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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E01D
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E01D
管理番号 1060251
審判番号 訂正2001-39227  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-07-15 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-12-12 
確定日 2002-04-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2968494号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2968494号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
特許第2968494号は、平成7年9月14日に出願した特願平7-262179号の一部を特許法第44条第1項の規定により分割して平成9年1月21日に新たに特許出願され、平成11年8月20日に特許権の設定登録がなされたもので、本件訂正審判の請求は平成13年12月12日付けでなされ、その請求の趣旨は、特許第2968494号の明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであり、平成13年12月17日付けで訂正審判請求書及び訂正明細書を補正する手続補正書が提出されるとともに、当審において平成14年2月22日付けで訂正拒絶理由通知が出され、平成14年3月12日付けで意見書とともに訂正審判請求書及び訂正明細書を補正する手続補正書が提出されている。

2.訂正審判請求書の補正の適否
平成13年12月17日付けの訂正審判請求書の補正は、軽微な瑕疵の補正であり、また、平成14年3月12日付けの訂正審判請求書の補正は、訂正事項の削除であるから、いずれの補正も、訂正審判請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第131条第2項の規定に適合する。

3.訂正の内容
本件訂正審判の請求により訂正しようとする内容は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、次のように訂正するものである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。
「高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする高架橋の恒久足場。」
(2)訂正事項b
訂正事項aに伴い、特許請求の範囲と明細書の発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落番号【0005】の課題を解決するための手段を次のように訂正する。
「上記目的を達成するため、本発明の高架橋の恒久足場は、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする。
この場合において、足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成することができる。」
(3)訂正事項c
訂正事項aに伴い、特許請求の範囲と明細書の発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落番号【0012】を次のように訂正する。
「足場兼用吸音部材3の第1実施例を、図2〜図4に示す。
この足場兼用吸音部材3は、防錆処理したエキスパンドメタルやパンチングメタル等の多数の透孔を有する金属製板材からなる上面板31と、防錆処理した金属製板材からなる枠部材32と、アルミニウム製のパンチングメタル等の多数の透孔を有し、下方に高架橋1の長手方向に沿って延びる帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した金属製板材からなる下面板33と、下面板33の膨出部内及び枠部材32により形成された上面板31と下面板33との間に充填したグラスウール等の吸音材34とで構成する。
このように、下面板33の膨出部を帯状に形成することにより、騒音の軽減効果を向上することができるとともに、足場兼用吸音部材3の製造を容易にしてその製造コストを低廉にすることができる。」
(4)訂正事項d
訂正事項aに伴い、特許請求の範囲と明細書の発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落番号【0021】の発明の効果を次のように訂正する。
「本発明の恒久足場によれば、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設することにより、高架橋を走行する車両の騒音や高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音を軽減することができることから、恒久足場上の作業空間の作業環境を良好に維持することができ、補修作業を行う都度足場を組み立てる必要がないことと相俟って、作業効率を向上することができ、また、高架橋の周辺地域の騒音を軽減することができ、さらに、補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が落下することがなく、このため、下方の道路を走行している車両等に損傷を与えることがないため、これに伴う補償費用を低減することができる。」

