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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 発明同一  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
管理番号 1058282
異議申立番号 異議2000-72908  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-26 
確定日 2002-04-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第3003996号「積層フィルム」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについてした平成13年5月17日付けの決定に対し、本件に係る別途訂正審判による訂正が確定した後、東京高等裁判所において決定取消しの判決(平成13年(行ケ)第295号、平成14年1月30日判決言渡)があったので、更に審理した結果、次のとおり決定する。 
結論 特許第3003996号の別途訂正審判による訂正後の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯(特許第3003996号)
1.平成5年11月26日 原特許出願(特願平5-297010号)(優先権主張 平成4年12月3日 日本、平成4年12月25日 日本、平成5年5月13日 日本)
2.平成9年12月24日 本件分割出願(特願平9-354638号)
3.平成11年11月19日 特許の設定登録(特許第3003996号)
4.平成12年7月26日等 特許異議の申立(三井化学株式会社外4名より)
5.平成12年11月24日 取消理由通知
6.平成13月2月6日 意見書及び訂正請求(後日取下)
7.平成13年5月17日 訂正を認めて、異議決定(特許全部取消)
9.平成13年7月2日 東京高裁へ出訴(平成13年(行ケ)第295号)
10.平成13年9月18日 訂正審判請求(訂正2001-39165号)
11.平成13年11月30日 訂正審決(訂正認容)
12.平成14年1月8日 訂正確定登録
13.平成年14年1月30日 東京高裁判決(異議決定取消)
14.平成14年2月28日 訂正請求取下書
II.本件発明
本件発明は、訂正審決(訂正認容)の確定により、平成13年9月18日付け請求の訂正審判請求書に記載された訂正後の明細書の特許請求の範囲請求項1〜3に記載された下記のとおりのものと認める。
「【請求項1】基層とヒートシール層とからなる積層フィルムであって、該ヒートシール層はメタロセン触媒を用いて製造され、且つそのMFRが2〜30g/10分、密度が0.935g/cm3以下、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であるエチレンと炭素数3〜18のα-オレフィンとの共重合体50〜99重量%及び0.1〜20g/10分のMFR及び0.915〜0.930g/cm3の密度を有し、かつ、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上である高圧法低密度ポリエチレン1〜50重量%を含有する樹脂組成物から形成され、該樹脂組成物のMFRが5〜25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が
ME≧[0.2×MT+1]/g
を満たし、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールした時のシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃である積層フィルム。
【請求項2】前記樹脂組成物の密度が0.89〜0.912g/cm3であり、前記シール強度が3.4〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜100℃である請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】前記シール強度が4.9〜5.9kg/15mmである請求項2記載の積層フィルム。」
III.特許異議申立の概要
1.特許異議申立人三井化学株式会社(以下、申立人Aという)
甲第1号証乃至甲第3号証を提出して、(1)本件訂正前の請求項1〜4に係る発明は、甲第3号証の実験報告書によれば、甲第1号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条の2第1項に違反してなされたものである。
(2)請求項の記載におけるシール強度の測定に際しての測定条件(剥離角度、剥離速度)の記載がないので、本件明細書の記載に不備があるから、本件の特許は、特許法第36条の規定を満足しない特許出願に対してされたものである。
2.特許異議申立人日本ポリオレフィン株式会社(以下、申立人Bという)
甲第1号証乃至甲第8号証及び参考資料1乃至参考資料3を提出して、(1)本件訂正前の請求項1〜4の発明は、甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものである。
(2)本件訂正前の請求項1〜4の発明は、甲第6号証又は甲第7号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条の2第1項に違反してなされたものである。
(3)本件訂正前の請求項1〜4の発明に係る出願は、適法な分割出願とはいえず、出願日の遡及は認められないから、これらの発明は原出願の公開公報(甲第8号証)に記載された発明であるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に違反してなされたものである。
3.特許異議申立人ザ ダウ ケミカル カンパニー(以下、申立人Cという)
甲第1号証乃至甲第8号証の2を提出して、(1)本件訂正前の請求項1〜4の発明は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものである。
(2)本件訂正前の請求項1〜4の発明に係る出願は、適法な分割出願とはいえず、出願日の遡及は認められないから、これらの発明は原出願の公開公報(甲第8号証の1及び甲第8号証の2)に記載された発明であるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に違反してなされたものである。
(3)本件明細書には、(3-1)実施例及び比較例で使用する種々のLLDPE及びLDPEの具体的製造条件の開示がない、(3-2)請求項の規定の範囲外であることが明らかなもの(実施例10)を実施例として記載している、(3-3)実施例のヒートシール強度の測定条件が、シール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒と明記されていない、(3-4)請求項における、エチレン重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体の関係不明、の記載不備があり、本件訂正前の請求項1〜4に係る特許は、特許法第36条に違反してなされたものである。
4.特許異議申立人東ソー株式会社(以下、申立人Dという)
甲第1号証及び甲第2号証を提出して、(1)本件訂正前の請求項1、2及び3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、または該証拠の記載から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条第1号または同条第2項に違反してなされたものである。
5.特許異議申立人住友化学工業株式会社(以下、申立人Eという)
甲第1号証乃至甲第3号証及び参考資料を提出して、(1)本件訂正前の請求項1及び4に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものである。
IV.分割の適否について
1.分割出願の発明が分割前の原出願に包含された二以上の発明のうちの1つであるか
分割前の原出願の明細書(後記刊行物5)には、ラミネート用樹脂組成物に関して、次の記載がされている。
イ.「【請求項1】 成分A:下記に示す(a)〜(d)の性状を有するエチレンと炭素数3〜18のα-オレフィンとの共重合体 50〜99重量%
(a)MFRが2〜30g/10分
(b)密度が0.935g/cm3以下
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり;該ピーク温度が20〜85℃であり;該ピークの高さをHとし、該ピークの高さの1/2の幅をWとしたときのH/Wの値が1以上であり;該ピークの溶出温度以外の温度において溶出するものが実質的に該溶出曲線に存在することがある
成分B:下記に示す(a’)、(b’)、(c’)および(d’)の性状を有する高圧法低密度ポリエチレン 1〜50重量%
(a’)MFRが0.1〜20g/10分
(b’)密度が0.915〜0.93g/cm3(c’)メモリーエフェクト(ME:Memory Effect)が1.6以上
(d’)メルトテンション(MT:Melt Tension)が1.5g以上
を含有することを特徴とするラミネート用樹脂組成物。」(【請求項1】)、
ロ.「(b)エチレン・α-オレフィン共重合体の製造 このような線状低密度ポリエチレンの製造法は、・・・・などに記載される方法、すなわち、メタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン触媒、または、・・・・触媒を使用して、主成分のエチレンと従成分のα-オレフィンとを共重合させる方法である。」(【0013】)
ハ.「(3) 樹脂組成物の物性
このようにして得られる本発明のラミネート用樹脂組成物の物性としては、望ましくは、MFRが5〜25g/10分、好ましくは8〜20g/10分であり;密度が0.87〜0.932g/cm3、好ましくは0.89〜0.912g/cm3であり;Q値が2〜10、好ましくは3〜6でり;ME(3g)が1.2〜2.3、好ましくは1.5〜2.0であり;MTが1.0g以上、好ましくは1.5g以上であり;且つ該樹脂組成物のMEとMTの関係が
ME≧[0.2×MT+1]/g
を満足するものが好適である。」(【0029】)、
ニ.「(e) ヒートシール強度:東洋精機製熱盤式ヒートシーラーにて、
シール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒でヒートシールした後に、引張試験機にてヒートシール強度を測定する。
(f) 3kg荷重ヒートシール温度:上記ヒートシール強度を測定し、そのヒートシール強度が3kg得られる温度を3kg荷重ヒートシール温度とする。」(【0040】)、
ホ.「評価
このペレット状の樹脂組成物を、40mmφ単軸押出機を用いて280℃の成形温度で肉厚30μmのフィルム状に押し出し、これを幅360mmのTダイより、予め肉厚30μmのLDPEと厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムとがラミネートされた積層体のLDPE側上に、押出ラミネートコーティングした。このラミネート三層フィルムを用いて、ヒートシール強度、3kg荷重ヒートシール温度、ホットタック性を測定した。」(【0044】)
ヘ. ラミネートの評価として、ヒートシール強度(kg/15mm)が2.9(実施例6)、5.9(実施例17)、3kg荷重ヒートシール温度が、84(実施例5)、114(実施例6)であること。
