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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1057955
審判番号 不服2001-10023  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-02-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-14 
確定日 2002-05-07 
事件の表示 平成11年特許願第202490号「超音波診断装置」拒絶査定に対する審判事件[平成12年2月2日出願公開、特開2000-33088]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 本件は、平成2年11月19日に出願した特願平2-311523号の一部を平成11年7月16日に新たな出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、当審の拒絶理由に対して補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。
「被検体に対する超音波ビームの一つの走査方向の1回の走査時間間隔で、その超音波ビームの打ち出しを同一方向に対し連続して2回送受信して各反射エコー信号を得る手段と、
該得られた各反射エコー信号同士で差分演算して差分画像データを生成する手段と、
該生成された差分画像データを表示する手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。」(以下、本件発明という。)

2 当審の拒絶理由で示した引用例の記載
2-1 特開昭62-114539号公報(引用例1)には、次の記載がある。
「(1) 不均質流体に対して超音波パルス信号を送出して走査し、その反射エコー信号を処理して該不均質流体の流動状況を可視化表示する装置であって、
同一走査線位置に対して微小時間(△T)間隔で複数回超音波パルス信号を送出し、それらの反射エコー信号について相連続する2回のエコー信号間の差を求めることにより、前記不均質流体の流動に基づくエコー画像中の変化部分の移動軌跡を抽出し、これを各走査線について実行して2次元画像に合成して流線片表示することを特徴とする超音波利用の流動表示装置。」(特許請求の範囲)

「〔発明の原理〕
先ず超音波パルスの反射信号による血液の如き不均質流動の映像について説明する。・・・後述するように相つづく2画面の差をとると動かない筋肉や心臓壁等の信号は相殺され流動するスペックルの差信号は観測されるようになる。・・・この一つのスペックル差像は、一つの粒子であるスペックルが緑から赤の方向に移動した事を示し、その色が方向を、その全体のズレ量が流速を示す量となる。・・・第1図(b),(c)共にその一つのスペックル差像は一つの粒子が短時間の露出ΔTの間にズレて写真に写された場合と近似した流線片の像を形成している。」(2頁右下欄13行〜3頁左下欄5行)

2-2 特開昭59-77841号公報(引用例2)
「本発明は一定の時間差を持つ2つのフレーム間の対応する画素データ間に例えば減算等の演算を施し、その演算結果を表示する事により、前記一定時間の間の各部位の移動量、即ち移動速度を明瞭に表示する様にしたものである。」(2頁左上欄10〜14行)
「一般にNフレーム前の像との間で演算を行う場合は、・・・フレームメモリの選択が行われる。」(3頁左上欄8〜17行)
「尚、これまでの説明におけるフレームメモリは、必ずしもRAMを用いたものである必要はなく、例えばシフトレジスタや、CCD等の直列型アナログメモリであっても良い事は言うまでもない。」(3頁左下欄15〜18行)

2-3 特開昭62-189054号公報(引用例3)
「上記の問題点を解決する本発明の手段は、・・・それぞれ1画面分のデータを時系列で格納するフレームメモリを複数個設けると共に、これらフレームメモリの出力側に各フレームメモリから出力される時系列のデータを入力してそれらの間でそれぞれ差分処理を施す差分処理器を設けたことによってなされる。」(2頁右上欄19行〜左下欄15行)

3 対比・判断
引用例1の上記〔発明の原理〕の記載と第1図には、同一走査位置での相連続する2回のエコー信号間の差を求めることや差画像についても説明されているのであるから、引用例1の特許請求の範囲に記載された発明が最終的に流線片表示することを特徴としているとしても、その他に引用例1には、「不均質流体に対して超音波パルス信号を送出して走査し、その反射エコー信号を処理して該不均質流体の流動状況を可視化表示する装置であって、同一走査位置に対して微小時間(△T)間隔で複数回超音波パルス信号を送出し、それらの反射エコー信号について相連続する2回のエコー信号間の差を求め、これを各走査線について実行して2次元画像に合成して差分画像を表示する超音波診断装置」(以下、引用例発明という)が記載されていると認められる。

そうすると本件発明と引用例発明とは、
「被検体に対する超音波ビームの一つの走査方向の超音波ビームの打ち出しを同一方向に対し微小時間間隔で2回送受信して各反射エコー信号を得る手段と、該得られた各反射エコー信号同士で差分演算して差分画像データを生成する手段と、該生成された差分画像データを表示する手段と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。」である点で一致し、次の点で相違する。
本件発明は、一つの走査方向の1回の走査時間間隔で、その超音波ビームの打ち出しを同一方向に対し連続して2回送受信して各反射エコー信号を得るものであるのに対し、引用例発明では、超音波ビームの打ち出しを同一走査方向に対して微小時間(△T)間隔で2回送受信して各反射エコー信号を得るものである点。

相違点について検討するに、引用例1には、「なお、通常のドプラー流速測定の如く、1本の走査線上をn回連続走査し、夫々の受信信号の直交検波出力について、同一深さにおける値を走査順の時系列として見て、その時系列信号を固定体や低速運動する心臓壁の影響を除くための低域除去フィルターに通した後の信号、又はそれから得られるパワー信号を求め、その値を夫々の深さについて求めたものをその走査線のエコー信号として用いてよいことは勿論であって、此の場合はすでに低速運動成分は除去ずみであるので、ノイズの少ない表示を得る利点があるが反面測定に時間がかゝる欠点がある。」(5頁右上欄14〜左下欄5行)
との記載があり、一つの走査方向の1回の走査時間間隔で、その超音波ビームの打ち出しを同一方向に対し連続してn回送受信した結果として、同一深さにおける値を走査順の時系列信号と見ることができること、および、その時系列信号を又はそれから得られるパワー信号の値を夫々の深さについて求めたものをその走査線のエコー信号として用いてよいこと、が説明されている。

同一深さにおける値を走査順の時系列信号と見ることができるのであるから、差分演算できることは明らかであり、したがって、差分画像を得るために、一つの走査方向の1回の走査時間間隔で、その超音波ビームの打ち出しを同一方向に対し連続して2回送受信して各反射エコー信号を得るようにすることは当業者が容易になしうることである。なお、差分画像データを得る技術は、上記(特開昭59-77841号公報(引用例2)、特開昭62-189054号公報(引用例3))のように、本件出願前周知のものである。

4 むすび
したがって、本件発明は、引用例1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-20 
結審通知日 2002-02-26 
審決日 2002-03-14 
出願番号 特願平11-202490
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中槙 利明門田 宏右▲高▼ 孝幸  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 志村 博
関根 洋之
発明の名称 超音波診断装置  
代理人 西山 春之  

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