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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23Q |
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管理番号 | 1059106 |
審判番号 | 不服2000-5633 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-01-17 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-04-20 |
確定日 | 2002-05-02 |
事件の表示 | 平成 2年特許願第118306号「設備の表示装置および設備機能提供方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 1月17日出願公開、特開平 4- 13550]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】 本件出願は、平成2年5月7日に出願されたものであり、その発明は、平成12年5月17日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。 なお、平成13年6月13日付けの手続補正書による手続補正は、平成13年8月7日付けで補正の却下の決定がされ、確定している。 「【請求項1】 生産設備に対する操作用の表示装置であって、オペレータによる設備の一連の生産作業に直接関わる操作の中の個々の操作内容を監視していて、設備の生産作業の変更の有無を個々の操作の都度自分自身で判断する入力情報分析部と、前記入力情報分析部が判断した作業内容の操作に必要な知識をオペレータに示す設備機能のみを表示する表示部と、を備えたことを特徴とする設備の表示装置。 【請求項2】 入力情報分析部が判断した作業内容に必要な設備機能を設備機能データベース部から検索し読み出し、表示部に送る設備機能読みだし部を備えた請求項1記載の設備の表示装置。 【請求項3】 入力情報分析部が判断した作業内容に不必要な操作の入力を禁止する請求項1または請求項2記載の設備の表示装置。 【請求項4】 生産設備に対する操作用の表示装置における設備の機能提供方法であって、オペレータによる設備の一連の生産作業に直接関わる操作の中の個々の操作内容を監視していて、設備の生産作業の変更の有無を個々の操作の都度表示装置自身で判断する入力情報分析工程と、前記入力情報分析工程において判断した作業内容の操作に必要な知識をオペレータに示す設備機能のみを表示する表示工程と、を備えたことを特徴とする設備機能提供方法。 【請求項5】 入力情報分析工程において判断した作業内容に不必要な操作の入力を禁止する請求項4記載の設備機能提供方法。」 【2】 本件出願に対して平成13年4月9日付けで通知された拒絶理由の概要は、次のとおりである。 本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物である特開昭63-267144号公報(以下、引用例という)に記載された発明基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そして、前記引用例には、一つの発明に係る記載として次の記載がある。 1 特許請求の範囲の記載 「……加工作業を終了した作業者に次の加工作業を指令する工場における作業指令システムにおいて、……一加工作業の次に遂行可能な作業が他に存在する時、前記一加工作業から分岐する分岐着手順位を記憶する記憶手段と、前記通常着手順位と分岐着手順位とが分岐する前記加工作業の終了に応じ、……作業者が遂行可能な加工作業を前記記憶手段から一つ検索する手段と、この検索された加工作業を前記作業者に指令する指令手段と、……を備えた作業指令システム。」 2 第5頁右上欄第2行ないし同頁右下欄第9行の記載(システムを実行するためのフローチャート図である第12図の説明) 「次に前記順位……第12図のフローチャートに従って説明する。縫製開始後においては前記外部記憶装置6の作業者データメモリ部、機械データメモリ部、製造優先順位メモリ部、製造品目加工順序メモリ部、次作業候補データメモリ部に各種のデータが記憶され、作業データにはそれぞれの作業に対応して前作業済サイン、加工済サイン、加工中サインの各種サインがそのときどきに行われている作業状態に応じて記憶される。今、端末器2から作業指示要求信号がCPU3に入力されると(S11)CPU3はその作業指示要求信号に基づいて次作業候補データメモリ部の読出しができるように……した後、……現在作業中(加工中)の作業工程を加工中サインに基づいて検索し、……加工中サインと加工済サインとがない作業工程をさらに検索する。そして、それらの作業工程を前記次作業候補データメモリ部からその読出し優先順位に従って読出す(S12)。