、発明の詳細な説明に記載の「上下方向の貫通空間」の記載が正しいことも明らかである。 そうであるから、請求項1に記載の「上下貫通孔」は、「上下方向の貫通空間」と記載すべきところ「上下貫通孔」と誤記したものと認められる。 そして、上記訂正事項(1)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 3 むすび したがって、本件訂正審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的し、かつ、同条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体とその施工方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 盛土基盤層の上に、略水平に、且つ、先端部が下段の表面形成用枠体の表面板の上端部に近接した状態で載置される底板と、上記底板の所定の箇所に、略鉛直に立設されて、盛土の各段の表面を形成する表面板とからなる、略逆T字型の表面形成用枠体であって、 底板の少なくとも表面側の突出部に、木本類の植栽が可能な程度の大きな上下方向の貫通空間を設けたことを特徴とした、植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体。 【請求項2】 底板は、剛性棒状体の複合体からなることを特徴とした、請求項1に記載した、植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体。 【請求項3】 請求項1ないし請求項2のいずれか一項に記載した、植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体を、盛土の先端部に設置し、盛土内に略水平方向に敷設されるジオグリッド材などの引張強度の大きいアンカー材と連結した後、表面板の背後に盛土する作業を順次繰り返すことを特徴とした、植生可能な段々式盛土の表面形成用枠体の施工方法。 【請求項4】 上段に設置した底板の先端部と、下段の表面板の上端部とを、連結することを特徴とした、請求項3に記載した、植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体の施工方法。 【請求項5】 底板上の表面板の立設位置を変えることにより、形成する段々式盛土全体の勾配を変えることを特徴とした、請求項3ないし請求項4のいずれか一項に記載した、植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体の施工方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、ジオグリッド材で層状に補強された急勾配盛土において、段々状の盛土表面を形成するための表面形成用板体とその施工方法に関する。 【0002】 【従来の技術と問題点】 従来は断面がL字状に屈折された表面形成用板体を盛土の端部に立設し、L字状の底板の端部と立板の上部とを互いに緊結した上、L字状の内側に盛土をしてきた。底板の上の盛土の重量により、立板が外側に押されるのを防いできた。しかし、このためには底板がある程度長くないと、盛土の重量が小さく、立板の押されるのを防ぐことができなかった。又、段々状に積み上げる場合には表面形成用板体が段毎に独立しているので不安定になる傾向があった。この発明はこのような欠点を解決することを目的としている。 【0003】 【問題点を解決する手段】 この発明は、略鉛直方向の表面板と、その下端に略直交し、少なくとも法面表面側に突出する前方底板を付設し、上記前方底板には植生するのに必要な、上下方向の貫通空間を設けた表面形成用板体を用いることを特徴とするものである。 【0004】 【作用】 このように構成すると、表面板を前方に倒すには、表面板と底板とが確りと固定されているので、底板の先端が回転の中心になり、表面板の下端が回転の中心になる従来の方法に比べると、非常に大きな回転力を与える必要がある。従って、表面板を前方に移動しないように引っ張っておくだけで、安定させることができる。板体を段々状に積み重ねると、小段が形成出来るし、下段の表面板と上段の前方底板を連結することにより、多段の板体は一体化により安定できる。前方底板の空間を大きく形成しておくことにより、木本類を植生できるので、景観上望ましい。 