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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1057660 |
審判番号 | 不服2001-20323 |
総通号数 | 30 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-11-14 |
確定日 | 2002-05-13 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 84630号「ウエハ周辺露光装置のウエハ処理ステージ」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 9月29日出願公開、特開平10-261582、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.経緯・本願発明 本願は、平成9年3月19日の出願であって、原審において拒絶査定がなされ、その後、拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。 その発明は、平成13年9月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。 請求項1 「ウエハ上の不要レジストを露光するウエハ周辺露光装置において当該ウエハを吸着保持するウエハ処理ステージであって、 駆動手段に接続され該駆動手段により互いに直行する二方向および回転方向に 駆動され内部に真空吸着路を有する軸と、 該軸に取りつけられ中央部に孔を有するフランジ状の基材と、 表面にウエハを吸着固定するための真空吸着部が設けられ内部に該真空吸着部と連通するウエハ吸着固定用通路が設けられている円板状のウエハ固定部とからなり、 該ウエハ固定部と該軸とは上記フランジ状の基材の孔を貫通し該ウエハ固定部のウエハ吸着固定用通路と上記軸の真空吸着路とを連結するための接続パイプにより接続されていて、 上記ウエハ固定部の下面には3個のV溝体が設けられ、 上記基材には該基材表面に直角な方向に変位可能な3個の支持軸が設けられ、 上記3個のV溝体とそれぞれ対遇する上記3個の支持軸により上記ウエハ固定部が上記基材に対する傾斜角度が調節可能であるように支持され、 上記3個のV溝体は上記円板状のウエハ固定部の中心に対して同心円状であって、上記3個のV溝体の方向に一致する仮想線が一点で交わるように配置されていることを特徴とするウエハ周辺露光装置のウエハ処理ステージ。」 請求項2 「前記仮想線の交点が前記円板状のウエハ固定部の中心と略-致していることを特徴とする請求項2に記載のウエハ周辺露光装置のウエハ処理ステージ。」 請求項3 「前記基材には3個の貫通孔が設けられ、 前記ウエハ固定部材の下面には3個の雌ねじ孔が設けられ、 3個のスプリングワッンャと上記3個の貫通孔とを貫通する3個の雄ねじと上記雌ねじとがそれぞれ螺合し、 上記3個の雌ねじと螺合する上記3個の雄ねじは上記円板状のウエハ固定部の中心に対して同心円状であって、上記仮想線上に位置していて、上記真空吸着部はウエハ固定部の表面の周辺部に円周状に設けられていることを特徴とする請求項1,2に記載のウエハ周辺露光装置のウエハ処理ステージ。」 2.原審の拒絶査定で引用した、特許法第29条第2項に関する引用例 2.1 実願昭57-71500号(実開昭58-175631号公報)のマイクロフィルム)(以下、「引用例1」という。) 2.2 特開平8-162386号公報(以下、「引用例2」という。) 2.4 引用例に記載された発明の内容 2.4.1 引用例1に記載された発明の内容 引用例1には、「第3図はこの考案の一実施例で…基台(20)の三箇所に等角度に設けられ、上記基台(20)を挿通して設けられる支承装置(21)…を主要素して構成されている。…上記支承装置(21)は…端面カム面(29)と、この端面カム面(29)の面を滑動する球体(30)で構成されているものでウエハチャック(23)はその下面に取り付けたv溝体(31)の溝部に球体(30)を当接させて支持されている。」([考案の実施例]の項)と記載されている。 第3図を参照すると、引用例1におけるV溝体の溝の方向は、上記支承装置(21)の周方向であると認められる。 2.4.2 引用例2に記載された発明の内容 引用例2の【0002】〜【0004】段落には、「【0002】【従来の技術】この種の露光装置の一例としてウェハ周縁露光装置が知られている。ウェハ周縁露光は、ステッパーやアライナーで回路パターン等が露光された半導体ウェハを現像したときに残存する周縁部のレジストが、その後のプロセスのための搬送中等に剥離して異物になるのを防止する目的で行なわれる。… さてこの種の周縁露光では、外周エッジ部のレジスト層が現像時に確実に除去されることが重要であり、そのレジスト層に適した露光量、すなわちドーズ量を適確に与える必要がある。この場合、露光量の制御は、…露光光を射出する光学素子(光ファイバーやレンズ)と感光基板との間隔の調整…によって達成される。」と記載されている。 3.対比、判断 原査定では、本願請求項1〜3に係る発明は、引用例2に、引用例1に記載された手段を単に適用することにより容易に発明できた旨の認定をしたが、この認定について検討する。 本願請求項1に係る発明及び本願請求項1を引用する本願請求項2及び3に係る発明(以下、「本願請求項1〜3に係る発明」という。)が、「上記3個のV溝体とそれぞれ対遇する上記基材に対する傾斜角度が調節可能であるように支持され、 上記3個のV溝体は上記円板状のウエハ固定部の中心に対して同心円状であって、上記3個のV溝体の方向に一致する仮想線が一点で交わるように配置されている」構成(以下、「本願請求項1〜3に係る発明の特徴的構成」という。)を有し、当該本願請求項1〜3に係る発明の特徴的構成により、本願請求項1〜3に係る発明は、「【0051】また、上記3個のV溝体を上記円板状のウエハ固定部の中心に対して同心円状であって上記3個のV溝体の方向に一致する仮想線が一点で交わるように配置すれば、周囲温度の変化によるウエハ固定部の熱伸縮は上記交点を基準とした伸縮となりウエハ固定部自体が動かない。よって、露光位置精度が向上し、ウエハの大口径化による不要レジストの露光にかかる時間が増大しても、階段状の不要レジストの互いに直行する二方向を向いた辺の方向と露光光がウエハに対して相対的に移動する互いに直行する二方向とがずれることがなく、所望の露光を達成できる。」(明細書詳細な説明【0051】段落)という効果を有するのに対し、引用例1及び2記載の発明は、上記本願請求項1〜3に係る発明の特徴的構成及び上記効果がない点で本願請求項1〜3に係る発明と相違する。 そうすると、本願請求項1〜3に係る発明は、引用例1及び2に基づいて容易に想到できたとはいえない。 4.むすび 本願請求項1〜3に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした原査定は妥当ではない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-04-16 |
出願番号 | 特願平9-84630 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 南 宏輔 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
辻 徹二 北川 清伸 |
発明の名称 | ウエハ周辺露光装置のウエハ処理ステージ |