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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B60R
管理番号 1058117
異議申立番号 異議2001-71953  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-04-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-19 
確定日 2002-02-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3125729号「頭部保護エアバッグ袋体の配設構造」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3125729号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 1】手続の経緯
本件特許第3125729号は、平成9年9月26日の出願であって、平成12年11月2日に設定登録(請求項の数10)されたものであるが、本件特許に関して、市川 卓広、杉崎 筆雄より特許異議のの申立てがあったので、当審において、当該申立ての理由を検討の上、当審より平成13年10月16日付けで特許取消理由を通知したところ、その通知書で指定した期間内の平成13年12月25日に、特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。

【2】訂正請求の可否
1.訂正の要旨
本件特許異議申立てに係る訂正請求における訂正の要旨は、次の(A)〜(N)のとおりである。
(A)特許請求の範囲の【請求項1】の記載
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」
を、
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」
と、訂正する。

(B)特許請求の範囲の【請求項6】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(C)特許請求の範囲の【請求項7】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から,車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(D)特許請求の範囲の【請求項10】の記載
「折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(E)【0007】の記載
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(F)【0008】の記載
「収納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に配設されたガイド手段により、」
を、
「エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。

(G)【0014】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。

(H)【0014】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。

(I)【0014】の記載
「折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。

(J)【0045】の記載
「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されてエアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から.車室内側への方向に.変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(K)【0048】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部がセンタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(L)【0048】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部がセンタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され.インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部がセンタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(M)【0048】の記載
「折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。

(N)図面の記載
図1の断面線3-3の位置を訂正する。

2.訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更の存否
(1)訂正事項(A)〜(D)について
上記訂正事項(A)〜(D)における請求項1、6、7、10の訂正「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、」は、請求項1、6、7、10の記載において、『ガイド手段がエアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配置された点』を限定して、請求項1、6、7、10を減縮したものであり、この訂正事項は願書に添付した明細書の段落【0028】、【0030】、【0031】、【0032】、及び図1、図2、図3に記載されており、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
同じく、請求項1、6、7、10の訂正「エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段と」は、請求項1、6、7、10の記載において、『ガイド手段がエアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方の方向から、車室内側への方向に、変更する点』を限定して、請求項1、6、7、10を減縮したものであり、この訂正事項は願書に添付した明細書の段落【0026】、【0031】、【0032】、及び図1、図2、図3に記載されており、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2)訂正事項(E)〜(N)について
上記訂正事項(E)〜(N)は、訂正事項(A)〜(D)の特許請求範囲の訂正によって生じる特許明細書の発明の詳細な説明と特許請求の範囲との齟齬を解消しようとするもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえ、上記訂正事項(A)〜(D)と同じく願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.訂正請求の認容について
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】本件特許発明の認定
上記のとおり、平成13年12月25日付けの訂正請求は認容されるので、本件特許の請求項1〜10に係る発明は、平成13年12月25日付けの訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(以下、請求項1に記載された事項によって特定される発明を「本件発明」という。)。
「【請求項1】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項2】 前記ガイド手段は、前記センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定され、該ルーフサイドレールから前記センタピラーガーニッシュの上端部に向かって延びる壁部を有する板材であることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項3】 前記板材は衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能な金属板であることを特徴とする請求項2記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項4】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記センタピラーガーニッシュの上端部に一体成形され、前記ルーフサイドレールに向かって延び、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御する壁部と、ルーフヘッドライニングのための連結保持手段と、を有するガイド手段と、を備えたことを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項5】 前記連結保持手段は凹部であることを特徴とする請求項4に記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項6】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項7】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から,車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項8】 前記ガイド手段は、前記ルーフサイドレールに固定されていることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項9】 前記ガイド手段と前記センタピラーガーニッシュとの間に前記ルーフヘッドライニングの縁部が挟持されていることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項10】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」