4.当審の判断
(1)特許法第126条第1ないし3項の要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否)について
上記訂正事項aないしdに係る訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項aに係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、訂正事項bないしdに係る訂正は、訂正事項aに係る訂正に伴い特許請求の範囲と明細書の発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)特許法第126条第4項の要件(独立特許要件)について
本件特許出願に係る「早期審査に関する事情説明書」において、先行技術文献として提示された、本件特許出願前に頒布された刊行物である、特開平7-180118号公報(以下、「刊行物1」という。)及び実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)と対比し、検討する。
(2-1)本件訂正後発明
訂正明細書の請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された下記の事項により特定されるとおりのものである(以下、「訂正後発明1」及び「訂正後発明2」という。)。
【請求項1】 高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする高架橋の恒久足場。
【請求項2】 足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成したことを特徴とする請求項1記載の高架橋の恒久足場。
(2-2)刊行物記載の発明
A.刊行物1記載の発明
刊行物1には、特に以下の記載がある。
イ.【請求項1】複数本のルーバー構成部材(6A)を互いに並行して吸音用開口部(8)を形成するように配設し、前記開口部(8)を閉塞して前記ルーバー構成部材(6A)間に吸音材(10)を設けているとともに、高架式建造物(1)の桁裏面(1a)との間に空気層(11)を形成しかつ該裏面(1a)を覆って装着されていることを特徴とする高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバー。
【請求項2】ルーバー構成部材(6A)の上部に、梁部材(5)に対する取付け部(6c)を備えていることを特徴とする請求項1記載の高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバー。
【請求項3】複数本のルーバー構成部材(6A)を互いに並行して吸音用開口部(8)を形成するように配設し、前記開口部(8)を閉塞して前記ルーバー構成部材(6A)間に吸音材(10)を設けているとともに、前記ルーバー構成部材(6A)の長手方向と交差して複数本のつなぎ部材(18)を配設し、該つなぎ部材(18)で前記複数本のルーバー構成部材(6A)を互いに接合してパネルとしていることを特徴とする高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーパネル。
【請求項4】吸音材(10)の上面を、有孔板による枠体(21)で補強していることを特徴とする請求項3に記載の高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーパネル。(公報2頁1欄2〜24行、特許請求の範囲)
ロ.吸音効率を向上して騒音対策を確実に行なうことができ、かつ重量の増大およびコストの上昇を回避しながら吸音用開口率を大きくして吸収音域を拡大できる高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーを提供することを第1の目的としている。更に、本発明は前記目的に加えて、構築施工期間を短期にできるとともに、構築後における点検等にも有利なルーバーパネルを提供することが第2の目的である。(公報2頁2欄49行〜3頁3欄6行、段落番号【0009】)
ハ.【作用】本発明に係る高架式建造物におけ桁裏面の被覆用ルーバー6によれば、各ルーバー構成部材6A間の吸音用開口部8に吸音材10を配設し、該吸音材10の上部に空気層11を設けたので、上記開口部8を経た音は吸音材10内に進入する際に吸収されるとともに、桁裏面1aにて反転して再度吸音材10から出る際にも吸収されることから、従来の吸音材を敷設したり、充填したりしただけの構造に比べて吸音効率を向上でき、それだけ騒音対策を確実に行えることができる。(公報3頁3欄44行〜4欄2行、段落番号【0014】)
ニ.更に、本発明に係るルーバーパネル17によれば、吸音材10の上面に有孔板よりなる枠体21を設けていることから、吸音効率を低下させることなく、構築後の点検用歩廊にすることができる。(公報3頁4欄20〜23行、段落番号【0017】)
ホ.上記ルーバー構成部材6Aは、・・・合成樹脂またはアルミ合金、鋼などの金属あるいはこれらの複合材料よりなっていて、実施例では、図1に示すように、断面大略王字形に形成されたFRP製のもので、高さ100mm、厚さ5mmの縦壁6aの上端に幅60mmの上壁6bが一体に形成され、該上壁6bに長手方向の凹溝とされた受け部6cが一体形成されている。・・・さらに上記縦壁6aの上壁6bと下壁6dとの中間部には幅60mmの支持壁6eが一体に形成されており、この支持壁6eにより上記ルーバー構成部材6A間には高さ50mmの上段部と高さ25mmの下段部に区分けされた吸音材10の取付け部が構成されている。(公報3頁4欄49行〜4頁5欄20行、段落番号【0021】【0022】)
