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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10K
管理番号 1059025
審判番号 不服2000-12547  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-04-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-10 
確定日 2002-05-24 
事件の表示 平成 4年特許願第280993号「カラオケ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 4月22日出願公開、特開平 6-110478]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成4年9月25日の出願であって、その特許請求の範囲に記載された発明は「カラオケ装置」に係るものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 演奏曲の演奏データと歌詞データとを含む曲データを記憶する記憶手段と、
演奏データの記憶手段における格納場所を示す演奏アドレス、歌詞データの記憶手段における格納場所を示す歌詞アドレス及び複数の検索レコードからなる検索ワードを各演奏曲毎に対応付けて記憶したテーブルと、
前記検索ワードを入力する手段と、
この手段で入力された検索ワードによってテーブルを検索して該当する検索ワードを抽出する手段と、
この手段で抽出された検索ワードをその検索ワードを含む演奏曲の他の検索レコードの検索ワードと併記して表示する手段と、
この手段に表示された検索ワードから所望の演奏曲の検索ワードを選択するための手段と、
この手段で選択された検索ワードと対応付けられた演奏曲の演奏アドレス及び歌詞アドレスを読み出す手段と、
読み出された演奏アドレスに基づいて記憶手段から演奏データを読み出す手段と、
この手段で読み出された演奏データを再生する手段と、
読み出された歌詞アドレスに基づいて記憶手段から歌詞データを読み出す手段と、
この手段で読み出された歌詞データから演奏曲の進行に合わせて歌詞の文字画像情報を生成する手段と、
マイクから入力される音声を前記演奏曲と混合して出力する手段と、
を備えてなることを特徴とするカラオケ装置。」
2.刊行物発明
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である平成4年1月16日に頒布された「特開平4―11288号公報」(以下「刊行物」という。)は、「楽曲検索機能付きカラオケ装置」に関するものであって、同公報には次の事項が記載されている。
(1)「目的は希望する楽曲が不明な場合に、各楽曲に関する種々のデータに基づき希望する楽曲を表示画面を用いて迅速に検索することのできる楽曲検索機能付きカラオケ装置を提供することにある。」(2頁左上欄20行ないし右上欄4行)
(2)「第1図は実施例に係るカラオケ装置の全体構成を示すブロック図であり、カラオケ装置本体内には、楽音情報記憶媒体10が設置されている。この楽音情報記憶媒体10は、例えば装置本体内のハードディスク内にデジタル情報としてのMIDI情報…(中略)…を多数曲分格納して構成されている。…(中略)…入力手段12は、使用者が希望する楽曲を選択するためのキーボードや入力バッファなどから構成されており、キーボードは本発明の特徴的構成事項である楽曲の検索情報を入力するための入力手段を有している。楽曲情報記憶媒体10及び入力手段12は、それぞれ中央制御部14に接続されており、この中央制御部14は、入力手段12から入力された情報に基づいて、楽音情報記憶媒体10からの楽曲の選択読出しや検索を行うものである。そして、中央制御部14には、楽音再生手段16及び映像回路18がそれぞれ接続されている。楽音再生手段16は、例えばシンセサイザーなどで構成され、中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した演奏情報をアナログの音楽信号16aに変換してオーディオアンプ20に送るものである。映像回路18は、中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した楽曲の楽音情報中の歌詞情報を受け、この歌詞情報を画像信号18aに変換して画像表示手段22に供給し画面上に表示させる。