【4】取消理由の概要
平成13年10月16日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
本件特許の出願前に頒布された刊行物として、
刊行物1:独国特許第4134995号明細書(特許異議申立人市川卓広が提出した甲第1号証)
刊行物2:特開平2-158444号公報(特許異議申立人杉崎筆雄が提出した甲第2号証)
を引用し、
上記刊行物1には、
「ピラーと車体上部側面とに跨がってカーテン状に展開する頭部保護用の保護マットレスの配設構造において、b-ピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記頭部保護マットレスよりも下方で、前記頭部保護マットレスの膨張方向に位置するb-ピラー用の覆い部材を有する保護マットレスの配設構造。」
の発明が記載されているものと認める。
上記刊行物2には、
「エアバッグ袋体54展開時に該エアバッグ袋体54がエアバッグケース46の車両後縁端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を制御するガイド手段となるカバーを有するエアバッグ袋体の配設構造。」
の発明が記載されているものと認める。
本件発明と刊行物1に記載された発明とを対比すれば、刊行物1に記載された発明の「保護マットレス」、「b-ピラー」、「b-ピラー用の覆い部材」は、それぞれ本件発明の「頭部保護エアバッグ袋体」、「センタピラー」、「センタピラーガーニッシュ」に相当し、「ルーフサイドレール」は車体上部側面の取り付けられるものであるから、本件発明と刊行物1に記載された発明は、
「ピラーと車体上部側面とに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュを有する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」
である点で一致し、
(1)本件発明の頭部保護エアバッグ袋体は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開するように配設されるのに対し、刊行物1に記載された発明の保護マットレスは、ピラーと車体上部側面とに跨がってカーテン状に展開するように配設されるものの、車体上部側面のどの部分に跨がって配設されるのか明かでない点。
(2)本件発明では、センタピラーガーニッシュの上端部に近接して、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段が配設されているのに対し、刊行物1に記載された発明では、このようなガイド手段を配設していない点。
で、相違している。
上記相違点について検討すれば、
1.相違点(1)に関して
エアバックモジュールをルーフサイドレールに配置することは、例えば特開平3-276844号公報(特許異議申立人杉崎筆雄が提出した甲第4号証)にもみられるように従来周知の技術手段である。してみれば、刊行物1に記載された発明の保護マットレスをピラーとルーフサイドレールとに跨がって配設することは、上記従来周知の技術手段に基づいて当業者が容易に行うことができたものである。
2.相違点(2)に関して
エアバッグ袋体を展開する時に、該エアバッグ袋体が他の部品の端部等に接触または引っ掛からないように、他の部品の端部に近接して、エアバッグ袋体の展開方向を制御するガイド手段を設けることは刊行物2に記載されている。そして、刊行物1に記載された発明では、b-ピラー用の覆い部材の上端部が車室内に張り出しているから、該張り出した部分が、保護マットレスを展開する時に保護マットレスに接触または引っ掛かかるであろうことは充分に予想できることである。してみれば、刊行物1に記載された発明で、該張り出した部分が保護マットレスを展開する時に保護マットレスに接触または引っ掛かからないようにするために刊行物2に記載された発明を適用することは当業者が容易になし得たものというべきであるから、刊行物1に記載された発明において、b-ピラー用の覆い部材の上端部に近接して、保護マットレス展開時に該保護マットレスが前記b-ピラー用の覆い部材の上端部に接触または引っ掛からないように前記保護マットレスの展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段を設けることは、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に行うことができたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明のガイド手段を、センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定し、該ルーフサイドレールから前記センタピラーガーニッシュの上端部に向かって延びる壁部を有する板材であるようにしたものであるが、ガイド手段の取付位置は、センタピラーガーニッシュの上端部に近接して、エアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からない位置にありさえすればよいのであるから、ガイド手段をどの位置に設けるかは単なる設計事項である。また、刊行物2のカバーは、第4図にみられるように壁部を有する板材である。してみれば、ガイド手段を、センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定し、該ルーフサイドレールから前記センタピラーガーニッシュの上端部に向かって延びる壁部を有する板材であるようにすることは、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に行うことができたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明の板材を、衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能な金属板としたものであるが、刊行物2のカバーも弾性変形可能な樹脂板材で構成されているから、衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能なものである。しかも、エアバックの構成部材を、衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能であるように形成することは例えば特開平2-155855号公報(特許異議申立人杉崎筆雄が提出した甲第5号証)にもみられるように従来周知の技術手段であり、弾性変形可能な板材を金属で形成することは単なる設計事項である。してみれば、請求項2の発明の板材を、衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能な金属板とすることは、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に行うことができたものである。
請求項6,7の発明は、ガイド手段を、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設し、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設して、エアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにしたものにすぎないが、エアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に確実に接触または引っ掛からないようにするために、該ガイド部材を広い範囲に形成しておくことは当業者が適宜行う設計事項であり、インフレータを車両前側に配設した場合には、エアバッグ袋体が車両前側から後側に向けて膨張し、インフレータを車両後側に配設した場合には、エアバッグ袋体が車両後側から前ろ側に向けて膨張することは自明であるから、ガイド手段を、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設し、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設して、エアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に確実に接触または引っ掛からないようにすることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
請求項8の発明は、ガイド手段をルーフサイドレールに固定したものであるが、このようにすることは、請求項2の発明に関して指摘したように、刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に行うことができたものである。
請求項10の発明は、請求項1の発明のガイド手段を、センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設する代わりに、折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設したものであるが、刊行物1に記載された発明で「b-ピラー用の覆い部材の上端部に近接」する位置は、「折り畳まれた保護マットレスの下方」の位置でもあるから、ガイド手段を、折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設することは、刊行物1,2に記載された発明から、当業者が容易に行うことができたものである。
以上のとおり、本件の請求項1〜3,6〜8、10に係る発明は、いずれも刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1〜3、6〜8、10に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定により拒絶されるべき特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

