• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1058143
異議申立番号 異議2001-72034  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-27 
確定日 2002-03-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3128939号「薄膜トランジスタ」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3128939号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3128939号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成4年3月27日に特許出願され、平成12年11月17日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人中川徹より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月30日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の、「【請求項1】絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタにおいて、前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極に接続された薄膜トランジスタを備えた一方の基板と、対向電極を有し前記一方の基板に対向配置された他方の基板と、両方の基板に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成されたアクティブマトリクス基板と、対向電極を有し前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、前記第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方の薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする液晶表示装置。」の記載を、
「【請求項1】絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタにおいて、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極に接続された薄膜トランジスタを備えた一方の基板と、対向電極を有し前記一方の基板に対向配置された他方の基板と、両方の基板に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成されたアクティブマトリクス基板と、対向電極を有し前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方の薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。」と訂正する。
訂正事項b
明細書の、段落番号【0008】、【0009】の「【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は高いON/OFF比及び高信頼性を有するLDD TFTを提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に次の手段を講じた。即ち、LDD TFTにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、LDD領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする。換言すると、窒化膜はゲート電極の直下のみに残されておりLDD領域の上方からは除去されている。かかるゲート絶縁膜構造を有するLDD TFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。あるいは、アクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路部あるいは駆動回路部を構成する素子に用いる事ができる。
【0009】 アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成された一方のアクティブマトリクス基板と、対向電極を有しアクティブマトリクス基板に対向配置された他方の対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えている。かかる構成において、第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方が、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域を有する多結晶半導体層例えばpoly-Si膜と、この多結晶半導体層とゲート電極との間に挟まれたゲート絶縁膜とから構成されている。このゲート絶縁膜は、ゲート電極の底面に接する様に設けられた窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域の少なくとも一方の上方に設けられた酸化膜のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。」を、
