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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1057550
審判番号 不服2001-8349  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-06-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-17 
確定日 2002-04-18 
事件の表示 平成10年特許願第346324号「光記録媒体」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 6月23日出願公開、特開2000-173102]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年12月7日の出願で、その請求項1に係る発明(以後、「本願発明」という)は、明細書及び図面から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載の事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】透明性カートリッジと、前記透明性カートリッジに中に収められた互いに貼合わされた基板とを含む書込み可能な光記録媒体であって、前記基板には人間の肉眼による認識が可能な画像を有する基板を含むことを特徴とする光記録媒体。」
なお平成13年6月12日付けで、本件の審判請求に伴ってなされた補正は、補正の後も、なお、その特許出願の際独立して特許を受けることができないとして却下された。
II.引用刊行物に記載の発明
原審で拒絶の理由として引用した特開平9-106575号公報(以後、「刊行物1」という)には、
A.「【請求項1】 第1の実質的に平らな面および該第1の面と対向する第2の面を有しており、該第2の面上において、該第2の面の該第1の面からの距離の局所的な変化によって情報が記録されている、実質的に透明なプラスチックからなる第1のディスクと、
該第1のディスク中を通って入射した光を該第1のディスク中を通って反射して返すための、該第2の面の上に設けられた第1の光反射コーティングであって、該第1のコーティングは、該第2の面の該局所的な変化に応じていることによって、該光を、該局所的な変化に応じて該第1のディスク中を通って反射して返す、第1の光反射コーティングと、
該第1のディスクと実質的に同じ厚さを有する第2のプラスチックのディスクであって、該第2のディスクは、実質的に平らな、互いに対向する第3および第4の面を有しており、該第2のディスクは、該第3の面が該第2の面に面するように該第1のディスク上に重ねられて固定される第2のディスクと、
該第4の面を観察することによって視認される該第2のディスク上のマークであって、該記録媒体に関連する識別情報を該記録媒体の使用者に視覚的に提供するマークと、
を備えている情報記録媒体。」(公報特許請求の範囲の請求項1参照)、
B.「【0037】
本発明は、2枚のディスクを背中合わせに接合してなる2枚ディスクスタックから構成される情報記録媒体を提供し、そのことによって上記およびその他の目的を達成する。スタック中の第1のディスクは、実質的にKramerの米国特許第5,068,846号に示されるように、形成される。従って、第1のディスク上には、光学読み取り式プログラム情報が公知の方法で記録されている。スタック中の第2のディスク上には、実質的なプログラム情報は記録されていないが、視認可能なマーク(indicia)を有している。」(公報第9〜10欄参照)、
C.「【0041】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に本発明に基づいて製造された2枚ディスクスタック10の一実施態様を示す。図示されるように、2枚ディスクスタック10は、第1のディスク20および第2のディスク40が背中合わせに接合されてスタックを形成することによりなる。第1のディスク20および第2のディスク40の各々は、中央孔を有する。スタック10において、これらの中央孔は位置合わせされることにより、中央スタック孔12を形成する。中央スタック孔12によって、スタックをスピンドル上に設置して軸14の周りに回転させ、スタックに記録された情報の再生することが可能になる。」(公報第11〜12欄参照)
の記載があり、これらの記載事項をまとめると、刊行物1には、
「背中合わせに接合されてスタック10を形成する第1のディスク20と第2のディスク40とを含み再生可能な光記録媒体であって、前記第2のディスク40には視認可能なマーク(indicia)を有していることを特徴とする光記録媒体。」