【5】取消理由に対する当審の判断
上記刊行物1、2には、いずれも「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段を、エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配置」した点が記載されておらず、また、これを示唆する記載も認められない。
そして、本件の請求項1〜3、6〜8、10に係る発明は、該構成により、「エアバッグ袋体を、サイドウインドガラス部分ではカーテン状に、センタピラー部分のまわりではセンタピラーガーニッシュとの干渉を避けて展開させることで、展開時の乗員との干渉を防止しつつ乗員を適切に保護することができる」という特有の効果を奏するものと認められる。
してみれば、本件の請求項1〜3、6〜8、10に係る発明は、上記刊行物1、2に記載された発明とも、上記刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいうことはできない。
したがって、平成13年10月16日付けで通知した取消理由によっては本件の請求項1〜3,6〜8、10に係る発明の特許を取り消すことはできない。

【6】特許異議申立理由の概要
申立人市川 卓広は、下記の甲第1〜3号証を提出し、請求項1〜10に係る発明の特許は、甲第1〜3号証より、特許法第29条第2項の規定に違反しいてなされたものであるから取り消すべき旨、
甲第1号証:独国特許第4134995号明細書
甲第2号証:特開平5-38993号公報
甲第3号証:実開平6-25057号公報
申立人杉崎 筆雄は、下記の甲第1〜5号証を提出し、請求項1〜3,6〜8,10に係る発明の特許は、甲第1〜5号証より、特許法第29条第2項の規定に違反しいてなされたものであるから取り消すべき旨、それぞれ、主張している。
甲第1号証:国際公開第96/26087号パンフレット
甲第2号証:特開平2-158444号公報
甲第3号証:特開平5-193433号公報
甲第4号証:特開平3-276844号公報
甲第5号証:特開平2-155855号公報

しかしながら、申立人市川 卓広、杉崎 筆雄が提出した各刊行物には、いずれも「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段を、エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配置」した点が記載されておらず、また、これを示唆する記載も認められない。
そして、本件発明は、該構成により、「エアバッグ袋体を、サイドウインドガラス部分ではカーテン状に、センタピラー部分のまわりではセンタピラーガーニッシュとの干渉を避けて展開させることで、展開時の乗員との干渉を防止しつつ乗員を適切に保護することができる」という特有の効果を奏するものと認められる。
したがって、本件の請求項1〜10に係る発明は、異議申立人市川 卓広、杉崎 筆雄が提出した各刊行物に記載された発明ではなく、また、異議申立人市川 卓広、杉崎 筆雄が提出した各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。