ヘ.上記各ルーバー構成部材6A間の開口部8はグラスウール、発泡ウレタンあるいは連続気泡を有する金属系材料等よりなる吸音材10で閉塞されている。図示の実施例では、開口部8の長手方向に延びるグラスウールからなる厚さ50mmの吸音材10であり、この吸音材10は上記各ルーバー構成部材6Aの支持壁6e間に架け渡して配設されており、該支持壁6eと上壁6bとで挟持されている。(公報4頁5欄25〜32行、段落番号【0023】)
ト.更に、開口部8を閉塞して配設された吸音材10上には、有孔板よりなるボックス形状の枠体21が嵌合状に備えられていて吸音材10を補強しており、ルーバーパネル17を取付け部19によって高架建造物の桁裏面に空気層11を形成して装着したとき、前記枠体21が点検用等のための歩廊とされている。(公報5頁7欄35〜40行、段落番号【0035】)
チ.【発明の効果】以上詳述した通り本発明に係るルーバーによれば、重量の増大およびコストの上昇を回避しながら、吸音効率を向上できるとともに、吸収音域を拡大でき、騒音対策を確実に行える効果がある。また、本発明に係るルーバーパネルによれば、前述の作用効果に加えて、現場施工期間を短縮化して装着できるし、装着も正確かつ堅牢にできるとともに装着後の点検等の作業空間も増大できる。(公報5頁8欄26〜33行、段落番号【0040】)
これらの記載及び 図1、図2、図4、図6、図7を参照すると、「高架式建造物の桁裏面の下方に所定の作業空間を形成して桁裏面の下面を覆うように設ける点検用歩廊であって、複数本のルーバー構成部材を互いに並行して吸音用開口部を形成するように配設した該開口部を閉塞するようにルーバー構成部材間に、少なくとも、多数の透孔を有する上面板よりなるボックス形状の枠体が嵌合状に備えられている、帯状に形成した吸音材を設けた高架式建造物の点検用歩廊」が開示されているものと認める。
B.刊行物2記載の発明
刊行物2には、特に以下の記載がある。
イ.(1) 高架橋のスラブの下部に配設される橋桁部の側面及び下面に吸音部材を被覆して成り、上記吸音部材が断面中空三角形状の複数の吸音長尺材を適宜間隔をおいて併設して成る吸音面状体にて構成されることを特徴とする高架橋の吸音被覆構造。
(2) 吸音面状体が、適宜間隔をおいて配設される複数の吸音長尺材と、これら吸音長尺材に敷設される多孔板とで構成されることを含む実用新案登録請求の範囲第1項記載の高架橋の吸音被覆構造。(明細書1頁5〜13行、実用新案登録請求の範囲)
ロ.高架橋における騒音伝達媒体となる橋桁部を吸音部材にて被覆して、騒音の吸収及び防止を図れるようにしたことを特徴とする高架橋の吸音被覆構造を提供しようとするものである。(明細書3頁4〜8行)
ハ.[作用]上記技術的手段は次のように作用する。
高架橋の橋桁部の側面及び下面に被覆される吸音部材を、断面三角形状の複数の吸音長尺材を適宜間隔をおいて併設して形成することにより、下方からの騒音を吸収し、その反射音を減衰する。また、橋桁部を吸音面状体にて被覆することにより、美観の向上が図れる。(明細書4頁6〜13行)
ニ.この考案の吸音被覆構造は、高架橋1を構成するコンクリート製スラブ2の下部に配設される鉄骨製橋桁部3の側面及び下面に吸音部材10を被覆した構造となっている。この場合、上記吸音部材10は、第4図に示すような断面がほぼ三角形状(具体的には中空扇形)の吸音長尺材12を複数適宜間隔をおいて併設して成る吸音面状体14にて形成されている。吸音長尺材12は1つの角部とその対向する辺部にビスポケッチ16を有するアルミニウム製押出し形材等にて形成されており、・・・第2図に示すように、橋桁部3から突設されるステー4を介して取付けられる断面L形状の取付け部材5に吸音長尺材12を互いに平行に配設した後、取付け部材5から吸音長尺材12にボルトをねじ込んで各吸音長尺材12を固定することにより、吸音面状体14が形成される。(明細書4頁19行〜5頁17行)
ホ.なお、上記吸音長尺材12は単なる中空状であってもよいが、例えば第5図に示すように、吸音長尺材12のほぼ全領域に多数の吸音用小孔22を穿設すると共に、吸音長尺材12の中空部内に吸音材24を充填した構造とすることもできる。この実施例では吸音長尺材12の上方へ抜けた音もスラブ2等で反射した場合にこれらも吸収することができる。なおこの場合、上記吸音材24は例えばガラスクロス等の空気を透過し、吸音性能を損わない材質の保護フィルム26内に充填されるグラスウール、ロックウール等の材質のものが使用される。(明細書6頁3〜13行)
ヘ.第6図はこの考案の第二実施例を示すもので、上記吸音面状体14を例えばパンチングメタル、エキスパンドメタル等の多孔板30を上記した適宜間隔をおいて配設される複数の吸音長尺材12上に敷設して形成した場合である。このように吸音面状体14の一部を多孔板30にて構成することにより、吸音長尺材12の併設が容易になると共に、より一層吸音効果が向上し、しかも、多孔板30上に作業員Aが乗って橋桁部3の点検補修を可能にすることができる。(明細書6頁14行〜7頁3行)
ト.【考案の効果】以上に説明したように、この考案の高架橋の吸音被覆構造によれば、高架橋のスラブの下部に配設される鉄骨製橋桁部を適宜間隔をおいて併設された複数の断面中空三角形状の吸音長尺材にて形成される吸音面状体で被覆するため、以下のような効果が得られる。
1)橋桁部を被覆する吸音面状体が適宜間隔をおいて併設される複数の中空三角形状の吸音長尺材にて形成されるため、高架橋の下方を通過する自動車の警笛や高架橋自体から生じる振動音等の騒音を吸収緩和した状態で反射させて、騒音公害を防止することができる。
2)上記のように長尺材にて構成される吸音面状体にて橋桁部を被覆するのみでよいため、既存の高架橋に対しても容易に改修を行うことができると共に、労力の削減及び費用の低廉化を図ることができる。