「【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は高いON/OFF比及び高信頼性を有するLDD TFTを提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に次の手段を講じた。即ち、LDD TFTにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、LDD領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記LDD領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする。換言すると、窒化膜はゲート電極の直下のみに残されておりLDD領域の上方からは除去されている。かかるゲート絶縁膜構造を有するLDD TFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。あるいは、アクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路部あるいは駆動回路部を構成する素子に用いる事ができる。
【0009】アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成された一方のアクティブマトリクス基板と、対向電極を有しアクティブマトリクス基板に対向配置された他方の対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えている。かかる構成において、第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方が、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域を有する多結晶半導体層例えばpoly-Si膜と、この多結晶半導体層とゲート電極との間に挟まれたゲート絶縁膜とから構成されている。このゲート絶縁膜は、ゲート電極の底面に接する様に設けられた窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域の少なくとも一方の上方に設けられた酸化膜のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。LDD領域は水素化により水素が拡散されている。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1ないし3に記載の「酸化膜のみからなる事を特徴とする薄膜トランジスタ。」を「酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする薄膜トランジスタ。」と訂正するものであり、これらの訂正は、特許明細書段落番号【0010】に記載されていた、「LDD領域の水素化が効率的になされる為」、及び、【0022】に記載の「LDD領域中に容易に水素を拡散する事ができ」に基づくものであり、LDDは、請求の範囲に記載された低濃度不純物領域に該当するので、上記訂正は、明細書に記載された範囲内の訂正と認められる。
したがって、この訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当しない。
訂正事項bは、訂正事項aの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正であり、かつ、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記いずれの訂正も実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年法改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)特許異議申立理由の概要
特許異議申立人中川徹は、本件発明は、甲第1号証(特開昭58-105574号公報)及び甲第2号証(特開平2-65274号公報)に記載された発明及び参考資料1(特開昭59-132168号公報)、参考資料2(特開平2-74077号公報)、参考資料3(特開昭61-126595号公報)、参考資料4(特開昭63-73295号公報)及び参考資料5(特開平3-259123号公報)に記載のような周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を受けることができない旨主張している。
(2)取消理由
取消理由は以下のとおりである。
「 理由1)
本件の下記の請求項に係る発明は、その出願前に国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが、容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


刊行物1)特開平2-65274号公報
刊行物2)特開昭58-105574号公報

・請求項1ないし3について
・理由 1
・刊行物 1、2
・備考
上記刊行物1には、第1図Eの後の工程について、第3頁右上欄において、ゲート絶縁膜(10)の側壁部に新たにSiO2膜を形成すること、および、オフセットゲート構造の薄膜トランジスタを形成することが記載されている。刊行物2の記載からみて、オフセットゲートは、低濃度不純物領域と認められるので、刊行物1には、低濃度不純物領域上に酸化膜のみが形成された薄膜トランジスタが記載されている。また、液晶表示装置に適用することは周知である。
よって、刊行物1、2に記載の発明より、請求項1ないし3に記載の発明をなすことは容易と認められ、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。」
(3)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明は上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(4)刊行物等
(A)刊行物1:特開平2-65274号公報(異議申立人の提出した甲第2号証)
「第1図は、本実施例に係る薄膜トランジスタの構成を製造工程順に示した説明図である。以下、順を追ってその工程を説明する。
まず、同図Aに示すように、ガラス等から成る絶縁性基板(1)上に第1導電型を呈した厚さ800Åの多結晶シリコン層(2)を例えばCVD法等で成長させる。
次に、同図Bに示すように、上記多結晶シリコン層(2)に熱酸化を施すなどして膜厚約200ÅのSiO2酸化膜(3)を形成したのち、該膜(3)上に膜厚約600ÅのSi3N4膜(4)を例えばCVD法等で成長させる。