【7】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人市川 卓広、杉崎 筆雄が主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件の請求項1〜10に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
頭部保護エアバッグ袋体の配設構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項2】 前記ガイド手段は、前記センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定され、該ルーフサイドレールから前記センタピラーガーニッシュの上端部に向かって延びる壁部を有する板材であることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項3】 前記板材は衝突時に乗員が当接した場合に容易に塑性変形可能な金属板であることを特徴とする請求項2記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項4】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記センタピラーガーニッシュの上端部に一体成形され、前記ルーフサイドレールに向かって延び、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御する壁部と、ルーフヘッドライニングのための連結保持手段と、を有するガイド手段と、を備えたことを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項5】 前記連結保持手段は凹部であることを特徴とする請求項4に記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項6】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項7】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項8】 前記ガイド手段は、前記ルーフサイドレールに固定されていることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項9】 前記ガイド手段と前記センタピラーガーニッシュとの間に前記ルーフヘッドライニングの縁部が挟持されていることを特徴とする請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【請求項10】 ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側部への所定の高荷重作用時にインフレータからガスを噴出させ、このガスによってピラー部からルーフサイドレール部に沿って格納されたエアバッグ袋体をカーテン状に膨張させる頭部保護エアバッグ袋体の配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体側部への所定の高荷重作用時における前席に着座した乗員の頭部の保護性能を向上させるべく、フロントピラー部からルーフサイドレール部に跨がって折り畳み状態で格納されたエアバッグ袋体を、サイドウインドガラスに沿ってカーテン状に膨張させる頭部保護エアバッグ装置が既に提案されている。以下、この種の頭部保護エアバッグ装置を開示したWO 96/26087号公報に示される構成について説明する。
【0003】
図7に示される如く、この頭部保護エアバッグ装置100は、フロントピラー部102からルーフサイドレール部104に跨がって配設された長尺状のダクト106と、このダクト106内に折り畳み状態で格納されると共に前端固定点108及び後端固定点110にて車体側に固定されたエアバッグ袋体112と、ホース114を介してダクト106の後端部と接続されると共に車体側部への所定の高荷重作用時にガスを噴出するインフレータ116と、一端部が車体側に固定されると共に他端部がエアバッグ袋体112の後端部に固定された帯状のストラップ118と、を主要構成要素として構成されている。さらに、エアバッグ袋体112は、各々略円筒状に形成されかつ略車両上下方向を長手方向として配置された複数のセル120を連接させることにより構成されている。
【0004】
上記構成によれば、車体側部への所定の高荷重作用時になると、インフレータ116からガスが噴出される。このため、噴出されたガスは、ホース114及びダクト106を介して折り畳み状態のエアバッグ袋体112の各セル120内へ流入される。その結果、各セル120が略車両上下方向を長手方向として略円筒状に膨張し、これによりエアバッグ袋体112がウインドガラス122に沿ってカーテン状に膨張される。さらに、エアバッグ袋体112の後端部はストラップ118を介して車体側に連結されているため、エアバッグ袋体112の後端側は確実にセンタピラー部124の上部内側に配置されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この頭部保護エアバッグ装置100では、エアバッグ袋体112を、フロントピラー部102からルーフサイドレール部104に跨がって配設するため、例えば、フロントピラーガーニッシュとルーフヘッドライニングで覆う構成になる。この結果、エアバッグ袋体展開時には、フロントピラーガーニッシュとルーフヘッドライニングが変形し、これらの変形部からエアバッグ袋体が車室内側に展開する。さらに、この頭部保護エアバッグ装置100では、エアバッグ袋体112の後端部112Aがセンタピラー部124の後方へ達している。このため、ルーフヘッドライニングの端部を変形させ車室内に膨張展開するエアバッグ袋体112がセンタピラー部124のガーニッシュの上端部に接触したり、センタピラー部124のガーニッシュとボデーパネルとの間に落ち込み、センタピラー部124のガーニッシュの上端部に引っ掛かったりすることが考えられる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンターピラーガーニッシュ上端部との接触または引っ掛かりを防止できる頭部保護エアバッグ袋体の配設構造を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内部への方向に変更するように制御するガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、前記ガイド手段は、前記センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定され、該ルーフサイドレールから前記センタピラーガーニッシュの上端部に向かって延びる壁部を有する板材であることを特徴としている。
【0010】
従って、請求項1記載の内容に加えて、構造変更が僅かですむと共に、エアバッグ袋体の搭載有無への対応及び製造が容易で、且つピラーとルーフサイドレールの強度が低下することもない。
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
前記板材は容易に塑性変形可能な金属板であることを特徴としている。
【0012】
