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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1059066 |
審判番号 | 不服2001-1757 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-02-08 |
確定日 | 2002-05-22 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第140461号「住宅設計プランの検索方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 3月26日出願公開、特開平 5- 73626]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成3年6月12日の出願であって、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成12年10月3日付手続補正書によって補正された明細書および図面の記載から見て、その特許請求の範囲請求項1に記載された 「玄関、台所、浴室、トイレ、洗面所、居室等の各部屋を、それぞれグリッドプランニングに対応した間口、奥行等の寸法に定められた基本ユニットから構成し、これら基本ユニットを組み合わせて、住宅設計を行うに際し、 過去設計した個々の住宅における敷地面積とその形状、および建物の床面積、間口や奥行等の寸法、居室数、各居室の広さなどの各種設計データと、この設計データに対応した間取り図とをパターン化したものを、多数、随時登録して集積しておき、 ユーザーのニーズに応じて、床面積、居室数等の希望条件を検索項目として入力することにより、このユーザーのニーズを満たす所定の設計プランを検索する ことを特徴とする住宅設計プランの検索方法。」と認められる。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、遠藤泰夫、新井進、「システムズビルディングのCAD」、第3回電子計算機利用シンポジウム論文集、p.336-336、日本建築学会(昭和56年3月)(以下、「引用例」という。)には、住宅のオーダーエントリーシステムについて次のことが記載されている。 (1)「2.オーダーエントリーシステムの概要 2.1住宅設計システムと生産設計システム オーダーエントリーシステムは、顧客と設計技術者が電算機と会話しながら住宅の間取りを作成してゆく住宅設計システムと各住宅の部品展開(分割)、自動作図、見積・積算を自動的に行う生産設計システムに2分される。(図1)住宅設計システムは、プラン検索・プラン入力及び構造チェック・概算見積の各サブシステムから成り、代替案の作成を含め自由で効率的な住宅設計が可能で、そのプロセスは、ディスプレイ装置(CRT)等の図2に示す機器による電算機との会話が中心となる。住宅の間取り・外観はCRTに表示されデザイン等を視覚的に検討でき、概算工事費も直ちに表示できる。顧客の購入意志が確認できた後に生産設計システムにおいて自動的に部品展開を行い、生産・施工情報を作成し、あわせて契約用・確認申請用図書の自動作成が行われる。 2.2プラン検索サブシステム 設計技術者は、顧客が提示した住要求をもとに検索条件(敷地条件、要求部屋の種類と数、希望工事費等)を設定し、それを入力するとシステムはデータベース内の多数のプランから該当するものを直ちに選び出しCRTに平面図を表示する。この平面図は後述するプラン入力サブシステムを用いて部分的な修正を加えることができる。 2.3プラン入力サブシステム 設計技術者は、図4・図5に示す部屋や部品入力用メニューを用いて顧客が用意した平面計画図を図形のまま直接入力し、必要に応じ随時に部屋や部品の取り替え、削除を行い間取りを変更できる。」(第336頁第13行〜第337頁第3行) 引用例の記載事項で、「部屋や部品入力用のメニューを用いて顧客が用意した平面計画図を図形のまま直接入力し、必要に応じ随時に部屋や部品の取り替え、削除を行って住宅の間取りの変更を行う」ことは、プラン入力サブシステムにおいて行われる処理であり、プラン入力サブシステムは住宅設計システムという住宅設計を行うシステムの一部であることから、プラン入力サブシステムでの処理が「住宅設計を行うに際した」処理であることは明らかである。 また、引用例の記載事項で、「検索条件(敷地条件、要求部屋の種類と数、希望工事費等)を設定し、それを入力するとシステムはデータベース内の多数のプランから該当するものを直ちに選び出しCRTに平面図を表示する」となっていることから、引用例のデータベースは、プランとして平面図を多数登録し集積していることは明らかであり、検索条件である敷地条件、要求部屋の種類と数、希望工事費等のデータは、平面図と対応付けされていることも明らかである。 