(以後、「刊行物1に記載の発明」という)が記載されているものと認められる。
また、原審で同時にもう一つの拒絶の理由として引用した特開平1-279478号公報(以後、「刊行物2」という)には、
D.「光学的ディスクは、情報の読み取りにレーザー光等の光学信号を用いるため、表面に傷、塵埃、汚れ等が付着した場合に、情報の読み取りが不正確になる恐れがある。そこで、光学的ディスクをケースに収納することが考えられるが、収納の度にケースから出し入れすることは不便であり、直接手で触れるためにディスクに傷、塵埃、汚れ等が付着する可能性がある。このようなことを防止するために、現在ではディスクを出し入れすることなく使用できるシャッタ機能付ディスクカートリッジが使用されている。」(公報第1頁左下欄第17行〜同頁右下欄第9行参照)、
E.「ディスク上記録媒体を収容するディスクカートリッジにおいて、中心の円形の記録媒体収納部を内部を目視しうる透明とし、その他の外周部を不透明としたことを特徴とするディスクカートリッジ。」(特許請求の範囲参照)、
F.「本発明の目的は、カートリッジの記録媒体収納部を透明にすることにより、カートリッジの外部から記録媒体の状態を確認して、記録媒体に付着する傷や塵埃による記録再生装置の故障や不正確な情報読み取りを未然に防止することが可能なディスクカートリッジを提供することにある。」(公報第2頁左上欄第1〜6行参照)
の記載があり、デイスクカートリッジの一部を透明にして、収納したディスクの表面状態を外部から目視により観察できるようにして、本願発明と同様に使用間違いを防止し得るようにすることが示されている。
III.対比・判断
そこで、本願発明を刊行物1に記載の発明と対比すると、刊行物1に記載の発明の「背中合わせに接合されてスタック10を形成する第1のディスク20と第2のディスク40とを含む光記録媒体」は、本願発明の「互いに貼合わされた基板を含む光記録媒体」に相当し、刊行物1に記載の発明の「視認可能なマーク」は実施例では絵画を含んでおり、本願発明の「人間の肉眼による認識が可能な画像」に相当するのが明らかなので、両者は、
「互いに貼合わされた基板を含む光記録媒体であって、前記基板には人間の肉眼による認識が可能な画像を有する基板を含むことを特徴とする光記録媒体。」
である点で一致し、
本願発明が「透明性カートリッジ」を備え、「光記録媒体」が「透明性カートリッジの中に収められ」ているのに対し、刊行物1に記載の発明のものはカートリッジを備えていない点、及び
本願発明の「光記録媒体」が「書込み可能」であるのに対し、刊行物1に記載の発明の「光記録媒体」は「再生」のみと見られる点、
の2点において相違が見られる。
これら2つの相違点につき更に検討する。
第1の点については、刊行物2の記載Dに見られる如く、本願出願時点では光記録媒体は、傷、塵埃、汚れを避けるためにディスクカートリッジに収納されることが多いことを考慮するならば、刊行物1に記載の光記録媒体をディスクカートリッジ収納タイプとすることに格別の技術的創作を要することは考えれず、
また、第2の相違点についても、本願出願当時すでに、追記型光ディスク、相変化型等の書き換え可能型光ディスクなど記録可能な光ディスクが周知慣用されている事実を勘案すれば、このような環境において、刊行物1に記載の光記録媒体を再生型から記録可能なものに変更する程度のことも当業者には容易に想到可能であると認められ、刊行物1に記載の光記録媒体を透明カートリッジに収納し、外部より光記録媒体上の画像を視認することにより装飾的効果を得られることも、刊行物1の視認可能なマークに絵画が含まれていることから、刊行物1の記載から予想可能な範囲内の効果に過ぎない。 さらに、この装飾性の点は、特開平5-325494号公報、特開平8-185685号公報に見られるように、本願出願時にすでに提案済みの事項に過ぎない。
IV.むすび
以上のとおり、本願発明は、原審で引用した刊行物に記載の発明及び本願出願時の周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-13 
結審通知日 2002-02-19 
審決日 2002-03-06 
出願番号 特願平10-346324
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ゆずりは 広行殿川 雅也  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 田良島 潔
内藤 二郎
発明の名称 光記録媒体  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  

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