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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1060453
審判番号 不服2000-3327  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-09 
確定日 2002-06-20 
事件の表示 平成 8年特許願第330575号「磁気ディスクアレイ装置及び磁気ディスクアレイ装置に於けるデータチェック方法」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 6月26日出願公開、特開平10-171608]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年12月11日の特許出願であって、その請求項1に係る発明は、平成10年6月5日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである(以下、「本願発明」という)。なお、平成12年4月11日付け手続補正書に係る手続は、特許法第18条の2第1項の規定により却下された。
「【請求項1】 ホスト手段が複数個の磁気ドライブ装置を並列的に駆動させてデータの入出力を実行させる様に構成された磁気ディスクアレイ装置に於いて、
当該ホスト手段と当該磁気ドライブ装置との間に制御手段が設けられており、且つ当該制御手段には、当該ホスト手段と当該制御手段との間で転送されるデータをチェックコードを使用して確認する入力データチェック手段、データにアドレス情報と時間的要素を表わす情報とを付加する情報付加手段、及びデータの分散、合成手段とが設けられており、
当該複数個の磁気ドライブ装置のそれぞれには、当該ホスト手段からの制御信号を解析する受信信号解析手段、当該ホスト手段から受信したデータをチェックする受信データチェック手段及びデータ記憶手段とが更に含まれている事を特徴とする磁気ディスクアレイ装置。」

2.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された特開平5-73226号公報(以下、「引用例1」という。)は、外部記憶装置におけるデータ入出力方式に関するもので、次の技術事項が記載乃至開示されている。
(i) 「【産業上の利用分野】
本発明は、上位装置から転送されたデータのアクセス最小単位(論理ブロック)を、複数のデータブロックに分割して、記憶媒体に格納し読み出す外部記憶装置におけるデータ入出力方式に係り、特に、論理ブロックのデータの正当性を保証する外部記憶装置におけるデータ入出力方式に関する。」(段落【0001】を参照。)
(ii)「本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消して、データ読み出し時に、各論理ブロックに属するデータブロックの分割された順番の誤りのチェックを可能とすると共に、このデータブロックの更新・未更新の状態の検出を可能とすることによって、誤った論理ブロックが上位装置に転送されるのを防止することができる外部記憶装置におけるデータ入出力方式を提供することにある。」(段落【0006】を参照。)
(iii)「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、上位装置から転送されてくるデータの最小単位である論理ブロックを複数のデータブロック(物理的なブロック)に分割し、各データブロックをそれぞれ対応する記憶媒体に同時に(並列的に一斉に)格納する外部記憶装置において、論理ブロックの書き込み時に(更新時に)、(誤りチェックコードのほかに、)分割したデータブロックが当該論理ブロックを分割したデータブロックであることを示す付加情報を、分割した全てのデータブロックに付加し、この付加情報をデータブロックと同時に前記記憶媒体に格納するように構成する。また、読み出し時には、前記論理ブロックを構成しているデータブロック群の全てのデータブロックについて前記付加情報をチェックすることによって、当該論理ブロックの正当性を保証するように構成する。
前記付加情報として、論理ブロック内での、データブロックの分割位置を示す情報(例えば分割番号のような、分割されたデータブロックの順番)を用いることができる。これにより、各データブロックを読み取り収集したときに、それらデータブロックが論理的に正しい順番に並んでいるかを判断できる。
