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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01C
管理番号 1057750
審判番号 審判1999-13518  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-07-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-08-19 
確定日 2002-04-24 
事件の表示 平成 9年特許願第367353号「薄層化排水性舗装道路構造」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 7月 6日出願公開、特開平11-181708]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年12月24日の出願であって、その請求項1ないし11に係る発明は、平成11年1月14日付け手続補正書により全文補正された明細書および平成11年1月14日、平成10年4月2日付け手続補正書により補正された出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明1」という。)は次のとおりである。
【請求項1】 不透水性の基層表面に透水性を有する表層が厚さ50mm以下の薄層に形成された排水性舗装道路と、この排水性舗装道路に隣接して埋設されてなる側溝とから構成され、前記側溝は断面略U字状に形成され且つ一方の側壁の所要箇所が上端部から中途部まで側溝長さ方向に間隔を空けて複数箇所切り欠かれてなり、この切り欠き部の最下面が前記排水性舗装道路の基層と表層との境界線若しくは境界線よりも下部位置に配設されてなることを特徴とする薄層化排水性舗装道路構造。
なお、平成11年9月16日付けでされた手続補正は、却下された。

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平09-242161号公報(以下、「引用例1」という。)には、段落【0013】〜【0015】、【0024】〜【0027】及び図1、図11〜14の記載を参照すると、図11,12、図13,14に基づく実施例として、不透水性基層表面に透水性表層が形成された排水性舗装を施した道路と、この排水性舗装を施した道路に隣接して埋設されてなる側溝とから構成され、前記側溝は落蓋型のU型側溝で、一方の側壁の所要箇所が上面から中途部まで側溝長さ方向に間隔を空けて複数箇所スリット状の本体排水溝が形成されており、この本体排水溝の側壁外面における下端は、透水性表層の下面と同じ高さになっていて、透水性表層から側溝本体内の空間へ通じる排水路を形成している排水性舗装を施した道路構造が記載されており、また、段落【0042】の「つぎに、本発明の側溝の第13実施例を図27に基づいて説明する。この第13実施例の側溝は、U型側溝であり」、段落【0054】の「なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、前記第1実施例の集水溝23と同様のものは、蓋体嵌合部15の底面17に本体排水溝24を有する他の実施例でも採用できる。また、本発明は、前記実施例以外の各種側溝にも適用でき、各実施例で示した排水路の構成も、適宜組み合わせて採用できる。」の記載を参酌すると、引用例1には、「不透水性基層表面に透水性表層が形成された排水性舗装を施した道路と、この排水性舗装を施した道路に隣接して埋設されてなる側溝とから構成され、前記側溝はU型側溝で、一方の側壁の所要箇所が上面から中途部まで側溝長さ方向に間隔を空けて複数箇所スリット状の本体排水溝が形成されており、この本体排水溝の側壁外面における下端は、透水性表層の下面と同じ高さになっていて、透水性表層から側溝本体内の空間へ通じる排水路を形成している排水性舗装を施した道路構造」が記載されている。

3.対比・判断
本願発明1と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「不透水性基層」、「透水性表層」、「排水性舗装を施した道路」、「側溝はU型側溝」、「上面」、「スリット状の本体排水溝」、「本体排水溝の側壁外面における下端は、透水性表層の下面と同じ高さになっていて」は、それぞれ、本願発明1の「不透水性の基層」、「透水性を有する表層」、「排水性舗装道路」、「側溝は断面略U字状に形成」、「上端部」、「切り欠き部」、「切り欠き部の最下面が排水性舗装道路の基層と表層との境界線に配設されてなる」に相当するから、両者は、不透水性の基層表面に透水性を有する表層が形成された排水性舗装道路と、この排水性舗装道路に隣接して埋設されてなる側溝とから構成され、前記側溝は断面略U字状に形成され且つ一方の側壁の所要箇所が上端部から中途部まで側溝長さ方向に間隔を空けて複数箇所切り欠かれてなり、この切り欠き部の最下面が前記排水性舗装道路の基層と表層との境界線に配設されてなる排水性舗装道路構造の点で一致し、下記の点で相違している。
a.表層の厚さが、本願発明1では、厚さ50mm以下の薄層に形成してあるのに対し、引用例1記載の発明では、そのような限定がない点。
しかしながら、表層の厚さをどれくらいにするかは、現場の状況に応じて適宜決めうる設計的事項にすぎず、引用例1記載の発明の表層の厚さを、上記相違点aにおける本願発明1と同様に50mm以下の薄層に形成することは、当業者が容易になしうる程度のことである。
そして、本願発明1によってもたらされる効果も、引用例1に記載された発明から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。

4.むすび
したがって、本願発明1は、引用例1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-14 
結審通知日 2002-02-26 
審決日 2002-03-11 
出願番号 特願平9-367353
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽松浦 久夫  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
伊波 猛
発明の名称 薄層化排水性舗装道路構造  
代理人 清原 義博  

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