次に同図Cに示すように、SiO2酸化膜(3)及びSi3N4(4)のトランジスタ素子を形成すべき領域に対応した部分を残して他部をホトリソグラフィー技術を用いてエッチング除去し、下層に存していた多結晶シリコン層(2)の一部(2a)を露出させる。
次に、同図Dに示すように、選択酸化処理して多結晶シリコン部分(2a)を絶縁基板(1)に達するSiO2のフィールド絶縁層(5)に変えると共に、Si3N4膜(4)の表面を同時熱酸化してSiO2酸化膜(6)を形成する。このフィールド絶縁層(5)が素子分離領域となり、該フィールド絶縁層(5)で囲まれた多結晶シリコン層がトランジスタ素子が形成される活性層(7)となる。
その後、同図Eに示すように、上記SiO2酸化膜(6)上に第2導電型を呈した多結晶シリコン層(8)を例えばCVD法等で成長させたのち、該多結晶シリコン層(8)、SiO2酸化膜(6)、Si3N4膜(4)及びSiO2酸化膜(3)を順次選択エッチングして多結晶シリコン層(8)より成るゲート電極(9)及びSiO2酸化膜(6)とSi3N4膜(4)とSiO2酸化膜(3)より成るゲート絶縁膜(10)を形成する。そして活性層(7)の表面部のうち、ゲート部以外の部分を露出させる。尚、ゲート電極(9)の一部は、第2図に示すように、フィールド絶縁層(5)上に延長して形成される。
その後は図示しないが、フィールド絶縁層(5)及びゲート電極(9)をマスクとして又はゲート電極(9)及びゲート絶縁膜(10)の側壁部に新たに形成したSiO2膜をマスクとして活性層(7)に第2導電型の不純物をイオン注入してソース領域及びドレイン領域を形成して通常の薄膜トランジスタ又はオフセットゲート構造の薄膜トランジスタを形成する。」(第2頁右下欄第16行〜第3頁右上欄第19行)が、第1図と共に示されている。
(B)刊行物2:特開昭58-105574号公報(異議申立人の提出した甲第1号証)
「第4図は本発明の実施例を示すものであり、ソース及びドレイン領域にオフセットゲート領域を設けた薄膜トランジスタを示している。17は絶縁性透明基板、18は多結晶半導体薄膜、19は多結晶半導体薄膜18中に形成したソース領域、20は同じくドレイン領域、21はゲート膜、22はゲート電極、23は層間絶縁膜、24はソース電極、25はドレイン電極、26は多結晶半導体薄膜18中に形成され、ソース領域19及びドレイン領域20と同じ導電型の低濃度領域からなるオフセットゲート領域である。このようにオフセットゲート領域を設けると、ゲート電圧を負にバイアスして多結晶半導体薄膜の表面にP型層が形成されても、N型領域であるオフセットゲート領域の不純物濃度が低いため、PN接合のエネルギー障壁の幅は広くなる。このため、PN接合部に加えられる電界強度が弱められ,OFF電流はほとんど増加しない。」(第3頁左下欄第19行〜右下欄第16行)
「本発明による薄膜トランジスタの製造方法について述べる。本発明の特徴はオフセットゲート領域を設けることにあり、その他の製造プロセスは従来と全く同じ方法を用いることができる。本発明の最も一般的な製造方法は、第4図において、多結晶半導体薄膜18にソース領域19及びドレイン領域20を形成した後、ゲート膜21,ゲート電極22を形成し、ゲート電極をマスクとしてイオン打込み法によりオフセットゲート領域を設ける方法である。この方法によれば、オフセットゲート領域はゲート電極に対して自己整合的に形成されるため、工程が簡略化されると共に、オフセットゲート領域とゲート電極との間の寄生容量も低減できる。」(第4頁右上欄第2行〜第15行)が、第1図、第4図と共に記載されている。
参考資料1(特開昭59-132168号公報)には、LDD構造を有する薄膜トランジスタのゲート絶縁膜形成方法において、熱酸化法によってシリコンを酸化してSiO2とする方法が記載されている。
参考資料2(特開平2-74077号公報)には、LDD構造を有する薄膜トランジスタのゲート絶縁膜形成方法において、LDD領域上の絶縁膜としてSiO2膜が形成されることが記載されている。
参考資料3(特開昭61-126595号公報)、参考資料4(特開昭63-73295号公報)及び参考資料5(特開平3-259123号公報)には、液晶表示装置のアクティブマトリックス基板上に画素駆動用の第1の薄膜トランジスタと駆動用の第2の薄膜トランジスタを形成することが記載されている。
(5)対比・判断
本件発明と上記刊行物1及び2に記載の発明とを対比すると、両刊行物に記載の発明は、本件請求項1ないし3に記載の発明を特定する事項である低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている構成を備えていない、また、参考資料1ないし5にも当該構成の記載はない。本件請求項1ないし3に係る発明は、当該構成によりON/OFF比が高く、LDD領域の空乏化による高抵抗化を防ぐことができるという顕著な効果を奏するものであり、本件請求項1ないし3に記載の発明が上記刊行物1及び2に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。
以上のとおりであるから特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
(6)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由および証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