なお、オーディオアンプ20には歌い手の声を入力するためのマイクロホン24が接続されており、オーディオアンプ20はマイクロホンからの音声信号24aを増幅してスピーカ26に送り、上記音楽信号16aと共にスピーカ26から再生音として発生させられる。また、映像回路18には映像情報発生手段28が接続されており、この映像情報発生手段28は背景映像を画像表示手段22に表示するために背景映像情報28aを映像回路18に送り、映像回路18はこれを背景画像信号28bに変換し、歌詞の画像信号18aと共に画像表示手段22により画面上に表示する。第2図は上記楽音情報記憶媒体10に格納される各楽曲の情報のデータフォーマットの一例を示している。このデータフォーマットの特徴は、演奏情報及び歌詞情報を含む楽音情報30の他に、その先頭にヘッダ32を設け、そのヘッダ32に各楽曲に関するデータである検索情報を記録したことである。この検索情報としては、例えば歌手名32a、作曲者名32b、ジャンル32cなどが用いられる。検索情報としては、上記のようなデータに限られるものではなく、その他歌詞の出だし部分の情報や歌詞のキーワードなどを記録しておくことも可能である。また、ヘッダ32には曲番32dや曲名32eも記録されており、これらが始めから明らかである場合には、他の検索情報を用いることなくその楽曲を選択して再生することができる。」(2頁右下欄1行ないし3頁左下欄2行、第1、2図)
(3)「この検索動作の概略フローチャートが第6図に示されている。すなわち、中央制御部14は、楽音情報記憶媒体10に格納された各楽曲のヘッダ32を読み込み(S101)、そのヘッダ32内の検索情報を登録された検索項目のデータと比較する(S102)。そして、検索項目のデータとヘッダ32の情報との一致が判断される(S103)。また、一致した場合(Yesの場合)、その楽曲がピックアップされる(S104)。そして、一致しない場合(S3がNoの場合)、楽曲のピックアップを行うことなく検索事項が終了か否かが判断され(S105)、終了の場合には(Yesの場合)、検索が終了する。そして、他の検索項目が存在する場合(S105がNoの場合)には、再びヘッダ読込み動作(S101)の動作から順次検索動作が繰り返される。そして、検索が終了すると、検索結果として検索曲目が画面上に中央制御部14の制御によって表示される(第4図S14)。このときの画像表示の一例が第5図(C)に示されている。次に、この検索結果に基づくキー操作が判断される(S15)。すなわち、使用者はこの曲目リストからスクロールキー48などの操作によるカーソルの移動によって(S16)、希望する曲目を選択することができ、選択した後その再生の指示である再生キー42が操作されると、S3における再生動作が行われる。このようにして、予め定めた検索メニューの項目により、希望する曲名が不明の曲を自動的に検索することができる。種々の検索データに合致する曲を最終的に検索結果として画面上に表示することができ、使用者はそのリストアップされた曲名を見て探している曲を選択することができる。」(4頁右上欄13行ないし右下欄5行、第4、5、6図)
これらの記載事項からして、刊行物には、「希望する楽曲が不明な場合に、各楽曲に関する種々のデータに基づき希望する楽曲を表示画面を用いて迅速に検索することのできる楽曲検索機能付きカラオケ装置であって、
装置本体内のハードディスク内にデジタル情報としてのMIDI情報を多数曲分格納して構成されている楽音情報記憶媒体10と、
使用者が希望する楽曲を選択するためのキーボードや入力バッファなどから構成されており、楽曲の検索情報を入力するための入力手段12と、
楽曲情報記憶媒体10及び入力手段12が接続されており、前記入力手段12から入力された情報に基づいて、楽音情報記憶媒体10からの楽曲の選択読出しや検索を行う中央制御部14と、
シンセサイザーなどで構成され、中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した演奏情報をアナログの音楽信号16aに変換してオーディオアンプ20に送る楽音再生手段16と、
中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した楽曲の楽音情報中の歌詞情報を受け、この歌詞情報を画像信号18aに変換して画像表示手段22に供給し画面上に表示させる映像回路18と、
歌い手の声を入力するためのマイクロホン24が接続されており、マイクロホンからの音声信号24aを増幅してスピーカ26に送り、上記音楽信号16aと共にスピーカ26から再生音として発生させられるオーディオアンプ20と、