更に、前記付加情報として、前記分割位置を示す情報のほかに、論理ブロック単位(同時に書き込みが発生する単位)に、前記データブロックの各々が更新されたかどうかを示す情報(例えば更新時刻や、更新毎にカウントアップされる更新番号、バージョン番号など)を付加することができる。この場合、外部記憶装置は、分割した複数のデータブロックのほかに、それらデータブロックのパリティデータを格納する手段も備えており、読み出し時に、前記更新されたかどうかを示す情報を含む付加情報をチェックし(例えば論理ブロック内のデータブロックがすべて同時刻であるか、あるいは同一更新番号であるかなどチェックし)未更新状態であるデータブロックを検出したとき、当該データブロック以外のデータブロック(更新されたもの)とパリティデータとにより訂正を行い、未更新状態であるデータブロックを回復することによって、論理ブロックの正当性を保証するように構成される。」(段落【0007】〜【0009】を参照。)
(iv)「【実施例】
以下に、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を適用した外部記憶装置としてディスクドライブを含む計算機システムの概略の構成図である。この計算機システムは、中央処理装置であるCPU100と、ディスク制御装置200と、ディスクドライブ装置(外部記憶装置)300とにより構成される。
ディスク制御装置200は、CPU100からの指示に従い、ディスクドライブ装置300を制御している。
図2にディスク制御装置200の内部構造を示す。ディスク制御装置200は、CPU100との間でデータ転送の制御をおこなっているチャネル制御装置201と、チャネル制御装置201より受領したデータを、複数のデータブロックに分割し、各データブロック毎に、更新番号や分割番号、CRC等からなるチェックコードを作成し、付加する、付加情報生成/チェック回路202、分割した複数のデータブロックに対するパリティを生成するECC生成/チェック回路203、データブロック、パリティブロックを格納するデータバッファ204、情報を格納するドライブ装置310〜314、ドライブ装置310〜314を制御し、読みだしエラーを検出するドライブコントローラ210〜214、並びに、ディスク制御装置200の全体を制御するマイクロプロセッサMPU230により構成されている。」(段落【0013】〜【0016】を参照。)
(v)「CPU100から要求されたデータを、ディスク装置310〜314に格納するときのデータの流れを説明する。CPU100からの、要求データ(論理ブロック単位)は、チャネル制御装置201を介し、付加情報生成/チェック回路202を通過することにより、複数のデータブロック(本例では4つのデータブロック)に分割され、あらかじめMPU230より指示された情報により、更新番号、分割番号、CRCコードが付加された形のデータブロックになる。このデータブロックは、データバッファ204に格納されると同時に、MPU230からの指示により、ECC生成/チェック回路203へ送られ、複数のデータブロックに対するパリティブロックを作成し、データブロックと同様にデータバッファ204に格納される。データブロック、パリティブロックが揃ったところで、MPU230は、各ドライブコントローラ210〜214へ書き込み指示を出し、各ドライブコントローラ210〜214の制御により、ドライブ装置310〜314にデータブロック(本例では4つのデータブロック)及びパリティブロックが同時に(一斉に)書き込まれる。以下、次々に発行される要求データ(論理ブロックの単位)についても同様な処理が施された後、ドライブ装置310〜314に順に書き込まれて行く。」(段落【0017】を参照。)
(vi)「ドライブ装置310〜314を読み出すときのデータの流れについて説明する
。CPU100からの読みだし指示を、チャネル制御装置201を介してMPU230が受領すると、MPU230は、ドライブコントローラ210〜214に対し読みだし指示を出す。ドライブ装置310〜314は、ドライブコントローラ210〜214の指示に従いデータブロック及びパリティブロックを読みだしデータバッファ204へ格納する。この際各ドライブコントローラにより、各々のデータブロックに対するCRCチェックを行い、読みだしエラーが起こった時は、パリティブロックと正常に読みだしたデータブロックをECC生成チェック回路203へ送出し、読みだしエラーがおこったデータブロックの復元がおこなわれ、再びデータバッファ204へ格納される。データブロックが揃ったところで、MPU230の指示により、付加情報生成チェック回路202において更新番号、分割番号のチェックを行い、正常であればこの付加情報生成チェック回路202で付加情報等の削除を行った後、チャネル制御装置201を介しCPU100へ転送される。」(段落【0019】を参照。)
(vii)「図3は本実施例による、ドライブ装置310〜314へ格納するデータ形式を示したものである。本実施例では、CPU100からの個々の論理ブロックは、付加情報生成チェック回路202において、それぞれ4つのデータブロックに分割され、各データブロックは、CRCチェックコード以外に、分割番号(例えば0,1,2,3,……等、分割した順番がわかるような情報)と、更新番号(例えば前回当該論理ブロックに付加されていた情報に+1するような情報でもよいし、論理ブロック番号によらず、MPU230に記憶している情報を単純に+1するような情報等)とが付加情報として付加され、さらに付加された各々のデータブロックに対し、1つのパリティブロックが作成される。これらの付加情報を含むデータブロック及びパリティブロックは、上位装置からみて通常のデータと同じ扱いとされる。」(段落【0020】を参照。)