薄膜トランジスタ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタにおいて、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】 マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極に接続された薄膜トランジスタを備えた一方の基板と、対向電極を有し前記一方の基板に対向配置された他方の基板と、両方の基板に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】 マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成されたアクティブマトリクス基板と、対向電極を有し前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方の薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液晶表示装置や密着型イメージセンサ等に用いられる薄膜トランジスタに関する。より詳しくは、薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜の形状構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)はアクティブマトリクス型の液晶表示装置や密着型イメージセンサ等に応用できる為近年その開発が活発に行なわれている。特に薄膜材料として多結晶シリコン(以下、poly-Siと称する)を用いたTFT(以下、poly-Si TFTと称する)は、周辺の駆動回路部を表示部やセンサ部と同一の基板上に集積できる為注目を集めている。最近ではトランジスタ動作特性を改善する為所謂LDD構造のTFT(以下、LDDTFTと称する)が開発されている。このLDD TFTはチャネル領域とドレイン端の間にドレイン領域よりも薄い不純物濃度領域を有しており、ドレイン端の電界集中を緩和できる為、多結晶シリコンの結晶粒界や欠陥準位を介したTFTのリーク電流を抑制できる事からアクティブマトリクス型液晶表示装置等の回路素子に応用されている。この様なLDD構造は例えば特公平3-38755号公報や特開昭63-204769号公報に開示されている。
【0003】
図11に従来のLDD TFTの断面構造を示す。石英基板100の表面にはパタニングされたpoly-Si膜101が形成されている。この薄膜101には不純物が選択的に拡散されており、ソース領域102、ドレイン領域103及びチャネル領域104が形成されている。さらに、ソース領域102及びドレイン領域103とチャネル領域104との間には低濃度不純物領域即ちLDD領域105が形成されている。チャネル領域104の上方にはゲート絶縁膜を介してゲート電極106が形成されている。ゲート絶縁膜は酸化膜あるいはSiO2膜107と窒化膜あるいはSi3N4膜108とからなる積層構造を有している。場合によってはSi3N4膜108の表面が薄く酸化されており、SiO2-Si3N4-SiO2の3層構造(ONO構造)を採るゲート絶縁膜が用いられる事も多い。このONO構造はゲート耐圧を改善できpoly-Si TFTの信頼性を向上できる。石英基板100の表面には層間絶縁膜109が被覆されているとともに、コンタクトホールを介してソース電極110がソース領域102に接続されており、ドレイン電極111がコンタクトホールを介してドレイン領域103に接続している。
【0004】
図11に示すゲート絶縁膜構造では、下層のSiO2膜107がpoly-Si膜101の表面を全体的に被覆している一方、上層のSi3N4膜108は一部除去されておりチャネル領域104を被覆している。Si3N4膜108の除去は一般にウェットエッチングにより行なわれる。この際、サイドエッチを防止する為に1μm程度のマージンがとられており、Si3N4膜108の端部はLDD領域105の上方にまで及んでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来からpoly-Si TFTの電気特性を改善する為に水素化処理が行なわれている。水素化処理によって導入された水素原子は結晶粒界に拡散しダングリングボンドと結合する為、トラップ密度は小さくなり障壁ポテンシャルが低くなる。この為poly-Si TFT内でのキャリア移動度が高くなりON電流を増加できる。又トラップ準位が減少する事によりリーク電流を抑制できる。しかしながら、図11に示す従来構造では水素化処理を十分に行なう事ができないという問題点あるいは課題があった。Si3N4膜108は通常LPCVDを用いて形成され緻密な構造を有するので水素原子が拡散しにくい。このSi3N4膜108がLDD領域105を被覆している為LDD領域の結晶欠陥を減少できずリーク電流が十分に減らないという問題点があった。又従来の構造では、水素原子がチャネル領域104中にも拡散しにくくなっているので、チャネル領域の水素化も不足し従ってチャネルの欠陥も減少しない為TFTのON電流も小さくなるという問題点があった。
【0006】
図12を参照してさらに別の問題点あるいは課題を説明する。図12は図11に示すTFTの部分拡大図でありnチャネル型を示している。前述した様に、ONO構造のゲート絶縁膜に用いられるSi3N4膜108は通常LPCVD(減圧化学気相成長法)で成膜されるが、欠陥が多く電荷をトラップし易いという性質がある。この為長時間駆動するとnチャネル型のTFTではSiO2膜107を介して矢印で示す様に電子が流れ、LDD領域105の上方に位置するSi3N4膜108の端部にトラップされ負電荷112の蓄積が生じる。この様になるとLDD領域105は空乏化し高抵抗となるのでTFTのON電流が減少してしまい動作不良となる。なお、pチャネル型のTFTでも同様の原因により正電荷の蓄積が生じLDD領域の高抵抗化が生じる。この結果TFTのON電流がとれなくなり長期信頼性が確保できないという問題点がある。
【0007】