映像回路18からの、背景画像信号28bと歌詞の画像信号18aとを画面上に表示する画像表示手段22と、
を有しており、
楽音情報記憶媒体10に格納される各楽曲の情報のデータフォーマットの先頭にヘッダ32を設け、そのヘッダ32に各楽曲に関するデータである検索情報を記録しており、前記検索情報としては、例えば歌手名32a、作曲者名32b、ジャンル32cなどが用いられ、上記のようなデータに限られるものではなく、その他歌詞の出だし部分の情報や歌詞のキーワードなどを記録しておくことも可能であり、ヘッダ32には曲番32dや曲名32eも記録されており、これらが始めから明らかである場合には、他の検索情報を用いることなくその楽曲を検索して再生することができるものであり、
中央制御部14は、楽音情報記憶媒体10に格納された各楽曲のヘッダ32を読み込み、そのヘッダ32内の検索情報を登録された検索項目のデータと比較し、検索項目のデータとヘッダ32の情報との一致が判断され、一致した場合、その楽曲がピックアップされ、一致しない場合、楽曲のピックアップを行うことなく検索事項が終了か否かが判断され、終了の場合には、検索が終了するものであり、他の検索項目が存在する場合には、再びヘッダ読込み動作の動作から順次検索動作が繰り返され、検索が終了すると、検索結果として検索曲目が画面上に中央制御部14の制御によって表示され、この検索結果に基づくキー操作が判断され、使用者はこの曲目リストからスクロールキー48などの操作によるカーソルの移動によって、希望する曲目を選択することができ、選択した後その再生の指示である再生キー42が操作されると、再生動作が行われ、予め定めた検索メニューの項目により、希望する曲名が不明の曲を自動的に検索することができ、種々の検索データに合致する曲を最終的に検索結果として画面上に表示することができ、使用者はそのリストアップされた曲名を見て探している曲を選択することができる、楽曲検索機能付きカラオケ装置。」(以下「刊行物発明」という)が記載されていると認められる。
3.本願発明と刊行物発明との対比
本願発明と刊行物発明を対比すると、
(1)刊行物発明の「楽音情報記憶媒体」は、装置本体内のハードディスク内にデジタル情報としてのMIDI情報を多数曲分格納し、中央制御部により楽曲の楽音情報中の歌詞情報を読み出されるものであるから、本願発明の「記憶手段」に相当する。
(2) 刊行物発明の「検索情報」は、検索キーとなる文字情報であるから、本願発明の「検索ワード」に相当する。
(3)刊行物発明の「入力手段」は、楽曲の検索情報を入力するものであるので、本願発明の「検索ワードを入力する手段」に相当する。
(4)刊行物発明の「中央制御部」は、テーブルを検索するものではないものの、楽音情報記憶媒体10に格納された各楽曲のヘッダ32を読み込み、そのヘッダ32内の検索情報を登録された検索項目のデータと比較し、検索項目のデータとヘッダ32の情報との一致が判断され、一致した場合、その楽曲をピックアップするものであるから、本願発明の「検索ワードによって検索して該当する検索ワードを抽出する手段」に対応する。
(5)刊行物発明の「中央制御部」「映像回路」「画面表示手段」は、他の検索レコードの検索ワードと併記してではないものの、検索が終了すると、検索結果として検索曲目(検索ワード)を画面上に制御によって表示するものである。したがって、刊行物発明は、本願発明の「表示する手段」に対応する構成を有している。
(6)刊行物発明の「スクロールキー」は、表示された検索結果の曲目リストから操作によるカーソルの移動によって、希望する曲目を選択することができるものであるから、本願発明の「選択するための手段」に相当する。
(7)刊行物発明の「中央制御部」は、演奏アドレスおよび歌詞アドレスを利用しているものではないものの、楽曲情報記憶媒体10及び入力手段12が接続されており、前記入力手段12から入力された情報に基づいて、楽音情報記憶媒体10からの楽曲の選択読出しを行うものであるから、本願発明の「選択された検索ワードと対応付けられた演奏曲を読み出す手段」「記憶手段から演奏データを読み出す手段」に対応している。
(8)刊行物発明の「楽音再生手段」は、演奏アドレスに基づいているものではないものの、シンセサイザーなどで構成され、中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した演奏情報をアナログの音楽信号16aに変換してオーディオアンプ20に送るものであるから、本願発明の「演奏データを再生する手段」に対応している。