従って、請求項2記載の内容に加えて、万一、衝突時に乗員頭部が板材に当接しても、金属板からなる板材が容易に塑性変形して、乗員頭部の衝撃を緩和できる。
【0013】
請求項4記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記センタピラーガーニッシュの上端部に一体成形され、前記ルーフサイドレールに向かって延び、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御する壁部と、ルーフヘッドライニングのための連結保持手段と、を有するガイド手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
従って、ガイド手段の壁部により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。また、部品点数の増加がなくコストを低減できる。また、連結保持手段によりルーフヘッドライニングを保持できる。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、前記連結保持手段は凹部であることを特徴とする。
従って、請求4に記載の内容に加えて、凹部によりルーフヘッドライニングを保持できる。
請求項6記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
請求項7記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
請求項8記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、前記ガイド手段は、前記ルーフサイドレールに固定されていることを特徴とする。
従って、ガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
請求項9記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、前記ガイド手段と前記センタピラーガーニッシュとの間にルーフヘッドライニングの縁部が挟持されていることを特徴とする。
従って、ガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
請求項10記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、
センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にある前記エアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、
前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0016】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0017】
図4に示される如く、頭部保護エアバッグ装置10は、側突状態を検出するためのセンサ12と、作動することによりガスを噴出する円柱状のインフレータ14と、エアバッグ袋体16と、を主要構成要素としして構成されている。センサ12は、センタピラー(Bピラー)18の下端部付近に配設されており、所定値以上の側突荷重が車体側部に作用した場合に側突状態を検出するようになっている。
【0018】
インフレータ14はフロントピラー(Aピラー)20とインストルメントパネル22との接続部付近に配設されており、前述したセンサ12と接続されている。従って、センサ12が側突状態を検出すると、インフレータ14が作動するようになっている。
【0019】
エアバッグ袋体16の側面視で上下方向中間部には、エアバッグ袋体16の前端固定点と後端固定点とを結ぶテンションラインTを横切りエアバッグ袋体上下方向を長手方向とする複数の非膨張部24が所定の間隔で形成されており、これらの非膨張部24によって、エアバッグ袋体展開時にテンションラインTを横切る複数の略平行な円筒状膨張部が形成されるようになっている。
【0020】
また、エアバッグ袋体16の前端部16Aは、インフレータ14から噴出されたガスが流入されるようにインフレータ配設位置に配置されており、中間部16Bの上端縁部はフロントピラー20及びルーフサイドレール28に沿って配置され、後端部16Cの上端縁部はクォータピラー(Cピラー)30付近に配置されている。
【0021】
図1に示される如く、エアバッグ袋体16は、略上下方向へ蛇腹状に折り畳まれて長尺状にされた上でフロントピラーガーニッシュ26とルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aとに跨がって収容されている。
【0022】
図3に示される如く、ルーフサイドレール28は、車室外側へ比較的大きく突出された断面略ハット形状のレールアウタパネル48と、このレールアウタパネル48の内方へ向けて若干突出されたレールインナパネル40と、レールアウタパネル48に沿った断面略ハット形状に形成されレールアウタパネル48とレールインナパネル40との間に挟持されたレールリインフォース49と、によって構成されている。これらのレールアウタパネル48、レールインナパネル40、及びレールリインフォース49の両端部は溶接により接合されて、閉断面を構成している。また、前記三者によって構成されるルーフサイドレール28の上端部はルーフパネル46の車両幅方向の外端部に溶接により接合されており、さらにルーフサイドレール28の下端部にはオープニングウエザストリップ53が嵌着されている。
【0023】
エアバッグ袋体16は、ケース50内にドアガラス39の車室内側面39Aに対して略直角方向(図3の矢印K方向)に折り畳まれており、ケース50は、レールインナパネル40とルーフヘッドライニング42との間に格納されている。ケース50は、エアバッグ袋体16が展開する場合には、エアバッグ袋体16の展開膨張力により、車幅方向外側下端部の角部50Aが、ケース50の内側に形成されたVノッチを起点に破れてリッド部50Bがベース部50Cに対して車室内側へ開くようになっている。
【0024】
また、ケース50のリッド部50Bの上壁部50Dと、ベース部50Cの上壁部50Eは、エアバッグ袋体16の上端部16Dを挟んで平行に配設されている。ケース50の上壁部50Dと上壁部50Eには、それぞれ貫通孔が穿設されており、これらの貫通孔と、エアバッグ袋体16の上端部16Dの取付孔とを貫通するボルト44と、このボルト44に螺合するナット46によって、ケース50はエアバッグ袋体16と共にレールインナパネル40の車室側部に共締め固定されている。
【0025】
ルーフヘッドライニング42は樹脂製で、基材43と表皮45とで構成されており、エアバッグ袋体16が展開する場合には、エアバッグ袋体16の展開膨張力により、ルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aが、図3の二点鎖線で示される如く、車室内側へ開き、この隙間からエアバッグ袋体16が車室内に展開するようになっている。なお、図3に示す符号64は衝撃吸収材である。
【0026】