分割出願の明細書(訂正審判(訂正2001-39165)により訂正された訂正明細書)に記載された発明である積層フィルムに関して、シール層の樹脂組成物の物性値、樹脂組成物を構成する成分である、エチレンと炭素数3〜18のα-オレフィンとの共重合体、及び高圧法低密度エチレン重合体についての性状の規定は、上記イ.〜ヘ.の記載からみて、分割前の原出願の明細書に記載されているから、分割出願の発明は、分割前の原出願の明細書に記載された発明である。
2.分割出願の発明と分割後の原出願の発明は同一でないといえるか
分割後の原出願の発明は、その特許公報(特許第2978387号公報)によれば、「成分A:下記に示す(a)〜(c)の性状を有するエチレンと炭素数3〜18のα-オレフィンとの共重合体 50〜99重量%
(a)MFRが2〜30g/10分
(b)密度が0.935g/cm3以下
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の最大ピーク温度が20〜85℃であり;該最大ピークの高さをHとし、該最大ピークの高さの1/2の幅をWとしたときのH/Wの値が1以上である;成分B:下記に示す(a’)、(b’)、(c’)および(d’)の性状を有する高圧法低密度ポリエチレン1〜50重量%
(a’)MFRが0.1〜20g/10分
(b’)密度が0.915〜0.93g/cm3(c’)メモリーエフェクト(ME:Memory Effect)が1.6以上
(d’)メルトテンション(MT:Melt Tension)が1.5g以上
を含有することを特徴とするラミネート用樹脂組成物。」(【請求項1】)である。
分割出願の明細書に記載された発明は積層フィルムであり、分割後の原出願の発明はラミネート用樹脂組成物であるから、両者は同一とはいえない。
3.むすび
したがって、本件は適法な分割出願であり、特許法第44条第2項の規定により、原出願の出願日である平成5年11月26日(優先権主張、平成4年12月3日、平成4年12月25日、平成5年5月13日)に出願したものと見なされる。
V.各異議申立ての証拠とその記載
各異議申立人が提示したのは、以下の証拠である。 記
(申立人三井化学株式会社提出分)
甲第1号証 特願平4-57938号明細書(以下、先願明細書1という)
甲第2号証 特開平6-65443号公報
甲第3号証 三井化学株式会社 生産技術研究所 筒井俊之、高分子研究所 高橋守、渡辺淳による平成12年7月12日作成の実験報告書(以下、実験報告書1という)
(日本ポリオレフィン株式会社提出分)
甲第1号証 特開平3-237145号公報(以下、刊行物1という)
甲第2号証 特開昭58-194935号公報(以下、刊行物2という)
甲第3号証 特開昭57-117547号公報(以下、刊行物3という)
甲第4号証 特開昭63-51407号公報(以下、刊行物4という)
甲第5号証 日本ポリオレフィン株式会社 川崎工場生産技術部 片岡直紀、研究開発センター 若山昌弘による平成12年7月14日作成の実験報告書(以下、実験報告書2という)
甲第6号証 特願平5-68282号(特開平6-65442号公報)(以下、先願明細書2という)
甲第7号証 特願平5-68851号(特開平6-65443号公報)(以下、先願明細書3という)
甲第8号証 特開平7-26079号公報(原出願の公開公報)(以下、刊行物5という)
参考資料1 甲第1号証の実施例1〜5のヒートシール強度をプロットした図(以下、参考図という)
参考資料2 プラスチック フィルムレジン材料総覧’89 p9〜15加工技術研究会 昭和63年5月30日発行 (以下、刊行物6という)
参考資料3 Polymer Vol.36,No8,p1639〜1654(1995)(以下、刊行物7という)
(ザ ダウ ケミカル カンパニー提出分)
甲第1号証 米国特許第4339507号明細書(以下、刊行物8という)
甲第2号証 特開昭58-194935号公報(上記、刊行物2に同じ)
甲第3号証 Speciality Plastics Conference’86、K.Tominari;Special applications and markets for ethylene alpha-olefin copolymers in Japan(1986-11)(以下、刊行物9という)
甲第4号証 EXXPOL Technology vol.1,No.1 p1〜3、 1992-2)(以下、刊行物10という)
甲第5号証 C.S.Speed,B.C.Trudell,A.K.Mehta,F.C.Stehling;Structure/Property Relationships in EXXPOLTM Polymers,Society of Plastics Engineers Polyolefins VII International Conferrence(1991年2月24〜27日)Wyndham Greenspoint Hotel Houston,Texas(以下、刊行物11という)
甲第6号証 Tappi Journal 1992年2月 p99〜103(以下、刊行物12という)
甲第7号証 Polymer Engineering and Science vol.16,No.12 p811〜815(1976)(以下、刊行物13という)
甲第8号証の1 特許第2978387号公報(原出願の特許公報)
甲第8号証の2 特開平7-26079号公報(上記、刊行物5に同じ)
(東ソー株式会社提出分)
甲第1号証 特開平2-272033号公報(以下、刊行物14という)
甲第2号証 東ソー株式会社 四日市研究所 幸田真吾による2000年7月26日作成の実験報告書(以下、実験報告書3という)
(住友化学工業株式会社提出分)
甲第1号証 特開昭52-104585号公報(以下、刊行物15という)
甲第2号証 三井石油化学(株)製タフマーのカタログ(以下、カタログ1という)
甲第3号証 住友化学工業株式会社石油化学品研究所小林重一による平成12年7月24日作成の実験証明書(以下、実験報告書4という)
参考資料 宮坂啓象外6名編「プラスチック事典」p326第7〜17行(1992-3-1)朝倉書店(以下、刊行物16という)
以下、各異議申立人の提出した証拠の種類に応じて、(1)先願明細書1〜先願明細書3、(2)刊行物1〜16の記載、(3)実験報告書1〜4の記載、(4)参考図、カタログの記載、に分けて摘示する。
(1)先願明細書1〜先願明細書3の記載
a.先願明細書1(申立人Aの甲第1号証に同じ)には、次の記載がなされている。
a-1.「[A]エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンとの共重合体であって、(i)密度(d)が0.880〜0.950g/cm3の範囲であり、(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲であり、(iii)DSCにおける融点の最大ピーク(T(℃))と密度(d)とが
T<400×d-250
で示される関係を満たし、
(iv)190℃におけるメルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR)とが
MT≦2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たし、
(v)23℃におけるデカン可溶部(W(重量%))と密度(d)とが
MFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき、
W<80×(MFR-9)0.26×exp(-100(d-0.88))+0.1
で示される関係を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体と、
[B]メルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分の範囲内にある高圧ラジカル法による低密度ポリエチレンからなり、
上記エチレン・α-オレフィン共重合体[A]と、上記高圧ラジカル法低密度ポリエチレン[B]との重量比([A]:[B])が、99:1〜60:40の範囲内にあることを特徴とするエチレン系共重合体組成物。」(【請求項1】)、
a-2.「上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体[A]は、後述するような(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物および(c)担体、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.950g/cm3となるように共重合させることによって製造することができる。」(【0028】)、
a-3.「本発明に係る高圧ラジカル法低密度ポリエチレンは、密度(d)が0.910〜0.930g/cm3の範囲にあることが望ましい。」(【0080】)、
a-4.「本発明のエチレン系共重合体組成物を加工することにより得られるフィルムは、規格袋、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋等の各種包装用フィルムや農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。」(【0090】)
a-5.「このようなエチレン系共重合体組成物からは、透明性、機械的強度、ヒートシール性、ホットタック性、耐熱性、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。」(【0091】)
a-6.エチレン・α-オレフィン共重合体[A]の重合条件は、全圧18kg/cm2-G、重合温度80℃、ガス組成(1-ヘキセン/エチレン=0.020、水素/エチレン=6.6×10-4、エチレン濃度=16%)及び得られた共重合体の物性は、密度0.923g/cm3、MFR1.1g/10分であったこと(【0099】及び【0100】)。
b.先願明細書2(申立人Bの甲第6号証に同じ)には、次の記載がなされている。
b-1.「[A]エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンとの共重合体であって、(i)密度(d)が0.880〜0.960g/cm3の範囲であり、(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲であり、(iii)DSCにおける融点の最大ピーク(T(℃))と密度(d)とが
T<400×d-250
で示される関係を満たし、(iv)190℃におけるメルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR)とが
MT>2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たし、(v)溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×106dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))とメルトフローレート(MFR)とが
FI>75×MFR
で示される関係を満たし、
(vi)23℃におけるデカン可溶部(W(重量%))と密度(d)とがMFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき、
W<80×(MFR-9)0.26×exp(-100(d-0.88))+0.1
で示される関係を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体と、