上述した欠点を有するTFTを例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に応用すると、ON電流が不足する為画素の書き込み不足不良となる。又、液晶表示装置の周辺回路や密着型イメージセンサの走査回路に応用すると、TFTのON電流不足やリーク電流あるいはOFF電流の増大が原因となって動作不良を起す。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は高いON/OFF比及び高信頼性を有するLDD TFTを提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に次の手段を講じた。即ち、LDD TFTにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、LDD領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記LDD領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする。換言すると、窒化膜はゲート電極の直下のみに残されておりLDD領域の上方からは除去されている。かかるゲート絶縁膜構造を有するLDD TFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。あるいは、アクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路部あるいは駆動回路部を構成する素子に用いる事ができる。
【0009】
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成された一方のアクティブマトリクス基板と、対向電極を有しアクティブマトリクス基板に対向配置された他方の対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えている。かかる構成において、第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方が、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域を有する多結晶半導体層例えばpoly-Si膜と、この多結晶半導体層とゲート電極との間に挟まれたゲート絶縁膜とから構成されている。このゲート絶縁膜は、ゲート電極の底面に接する様に設けられた窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域の少なくとも一方の上方に設けられた酸化膜のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。LDD領域は水素化により水素が拡散されている。
【0010】
【作用】
LDD TFTのLDD領域上方からゲート窒化膜を選択的に除去する事によりチャネル領域及びLDD領域の水素化が効果的になされる為、高いON/OFF比を達成できる。又、TFT連続駆動時のLDD領域高抵抗化を防ぎ信頼性を向上できる。
【0011】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1は本発明にかかるTFTの第1実施例を示す模式的な断面図である。このTFTはnチャネル型であり例えば液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。この場合には液晶を交流駆動させる為ソース側とドレイン側は交互に入れ代るので、LDD領域はソース及びドレインの両側に形成される。絶縁基板例えば石英基板1の上にはパタニングされた多結晶半導体層例えばpoly-Si膜2が形成されている。この膜2にはソース領域3とドレイン領域4と両者の間に位置するチャネル領域5とが形成されている。ソース領域3及びドレイン領域4とチャネル領域5との間には同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域6が形成されている。チャネル領域5の上方にはゲート絶縁膜を介してゲート電極7が形成されている。ゲート絶縁膜はゲート電極7の底面に接する様に設けられたSi3N4膜8とSiO2膜9を積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域6の上方を覆う様に設けられたSiO2膜9のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。換言すると、Si3N4膜8はゲート電極7の直下のみに位置しLDD領域6からは除去されている。石英基板1はPSG膜10により被覆されている。この膜10に形成されたコンタクトホールを介してAl電極11がソース領域3及びドレイン領域4に電気接続されている。
【0012】
次に図2ないし図5を参照して本発明にかかるLDD TFTの製造工程を説明する。まず図2を参照して半導体活性層の形成工程を説明する。まず石英基板上にLPCVD法でpoly-Si薄膜を約75nm成膜する。必要に応じこの後Si+イオンをインプランテーションする事により非晶質化し、続いて600程度の温度でアニールする事によりpoly-Siを大粒径化する。なお、poly-Si膜に代えて非晶質シリコン薄膜を形成しても良い。この場合にはプラズマ化学気相成長法(PCVD)を用いて150〜250℃程度の温度で成膜する。この様にして得られたpoly-Si膜をエッチングによりパタニングする。続いてpoly-Si膜を酸化しゲート酸化膜を約60nm形成する。この後必要に応じ、TFTの閾値電圧Vthを制御する為、B+イオンを1〜8×1012/cm2程度のドーズ量で打ち込む。
【0013】
次に図3を参照してゲート電極形成工程を説明する。まず、ゲート酸化膜上にLPCVD法でSi3N4薄膜を約10〜20nm成膜する。場合によってはこのSi3N4薄膜表面を酸化しSiO2膜を約1〜2nm形成する。この様にして形成されたゲート絶縁膜はSiO2-Si3N4-SiO2の3層構造となる為ONO構造と呼ばれている。この構造はゲート耐圧を十分確保でき信頼性が向上する。このゲート絶縁膜上に燐をドープした低抵抗多結晶シリコンを約350nm形成しパタニングしてゲート電極とする。ゲート電極の具体的な形成方法としては以下のものが挙げられる。ノンドープ多結晶シリコン薄膜を形成しPClO3ガスから燐を拡散させる方法がある。又、PClO3ガスの代りにPSG膜を用い燐拡散を行なう方法がある。あるいはLPCVD法でSiH4ガスとPH3ガスの混合ガスを熱分解させ、ドープトpoly-Siを成膜する方法がある。本実施例では最初に述べた方法を採用した。続いてLDD領域を形成する工程に移る。nチャネル型TFTの場合、ゲート電極形成後As+又はP+イオンを0.2〜1.5×1013/cm2のドーズ量で打ち込む。なお、pチャネル型TFTの場合にはB+イオンを0.1〜2.0×1013/cm2のドーズ量で同様に打ち込めば良い。続いてSi3N4膜カットを行なう。具体的には、ゲート電極をマスクとしてドライエッチングを行ないSi3N4膜のみを選択的に除去する。この結果、ゲート電極の直下のみにSiN4膜が残される事になる。この除去処理はサイドエッチを最小にする為に反応性イオンエッチング法を用いる事が望ましい。なおこの実施例ではソース及びドレイン領域を形成する前にSi3N4膜のカットを行なっているがこれに限られるものではない。ソース及びドレイン領域を形成した後Si3N4膜をカットしても良い。