したがって、上記引用例には、 「平面図に対して、部屋や部品入力用のメニューを用いて、必要に応じ随時に部屋や部品の取り替え、削除を行って住宅の間取りの変更を行い住宅設計を行うに際し、 敷地条件、要求部屋の種類と数等のデータと対応する平面図を、多数、データベースに登録して集積しておき、 顧客の要求に応じて、敷地条件、要求部屋の種類と数等を検索条件として入力することにより、この顧客の要求に該当するプランを検索する ことを特徴とするプランの検索方法。」(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。 3.対比 引用例記載の発明の「平面図」「敷地条件、要求部屋の種類と数等」「顧客の要求」「検索条件」「顧客の要求に該当するプラン」は、それぞれ本願発明の「間取り図」「個々の住宅における敷地面積とその形状、および建物の床面積、間口や奥行等の寸法、居室数、各居室の広さなど」「ユーザーニーズ」「検索項目」「ユーザーのニーズを満たす所定の設計プラン」に相当し、引用例の「住宅の間取り」は、「玄関、台所、浴室、トイレ、洗面所、居室等の各部屋」を当然含んでいる。 引用例記載の発明の「平面図」は、プランとして既にデータベース内にあることから、過去に設計されたものであり、「平面図」の検索条件としてデータベースに格納されている「敷地条件、要求部屋の種類と数等」は、「平面図」に対する「設計データ」ということができ、「敷地条件、要求部屋の種類と数等」といった場合、「敷地面積とその形状、および建物の床面積、間口や奥行等の寸法、居室数、各居室の広さなど」を含んでいることは、当然の事項である。 また、引用例記載の発明において「敷地条件、要求部屋の種類と数等」と「平面図」の対応関係は、データベースで管理されていることから、「パターン化」されているといえる。 従って、本願発明は、引用例記載の発明と比較して、 「住宅設計の際に 過去設計した個々の住宅における敷地面積とその形状、および建物の床面積、間口や奥行等の寸法、居室数、各居室の広さなどの各種設計データと、この設計データに対応した間取り図とをパターン化したものを、多数登録して集積しておき、 ユーザーのニーズに応じて、床面積、居室数等の希望条件を検索項目として入力することにより、このユーザーのニーズを満たす所定の設計プランを検索する ことを特徴とする住宅設計プランの検索方法。」 で一致し、 本願発明は、住宅設計を行うに際して、「玄関、台所、浴室、トイレ、洗面所、居室等の各部屋を、それぞれグリッドプランニングに対応した間口、奥行等の寸法に定められた基本ユニットから構成し、これら基本ユニットを組み合わせて」行うものであるのに対して、引用例記載の発明は、「平面図に対して、部屋や部品入力用のメニューを用いて、部屋や部品の取り替え、削除を行って住宅の間取りの変更を行う」ものである点(以下、「相違点1」という。)、 本願発明が「各種設計データと、この設計データに対応した間取り図とをパターン化したものを、多数、随時登録」しているのに対して、引用例記載の発明では、登録されるのが「随時」かどうか記載されていない点(以下、「相違点2」という。)で相違する。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1) 住宅設計を行うに際して、「玄関、台所、浴室、トイレ、洗面所、居室等の各部屋を、それぞれグリッドプランニングに対応した間口、奥行等の寸法に定められた基本ユニットから構成し、これら基本ユニット」を組み合わせて図面を作成する手法は、「グリッドプランニング」として周知事項であり(実願平1-110957号明細書、特公平1-12890号公報参照)、これを引用例記載の発明の「平面図に対して、部屋や部品入力用のメニューを用いて、部屋や部品の取り替え、削除を行って住宅の間取りの変更を行う」という図面を作成する手法に換えて適用することは、当業者が容易になし得たことと認める。 (相違点2) 引用例記載の発明にあるデータベースは、データを随時登録できるかどうか記載されていないが、一般的なデータベース場合、データを随時登録できることは当然の事項であり、引用例記載の発明のデータベースにおいても、当然、データの随時登録ができるものと認められるので、この相違点2は格別なことと認められない。 5.結論 したがって、本願発明は、引用例記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-03-28 |
結審通知日 | 2002-03-28 |
審決日 | 2002-04-09 |
出願番号 | 特願平3-140461 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平井 誠 |
特許庁審判長 |
徳永 民雄 |
特許庁審判官 |
石川 正二 鳥居 稔 |
発明の名称 | 住宅設計プランの検索方法 |
代理人 | 土井 清暢 |