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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1059287
審判番号 審判1999-20724  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-11-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-12-27 
確定日 2002-06-03 
事件の表示 平成 8年特許願第320041号「ラップ式タイル、その製造方法及びその製造装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年11月11日出願公開、特開平 9-291679]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 本願発明
本願は、平成8年11月29日の出願(優先権主張、平成8年2月26日、日本)であって、その請求項1〜13に係る発明は、平成10年12月11日付け及び平成11年6月1日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明は次のとおりである。

「【請求項1】面板部の上端から背部側に屈曲させたリブを備えると共に、このリブの下方に連ねて係合部を形成し、更に前記面板部の背部の下端には下段配置のタイルのリブを覆うように位置可能な尾部を備えたラップ式タイルであって、前記尾部は下端縁部から裏面へ向かって斜め上向きとした直線状の傾斜面形状に形成してなるラップ式タイル。」
(なお、出願人により、本願の願書に添付した明細書について、特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づいて平成12年1月25日付け手続補正書が提出されたが、これは補正の却下の決定により却下された。)

2 引用刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された実願平1-35890号(実開平2-129536号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、図面と共に「躯体側に固定されるタイル取付用ボードの表面側に係止爪を形成し、該係止爪に対してタイル裏面に形成した係止溝を係止することにより、該ボード上に横長矩形状のタイルを配列・固定するようにしたタイル壁体の施工構造であって、前記タイルの縦方向端部を合決り構造としてそれら合決り部において縦方向に隣接するタイル同士を互いに係合させる一方、・・・タイル壁体の施工構造。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、「14は横長矩形状のタイルであって裏面側に係止溝16を有し、この係止溝16においてボード10の係止爪12に係止されている。・・・また縦方向(便宜上、上下方向とする)端部は合決り構造とされていて、上下段のタイル14がそれら端部において互いに係合させられている。即ちタイル14の上端部には凸部20が、また下端部には凹部22が夫々形成され、それら凸部20及び凹部22が、上段タイル14及び下段タイル14の各凹部22及び凸部20に互いに嵌まり込んでいる。」(5頁1〜12行)と記載されている。
又、第2図には、横長矩形状のタイル14の裏面の上端側に係止溝16が、又その下方に幅方向に延びる凸部が形成され、該凸部の下方は凹部22(22に下段タイルの上端に形成した幅方向に延びる凸部20が嵌まり込む。)であるボード取付用のタイルが示されている。
以上の記載更に第2図に図示される形状からみて、引用例1には、横長矩形状のタイル14であって、その上端部には裏面側に屈曲させて凸部20が形成され、該凸部20の下方には、係止爪12と係合する係止部(係止溝16を形成する。)が設けられると共に、タイル裏面の係止部の下方にタイルの幅方向に延びる凸部が設けられ、該凸部の下方側はタイル14の裏面下方の延長領域であり、そこは凹部22となっており、該凹部には下段タイルの上端に形成した幅方向に延びる凸部20が嵌まり込んでいるボード取付用のタイルであって、係止部の下方の幅方向に延びる凸部の下方側の面は、タイル14の裏面下端側において幅方向に延びる延長領域の上方側から斜め上向きに直線状の傾斜面が形成されている、ボード取付用のタイルが開示されていると認められる。

3 対比・検討
(a)本願の請求項1に係る発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願第1発明」という。)(前者)と上記引用例1に記載された発明(後者)を対比すると、後者における「横長矩形状のタイル14」、「凸部20」、「係止爪12と係合する係止部」、「係止部の下方の幅方向に延びる凸部」、「裏面」が前者の「面板部」、「リブ」、「係合部」、「尾部」、「背部」にそれぞれ相当すること、後者におけるタイルが「ラップ式タイル」であることは明らかであることから、両者は、面板部の上端から背部側に屈曲させたリブを備えると共に、このリブの下方に連ねて係合部を形成し、更に前記面板部の背部の下端には下段配置のタイルのリブを覆うように位置可能な尾部を備えたラップ式タイルであって、前記尾部は、タイルの下端側の斜面を尾部の先に向かって斜め上向きとした直線状の傾斜面形状に形成したものであるラップ式タイルである点で一致しているが、前者では、尾部の下端側の斜面が、タイルの下端縁部から裏面へ向かって斜め上向きとした直線状の傾斜面形状に形成されているのに対し、後者では、タイルの下端側において幅方向に延びる裏面の延長領域があり、尾部の下方側の面はその延長領域の上方側から斜め上向きに直線状の傾斜面が形成されている点で相違している。
そこで上記相違点について以下検討する。
上記引用例1におけるタイル背部の下端側に形成される尾部(即ち、係止部の下方の幅方向に延びる凸部)は、下段配置のタイルのリブを覆うための空間部をタイル背部とボード間に形成するために設けるものであるが(実用新案登録請求の範囲、図2等の記載参照。)、尾部の断面が特定形状でないとそのような空間部が形成できないと言うものではない。又、成型品において端部の角をなくすため、そこを端縁部から斜めに直線的に上向くような面とすることは普通に知られていることである。
したがって、引用例1に記載の発明において、タイルの下端縁部からの直線状の傾斜ではない尾部の下方側の斜面を、タイル下端縁部から裏面へ向かって斜め上向きとした直線状の傾斜面形状とすることは、下段タイルとの重なり等も考慮し当業者が容易になし得る設計的事項に過ぎない。
よって、本願第1発明は、引用例1に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-26 
結審通知日 2002-04-05 
審決日 2002-04-18 
出願番号 特願平8-320041
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠夫長島 和子深草 誠  
特許庁審判長 嶋矢 督
特許庁審判官 鈴木 憲子
鈴木 公子
発明の名称 ラップ式タイル、その製造方法及びその製造装置  
代理人 堤 隆人  
代理人 小堀 益  

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