【0014】
次に図4を参照してソース及びドレイン領域形成工程を説明する。ゲート電極の両側面から1μm程度をLDD領域として残す様にレジストを形成する。続いてAs+イオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量で打ち込みソース領域及びドレイン領域を形成する。なお、pチャネル型TFTを作成する場合にはB+イオンを打ち込む。この後LPCVD法で第1PSG膜を約600nm形成し、1000℃10分間ないし20分間のN2アニールを行なってソース領域、ドレイン領域及びLDD領域を活性化させる。最後にソース領域及びドレイン領域に連通するコンタクトホールを形成する。
【0015】
最後に図5を参照して水素化処理工程を説明する。まずAl電極を約600nm形成しパタニングする。この上にさらに第2のPSG膜を約400nm形成する。続いてPCVD法を用い窒化シリコン膜(P-SiNx膜)を約100nm形成する。このP-SiNx膜は水素原子を多量に含んでおり、成膜後にアニールする事でTFTの水素化を効果的に行なえる。水素化によりpoly-Siの欠陥密度を減少させTFTのリーク電流を抑制できる。この時、LDD領域上からゲート窒化膜が予め除去されているのでチャネル領域を含めて水素化が極めて効率的に行なえる。なお、この様にして製造されたTFTを液晶ディスプレイに応用する場合には、この後に画素電極用の透明導電膜を形成する工程が加わるが、ここでは省略する。この様にして作成されたTFTはチャネル長Lが例えば5μmでありチャネル幅Wは例えば3μmである。但し画素駆動用スイッチング素子としてではなく周辺回路素子として用いる場合にはチャネル長Lを例えば7μmに設定しチャネル幅Wを例えば20μmに設定しても良い。
【0016】
図6に、LDD領域上にSi3N4膜がある場合とSi3N4膜を除去した場合の、水素化アニール時間によるシート抵抗の変化を示す。縦軸はLDDシート抵抗を対数メモリでとってある。Si3N4膜がある場合には水素化アニール時間を長くしてもLDD抵抗はあまり変化しないのに対し、Si3N4膜を除去した場合は30分程度のアニールで急激にLDD抵抗が下がる事が分る。水素化処理により欠陥が減少する為不純物イオンの活性化率が高くなりLDD抵抗が下がる。この様にSi3N4膜は水素の拡散を阻害する事が判明した。
【0017】
図7に従来のTFTと本発明のTFTのゲート電圧対ドレイン電流曲線を示す。なお測定されたTFTのチャネル長Lは5μmでありチャネル幅Wは3μmである。又、ソース/ドレイン間電圧を5Vに設定しソース/ゲート間電圧を15Vに設定した。従来のTFTでは400℃で3時間以上の水素化アニールを行なってもリーク電流を十分に下げる事はできなかった。又、チャネル領域にも水素が拡散し難いのでON電流も十分とれなかった。これに対し本発明のTFT構造では、チャネル領域とLDD領域の水素化が十分に行なえるので、水素化アニール時間を30分に短縮できるとともに、従来に比較してON電流は3倍以上になり、リーク電流あるいはOFF電流も10分の1以下に下げる事ができた。又前述した様な負電荷の蓄積によるLDD領域の高抵抗化も起らない為、長時間駆動時の信頼性も確保できる様になった。
【0018】
図8に本発明にかかるTFTの第2実施例を示す。理解を容易にする為に第1実施例と同一の構成要素については同一の参照番号を付してある。本実施例のTFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路用あるいは駆動回路用に用いられる。この場合にはドレイン側の方向が決まっているのでソース側にはLDD領域を作らない様にしている。これによりON電流が増加する。図示する様に、本実施例ではドレイン領域4とチャネル領域5との間にのみLDD領域6が形成されているとともに、このLDD領域6の上からSi3N4膜8が除去されている。かかる構造は例えば以下の工程により製造できる。即ち、Si3N4膜をドレイン側だけLDD領域として残した形でパタニングし、続いてレジストを残したままイオンインプランテーションを行なえば図示するLDD領域とソース/ドレイン領域ができる。この後、ドレイン側に突き出ているSi3N4膜をエッチングにより除去すれば良い。
【0019】
図9に本発明にかかるTFTの第3実施例を示す。本実施例においても第2実施例と同様にドレイン側だけにLDD領域6が形成されている。第2実施例と異なる点は、LDD領域の形成されていないソース領域3側はSi3N4膜8で被覆されている事である。かかる構造によりTFTの耐圧が改善できる。本実施例の構造は例えば以下の工程により製造できる。Si3N4膜をエッチングする前にレジストパタンだけでLDD領域とソース/ドレイン領域を形成し、その後ドレイン側のSi3N4膜だけを選択的にエッチング除去する。
【0020】
なお、第1ないし第3実施例においてはTFTのチャネル長を7μmあるいは5μmに設定し、チャネル幅を対応して20μm又は3μmに設定し、LDD長を1μmに設定していたが、TFTの寸法はこれに限られるものではなく、ソース/ドレイン耐圧が確保できればチャネル長、チャネル幅、LDD長ともさらに短くしても良い。各寸法が長くなる場合は何ら問題を生じない。又、上述した各実施例においてはTFTのゲート電極が多結晶シリコンで構成され、ゲート絶縁膜がONO構造を有し、配線材はAl電極を用いているが、本発明はこれに限られるものではない。ゲート電極は、例えばシリサイド、ポリサイド、あるいは金属としてTa,Al,Cr,Mo,Ni及びこれらの合金等を用いても良い。ゲート絶縁膜は例えば窒化シリコン、酸化タンタルと窒化シリコンの組み合わせ等を用いる事ができる。配線材としては、例えばTa,Cr,Mo,Ni及びこれらの合金を用いる事もできる。加えて、本発明はTFTとしてプレーナ型、正スタガ型又は逆スタガ型のいずれにも適用可能である事は勿論である。