(9)刊行物発明の「中央制御部」は、歌詞アドレスに基づいているものではないものの、楽曲情報記憶媒体10及び入力手段12が接続されており、前記入力手段12から入力された情報に基づいて、楽音情報記憶媒体10から楽曲の楽音情報中の歌詞情報を読み出すものであるから、本願発明の「記憶手段から歌詞データを読み出す手段」に対応している。
(10)刊行物発明の「映像回路」は、中央制御部14が楽音情報記憶媒体10から読み出した楽曲の楽音情報中の歌詞情報を受け、この歌詞情報を画像信号18aに変換して画像表示手段22に供給し画面上に表示させるものであり、カラオケ装置において、楽音情報中の歌詞情報が演奏曲の進行に合わせて読み出されるものであることは技術常識であるから、本願発明の「歌詞データから演奏曲の進行に合わせて歌詞の文字画像情報を生成する手段」に相当する。
(11)刊行物発明の「オーディオアンプ」は、歌い手の声を入力するためのマイクロホン24が接続されており、マイクロホンからの音声信号24aを増幅してスピーカ26に送り、上記音楽信号16aと共にスピーカ26から再生音として発生させるものであるから、本願発明の「混合して出力する手段」に相当する。
(12)したがって、両者は「演奏曲の演奏データと歌詞データとを含む曲データを記憶する記憶手段と、検索ワードを入力する手段と、この手段で入力された検索ワードによって検索して該当する検索ワードを抽出する手段と、この手段で抽出された検索ワードと表示する手段と、この手段に表示された検索ワードから所望の演奏曲の検索ワードを選択するための手段と、この手段で選択された検索ワードと対応付けられた演奏曲の演奏データ及び歌詞データを記憶手段から読み出す手段と、この手段で読み出された演奏データを再生する手段と、この手段で読み出された歌詞データから演奏曲の進行に合わせて歌詞の文字画像情報を生成する手段と、マイクから入力される音声を前記演奏曲と混合して出力する手段と、を備えてなることを特徴とするカラオケ装置。」である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。
ア 演奏データの記憶手段における格納場所を示す演奏アドレス、歌詞データの記憶手段における格納場所を示す歌詞アドレスおよび複数の検索レコードからなる検索ワードを各演奏曲毎に対応させて記憶したテーブルを検索し、検索ワードに対応付けられた演奏曲の演奏アドレス及び歌詞アドレスを読み出し、それぞれに基づいて演奏データ、歌詞データを読み出す点。
イ 抽出された検索ワードをその検索ワードを含む演奏曲の他の検索レコードの検索ワードと併記して表示する点。
4.相違点についての検討
相違点アについて
データ検索分野において、検索テーブルを使用する点、データ格納場所を示すアドレスを使用し、前記検索テーブルに前記アドレスを記載して検索、読み出しする点は周知技術(必要ならば、実願平3―3034号(実開平4―93899号)のマイクロフィルム、特開平4―52764号公報、特開昭63―220365号公報参照)であり、コンピュータによるデータ検索がカラオケ分野において使用されていたのは明らかであるので、この点の適用は当業者にとって容易に推考できたものであった。
相違点イについて
他の検索ワードを併記する点は周知技術(必要ならば、特開平3―120686号公報、特開昭61―77184号公報参照)であり、コンピュータによるデータ検索がカラオケ分野において使用されていたのは明らかであるので、この点の適用も当業者にとって容易に推考できたものであった。
そして、これらを総合的にみても当業者にとって容易に推考できたものであって、また、上記相違点に基づく本願発明の効果に格別顕著なものがあるということもできない。
5.むすび
したがって、本願発明は、刊行物発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-14 
結審通知日 2002-03-19 
審決日 2002-04-02 
出願番号 特願平4-280993
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 南 義明木方 庸輔  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 小林 秀美
石川 伸一
発明の名称 カラオケ装置  
代理人 伊丹 勝  

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