(viii)「今、CPU100から論理ブロックAの更新指示があったとする。本論理ブロックは、4つのデータブロックと1つのパリティブロックにより構成されており、現在(更新前)の情報としては、分割番号は、ドライブ装置310、311、312、313の順に0、1、2、3、で、更新番号は例えば全てバージョン“9”である。この状態を示したものが400である。更新データの論理ブロックAは、同様に、4つのデータブロックに分割され、分割番号として、ドライブ装置310、311、312、313の順に“0”、“1”、“2”、“3”が付加され、更新番号として全てにバージョン“10”が付加され、さらに1つのパリティブロックが作成され、ドライブ装置310〜314に書き込まれる。」(段落【0021】を参照。)

上記記載事項(i)〜(viii)、及び図面の記載を総合勘案すると、結局、上記引用例1には、次の発明が記載乃至開示されているものと認める。
CPU100が複数個のディスクドライブ装置(外部記憶装置)310〜314を並列的に駆動させてデータの入出力を実行させるように構成された計算機システムにおいて、
当該CPU100と当該ドライブ装置310〜314との間にディスク制御装置200が設けられており、且つ当該ディスク制御装置200には、当該CPU100から要求されたデータを当該ドライブ装置310〜314に書き込む場合、付加情報生成/チェック回路202にて当該CPU100からのデータを複数のデータブロックに分割し、各データブロック毎に、更新時刻や分割番号、CRC等からなるチェックコードを作成・付加し、ドライブコントローラ210〜214の制御によりディスクドライブ装置310〜314にデータを書き込み、ディスクドライブ装置310〜314よりデータを読み出す場合、ドライブコントローラ210〜214により各々のデータブロックに対するCRCチェックを行い、付加情報生成/チェック回路202にて付加情報のチェックを行い正常であれば付加情報の削除を行った後CPU100へデータを転送するようにした
外部記憶装置としてディスクドライブ装置を含む計算機システム。

同じく引用された特開平5-166304号公報(以下、「引用例2」という。)は、アレイディスク装置のデータチェックに関するもので、次の発明が記載乃至開示されているものと認める。
ホスト31が複数個のデバイス(磁気ディスク装置)34を並列的に駆動させてデータの入出力を実行させるように構成されたアレイディスク装置において、
当該ホスト31と当該デバイス34との間にディスクコントローラ33が設けられており、当該ディスクコントローラ33には、当該ホスト31と当該ディスクコントローラ33との間で転送されるデータの処理に関し、ホストからのライトデータを受け取りホストCRCのデータをチェックするホストCRCチェック部38と、複数のデバイスに書き込むために複数のデータに分割しデバイスCRCを付加して各デバイスへデータ転送を行うライトデータ変換部40と、各デバイスからのリードデータを受け取りデバイスCRCをチェックするデバイスCRCチェック部43と、ホスト31への転送データに合成するリードデータ変換部42とを含むデータパス制御回路35が含まれているアレイディスク装置。

また、同じく引用された特開平4-285773号公報(以下、「引用例3」という。)は、外部記憶装置(磁気ディスク装置)に関するもので、次の発明が記載乃至開示されているものと認める。
上位装置100が複数個のディスク装置208〜210を並列に駆動させてデータの入出力を実行させるように構成された外部記憶装置において、
当該上位装置100と当該ディスク装置208〜210との間にディスク制御ユニット213が設けられており、当該ディスク制御ユニット213には、上位装置100からのデータを受領し、データブロック群に分割するとともに、チェックコード(CRC)、ボリュームアドレス等からなる管理情報を生成し、当該データブロックに付加するデータ分割/管理情報生成回路202と、上位装置100からの読み出し要求を受領し、ドライブコントローラ205〜207を介してディスク装置208〜210に格納されている複数のデータブロックを読み出し復元するデータエラー検知/データ復元回路211とが含まれており、
上記ディスク装置208〜210のそれぞれに、ディスク装置208〜210を制御するドライブコントローラ205〜207が接続されてディスクユニット214が構成されている外部記憶装置(磁気ディスク装置)。