【0021】
最後に図10を参照して、本発明にかかるTFTを用いて構成されたアクティブマトリクス型液晶表示装置の一例を説明する。この液晶表示装置はアクティブマトリクス基板21と対向基板22をスペーサ23により貼り合わせた構造を有し両基板の間に液晶層が充填されている。アクティブマトリクス基板21の表面にはマトリクス状に配列された画素電極24とこの画素電極24を駆動する第1の薄膜トランジスタ25とからなる液晶表示部26と、この液晶表示部26に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部27とが形成されている。一方、対向基板22の内表面には対向電極が形成されている。第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方は、ソース側及びドレイン側のLDD領域の少なくとも一方からゲート窒化膜が除去された構造を有している。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、LDD領域の上部からゲート窒化膜を除去した構造を有しているので、LDD領域中に容易に水素を拡散する事ができ短時間の水素化アニールでON/OFF比の高いLDD TFTを作成する事ができるという効果がある。又、LDD構造に近接した領域に負電荷が蓄積されないので、LDD領域の空乏化による高抵抗化を防ぐ事ができるという効果がある。この為、TFTの実動作の信頼性を著しく改善する事ができその効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明にかかる薄膜トランジスタの第1実施例を示す模式的な断面図である。
【図2】
本発明にかかる薄膜トランジスタの製造工程図である。
【図3】
同じく製造工程図である。
【図4】
同じく製造工程図である。
【図5】
同じく製造工程図である。
【図6】
水素化アニール時間によるLDD抵抗の変化を示すグラフである。
【図7】
nチャネル型LDD TFTのゲート電圧/ドレイン電流曲線を示すグラフである。
【図8】
本発明にかかる薄膜トランジスタの第2実施例を示す模式的な断面図である。
【図9】
本発明にかかる薄膜トランジスタの第3実施例を示す模式的な断面図である。
【図10】
本発明にかかる薄膜トランジスタを用いて構成されたアクティブマトリクス型液晶表示装置の一例を示す斜視図である。
【図11】
従来の薄膜トランジスタの構造を示す断面図である。
【図12】
図11に示す従来の薄膜トランジスタのドレイン端部を拡大した模式図である。
【符号の説明】
1 石英基板
2 poly-Si膜
3 ソース領域
4 ドレイン領域
5 チャネル領域
6 LDD領域
7 ゲート電極
8 Si3N4膜
9 SiO2膜
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の、「【請求項1】絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタにおいて、前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極に接続された薄膜トランジスタを備えた一方の基板と、対向電極を有し前記一方の基板に対向配置された他方の基板と、両方の基板に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成されたアクティブマトリクス基板と、対向電極を有し前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、前記第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方の薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする液晶表示装置。」の記載を、
「【請求項1】絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタにおいて、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極に接続された薄膜トランジスタを備えた一方の基板と、対向電極を有し前記一方の基板に対向配置された他方の基板と、両方の基板に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成されたアクティブマトリクス基板と、対向電極を有し前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えた液晶表示装置において、
前記第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方の薄膜トランジスタが、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に前記不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域を有する多結晶半導体層と、前記多結晶半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とからなり、前記ゲート絶縁膜は、前記ゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、前記低濃度不純物領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記低濃度不純物領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする液晶表示装置。」と訂正する。