3)橋桁部が吸音面状体にて被覆されるため、美観の向上を図ることもできる。(明細書9頁4行〜10頁3行)
これらの記載及び第1〜7図を参照すると、「高架橋のスラブの下方に所定の作業空間を形成してスラブの下面を覆うように設ける恒久足場であって、多数の吸音用小孔を有する上面部と、多数の吸音用小孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成した下面部と、下面部の膨出部内を含む上面部と下面部との間に充填した吸音材を有する吸音長尺材と、適宜間隔をおいて配設される複数の吸音長尺材上に敷設した多孔板とで構成した高架橋の恒久足場」が開示されているものと認める。
(2-3)対比・判断
本件訂正発明1と、刊行物1及び2記載の発明とを対比すると、各刊行物には、本件訂正発明1の構成事項の一部である「膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板」、「上面板と下面板とに間を形成する枠部材」及び吸音材を下面板の膨出部内「及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した」点については何ら記載が無く、またそのような構成を示唆する記載もない。
したがって、本件訂正発明1は、刊行物1及び2記載の発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできず、特許法第29条第2項に該当しないものである。
また、本件訂正発明2は、請求項1を引用しさらに構成を付加したものであるから、本件訂正発明1と、同様のことがいえ、刊行物1及び2記載の発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできず、特許法第29条第2項に該当しないものである。
(2-4)まとめ
さらに、本件訂正発明1及び2については、他に拒絶する理由も見当たらないことから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

5.まとめ
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高架橋の恒久足場
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする高架橋の恒久足場。
【請求項2】 足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成したことを特徴とする請求項1記載の高架橋の恒久足場。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高架道路や高架鉄道等の高架橋(本明細書において、単に「高架橋」という場合がある。)のうち、特に、高架橋の下に道路を併設した高架橋に設けるのに適した恒久足場に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、土地の有効利用の観点から、特に都市部においては、高架道路や高架鉄道等の高架橋の下に道路が併設されることが多くなってきている。
ところで、高架橋は、走行車両が排出する排気ガス、走行車両による振動、雨水等の厳しい環境に晒され、早期に老朽化する。これを防止するために、舗装を含む床版の補修、橋桁に用いられている鋼材の塗装等の補修作業を頻繁に行う必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この補修作業のうち、床版の下面の補修や橋桁に用いられている鋼材の塗装等は、補修作業を行う都度、床版の下方に仮設の足場を組み立て、補修作業が完了すれば撤去するようにしているため、作業効率が低いという問題点を有していた。
また、仮設の足場上の作業空間には、高架橋を走行する車両の騒音や高架橋の下に道路を併設した場合には、下方の道路を走行している車両の騒音が直接伝わることから、この点においても、作業環境がきわめて劣悪であった。
さらに、高架橋の下に道路を併設した場合には、下方の道路を走行している車両の騒音が高架橋の床版により反射し、周辺地域に騒音公害を引き起こすという問題点を有していた。
【0004】
本発明は、上記従来の高架橋の下に道路を併設した高架橋の有する問題点を解決し、車両の騒音を低減できるとともに、補修作業の作業効率を向上することができる高架橋の恒久足場を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の高架橋の恒久足場は、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする。
この場合において、足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成することができる。
【0006】
上記の構成からなる高架橋の恒久足場は、高架橋を走行する車両の騒音や高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音を軽減することができることから、恒久足場上の作業空間の作業環境を良好に維持することができ、補修作業を行う都度足場を組み立てる必要がないことと相俟って、作業効率を向上することができ、また、高架橋の周辺地域の騒音を軽減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高架橋の恒久足場の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1並びに図2〜図3(第1実施例)及び図5〜図6(第2実施例)に示すように、高架道路や高架鉄道等の高架橋1の床版11の下方に所定の作業空間4を形成するようにして床版11の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場2を設ける。