さらに、同じく引用された特開平3-126124号公報(以下、「引用例4」という。)は、ディスクサブシステムのデータチェックに関するもので、次の発明が記載乃至開示されているものと認める。
他装置がディスク装置2を駆動させてデータの入出力を実行させるように構成されたディスクサブシステムにおいて、
当該他装置とディスク装置2との間にディスク制御装置1が設けられており、且つ当該ディスク制御装置1には、他装置からディスク装置2への書込みデータに対しCRCデータを生成し、ディスク装置2からの読出しデータのエラーチェックを行うCRC生成チェック回路11が設けられ、
当該ディスク装置2には、書込みデータのエラーチェックを行うCRCチェック回路21が設けられるディスクサブシステム。

3.対 比
本願発明と上記引用例1に記載された発明とを対比する。
引用例1に記載された発明における「CPU100」、「ディスクドライブ装置(外部記憶装置)310〜314」は、それぞれ、本願発明における「ホスト手段」、「磁気ドライブ装置」に相当するので、引用例1に記載された発明が対象とする「外部記憶装置としてディスクドライブ装置を含む計算機システム」は、本願発明が対象とする「磁気ディスクアレイ装置」に相当するものである。引用例1に記載された発明における「ディスク制御装置200」は、CPU100(ホスト手段)とディスクドライブ装置(磁気ドライブ装置)310〜314との間に設けられ、
CPU(ホスト手段)からディスクドライブ装置(磁気ドライブ装置)への、ディスクドライブ装置(磁気ドライブ装置)からCPU(ホスト手段)へのデータの転送を制御する点で、本願発明における「制御手段」と共通するものである。引用例1に記載された発明における「付加情報生成/チェック回路202」は、CPU(ホスト手段)からディスクドライブ装置(磁気ドライブ装置)へ転送されるデータを複数のデータブロックに分割し、各データブロック毎にチェックコードを付与し、更新時刻等のブロックの各々が更新されたかどうかを示す情報を付加するものであるから、本願発明における「データの分散手段」、「データに時間的要素を表す情報を付加する付加手段」を備えるものである。引用例1に記載された発明における「ドライブコントローラ210〜214」は、ディスクドライブ装置310〜314に書き込むときその制御を行い、ディスクドライブ装置310〜314から読み出すとき各々のデータブロックに対するCRCチェックを行うものであるから、CPU(ホスト手段)からの制御信号がディスクドライブ装置310〜314への書き込み動作であることを判断(解析)する手段、すなわち本願発明における「受信信号解析手段」を備えるものであり、また、「受信データチェック手段」を備えるものである。引用例1に記載された発明における「ディスクドライブ装置310〜314」は、本願発明における「データ記憶手段」に相当するものである。そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、次の点で一致する。
ホスト手段が複数個の磁気ドライブ装置を並列的に駆動させてデータの入出力を実行させる様に構成された磁気ディスクアレイ装置に於いて、
当該ホスト手段と当該磁気ドライブ装置との間に制御手段が設けられており、且つ当該制御手段には、データに時間的要素を表す情報を付加する情報付加手段、及びデータの分散手段とが設けられており、
当該ホスト手段からの制御信号を解析する受信信号解析手段、受信データチェック手段とが更に含まれており、複数個の磁気ドライブ装置のそれぞれにはデータ記憶手段が含まれている磁気ディスクアレイ装置。
そして、次の各点で相違する。
(a) 本願発明においては、制御手段に、ホスト手段と制御手段との間で転送されるデータをチェックコードを使用して確認する入力データチェック手段、及びデータの合成手段が設けられているのに対し、引用例1に記載された発明においては、このような入力データチェック手段、及びデータの合成手段が設けられていることが示されていない点(以下、「相違点a」という。)
(b) 情報付加手段に関し、本願発明においては、アドレス情報をも付加するものであるのに対し、引用例1に記載された発明においては、分割番号を付加するものである点(以下、「相違点b」という。)
(c) 本願発明においては、受信信号解析手段、受信データチェック手段が複数個の磁気ドライブ装置のそれぞれに含まれるものであるのに対し、引用例1に記載された発明においては、上記各手段はディスク制御装置(制御手段)に含まれるものである点(以下、「相違点c」という。)
(d) 受信データチェック手段に関し、本願発明においては、ホスト手段から受信したデータをチェックするものであるのに対し、引用例1に記載された発明においては、ディスクドライブ装置(磁気ドライブ装置)から読み出したデータをチェックするものである点(以下、「相違点d」という。)

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