訂正事項b
上記、特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の、段落番号【0008】、【0009】の「【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は高いON/OFF比及び高信頼性を有するLDD TFTを提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に次の手段を講じた。即ち、LDD TFTにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、LDD領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなる事を特徴とする。換言すると、窒化膜はゲート電極の直下のみに残されておりLDD領域の上方からは除去されている。かかるゲート絶縁膜構造を有するLDD TFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。あるいは、アクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路部あるいは駆動回路部を構成する素子に用いる事ができる。
【0009】 アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成された一方のアクティブマトリクス基板と、対向電極を有しアクティブマトリクス基板に対向配置された他方の対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えている。かかる構成において、第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方が、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域を有する多結晶半導体層例えばpoly-Si膜と、この多結晶半導体層とゲート電極との間に挟まれたゲート絶縁膜とから構成されている。このゲート絶縁膜は、ゲート電極の底面に接する様に設けられた窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域の少なくとも一方の上方に設けられた酸化膜のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。」を、
「【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は高いON/OFF比及び高信頼性を有するLDD TFTを提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に次の手段を講じた。即ち、LDD TFTにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極の底面に接する様に設けられた第1の絶縁領域と、LDD領域の上方に設けられた第2の絶縁領域とを備え、前記第1の絶縁領域は、窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成されており、前記第2の絶縁領域は、酸化膜のみからなり、前記LDD領域は水素化により水素が拡散されている事を特徴とする。換言すると、窒化膜はゲート電極の直下のみに残されておりLDD領域の上方からは除去されている。かかるゲート絶縁膜構造を有するLDD TFTは例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素駆動用スイッチング素子に用いられる。あるいは、アクティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路部あるいは駆動回路部を構成する素子に用いる事ができる。
【0009】アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配列された画素電極とこの画素電極を駆動する第1の薄膜トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとからなる液晶表示部と、この液晶表示部に接続されるとともに第2の薄膜トランジスタを有する駆動回路部とが形成された一方のアクティブマトリクス基板と、対向電極を有しアクティブマトリクス基板に対向配置された他方の対向基板と、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に保持された液晶層とを備えている。かかる構成において、第1及び第2の薄膜トランジスタの少なくとも一方が、ソース不純物領域及びドレイン不純物領域とチャネル領域との間の少なくとも一方に不純物領域と同一導電型の低濃度不純物領域即ちLDD領域を有する多結晶半導体層例えばpoly-Si膜と、この多結晶半導体層とゲート電極との間に挟まれたゲート絶縁膜とから構成されている。このゲート絶縁膜は、ゲート電極の底面に接する様に設けられた窒化膜及び酸化膜を2層以上積層して構成された第1の絶縁領域と、LDD領域の少なくとも一方の上方に設けられた酸化膜のみからなる第2の絶縁領域とを備えている。LDD領域は水素化により水素が拡散されている。」と訂正する。
異議決定日 2002-02-15 
出願番号 特願平4-102146
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 河本 充雄  
特許庁審判長 松本 邦夫
特許庁審判官 小田 裕
岡 和久
登録日 2000-11-17 
登録番号 特許第3128939号(P3128939)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 薄膜トランジスタ  
代理人 鈴木 晴敏  
代理人 鈴木 晴敏  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