[B]高圧ラジカル法による低密度ポリエチレンであって、(i)メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分の範囲内であり、(ii)GPCにおいて測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)とメルトフローレート(MFR)とが、
Mw/Mn≧7.5×log(MFR)-1.2
で示される関係を満たす高圧ラジカル法低密度ポリエチレンからなり、
上記エチレン・α-オレフィン共重合体[A]と、上記高圧ラジカル法低密度ポリエチレン[B]との重量比([A]:[B])が、99:1〜60:40の範囲内にあることを特徴とするエチレン系共重合体組成物。」(【請求項1】)、
b-2.「上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体[A]は、後述するような(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物および(c)担体、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.960g/cm3となるように共重合させることによって製造することができる。」(【0031】)、
b-3.「本発明に係る高圧ラジカル法低密度ポリエチレンは、密度(d)が0.910〜0.930g/cm3の範囲にあることが望ましい。」(【0088】)、
b-4.「本発明のエチレン系共重合体組成物を加工することにより得られるフィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、輸液バック、農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。」(【0098】)
b-5.「このようなエチレン系共重合体組成物からは、透明性、機械的強度、ヒートシール性、ホットタック性、耐熱性、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。」(【0099】)
c.先願明細書3(申立人Bの甲第7号証に同じ)には、次の記載がなされている。
c-1.「[A]エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンとの共重合体であって、(i)密度(d)が0.880〜0.960g/cm3の範囲であり、(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲であり、(iii)DSCにおける融点の最大ピーク(T(℃))と密度(d)とが
T<400×d-250
で示される関係を満たし、(iv)190℃におけるメルトテンション(MT(g))とメルトフローレート(MFR)とが
MT≦2.2×MFR-0.84
で示される関係を満たし、(v)23℃におけるデカン可溶部(W(重量%))と密度(d)とが、MFR≦10g/10分のとき、
W<80×exp(-100(d-0.88))+0.1
MFR>10g/10分のとき、
W<80×(MFR-9)0.26×exp(-100(d-0.88))+0.1
で示される関係を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体と、
[B]高圧ラジカル法による低密度ポリエチレンであって、(i)メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分の範囲内であり、(ii)GPCにおいて測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)とメルトフローレート(MFR)とが、
7.5×log(MFR)-1.2≦Mw/Mn≦7.5×log(MFR)+12.5で示される関係を満たす高圧ラジカル法低密度ポリエチレンからなり、
上記エチレン・α-オレフィン共重合体[A]と、上記高圧ラジカル法低密度ポリエチレン[B]との重量比([A]:[B])が、99:1〜60:40の範囲内にあることを特徴とするエチレン系共重合体組成物。」(【請求項1】)、
c-2.「上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体[A]は、後述するような(a)遷移金属化合物と、(b)有機アルミニウムオキシ化合物と、をオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.960g/cm3となるように共重合させることによって製造することができるが、特に後述するような(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、(c)担体、および必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.960g/cm3となるように共重合させることによって製造することができる。」(【0033】)、
c-3.「本発明に係る高圧ラジカル法低密度ポリエチレンは、密度(d)が0.910〜0.930g/cm3の範囲にあることが望ましい。」(【0087】)、
c-4.「本発明のエチレン系共重合体組成物を加工することにより得られるフィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、輸液バック、農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。」(【0097】)
c-5.「このようなエチレン系共重合体組成物からは、透明性、機械的強度、ヒートシール性、ホットタック性、耐熱性、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。」(【0098】)
なお、特開平6-65443号公報(特願平5-68851号)(申立人Aの甲第2号証に同じ)によれば、特願平4-157938号(先願明細書1)は、優先権を主張して出願された特願平5-68851号(先願明細書3)の優先権の基礎とされ、特開平6-65443号として出願公開されたことが確認できる。
(2)刊行物1〜16の記載
d.刊行物1(特開平3-237145号公報)(申立人Bの甲第1号証に同じ)には、次の記載がなされている。
d-1.「密度0.900〜0.940g/cm3、メルトフローレート1〜30g/10minであるエチレンとα-オレフィンとの共重合体60〜90重量%と、密度0.910〜0.930g/cm3、そのダイスエル比とメルトフローレートの関係が下記の式で示される範囲にある高圧法ラジカル重合で得られる低密度ポリエチレン10〜40重量%からなるエチレン重合体組成物。
SR>-0.03×MFR+2.04
SR:ダイスエル比
MFR:メルトフローレート(g/10min)」(特許請求の範囲)、
d-2.「本発明によりヒートシール性、ホットタック性、耐熱性に優れ、更に押出コーティングにおいてその加工性に優れたエチレン重合体組成物が得られる。」(第5頁左上欄第2〜5行)、
d-3.「実施例1 密度が0.932g/cm3、MFRが8.0g/10minであるエチレン-へキセン-1共重合体75重量%と、密度が0.918g/cm3、MFRが7.0g/10min、SRが2.08である高圧法ラジカル重合によって得られたポリエチレン25重量%よりなる組成物を、アンカーコーティング剤を使用して低密度ポリエチレンを二軸延伸されたナイロンフィルムに積層した積層材のポリエチレン側に成形温度280℃にて押出ラミネートした。得られた積層材の厚み構成は、ナイロン/ポリエチレン/組成物=15/25/35(μ)とした。」(第3頁右上欄第12行〜左下欄第5行)
d-4.実施例2〜5には、シール温度110℃でのヒートシール強度(kg/15mm)として、3.0、2.5、3.1、3.8の値を得たこと(第4頁第1表)。
e.刊行物2(特開昭58-194935号公報)(申立人Bの甲第2号証、申立人Cの甲第2号証に同じ)には、次の記載がなされている。
e-1.「密度が0.895g/cm3以上0.955g/cm3以下で、炭素数1000個当りの短鎖分岐数(短鎖分岐度)が5以上40以下の、エチレンと炭素数3以上18以下のα-オレフィンとの共重合体に、メルトテンションが4g以上15g以下の高圧法低密度ポリエチレンおよび/またはエチレン系共重合体を10重量%以上60重量%以下混合して成る加工性とフィルム物性のすぐれた押出ラミネート用組成物。」(特許請求の範囲第1項)、
e-2.「本発明は良好な加工特性および高品質ラミネートフィルムを提供する押出ラミネート用組成物に関する。」(第1頁右下欄末行〜第2頁左上欄第2行)、
e-3.「本発明のもつ実用的な価値は、加工の容易さと、性能面ではとくにLLDPEの有する良好なホットタック性ならびにヒートシール強度を備えた押出ラミネートフィルムの生産を両立させることに成功したことにある。」(第2頁左下欄第2〜6行)、
e-4.「このLLDPEに比較的に少量の高圧法低密度ポリエチレンを添加することを試みたところ樹脂膜の巾や厚さの変動は、飛躍的に改善され実用上問題のない加工が可能になった。しかも驚くべきことに高圧法・低密度ポリエチレンにLLDPEを添加することにより、ホットタック性ならびにヒートシール強度は著しく向上し、殆んどLLDPEのそれらの特性に近いレベルに達することを見出した。このとき、他の物性、とくに伸び、衝撃強度、引裂強度、腰は配合割合に応じて向上し、これらの特性は加成性が認められた。」(第2頁左下欄第18行〜右下欄第9行)、
e-5.「本発明の主旨を損わない限り、触媒や重合方法については特に制約はなく、例えば触媒としては所謂チーグラー型触媒やフィリップス型触媒が挙げられ」(第5頁右下欄第2〜5行)
e-6.「メルトテンション 東洋精機製メルトテンションテスターによりオリフィス穴から一定量のポリマーを強制的に押出しモノフィラメントを形成し引取ロールにより引取速度を上げモノフィラメントの切断する最高の張力(g)で表わす。押出し温度=150℃ 押出し速度=0.32g/分 オリフィス=2mmφ L/D=4 サンプル量=5g」(第9頁左上欄下から第12〜3行)
e-7.「ヒートシール性 東洋精機製バータイプのヒートシーラーでシールされたラミネートフィルムのヒートシール強度を示す。シール圧力=1Kg/cm2、時間=0.5秒でヒートシールした後幅15mm、引張速度200mm/分で測定した。」(第9頁左上欄下から第2行〜右上欄第5行)
e-8.LLDPEとしては、密度が、0.923g/cm3(実施例1)のものを用い、高圧法低密度ポリエチレンとしては、メルトテンションが8gの住友化学製高圧法・低密度ポリエチレンスミカセンL705を用い、これらを配合して押出ラミネート組成物とし、基材(ユニチカ社製延伸ナイロンフィルム、エンブレム(厚さ15μ)にスミカセンL705を20μ押出コートしたもの)にコート厚み30μ又は15μで押出したこと、ヒートシール強度(Kg/15mm)は、シール温度130、150、170℃において、それぞれ3.1、4.1、4.4であったこと。(実施例1及び表1参照)
f.刊行物3(特開昭57-117647号公報)(申立人Bの甲第3号証に同じ)には、次の記載がなされている。
f-1.「高圧低密度ポリエチレン単独重合体若しくは共重合体押出被覆用組成物により基体を押出被覆するに際し、前記組成物として20重量%より多くかつ98重量%より少ない前記高圧低密度ポリエチレン単独重合体及び(又は)共重合体と、2重量%より多くかつ80重量%より少ない少なくとも1種の線状低密度エチレン炭化水素共重合体とからなる組成物を使用することを特徴とする押出被覆方法。」(特許請求の範囲第1項)、