また、図2に示される如く、エアバッグ袋体展開時に、センタピラー18の上部においては、エアバッグ袋体16の膨張圧によって、ケース50のリッド部50Bの下方に形成されたルーフヘッドライニング42とセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aとの係合部を二点鎖線で示される如く押し広げ、押し広げられた隙間からエアバッグ袋体16が車室内に展開するようになっている。
【0027】
なお、センタピラーガーニッシュ51は樹脂製で、基材と表皮とで構成されており、センタピラーガーニッシュ51の上部裏面側には、取付用の台座51Bが立設されている。この台座51Bの頂部にはクリップ70が係止されており、このクリップ70が、レールインナパネル40に穿設された取付孔57に固定されている。なお、図2に示す符号62はスライドプレートである。
【0028】
図1に示される如く、折り畳まれたエアバッグ袋体16の下方には、ガイド手段としてのジャンプ台61が配設されている。このジャンプ台61は、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに対向する領域、好ましくは、ルーフサイドレール28におけるセンターピラー18の前方側に取付られるアシストグリップ63やカードホルダとラップする位置からセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに至る領域に配設されている。
【0029】
図2に示される如く、ジャンプ台61は断面L字状に屈曲された、容易に塑性変形可能な板材(例えば、板厚0.8mmの鉄板)で構成されている。このジャンプ台61はセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに近接するレールインナパネル40に、取付部61Aが溶接等により固定されており、取付部61Aの下端部からセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに向かって延びる壁部61Bを有している。なお、壁部61Bの先端部と、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aとの間にルーフヘッドライニング42の縁部42Bが挟持されている。
【0030】
また、ジャンプ台61の壁部61Bには、レールインナパネル40の壁部40Aに当接するビード61Cが形成されており、エアバッグ袋体展開時のエアバッグ袋体16の膨張圧でジャンプ台61の壁部61Bが下方へ倒れるのを防止している。従って、エアバッグ袋体展開時には、エアバッグ袋体16は、ジャンプ台61の壁部61Bに沿って、車室内側方向(図2及び図3の矢印A方向)に膨張するようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、車体側部に所定値以上の側突荷重が作用すると、側面衝突されたことがセンサ12によって検出される。このため、インフレータ14が作動して、所定量のガスが噴出される。これにより、エアバッグ袋体16が膨張し始め、膨張したエアバッグ袋体16は、ケース50とともにフロントピラー20のピラーガーニッシュ26及びルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aを押し開きながら、ルーフサイドレール28の下方に車両前方側から車両後方側へ向かってカーテン状に膨出される。
【0032】
この際、エアバッグ袋体16の展開がセンタピラー18の車両前側近傍位置(図1に二点鎖線で示される位置)に達してからセンタピラー18の車両前後方向中間部を過ぎた位置(図1に一点鎖線で示される位置)に達する間は、エアバッグ袋体16は、ジャンプ台61の壁部61Bに沿って、車室内側方向(図2及び図3の矢印A方向)に膨張する。このため、エアバッグ袋体16のセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aへの接触または引っ掛かりを防止できる。
【0033】
また、本実施形態では、板材で構成されたジャンプ台61を使用したため、構造変更が僅かですむと共に、エアバッグ袋体16を搭載しな場合には、ジャンプ台61を取付けなければ良いため、エアバッグ袋体16の搭載有無への対応及び製造が容易である。さらに、ジャンプ台61を設けたことによってフロントピラーとルーフサイドレールの強度が低下することもない。
【0034】
また、本実施形態では、万一、衝突時に乗員頭部がジャンプ台61に当接しても、ジャンプ台61の壁部61Bが図2に二点鎖線で示される如く、容易に塑性変形して、乗員頭部の衝撃を緩和できる。
【0035】
次に、本発明の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造の第2実施形態を図5及び図6に従って説明する。
【0036】
なお、第1実施形態と同一部材については同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図6に示される如く、本実施形態では、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに、上端部51Aを略覆う形状とされたガイド手段としてのガイド部66が一体成形されている。
【0038】
図5に示される如く、このガイド部66は、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aの裏面側からレールインナパネル40に向かって延びる壁部66Aを有しており、この壁部66Aは、ケース50の下方に略平行に配設されている。従って、エアバッグ袋体展開時には、エアバッグ袋体16は、ガイド部66の壁部66Aに沿って、車室内側方向(図5の矢印A方向)に膨張するようになっている。
【0039】
また、ガイド部66の根元には、連結保持手段としての凹部68が形成されており、この凹部68にルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aの縁部が挿入保持されている。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、車体側部に所定値以上の側突荷重が作用すると、側面衝突されたことがセンサ12によって検出される。このため、インフレータ14が作動して、所定量のガスが噴出される。これにより、エアバッグ袋体16が膨張し始め、膨張したエアバッグ袋体16は、ケース50とともにフロントピラー20のピラーガーニッシュ26及びルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aを押し開きながら、ルーフサイドレール28の下方に車両前方側から車両後方側へ向かってカーテン状に膨出される。
【0041】
この際、エアバッグ袋体16の展開がセンタピラー18に達すると、エアバッグ袋体16は、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに形成されたガイド部66の壁部66Aに沿って、車室内側方向(図5の矢印A方向)に膨張する。このため、エアバッグ袋体16のセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aへの接触または引っ掛かりを防止できる。
【0042】
また、本実施形態では、センタピラーガーニッシュ51の上端部51Aにガイド部66を一体形成したため、部品点数の増加もなくコストを低減できる。また、ガイド部66の根元に凹部68を形成することにより、ルーフヘッドライニング42の車幅方向外側部42Aとの連結保持手段としても利用可能である。