S13においてCPU3は読出した次作業の中から着手可能な作業工程であるか否かを作業データメモリ部に記憶されているデータに基づいて判別し、……そして、S15において、RAM5に格納した次作業のうちチェックした最適条件に基づいて最適次作業工程を選定し、……CPU3は選定された最適作業指示、すなわち最適作業名、機械番号、ロットナンバー等のデータを作業指示要求信号を要求したを端末器2に送信する(S17)。この送信されたデータを端末器2はバッファに格納し、端末器2は終了スイッチが閉成されると、その終了スイッチからの終了信号に基づいて液晶表示装置にバッファに格納に格納したデータを表示し、作業指示を行う。」 そして、前記1及び2を基本的な記載部分として引用例の記載を全体してみると、引用例には、次のとおり次に分説した発明が記載されている。 a 製造工場内の多種多様のミシン、液晶表示装置と終了スイッチとが設置され、装置制御ユニット3に接続された端末器2、すなわち、操作をすることができる表示装置 b1 製造品目とロットナンバーと、その作業が着手可能か否かを示す前作業済みサインと、加工済みデータを端末器2からのデータに基づいて記憶する b2 作業データメモリ部から作業者が加工中の作業を検索し、その作業の次のとなり得る一つの作業名を読み出せる優先順位にしたがって次作業候補メモリ部から読み出す装置制御ユニット3 c 記憶された作業名と、それに対応する製造品目及びロットナンバーと、選択された機械番号とを視覚表示させる端末器2の前記液晶表示装置 【3】 本件出願の請求項1に係る発明を分説すると次のとおりのものとなる。 A 生産設備に対する操作用の表示装置であって、 B1 オペレータによる設備の一連の生産作業に直接関わる操作の中の個々の操作内容を監視していて、 B2 設備の生産作業の変更の有無を個々の操作の都度自分自身で判断する入力情報分析部と、 C 前記入力情報分析部が判断した作業内容の操作に必要な知識をオペレータに示す設備機能のみを表示する表示部 A とを備えたことを特徴とする設備の表示装置 そこで、引用例に記載された発明を本件出願の請求項1に係る発明と比較するにあたり検討すると、引用例に記載された発明のaにおける製造工場内の多種多様のミシンは、本件出願の請求項1に係る発明のAにおける生産設備に、装置制御ユニット3は、入力情報分析部に、それぞれ相当するものと認める。 したがって、引用例に記載された発明のaは、本件出願の請求項1に係る発明のAに相当する。 また、引用例に記載された発明のb1における作業が着手可能か否かを示す前作業済みサインは、オペレータによる設備の一連の生産作業に関わる操作の中の個々の操作内容監視した結果出されるものであるから、本件出願の請求項1に係る発明のB1における該操作内容を監視していることに相当する。 したがって、引用例に記載された発明のb1は、本件出願の請求項1に係る発明のB1に相当する。 さらに、引用例に記載された発明のb2が、本件出願の請求項1に係る発明のB2に相当することは明らかである。 さらにまた、引用例に記載された発明のcにおける記憶された作業名と、それに対応する製造品目及びロットナンバーと、選択された機械番号は、 オペレータが作業内容の操作に必要な知識に外ならない。 したがって、引用例に記載された発明のcは、本件出願の請求項1に係る発明のCに相当する。 よって、本件出願の請求項1に係る発明の全ての構成が引用例に一つの発明として記載されているものとすることができる。 【4】 以上のとおりであるから、本件出願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同条第2項の規定によるまでもなく、同条第1項の規定により特許を受けることができない。 なお、再度、特許法第29条第1項の規定による拒絶理由を通知しなければならない特段の事情もない。 また、本件出願は、本件出願の請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上、本件出願の請求項2ないし請求項5に係る発明について改めて論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する |
審理終結日 | 2002-02-22 |
結審通知日 | 2002-02-26 |
審決日 | 2002-03-15 |
出願番号 | 特願平2-118306 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(B23Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ぬで島 慎二 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
桐本 勲 加藤 友也 |
発明の名称 | 設備の表示装置および設備機能提供方法 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 内藤 浩樹 |