f-2.「高圧低密度ポリエチレン単独重合体若しくは共重合体が約1〜約20のメルトインデックスを有する特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方法。」(特許請求の範囲第3項)、
f-3.「線状低密度エチレン炭化水素共重合体が、約0.5〜約100のメルトインデックスを有するエチレンと少なくとも1種のC3〜C8α-オレフィンとの共重合体である特許請求の範囲第10項記載の方法。」(特許請求の範囲第13項)
f-4.「本発明の配合物は、いずれの単一成分で達成しうるよりも大きい極めて高い引取速度かつ許容しうるネックイン条件において安定な押出速度を与えうると共に、たとえば基体に対する良好な接着性、被覆における少ないピンホール、小さい縁部ビード容積、良好な引張強さ、広温度範囲にわたる柔軟性、低透過性、良好な熱シール、及び耐摩耗性のような良好な製品特性を与える。」(第11頁左下欄第15行〜右下欄第2行)
g.刊行物4(特開昭63-51407号公報)(申立人Bの甲第4号証に同じ)には、オレフインの重合方法に関して、次の記載がなされている。
g-1.「〔A〕アルミノオキサンで処理された多孔質無機酸化物担体に、周期律表第IV B族遷移金属化合物を担持した固体触媒成分、および〔B〕アルミノオキサンまたはハロゲン化アルミノオキサン、から形成される触媒の存在下に、オレフインを重合または共重合させることを特徴とするオレフインの重合方法。」(特許請求の範囲第1項)、
g-2.「分子量分布が狭く、しかも二種以上のオレフインの共重合に適用した場合には分子量分布および組成分布が狭いオレフイン共重合体を優れた重合活性で重合する方法に関し、とくに分子量分布および組成分布が狭いエチレン・α-オレフイン共重合体を嵩密度が高く優れた粉体性状を有するポリマー粒子としてかつ優れた重合活性で製造する方法に関する。」(第1頁左下欄下から第3行〜右下欄第6行)
g-3.実施例7には、9.5モル%のブテン-1を含むブテン-1/エチレンの混合ガスを用い、MFR(dg/min)21、見掛け嵩密度(g/ml)0.39、密度(g/ml)0.916、デカン可溶成分量(wt%)2.6、Mw/Mn=2.6、のエチレ-ブテン-1共重合体を得たこと。
h.刊行物5(特開平7-26079号公報)(原出願の公開公報)(申立人Bの甲第8号証に同じ)には、
上記「IV.分割の適否についての判断」「1.分割出願の発明が分割前の原出願に包含された二以上の発明のうちの1つであるか」に記載したイ.〜ヘ.の事項が記載されている。
i.刊行物6(「プラスチック フィルムレジン材料総覧’89」p9〜15、加工技術研究会 昭和63年5月30日発行)(申立人Bの参考資料2に同じ)には、ショウレックス(昭和電工株式会社のLDPE押出グレード)について記載されている。
j.刊行物7(Polymer Vol.36,No8,p1639〜1654(1995))(申立人Bの参考資料3に同じ)には、線状ポリオレフィンの温度上昇溶離分別について記載されている。
k.刊行物8(USP4339507)(申立人Cの甲第1号証に同じ)には、次の記載がなされている。
k-1.密度が約0.912〜0.940(g/cm3)の線状低密度エチレン炭化水素コポリマー2〜80重量%と密度が約0.93(g/cm3)以下の高圧低密度ポリエチレンホモ又はコポリマー20〜98重量%からなる基材上への押出しコーティング用組成物(クレーム1参照)、
k-2.線状低密度エチレン炭化水素コポリマーは、約0.916〜0.928g/cm3の好ましい密度、1/2以上、好ましくは2以上、最も好ましくは10以上、100以下、好ましくは50以下、最も好ましくは30以下のメルトインデックス及び2.7〜4.1、好ましくは2.8〜3.4の分子量分布(Mw/Mn)をもつこと(8欄12行、8欄42〜47行、8欄48〜58行参照)、
k-3.高圧低密度ポリエチレンホモ又はコポリマーは、約0.91〜0.93g/cm3の密度及び約1〜20g/10分のメルトインデックスをもつこと(7欄50行、クレーム3参照)
l.刊行物9(Speciality Plastics Conference’86、K.Tominari;Special applications and markets for ethylene alpha-olefin copolymers in Japan(1986-11))(申立人Cの甲第3号証に同じ)には、超低密度ポリエチレン(Ultralow Density Polyethylene)(ULDPE)に関して、ULDPEはフィルム用に用いられること(「4.ULDPE適用の例」参照)、タフマーA(TAFMER A)のグレードA-4085は、3.6g/10分のメルトフローレート、0.88g/cm3の密度、54℃のビカット軟化点を有すること(「表1 タフマーのグレードとその性状」参照)、スナック、クラッカー用フィルムに、構造が、OPP、LDPE+ULDPE(押出被覆)及びCPP(非アンカー処理)の3層のもの(「第12図 ULDPEを使用する複合フィルムの構造」参照)が記載されている。
m.刊行物10(EXXPOL Technology vol.1,No.1,p1〜3、1992-2))(申立人Cの甲第4号証に同じ)には、EXACT(登録商標)に関して、1992年後半には、包装用のEXACTフィルム樹脂を上市の予定であること、既に、開発顧客は、従来の樹脂では得られない、シール性、靭性、光学性及び透明性で向上したフイルム特性を見出していることが記載されている。(第3頁左欄下から第16〜11行参照)
n.刊行物11(C.S.Speed,B.C.Trudell,A.K. Mehta,F.C.Stehling;Structure/Property Relationships in EXXPOLTM Polymers,Society of Plastics Engineers Polyolefins VII International Conferrence(1991年2月24〜27日)Wyndham Greenspoint Hotel Houston,Texas)(申立人Cの甲第5号証に同じ)には、EXXPOL(登録商標)ポリマーに関して、その組成分布をTREF(Temperature Rising Elution Fractionation)で試験した結果について、EXXPOLTM樹脂は、単一のコモマーコンテントの周りにしっかり密集したコモノマー分子を有する、非常に狭いCDの物質であることが記載されている。(Composition Distributionの項参照)
o.刊行物12(Tappi Journal 1992年2月 p99〜103)(申立人Cの甲第6号証に同じ)には、次の記載がなされている。
o-1.「新しいファミリーの線状ポリエチレンは高められたシール特性をもたらす」との表題のもとに、「ここで議論される新技術を使った、シングルサイト触媒は、ただ一つの活性触媒サイトを有し、タイプDのような図1で示されるエチレンポリマー分子のまさに単一型を製造する。これは、マルチサイト触媒からの製造される広いMWD及びCDとは反対に、非常に狭いMWD及びCDを有するポリマーを与える。MWD及びCDにおけるこれらの相違は、図1に示されている。(第100頁左欄下から第16〜10行)、
o-2.「狭いMWD及びCD分布は、同じメルトインデックスと密度を有する線状低密度ポリエチレン/非常に低密度のポリエチレン(LLDPE/VLDPE)より低ピーク融点及びより均一な結晶構造を生成する。これら相違は、ホットタック及びヒートシール特性で有利な変化をもたらす。」(第102頁左欄下から第22〜17行)、
p.刊行物13(Polymer Engineering and Science vol.16,No.12 p811〜815(1976))(申立人Cの甲第7号証に同じ)には、「低密度ポリエチレンの粘弾性に及ぼす長鎖分枝の影響」と題して、「全ポリマーのダイスウエル測定は、同じメルトフロー(MI)の試料に対するLCB(長鎖分枝)割合が増加すると共に、溶融弾性が増加することを示す。観察されたダイスウエル特性とGPCデータの比較は、ダイスウエルは分子サイズに依存する性質であり、分子間のもつれ効果に依存しないことを示す。このことは、LDPE溶融の弾性の測定が、市販の樹脂のLCBの相対的割合を測定する手段を提供することを示唆する。」ことが記載されている。(第811頁要約の欄第7〜15行)
q.刊行物14(特開平2-272033号公報)(申立人Dの甲第1号証に同じ)には、次の記載がなされている。
q-1.樹脂単層フィルムおよび樹脂積層体に関して、「(1)密度が0.890〜0.920g/cm3であり、メルトインデックスが2〜50g/10分であるエチレン-α-オレフィン共重合体を60重量%以上含有してなる厚み15〜80μmの樹脂単層フィルム。(2)請求項1に記載の樹脂単層フィルムと、基材フィルムとを、接着剤またはアンカーコート剤からなる中間層を介して積層してなる樹脂積層体。」(特許請求の範囲第1〜2項)、
q-2.実施例8には、LLDPE1として、エチレン-α-オレフィン共重合体 出光石油化学製、モアテック1018C(CB)(密度0.905g/cm3、メルトインデックス(190℃)(g/10分)9)を80部用い、また、LDPEとして、低密度ポリエチレン 東ソー(株)製、ペトロセン203(密度0.917g/cm3、メルトインデックス8)を20部用いて、90mmφの押出機で溶融混練して、マルチマニホールド多層T-ダイ(ダイ幅800mm)に供給し、ダイ温度300℃で押出して、厚みが40μmの単層フィルムとし、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(出光石油化学(株)製、G100)からなる基材のラミネート面(エステル系2液タイプ(東洋モートン(株)製、EL364)のアンカーコート剤塗布面)側に対して、ニップロールと冷却ロール(温度30℃)ロール間の締付け工程を通して、樹脂積層体を得たこと、その積層体の「シール温度(℃)」、「夾雑物シール性I(℃)」、「夾雑物シール性II(℃)」、「充填シール温度幅(℃)」及び「シールやせ(%)」の評価を行ったところ、それぞれ「103」、「122」、「127」、「130〜150」、「90」であったこと。
r.刊行物15(特開昭52-104585号公報)(申立人Eの甲第1号証に同じ)には、易ヒートシール性2軸延伸複合フィルムに関して、次の記載がなされている。
r-1.「ポリプロピレン系フイルムの少なくとも片面が、低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体とポリエチレン樹脂との混合樹脂からなる易ヒートシール層であることを特徴とする易ヒートシール性2軸延伸複合フィルム。」(特許請求の範囲)、
r-2.「ここに使用するポリプロピレン系フイルムの原料樹脂としてはポリプロピレン樹脂の他、・・・・プロピレン共重合体をも含むポリプロピレン系樹脂も使用可能であるが、好ましくは結晶性のアイソタクチツクポリプロピレンを例示することができる。また、ポリエチレン樹脂としては、高、中、低密度ポリエチレン、これらをブレンドした混合物等があげられ、低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体としては、例えば三井石油化学(株)製の「タフマーA4085」、「タフマーA1575」等の商品名で市販されているものを例示できる。」(第2頁右上欄第7〜18行)、