【0005】 【実施例1】 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1に示すのは表面形成用板体1の表面板11の一例である。補強コンクリート製で断面形状が半円形の擬木複数本を並列した形状の表面板11を形成する。その大きさは高さ約1メートル、巾約2メートルである。表面板11の裏面上端部に連結棒12を付設しておく。 【0006】 図2に示すのは表面形成用板体1の底板13の一例である。幅3センチメートル、高さ5センチメートル、長さ1メートル弱のガラス繊維補強樹脂からなる板材14を50センチメートル間隔で平行に並べ、両端に同様板材13を付設して簀子状に一体化したものである。予め一体に成形してもよいことは勿論である。板材13同志の間には広い上下方向の貫通空間15が形成される。 【0007】 図3に示すのは表面板11と底板13とを接合した表面形成用板体1である。前方に50センチメートルを余して、底板13の上に直角に表面板11を立設する。表面板11の裏面側と底板13とは筋交い棒16ないし筋交い板で結合して接合を確実にしておく。表面板の高さと前方に余す底板の長さが設置した場合の勾配を規定する。上記のように構成すると、前方の底板の長さを変えることにより、勾配をある程度自由に決定することが可能となる。 【0008】 図4に示すのは連結具2である。長尺の亜鉛メッキ鋼板からなるアングル材20の底辺の縁に沿って、下方に突出する多数のフック21が並列的に付設してある。立辺には10センチメートル間隔で連結孔22が設けてある。 【0009】 図5に示すのは急勾配盛土である。盛土基盤30上に盛土端部31から奥に向かって敷設されたジオグリッド材4は、引張強度の非常に大きい繊維からなり、目合い3センチメートル角、幅が1メートルの長尺の柔軟性のある網状物からなる。ジオグリッド材4の上、盛土端部31に底板13の先端が沿うように、第一段の表面形成用板体1を直列的に敷き並べて固定する。 【0010】 固定するには、図6に示すように、連結具2の立辺を底板13の後端に当て、連結孔22を通してねじ釘で固定する。連結具2のフック21を、それぞれジオグリッド材4の網目を通し横糸41に引っ掛ける。 【0011】 このように準備した後、前出図5に示すように、盛土基盤30の上、表面板11の背後に半分の高さの50センチメートルの盛土3を行う。盛土はローラー・タンパーを用いて充分に締め固める。続いて表面板11の上端までの高さの盛土3を行う。 【0012】 第一層の盛土が完成したら、第一層の盛土の上に第二層のジオグリッド材4の敷設を行い、その上に第二段の表面形成用板体1を設置する。第二段の表面形成用板体1は第一段のものよりも50センチメートル内側に立設し、第一段と同様にジオグリッド材4と連結する。又、底板13の先端を第一段の表面板11の裏面上端部の連結棒12に載架して大型ネジ釘などを用いて相互を連結する。 【0013】 この相互連結の結果、第一段と第二段の表面形成用板体が一体化される上に、第一段の表面形成用板体は、第二段の底板を介して第二層のジオグリッド材4とも連結されたことになり、背後からの土圧にもより強く抵抗することができる。 【0014】 このように準備した後、第二段の表面板11の背後に、第一層と同様にして第二層の盛土3を施工する。以下同様にして第三・第四段の表面形成用板体の設置と第三・第四層の盛土を施工して、階段状の表面を持った急勾配盛土を完成する。 【0015】 形成された階段のそれぞれの小段5の上には、巾約50センチメートルの狭い水平な地面が形成される。小段には目の細かいジオグリッド材は敷設されておらず、幅50センチメートルの貫通空間があるので、草類・花類は勿論、小樹木6などの木本類の植生が可能である。 【0016】 表面形成用板体は、略垂直な表面板に水平な底板が付設されていれば実施例に限定されるものではない。ネット状物・軽量な補強セメント板・樹脂モルタル板・ガラス繊維補強セメント板・自然木などある程度の剛性があれば、その素材・形状を規定するものではない。表面を擬木・擬石などの模様を施しておくことも美観の点から有効な手段である。又、異なる素材を用いた物を複合したものでもよい。表面板と底板を一体に形成したものでよいことは勿論である。 【0017】 例えば、軽量で、剛性と耐蝕性が高いアルミ/合成樹脂/アルミの3枚の薄板からなる複合板体を用いることも可能である。図7に示すように、上記複合板体からなる長方形の表面板11の四周辺を、狭い巾で裏側に屈折して四辺にそれぞれ屈折片17を形成する。