【0009】
この恒久足場2は、作業者が作業空間4に入って床版11の下面の補修や橋桁12に用いられている鋼材の塗装等の補修作業を行うために恒久的に設置されるもので、補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が道路6上に落下する隙間がないように床版11の下面の略全面を覆うように設けられる。
これにより、従来の仮設の足場のように補修作業を行う都度足場を組み立てる必要がなく、安全性が高く、補修作業の作業環境が良好であることと相侯って、作業効率を向上することができ、かつ、補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が落下することがなく、このため、下方の道路を走行している車両等に損傷を与えることがないため、これに伴う補償費用を低減することができる。
なお、作業空間4の高さHは、床版11の下面の補修や橋桁12に用いられている鋼材の塗装等の補修作業が容易に行うことができる高さ、例えば、1〜2m程度に設定することが好ましい。
また、この恒久足場2には、作業空間4に作業者が入って補修作業を行うことができるように、橋脚14の近傍等、適当な箇所に出入口21を形成するようにする。
【0010】
恒久足場2は、高架橋1の橋桁12に配設したH形鋼からなる架設部材22と、この架設部材22に固定部材23を介して固定された足場兼用吸音部材3からなる。
【0011】
高架橋1の幅方向の恒久足場2の両外側には、ヒンジ51を介して落下防止装置5を、高架橋1の長手方向に沿って延設する。
この落下防止装置5は、高架橋1の側壁13等の補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が道路6上に落下したり、作業者が転落するのを防止するために設けられるもので、通常は、高架橋1の床版11の下方の収納位置に設置しておき、補修作業時に、チェーン等の調整具52を操作することによりヒンジ51を中心にして揺動させ、高架橋1の側壁13の下方より外側の張出位置5’に設置するように構成する。
なお、落下防止装置5の張出幅Wは、高架橋1の側壁13等の補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が道路6上に落下したり、作業者が転落するのを防止できる幅、例えば、1m程度に設定することが好ましい。
落下防止装置5は、防錆処理した鋼材からなる枠部材53の表面側(道路6から見える側)にFRP等の複合材料等からなる化粧板54を配設して構成する。
また、この落下防止装置5は、吸音機能を有するように、例えば、後述する足場兼用吸音部材3の構造と同様、裏面側(作業空間4に面する側)に防錆処理したエキスパンドメタルやパンチングメタル等の多数の透孔を有する金属製板材55を配設するとともに、この金属製板材55と化粧板54との間にグラスウール等の吸音材を充填して構成することができる。
また、この落下防止装置5には、作業空間4に作業者が入って補修作業を行うことができるように、橋脚14の近傍等、適当な箇所に出入口56を形成するようにする。
【0012】
足場兼用吸音部材3の第1実施例を、図2〜図4に示す。
この足場兼用吸音部材3は、防錆処理したエキスパンドメタルやパンチングメタル等の多数の透孔を有する金属製板材からなる上面板31と、防錆処理した金属製板材からなる枠部材32と、アルミニウム製のパンチングメタル等の多数の透孔を有し、下方に高架橋1の長手方向に沿って延びる帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した金属製板材からなる下面板33と、下面板33の膨出部内及び枠部材32により形成された上面板31と下面板33との間に充填したグラスウール等の吸音材34とで構成する。
このように、下面板33の膨出部を帯状に形成することにより、騒音の軽減効果を向上することができるとともに、足場兼用吸音部材3の製造を容易にしてその製造コストを低廉にすることができる。
【0013】
この場合、吸音材34は、グラスウール等の吸音材34の飛散を防止するために吸音材34の表面をポリフッ化ビニール等の合成樹脂シート35で覆い、この合成樹脂シート35が、足場兼用吸音部材3が振動することにより上面板31及び下面板33に形成した透孔の縁と接触することにより摩耗したり、補修作業時に損傷を受けないように、さらにその表面にステンレス製のワイヤーメッシュ又はグラスクロス36を設けて、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に配設することが望ましい。
また、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に充填する吸音材を、一体に形成したブロック体で構成することができ、これにより、足場兼用吸音部材3の製造を容易にし、製造コストを低廉にすることができる。
【0014】
足場兼用吸音部材3の第2実施例を、図5〜図7に示す。
この足場兼用吸音部材3は、アルミニウム製のパンチングメタル等の多数の透孔を有する金属製板材からなる上面板31と、アルミニウム製の金属製板材からなる枠部材32と、アルミニウム製のパンチングメタル等の多数の透孔を有し、下方に高架橋1の長手方向に沿って延びる帯状に突出する膨出部を形成した金属製板材からなる下面板33と、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に充填したグラスウール等の吸音材34とで構成する。
