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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1057815
審判番号 不服2000-13431  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-24 
確定日 2002-05-02 
事件の表示 平成 9年特許願第212063号「画像読取り装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 2月26日出願公開、特開平11- 55460]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.[手続の経緯・本願発明]
本願は、平成9年8月6日の出願であって、その請求項1ないし請求項6に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。
「画像データを電気信号に変換する手段としてリニアイメージセンサを用い、読取り画像を結像させるレンズおよび所望方向の部分画像を順次入力するための副走査機構とを組み合わせることにより前記部分画像を2次元画像データに変換する画像読取り装置において、副走査機構は前記読取り画像から前記リニアイメージセンサに至る光路を反射させる副走査用反射鏡を備え、前記レンズとの距離が短いところにある前記副走査用反射鏡の前記リニアイメージセンサに平行に測った幅は、前記レンズとの距離が長いところにある前記副走査用反射鏡の幅よりも短いことを特徴とする画像読取り装置。」
2.[引用刊行物]
これに対し、原査定の平成12年3月7日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由で、引用文献1として引用された特開平6-169372号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の各記載がある。
「この発明は原稿の1次元読取範囲の画像を読み取る1次元固体撮像素子を移動して原稿の2次元画像を読み取るカメラ型画像読取装置に関するものである。」
(公報第3頁左欄第44行〜第47行)
「図1において、20は原稿14からの光路を変化させる反射ミラーであり、反射ミラー20及び読取レンズ7は外箱11を介して支柱13に支持されており、反射ミラー20,読取レンズ7及び外箱11でヘッド部12を構成している。また、22は照明手段であり、照明手段22はハロゲンランプ1及び後述する凹面反射ミラー5を備えていて、原稿14上の1次元読取範囲のみの照度が上がるように直線状に光を集光する。23は照明手段22から投光された直線状の光を撮像素子8の副走査方向(2次元方向)の移動に追従して移動させる照明光移動手段である。」
(公報第5頁右欄第20行〜第30行)
「次に動作について説明する。ハロゲンランプ1から投光された光は照明手段22の照明反射ミラー23Aを介して原稿14上の読取範囲に集光された直線状の光15となる。集光された光15は原稿14で反射されて反射ミラー20に入射する。反射ミラー20に入射した光は90°屈折された状態で反射され、読取レンズ7を介して撮像素子8の撮像面に入射する。これにより原稿14の読取範囲の文字等が撮像素子8で読み取られる。」
(公報第5頁右欄第39行〜第47行)
「次に、それぞれ移動手段9,23用の駆動モータ24(図1(B)参照)を駆動して、撮像素子移動手段9及び照明光移動手段23を作動する。これにより、ボールねじ9Aが回動して撮像素子8が支柱13に沿って上下方向に移動すると共に、照明反射ミラー23Aが軸線23Bを中心に回動する。従って、原稿14に直線状に集光した光は撮像素子8の読取範囲の移動に追従して原稿14に沿って矢印方向に移動する。これにより、撮像素子8は原稿14の2次元像を読み取ることができる。」
(公報第5頁右欄第48行〜第6頁左欄第7行)
「なお、上記実施例1では、撮像素子8を移動させて、原稿14の2次元画像を読み取る方式のカメラ型画像読取装置について説明したが、これに限らず、撮像素子8を固定して反射ミラー20を回転させて原稿14の2次元画像を読み取るようにしてもよい。」
(公報第6頁左欄第49行〜右欄第3行)
3.[対比]
そこで、本願発明1(前者)と引用例1に記載されたもの(後者)とを対比すると、
後者の「原稿の1次元読取範囲の画像を読み取る1次元固体撮像素子8」が、
前者の「画像データを電気信号に変換する手段として用いるリニアイメージセンサ」に、
後者の「原稿14の2次元画像」が、
前者の「読取り画像」に、
後者の「読取レンズ7」が、
前者の「読取り画像を結像させるレンズ」に、
後者の「原稿14上の1次元読取範囲」が、
前者の「所望方向の部分画像」に、
それぞれ対応しているものと認められる。
そして、後者には、前記したように、
「なお、上記実施例1では、撮像素子8を移動させて、原稿14の2次元画像を読み取る方式のカメラ型画像読取装置について説明したが、これに限らず、撮像素子8を固定して反射ミラー20を回転させて原稿14の2次元画像を読み取るようにしてもよい。」とも記載されていて、
この「反射ミラー20を回転させるための駆動機構」と「回転する反射ミラー20」とが、
前者の「所望方向の部分画像を順次入力するための副走査機構」と「この副走査機構が備える副走査用反射鏡」とに、
相当しているものと認められる。
してみると、両者(前者と後者)は、
「画像データを電気信号に変換する手段としてリニアイメージセンサを用い、読取り画像を結像させるレンズ、および、読取り画像からリニアイメージセンサに至る光路を反射させる副走査用反射鏡を備えているものである、所望方向の部分画像を順次入力するための副走査機構とを組み合わせることにより、前記部分画像を2次元画像データに変換する画像読取り装置」
である点で、一致しており、
次の点で、相違しているものと認められる。
相違点:
前者においては、「レンズとの距離が短いところにある副走査用反射鏡のリニアイメージセンサに平行に測った幅は、レンズとの距離が長いところにある副走査用反射鏡の幅よりも短くしている」のに対して、
後者においては、「副走査用反射鏡の幅」についての、特段の記載がない点。
4.[当審の判断]
そこで、この相違点について検討すると、
請求人が、請求の理由において、「引例1は、
リニアイメージセンサを用いたカメラ型イメージセンサにおいて、反射鏡20の幅がリニアイメージセンサ側で狭くなっている構成が記載されています。」と認めているように、後者の図1(A)には、「レンズ7との距離が短いところにある反射ミラー20の1次元撮像素子8に平行に測った幅が、レンズ7との距離が長いところにある反射ミラー20の幅よりも短いこと」を示唆する反射ミラー20が、見受けられる。
したがって、単に、前者のように、「レンズとの距離が短いところにある副走査用反射鏡のリニアイメージセンサに平行に測った幅を、レンズとの距離が長いところにある副走査用反射鏡の幅よりも短くする」ようにする程度のことは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
5.[むすび]
以上のとおりであるので、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-14 
結審通知日 2002-02-19 
審決日 2002-03-22 
出願番号 特願平9-212063
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅澤 洋二立川 功  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 東 次男
関川 正志
発明の名称 画像読取り装置  
代理人 福田 修一  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  

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