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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1058935 |
審判番号 | 不服2000-3917 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-07-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-02-16 |
確定日 | 2002-05-16 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第226894号「グラフィック処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 7月15日出願公開、特開平 6-195469]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願発明は、昭和61年10月6日に出願した特願昭61-236148号の一部を平成5年9月13日に平成5年9月13日に新たな特許出願したものであって、平成7年7月10日に手続補正がされ、平成10年3月9日に手続補正がされた後、平成12年1月11日拒絶査定がされ、これに対して、平成12年2月16日に審判請求がされたものである。 なお、平成12年3月1日付けの手続補正書は、当審における平成13年12月4日付け補正却下の決定の決定により却下された。 前記平成10年3月9日付けの手続補正書により補正された請求項1〜15に係る発明のうちの、請求項1に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である。 「データ又はプログラムを記憶する第1のメモリと接続する第1の信号線と表示するための複数の画素データを記憶する第2のメモリと接続する第2の信号線との接続を制御するスイッチを制御するための制御信号を生成する制御部と、パターンデータを格納した内部メモリと、上記制御部からの制御信号によって接続された上記第1のメモリから読み出したデータ又は上記内部メモリから読み出したパターンデータを処理し、上記第2のメモリに出力する描画処理部とを有することを特徴とするデータ処理装置」 なお、請求項1には、「上記内部メモリ」との記載はないが、「上記内部RAM」なる記載以前に「内部RAM」なる記載はなされておらず、請求項1における「上記内部RAM]なる記載以前に記載された構成要素でパターンデータを読み出すことができるのは、「パターンデータを格納した内部メモリ」しかないため、「内部RAM」は「内部メモリ」の誤記であると認め、本願発明を上記のように認定した。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開昭58-55978号公報(昭和58年4月2日出願公開。以下、「刊行物」という。)には、「画像表示装置」に関する発明において、図面と共に、以下の各記載がある。 (a)「中央演算処理装置CPUでの駆動制御は、入力部(図示せず)等から供給される制御信号に基づき、制御メモリCMから呼び出された制御プログラムに従って実行される。」(第1頁下右欄8行〜11行) (b)「ASはアドレスセレクタ、RFMは表示部CRTに表示すべきデータを格納する表示用メモリである。アドレスセレクタASには、中央演算処理装置CPUから、表示メモリRFMをアクセスするためのアドレス信号が供給される」(第1頁下右欄16行〜20行) (c)「このアドレスセレクタASにおいては、中央演算処理装置CPUから信号線S3を介して供給されるアドレス切換信号ASSに基づき、上述のように入来したアドレス信号のいずれか一方を選択して取り出し、信号線S4を介して表示用メモリRFMに供給する。」(第2頁上左欄3行〜8行) (d)「DMは修飾メモリであり、表示用メモリRFMに格納された画像データのうち特定の画像データのみを記憶された画像データのうち特定の画像データのみを記憶しておく。」(第2頁上左欄9行〜11行) (e)「FF1およびFF2はそれぞれ表示用メモリイネーブルラッチおよび修飾用メモリイネーブルラッチであり、これらは中央演算処理装置CPUによりセット/リセットの切換制御が行われる。表示用メモリイネーブルラッチFF1がセット状態のときには、このラッチFF1から制御信号が信号線S5を介して表示用メモリRFMに送給され、中央演算処理装置CPUから表示用メモリRFMへのアクセスが可能となる。同様に、修飾用メモリイネーブルラッチFF2がセット状態の時には、信号線S6を介して修飾用メモリDMに制御信号が送給され、中央演算処理装置CPUから修飾用メモリDMへのアクセスが可能となる。」(第2頁上左欄15行〜上右欄7行) (f)「第6図示のように、閉ループ図形ABCDおよびabcdが重なった状態においても、各輪郭ABCD、abcd、aeCfの画像データのみを修飾用メモリDM内に記憶しておけば、例えば閉ループabcd内を赤色でぬりつぶした後閉ループ内aeCfのみを青でぬりつぶす場合等、その制御をメモリDM内のデータに基づき容易に行うことができる。」