【0015】
この場合において、上面板31及び枠部材32、さらに、場合によっては、下面板33を、押出成形により一体成形することができる。
また、枠部材32の一方の外側面に載置片32aを形成し、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材3の枠部材32の載置片32aを支持する受片32bを形成し、これにより、隣接する足場兼用吸音部材3間の隙間をなくすことができ、高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音をより一層軽減することができる。
また、吸音材34は、グラスウール等の吸音材34の飛散を防止するために吸音材34の表面をポリフッ化ビニール等の合成樹脂シート35で覆い、この合成樹脂シート35が、足場兼用吸音部材3が振動することにより上面板31及び下面板33に形成した透孔の縁と接触することにより摩耗したり、補修作業時に損傷を受けないように、さらにその表面にステンレス製のワイヤーメッシュ又はグラスクロス36を設けて、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に配設することが望ましい。
また、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に充填する吸音材を、一体に形成したブロック体で構成することができ、これにより、足場兼用吸音部材3の製造を容易にし、製造コストを低廉にすることができる。
【0016】
足場兼用吸音部材3の第2実施例の第1変形例を、図8に示す。
この足場兼用吸音部材3は、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に充填する吸音材を、一体に形成したブロック体で構成するとともに、その中心部に空洞34aを形成したもので、これにより、吸音性能を低下させることなく吸音材の使用量を低減することができ、その製造コストを低廉にすることができる。
なお、この実施例のその他の構成は、上記第2実施例と同様である。
【0017】
足場兼用吸音部材3の第2実施例の第2変形例を、図9に示す。
この足場兼用吸音部材3は、枠部材32の外側面に突出片32c,32cを形成し、隣接する枠部材32の突出片32c,32c同士が重なり合うように足場兼用吸音部材3を設置することにより、隣接する足場兼用吸音部材3間の隙間をなくすことができ、高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音をより一層軽減することができるようにするとともに、上面板31の裏面にリブ32dを形成し、上面板31を補強するようにしたものである。
【0018】
足場兼用吸音部材3の第2実施例の第3変形例を、図10に示す。
この足場兼用吸音部材3は、上記第2実施例の第2変形例において、下面板33を枠部材32に嵌合、係止することにより固定していたのに代えて、下面板33を枠部材32にビス又は溶接により固定したものである。
なお、この実施例のその他の構成は、上記第2実施例の第2変形例と同様である。
【0019】
なお、上記第2実施例の第2変形例及び第3変形例においても、上記第2実施例の第1変形例に示すように、下面板33の膨出部内を含む上面板31と下面板33との間に充填する吸音材を、中心部に空洞を有する一体に形成したブロック体で構成することができ、これにより、吸音性能を低下させることなく吸音材の使用量を低減することができ、その製造コストを低廉にすることができる。
【0020】
なお、高架橋1に対する恒久足場2の固定構造、足場兼用吸音部材3の固定構造、足場兼用吸音部材3の構造及び材質、落下防止装置5の取付構造並びに落下防止装置5の構造及び材質等は、上記の実施例のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができるが、例えば、足場兼用吸音部材3の材質としては、恒久足場2が走行車両が排出する排気ガス、走行車両による振動、雨水等の厳しい環境に晒されることから、防錆処理した鋼材、ステンレスやアルミニウム等の錆びにくい金属材料、合成樹脂、FRP等の複合材料等、耐候性を有する材料を使用することが望ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明の恒久足場によれば、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設することにより、高架橋を走行する車両の騒音や高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音を軽減することができることから、恒久足場上の作業空間の作業環境を良好に維持することができ、補修作業を行う都度足場を組み立てる必要がないことと相俟って、作業効率を向上することができ、また、高架橋の周辺地域の騒音を軽減することができ、さらに、補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が落下することがなく、このため、下方の道路を走行している車両等に損傷を与えることがないため、これに伴う補償費用を低減することができる。
【0022】
また、足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成することにより、隣接する足場兼用吸音部材間の隙間をなくすことができ、高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音をより一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の高架橋の恒久足場を有する高架橋の概観斜視図である。