r-3.「ポリエチレン樹脂にブレンドする低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体のブレンド量は3重量%以上、好ましくは10重量%以上である。低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体のブレンド比率が3重量%以下の如く少な過ぎると初期の効果を奏しない。他方、ブレンド比率が多い場合、即ち逆にポリエチレン樹脂の混合比率が小である場合には、ポリエチレン樹脂が滑剤としての効果をも示し、易ヒートシール層フイルム面の平滑度が著しく改善されるという予期せざる効果があらわれる上に、低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体のブレンド比率を多くするに従い、ヒートシール強度透明度等も上昇するという効果もあるので、上限については特に制限がない。」(第2頁右上欄下から第2行〜左下欄第12行)、
r-4.「第1図は、易ヒートシール層におけるポリエチレン樹脂と低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体の、各種配合比率でのヒートシール強度とヒートシール温度との関係を示すものであり、図から明らかな如く、低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体の添加比率が多くなるにつれて、ヒートシール強度が上昇している上に、低温ヒートシール性が良好で、例えば80℃前後の温度でヒートシールすることも可能となり、その結果、ヒートシール時における2軸延伸ポリプロピレン層の、熱収縮によるしわの発生や裂け目の発生が生せず、美麗かつ丈夫で商品価値を高める包装が可能となる。」(第3頁右上欄第10行〜左下欄第2行)、
r-5.「ヒートシール強度の測定方法は、複合フイルムの易ヒートシール面同志を重ね合せ、バー型熱シール機を用いて、1Kg/cm2の圧力で1秒間加温圧着して得た巾10cmの試料を、剥離速度200mm/min剥離角度180度で剥離試験を行ったもので、ヒートシール強度は(g/cm)で表わした。」(第3頁左下欄第13〜18行)、
r-6.「実施例1 アイソタクチツクポリプロピレン樹脂をTダイ押出機を用いてシート状に押出した後、加熱ロールを通すことにより、実効延伸倍率が5倍になるように経方向に延伸し、この一軸延伸シートの片面に、低密度ポリエチレン樹脂70重量%と、三井石油化学(株)製のタフマーA4085 30重量%(低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体)との混合物を溶融押出積層し、斯る複合シートを連続的にテンター内を通すことにより、緯方向に実効倍率9倍になるように延伸して2軸延伸複合フイルムを得た。この際ポリプロピレン層の厚さは約35μ、易ヒートシール層である低密度ポリエチレンと低結晶性エチレン-αオレフイン共重合体との混合物からなるフイルム層は5μである。」(第4頁左上欄第9行〜右上欄第3行)
r-7.第1表には、実施例1の2軸延伸複合フイルムを温度(℃)80、100、120及び140でヒートシールした時、ヒートシール強度(g/cm)は、それぞれ450、500、650及び650であったこと。
s.刊行物16(宮坂啓象外6名編「プラスチック事典」p326第7〜17行、朝倉書店(1992-3-1))(申立人Eの参考資料に同じ)には、「エチレンガスを1000気圧以上の高圧下で重合反応を行わせることから、高圧法と呼ばれ、得られるポリマーを高圧法PE、または密度の低いことから低密度PE(LDPE)と呼んだ。一方、1950年代の初め頃に・・・・30〜100気圧でエチレンを重合する中圧法が開発された。また、1950年代に・・・・低圧法が開発された。後2者の製造法によって得られるPEを総称して、中低圧法PE、または低密度PEと対比して高密度PEと呼んだ」(第325頁第11〜18行)ことが記載されている。
(3)実験報告書1〜4の記載
s.実験報告書1(三井化学株式会社 生産技術研究所 筒井俊之、高分子研究所 高橋守、渡辺淳による平成12年7月12日作成の実験報告書)(申立人Aの甲第3号証に同じ)には、特願平4-157938号(先願明細書1に該当)に記載のエチレン系共重合体組成物に関して、触媒の調整、予備重合触媒の調整、重合の工程により、密度0.903g/cm3、メルトフローレート(MFR)15g/10分のLLDPEを作製し、また、MFRが5.2g/10分密度がアニール前0.916g/cm3、アニール後0.919g/cm3の高圧ラジカル法低密度ポリエチレンを使用して、LLDPE77重量%高圧ラジカル法低密度ポリエチレン23重量%となるようにブレンドして、エチレン系共重合体組成物を得て、積層フィルムの製造を行い、その物性評価した結果が示されている。そして、LLDPEの製造に関しては、重合条件(全圧20kg/cm2-G、重合温度70℃、ガス組成1-ヘキセン/エチレン=0.035、水素/エチレン=1.3×10-3、エチレン濃度=24%)で共重合して、物性が(密度0.903g/cm3、メルトフローレート15g/10分)のものを得たこと、ヒートシール強度は、シール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒としてシールバーによる加熱を片面と両面の2つの方法で行い、引張試験機により、シールフィルムの剥離は、剥離角度180度とし、剥離速度(mm/分)を、100、300、500の3条件で測定した結果、ヒートシール強度は、剥離速度(mm/分)が、100、300、500の場合は、片面加熱では、それぞれ6.4、6.5、5.4、両面加熱では、それぞれ6.4、6.6、5.9であったこと、同様の条件により、3kg荷重ヒートシール温度を測定した結果、剥離速度(mm/分)が100、300、500の場合は、片面加熱では、それぞれ96、95、96、両面加熱では、それぞれ91、87、86であったこと、が記載されている。
t.実験報告書2(日本ポリオレフィン株式会社 川崎工場生産技術部 片岡直紀、研究開発センター 若山昌弘による平成12年7月14日作成の実験報告書)(申立人Bの甲第5号証に同じ)には、特開昭63-51407号公報(刊行物4に該当)の実施例7の記載に従って、固体触媒成分の調製、重合を行って、MFR、密度、Mw/Mnが特定の3種のエチレン共重合体を得て、これに市販の高圧法低密度ポリエチレン2種と配合した樹脂組成物から、積層フィルムを製造し、その物性を測定をした結果が示されている。
u.実験報告書3(東ソー株式会社 四日市研究所 幸田真吾による2000年7月26日作成の実験報告書)(申立人Dの甲第2号証に同じ)には、特開平2-272033号公報(刊行物14に該当)の実施例8の追試として、サンプルに、エチレン-α-オレフィン共重合体として、出光石油化学(株)製、モアテック1018CNを、高圧法低密度ポリエチレンとして東ソー(株)製、ペトロセンを使用し、また、積層体の製造において、アンカーコート剤として、ポリエステル系二液型(日本曹達(株)製チタボンドT-150)を使用して積層体を得て、物性を測定した結果が示されている。
v.実験報告書4(住友化学工業株式会社石油化学品研究所小林重一による平成12年7月24日作成の実験証明書)(申立人Eの甲第3号証に同じ)には、特開昭52-104585号公報(刊行物15に該当)及び特開昭58-194935号公報(刊行物2に該当)に記載の材料の物性の追試として、(1)三井石油化学(株)製の「タフマーA20090」、(2)住友化学製「スミカセンL705」、(3)三井石油化学(株)製の「タフマーA20090」と住友化学製「スミカセンL705」からなる樹脂組成物、(4)三井石油化学(株)製の「タフマーA20090」と住友化学製「スミカセンL705」からなる樹脂組成物をナイロン基材に押し出しラミネートした複合フィルム、を測定試料として、その物性を測定した結果が示されている。
(4)参考図、カタログの記載
参考図(申立人Bの参考資料1に同じ)には、刊行物1の実施例1〜5について、ヒートシール温度とヒートシール強度の関係が図示されている。
カタログ(申立人Eの甲第2号証に同じ)には、三井石油化学工業株式会社のポリオレフィン系樹脂改質材タフマーについて記載され、タフマーの特長に優れた改質性能(柔軟性、耐衝撃性、ヒートシール性、透明性などの改良効果に優れていること)をあげ、タフマーには、タフマーA、P、XR、Sの4つのシリーズがあり、タフマーAは、エチレン-αオレフィン共重合体で、A-4085,A-4090、A-20090があること、そのMFR(190℃)は、それぞれ、3.6、3.6、18であること、主な用途は、レトルト用CPPフィルム、共押出PPフィルム、L-LDPEフィルム、LDPE押出コーティング、電線被覆、チューブほかがあることが記載されている。
VI.判断
(1)分割が不適法であることの立証とそれを前提とした申立理由について(=申立人Bの申立理由(3)及び申立人Cの申立理由(2)について)
本件は、別途訂正審判による訂正により、適法な分割出願とされた。(上記「IV.分割の適否について」参照)
したがって、刊行物5(申立人Bの甲第8号証及び申立人Cの甲第8号証の2に同じ)及び原出願の特許公報(申立人Cの甲第8号証の1に同じ)を証拠とした、申立人Bの申立理由(3)及び申立人Cの申立理由(2)は、妥当とはいえない。
(2)特許法第29条の2第1項違反について(=申立人Aの申立理由(1)及び申立人Bの申立理由(2)について)
本件請求項1に係る発明と先願明細書1〜3に記載された発明をそれぞれ対比検討する。
a.本件請求項1に係る発明と先願明細書1に記載された発明の対比・検討(=申立人Aの申立理由(1)について)
先願明細書1には、エチレン系共重合体組成物が、基材フィルムと貼り合わせて、多層フィルムとして用いことができると記載されている(先願明細書1の記載a-4参照)ものの、エチレン系共重合体組成物を積層フィルムのヒートシール層とした具体例は開示されていないし、その積層フィルムのヒートシール特性についても何も開示していない。
したがって、実験報告書1を参酌するまでもなく、先願明細書1には、本件請求項1に係る発明が開示されているとはいえない。
なお、実験報告書1(申立人Aの甲第3号証に同じ)は、エチレン系共重合体組成物の成分である、LLDPE(エチレン-α-オレフィン共重合体)の製造に関して、その重合条件(全圧20kg/cm2-G、重合温度70℃、ガス組成1-ヘキセン/エチレン=0.035、水素/エチレン=1.3×10-3、エチレン濃度=24%)及び得られた共重合体の物性(密度0.903g/cm3、メルトフローレート15g/10分)が、先願明細書1に記載されたエチレン-α-オレフィン共重合体[A]の製造方法における重合条件(全圧18kg/m2-G、重合温度80℃、ガス組成(1-ヘキセン/エチレン=0.020、水素/エチレン=6.6×10-4、エチレン濃度=16%)及び得られた共重合体の物性(密度0.923g/cm3、MFR1.1g/10分)と一致していないので、先願明細書1に記載された発明の忠実な追試とはいえないものであるから、参酌することはできない。
b.本件請求項1に係る発明と先願明細書2に記載された発明の対比・検討(=申立人Bの申立理由(2)について)
先願明細書2には、エチレン系共重合体組成物が、基材フィルムと貼り合わせて、多層フィルムとして用いことができると記載されている(先願明細書2の記載b-4参照)ものの、エチレン系共重合体組成物を積層フィルムのヒートシール層とした具体例は開示されていないし、その積層フィルムのヒートシール特性についても何も開示していない。
したがって、先願明細書2には、本件請求項1に係る発明が開示されているとはいえない。
c.本件請求項1に係る発明と先願明細書3に記載された発明の対比・検討(=申立人Bの申立理由(2)について)