(第3頁上左欄16行〜上右欄3行) また、第1図の記載からみて、 (g)アドレスバスABは、中央演算処理装置、制御メモリCM及びアドレスセレクタASに接続され、信号線S4は、アドレスセレクタAS及び表示用メモリRFMに接続される。 上記の(a)から(g)の記載によると、刊行物には、 「中央演算処理装置CPUでの駆動制御は、制御メモリCMから呼び出された制御プログラムに従って実行され 表示用メモリRFMは表示部CRTに表示すべきデータを格納し、 アドレスセレクタASには、中央演算処理装置CPUから、表示メモリRFMをアクセスするためのアドレス信号が供給され、このアドレスセレクタASにおいては、中央演算処理装置CPUから信号線S3を介して供給されるアドレス切換信号ASSに基づき、入来したアドレス信号のいずれか一方を選択して取り出し、信号線S4を介して表示用メモリRFMに供給し、 修飾メモリDMは、表示用メモリRFMに格納された画像データのうち特定の画像データのみを記憶された画像データのうち特定の画像データのみを記憶し、 アドレスバスABは、中央演算処理装置、制御メモリCM及びアドレスセレクタASに接続され、信号線S4は、アドレスセレクタAS及び表示用メモリRFMに接続され、 FF1およびFF2はそれぞれ表示用メモリイネーブルラッチおよび修飾用メモリイネーブルラッチであり、これらは中央演算処理装置CPUによりセット/リセットの切換制御が行われる。表示用メモリイネーブルラッチFF1がセット状態のときには、このラッチFF1から制御信号が信号線S5を介して表示用メモリRFMに送給され、中央演算処理装置CPUから表示用メモリRFMへのアクセスが可能となり、修飾用メモリイネーブルラッチFF2がセット状態の時には、信号線S6を介して修飾用メモリDMに制御信号が送給され、中央演算処理装置CPUから修飾用メモリDMへのアクセスが可能となることにより、 閉ループ図形ABCDおよびabcdが重なった状態において、各輪郭ABCD、abcd、aeCfの画像データのみを修飾用メモリDM内に記憶して、例えば閉ループabcd内を赤色でぬりつぶした後閉ループ内aeCfのみを青でぬりつぶす場合等、その制御をメモリDM内のデータに基づき容易に行うことができる画像表示装置」の発明(以下、「刊行物記載の発明」という)が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 そこで、本願発明と刊行物記載の発明とを対比すると、 (ア)刊行物記載の発明は、例えば閉ループabcd内を赤色でぬりつぶした後に閉ループ内aeCfのみを青でぬりつぶす場合等、その制御をメモリDM内のデータに基づき容易に行うことができる画像表示装置であり、閉ループ内を赤や青に塗りつぶす処理は、画像データの処理であることは明らかであるから、「データ処理装置」である点で本願発明と相違しない。 (イ)刊行物記載の発明の「中央演算処理装置CPU」に関し、刊行物記載の発明は、制御メモリCMが制御プログラムを格納し、表示用メモリRFMが表示部CRTに表示すべきデータを格納している。また、アドレスバスABが、中央演算処理装置CPU、制御メモリCM及びアドレスセレクタASに接続され、信号線S4が、アドレスセレクタAS及び表示用メモリRFMに接続されている。 そして、アドレスセレクタASには、中央演算処理装置CPUから、表示メモリRFMをアクセスするためのアドレス信号が供給され、このアドレスセレクタASにおいては、中央演算処理装置CPUから信号線S3を介して供給されるアドレス切換信号ASSに基づき、入来したアドレス信号のいずれか一方が選択されて取り出され、信号線S4を介して表示用メモリRFMに供給されている。 このため、刊行物記載の発明の「中央演算処理装置CPU」は、「データ又はプログラムを記憶する第1のメモリと接続する第1の信号線と表示するための複数の画素データを記憶する第2のメモリと接続する第2の信号線との接続を制御するスイッチを制御するための制御信号を生成する制御部」である点で、本願発明の「制御部」と一致する。 (ウ)刊行物記載の発明の「修飾用メモリDM」は、表示用メモリRFMに格納された画像データのうち特定の画像データのみを記憶された画像データのうち特定の画像データのみを記憶しているから、「パターンデータ」の点を除き、「データを格納した内部メモリ」である点、本願発明の「内部メモリ」と一致する。 (エ)刊行物記載の発明は、閉ループabcd内を赤色でぬりつぶした後閉ループ内aeCfのみを青でぬりつぶす処理を行っているから、「上記制御部からの制御信号によって接続された上記第1のメモリから読み出したデータ又は上記内部メモリから読み出したパターンデータを処理し、上記第2のメモリに出力する」点を除き、「描画処理部を有する」点で、本願発明と一致する。 したがって、上記の(ア)〜(エ)から見て、本願発明と刊行物記載の発明とは、 「プログラムを記憶する第1のメモリと接続する第1の信号線と表示するための複数の画素データを記憶する第2のメモリと接続する第2の信号線との接続を制御するスイッチを制御するための制御信号を生成する制御部と、データを格納した内部メモリと、描画処理部とを有するデータ処理装置」である点で一致し、次の点で相違する。 (あ)本願発明は、内部メモリがパターンデータを記憶しているのに対して、刊行物記載の発明は、表示用メモリRFMに格納された画像データのうち特定の画像データがパターンデータであるか否か特定されていない点。 (い)本願発明は、描写処理部が制御部からの制御信号によって接続された上記第1のメモリから読み出したデータ又は上記内部メモリから読み出したパターンデータを処理し、上記第2のメモリに出力しているのに対して、刊行物記載の発明は、処理や出力に関してこのような特定がなされていない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討すると、 (あ)の相違点について、内部メモリに画像データを記憶し、該内部メモリに記憶された画像データを表示するための画素データを記憶する第2のメモリへ出力し、該第2のメモリで合成する構成は周知な構成であると共に、内部メモリに記憶され、第2のメモリへ出力される画像データとしては、パターン化されていない画像データ及びパターンデータのいずれも周知な画像データである。 そして、パターンデータとして記憶された図形に対して、ぬりつぶしなどのデータ処理を行うことも周知なデータ処理にすぎない。 このため、刊行物記載の発明において、表示用メモリRFMに格納された画像データのうち特定の画像データをパターンデータとすることは、当業者が格別の創意を要することなくなし得る事項である。 (い)の相違点について、刊行物記載の発明では、閉ループ内を赤色又は青色でぬりつぶす処理が、具体的にどのような処理で行われているか記載されていないものの、中央演算処理装置CPUが修飾用メモリDMへアドレス信号を供給することでアクセスし、修飾用メモリDM内に記憶された閉ループの図形を読み出し、読み出した図形に基づいて赤色又は青色でぬりつぶした後、表示用メモリRFMへアドレスセレクタASを介してアドレス信号を供給することでアクセスし、該アドレス信号で指定された位置にぬりつぶした図形を出力して上書きする処理を行えば、閉ループ内を赤色又は青色でぬりつぶす処理が行えることは当業者であれば明らかである。 そして、刊行物記載の発明では、アドレス信号の中央演算処理装置CPUから修飾メモリDMへの供給は、中央演算処理装置CPUによるセット/リセット切換制御で修飾メモリイネーブルラッチFF2がセット状態となった場合に行われ、表示用メモリRFMへの供給は、中央演算処理装置CPUからのアドレス切換信号ASSに基づいてアドレスセレクタASで表示用メモリRFMのアドレスが選択され、且つ、中央演算処理装置CPUによるセット/リセット切換制御で表示用メモリイネーブルラッチFF1がセット状態となった場合に行われるものであって、修飾メモリDMからの読み出して表示用メモリRFMへの書き込む動作に限れば、読み出し時又は書き込み時に修飾メモリDMと表示用メモリRFMを択一的にアクセスできればよいから、アドレス切換信号ASSを修飾メモリイネーブルラッチFF2及び表示用メモリイネーブルラッチFF1に供給すれば、アドレス切換信号ASSに基づいてセット/リセット制御が行い得ることは明らかである。 また、読み込みや書き込みがなし得るということは、実質的に接続されていることを表している。 このため、刊行物1記載の発明において、アドレス切換信号ASSを修飾メモリイネーブルラッチFF2及び表示用メモリイネーブルラッチFF1に供給することで、中央演算処理装置CPUからのアドレス切換信号ASSに基づいて、表示用メモリイネーブルラッチFF1及び修飾メモリイネーブルラッチFF2のセット/リセットの切換制御を行い、該アドレス切換信号ASSによって接続された修飾メモリから読み出した画像データを処理し、表示用メモリに出力するよう構成すること、即ち、描写処理部が制御部からの制御信号によって接続された第1のメモリから読み出したデータ又は内部メモリから読み出したパターンデータを処理し、第2のメモリに出力するよう構成することは、当業者であれば容易になし得る事項である。 そして、本願発明の構成によりもたらされる効果も、刊行物記載の発明、並びに、周知事項から当業者が容易に予想し得る程度のものであり、格別のものではない。 5.まとめ したがって、本願発明は、刊行物記載の発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明することができるものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり結審する。 |
審理終結日 | 2002-03-18 |
結審通知日 | 2002-03-19 |
審決日 | 2002-04-01 |
出願番号 | 特願平5-226894 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 新宮 佳典、井関 守三、高松 猛、藤内 光武 |
特許庁審判長 |
東 次男 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 関川 正志 |
発明の名称 | グラフィック処理装置 |
代理人 | 作田 康夫 |