【0043】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、各実施形態では、折り畳まれたエアバッグ袋体16をケース50内に収納した構造を採用したが、ケース50は必ずしも必要ではなく、折り畳まれたエアバッグ袋体16を破断容易なラップ材で部分的にラッピングしたり、テープ状の面ファスナーを用いて部分的に仮止めして、エアバッグ袋体16を折り畳み状態で形状保持するようにしても良い。
【0044】
また、本発明の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造は、インフレータを車両後側、例えばクォータピラー(Cピラー)30に配設したエアバッグ装置にも適用可能であり、この場合には、ジャンプ台61をセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに対向する領域、好ましくは、ルーフサイドレール28におけるセンターピラー18の後方側に配設されるアシストグリップ63等とラップする位置からセンタピラーガーニッシュ51の上端部51Aに至る領域に配設する。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されてエアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有するため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部との接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
【0046】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、ガイド手段は、センタピラーガーニッシュの上端部に近接するルーフサイドレールに設定され、ルーフサイドレールからルーフヘッドライニングとセンタピラーガーニッシュの上端部との係合部に向かって延びる壁部を有する板材であるため、請求項1記載の効果に加えて、構造変更が僅かですむと共に、エアバッグ袋体の搭載有無への対応及び製造が容易で、且つピラーとルーフサイドレールの強度が低下することもないという優れた効果を有する。
【0047】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、板材は容易に塑性変形可能な金属板であるため、請求項2記載の効果に加えて、乗員頭部の衝撃を緩和できるという優れた効果を有する。
【0048】
請求項4記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、センタピラーガーニッシュの上端部に一体成形され、ルーフサイドレールに向かって延び、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御する壁部と、ルーフヘッドライニングのための連結保持手段と、を有するガイド手段と、を備えたため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できる。また、部品点数の増加がなくコストを低減できる。また、連結保持手段によりルーフヘッドライニングを保持できるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、連結保持手段は凹部であるため、請求4に記載の効果に加えて、凹部によりルーフヘッドライニングを保持できるという優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有するため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
請求項7記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部がセンタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有するため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
請求項8記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、ガイド手段は、ルーフサイドレールに固定されているため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
請求項9記載の本発明は、請求項1記載の頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、ガイド手段とセンタピラーガーニッシュとの間にルーフヘッドライニングの縁部が挟持されているため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
請求項10記載の本発明は、ピラーとルーフサイドレールとに跨がってカーテン状に展開する頭部保護エアバッグ袋体の配設構造において、センタピラーの車室内側部を構成し、その上端部が格納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、エアバッグ袋体の膨張方向に位置するセンタピラーガーニッシュと、エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有するため、エアバッグ袋体展開時におけるエアバッグ袋体のセンタピラーガーニッシュ上端部への接触または引っ掛かりを防止できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ袋体の配設構造が適用された車室の運転席側の側面におけるエアバッグ袋体格納状態を示す概略側面図である。
【図2】
図1の2-2線に沿った拡大断面図である。
【図3】
図1の3-3線に沿った拡大断面図である。
【図4】
本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ袋体の配設構造が適用された車室の運転席側の側面におけるエアバッグ袋体展開完了状態を示す概略側面図である。
【図5】
本発明の第2実施形態に係る頭部保護エアバッグ袋体の配設構造における図2に対応する断面図である。
【図6】
本発明の第2実施形態に係る頭部保護エアバッグ袋体の配設構造におけるセンタピラーガーニッシュ上端部を示す車幅方向内側前方から見た拡大斜視図である。
【図7】
従来の実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグ袋体の展開完了状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
10 頭部保護エアバッグ装置
12 センサ
14 インフレータ
16 エアバッグ袋体
18 センタピラー
20 フロントピラー
28 ルーフサイドレール
40 レールインナパネル
42 ルーフヘッドライニング
51 センタピラーガーニッシュ
51A センタピラーガーニッシュの上端部
61 ジャンプ台(ガイド手段)
61B ジャンプ台の壁部
66 ガイド部(ガイド手段)
66A カイド部の壁部
68 凹部(連結保持手段)
【図面】