先願明細書3には、エチレン系共重合体組成物が、基材フィルムと貼り合わせて、多層フィルムとして用いことができると記載されている(先願明細書3の記載c-4参照)ものの、エチレン系共重合体組成物を積層フィルムのヒートシール層とした具体例は開示されていないし、その積層フィルムのヒートシール特性についても何も開示していない。
したがって、先願明細書3には、本件請求項1に係る発明が開示されているとはいえない。
d.本件請求項2、3に係る発明と先願明細書1〜3に記載された発明の対比・検討(=申立人Aの申立理由(1)及び申立人Bの申立理由(2)について)
本件請求項2、3に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定するものであるから、請求項1に係る発明で述べた理由と同様の理由により、先願明細書1〜3に記載された発明と同一であるとはいえない。
(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)
本件請求項1に係る発明と刊行物1(申立人Bの甲第1号証に同じ)、刊行物2(申立人Bの甲第2号証及び申立人Cの甲第2号証に同じ)、刊行物8(申立人Cの甲第1号証に同じ)及び刊行物14(申立人Dの甲第1号証に同じ)に記載された発明とをそれぞれ対比検討する。
a.本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明との対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)について)
刊行物1に記載された発明(実施例1)における、アンカーコーティング剤を使用して低密度ポリエチレンを積層した延伸されたナイロンフィルム、組成物の押出ラミネート層及びエチレン-ヘキセン-1共重合体は、本件請求項1に係る発明における、基層、組成物のヒートシール層及びエチレン-α-オレフィン共重合体に相当する。そして、刊行物1における組成物の密度を計算すると、0.928g/cm3であるから、両者は、「基層とヒートシール層からなる積層フィルムであって、該ヒートシール層は、該樹脂組成物を構成する成分樹脂である、エチレン-α-オレフィン共重合体が、MFRが2〜30g/10分、密度0.935g/cm3以下、高圧法低密度ポリエチレンが、0.1〜20g/10分のMFR及び0.915〜0.930g/cm3の密度を有し、組成物の密度が0.87〜0.932g/cm3、であること」で一致する。
しかし、刊行物1におけるダイスウエル比は、請求項1に係る発明におけるMEに一致するとはいえない。
また、刊行物1におけるヒートシール強度の測定の試料の作成条件については何も記載がないので、請求項1に係る発明におけるヒートシール強度に関して規定している条件(熱盤式ヒートシーラーにてシール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒間)が一致していることを確認できない。そのため、刊行物1におけるヒートシール強度を、請求項1に係る発明におけるヒートシール強度と同一視することはできない。
そうである以上、ヒートシール強度を測定し、そのヒートシール強度が3kg得られる温度と定義される、「3kg荷重ヒートシール温度」に関して、刊行物1の実施例1〜5の110℃、120℃、140℃、160℃の各シール温度でのヒートシール強度データから、「3kg荷重ヒートシール温度」を推測するために作成された参考図(申立人Bの参考資料1に同じ)は参酌する余地がない。
以上の理由から、刊行物1には、(i)樹脂組成物を構成する成分樹脂である、エチレン-α-オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造され、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であること、(ii)高圧法低密度ポリエチレンが、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上であること、(iii)樹脂組成物の物性値が、MFRが5〜25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が ME≧[0.2×MT+1]/gを満たすこと、(iv)シール層の物性値が、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールしたときのシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃であること、は開示されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1に記載されたものであるとはいえない。
b.本件請求項1に係る発明と刊行物2に記載された発明との対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)及び申立人Cの申立理由(1)について)
刊行物2には、基材にエチレン-α-オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂組成物を押出しラミネートにより積層したフィルムが開示されるものの、(イ)刊行物2における高圧法低密度ポリエチレンのメルトテンションは、その測定条件(試験温度150℃)(刊行物2の記載e-6参照)が、請求項1に係る発明における測定条件(試験温度190℃)と異なるので、その数値自体を同一視できないこと、(ロ)刊行物2におけるヒートシール強度の測定の試料作製のシール条件(シール温度(130、150、170℃)、シール圧力1Kg/cm2、シール時間0.5秒間)(e-7.及びe-8.参照)は、請求項1に係る発明におけるシール条件(熱盤式ヒートシーラーにてシール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒間)と一致していないことから、刊行物2には、(i)樹脂組成物を構成する成分樹脂である、エチレン-α-オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造され、且つそのMFRが2〜30g/10分、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であること、(ii)高圧法低密度ポリエチレンが、0.1〜20g/10分のMFR及び0.915〜0.930g/cm3の密度を有し、かつ、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上であること、(iii)樹脂組成物の物性値が、MFRが5〜25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が ME≧[0.2×MT+1]/gを満たすこと、(iv)シール層の物性値が、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールしたときのシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃であること、は開示されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物2は記載されたものであるとはいえない。
c.本件請求項1に係る発明と刊行物8に記載された発明との対比・検討(=申立人Cの申立理由(1)について)
刊行物8には、基材上にエチレン-α-オレフィン共重合体に該当する線状低密度エチレン炭化水素コポリマーと高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂組成物を積層したフィルムが開示されるものの、(i)樹脂組成物を構成する成分樹脂である、線状低密度エチレン炭化水素コポリマーが、メタロセン触媒を用いて製造され、且つそのMFRが2〜30g/10分、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であること、(ii)高圧法低密度ポリエチレンが、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上であること、(iii)樹脂組成物の物性値が、)MFRが5〜25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が ME≧[0.2×MT+1]/gを満たすこと、(iv)シール層の物性値が、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールしたときのシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃であること、は開示されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物8に記載されたものであるとはいえない。
d.本件請求項1に係る発明と刊行物14に記載された発明との対比・検討(=申立人Dの申立理由(1)について)
刊行物14には、実施例8として、基材フィルム(延伸ナイロンフィルム)上にエチレン-α-オレフィン共重合体(出光石油化学(株)製、モアテック1018C(CB))と低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、ペトロセン203)との樹脂組成物をアンカーコート剤を介して積層したフィルムが開示されるものの、(i)樹脂組成物を構成する成分樹脂である、エチレン-α-オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造され、且つそのMFRが2〜30g/10分、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であること、(ii)低密度ポリエチレンが、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上であること、(iii)樹脂組成物の物性値が、MFRが5〜25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が ME≧[0.2×MT+1]/gを満たすこと、(iv)シール層の物性値が、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールしたときのシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃であること、は開示されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物14に記載されたものであるとはいえない。
なお、刊行物14の実施例8の追試として、東ソー株式会社が提出した実験報告書3(申立人Dの甲第2号証に同じ)では、エチレン-α-オレフィン共重合体として、出光石油化学(株)製、モアテック1018CNを使用し、また、積層体の製造において、アンカーコート剤として、ポリエステル系二液型(日本曹達(株)製チタボンドT-150)を使用している。
しかし、当該アンカーコート剤は、刊行物14の実施例8における、アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、EL364)と相違し、当該エチレン-α-オレフィン共重合体は、刊行物14の実施例8における、出光石油化学(株)製、モアテック1018C(CB)と相違する。また、実験報告書3では、得られた結果の物性値では、実験で用いたエチレン-α-オレフィン共重合体は、MFR8.35g/10分、密度が0.909g/cm3 、低密度ポリエチレンは、MFRが7.7g/10分、密度が0.916g/cm3であったとされているが、刊行物14の実施例8で使用されたエチレン-α-オレフィン共重合体(井光石油化学(株)製、モアテック1018C(CB))の密度は0.905g/cm3、メルトインデックスは9、低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、ペトロセン203)の密度は0.917g/cm3、メルトインデックスは8であり、使用材料の物性で相違する。