相違点a について
上記引用例2に記載された発明は、ディスクコントローラ33(本願発明の「制御手段」に相当)に、ホスト31とディスクコントローラ33との間で転送されるデータの処理に関し、ホストからのライトデータを受け取りホストCRCのデータをチェックするホストCRCチェック部38(本願発明の「入力データチェック手段」に相当)を設けるものであるから、引用例1に記載された発明においても、ディスク制御装置200(本願発明の「制御手段」に相当)に、引用例2に記載された発明のように、ホストからのデータを受け取りホストCRCのデータをチェックするホストCRCチェック部すなわち入力データチェック手段を設けることは当業者が容易に想到できたものである。
また、引用例1に記載された発明においても、複数個のディスクドライブ装置310〜314(本願発明の「複数個の磁気ドライブ装置」に相当)からデータを読み出そうとする場合、データブロックが揃ったところで付加情報生成/チェック回路202で付加情報のチェックを行い正常であれば付加情報生成/チェック回路202で付加情報等の削除を行った後CPU100(ホスト手段)にデータを転送するものであるから、データの合成をも行うものであることは十分に推測されるところ、上記引用例2には、各デバイス(磁気ディスク装置)からデータを読み出す場合、リードデータ変換回路42でホストへの転送データに合成し、ホストへ転送することが開示されているので、引用例1に記載された発明においても、ディスク制御装置200(本願発明の「制御手段」に相当)に、データの分散手段に加えデータの合成手段をも設けることは当業者が容易に想到できたものである。
相違点bについて
引用例1に記載された発明における付加情報としての分割番号は、それぞれデータが書き込まれるべき各ディスクドライブ装置310〜314の順に付加されるものであって、分割番号により各ディスクドライブ装置310〜314が識別されるものである(引用例1の記載事項(viii)を参照)ことは明らかであるところ、上記引用例3に記載された発明は、ディスク制御ユニット213(本願発明の「制御手段」に相当)に、上位装置100(本願発明の「ホスト手段」に相当)からのデータを受領し、データブロック群に分割するとともに、チェックコード(CRC)、ボリュームアドレス等からなる管理情報を生成し、当該データブロックに付加するデータ分割/管理情報生成回路202(本願発明の「情報付加手段」に相当)を備えるものであるから、引用例1に記載された発明においても、ディスク制御装置200(本願発明の「制御手段」に相当)に、付加情報として分割番号に替えてアドレス情報とすることは当業者が容易に想到できたものである。
相違点cについて
引用例3には、ディスク装置208〜210(本願発明の「磁気ドライブ装置」に相当)のそれぞれに、ディスク装置208〜210を制御するドライブコントローラ
205〜207に接続したものをディスクユニット214とすることが記載されているから、引用例1に記載された発明においても、ドライブ装置310〜314(本願発明の「磁気ドライブ装置」に相当)のそれぞれに接続され、受信信号解析手段、受信データチェック手段を備える「ドライブコントローラ210〜214」を、ディスク制御装置200(本願発明の「制御手段」に相当)側に設けることに替えて、引用例3に記載された発明のようにドライブ装置310〜314(本願発明の「磁気ドライブ装置」に相当)側に設けることは当業者が容易に想到できたものである。
相違点dについて
引用例4には、ディスク装置2(本願発明の「磁気ドライブ装置」に相当)に書込みデータ(本願発明の「ホストから受信したデータ」に相当)のエラーチェックを行うCRCチェック回路21(本願発明の「受信データチェック手段」に相当)を設けることが記載されているので、引用例1に記載された発明においても、ドライブコントローラ210〜214が備える受信データチェック手段を、引用例4に記載された発明のようにホストから受信した書き込みデータをチェックするものとすることは当業者が容易に想到できたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用例1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-29 
結審通知日 2002-04-02 
審決日 2002-05-09 
出願番号 特願平8-330575
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 今井 義男
稲葉 和生
発明の名称 磁気ディスクアレイ装置及び磁気ディスクアレイ装置に於けるデータチェック方法  
代理人 京本 直樹  
代理人 河合 信明  
代理人 福田 修一  

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