 
訂正の要旨 本件特許異議申立てに係る訂正請求における訂正の要旨は、次の(A)〜(N)のとおりである。
(A)特許請求の範囲の【請求項1】の記載
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」
を、
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ袋体の配設構造。」
と、訂正する。
(B)特許請求の範囲の【請求項6】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(C)特許請求の範囲の【請求項7】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から,車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(D)特許請求の範囲の【請求項10】の記載
「折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(E)【0007】の記載
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「該センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されて前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(F)【0008】の記載
「収納状態にあるエアバッグ袋体よりも下方で、前記エアバッグ袋体の膨張方向に配設されたガイド手段により、」
を、
「エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。
(G)【0014】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。
(H)【0014】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にある前記エアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部が前記センタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。
(I)【0014】の記載
「折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように前記エアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、ガイド手段により、」
を、
「前記エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれた前記エアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時に該エアバッグ袋体が前記センタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、該エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、を有することを特徴とする。
従って、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体の展開方向をルーフサイドレールの下方の方向から車室内側への方向に変更するように制御するガイド手段により、」
と、訂正する。
(J)【0045】の記載
「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「センタピラーガーニッシュの上端部に近接して配設されてエアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から.車室内側への方向に.変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(K)【0048】の記載
「インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部がセンタピラーガーニッシュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され、インフレータを車両前側に配設した場合には、前方端部が前記センタピラーガーニッンュの上端前方エッジよりもさらに前方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(L)【0048】の記載
「インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部がセンタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって格納状態にあるエアバッグ袋体の下方に配設され.インフレータを車両後側に配設した場合には、後方端部がセンタピラーガーニッシュの上端後方エッジよりもさらに後方側へ延設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにごエアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から.車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
(M)【0048】の記載
「折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないようにエアバッグ袋体の展開方向を車室内側方向に制御するガイド手段と、」
を、
「エアバッグ袋体の膨張方向であって折り畳まれたエアバッグ袋体の下方に配設され、エアバッグ袋体展開時にエアバッグ袋体がセンタピラーガーニッシュの上端部に接触または引っ掛からないように、エアバッグ袋体の展開方向を、ルーフサイドレールの下方への方向から、車室内側への方向に、変更するように制御するガイド手段と、」
と、訂正する。
異議決定日 2002-01-31 
出願番号 特願平9-261743
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B60R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 ぬで島 慎二
大熊 雄治
登録日 2000-11-02 
登録番号 特許第3125729号(P3125729)
権利者 トヨタ自動車株式会社
発明の名称 頭部保護エアバッグ袋体の配設構造  
代理人 加藤 和詳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  
代理人 福田 浩志  
代理人 中島 淳  
代理人 西元 勝一  
代理人 福田 浩志  
代理人 西元 勝一  

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