そうすると、実験報告書3は、刊行物14の実施例8の忠実な追試とはいえないので参酌することができない。
e.本件請求項2〜3に係る発明と刊行物1、2、8、14に記載された発明との対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)
本件請求項2〜3に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定するものであるから、請求項1に係る発明で述べた理由と同様の理由により、刊行物1、2、8、14に記載された発明であるとはいえない。
(4)特許法第29条第2項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)、申立人Dの申立理由(1)及び申立人Eの申立理由(1)について)
(4)-A.本件請求項1〜3に係る発明の刊行物1〜4、刊行物8〜13、刊行物14及び刊行物15に記載された発明からの容易性について
a.本件請求項1に係る発明の刊行物1に記載された発明からの容易性について(=申立人Bの申立理由(1)について)
上記「(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)」「a.本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明との対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)について)」で述べたように、 本件請求項1に係る発明1と刊行物1の実施例1に記載された発明を対比すると、上記した一致点及び相違点(i)〜(iv)がある。
相違点を検討すると、刊行物2及び3には、押出ラミネート用組成物及び押出被覆用組成物に関して、その成分がエチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンからなることを開示するだけで上記の相違点(i)〜(iv)に関しての開示はない。
刊行物4は、メタロセン触媒を使用したオレフィン重合体として、MFR(dg/min)21、見掛け嵩密度0.39、密度0.916g/ml、デカン可溶成分量(wt%)2.6、Mw/Mn2.6、のエチレ-ブテン-1共重合体が開示されるだけであり、上記の相違点(i)〜(iv)に関しての開示はない。
本件請求項1に係る発明は、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良すること、すなわち、従来の材料では達成されていない低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムを提供することを目的とする。
本件明細書の比較例1〜18と実施例1〜21との対比からすると、本件請求項1で規定するように、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値を特定の範囲とすること、すなわち、相違点(i)〜(iv)の点を要件とすることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られるという効果を奏すると認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
なお、実験報告書2(申立人Bの甲第5号証に同じ)は、特開昭63-51407号公報(刊行物4)の実施例7の記載に従って、固体触媒成分の調製、重合を行って、MFR、密度、Mw/Mnが特定の3種のエチレン共重合体(エチレン-ブテン-1共重合体)を得て、これに市販の高圧法低密度ポリエチレン2種と配合した樹脂組成物から、積層フィルムを製造し、その物性を測定をした結果が示されているが、刊行物4には、オレフィンの重合方法において、エチレン共重合体(エチレン-ブテン-1共重合体)が示されるだけで、これに市販の高圧法低密度ポリエチレン2種と配合した樹脂組成物を得て、積層フィルムとすることは示されていない。実験報告書2の樹脂組成物からの積層フィルムは、刊行物4に記載されていない条件によって作成されたものであるから、実験報告書2の積層フィルムの物性値は、参酌することができない。
b.本件請求項1に係る発明の刊行物2に記載された発明からの容易性について(=申立人Bの申立理由(1)及び申立人Cの申立理由(1)について)
上記「(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)」「b.本件請求項1に係る発明と刊行物2に記載された発明との対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)及び申立人Cの申立理由(1)について)」で述べたように、本件請求項1に係る発明と刊行物2に記載された発明を対比すると、上記した相違点(i)〜(iv)がある。
相違点を検討すると、そもそも、刊行物2は、本件明細書で従来技術として記載しているものであり(段落0003)、刊行物2には、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEを使用することは開示されていないし、またその示唆もない。(刊行物2の記載e-5参照)
したがって、上記「(4)特許法第29条第2項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)、申立人Dの申立理由(1)及び申立人Eの申立理由(1)について)」「a.本件請求項1に係る発明の刊行物1に記載された発明からの容易性について(=申立人Bの申立理由(1)について)」で述べた理由と同様の理由により、本件請求項1に係る発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
c.本件請求項1に係る発明の刊行物8に記載された発明からの容易性について(=申立人Cの申立理由(1)について)
上記「(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)」「c.本件請求項1に係る発明と刊行物8に記載された発明の対比・検討(=申立人Cの申立理由(1)について)」で述べたように、本件請求項1に係る発明と刊行物8に記載された発明を対比すると、上記した相違点(i)〜(iv)がある。
相違点を検討すると、刊行物2には、上記「(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)」「b.本件請求項1に係る発明の刊行物2に記載された発明の対比・検討(=申立人Bの申立理由(1)及び申立人Cの申立理由(1)について」で述べたように、上記相違点(i)〜(iv)について開示するところがない。
刊行物9(申立人Cの甲第3号証に同じ)は超低密度ポリエチレン(Ultralow Density Polyethylene)(ULDPE)について、刊行物10(申立人の甲第4号証に同じ)はEXACT(登録商標)ポリマーについて、刊行物11(申立人の甲第5号証に同じ)はEXXPOL(登録商標)ポリマーについて、刊行物12(申立人の甲第6号証に同じ)は新しいファミリーの線状ポリエチレンについて、刊行物13(申立人の甲第7号証に同じ)は低密度ポリエチレンの粘弾性に及ぼす長鎖分枝の影響について記載するだけで、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良することのために、本件請求項1で規定するように、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値が特定の範囲にあることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られることを、開示するところがない。
本件請求項1に係る発明は、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良すること、すなわち、従来の材料では達成されていない低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムを提供することを目的とする。
本件明細書の比較例1〜18と実施例1〜21との対比からすると、本件請求項1で規定するように、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値を特定の範囲とすること、すなわち、相違点(i)〜(iv)の点を要件とすることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られるという効果を奏すると認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物2、8〜13に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
d.本件請求項1に係る発明の刊行物14に記載された発明からの容易性について(=申立人Dの申立理由(1)について)
上記「(3)特許法第29条第1項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)及び申立人Dの申立理由(1)について)」「d.本件請求項1に係る発明と刊行物14に記載された発明の対比・検討(=申立人Dの申立理由(1)について」で述べたように、 本件請求項1に係る発明と刊行物14に記載された発明を対比すると、上記した相違点(i)〜(iv)がある。
本件請求項1に係る発明は、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良すること、すなわち、従来の材料では達成されていない低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムを提供することを目的とする。
本件明細書の比較例1〜18と実施例1〜21との対比からすると、本件請求項1で規定するように、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値を特定の範囲とすること、すなわち、相違点(i)〜(iv)の点を要件とすることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られるという効 果を奏すると認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物14に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
e.本件請求項1に係る発明の刊行物15に記載された発明からの容易性について(=申立人Eの申立理由(1)について)
刊行物15の実施例1の記載における、アイソタクチツクポリプロピレンの一軸延伸シート、低結晶性エチレン-αオレフィン共重合体としての三井石油化学(株)製タフマーA4085、及び2軸延伸複合フィルムは、請求項1に係る発明における、基層、エチレンとαーオレフィンとの共重合体、及び積層したフィルムに、それぞれ、相当する。そして、カタログの記載によれば、三井石油化学(株)製タフマーA4085は、MFR(190℃)が3.6密度が0.88であることが示されること、また、刊行物16によれば、低密度ポリエチレン樹脂は、高圧法によるもので密度0.910〜0.929程度のものであることが記載されているから、両者は、「基材にエチレン-α-オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂組成物のヒートシール層を積層した積層フィルムであって、該ヒートシール層は、該樹脂組成物を構成する成分樹脂である、エチレン-α-オレフィン共重合体が、MFRが2〜30g/10分、密度0.935g/cm3以下、高圧法低密度ポリエチレンが、0.915〜0.930g/cm3の密度を有すること」で一致する。
