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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04D
管理番号 1057844
審判番号 不服2001-18772  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-18 
確定日 2002-05-02 
事件の表示 平成 5年特許願第 82250号「太陽電池付き屋根パネル」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月21日出願公開、特開平 6-294184]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年4月8日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年11月15日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 屋根の傾斜に沿って棟側から軒先側にわたり張られるベースパネルの上面に、少なくとも一対の太陽電池パネルが棟側から軒先側に並べて取り付けられてなる太陽電池付き屋根パネルにおいて、前記太陽電池パネルは、太陽電池の周囲に枠状のフレームが装着されて構成され、棟側に配された太陽電池パネルにおける軒先側のフレームには、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームの上を覆って延びる延出片が形成され、さらにこの延出片の先端は、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームに対して、毛細管現象により雨水が入り込まない程度に隙間を設けて平行に延びているとともに、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームの軒先側の先端に略一致していることを特徴とする太陽電池付き屋根パネル。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特公平4-26375号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、
(ア)「第1a図及び第1b図は、太陽エネルギー収集屋根の側断面図を示す。1は図示しない垂木上に張られた野地板で、前記野地板1上には下地材となる防水紙2が張られ、前記防水紙2上には……桟木3が配設され、前記各桟木3間には断熱材4……が充填されて下地が形成されている。前記桟木3上には金属屋根板5が軒先と棟との間に取付けられ、……金属屋根板5の上に軒先から棟に向って……太陽エネルギー収集体のカバー体となる採光ガラス体Bが順次連結される。」(2頁3欄14ないし35行)、
(イ)「Bは接続部材間に取付けられた採光ガラス体で、採光ガラス体Bの下側には、アモルファスシリコンあるいは結晶シリコン等からなるエネルギー収集器Sが取付けられている。」(2頁4欄8ないし12行)、
(ウ)「第3図〜第6図を参照して、採光ガラス体Bについて説明する。採光ガラス体Bは、2本の縦桟15,15、下桟16、上桟17及びガラス板18とで構成されている。縦桟15は……エネルギー収集器Sを嵌める段部を形成し、……下桟16には、第5図に示すように、下方に張出して……上桟17上面に係合する係合水切22を設け、……上桟17は、第6図に示すように、内側にガラス板18が嵌まる溝27を、その反対側上部に下桟16の係合水切22下面が係合する水返28を先端に有する防水壁29を設ける。」(2頁4欄19行ないし3頁5欄3行)、
(エ)「第11図及び第12図に示すように、順次棟方向に向って採光ガラス体Bの下桟16の排水係合突部25を上部接続部材7に固定した採光ガラス体固定金具Pの係合段部25に嵌合することにより、下桟16の係合水切22が上桟17の上面に係合すると共に、……前記係合水切22が上桟17上面に係合し、上桟17の防水壁29と共に防水構造を可能にする。」(3頁5欄41行ないし同6欄6行)
と記載されている。
(オ)また、第12図には、係合水切22の先端が上桟17の軒先側の先端に略一致している点が記載されている。
これら記載及び第1a、1b図、第3ないし6図、第11、12図の記載からみて、引用刊行物には、「屋根の傾斜に沿って棟側から軒先側にわたり張られる金属屋根板5の上面に、少なくとも一対のエネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bが棟側から軒先側に並べて取り付けられてなる太陽エネルギー収集屋根において、エネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bは、エネルギー収集器Sの周囲に2本の縦桟15,15、下桟16、上桟17が装着されて構成され、棟側に配されたエネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bにおける下桟16には、軒先側に配されたエネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bにおける上桟17の上を覆って延びる係合水切22が形成され、さらにこの係合水切22は、軒先側に配されたエネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bにおける上桟17に対して、隙間を設けて平行に延びているとともに、この係合水切22の先端は、軒先側に配されたエネルギー収集器Sが取付けられた採光ガラス体Bにおける上桟17の軒先側の先端に略一致している太陽エネルギー収集屋根。」の発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用刊行物に記載の発明とを比較すると、引用刊行物に記載の発明の「金属屋根板5」、「エネルギー収集器S」、「エネルギー収集器S及び採光ガラス体B」、「2本の縦桟15,15、下桟16、上桟17」、「下桟16」、「上桟17」及び「係合水切22」が、それぞれ本願発明の「ベースパネル」、「太陽電池」、「太陽電池パネル」、「枠状のフレーム」、「軒先側のフレーム」、「棟側のフレーム」及び「延出片」に相当し、引用刊行物に記載の発明の「金属屋根板5」に、「エネルギー収集器S」を設けた少なくとも一対の「エネルギー収集器S及び採光ガラス体B」を取り付けたものが、本願発明の「太陽電池付き屋根パネル」に相当するから、両者は、「屋根の傾斜に沿って棟側から軒先側にわたり張られるベースパネルの上面に、少なくとも一対の太陽電池パネルが棟側から軒先側に並べて取り付けられてなる太陽電池付き屋根パネルにおいて、太陽電池パネルは、太陽電池の周囲に枠状のフレームが装着されて構成され、棟側に配された太陽電池パネルにおける軒先側のフレームには、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームの上を覆って延びる延出片が形成され、さらにこの延出片は、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームに対して、隙間を設けて平行に延びているとともに、この延出片の先端は、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームの軒先側の先端に略一致している太陽電池付き屋根パネル。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点
本願発明では、棟側に配された太陽電池パネルにおける軒先側のフレームの延出片の先端は、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームに対して、毛細管現象により雨水が入り込まない程度に隙間を設けて平行に延びているのに対し、引用刊行物に記載の発明では、棟側に配された太陽電池パネルにおける軒先側のフレームの延出片は、先端を除いて、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームに対して、隙間を設けて平行に延びているが、延出片の先端は、下方に折曲され、軒先側に配された太陽電池パネルにおける棟側のフレームの上面に係合している点

そこで、相違点について検討すると、屋根構造において、2部材間に毛細管現象により雨水が入り込まない程度に隙間を設けることは、例えば、実公昭46-15960号公報、特開平2-194246号公報に記載のように周知技術にすぎず、また、引用刊行物に記載の発明の下方に折曲された延出片の先端も防水機能を有するという点では、本願発明の延出片の先端と共通するから、引用刊行物に記載の発明の延出片の先端の「下方に折曲された」という構成にかえて、上記周知技術を適用し、相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。
そして、全体として本願発明によりもたらされる効果も、引用刊行物に記載の発明及び周知技術から当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものではない。
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-28 
結審通知日 2002-03-05 
審決日 2002-03-18 
出願番号 特願平5-82250
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽吉岡 麻由子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 中田 誠
鈴木 公子
発明の名称 太陽電池付き屋根パネル  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  

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