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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D |
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管理番号 | 1058865 |
審判番号 | 不服2001-7920 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-12-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-14 |
確定日 | 2002-05-13 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第320269号「メラミン系樹脂で成形された手洗器」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月 7日出願公開、特開平 5-321313]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成4年11月30日(優先権主張平成3年11月30日)の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成13年6月13日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】メラミン系樹脂成形用組成物から一体成形された手洗器であって、該手洗器の表面の一部に粉末状のメラミン系樹脂を圧縮成形によってコーティング層を形成したことを特徴とする手洗器。」 2.引用例の記載事項 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、実願昭62-103242号(実開昭64-10574号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。 a「一般的に洗面器は洗面所,……トイレルームの室壁にも取付けられている。……トイレルームには洗面器と同様に室壁に取付けられる器具として便器洗浄用ロータンクがあり、」(明細書1頁12〜16行) b「洗面器本体と、ロータンクの容壁とを、そのロータンクの容壁上縁に蓋載せ面を有して一体成形したことを特徴とするロータンク付洗面器」(実用新案登録請求の範囲) c「第1図乃至第4図に示す第1実施例におけるロータンク付洗面器(A)(a1)を説明すると、洗面器本体(1)はFRP等の合成樹脂……を用いて一体成形されたもので、」(明細書2頁12〜16行) 以上の記載及び第1図〜第3図によれば、引用例1には、 「合成樹脂で一体成形された洗面器」 の発明が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「洗面器」は、トイレルームに設けられており、手洗器の機能を有しているものと認められるので、本願発明1の「手洗器」に相当するから、両者は、 「合成樹脂で一体成形された手洗器」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1 本願発明1では、合成樹脂としてメラミン系樹脂成形用組成物を用いているのに対し、引用例1記載の発明では、合成樹脂としてメラミン系樹脂成形用組成物を用いているのか不明である。 相違点2 本願発明1では、手洗器の表面の一部に粉末状のメラミン系樹脂を圧縮成形によってコーティング層を形成したのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなコーティング層を形成していない。 そこで、上記相違点について検討する。 相違点1について メラミン系樹脂は、合成樹脂として良く知られ、成形品の材料として広く使用されているものであり、また、成形品を製造する場合に、メラミン系樹脂のほかに充填剤、顔料、硬化触媒、可塑剤等を配合したメラミン系樹脂成形用組成物を用いることは、通常、行われていることである。そして、メラミン系樹脂が耐水性を有することは、当業者にとって自明の事項である(例えば、「実用 プラスチック用語辞典」第2版第4刷、株式会社プラスチックス・エージ、昭和50年1月20日発行、541頁、メラミン樹脂の項、参照。) そうすると、引用例1記載の耐水性を必要とする手洗器を形成する合成樹脂として、耐水性を有するメラミン系樹脂を採用することは、当業者が容易に着想することであり、その採用にあたっては、通常、行われているように、充填剤等を配合してメラミン系樹脂成形用組成物にすることで足りるのであるから、相違点1における本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 相違点2について 合成樹脂成形品の表面に粉末状のメラミン系樹脂を圧縮成形してコーティング層を形成することは、本願の出願前に周知の技術事項(例えば、(ア)特開昭56-33938号公報、(イ)特公昭43-7450号公報、(ウ)特開昭63-149119号公報、参照。)であり、コーティング層を形成する場合に、表面全体ではなく一部に形成することも、同様に周知の技術事項である(上記周知例(ア)及び(イ)参照。)。そして、そのようなコーティング層が成形品の耐水性、光沢及び耐薬品性を高めることは、上記周知例(ア)あるいは(イ)にも記載されているように、当業者にとって自明の事項である。 そうすると、引用例1記載の合成樹脂で成形された手洗器の耐水性、光沢、耐薬品性を高めるために、上記周知の技術事項を採用して、手洗器の表面の一部に粉末状のメラミン系樹脂を圧縮成形によってコーティング層を形成する、すなわち相違点2における本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、全体として、本願発明1が奏する効果も、引用例1記載の発明及び周知の技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび したがって、本願発明1は、引用例1記載の発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-03-04 |
結審通知日 | 2002-03-08 |
審決日 | 2002-03-29 |
出願番号 | 特願平4-320269 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E03D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 赤木 啓二、横井 巨人 |
特許庁審判長 |
嶋矢 督 |
特許庁審判官 |
中田 誠 鈴木 公子 |
発明の名称 | メラミン系樹脂で成形された手洗器 |
代理人 | 小堀 益 |
代理人 | 小堀 益 |
代理人 | 小堀 益 |