しかし、刊行物15に記載された発明におけるヒートシール強度の測定における試料作製のヒートシール条件(シール温度(80、100、120、140℃)、シール圧力1Kg/cm2、シール時間1秒間)(r-5.r-7.参照)は、請求項1に係る発明で規定のヒートシール条件(熱盤式ヒートシーラーにてシール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒間)と一致していない。そのため、刊行物15に記載された発明おけるヒートシール強度を、請求項1に係る発明の規定ヒートシール強度と同一視することはできない。
そうすると、刊行物15には、(i)エチレン-α-オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造され、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、そのピーク温度が20〜85℃であり、かつ、このピークの[ピーク高さ]/[ピークの1/2の高さにおける幅](H/W)が1以上であること、(ii)高圧法低密度ポリエチレンが、0.1〜20g/10分のMFR、ME(3g)は、1.6以上、MTが1.5g以上であること、(iii)樹脂組成物の物性値が、MFRが5?25g/10分、密度が0.87〜0.932g/cm3、Q値が2〜10、ME(3g)が1.2〜2.3、MTが1.0以上であり、MEとMTの関係が ME≧[0.2×MT+1]/gを満たすこと、(iv)シール層の物性値が、該積層フィルムのヒートシール層同志をシール温度110℃;シール圧力2kg/cm2;シール時間1秒でヒートシールしたときのシール強度が2.9〜5.9kg/15mmであり、且つ3kg荷重ヒートシール温度が84〜114℃であること、は開示されていない。
本件請求項1に係る発明は、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良すること、すなわち、従来の材料では達成されていない低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムを提供することを目的とする。
本件明細書の比較例1〜18と実施例1〜21との対比からすると、本件請求項1で規定するように、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値を特定の範囲とすること、すなわち、相違点(i)〜(iv)の点を要件とすることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られるという効果を奏すると認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物15に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
なお、実験報告書4(申立人Eの甲第3号証に同じ)は、エチレンとα-オレフィンとの共重合体としての三井石油化学(株)製タフマーA290090、及び低密度ポリエチレンとしての住友化学(株)製スミカセンL705の使用しているが、刊行物15には、三井石油化学(株)製タフマーA290090及び住友化学(株)製スミカセンL705を開示していない(上記r-1.〜r-7.参照)ので、実験報告書4は、刊行物15の記載された範囲内での忠実な追試とはいえないから、参酌することはできない。
(4)-B.本件請求項1〜3に係る発明の刊行物1〜4、6、8〜16に記載された発明からの容易性について
a.本件請求項1に係る発明の刊行物1〜4、6、8〜16に記載された発明からの容易性について
刊行物6は、ショウレックス(昭和電工株式会社のLDPE押出グレード)について記載しているにすぎない。
上記「(4)特許法第29条第2項違反について(=申立人Bの申立理由(1)、申立人Cの申立理由(1)、申立人Dの申立理由(1)及び申立人Eの申立理由(1)について)」「a.本件請求項1に係る発明の刊行物1に記載された発明からの容易性について(=申立人Bの申立理由(1)について)」〜「e.本件請求項1に係る発明の刊行物15に記載された発明からの容易性について(=申立人Eの申立理由(1)について)」でみたように、刊行物1〜4、8〜16には、メタロセン触媒を使用して得られた特殊なLLDPEをラミネート用材料として適用して、その優れた性能を保ちながら加工性を改良すること、すなわち、従来の材料では達成されていない低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムを提供することを目的とし、エチレン-α-オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物の物性値、及びシール層の物性値を特定の範囲とすること、すなわち、相違点(i)〜(iv)の点を要件とすることで、低温ヒートシール性、ヒートシール強度及びホットタック性などの性能に優れ、かつ加工性の改良された積層フィルムが得られることを示唆するところがない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1〜4、6、8〜16に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
b.本件請求項2〜3に係る発明の刊行物1〜4、6、8〜16に記載された発明からの容易性について
本件請求項2〜3に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定するものであるから、請求項1に係る発明で述べた理由と同様の理由により、刊行物1〜4、6、8〜16に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
(5)特許法第36条の要件違反について(=申立人Aの申立理由(2)及び申立人Cの申立理由(3)について)
a.シール強度の測定に際しての測定条件(剥離角度、剥離速度)の記載がないことに関して(=申立人Aの申立理由(2)について)
「ポリエチレンフィルムの製袋JIS Z1711-1986」に記載されるように、ヒートシール強さ試験において、剥離角度は180℃で行い、引張試験の操作条件としての剥離速度は、毎分500mm±10%とすること、また、「食品包装用プラスチックフィルムJIS Z1707-1975」に記載されるように、ヒートシール強さの測定において、剥離角度は180℃で行い、引張試験の操作条件としての剥離速度は、試料の伸びに応じて定められ、伸び100以上の場合は500mm/minとすることは、当業者に周知のことであるから、本件発明のようなポリエチレン系樹脂のシール強度試験において剥離角度は180℃で行い、引張試験の操作条件としての剥離速度毎分500mmとすることは、当業者に周知の試験条件にすぎないと認められる。
そうすると、本件特許明細書においてシール強度の測定に際しての測定条件(剥離角度、剥離速度)が記載されていないからといって、特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない、また、当業者が容易に発明を実施することができないとはいえない。
b-1.実施例及び比較例で使用する種々のLLDPE及びLDPEの具体的製造条件の開示がないことに関して(=申立人Cの申立理由(3-1)について)
本件明細書の実施例1及び14(訂正後のもの)では、LLDPEの製造は、特開昭61-130314号公報を引用して、エチレン-ヘキセン-1共重合体(成分A)の製造について具体的に記載し、また、エチレン重合体(成分B)の製造についても、具体的に記載している。そして、この実施例の記載を参考にすれば、実施例1、14以外の他の実施例、比較例において使用する、種々のLLDPE及びLDPEの具体的製造条件は、当業者が容易に選定できることと認められる。
したがって、本件は、実施例及び比較例で使用する種々のLLDPE及びLDPEの具体的製造条件の開示に関して、明細書の記載に不備があるとはいえない。
b-2.請求項の規定の範囲外であることが明らかなもの(実施例10)を実施例として記載していることに関して(=申立人Cの申立理由(3-2)について)
別途訂正審判による訂正により、実施例10に関する記載は削除されたので、記載不備は解消したと認められる。
b-3.実施例のヒートシール強度の測定条件が、シール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒と明記されていないことに関して(=申立人Cの申立理由(3-3)について)
ヒートシール強度の測定については、本件明細書に、熱盤式ヒートシーラーにてシール温度110℃、シール圧力2kg/cm2、シール時間1秒間でヒートシールした後に引張試験機で測定されることが明記(段落0040参照)されており、実施例のヒートシール強度は、この測定条件に基づくことは明らかであると認められる。
したがって、実施例のヒートシール強度の測定条件が、記載されていないとは認められない。
b-4.請求項における、エチレン重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体の関係について(=申立人Cの申立理由(3-4)について)
別途訂正審判による訂正により、本件明細書では、エチレン重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体、それぞれに限定が付されているから、両者の関係は明確であり、該エチレン重合体がエチレン・α-オレフィン共重合体を概念的に包含するような場合は想定できない。
VII.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由と証拠によっては、本件請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-05-17 
出願番号 特願平9-354638
審決分類 P 1 651・ 534- Y (B32B)
P 1 651・ 161- Y (B32B)
P 1 651・ 113- Y (B32B)
P 1 651・ 121- Y (B32B)
P 1 651・ 531- Y (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 芦原 ゆりか三谷 祥子  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 小林 正巳
石井 淑久
加藤 志麻子
喜納 稔
登録日 1999-11-19 
登録番号 特許第3003996号(P3003996)
権利者 日本ポリケム株式会社
発明の名称 積層フィルム  
代理人 久保山 隆  
代理人 中山 亨  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 牧村 浩次  
代理人 斉藤 武彦  
代理人 畑 泰之  
代理人 神野 直美  
代理人 斉藤 武彦  
代理人 須藤 阿佐子  

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