屈折片には所々に連結孔22を設けておくと、底板との接合や隣接する板体同志の連結にも都合がよい。この材料は、四辺の屈折片がリブとして働くので剛性が大きい上、上下左右の連結も容易であり、しかも軽量なので、基礎に掛かる荷重も小さく、表面形成用板体に適している。 【0018】 表面板と底板の連結は図8に示すように、表面板11の上端部裏面に、上方が開口した鉤18を取り付けておいて、この鉤に上段の底板13の先端の下部を挿入するような方法でもよい。挿し込むだけでよいので施工が簡単であるし、ある程度の自由性があるので都合がよい。 【0019】 図9に示すように、表面板の上端部とジオグリッド材とを連結しておいてもよい。この場合には、表面板の下端から1メートル程度離れた箇所で、ジオグリッド材4に亜鉛メッキパイプなどの長尺の係留基材32を取り付け、この係留機材32と表面板11の上端部とを緊結するのがよい。ジオグリッド材全体の引張力が係留基材に伝えられ、表面板を確りとジオグリッド材4に結び付けるからである。この場合には、底板13も係留基材32に緊結するのが望ましい。緊結に用いる道具としては、充分の引張力と土中での耐久性があれば、素材・形状などは自由に選択できるが、例えば、中間にターンバックル33の付いた緊結棒34などが適している。 【0020】 尚、アンカー材としてはジオグリッド材で代表して説明したが、盛土の滑り破壊に対抗できる充分の引張強度を有すれば、高強度繊維からなる網状物に限定する必要はなく、不織布・金網・鋼板などであってもよい。又、その形状も全面に敷設するシート状の他、帯状のものなどであってよい。 【0021】 【発明の効果】 この発明はこのように構成されているので、次のような特長を有する。表面板の前方に底板が突出しているので、背後からの土圧で表面板が前に倒れ難い。表面板の上端をアンカー材と緊結すると更に難しい。前方に底板が突出しているので、下段の表面形成用板体と上段の表面形成用板体とを連結することにより、表面形成用板体が一体化できて安定度が高い。表面板と底板とを別部材としておくと、連結位置により勾配を変えることが出来るので都合がよい。小段部分の底板には上下方向の大きな貫通空間が設けてあるので、草や木の植生が可能である。 従来は垂直壁にコンクリート製品が用いられていたが、重量が大きく施工が大変であり、強固な基礎を作る必要があった。この発明では表面形成用板体を軽量にできるので、施工は簡単であり、強固な基礎も必要がないので好都合である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 表面板の一例を示す背面からの斜視図である。 【図2】 底板の一例を示す平面図である。 【図3】 表面形成用板体の一例を示す側面図である。 【図4】 連結具の一例を示す斜視図である。 【図5】 表面形成用板体の施工状況の一例を示す側断面図である。 【図6】 表面板とジオグリッド材の連結方法の一例を示す側断面図である。 【図7】 表面板の一例を示す背面からの斜視図である。 【図8】 表面板と底板の連結方法の一例を示す部分側断面図である。 【図9】 表面板とジオグリッド材の連結方法を示す側面説明図である。 【符号の説明】 1 表面形成用板体 11 表面板 12 連結棒 13 底板 14 板材 15 貫通空間 16 筋交い棒 17 屈折片 18 鉤 2 連結具 20 アングル材 21 フック 22 連結孔 3 盛土 30 盛土基盤 31 盛土端部 32 係留基材 33 ターンバックル 34 緊結棒 4 ジオグリッド材 41 横糸 5 小段 6 小樹木 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許請求の範囲の請求項1に記載の「上下貫通孔」を「上下方向の貫通空間」と訂正する。 |
審決日 | 2002-01-25 |
出願番号 | 特願平5-187442 |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(E02D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎 |
特許庁審判長 |
嶋矢 督 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 蔵野 いづみ |
登録日 | 1999-12-10 |
登録番号 | 特許第3010244号(P3010244) |
発明の名称 | 植栽可能な段々式盛土の表面形成用枠体とその施工方法。 |