【図2】
同要部斜視図である。
【図3】
同要部断面図である。
【図4】
本発明の高架橋の恒久足場に用いる足場兼用吸音部材の第1実施例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図5】
本発明の高架橋の恒久足場を有する高架橋の要部斜視図である。
【図6】
同要部断面図である。
【図7】
本発明の高架橋の恒久足場に用いる足場兼用吸音部材の第2実施例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図8】
同第1変形例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図9】
同第2変形例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図10】
同第3変形例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 高架橋
11 床版
12 橋桁
13 側壁
14 橋脚
2 恒久足場
3 足場兼用吸音部材
31 上面板
32 枠部材
33 下面板
34 吸音材
4 作業空間
5 落下防止装置
6 道路
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2968494号の明細書を、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正事項aのように、また、訂正事項aに関連してなされた明りょうでない記載の釈明を目的として訂正事項b〜dのように訂正する。
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。
「高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする高架橋の恒久足場。」
訂正事項b
段落番号【0005】の課題を解決するための手段を次のように訂正する。
「上記目的を達成するため、本発明の高架橋の恒久足場は、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設したことを特徴とする。
この場合において、足場兼用吸音部材の枠部材の一方の外側面に載置片を、他方の外側面に、隣接する足場兼用吸音部材の枠部材の載置片を支持する受片を形成することができる。」
訂正事項c
段落番号【0012】を次のように訂正する。
「足場兼用吸音部材3の第1実施例を、図2〜図4に示す。
この足場兼用吸音部材3は、防錆処理したエキスパンドメタルやパンチングメタル等の多数の透孔を有する金属製板材からなる上面板31と、防錆処理した金属製板材からなる枠部材32と、アルミニウム製のパンチングメタル等の多数の透孔を有し、下方に高架橋1の長手方向に沿って延びる帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した金属製板材からなる下面板33と、下面板33の膨出部内及び枠部材32により形成された上面板31と下面板33との間に充填したグラスウール等の吸音材34とで構成する。
このように、下面板33の膨出部を帯状に形成することにより、騒音の軽減効果を向上することができるとともに、足場兼用吸音部材3の製造を容易にしてその製造コストを低廉にすることができる。」
訂正事項d
段落番号【0021】の発明の効果を次のように訂正する。
「本発明の恒久足場によれば、高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成して床版の下面を覆うように設ける恒久足場であって、該恒久足場を多数の透孔を有する上面板と、多数の透孔を有し、下方に帯状に突出する膨出部を形成するとともに、該膨出部の両側に上面板と平行となる部分を形成した下面板と、上面板と下面板とに間を形成する枠部材と、下面板の膨出部内及び枠部材により形成された上面板と下面板との間に充填した吸音材とで構成した足場兼用吸音部材を、作業資材や作業工具等が落下する隙間がないように配設することにより、高架橋を走行する車両の騒音や高架橋の下方の道路を走行している車両の騒音を軽減することができることから、恒久足場上の作業空間の作業環境を良好に維持することができ、補修作業を行う都度足場を組み立てる必要がないことと相俟って、作業効率を向上することができ、また、高架橋の周辺地域の騒音を軽減することができ、さらに、補修作業時、塗料、鉄筋、コンクリート等の作業資材や作業工具等が落下することがなく、このため、下方の道路を走行している車両等に損傷を与えることがないため、これに伴う補償費用を低減することができる。」
審決日 2002-03-29 
出願番号 特願平9-22024
審決分類 P 1 41・ 853- Y (E01D)
P 1 41・ 851- Y (E01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川島 陵司太田 恒明  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 中田 誠
鈴木 憲子
登録日 1999-08-20 
登録番号 特許第2968494号(P2968494)
発明の名称 高架橋の恒久足場  
代理人 林 清明  
代理人 林 清明  
代理人 森 治  
代理人 林 清明  
代理人 森 治  
代理人 森 治  
代理人 林 清明  
代理人 森 治  

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